JP2013205760A - 光ファイバ及びそれを用いたファンアウトモジュール - Google Patents

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【課題】接続時におけるコアの軸ずれに起因した出射端でのマルチパス干渉が抑制される光ファイバを提供する。
【解決手段】光ファイバ10は、コア11と、コア11を被覆するように設けられたクラッド12と、クラッド12を被覆するように設けられたトレンチ層13とを備える。クラッド12は、コア11を囲うように設けられた光を吸収する光吸収ドーパントがドープされた光吸収層15を含む。
【選択図】図3

Description

本発明は、光ファイバ及びそれを用いたファンアウトモジュールに関する。
近年、インターネットの普及およびインターネットを利用した情報通信サービスが急速に拡大している。そして、それに伴って大容量のデータを送受信できる手段が求められている。これを解決する手段の1つとして、特許文献1及び2には、1本の光ファイバに複数のコアを設けたマルチコア光ファイバが開示されている。
特開2012−32524号公報 国際公開第2011/114795号公報
マルチコア光ファイバに複数の光ファイバで構成されたファンアウトモジュールを接続する場合、全てのコア同士を軸ずれなく芯合わせをすることは非常に困難である。特に、低屈折率のトレンチ層を有する光ファイバを備えたファンアウトモジュールでは、いずれかの光ファイバにおいてコアの軸ずれにより漏れ光がクラッドに入射すると、その漏れ光がコアとトレンチ層との間のクラッドに閉じこめられて伝送され、そして、光ファイバの出射端において、コアを伝搬する光とクラッドを伝搬する光とが再結合してマルチパス干渉が発生するという問題がある。
本発明の課題は、接続時におけるコアの軸ずれに起因した出射端でのマルチパス干渉が抑制される光ファイバを提供することである。
本発明の光ファイバは、コアと、該コアを被覆するように設けられたクラッドと、該クラッドを被覆するように設けられたトレンチ層とを備え、該クラッドは、該コアを囲うように設けられた光を吸収する光吸収ドーパントがドープされた光吸収層を含む。
本発明のファンアウトモジュールは、本発明の光ファイバを複数本集め、それらの一端部を集束させて一体化したコネクタ部に構成したものである。
本発明によれば、クラッドがコアを囲うように設けられた光吸収層を含むので、コアの軸ずれにより漏れ光がクラッドに入射しても、その漏れ光がクラッドを伝搬する間に光吸収層を通過して吸収され、従って、それによって出射端でのマルチパス干渉を抑制することができる。
実施形態に係る光ファイバ心線の斜視図である。 実施形態に係る光ファイバの屈折率分布を示す図である。 (a)〜(c)は、変形例の光ファイバの断面図である。 実施形態に係る光ファイバ心線の製造方法を示す説明図である。 ファンアウトモジュールとマルチコア光ファイバとの接続構造を示す斜視図である。 ファンアウトモジュールとマルチコア光ファイバとの接続構造を示す縦断面図である。 (a)はファンアウトモジュールのコネクタ部の断面図であり、(b)はマルチコア光ファイバの断面図である。
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る光ファイバ心線Fを示す。
実施形態に係る光ファイバ心線Fは、光ファイバ10とそれを被覆する被覆層16とを有する。光ファイバ心線Fの心線径は例えば35〜55μmである。なお、図1以外では簡略化のため、被覆層16の表示を省略する。
光ファイバ10は、光ファイバ10の中心部に設けられたコア11と、コア11を被覆するように設けられたクラッド12と、クラッド12を被覆するように設けられたトレンチ層13と、トレンチ層13を被覆するように設けられたサポート層14とを備える。そして、クラッド12は、コア11を囲うように設けられた光吸収ドーパントがドープされた光吸収層15を含む。なお、光ファイバ10の横断面形状は典型的には図1に示すように円形であるが、楕円等のその他の形状であってもよい。
コア11は、例えば、高屈折率化ドーパントがドープされた石英で形成されている。
ここで、本出願において「高屈折率化ドーパント」とは、ドープすることによって純粋石英の屈折率を上昇させるドーパントをいう。高屈折率化ドーパントとしては、例えば、典型的にはゲルマニウムが挙げられ、その他に、リン等が挙げられる。高屈折率化ドーパントは、単一種がドープされていてもよく、また、複数種がドープされていてもよい。高屈折率化ドーパントの濃度は例えば3〜4mol%である。コア11の外径は例えば5〜12μmである。
クラッド12の層厚さは例えば3〜15μmである。
クラッド12は、光吸収層15を含み、この光吸収層15には光吸収ドーパントがドープされている。そして、クラッド12は、図1に示すように、クラッド12自体が光吸収層15に構成されていてもよい。この場合、クラッド12は、例えば、光吸収ドーパントがドープされた石英で形成されていてもよく、また、光吸収ドーパント及び低屈折率化ドーパントがドープされた石英で形成されていてもよい。
ここで、本出願において「光吸収ドーパント」とは、コア11に入射されずにクラッドに入射する漏れ光を吸収する、例えば、金属、有機化合物、無機化合物等の材料をいう。金属の光吸収ドーパントとしては、例えば、アルミニウム、金、銀、白金、銅、ニッケル、コバルト等が挙げられる。有機化合物の光吸収ドーパントとしては、例えば、ペリレンブラック、アニリンブラック等の有機顔料やこれらを含有する樹脂等が挙げられる。無機化合物の光吸収ドーパントとしては、例えば、例えば、アルミナ、ジルコニア等の金属酸化物が挙げられる。これらのうち、光ファイバ10の長さが短い場合であっても、光ファイバ10内で光を吸収することによって、光ファイバ10の入射端W1から出射端W2へと光が伝搬する過程で確実に光を遮断するという観点から金属が好ましく、具体的にはコバルトが好ましい。光吸収ドーパントは、単一種だけがドープされていてもよく、また、複数種がドープされていてもよい。光吸収ドーパントの濃度は、例えばコバルトの場合、好ましくは10〜100ppmであり、より好ましくは20〜60ppmである。光吸収ドーパントは、クラッド12全体で濃度が均一になるようにドープされていてもよく、また、クラッド12の層厚さ方向に連続的に又は不連続に濃度が変調してドープされていてもよい。
本出願において「低屈折率化ドーパント」とは、ドープすることによって純粋石英の屈折率を低下させるドーパントをいう。低屈折率化ドーパントとしては、例えば、ホウ素、フッ素等が挙げられる。低屈折率化ドーパントは、単一種がドープされていてもよく、また、複数種がドープされていてもよい。低屈折率化ドーパントの濃度は例えば0.1〜1mol%である。
光吸収層15は、図3(a)に示すように、コア11を被覆するようにクラッド12の内周部分を構成するように設けられていてもよい。また、光吸収層15は、図3(b)に示すように、トレンチ層13に接触してクラッド12の外周部分を構成するように設けられていてもよい。さらに、光吸収層15は、図3(c)に示すように、コア11及びトレンチ層13に接触しないように、クラッド12の中間部分を構成するように設けられていてもよい。これらの場合、光吸収層15は、例えば、光吸収ドーパントがドープされた石英で形成されていてもよく、また、光吸収ドーパント及び低屈折率化ドーパントがドープされた石英で形成されていてもよい。光吸収層15の層厚さは好ましくは3〜15μmであり、より好ましくは4〜10μmである。また、クラッド12の光吸収層15以外の部分は、例えば、純粋石英で形成されていてもよく、また、低屈折率化ドーパントがドープされた石英で形成されていてもよい。光吸収ドーパント及び低屈折率化ドーパントの材質及び濃度については上記と同様である。
トレンチ層13は、例えば、低屈折率化ドーパントがドープされた石英で形成されている。低屈折率化ドーパントとしては、クラッド12の場合と同様、例えば、ホウ素、フッ素等が挙げられる。低屈折率化ドーパントは、単一種がドープされていてもよく、また、複数種がドープされていてもよい。低屈折率化ドーパントの濃度は例えば2〜4mol%である。トレンチ層13の層厚さは例えば2〜10μmである。
サポート層14は、例えば、純粋石英で形成されている。サポート層14の層厚さは例えば6〜12μmである。
図2に、光ファイバ10の屈折率分布を示す。
光ファイバ10は、ステップ状屈折率分布を有しており、光ファイバ10は、クラッド12及びサポート層14の屈折率を基準とすると、コア11が突出した高屈折率部分となっている一方、トレンチ層13が大きく没入した低屈折率部分となったトレンチ型構造を有する。具体的には、コア11の屈折率は例えば1.461〜1.463である。クラッド12の屈折率は例えば1.455〜1.457である。トレンチ層13の屈折率は例えば1.449〜1.451である。サポート層14の屈折率は例えば1.455〜1.457である。なお、本出願において「屈折率」とは、常温、標準空気に対する屈折率を意味する。
被覆層16は、例えば、アクリル系の紫外線硬化型樹脂で形成されている。被覆層16の層厚さは例えば30〜100μmである。
以上の構成の実施形態に係る光ファイバ心線Fでは、基本的動作としては、一方端の入射端W1のコア11に入射した光はコア11に閉じ込められて他方端の出射端W2まで伝送されるが、入射端W1側の他の光ファイバ等との接続部においてコア11の軸ずれが生じると、光の一部はコア11に入射されずに漏れ光となってクラッド12に入射することとなる。しかしながら、クラッド12に入射した漏れ光は、出射端W2へと伝搬していく間に、クラッド12に含まれる光吸収層15内の光吸収ドーパントによって吸収されて出射端W2までの伝搬が阻害される。その結果、出射端W2において、コア11を伝搬した光とクラッド12を伝搬した光とが再結合するマルチパス干渉の発生を抑制することができる。
次に、図1に示す光ファイバ心線Fの製造方法について図4(a)〜(c)を用いて説明する。
まず、図4(a)に示すように、MCVD法により石英ガラス管からなるサポート層形成部34にトレンチ層形成部33を堆積させて内付けする。このとき、トレンチ層形成部33に低屈折率化ドーパントをドープする。
また、VAD法によりコア形成部31の外周にクラッド形成部32を積層したロッド材35を作製する。このとき、コア形成部31に高屈折率化ドーパントをドープし、クラッド形成部32に光吸収層を構成するように光吸収ドーパントをドープする。
次いで、図4(b)に示すように、ロッドインチューブ法により、ロッド材35をトレンチ層形成部33内に挿入し、その後、図4(c)に示すように、それらをコラプスすることによってプリフォームを作製する。
そして、プリフォームを線引機にセットし、電気炉等の加熱炉を通して加熱溶融させながら下方へ線引きすることにより光ファイバ10を製造し、また引き続いて、光ファイバ10を未硬化の紫外線硬化型樹脂槽に浸漬して引き上げ、その後、外側からUVランプにより紫外線を照射することにより光ファイバ10の外側に付着した紫外線硬化型樹脂を硬化させて被覆層16を形成して光ファイバ心線Fを製造する。なお、線引時には、外測計を用いて線引きされた光ファイバ10のファイバ径を計測して線引速度等のフィードバック制御を行うことが好ましい。
図3(a)〜(c)に示した光ファイバ10を備えた光ファイバ心線の製造方法についても、MCVD法による内付けする層の数を増加させたり、VAD法による積層体の数を増加させたりすることによって、上記と同様に製造することができる。
次に、上記光ファイバ心線Fを用いたファンアウトモジュール20について説明する。
図5及び6は、ファンアウトモジュール20とマルチコア光ファイバ50との接続構造を示す。
このファンアウトモジュール20は、上記光ファイバ心線Fを複数本(図5では7本)集め、それらの一端部において被覆層を剥離して光ファイバ10を露出させ、それらの露出した光ファイバ10の一端部を集束させて一体化してコネクタ部に構成し、そのコネクタ部から複数本の光ファイバ心線Fが相互に独立して延び、それぞれの先端に光コネクタ23が取り付けられた構造を有する。そして、光ファイバ心線Fの他端部はシングルモード光ファイバ40に接続されている。具体的には、光ファイバ心線Fの他端部に取り付けられた光コネクタ23とシングルモード光ファイバ40の一端部に取り付けられた光コネクタ23とをアダプタ24で接続している(図5では1つだけ図示)。
ファンアウトモジュール20は、コネクタ部がマルチコア光ファイバ50に接続され、マルチコア光ファイバ50によって並行に伝送されてくる信号光を分岐するための光デバイスである。図5に示すように、コネクタ部に取り付けられた光コネクタ25と被接続ファイバであるマルチコア光ファイバ50の接続端に取り付けられた光コネクタ25とを接続するアダプタ22が設けられていることが好ましい。
コネクタ部は、複数本の光ファイバ10の一端部を集束し、その一端部が光コネクタ25のフェルール(図示せず)に外嵌め保持されることにより固定しても良い。また、コネクタ部は、複数本の光ファイバ10の一端部が相互に融着して構成されていてもよい。また、コネクタ部は、図7(a)に示すように、相互に独立した複数本の光ファイバ10の一端部が石英製のパイプ材21に内嵌めされた構成であってもよく、複数本の光ファイバ10の一端部を石英製のパイプ材21に収容し融着したものを光コネクタ25に収容してもよい。
コネクタ部の端面に露出する複数本の光ファイバ10のコア11の配置は、特に限定されるものではないが、図7(a)に示すように、三角格子を構成するように配設されていることが好ましい。
被接続ファイバであるマルチコア光ファイバ50は、共通のクラッド52に複数のコア51(図7(b)では7個)が配設された構成を有し、コア51の配置は、ファンアウトモジュール20のコネクタ部の端面に露出する複数本の光ファイバ10のコア11の配置に対応するが、図7(b)に示すように、三角格子を構成するように配設されていることが好ましい。なお、図7(a)では、1本の光ファイバ10の外周に6本の光ファイバ10を最密に配置した7本構成を示すが、特にこれに限定されるものではなく、さらにその外周に最密状に12本の光ファイバ10を配置した19本構成であってもよく、さらにその外周に最密状に18本の光ファイバ10を配置した37本構成であってもよい。また、1本の光ファイバ10の外周に5本以下の光ファイバ10を配置した、従って、最密状に光ファイバ10を配置していない構成であってもよい。
以上の構成において、ファンアウトモジュール20のコネクタ部においてマルチコア光ファイバ50が接続されると、それらのコア11、51同士が突き合わされることとなる。そして、いずれかのコア11、51間において軸ずれが生じた場合、マルチコア光ファイバ50のコア51を伝搬してファンアウトモジュール20との接続部、つまり、ファンアウトモジュール20の入射端W1に到達した光は、軸ずれのために一部はファンアウトモジュール20の対応する光ファイバ10のコア11に入射されるものの、一部は対応する光ファイバ10のクラッド12に入射されて漏れ光となる。しかしながら、その漏れ光は、トレンチ層13が存在するためにクラッド12に閉じ込められて伝搬するものの、出射端W2までの間に光吸収層15にドープされた光吸収ドーパントに吸収され、出射端W2へと伝搬していく間に、クラッド12に含まれる光吸収層15内の光吸収ドーパントによって吸収されて出射端W2までの伝搬が阻害される。その結果、出射端W2において、コア11を伝搬した光とクラッド12を伝搬した光とが再結合するマルチパス干渉の発生を抑制することができる。
また、各光ファイバ10にはトレンチ層13が設けられているので、漏れ光の隣接する光ファイバ10への入射は規制され、その結果、出射端W2においてクロストークが発生するのを抑制することもできる。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、光ファイバがトレンチ層13の外側にサポート層14を有する構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、必ずしもサポート層14を有していなくてもよい。
F 光ファイバ心線
W1 入射端
W2 出射端
10 光ファイバ
11 コア
12 クラッド
13 トレンチ層
14 サポート層
15 光吸収層
16 被覆層
20 ファンアウトモジュール
21 パイプ材
22 アダプタ
23 光コネクタ
24 アダプタ
25 光コネクタ
31 コア形成部
32 クラッド形成部
33 トレンチ層形成部
34 サポート層形成部
35 ロッド材
40 シングルモード光ファイバ
50 マルチコア光ファイバ
51 コア
52 クラッド

Claims (5)

  1. コアと、該コアを被覆するように設けられたクラッドと、該クラッドを被覆するように設けられたトレンチ層と、を備えた光ファイバであって、
    上記クラッドは、上記コアを囲うように設けられた光を吸収する光吸収ドーパントがドープされた光吸収層を含む光ファイバ。
  2. 請求項1に記載の光ファイバにおいて、
    上記クラッド全体が上記光吸収層に構成されている光ファイバ。
  3. 請求項1又は2に記載の光ファイバにおいて、
    上記光吸収ドーパントが金属である光ファイバ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載された光ファイバを複数本集め、それらの一端部を集束させて一体化したコネクタ部に構成したファンアウトモジュール。
  5. 請求項4に記載されたファンアウトモジュールにおいて、
    上記コネクタ部は、上記複数本の光ファイバの一端部が相互に融着しているファンアウトモジュール。
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