JP2013202726A - トロイダル型無段変速機の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】パワーローラの周面、或はディスクの軸方向片側面に、多数の凹溝を低コストで形成できる製造方法を実現する。
【解決手段】
ディスク15を回転させつつ、第一の砥石17を、このディスク15の軸方向片側面16に当接させる。そして、この第一の砥石17を前記ディスク15の径方向に、このディスク15の回転数以下のオシレーション回数で揺動変位させて、前記軸方向片側面16を、前記各凹溝の基となる多数の素凹溝が形成された荒仕上面とする。次いで、前記ディスク15を回転させつつ、第二の砥石18を前記荒仕上面に当接させる。そして、この第二の砥石18を前記ディスク15の径方向に揺動変位させて、前記各素凹溝を前記各凹溝に加工すると共に、前記荒仕上面のうちのこれら各素凹溝以外の部分を、この荒仕上面よりも表面粗さが小さい面に加工する。
【選択図】図1
【解決手段】
ディスク15を回転させつつ、第一の砥石17を、このディスク15の軸方向片側面16に当接させる。そして、この第一の砥石17を前記ディスク15の径方向に、このディスク15の回転数以下のオシレーション回数で揺動変位させて、前記軸方向片側面16を、前記各凹溝の基となる多数の素凹溝が形成された荒仕上面とする。次いで、前記ディスク15を回転させつつ、第二の砥石18を前記荒仕上面に当接させる。そして、この第二の砥石18を前記ディスク15の径方向に揺動変位させて、前記各素凹溝を前記各凹溝に加工すると共に、前記荒仕上面のうちのこれら各素凹溝以外の部分を、この荒仕上面よりも表面粗さが小さい面に加工する。
【選択図】図1
Description
この発明は、例えば自動車用の自動変速機として、或はポンプ等の各種産業機械の運転速度を調節する為の変速装置として利用する、トロイダル型無段変速機の製造方法の改良に関する。具体的には、各パワーローラの周面と各ディスクの軸方向片側面との転がり接触部(トラクション部)のトラクション係数の向上を図るべく、これら各パワーローラの周面と各ディスクの軸方向片側面とのうちの少なくとも一方の面に多数の凹溝(微細溝)を設ける構造のトロイダル型無段変速機の製造方法に関する。
自動車用変速装置としてトロイダル型無段変速機を使用する事が、一部で実施されて周知である。図4、5は、現在実施されている(ハーフ)トロイダル型無段変速機の基本構成を示している。このトロイダル型無段変速機は、ダブルキャビティ型と呼ばれるもので、1対の入力側ディスク1、1を入力回転軸2に対し、それぞれがトロイド曲面(断面円弧形の凹面)であって特許請求の範囲に記載した軸方向片側面に相当する入力側内側面3、3同士を、互いに対向させた状態で、互いに同心に、且つ、同期した回転を自在に支持している。
又、前記入力回転軸2の中間部周囲に、中間部外周面に出力歯車4を固設した出力筒5を、この入力回転軸2に対する回転を自在に支持している。又、この出力筒5の両端部に出力側ディスク6、6を、スプライン係合により、この出力筒5と同期した回転自在に支持している。この状態で、それぞれがトロイド曲面であって特許請求の範囲に記載した軸方向片側面に相当する、前記両出力側ディスク6、6の出力側内側面7、7が、前記両入力側内側面3、3に対向する。
又、前記入力回転軸2の周囲で前記入力側、出力側両内側面3、7同士の間部分(キャビティ)に、それぞれの周面を球状凸面としたパワーローラ8、8を、2個ずつ配置している。これら各パワーローラ8、8は、それぞれトラニオン9、9の内側面に、基半部と先半部とが偏心した支持軸10、10と複数の転がり軸受とを介して、これら各支持軸10、10の先半部回りの回転、及び、これら各支持軸10、10の基半部を中心とする若干の揺動変位自在に支持されている。又、前記各トラニオン9、9は、それぞれの長さ方向(図4の表裏方向、図5の上下方向)両端部にこれら各トラニオン9、9毎に互いに同心に設けられた、傾転軸11、11を中心として揺動変位自在である。
これら各トラニオン9、9を揺動(傾斜)させる動作は、油圧式のアクチュエータ12、12により、これら各トラニオン9、9を前記各傾転軸11、11の軸方向に変位させる事により行う。即ち、変速時には、前記各アクチュエータ12、12への圧油の給排により、前記各トラニオン9、9を前記各傾転軸11、11の軸方向に変位させる。この結果、前記各パワーローラ8、8の周面と前記入力側、出力側各内側面3、7との転がり接触部(トラクション部)の接線方向に作用する力の方向が変化する(サイドスリップが発生する)ので、前記各トラニオン9、9が前記各傾転軸11、11を中心として揺動変位する。
上述の様なトロイダル型無段変速機の運転時には、駆動軸13により一方(図4の左方)の入力側ディスク1を、ローディングカム式の押圧装置14を介して回転駆動する。この結果、前記入力回転軸2の両端部に支持された1対の入力側ディスク1、1が、互いに近付く方向に押圧されつつ同期して回転する。そして、この回転が、前記各パワーローラ8、8を介して前記両出力側ディスク6、6に伝わり、前記出力歯車4から取り出される。
前記入力回転軸2と前記出力歯車4との回転速度の比を変える場合で、先ず入力回転軸2と出力歯車4との間で減速を行う場合には、前記各トラニオン9、9を図4に示す位置に揺動させ、前記各パワーローラ8、8の周面を、前記各入力側ディスク1、1の入力側内側面3、3の中心寄り部分と前記両出力側ディスク6、6の出力側内側面7、7の外周寄り部分とにそれぞれ当接させる。反対に、増速を行う場合には、前記各トラニオン9、9を図4と反対方向に揺動させ、前記各パワーローラ8、8の周面を、前記両入力側ディスク1、1の入力側内側面3、3の外周寄り部分と前記両出力側ディスク6、6の出力側内側面7、7の中心寄り部分とにそれぞれ当接させる。前記各トラニオン9、9の揺動角度を中間にすれば、前記入力回転軸2と出力歯車4との間で、中間の変速比を得られる。
上述の様なトロイダル型無段変速機の運転時、前記入力側、出力側各ディスク1、6の入力側、出力側各内側面3、7と前記各パワーローラ8、8の周面との転がり接触部(トラクション部)では、トラクションオイルを介して動力が伝達される。この様にして動力伝達を行う場合に、このトラクションオイルの摩擦係数(トラクション係数)の値は決まっている。従って、前記転がり接触部で大きなトルクを伝達する為には、この転がり接触部に大きな押し付け力を付与する必要がある。但し、この様に大きな押し付け力を付与する場合、動力損失が大きくなるだけでなく、前記入力側、出力側各ディスク1、6や各パワーローラ8、8の耐久性が低下する可能性がある。又、これら各ディスク1、6や各パワーローラ8、8の強度を確保すべく、これら各部材1、6、8が大型化する可能性もあり、装置の小型化を図る面からは好ましくない。
一方、上述の様な不都合を防止すべく、例えば特許文献1には、各ディスク1、6の軸方向片側面、或は各パワーローラ8の周面(トラクション面)に、多数の凹溝を、当該面全体に亙って形成した構造が記載されている。この様な構造を採用すれば、転がり接触部のトラクション係数の向上を図れ、この様な凹溝を形成していない構造に比べて、小さな押圧力で大きなトルクを伝達できると考えられる。
但し、前記特許文献1に記載した構造の場合、熱処理等の硬化処理が施された、前記各ディスク1、6の軸方向片側面或は前記各パワーローラ8の周面に、切削加工により前記各凹溝を形成している。この為、切削加工に用いる加工工具の摩耗が進行し易く、高品質を維持する為には、この加工工具の交換回数が増えて、加工コストが嵩んでしまう可能性がある。
又、前記凹溝を転造加工により形成する場合には、この転造加工の際、前記各ディスクの軸方向片側面、或は各パワーローラの周面に加わる加工荷重により、これら各面に割れ等の損傷が発生し易くなったり、曲げ疲労が低下し易くなる可能性がある。
但し、前記特許文献1に記載した構造の場合、熱処理等の硬化処理が施された、前記各ディスク1、6の軸方向片側面或は前記各パワーローラ8の周面に、切削加工により前記各凹溝を形成している。この為、切削加工に用いる加工工具の摩耗が進行し易く、高品質を維持する為には、この加工工具の交換回数が増えて、加工コストが嵩んでしまう可能性がある。
又、前記凹溝を転造加工により形成する場合には、この転造加工の際、前記各ディスクの軸方向片側面、或は各パワーローラの周面に加わる加工荷重により、これら各面に割れ等の損傷が発生し易くなったり、曲げ疲労が低下し易くなる可能性がある。
又、特許文献2には、各ディスクの軸方向片側面、或は各パワーローラの周面に凹溝を形成する場合に、粒度が#80〜#200程度の粗い砥石を用いて、前記各ディスクの軸方向片側面、或は各パワーローラの周面に凹部を形成し、この凹部を凹溝とすると共に、加工面の凸部を仕上げるべく、その後、粒度の細かい砥石を使用する超仕上加工等を施す加工方法が記載されている。但し、前記特許文献2には、加工時に於ける、被加工部材(前記各ディスク、或は前記各パワーローラ)の回転数と、砥石のオシレーション回数との関係に関しては記載されていない。
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、各パワーローラの周面と各ディスクの軸方向片側面との転がり接触部のトラクション係数の向上を図るべく、これら各パワーローラの周面と各ディスクの軸方向片側面とのうちの少なくとも一方の面に多数の凹溝を設ける構造で、これら各凹溝を低コストで形成できる製造方法を実現すべく(多数の凹溝を形成する為のコスト低減を図るべく)発明したものである。
本発明のトロイダル型無断変速機の製造方法が対象とする、トロイダル型無断変速機は、前述した様な従来から知られているトロイダル型無段変速機と同様に、少なくとも1対のディスクと、複数のパワーローラとを備える。
このうちの各ディスクは、それぞれが断面円弧形のトロイド曲面である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、相対回転を自在に支持されたものである。
又、前記各パワーローラは、軸方向に関して前記各ディスクの軸方向片側面同士の間位置の円周方向に関して複数個所に設けられて、球状凸面としたそれぞれの周面を、前記各ディスクの軸方向片側面にそれぞれ当接させたものである。
そして、前記各パワーローラの周面と前記各ディスクの軸方向片側面とのうちの少なくとも一方の面に、多数の凹溝を形成している。
このうちの各ディスクは、それぞれが断面円弧形のトロイド曲面である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、相対回転を自在に支持されたものである。
又、前記各パワーローラは、軸方向に関して前記各ディスクの軸方向片側面同士の間位置の円周方向に関して複数個所に設けられて、球状凸面としたそれぞれの周面を、前記各ディスクの軸方向片側面にそれぞれ当接させたものである。
そして、前記各パワーローラの周面と前記各ディスクの軸方向片側面とのうちの少なくとも一方の面に、多数の凹溝を形成している。
この様なトロイダル型無断変速機を対象とする、本発明のトロイダル型無断変速機の製造方法は、先ず、前記各凹溝を形成すべき部材を一定の回転数(回転速度)で回転させながら、第一の砥石をこの部材の被加工面に当接させた状態で、この第一の砥石をこの部材の径方向に、定速且つこの部材の回転数以下のオシレーション回数(揺動速度、往復回数)で揺動変位させ、前記凹溝の基となる多数の素凹溝を形成した荒仕上面を形成する。
その後、少なくとも1種類の、前記第一の砥石よりも表面粗さが小さい面を形成する事ができる第二の砥石を用いた研削加工を、前記荒仕上面に施す事により、前記各素凹溝を前記各凹溝に加工すると共に、前記荒仕上面のうちのこれら各素凹溝以外の部分を、この荒仕上面よりも表面粗さが小さい(滑らかな)面に加工する。
その後、少なくとも1種類の、前記第一の砥石よりも表面粗さが小さい面を形成する事ができる第二の砥石を用いた研削加工を、前記荒仕上面に施す事により、前記各素凹溝を前記各凹溝に加工すると共に、前記荒仕上面のうちのこれら各素凹溝以外の部分を、この荒仕上面よりも表面粗さが小さい(滑らかな)面に加工する。
この様な本発明のトロイダル型無断変速機の製造方法を実施する場合に、好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記オシレーション回数を、前記各凹溝を形成すべき部材の回転数の1/2以下とする。
又、上述した様な本発明を実施する場合に、例えば、前記第一の砥石により前記荒仕上面を形成した後、前記各凹溝を形成すべき部材を定速で回転させつつ、前記第一の砥石よりも表面粗さが小さい面を形成する事ができる第二の砥石を前記荒仕上面に当接させた状態で、この第二の砥石を前記各凹溝を形成すべき部材の径方向に定速で揺動変位させる。そして、前記各素凹溝を前記各凹溝に加工すると共に、前記荒仕上面のうちのこれら各素凹溝以外の部分を、この荒仕上面よりも表面粗さが小さい面に加工して、凹溝の形成作業を終了する。
又、上述した様な本発明を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した発明の様に、前記第二の砥石による加工の後、前記各凹溝を形成すべき部材を一定の回転数で回転させつつ、弾性砥石を被加工面に当接させた状態で、この弾性砥石を前記各凹溝を形成すべき部材の径方向に、定速で揺動変位させる。
上述した様に本発明のトロイダル型無断変速機の製造方法によれば、トラクション係数の向上を図る為の多数の凹溝の形成作業を、低コストで行える。
即ち、本発明の場合、比較的表面粗さが大きい面に仕上げる事ができる、超仕上用の第一の砥石を用いて、各パワーローラの周面と各ディスクの軸方向片側面との転がり接触部(トラクション面)に、凹溝の基となる多数の素凹溝を形成した荒仕上面を形成する。
そして、この荒仕上面に、前記第一の砥石と比べて、表面粗さが小さい面に仕上げる事ができる砥石を用いて、前記各素凹溝を前記各凹溝に加工すると共に、前記荒仕上面のうちのこれら各凹溝以外の部分を、この荒仕上面よりも表面粗さが小さい面に加工する。この様な砥石を用いた研削加工は、切削加工、又は転造加工と比べて容易であり、前記砥石も一般的な超仕上用の砥石を用いる事ができる。この為、加工コストを抑えられる。
又、切削加工により前記各凹溝を形成する場合の様に、加工工具が摩耗して加工精度が低下する事もない。更に、転造加工により前記各凹溝を形成する場合の様に、前記各ディスクの側面やパワーローラの周面に加わる加工荷重により、この側面や周面に割れ等の損傷が発生し易くなったり、曲げ疲労が低下し易くなる事もない。
即ち、本発明の場合、比較的表面粗さが大きい面に仕上げる事ができる、超仕上用の第一の砥石を用いて、各パワーローラの周面と各ディスクの軸方向片側面との転がり接触部(トラクション面)に、凹溝の基となる多数の素凹溝を形成した荒仕上面を形成する。
そして、この荒仕上面に、前記第一の砥石と比べて、表面粗さが小さい面に仕上げる事ができる砥石を用いて、前記各素凹溝を前記各凹溝に加工すると共に、前記荒仕上面のうちのこれら各凹溝以外の部分を、この荒仕上面よりも表面粗さが小さい面に加工する。この様な砥石を用いた研削加工は、切削加工、又は転造加工と比べて容易であり、前記砥石も一般的な超仕上用の砥石を用いる事ができる。この為、加工コストを抑えられる。
又、切削加工により前記各凹溝を形成する場合の様に、加工工具が摩耗して加工精度が低下する事もない。更に、転造加工により前記各凹溝を形成する場合の様に、前記各ディスクの側面やパワーローラの周面に加わる加工荷重により、この側面や周面に割れ等の損傷が発生し易くなったり、曲げ疲労が低下し易くなる事もない。
又、前記第一の砥石の、加工時に於けるオシレーション回数を、前記各凹溝を形成する部材である、前記各パワーローラ或いは前記各ディスクの回転速度以下としている。この為、前記各凹溝は、これら各凹溝同士の間隔が不規則な状態で、これら各パワーローラ、或いは各ディスクの円周方向に、ほぼ沿う様な状態で形成する事ができる。その結果、前記各パワーローラと前記各ディスクとの転がり接触部(トラクション部)に存在する接触楕円の方向との関係を適切にでき、トラクション係数の向上を図る事ができる。
又、請求項3に記載した発明の場合、前記第二の砥石により前記各凹溝を形成した後、
弾性砥石を用いて、これら各凹溝の角部を丸める事ができる。この為、偏摩耗等の発生を抑えて、前記トラクション部の耐久性の向上を図る事ができる。
弾性砥石を用いて、これら各凹溝の角部を丸める事ができる。この為、偏摩耗等の発生を抑えて、前記トラクション部の耐久性の向上を図る事ができる。
[実施の形態の第1例]
図1〜2は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、トロイダル型無段変速機を構成するディスク15{出力側ディスク1、入力側ディスク6(図4参照)に相当}の周面、或はパワーローラ8(図4参照)の周面に、トラクション係数の向上を図る為の多数の凹溝(図示省略)の形成を低コストで行える様にすべく、これら各凹溝の加工方法を工夫した点にある。尚、本例の特徴以外の前記ディスク15自体、或は前記パワーローラ8自体の製造方法は、従来から知られている方法と同様である。又、その他の部分の構造及び作用は、前記図4、5に示した従来構造と同様であるから、重複する図示並びに説明を省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
図1〜2は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、トロイダル型無段変速機を構成するディスク15{出力側ディスク1、入力側ディスク6(図4参照)に相当}の周面、或はパワーローラ8(図4参照)の周面に、トラクション係数の向上を図る為の多数の凹溝(図示省略)の形成を低コストで行える様にすべく、これら各凹溝の加工方法を工夫した点にある。尚、本例の特徴以外の前記ディスク15自体、或は前記パワーローラ8自体の製造方法は、従来から知られている方法と同様である。又、その他の部分の構造及び作用は、前記図4、5に示した従来構造と同様であるから、重複する図示並びに説明を省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の製造方法の対象となるトロイダル型無段変速機を構成するディスク15は、このディスク15の軸方向片側面16に、例えば2μm以下の深さを有する多数の凹溝を、この軸方向片側面16の全体に亙り形成している。
特に本例の場合、前記各凹溝を次の様に形成する。先ず、図1(a)に示す様に、前記ディスク15を一定の回転数N15min−1で回転させつつ、粒度が比較的大きい#50〜#500である超仕上用の第一の砥石17を、前記ディスク15の軸方向片側面16に当接させる。
そして、この第一の砥石17を、図1(a)のO17を揺動中心として、前記ディスク15の径方向(図1の上下方向)に一定のオシレーション回数N17min−1で、揺動変位させる。本例の場合、このオシレーション回数N17min−1は、前記ディスク15の回転数N15min−1の1/2以下(N17≦N15/2)である。尚、前記オシレーション回数N17min−1は、前記ディスク15の回転数N15min−1以下の範囲で適宜設定する。好ましくは、この回転数N15min−1の1/10以上とする。この様にして、このディスク15の軸方向片側面16に前記各凹溝の基となる多数の素凹溝を形成して、この軸方向片側面16を図2(a)に示す様な表面粗さを有する荒仕上面とする。
尚、本例の様に砥石を用いた研削加工により前記各凹溝を形成する場合、切削加工、又は、転造加工により凹溝を形成する場合の様に、これら各凹溝の溝深さや、これら各凹溝同士の間隔(溝ピッチ)を規制して加工を行う事は困難である。但し、前記各凹溝の最大の溝深さに関しては、前記第一の砥石17の粒度、集中度、ボンドの種類、結合度、研削条件(押し付け力、加工時間、回転速度、研削液、送り速度)等を調整する事で制御する事が可能である。本例の場合、前記図2(a)に示す様に、前記素凹溝の最大溝深さが、約2.25μm程度となる様に、前記第一の砥石17の性状、及び加工条件を規制している。
次いで、図1(b)に示す様に、前記ディスク15を一定の速度で回転させつつ、前記第一の砥石17よりも表面粗さが小さい面に加工できる、粒度が#600〜#1000である第二の砥石18を前記荒仕上面に当接させる。
そして、この第二の砥石18を、図1(b)のO18を揺動中心として、前記ディスク15の径方向に一定のオシレーション回数で揺動変位させて、前記各素凹溝を前記各凹溝に加工すると共に、前記荒仕上面のうちのこれら各素凹溝以外の部分を、この荒仕上面よりも表面粗さが小さい面に加工する。この様にして前記第二の砥石18により研削加工を施された前記ディスク15の軸方向片側面16は、前記図2(b)に示す様な表面粗さを有しており、前記各凹溝の最大溝深さは2μm以下である。前記第二の砥石18のオシレーション回数と、前記ディスク15の回転数との関係は問わない。オシレーション回数が回転数よりも多くても構わない。
尚、図示は省略するが、前記パワーローラ8の周面に関しても、前述した加工工程で凹溝を形成する事ができる。又、前記第一の砥石17と、前記第二の砥石18とは、これら両砥石17、18同士の粒度、集中度、ボンドの種類、結合度等の関係を調整して、前記第二の砥石18により加工した面の表面粗さが、前記第一の砥石17により加工した面の表面粗さよりも小さくなる様に、適宜選択する。又、前述した前記第二の砥石18を用いて前記荒仕上面に研削加工を施す工程は、本例の様に1種類の砥石(第二の砥石18)により行うだけでなく、複数種類の砥石を用いて行う事もできる。この様に複数種類の砥石を用いて研削加工を施す場合には、研削加工を施した後の加工面の表面粗さが、段階的に小さくなる様に、砥石の性状、及び加工条件を規制して行う。
上述の様な本例のトロイダル型無段変速機の製造方法によれば、トラクション係数の向上を図る為の多数の前記各凹溝の形成を、低コストで行える。
即ち、本例の場合、比較的表面粗さが大きい面に仕上げる事ができる前記第一の砥石17により、前記ディスク15の軸方向片側面16に、前記各素凹溝を形成して、荒仕上面を形成する。そして、前記第一の砥石17と比べて表面粗さが小さい面に仕上げる事ができる前記第二の砥石18を用いて、前記荒仕上面に研削加工を施す事により、前記各素凹溝を前記各凹溝に加工すると共に、前記荒仕上面のうちのこれら各凹溝以外の部分を、この荒仕上面よりも表面粗さが小さい面に加工する。この様な前記各砥石17、18を用いた研削加工は、切削加工、又は、転造加工と比べて容易であり、加工コストが嵩む事を抑えられる。又、切削加工により凹溝を形成する場合の様に、加工工具が摩耗して加工精度が低下する事もない。更に、転造加工により凹溝を形成する場合の様に、転造加工の際、前記ディスク15の軸方向片側面16に加わる加工荷重により、この軸方向片側面16に割れ等の損傷が発生したり、曲げ疲労が低下したりする事もない。
即ち、本例の場合、比較的表面粗さが大きい面に仕上げる事ができる前記第一の砥石17により、前記ディスク15の軸方向片側面16に、前記各素凹溝を形成して、荒仕上面を形成する。そして、前記第一の砥石17と比べて表面粗さが小さい面に仕上げる事ができる前記第二の砥石18を用いて、前記荒仕上面に研削加工を施す事により、前記各素凹溝を前記各凹溝に加工すると共に、前記荒仕上面のうちのこれら各凹溝以外の部分を、この荒仕上面よりも表面粗さが小さい面に加工する。この様な前記各砥石17、18を用いた研削加工は、切削加工、又は、転造加工と比べて容易であり、加工コストが嵩む事を抑えられる。又、切削加工により凹溝を形成する場合の様に、加工工具が摩耗して加工精度が低下する事もない。更に、転造加工により凹溝を形成する場合の様に、転造加工の際、前記ディスク15の軸方向片側面16に加わる加工荷重により、この軸方向片側面16に割れ等の損傷が発生したり、曲げ疲労が低下したりする事もない。
又、加工時に於ける、前記第一の砥石17のオシレーション回数N17min−1を、前記ディスク15の回転数N15min−1の1/2以下(N17≦N15/2)としている。この為、前記各凹溝を、前記ディスク15の軸方向片側面16の円周方向に沿う様な状態で形成する事ができる。その結果、このディスク15と前記パワーローラ8との転がり接触部(トラクション部)に存在する接触楕円の方向との関係を適切にでき、トラクション係数の向上を図る事ができる。
尚、本例の製造方法により前記各凹溝を形成した前記ディスク15と前記パワーローア8とを用いて、本発明者がトラクション係数を測定したところ、トラクション係数が5〜10%向上する事が分かった。この様に、本例の場合、切削加工の様に溝深さ、溝幅、溝ピッチ、加工条件等を厳しく管理する作業を要せず、一般的な超仕上用の砥石(第一の砥石17、第二の砥石18)を用いて、加工条件のみを管理するだけで、トラクション係数の向上を図る事ができる。
[実施の形態の第2例]
図3は、総ての請求項に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例のトロイダル型無段変速機の製造方法の場合、前述した実施の形態の第1例と同様に、第一の砥石17を用いて、ディスク15の軸方向片側面16に、素凹溝を形成した荒仕上面を形成する。そして、第二の砥石18を用いて、この荒仕上面に研削加工を施す事により、前記各素凹溝を各凹溝に加工すると共に、図2(b)に示す様な表面粗さを有する面に加工する。
図3は、総ての請求項に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例のトロイダル型無段変速機の製造方法の場合、前述した実施の形態の第1例と同様に、第一の砥石17を用いて、ディスク15の軸方向片側面16に、素凹溝を形成した荒仕上面を形成する。そして、第二の砥石18を用いて、この荒仕上面に研削加工を施す事により、前記各素凹溝を各凹溝に加工すると共に、図2(b)に示す様な表面粗さを有する面に加工する。
更に、図3(c)に示す様に、前記ディスク15を一定の速度で回転させつつ、前記第二の砥石18よりも表面粗さが小さい面に加工でき、粒度が#2000〜#4000である弾性砥石19を、前記第二の砥石18により加工された面に当接させる。そして、この弾性砥石19を、図3(c)のO19を揺動中心として、前記ディスク15の径方向に一定のオシレーション回数で揺動変位させる。この様にして、前記各凹溝の角部を丸める。尚、前記弾性砥石19は、ポリビニルアルコール製、或いはポリウレタン樹脂製等の従来から知られている弾性砥石を用いる事ができる。
この様な本例の場合、前記第二の砥石18により加工された面に、前記弾性砥石19による研削加工を施す事により、前記各凹溝の角部を丸める事ができる。この為、偏摩耗等の発生を抑えて、耐久性の向上を図る事ができる。その他の構造、及び作用、効果は、前記実施の形態の第1例と同様である。
以上の述べた実施の形態の各例は、前記粗仕上面に対して、1種類の砥石(第二の砥石18)を用いた1回の加工工程{図1、2の(b)で示す加工工程}により、前記各素凹溝を前記各凹溝に加工すると共に、前記荒仕上面のうちのこれら各素凹溝以外の部分を、前記荒仕上面の表面粗さよりも小さい表面粗さを有する面に加工している。但し、本発明を実施する場合には、前記粗仕上面に対して行う研削加工を複数の工程に分ける事もできる。この際、使用する砥石の粒度、集中度、ボンドの種類、結合度、研削条件(押し付け力、加工時間、回転速度、研削液、送り速度)等を調整する事により、段階的に荒仕上面の表面粗さが小さくなる様に加工する。
1 入力ディスク
2 入力回転軸
3 入力内側面
4 出力歯車
5 出力筒
6 出力側ディスク
7 出力側内側面
8 パワーローラ
9 トラニオン
10 支持軸
11 傾転軸
12 アクチュエータ
13 駆動軸
14 押圧装置
15 ディスク
16 軸方向片側面
17 第一の砥石
18 第二の砥石
19 第三の砥石
2 入力回転軸
3 入力内側面
4 出力歯車
5 出力筒
6 出力側ディスク
7 出力側内側面
8 パワーローラ
9 トラニオン
10 支持軸
11 傾転軸
12 アクチュエータ
13 駆動軸
14 押圧装置
15 ディスク
16 軸方向片側面
17 第一の砥石
18 第二の砥石
19 第三の砥石
Claims (3)
- それぞれが断面円弧形のトロイド曲面である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、相対回転を自在に支持された少なくとも1対のディスクと、軸方向に関してこれら各ディスクの軸方向片側面同士の間位置の円周方向に関して複数個所に設けられて、球状凸面としたそれぞれの周面を、前記各ディスクの軸方向片側面にそれぞれ当接させた複数のパワーローラとを備え、これら各パワーローラの周面と前記各ディスクの軸方向片側面とのうちの少なくとも一方の面に多数の凹溝を形成したトロイダル型無段変速機の製造方法に於いて、
前記各凹溝を形成すべき部材を一定の回転数で回転させながら、第一の砥石をこの部材の被加工面に当接させた状態で、この第一の砥石を、この部材の径方向に、定速且つこの部材の回転数以下のオシレーション回数で揺動変位させ、前記凹溝の基となる多数の素凹溝を形成した荒仕上面を形成した後、
少なくとも1種類の前記第一の砥石よりも表面粗さが小さい面を形成する事ができる第二の砥石を用いた研削加工を、前記荒仕上面に施す事により、前記各素凹溝を前記各凹溝に加工すると共に、前記荒仕上面のうちのこれら各素凹溝以外の部分を、この荒仕上面よりも表面粗さが小さい面に加工する事を特徴としたトロイダル型無段変速機の製造方法。 - 前記オシレーション回数が、前記各凹溝を形成すべき部材の回転数の1/2以下である、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機の製造方法。
- 前記第二の砥石による加工の後、前記各凹溝を形成すべき部材を一定の回転数で回転させつつ、弾性砥石を被加工面に当接させた状態で、この弾性砥石を前記各凹溝を形成すべき部材の径方向に、定速で揺動変位させる、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したトロイダル型無段変速機の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012073391A JP2013202726A (ja) | 2012-03-28 | 2012-03-28 | トロイダル型無段変速機の製造方法 |
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ID=49522397
Family Applications (1)
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JP2012073391A Pending JP2013202726A (ja) | 2012-03-28 | 2012-03-28 | トロイダル型無段変速機の製造方法 |
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-
2012
- 2012-03-28 JP JP2012073391A patent/JP2013202726A/ja active Pending
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