JP2013199989A - 液化ガス燃料タンクの製造方法 - Google Patents

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晃司 市村
Hideto Kataoka
英人 片岡
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直樹 坂本
Yoshinori Miyazaki
吉則 宮崎
Yoshiro Umemoto
芳朗 梅本
Takeshi Nakamura
武志 中村
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Abstract

【課題】亀裂破壊発生時に外層の金属と共割れを起こすことがなく、内部燃料が瞬時に漏れることがないような内層を良好に成形することができ、耐衝撃性に優れた液化ガス燃料タンクを得ることが可能な液化ガス燃料タンクの製造方法を提供する。
【解決手段】金属製の外層を成形後にポリエチレン製の内層を成形することにより液化ガス燃料タンクを製造する方法であって、前記内層の成形時に外層内雰囲気を最高温度145〜245℃まで加熱する加熱工程を備えたことを特徴とする液化ガス燃料タンクの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、液化ガス燃料を貯蔵する液化ガス燃料タンクの内層を良好に成形することが可能な液化ガス燃料タンクの製造方法に関する。
従来より様々な液化ガス燃料タンクが製造されているが、例えば鋼製の単層構造であるタンクは、飛び石や衝突等の外部からの衝撃により亀裂破壊が発生し、内部燃料が瞬時に漏れる恐れがある。また、各種ガスを充填するためのガス用容器として、鉄製のものが用いられているが、鉄は比重が大きいことから、鉄製のガス用容器は重量が大きくなり、例えば車両に搭載すると燃費が増大するなどの問題がある。更に、容器の重量が増大することにより、取り扱いが困難になるとともに、鉄材料は成形性に劣るため、容器形状が制約されるという問題もあった。
そのため、液化ガス燃料タンクは、軽量化、成形性に優れることが求められ、繊維強化圧力容器等が開発されてきた(例えば、特許文献1)。薄肉金属製コアーの内層、外層に樹脂材料を成形する繊維強化圧力容器を用いた液化ガス燃料タンクは、耐衝撃性に優れ、軽量であり、かつ成形性に優れる。このように、樹脂材料を用いて液化ガス燃料タンクを成形する場合、ガスの透過を遮断するガスバリア性を持つ樹脂材料を選択する必要がある。また、液化ガス燃料タンクは、内部の圧縮ガスが充填・放出を繰り返すため、タンクの膨張・収縮が繰り返し発生する。そのため、樹脂材料が疲労することを防止する方法として、中空状のタンクの内層に樹脂材料によるガスバリア層を成形し、外層に耐圧性を確保するために繊維強化プラスチック層を成形した複層構造が一般的である(例えば、特許文献2及び3)。これら液化ガス燃料タンクにおいて、内層であるガスバリア層を成形する樹脂材料としては、一般的にポリアミド樹脂、EVOH等の樹脂材料が用いられる。また、内層の成形方法としては、圧縮成形、ブロー成形、射出成形、回転成形など様々な方法が用いられている。
特開2003−139296号公報 特開平11−44399号公報 特開2004−286201号公報
しかしながら、特許文献2及び3に記載の一般的にガスバリア層を成形するポリアミド樹脂、EVOH等の樹脂材料は、耐低温衝撃性が低く、十分な機械的強度を保てないため、飛び石や衝突等の外部からの衝撃による亀裂破壊発生時に、外層と共割れを起こし、内部燃料が瞬時に漏れる恐れがある。特に液化ガス燃料としてアンモニアを用いた場合、アンモニア燃料は有毒であるため、瞬時に大量に漏れると非常に危険であるという問題がある。また、アンモニア燃料を貯蔵することを想定した場合、樹脂材料は常時、直接アンモニア燃料に接触することになるが、上記樹脂材料は、アンモニア耐性が無いため、内層を成形する材料には適さないという問題がある。
また、内層を回転成形法で成形する場合、タンク内雰囲気温度のコントロールが難しく、内層を成形する材料の熱伝達が不安定となり、局所的な表面焼け(酸化劣化)、肉厚不均一、微小気泡等の発生を抑制することが難しく、内層を良好に成形することが出来ず、樹脂本来の物性を発現出来ないことから、耐衝撃性に優れた燃料タンクを得ることが出来ないという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、亀裂破壊発生時に外層の金属と共割れを起こすことがなく、内部燃料が瞬時に漏れることがないような内層を良好に成形することができ、耐衝撃性に優れた液化ガス燃料タンクを得ることが可能な液化ガス燃料タンクの製造方法を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するため、本発明者らは、鋭意検討した結果、金属製の外層とポリエチレン製の内層とを有する液化ガス燃料タンクを製造する際に、内層成形時の外層内雰囲気の温度を調整することによって、亀裂破壊発生時に外層の金属と共割れを起こすことがなく、内部燃料が瞬時に漏れることがないような内層を良好に成形することができることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、金属製の外層を成形後にポリエチレン製の内層を成形することにより液化ガス燃料タンクを製造する方法であって、前記内層の成形時に外層内雰囲気を最高温度145〜245℃まで加熱する加熱工程を備えたことを特徴とする液化ガス燃料タンクの製造方法に関する。本発明において、前記内層の成形は、特に、回転成形法によって行なうことが好ましい。
以上のように、本発明によれば、亀裂破壊発生時に外層の金属と共割れを起こすことがなく、内部燃料が瞬時に漏れることがないような内層を良好に成形することができ、耐衝撃性に優れた液化ガス燃料タンクを得ることが可能な液化ガス燃料タンクの製造方法を提供することができる。
本発明に係る液化ガス燃料タンクの製造方法は、液化石油ガス(LPG)、圧縮天然ガス(CNG)、アンモニア等の液化ガス燃料を貯蔵するためのタンク、特に、アンモニア燃料を貯蔵するためのタンクの製造方法に関する。
本発明に係る液化ガス燃料タンクの製造方法によれば、外部からの衝撃(飛び石、路面干渉、衝突等)による外層亀裂破壊時の燃料漏れ防止構造として、燃料の内圧に耐える役割の外層と、外部からの衝撃により外層が破壊しても燃料が漏れないようにする役割の内層との二層構造を有する液化ガス燃料タンクを製造することができる。上記外層は、液化ガス燃料、特にアンモニア燃料の最大内圧3MPaに耐えられる必要があるため、鉄、アルミ等の金属製であることが好適である。上記外層を構成する外層部材の形状及び製造方法などは、本発明においては特に限定されない。また、上記内層は、外層が破壊しても同時に破壊(共割れ)しないように外層に積極的に接着していない構成が好ましいため、ある程度の変形にも柔軟に追従するような金属より柔らかい樹脂、ゴム等が適しているが、本発明においては、アンモニア耐性が好適である無接着かつ柔らかいポリエチレンが内層を成形する材料として特に好ましく用いられる。
本発明に係る液化ガス燃料タンクの製造方法によれば、従来の製造方法によって得られた液化ガス燃料タンクと比べ、内層の局所的な表面焼け(酸化劣化)、肉厚不均一、微小気泡等の発生を抑制し、樹脂本来の物性を発現させることができるので、亀裂破壊発生時に外層の金属と共割れを起こすことがなく、内部燃料が瞬時に漏れることがないような内層を良好に成形することができ、耐衝撃性に優れた液化ガス燃料タンクを得ることが出来る。
本発明に係る液化ガス燃料タンクの製造方法において、内層を成形する方法としては、圧縮成形、ブロー成形、射出成形、回転成形などが挙げられるが、凹凸形状を有する密閉容器の内面に内層肉厚を均一にコーティングを成形する点から、特に回転成形法が好ましい。回転成形法は、粉末樹脂又はペレット状の樹脂など原料樹脂を型内に入れ、加熱しながら型を回転させ、その後、型を冷却することで、型の内側に樹脂層を成形する方法である。例えば、原料樹脂を型内に投入後、二軸回転させながら、後述する加熱工程及び冷却工程を行なうというものである。回転速度は、樹脂の性質や加熱工程の条件などによって異なり、適宜調整される。
本発明に係る液化ガス燃料タンクの製造方法は、上記内層の成形時に外層内雰囲気を室温から最高温度(ピーク温度)まで加熱する加熱工程を備えたことを特徴とする。上記加熱工程において、外層内雰囲気の最高温度は、145〜245℃であり、220〜245℃が好ましく、230〜245℃がより好ましい。上記最高温度が高すぎると、局所的な表面焼け(酸化劣化)が発生し、最高温度が低すぎると、微小気泡等が発生してしまうため好ましくない。また、上記最高温度は、例えば外層部材全体を均一に加熱することが出来る加熱炉の炉内設定温度や加熱時間などを調整することにより、調整することができる。炉内設定温度は、250〜350℃が好ましく、300〜330℃がより好ましい。上記加熱炉の炉内温度を上昇させることにより、外層部材が加熱され、外層から熱伝達により外層内雰囲気温度を上昇させることができる。
また、上記加熱工程の加熱開始から最高温度まで達する時間(以下、単に加熱時間と記す場合もある。)は、10分以上45分以内が好ましく、20分以上30分以内がより好ましいが、炉内設定温度との関係で適宜調整される。例えば、炉内設定温度が250〜350℃の場合、20分以上30分以内が好ましく、炉内設定温度が300〜330℃の場合、30分前後に設定することが好ましい。10分未満の場合、未溶融状態であり、45分を超えると熱劣化により物性が低下する。また、本発明においては、上記最高温度を維持する時間は特に限定されず、上記最高温度を含めた加熱工程全体で適正な溶融状態を得ることが出来る。
本発明に係る液化ガス燃料タンクの製造方法は、上記加熱工程において外層内雰囲気が最高温度に達した後に、外層内をポリエチレンの融点まで冷却する冷却工程をさらに備えることが好ましい。上記冷却工程において、冷却時間は、外層内雰囲気の温度が上記最高温度からポリエチレン樹脂の融点以下になる時間をいい、15〜30分が好ましく、20〜25分が特に好ましい。冷却時間が短すぎると凝固不足による脱型不良が生じることがあり、長すぎると長時間拘束による残留応力の増加を招くことがある。本発明に係る液化ガス燃料タンクの製造方法において、冷却工程は、積極的に冷却処理を行なう場合だけでなく、消極的に単に常温において放置しながら冷却処理を行なう場合も含む。
本発明に係る液化ガス燃料タンクの製造方法においては、さらに、外層薄肉部に断熱材を用いることができる。断熱材としては、ガラスウール、ガラス繊維シート等が挙げられる。断熱材を用いることで、外層部材中の外層薄肉部、例えば部品を取り付ける部分とそれ以外の部分との温度差を小さくすることが出来る。また、必要に応じて外層内雰囲気を窒素置換することもできる。窒素置換することで、炉内設定温度をさらに上げることが可能となり、加熱時間を短縮し、成形サイクルを短縮及び生産性を向上させるため好ましい。なお、本発明に係る液化ガス燃料タンクの製造方法において、上記以外の条件としては公知の内層成形加工法の条件を適宜用いることができる。
また、本発明に係る液化ガス燃料タンクの製造方法において、内層に用いられる樹脂材料としては、アンモニア耐性が好適であるためポリエチレンが特に好ましい。また、ポリエチレン樹脂の投入量としては、製造される液化ガス燃料タンクの大きさ等によって適宜調整することができるが、一般的には、(内表面積×狙い肉厚÷樹脂密度)+(内表面積×狙い肉厚÷樹脂密度)×0.1〜0.2を目安に調整することができる。形成される内層は、2〜6mmが好ましく、2〜3mmがより好ましい。2mm未満では、液化ガス燃料の漏れを防止することが出来ず、6mmを超えるとタンクの質量が大きくなるため好ましくない。
本発明においては、使用されるポリエチレンとして、すべてのエチレン系樹脂を用いることが可能であるが、好ましくはエチレンとαオレフィンとの共重合体である直鎖状ポリエチレン、より好ましくは、コモノマーであるαオレフィンが、1−ブテン(C4)よりもカーボン数の多いコモノマー(例えば、1−ヘキセン(C6)、1−オクテン(C8))とを共重合させた直鎖状ポリエチレンが用いられる。高圧法ポリエチレンである分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)やC4コモノマーを用いた直鎖状ポリエチレン(C4−LLDPE)では、耐低温衝撃性が低く、十分な機械的強度を保てないため、飛び石や衝突等の外部からの衝撃により、亀裂破壊発生時、外層の金属と共割れを起こし、内部燃料が瞬時に漏れる恐れが考えられる。
本発明に使用されるポリエチレンは、加工性、機械強度などを考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10minが好ましく、0.5〜20g/10minがより好ましく、1〜10g/10minが特に好ましい。MFRが低過ぎると、回転成形時における樹脂の流動性が悪く、局所的な表面焼け(酸化劣化)、肉厚不均一、微小気泡等の発生および成形サイクル(生産性)が低下する可能性がある。また、MFRが高過ぎると、樹脂の流動性は良くなるが、樹脂の靭性低下にともない、耐低温衝撃性が低下し、十分な機械的強度を保てないため、飛び石や衝突等の外部からの衝撃により、亀裂破壊発生時、外層の金属と共割れを起こし、内部燃料が瞬時に漏れる恐れが考えられる。また、同様にMFRが高過ぎると、ポリエチレンの分子量が小さいため、引張り破断点強度が低くなり、外層に亀裂が発生した際、内圧により、すぐに破壊してしまい、二重構造を有するタンク本来の目的を果たすことが出来なくなる可能性がある。
また、本発明に使用されるポリエチレンは、密度が860〜965kg/mが好ましく、880〜935kg/mがより好ましく、890〜925kg/mが特に好ましい。密度が低過ぎると機械粉砕時、容易に粉砕することが出来ないため、ひげ発生にともない、内層成形時における樹脂の流動性が悪く、局所的な表面焼け(酸化劣化)、肉厚不均一、微小気泡等の発生および成形サイクル(生産性)が低下する可能性がある。また、密度が低過ぎると製造コストが高くなる傾向にある。同様に、密度が低過ぎるとポリエチレンの弾性率が低くなるため、変形しやすく、外層に亀裂が発生した際、内圧により、すぐに変形して伸ばされてしまい、最終的に破壊に達しやすくなり、二重構造を有するタンク本来の目的を果たすことが出来なくなる可能性がある。また、密度が高過ぎると樹脂の靭性低下にともない、耐低温衝撃性が低下し、十分な機械的強度を保てないため、飛び石や衝突等の外部からの衝撃により、亀裂破壊発生時、外層の金属と共割れを起こし、内部燃料が瞬時に漏れる恐れが考えられる。また、同様に密度が高過ぎると樹脂の剛性上昇にともない、サーマルショック等の温度変化による、膨張・収縮(熱収縮)変形をした際、応力が緩和しづらくなるため、亀裂破壊が発生する可能性がある。
また、本発明に使用されるポリエチレンは、曲げ弾性率が50〜1200MPaが好ましく、80〜800MPaがより好ましく、100〜400MPaが特に好ましい。曲げ弾性率が低過ぎると樹脂の剛性低下にともない、サーマルショック等の温度変化による、膨張・収縮(熱収縮)変形をした際、変形しやすいため、剥がれやすくなる可能性がある。また、同様に曲げ弾性率が低過ぎると変形しやすいため、外層に亀裂が発生した際、内圧により、すぐに変形して伸ばされてしまい、最終的に破壊に達しやすくなり、二重構造を有するタンク本来の目的を果たすことが出来なくなる可能性がある。また、曲げ弾性率が高過ぎると樹脂の靭性低下にともない、耐低温衝撃性が低下し、十分な機械的強度を保てないため、飛び石や衝突等の外部からの衝撃により、亀裂破壊発生時、外層の金属と共割れを起こし、内部燃料が瞬時に漏れる恐れが考えられる。また、同様に曲げ弾性率が高過ぎると樹脂の剛性上昇にともない、サーマルショック等の温度変化による、膨張・収縮(熱収縮)変形をした際、応力が緩和しづらくなるため、亀裂破壊が発生する可能性がある。
さらに、本発明に使用されるポリエチレンは、引張り破断点強度が10MPa以上が好ましく、20MPa以上がより好ましく、30MPa以上が特に好ましい。引張り破断点強度が低過ぎると外層変形に内層が十分に追従出来ないため、飛び石や衝突等の外部からの衝撃により、亀裂破壊発生時、外層の金属と共割れを起こし、内部燃料が瞬時に漏れる恐れが考えられる。また、サーマルショック等の温度変化による、膨張・収縮(熱収縮)変形をした際も同様に、外層変形に内層が十分に追従出来ないため、亀裂破壊が発生する可能性がある。同様に、引張り破断点強度が低過ぎると、ポリエチレンの分子量が小さいため、外層の金属タンクに亀裂が発生した際、内圧により、すぐに破壊してしまい、二重構造を有するタンク本来の目的を果たすことが出来なくなる可能性がある。
さらにまた、本発明に使用されるポリエチレンは、金属との接着力が好ましくは10N以下、より好ましくは5N以下、理想的には0Nである無接着ポリエチレンを使用するのが好ましい。外層のタンク金属との接着力が高過ぎると外層変形に内層が追従するため、飛び石や衝突等の外部からの衝撃により、亀裂破壊発生時、外層の金属と共割れを起こし、内部燃料が瞬時に漏れる恐れが考えられる。また、サーマルショック等の温度変化による、膨張・収縮(熱収縮)変形をした際も同様に、外層変形に内層が追従するため、亀裂破壊が発生する可能性がある。
また、本発明に使用されるポリエチレンは、内層成形時の成形性を考慮すると、粒度分布が50〜3000μmであり、嵩密度が0.1〜0.7g/cm、より好ましくは0.2〜0.6g/cmである粉末ポリエチレンを使用するのが好ましい。この時、機械粉砕の特性上、粗めの2000μm程度が含まれていても差し支えない。
この場合、粒度分布又は嵩密度が小さ過ぎると回転成形時におけるパウダーが粉塵として舞うため、ハンドリング(操作性)が悪化および成形サイクル(生産性)が低下する可能性がある。また、粒度分布又は嵩密度が大き過ぎると回転成形時における樹脂の流動性が悪く、局所的な表面焼け(酸化劣化)、肉厚不均一、微小気泡等の発生および成形サイクル(生産性)が低下する可能性がある。
さらに、内層成形時において、焼け防止効果、肉厚均一性、微小気泡の発生抑制に優れた燃料タンクを得るために、粉末ポリエチレンよりも粒度分布が均一で熱伝達が安定する粒度分布が100〜2000μm、より好ましくは200〜1800μmであり、嵩密度が0.1〜0.7g/cm、より好ましくは0.2〜0.6g/cmであり、中位粒度が300〜900μm、より好ましくは400〜800μm程度であるマイクロペレットを使用するのが特に好ましい。
この場合、粒度分布、嵩密度又は中位粒度が小さ過ぎると回転成形時におけるマイクロペレットが粉塵として舞うため、ハンドリング(操作性)が悪化および成形サイクル(生産性)が低下する可能性がある。また、粒度分布、嵩密度又は中位粒度が大き過ぎると回転成形時における樹脂の流動性が悪く、局所的な表面焼け(酸化劣化)、肉厚不均一、微小気泡等の発生および成形サイクル(生産性)が低下する可能性がある。
また、本発明に係る液化ガス燃料タンクの製造方法においては、外層と内層との間に中間層を設けることが出来る。例えば、外層材質がアルミ、貯蔵する燃料がアンモニアなどである場合、アンモニアが内層を透過して外層に腐食を誘発する場合があるので、バリア層として中間層を設けることが好ましい。中間層の材質や成形方法は、本発明においては特に制限はなく、適宜選択できる。
本発明に係る製造方法によって製造された液化ガス燃料タンクは、局所的な表面焼け(酸化劣化)、肉厚不均一、微小気泡等の発生が抑制されているため、樹脂本来の物性を発現させることができ、飛び石、衝突等による外部からの衝撃に対して、外層に亀裂破壊が発生しても、内層を形成するポリエチレン樹脂材料が剥がれるだけで、内層自体は亀裂破壊することがなく、特に、車載用液化ガス燃料タンクとして好適に使用することができる。
次に、本発明に係る液化ガス燃料タンクの製造方法の実施例について説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。まず、実施例において用いた各測定方法を以下に示す。
(MFR、密度、曲げ弾力性、引っ張り破断点強度)
MFRはJIS K7210、密度はJIS K7112、曲げ弾力性はJIS K7171、引っ張り破断点強度はJIS K7113を用いてそれぞれ測定した。
(金属との接着力)
金属との接着力は、内面を成形したタンクの円周方向に平行または直角方向に間隔10mm、長さ60mm以上の2本の切れ目をタンクに達するまで入れる。その一端を剥ぎ起こし、試験条件としては、測定温度23±3℃、角度90度、50mm/minの速度で剥離した時の強度を測定した。
(粒度分布)
粒度分布は、ロータップ型篩浸盪機を用いて測定した。試験条件としては、サンプル量50gを10分間篩う。測定値は篩い上の重量を測定し、粉体重量を百分率で表す(粉体重量×2倍)篩いはエンデコッツ社製試験用篩いφ200×50mmHを使用した。
(嵩密度)
嵩密度は、試料槽を振動させ、サンプルを投下し、カップ(100cc)が山盛りになったら投下を止め、その後、カップ上にある余分な粉体をブレードで擦り落とし、粉体重量を測定した。嵩密度(g/cm)=粉体重量(g)/100(cm)で表す。
(中位粒度)
中位粒度は、粉体の粒径分布において、ある粒子径より大きい個数または質量が、全粉体のそれの50%を占める時の粒子径で表した。
(外層内雰囲気最高温度)
外層容器の部品取付け開口部の蓋のエアベント用の穴に熱電対を挿入し、容器内部の中央部に位置するように設置し、温度測定結果を無線で飛ばすことによって、外層内雰囲気最高温度を測定した。
次に、実施例において用いたポリエチレンの製造方法を以下に示す。
(PE−1)
直鎖状低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン(株)製:ユメリット3570P)に接着性ポリエチレンとフェノール系酸化防止剤、安定剤を加え、常温で機械粉砕することで、粉末ポリエチレンを作製した。(PE−1)の粒径は、8メッシュのシフターネットで管理した。得られたポリエチレンの物性を表1に示す。
(PE−2)
直鎖状低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン(株)製:ユメリット0540F)を常温で機械粉砕することで粉末ポリエチレンを作成した。(PE−2)の粒径は、8メッシュのシフターネットで管理した。得られたポリエチレンの物性を表1に示す。
(PE−3)
直鎖状低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン(株)製:ユメリット0540F)をGala社製の水中カット造粒システムでマイクロペレットを製作した。得られたポリエチレンの物性を表1に示す。
Figure 2013199989
[実施例1、2][比較例1、2]
次に、本実施例に係る液化ガス燃料タンクの製造方法を以下に示す。
外層として鉄製タンク(材質:SG365、板厚:t3.1、容積:35L、形状:円筒)を用い、内層として上記ポリエチレンを表2に示す条件で回転成形することで、実施例1、2及び比較例1、2に係る液化ガス燃料タンクを得た。回転成形には、回転駆動装置とその装置に取り付けたタンク本体を囲む断熱性の炉壁と加熱部とを備え、加熱部で発生した熱によりタンク本体及びタンク内雰囲気の温度を上昇させ、また、回転駆動装置によりタンクを二軸回転させることができる装置を用いた。得られた液化ガス燃料タンクについて、表面の状態を内視鏡で観察した結果を表3に示す。
Figure 2013199989
Figure 2013199989
[実施例3][比較例3]
外層としてアルミ製タンク(材質:AC4CH、板厚:3mm、容積:33.5L、形状:円筒)を用い、内層として上記ポリエチレンを表4に示す条件で回転成形することで、実施例3及び比較例3に係る液化ガス燃料タンクを得た。回転成形には、上記実施例1、2及び比較例1、2と同様の装置を用いた。得られた液化ガス燃料タンクについて、表面の状態を内視鏡で観察した結果を表5に示す。
Figure 2013199989
Figure 2013199989

Claims (4)

  1. 金属製の外層を成形後にポリエチレン製の内層を成形することにより液化ガス燃料タンクを製造する方法であって、
    前記内層の成形時に外層内雰囲気を最高温度145〜245℃まで加熱する加熱工程を備えたことを特徴とする液化ガス燃料タンクの製造方法。
  2. 前記加熱工程は、加熱開始から10分以上45分以内に最高温度まで達することを特徴とする請求項1記載の液化ガス燃料タンクの製造方法。
  3. 前記加熱工程において外層内雰囲気が最高温度に達した後に、前記外層内をポリエチレンの融点まで冷却する冷却工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の液化ガス燃料タンクの製造方法。
  4. 前記内層の成形は、回転成形法によって行なうことを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の液化ガス燃料タンクの製造方法。
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