JP2013203862A - 紫外線吸収剤分散液の製造方法、その方法で製造される紫外線吸収剤分散液、紫外線吸収塗料の製造方法、その方法で製造される紫外線吸収塗料、紫外線吸収フィルムの製造方法、及びその方法で製造される紫外線吸収フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
紫外線吸収剤分散液の製造方法は、紫外線吸収剤の溶液と紫外線吸収剤の貧溶媒とをそれぞれ別々に送液する工程と、紫外線吸収剤の溶液と紫外線吸収剤の貧溶媒とを合流流路で連続的に混合する工程と、を有する。
【選択図】 なし
Description
本態様による紫外線吸収剤分散液の製造方法は、(1)紫外線吸収剤の溶液と紫外線吸収剤の貧溶媒とをそれぞれ別々に送液する工程と、(2)紫外線吸収剤の溶液と紫外線吸収剤の貧溶媒とを合流流路で連続的に混合する工程と、を備える。
紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、シアノアクリレート系、サリシレート系、又はオギザニリド系等、有機系の紫外線吸収剤を用いることができる。
有機系の紫外線吸収剤が有機系溶媒に溶解され、紫外線吸収剤の溶液が調整される。有機系溶媒としては、THF(テトラヒドロフラン)、MEK(メチルエチルケトン)、アセトン等を使用することができる。但し、これらに限定されるものではない。
貧溶媒として、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、又はアルコール水溶液を使用することができる。但し、これらに限定されるものではない。
紫外線吸収剤の溶液、又は紫外線吸収剤の貧溶媒に分散剤を含ませることができる。分散剤として、PVA、PVP等を使用することができる。但し、これらに限定されるものではない。分散剤は紫外線吸収剤に吸着し、分散剤は紫外線吸収剤が成長するのを抑制する。
紫外線吸収剤の溶液、又は紫外線吸収剤の貧溶媒に添加剤を含ませることができる。添加剤として、界面活性剤、消泡剤等を使用することができる。但し、これらに限定されるものではない。添加剤は、例えば、表面張力の低下、気泡の消失等の働きを有する。
紫外線吸収剤の溶液と紫外線吸収剤の貧溶媒との混合工程について記載する。マイクロリアクタを使用したビルドアップ法により、粒径が小さく透明性に優れた紫外線吸収剤分散液を調製する。紫外線吸収剤の溶液と紫外線吸収剤の貧溶媒とをそれぞれ別々に送液し、合流流路で連続的に混合することで、紫外線吸収剤分散液を調製する。合流流路がマイクロリアクタで構成される。マイクロリアクタの内径は1mm前後である。合流流路を細径とすることで、紫外線吸収剤の溶液と紫外線吸収剤の貧溶媒とが迅速均一に混合される。瞬時に紫外線吸収剤が高過飽和状態となり、瞬時に多量の紫外線吸収剤粒子が析出される。更に瞬時に紫外線吸収剤が飽和濃度を下回るので、析出した紫外線吸収剤粒子の成長が抑制される。その結果として、粒径の小さな紫外線吸収剤粒子が得られる。40nm以下の粒径、更には20nm以下の粒径の紫外線吸収剤粒子を得ることができる。ここで、粒径は、メジアン径を意味する。
混合を行なうための合流流路としマイクロリアクタが使用される。マイクロリアクタとしてT字型、Y字型、十字型等を使用することができ、形状が制限されることはない。マイクロリアクタ内径に関して、0.01〜5mmが好ましく、0.05〜2mmが更に好ましく、0.1〜1mmが最も好ましい。内径が細すぎると、圧力損失が大きくなる。閉塞が起こりやすくなる等、製造適性上の問題が生じる。内径が太すぎると、迅速均一な混合が起こらなくなり、粒径が大きくなる。
紫外線吸収塗料の製造方法は、上述の製造方法で得られた紫外線吸収剤分散液とバインダとを混合する工程を含む。
紫外線吸収剤分散液と混合されるバインダとしてはPVA(ポリビニルアルコール)、PVP(ポリビニルピロリドン)、アクリルシリコーン等を使用することができる。但し、これらに、限定されるものではない。
上述の製造方法で得られた紫外線吸収剤分散液が精製、濃縮される。濃縮された紫外線吸収剤分散液とバインダとが混合され、紫外線吸収塗料が製造される。製造された塗料の透過率スペクトルが分光光度計で測定される。必要に応じて添加剤等を混合することができる。紫外線吸収剤分散液とバインダとの混合は、プロペラ攪拌機、パドル攪拌機等で実施される。 添加剤として、界面活性剤、増粘剤等を使用することができる。
紫外線吸収塗料の全重量に対して、紫外線吸収剤は0.1〜50重量%の量で存在することが好ましく、0.5〜20重量%の量で存在することが更に好ましく、1〜10重量%の量で存在することが最も好ましい。0.1重量%より低いと紫外線の透過が起こる場合があり、50重量%より高いと、可視光の低下が起こる場合がある。
紫外線吸収フィルムの製造方法は、上述の製造方法により得られた紫外線吸収塗料を基材に塗布する工程を含む。
基材としてPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネイト)等を使用することができる。但し、これらに限定されるものではない。基材は、0.01〜1mmの厚さを有するのが好ましく、0.02〜0.5mm厚さを有するのが更に好ましく、0.05〜0.2mmの厚さを有するのが最も好ましい。0.01mmより薄いと、剛性が弱すぎて取り扱いが難しくなる場合があり、1mmより厚いと、剛性が強すぎて加工が難しくなる場合がある。
上述の製造方法で得られた紫外線吸収塗料が基材上に塗布され、乾燥され紫外線吸収フィルムが製造される。基材上に紫外線吸収塗料を塗布する方法として、バーコート、ダイコート、グラビアコート等を採用することができる。但し、これらの塗布方法に限定されない。また、基材上に塗布された紫外線吸収塗料の乾燥方法として、加熱乾燥、減圧乾燥等を採用することができる。但し、これらの乾燥方法に限定されない。
紫外線吸収フィルムにおける紫外線吸収剤の塗布量は、0.1〜10g/m2であることが好ましく、0.3〜7g/m2であることが更に好ましく、0.5〜5g/m2であることが最も好ましい。0.1g/m2より少ないと、紫外線の透過が起こる場合があり、10g/m2より多いと、可視光の低下が起こる場合がある。
紫外線吸収剤の溶液を貯留し送出する溶液用シリンジポンプと、貧溶媒を貯留し送出する貧溶媒用シリンジポンプと、分散液を貯留するタンクと、0.5mmの内径を有するT字型マイクロリアクタと、これらを連結する配管からなる装置を準備した。
溶液を貯留し送出するシリンジポンプと、貧溶媒を貯留するタンクと、これらを連結する配管からなる装置を準備した。
紫外線吸収剤の溶液の濃度、紫外線吸収剤の溶液の流量、紫外線吸収剤の貧溶媒の流量を変えた以外は、分散液1と同様の方法で分散液の調製、評価を行い、表1に示す結果を得た。透明性に関して、目視観察を行い、非常に良い場合をAとし、問題ない場合をBとし、透明だが濁りがある場合をCとし、濁りが強く透明でない場合をDとした。
分散液1について110mLを分画分子量10000の限外濾過膜で10mLに濃縮し、100mLの水を添加した。これを5回繰り返して精製した後、10mLに濃縮した。濃縮した分散液にバインダ(DICセラネートWSA-1070)を混合し、5重量%の紫外線吸収剤を含む塗料とした。塗料の透過率スペクトルを分光光度計で測定し、紫外線領域での透過率がほぼ0%、可視光領域での透過率がほぼ100%の結果を得た。
分散液2について110mLを分画分子量10000の限外濾過膜で10mLに濃縮し、100mLの水を添加した。これを5回繰り返して精製した後、10mLに濃縮した。濃縮した分散液にバインダ(DIC セラネートWSA-1070)を混合し、5重量%の紫外線吸収剤を含む塗料とした。塗料の透過率スペクトルを分光光度計で測定し、紫外線領域での透過率はほぼ0%であるが、可視光領域での透過率が100%を大きく下回る結果を得た。
紫外線吸収塗料中の紫外線吸収剤濃度を変えた以外は、紫外線吸収塗料1と同様の方法で塗料の調製、評価を行い、表2に示す結果を得た。
紫外線吸収塗料1を100μmの厚みを有するPETフィルムにワイヤーバーで塗布し、オーブンで乾燥させて、0.9g/m2の紫外線吸収剤のフィルムを得た。紫外線吸収フィルムの透過率スペクトルを分光光度計で測定し、紫外線領域での透過率がほぼ0%、可視光領域での透過率がほぼ100%の結果を得た。紫外線吸収フィルムのUV光照射前後の黄色度変化を分光光度計で測定し、PETフィルムが40以上と顕著に黄変したのに対し、紫外線吸収フィルムは5以下と黄変を抑制できる結果を得た。
紫外線吸収塗料2を100μmの厚みを有するPETフィルムにワイヤーバーで塗布し、オーブンで乾燥させて、0.9g/m2の紫外線吸収剤のフィルムを得た。紫外線吸収フィルムの透過率スペクトルを分光光度計で測定し、紫外線領域での透過率はほぼ0%であるが、可視光領域での透過率が100%を大きく下回る結果を得た。
紫外線吸収フィルムにおける紫外線吸収塗料の塗布量を変えた以外は、実施例1と同様の方法でフィルムの作製、評価を行い、表3に示す結果を得た。
Claims (20)
- 紫外線吸収剤の溶液と紫外線吸収剤の貧溶媒とをそれぞれ別々に送液する工程と、
前記紫外線吸収剤の溶液と前記紫外線吸収剤の貧溶媒とを合流流路で連続的に混合する工程と、を有する紫外線吸収剤分散液の製造方法。 - 前記合流流路がマイクロリアクタである請求項1に記載の紫外線吸収剤分散液の製造方法。
- 前記紫外線吸収剤の溶液が有機系溶媒の溶液であり、前記紫外線吸収剤の貧溶媒が水系の溶媒である請求項1又は2に記載の紫外線吸収剤分散液の製造方法。
- 前記紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、シアノアクリレート系、サリシレート系、及びオギザニリド系の群から選ばれる少なくとも1種である請求項1から3のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤分散液の製造方法。
- 前記紫外線吸収剤が、前記紫外線吸収剤の溶液の全重量に対し0.01〜50重量%の量で存在し、前記紫外線吸収剤の溶液の流量と前記紫外線吸収剤の貧溶媒の流量との比が、1:0.1から1:500である請求項1から4のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤分散液の製造方法。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の製造方法で製造される紫外線吸収剤分散液。
- 前記紫外線吸収剤が40nm以下の平均粒径を有する請求項6記載の紫外線吸収剤分散液。
- 前記紫外線吸収剤が20nm以下の平均粒径を有する請求項6記載の紫外線吸収剤分散液。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の製造方法により得られた紫外線吸収剤分散液とバインダとを混合する工程を含む紫外線吸収塗料の製造方法。
- 請求項9の製造方法により製造される紫外線吸収塗料。
- 波長450〜800nmの光に対する透過率が95%以上であり、波長300〜350nmの光に対する透過率が5%以下である請求項10記載の紫外線吸収塗料。
- 波長430〜800nmの光に対する透過率が95%以上であり、波長300〜380nmの光に対する透過率が5%以下である請求項10記載の紫外線吸収塗料。
- 波長450〜800nmの光に対する透過率が98%以上であり、波長300〜350nmの光に対する透過率が2%以下である請求項10記載の紫外線吸収塗料。
- 前記紫外線吸収剤が、紫外線吸収塗料の全重量に対し0.1〜50重量%の量で存在する請求項10から13のいずれか1項に記載の紫外線吸収塗料。
- 請求項9の製造方法により得られた紫外線吸収塗料を基材に塗布する工程を含む紫外線吸収フィルムの製造方法。
- 請求項15の製造方法により製造された紫外線吸収フィルム。
- 波長450〜800nmの光に対する透過率が95%以上であり、波長300〜350nmの光に対する透過率が5%以下である請求項16記載の紫外線吸収フィルム。
- 波長430〜800nmの光に対する透過率が95%以上であり、波長300〜380nmの光に対する透過率が5%以下である請求項16記載の紫外線吸収フィルム。
- 波長450〜800nmの光に対する透過率が98%以上であり、波長300〜350nmの光に対する透過率が2%以下である請求項16記載の紫外線吸収フィルム。
- 前記基材がPET、PEN又はPCであり、かつ0.01〜1mmの厚さを有し、前記紫外線吸収塗料が0.1〜10g/m2で塗布される請求項16から19のいずれか1項に記載の紫外線吸収フィルム。
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