JP2013198903A - ハニカム構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧力損失の上昇を抑制しつつ、多くの触媒を担持することが可能なハニカム構造体を提供する。
【解決手段】流体の流路となる複数のセルを区画形成する、複数の気孔26が形成された多孔質の隔壁21を備え、隔壁21をセルの延びる方向に垂直に切断した断面における、当該断面中の全ての気孔の総面積に対する、断面中の気孔内に描かれる内接円27のうち、直径90μm以上の内接円27の面積の総和の比率が、10〜50%であるハニカム構造体。
【選択図】図6

Description

本発明は、ハニカム構造体に関する。更に詳しくは、圧力損失の上昇を抑制しつつ、多くの触媒を担持することが可能な、触媒担体として好適に用いることができるハニカム構造体に関する。
従来、自動車用、建設機械用、及び産業用定置エンジン、並びに燃焼機器等から排出される排ガスに含まれる、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物(SO)等の被浄化成分を浄化するために、触媒担体上に浄化用の触媒を担持した排ガス浄化装置が提案されている。このような排ガス浄化装置用の触媒担体としては、例えば、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を備えたハニカム構造体が用いられている(例えば、特許文献1及び2参照)。浄化用の触媒は、ハニカム構造体の隔壁の表面や、多孔質の細孔の内部に担持されている。
ハニカム構造体は、例えば、セラミック原料を含有する成形原料を混合し混練して坏土を得、得られた坏土をハニカム形状に押出成形してハニカム成形体を得、得られたハニカム成形体を乾燥し、焼成して製造されている。また、気孔率が高く強度の大きな多孔質セラミックの製造方法として、圧力980Paにおける吸水量が5〜30ml/gである吸水性ポリマー粒子、セラミック原料及び水を含有する混合物を成形する工程、及び得られた成形物を加熱焼成する工程を含む製造方法等が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2009−242133号公報 特許第4246475号公報 特許第4540094号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載されたハニカム構造体は、担持する触媒の量が多くなると、隔壁の表面に触媒が大量に堆積することとなるため、セル(流体の流路)の断面積が減少し、圧力損失が増大してしまうという問題があった。
また、特許文献3に記載された製造方法においては、成形用の混合物中に含有される吸水性ポリマー粒子として、その平均粒子径が、セラミック成形物の厚さを基準として1/30〜1/1の範囲のものを使用することが提案されている。しかし、このような吸水性ポリマー粒子を用いた場合であっても、得られるハニカム構造体の触媒担持量には限界があり、より大量の触媒を担持することができ、且つ、圧力損失の上昇が起こり難いハニカム構造体の開発が要望されていた。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、圧力損失の上昇を抑制しつつ、多くの触媒を担持することが可能な、触媒担体として好適に用いることができるハニカム構造体、及び触媒担持ハニカム構造体を提供する。
本発明によれば、以下に示す、ハニカム構造体が提供される。
[1] 流体の流路となる複数のセルを区画形成する、複数の気孔が形成された多孔質の隔壁を備え、前記隔壁を前記セルの延びる方向に垂直に切断した断面における、前記断面中の全ての気孔の総面積に対する、断面中の気孔内に描かれる内接円のうち、直径90μm以上の内接円の面積の総和の比率が、10〜50%であるハニカム構造体(以下、「第二の発明」ということがある)。
[2] 前記隔壁の表面における、前記隔壁の表面の面積に対する、前記隔壁の表面に開口する気孔の開口領域内に描かれる内接円のうち、直径60μm以上の内接円の面積の総和の比率が、2〜10%である前記[1]に記載のハニカム構造体。
[3] 流体の流路となる複数のセルを区画形成する、複数の気孔が形成された多孔質の隔壁を備え、前記隔壁の表面における、前記隔壁の表面の面積に対する、前記隔壁の表面に開口する気孔の開口領域内に描かれる内接円のうち、直径60μm以上の内接円の面積の総和の比率が、2〜10%であるハニカム構造体(以下、「第三の発明」ということがある)。
[4] 前記隔壁には、前記セルの延びる方向に垂直な断面における前記隔壁の厚さよりも気孔径が大きな気孔が、前記隔壁に形成された前記気孔の総容積に対して4〜11%形成されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[5] 前記隔壁がセラミックスを含む材料からなり、前記隔壁が、気孔率40〜70%で、且つ平均気孔径10〜70μmである前記[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[6] 前記隔壁が、コージェライト、炭化珪素、アルミニウムチタネート、及びムライトからなる群より選択される少なくとも一種のセラミックスを含む材料からなる前記[1]〜[5]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[7] 前記隔壁の厚さが、50〜350μmであり、セル密度が、15.5〜155個/cmである前記[1]〜[6]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[8] 前記[1]〜[7]のいずれかに記載のハニカム構造体と、前記ハニカム構造体の前記隔壁の前記気孔の内部に充填された触媒と、を備え、前記隔壁の前記気孔の総容積に対する、前記触媒が充填された前記気孔の容積の比率が、70〜100%である触媒担持ハニカム構造体(以下、「第四の発明」ということがある)。
第一の発明のハニカム構造体は、流体の流路となる複数のセルを区画形成する、複数の気孔が形成された多孔質の隔壁を備え、この隔壁には、セルの延びる方向に垂直な断面における隔壁の厚さよりも気孔径が大きな気孔が、隔壁に形成された気孔の総容積に対して4〜11%形成されているため、上記「隔壁の厚さよりも気孔径が大きな気孔」内に、多くの触媒を担持することができる。このため、従来の触媒担体と比較して、隔壁の表面に担持(堆積)される触媒の量を相対的に少なくすることができ、ハニカム構造体(即ち、触媒担体)の圧力損失の上昇を抑制することができる。また、上記「隔壁の厚さよりも気孔径が大きな気孔」の容積比率が4〜11%であるため、例えば、触媒の担持量を比較的に多く必要とするNO選択還元用SCR触媒等であっても、被浄化成分の浄化を行うのに十分な量を良好に担持することができる。
また、本発明(第二の発明)のハニカム構造体は、流体の流路となる複数のセルを区画形成する、複数の気孔が形成された多孔質の隔壁を備え、この隔壁をセルの延びる方向に垂直に切断した断面における、前記断面中の全ての気孔の総面積(即ち、空隙部分の総面積)に対する、断面中の気孔内に描かれる内接円のうち、直径90μm以上の内接円の面積の総和の比率が、10〜50%であるため、「直径90μm以上の内接円が描かれる気孔」内に、多くの触媒を担持することができる。このため、従来の触媒担体と比較して、隔壁の表面に担持(堆積)される触媒の量を相対的に少なくすることができ、ハニカム構造体(即ち、触媒担体)の圧力損失の上昇を抑制することができる。また、直径90μm以上の内接円の面積の総和の比率が10〜50%となることで、「直径90μm以上の内接円が描かれる気孔」が隔壁中に多く存在することとなり、例えば、触媒の担持量を比較的に多く必要とする、NO選択還元用SCR触媒等であっても、被浄化成分の浄化を行うのに十分な量を良好に担持することができる。
また、本発明(第三の発明)のハニカム構造体は、流体の流路となる複数のセルを区画形成する、複数の気孔が形成された多孔質の隔壁を備え、この隔壁の表面における、隔壁の表面の面積(隔壁の表面に開口する気孔を含む総面積)に対する、前記隔壁の表面に開口する気孔の開口領域内に描かれる内接円のうち、直径60μm以上の内接円の面積の総和の比率が、2〜10%であるため、「直径60μm以上の内接円が描かれる気孔」から、多くの触媒を気孔内に導入することができ、隔壁の内部(気孔内)に、より多くの触媒を担持することができる。このため、従来の触媒担体と比較して、隔壁の表面に担持(堆積)される触媒の量を相対的に少なくすることができ、ハニカム構造体(即ち、触媒担体)の圧力損失の上昇を抑制することができる。また、直径60μm以上の内接円の面積の総和の比率が2〜10%となることで、「直径60μm以上の内接円が描かれる気孔」が隔壁表面に多く存在することとなり、例えば、触媒の担持量を比較的に多く必要とする、NO選択還元用SCR触媒等であっても、被浄化成分の浄化を行うのに十分な量を気孔内に導入することができる。
また、本発明(第四の発明)の触媒担持ハニカム構造体は、上記第一〜第三の発明のハニカム構造体と、そのハニカム構造体の隔壁の気孔の内部に充填された触媒と、を備えた触媒担持ハニカム構造体である。そして、この触媒担持ハニカム構造体は、隔壁の気孔の総容積に対する、触媒が充填された気孔の容積の比率が、70〜100%である。上述したように、上記第一〜第三の発明のハニカム構造体は、従来のハニカム構造体と比較して、隔壁の内部に触媒を担持することのできる気孔の容積が極めて大きなものである。本発明の触媒担持ハニカム構造体は、隔壁の気孔内に、大量の触媒が充填されたものであり、被浄化成分の浄化を極めて良好に行うことができる。
また、第五の発明のハニカム構造体の製造方法は、セラミック原料を含有する成形原料を混合し混練して坏土を得る坏土調製工程と、得られた坏土をハニカム形状に成形してハニカム成形体を得る成形工程と、得られたハニカム成形体を乾燥し、焼成して、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を備えたハニカム構造体を得る焼成工程と、を備え、坏土調製工程において、セラミック原料に、得られるハニカム構造体の隔壁の厚さよりも、平均粒子径が大きな造孔材を添加して坏土を調整するものである。これにより、ハニカム構造体の隔壁に、従来のハニカム構造体と比較して極めて大きな(即ち、隔壁の厚さよりも大きな)気孔を形成することができる。
「隔壁の厚さよりも、平均粒子径が大きな造孔材」は、従来の製造方法においては、押出成形時において口金のスリットに詰まってしまうという理由から、ハニカム構造体の製造方法には用いられていなかった。今回、種々の検討を重ねたところ、押出成形時の押圧圧力により上記造孔材が変形して、「隔壁の厚さよりも、平均粒子径が大きな造孔材」であっても、口金のスリットを通過し得るという知見を得、本発明のハニカム構造体の製造方法によって、本発明(第一〜第三の発明)のハニカム構造体を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、第六の発明のハニカム構造体の製造方法は、坏土調製工程において、セラミック原料に、得られるハニカム構造体の隔壁の厚さよりも平均粒子径が小さく、且つ、熱膨張によって隔壁の厚さよりも平均粒子径が大きくなる造孔材を添加して坏土を調整するものである。これにより、ハニカム構造体の隔壁に、従来のハニカム構造体と比較して極めて大きな(即ち、隔壁の厚さよりも大きな)気孔を形成することができる。即ち、この第六の発明のハニカム構造体の製造方法においては、押出成形時においては、隔壁の厚さに対応したスリットの幅よりも小さく、且つ加熱することによって、隔壁の厚さよりも大きく熱膨張する造孔材を用いることにより、本発明(第一〜第三の発明)のハニカム構造体を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明(第一の発明)のハニカム構造体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。 本発明(第一の発明)のハニカム構造体の一実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。 本発明(第一の発明)のハニカム構造体の一実施形態の、セルの延びる方向に垂直な断面を拡大して示す模式図である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体の一実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体の一実施形態の、セルの延びる方向に垂直な断面を拡大して示す模式図である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体の一実施形態における、気孔内に描かれる直径90μm以上の内接円の比率の測定に用いられる隔壁の断面の顕微鏡写真である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体の一実施形態における、気孔内に描かれる直径90μm以上の内接円の比率の測定に用いられる隔壁の断面の顕微鏡写真である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体の一実施形態における、気孔内に描かれる直径90μm以上の内接円の比率の測定に用いられる隔壁の断面の顕微鏡写真である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体の一実施形態における、気孔内に描かれる直径90μm以上の内接円の比率の測定に用いられる隔壁の断面の顕微鏡写真である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体の一実施形態における、気孔内に描かれる直径90μm以上の内接円の比率の測定に用いられる隔壁の断面の顕微鏡写真である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体の一実施形態における、気孔内に描かれる直径90μm以上の内接円の比率の測定に用いられる隔壁の断面の顕微鏡写真である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体の一実施形態における、気孔内に描かれる直径90μm以上の内接円の比率の測定に用いられる隔壁の断面の顕微鏡写真である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体の一実施形態における、気孔内に描かれる直径90μm以上の内接円の比率の測定に用いられる隔壁の断面の顕微鏡写真である。 本発明(第三の発明)のハニカム構造体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。 本発明(第三の発明)のハニカム構造体の一実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。 本発明(第三の発明)のハニカム構造体の一実施形態の、隔壁の表面を拡大して示す模式図である。 本発明(第三の発明)のハニカム構造体の一実施形態における、隔壁表面の開口領域内に描かれる直径60μm以上の内接円の比率の測定に用いられる隔壁表面の顕微鏡写真である。 本発明(第三の発明)のハニカム構造体の一実施形態における、隔壁表面の開口領域内に描かれる直径60μm以上の内接円の比率の測定に用いられる隔壁表面の顕微鏡写真である。 本発明(第三の発明)のハニカム構造体の一実施形態における、隔壁表面の開口領域内に描かれる直径60μm以上の内接円の比率の測定に用いられる隔壁表面の顕微鏡写真である。 本発明(第三の発明)のハニカム構造体の一実施形態における、隔壁表面の開口領域内に描かれる直径60μm以上の内接円の比率の測定に用いられる隔壁表面の顕微鏡写真である。 本発明(第三の発明)のハニカム構造体の一実施形態における、隔壁表面の開口領域内に描かれる直径60μm以上の内接円の比率の測定に用いられる隔壁表面の顕微鏡写真である。 本発明(第三の発明)のハニカム構造体の一実施形態における、隔壁表面の開口領域内に描かれる直径60μm以上の内接円の比率の測定に用いられる隔壁表面の顕微鏡写真である。 本発明(第三の発明)のハニカム構造体の一実施形態における、隔壁表面の開口領域内に描かれる直径60μm以上の内接円の比率の測定に用いられる隔壁表面の顕微鏡写真である。 本発明(第四の発明)の触媒担持ハニカム構造体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。 本発明(第四の発明)の触媒担持ハニカム構造体の一実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。 本発明(第四の発明)の触媒担持ハニカム構造体の一実施形態の、セルの延びる方向に垂直な断面を拡大して示す模式図である。 実施例7のハニカム構造体の「直径90μm以上の内接円の面積比率」の測定に用いた顕微鏡写真である。 実施例7のハニカム構造体の「直径60μm以上の内接円の面積比率」の測定に用いた顕微鏡写真である。 比較例1のハニカム構造体の「直径90μm以上の内接円の面積比率」の測定に用いた顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
(1)ハニカム構造体(第一の発明):
図1〜図3に示すように、本発明(第一の発明)のハニカム構造体100は、流体の流路となる複数のセル2を区画形成する、複数の気孔6が形成された多孔質の隔壁1を備え、この隔壁1には、セル2の延びる方向に垂直な断面における隔壁1の厚さ(以下、「隔壁厚さ」、或いは「リブ厚」ともいう)よりも気孔径が大きな気孔6aが、隔壁1に形成された気孔6の総容積に対して4〜11%形成されたものである。以下、「気孔6の総容積」に対する「隔壁1の厚さよりも気孔径が大きな気孔6aの容積」の比率(%)のことを、「隔壁1の厚さよりも気孔径が大きな気孔6aの容積比率(%)」又は単に「容積比率(%)」ということがある。
ここで、図1は、本発明(第一の発明)のハニカム構造体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、本発明(第一の発明)のハニカム構造体の一実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。図3は、本発明(第一の発明)のハニカム構造体の一実施形態の、セルの延びる方向に垂直な断面を拡大して示す模式図である。本実施形態のハニカム構造体100は、一方の端面11から他方の端面12まで延びる複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1と、最外周に位置する外周壁3とを有する筒状のハニカム構造体である。
本実施形態のハニカム構造体100を触媒担体として用いた場合、上記「隔壁1の厚さよりも気孔径が大きな気孔6a」内に、多くの触媒を担持することができる。このため、従来の触媒担体(例えば、ハニカム構造体)と比較して、隔壁1の表面に担持(堆積)される触媒の量を相対的に少なくすることができ、ハニカム構造体100の圧力損失の上昇を抑制することができる。また、上記「隔壁1の厚さよりも気孔径が大きな気孔6a」の容積比率が4〜11%であるため、例えば、触媒の担持量を比較的に多く必要とするSCR触媒(選択触媒還元:Selective Catalytic Reduction、例えば、NO選択還元用SCR触媒)等であっても、被浄化成分の浄化を行うのに十分な量を良好に担持することができる。
「隔壁1の厚さよりも気孔径が大きな気孔6aの容積比率」が、4%未満であると、触媒を大量に担持可能な大きな気孔6aが少な過ぎて、気孔6a内に担持できる触媒の量を十分に確保することができない。即ち、大量の触媒をハニカム構造体100に担持する際には、従来のハニカム構造体と同様に、隔壁1表面の担持量を多くせざるを得ず、ハニカム構造体100の圧力損失が増大してしまう。また、「隔壁1の厚さよりも気孔径が大きな気孔6aの容積比率」が、11%を超えると、ハニカム構造体100の強度(例えば、アイソスタティック強度)が低下して、ハニカム構造体100が破損し易くなってしまう。
本実施形態のハニカム構造体は、上述したように「隔壁1の厚さよりも気孔径が大きな気孔6a」が形成されているため、ハニカム構造体自体の強度が低くなることもあるが、隔壁の気孔内に、従来に比して大量の触媒を担持することができる。このことから、同等の圧力損失の従来品(即ち、気孔の大きさが小さいハニカム構造体)と比較した場合には、ハニカム構造体(触媒担持体)の強度を向上させることができる。即ち、実際に触媒を担持して触媒担持体(以下、「触媒担持ハニカム構造体」ともいう)として用いる場合には、従来品と比して、高い強度を実現することができる。
「隔壁の厚さ」とは、ハニカム構造体100をセル2の延びる方向に垂直に切断した断面における、隣接する二つのセル2を区画する壁(隔壁)の厚さのことを意味する。「隔壁の厚さ」は、例えば、画像解析装置(ニコン社製、商品名「NEXIV、VMR−1515」)によって測定することができる。
「気孔」とは、多孔質の隔壁1の内部に形成された空隙のことをいう。この気孔6は、細孔と称されることもある。本実施形態のハニカム構造体100においては、隔壁1に形成された気孔6のうち、「隔壁1の厚さよりも気孔径が大きな気孔6a」が、隔壁1に形成された気孔6の総容積に対して4〜11%形成されている。
「隔壁1の厚さよりも気孔径が大きな気孔6a(以下、「大気孔」ということもある)」とは、水銀圧入法により測定された気孔径が、ハニカム構造体100を構成する隔壁1の厚さよりも大きくなる気孔6aのことをいう。より具体的には、隔壁1に形成された気孔6の気孔分布(細孔分布ともいう)を測定し、この気孔分布において、ハニカム構造体100の隔壁1の厚さよりも気孔径が大きな気孔6を、「隔壁1の厚さよりも気孔径が大きな気孔6a」とする。上記気孔分布は、水銀ポロシメータによって測定することができる。測定装置としては、例えば、Micromeritics社製、商品名:Autopore 9500を挙げることができる。
隔壁に形成された気孔の容積(「気孔率」ともいう)、及び大気孔の容積は、水銀ポロシメータによって測定することができる。また、気孔の平均気孔径(「平均細孔径」ともいう)も、水銀ポロシメータによって測定することができる。
「隔壁1の厚さよりも気孔径が大きな気孔6aの容積比率(大気孔の容積比率)」は、「大気孔の容積の値V1」を、「隔壁に形成された気孔の容積(全気孔の総容積)の値V2」で除して、100倍した値(百分率で表現した値:V1/V2×100)である。「大気孔の容積の値V1」、及び「隔壁に形成された気孔の容積(全気孔の総容積)の値V2」は、水銀ポロシメータによって測定される気孔分布から求めることができる。例えば、「大気孔の容積の値V1」は、上記気孔分布において、その気孔径が、ハニカム構造体の隔壁の厚さ以上となる気孔の容積である。なお、「大気孔の容積比率」は、上記気孔分布において、その気孔径が、ハニカム構造体の隔壁の厚さ以上となる範囲の分布全体に占める比率として求めることもできる。
大気孔の容積比率は、4〜11%であることが好ましく、4〜9%であることが更に好ましく、4〜6%であることが特に好ましい。容積比率を上記範囲とすることにより、十分な触媒担持量を確保しつつ、強度の高いハニカム構造体とすることができる。
本実施形態のハニカム構造体は、隔壁がセラミックスを含む材料からなるものであることが好ましい。このようなセラミックスを含む材料からなる隔壁は、大気孔が形成されたものであっても、高い強度が実現されたものであるとともに、耐熱性等にも優れたものである。なお、強度及び耐熱性に優れることより、隔壁が、コージェライト、炭化珪素、アルミニウムチタネート、及びムライトからなる群より選択される少なくとも一種のセラミックスを含む材料からなるものであることが更に好ましい。
隔壁の気孔率は、40〜70%であることが好ましく、40〜60%であることが更に好ましく、50〜60%であることが特に好ましい。気孔率が40%より小さいと、ハニカム構造体の初期の圧力損失が高くなることがある。気孔率が70%より大きいと、ハニカム構造体の強度が低くなることがある。
また、隔壁に形成された気孔の平均気孔径は、10〜70μmであることが好ましく、10〜50μmであることが更に好ましく、10〜30μmであることが特に好ましい。平均気孔径が10μmより小さいと、気孔内に触媒が侵入し難くなり、触媒の担持が困難になることがある。また、ハニカム構造体の初期の圧力損失が高くなることがある。平均気孔径が70μmより大きいと、ハニカム構造体の強度が低くなることがある。平均気孔径は、平均細孔径と称されることもある。
本実施形態のハニカム構造体においては、隔壁がセラミックスを含む材料からなり、隔壁が、気孔率40〜70%で、且つ平均気孔径10〜70μmであることが好ましい。このようなハニカム構造体は、圧力損失面と強度面のバランスに優れ、内燃機関等から排出される排ガスの浄化などの過酷な使用条件下においても、触媒担体として好適に用いることができる。
隔壁の厚さは、50〜350μmであることが好ましく100〜300μmであることが更に好ましく、100〜250μmであることが特に好ましい。50μmより薄いと、ハニカム構造体の強度が低くなることがある。350μmより厚いと、隔壁の厚さが厚すぎて、圧力損失が高くなることがある。
本実施形態のハニカム構造体100の形状は、特に限定されないが、円筒形状、端面が楕円形の筒形状、端面が「正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、八角形等」の多角形の柱形状、等が好ましい。図1及び図2に示すハニカム構造体100においては、円筒形状である。また、図1及び図2に示すハニカム構造体100は、外周壁3を有するものであるが、外周壁3を有していないものであってもよい。外周壁3は、ハニカム構造体を作製する過程において、ハニカム成形体を押出成形する際に、隔壁1とともに形成されたものであってもよい。また、押出成形時には外周壁を形成しなくともよい。例えば、外周壁3は、セラミック材料をハニカム構造体の外周に塗工して形成することもできる。
本実施形態のハニカム構造体100において、セル形状(ハニカム構造体の中心軸方向(セルが延びる方向)に直交する断面におけるセル形状)としては、特に制限はなく、例えば、三角形、四角形、六角形、八角形、円形、或いはこれらの組合せを挙げることができる。四角形の中でも、正方形、長方形が好ましい。
本実施形態のハニカム構造体は、例えば、隔壁の厚さよりも平均粒子径が大きな造孔材を、ハニカム構造体を製造する原料に添加して製造することができる。例えば、上記原料(即ち、隔壁の厚さよりも平均粒子径が大きな造孔材が添加された原料)からなる坏土を押出成形してハニカム成形体を得、得られたハニカム成形体を焼成することにより、上記造孔材により、隔壁中に大気孔が形成される。
造孔材としては、押出形成時の圧力により変形又は収縮して、押出形成用口金のスリットの隙間を通過するものであることが好ましい。例えば、造孔材としては、吸水性ポリマー、でんぷん等を挙げることができる。また、造孔材としては、例えば、ハニカム成形体を焼成する際に膨張し、大気孔を形成するものであってもよい。
造孔材の添加量は、隔壁の気孔率、大気孔の容積比率、平均気孔径等を考慮して適宜選択することができる。また、造孔材の粒度分布も、大気孔の容積比率に影響を及ぼすため、造孔材の粒度分布と造孔材の添加量とを調整して、上記坏土を調製することが好ましい。
また、造孔材の平均粒子径は、得られるハニカム構造体の隔壁の厚さよりも大きなものであれば特に制限はないが、隔壁の厚さの、1倍より大きく、2倍までの大きさであることが好ましく、1.2〜1.8倍の大きさであることが更に好ましく、1.2〜1.5倍の大きさであることが好ましい。造孔材の平均粒子径が、隔壁の厚さの1倍未満であると、隔壁の厚さよりも気孔径が大きな気孔が実際に形成され難く、大気孔の容積比率が低くなってしまう。一方、隔壁の厚さの2倍を超えると、造孔材が押出成形用口金のスリットに詰まってしまうことがある。
例えば、本実施形態のハニカム構造体として、隔壁の厚さが100〜250μmで、大気孔の容積比率が4〜11%となるハニカム構造体を製造する際には、造孔材の添加量を、成形用の坏土を調製する主原料(例えば、セラミック原料)100質量部に対して1.0〜8.0質量部とすることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、隔壁厚さの1.2〜1.5倍とすることが好ましい。
(2)ハニカム構造体(第二の発明):
図4〜図6に示すように、本発明(第二の発明)のハニカム構造体120は、流体の流路となる複数のセル22を区画形成する、複数の気孔26が形成された多孔質の隔壁21を備え、この隔壁21をセル22の延びる方向に垂直に切断した断面における、前記断面中の全ての気孔26の総面積S1に対する、上記断面中の気孔26内に描かれる内接円のうち、直径90μm以上の内接円の面積の総和S2の比率(S2/S1×100)が、10〜50%のものである。即ち、本実施形態のハニカム構造体120には、複数の気孔26のうち、上記断面中の気孔26内に直径90μm以上の内接円27が描かれる気孔26aが存在する。そして、この直径90μm以上の内接円が描かれる気孔26aが、断面中の気孔26の総面積に対して、直径90μm以上の内接円の総面積が10〜50%となるような割合で形成されている。
ここで、図4は、本発明(第二の発明)のハニカム構造体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。図5は、本発明(第二の発明)のハニカム構造体の一実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。図6は、本発明(第二の発明)のハニカム構造体の一実施形態の、セルの延びる方向に垂直な断面を拡大して示す模式図である。なお、図4及び図5に示すハニカム構造体120は、一方の端面31から他方の端面32まで延びる複数のセル22を区画形成する多孔質の隔壁21と、最外周に位置する外周壁23とを有する筒状のハニカム構造体である。
本実施形態のハニカム構造体120を触媒担体として用いた場合、上記「直径90μm以上の内接円が描かれる気孔26a」内に、多くの触媒を担持することができる。このため、従来の触媒担体(例えば、ハニカム構造体)と比較して、隔壁21の表面に担持(堆積)される触媒の量を相対的に少なくすることができ、ハニカム構造体120の圧力損失の上昇を抑制することができる。また、直径90μm以上の内接円の面積の総和の比率が10〜50%となることで、「直径90μm以上の内接円が描かれる気孔26a」が、隔壁21中に多く存在することとなり、例えば、触媒の担持量を比較的に多く必要とする、NO選択還元用SCR触媒等であっても、被浄化成分の浄化を行うのに十分な量を良好に担持することができる。
「断面中の直径90μm以上の内接円の面積の総和の比率」が、10%未満であると、触媒を大量に担持可能な大きな気孔26aが少な過ぎて、気孔26a内に担持できる触媒の量を十分に確保することができない。即ち、大量の触媒をハニカム構造体120に担持する際には、従来のハニカム構造体と同様に、隔壁21表面の担持量を多くせざるを得ず、ハニカム構造体120の圧力損失が増大してしまう。また、「断面中の直径90μm以上の内接円の面積の総和の比率」が、50%を超えると、ハニカム構造体120の強度(例えば、アイソスタティック強度)が低下して、ハニカム構造体120が破損し易くなってしまう。
本実施形態のハニカム構造体120は、上述したように「直径90μm以上の内接円が描かれる気孔26a」が、全ての気孔26の総面積に対する直径90μm以上の内接円の面積の総和の比率が10〜50%となるように形成されているため、ハニカム構造体120自体の強度が低くなることもあるが、隔壁21の気孔26内に、従来に比して大量の触媒を担持することができることから、同等の圧力損失の従来品(即ち、気孔の大きさが小さいハニカム構造体)と比較した場合には、ハニカム構造体(触媒担持体)の強度を向上させることができる。即ち、実際に触媒を担持して触媒担持体として用いる場合には、従来品と比して、高い強度を実現することができる。
「気孔26内に描かれる直径90μm以上の内接円の比率(S2/S1×100)」は、以下のようにして測定することができる。
まず、本実施形態のハニカム構造体120(図4参照)を、セル22の延びる方向に垂直に切断する。次に、図7Aに示すように、その切断面の画像を、日立製作所社製の走査電子顕微鏡「S−3200N(商品名)」の反射電子(アニュラー検出器)によって撮像する。切断面を撮像する範囲(画像処理範囲)は、撮像画面の中心に、隔壁21の交点が位置し、この画像内に1個分のセル22が配置されるような範囲とすることが好ましい。例えば、図7Aにおいては、画像の右上、右下、左上、左下の4箇所に、各セル22の四分の一(1/4)が映し出されている。切断面の撮像は、ハニカム構造体のセルの延びる方向に垂直な面について、倍率200倍、600×500μmの範囲で行うこととし、隔壁交点部を中心に20箇所の視野について行う。
次に、図7Bに示すように、得られた画像を、輝度ヒストグラムの分布モード(頻値輝度)間の谷を閾値として二値化処理を行う。このようなモード法の二値化処理により、得られた画像中の隔壁21の実体部分を抽出することができる。
次に、図7Cに示すように、クロージング処理を行って、隔壁の領域(以下、「隔壁領域」ということがある)を更に抽出する。クロージング処理は、膨張処理と収縮処理とを、交互1回ずつ行うこととする。クロージング処理の条件は、以下に示すものとする。まず、200画素の大きさで上記膨張処理を行い、次に、200画素の大きさで上記収縮処理を行う。
次に、図7Dに示すように、図7Cにおける隔壁領域を膨張させて、膨張させた隔壁領域を、気孔判別のための解析領域とする。上記隔壁領域を膨張させる際には、以降の工程において、隔壁領域を膨張させた背景部(即ち、解析領域における隔壁の実体部分から周囲に膨張された膨張部分)に、不要な内接円が当てはめられないように、内接円を当てはめる際に想定される最小の内接円の半径(即ち、直径45μm)よりも、上述した膨張部分が小さくなるように、隔壁領域を膨張させることが好ましい。
次に、図7Eに示すように、図7Dにおける解析領域に、輝度ヒストグラムの分布モード(頻値輝度)間の谷を閾値として二値化処理を行う。このようなモード法の二値化処理により、図7Aにて得られた画像中の隔壁21の実体部分を抽出することができる。
次に、図7Fに示すように、図7Eの「隔壁21の実体部分が除かれた解析領域」に、直径90μm以上の内接円27aを当てはめる。この際、隔壁21の実体部分に、上記内接円27aが重ならないようにする。内接円27aが当てはめられた場合には、この内接円27aの位置を座標として特定する。また、この内接円27aの直径を算出し、内接円27aの直径から、当該内接円27aの面積を算出する。内接円27aの位置については、画像内にX軸とY軸とを規定して、内接円27aの中心のX座標とY座標とを求めることが好ましい。上記内接円27aが当てはめられた部分(気孔)を、「気孔内に直径90μm以上の内接円が描かれる気孔」とする。
次に、図7Gに示すように、図7Fにて当てはめられた内接円27aを、「隔壁21の実体部分が除かれた解析領域」から更に除く処理を行う。その後、図7Hに示すように、図7Gの解析領域(内接円が除かれた解析領域)に、再度、直径90μm以上の内接円27bを当てはめて、内接円27bが当てはめられた場合には、この内接円27bの位置の座標を特定し、更に、この内接円27bの直径から、当該内接円27bの面積を算出する。図7G〜図7Hにおける操作を、「直径90μm以上の内接円」が当てはめられなくなるまで繰り返す。図7A〜図7Hは、本発明(第二の発明)のハニカム構造体の一実施形態における、気孔内に描かれる直径90μm以上の内接円の比率の測定に用いられる隔壁の断面の顕微鏡写真である。
以上の操作によって、画像中の気孔内に描かれる内接円のうち、直径90μm以上の内接円を全て求め、得られた内接円の面積を加算して、「直径90μm以上の内接円の面積の総和」を算出することができる。「直径90μm以上の内接円の面積の総和」は、20視野(20箇所の視野による画像)の相加平均値とする。
また、「断面中の全ての気孔の総面積」は、上記切断面の画像から、輝度ヒストグラムの分布モード(頻値輝度)間の谷を閾値として求めることができる。「断面中の全ての気孔の総面積」は、20視野(20箇所の視野による画像)の相加平均値とする。
本実施形態のハニカム構造体は、上述した方法によって求められた、「断面中の全ての気孔の総面積」に対する、「直径90μm以上の内接円の面積の総和」の比率(以下、単に「直径90μm以上の内接円の面積比率」ということがある)が10〜50%となるように、隔壁中に大気孔(気孔内に直径90μm以上の内接円が描かれる気孔)が形成されている。直径90μm以上の内接円の面積比率は、10〜50%であることが好ましく、10〜40%であることが更に好ましく、10〜30%であることが特に好ましい。直径90μm以上の内接円の面積比率を上記範囲とすることにより、十分な触媒担持量を確保しつつ、強度の高いハニカム構造体とすることができる。
本実施形態のハニカム構造体においては、「直径90μm以上の内接円の面積比率」が10〜50%であること以外、ハニカム構造体の形状や隔壁の厚さ、また、隔壁の気孔率や気孔の平均気孔径等の各構成については、上述した第一の発明のハニカム構造体と同様に構成されたものであることが好ましい。
また、本実施形態のハニカム構造体は、例えば、平均粒子径が大きな造孔材(例えば、平均粒子径が90μm以上の造孔材)を、ハニカム構造体を製造する原料に添加して製造することができる。例えば、上記原料(即ち、平均粒子径が90μm以上の造孔材が添加された原料)からなる坏土を押出成形してハニカム成形体を得、得られたハニカム成形体を焼成することにより、上記造孔材により、隔壁中に、直径90μm以上の内接円が描かれる気孔が形成される。
造孔材としては、押出形成時の圧力により変形又は収縮して、押出形成用口金のスリットの隙間を通過するものであることが好ましい。例えば、造孔材としては、吸水性ポリマー、でんぷん等を挙げることができる。また、造孔材としては、例えば、ハニカム成形体を焼成する際に膨張し、直径90μm以上の内接円が描かれる気孔を形成するものであってもよい。
造孔材の添加量は、隔壁の気孔率、直径90μm以上の内接円が描かれる気孔の比率(換言すれば、「直径90μm以上の内接円の面積比率」)、平均気孔径等を考慮して適宜選択することができる。また、造孔材の粒度分布も、直径90μm以上の内接円が描かれる気孔の比率に影響を及ぼすため、造孔材の粒度分布と造孔材の添加量とを調製して、上記坏土を調製することが好ましい。
例えば、本実施形態のハニカム構造体として、隔壁の厚さが110μmで、直径90μm以上の内接円の面積比率が10〜50%となるハニカム構造体を製造する際には、造孔材の添加量を、成形用の坏土を調製する主原料(例えば、セラミック原料)100質量部に対して1.0〜8.0質量部とすることが好ましい。
(3)ハニカム構造体(第三の発明):
図8〜図10に示すように、本発明(第三の発明)のハニカム構造体140は、流体の流路となる複数のセル42を区画形成する、複数の気孔46が形成された多孔質の隔壁41を備え、この隔壁41の表面における、隔壁41の表面の面積S3に対する、隔壁41の表面に開口する気孔46の開口領域内に描かれる内接円のうち、直径60μm以上の内接円の面積の総和S4の比率(S4/S3×100)が、2〜10%である。
ここで、図8は、本発明(第三の発明)のハニカム構造体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。図9は、本発明(第三の発明)のハニカム構造体の一実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。図10は、本発明(第三の発明)のハニカム構造体の一実施形態の、隔壁の表面を拡大して示す模式図である。なお、図8及び図9に示すハニカム構造体140は、一方の端面51から他方の端面52まで延びる複数のセル42を区画形成する多孔質の隔壁41と、最外周に位置する外周壁43とを有する筒状のハニカム構造体である。
本実施形態のハニカム構造体140を触媒担体として用いた場合、「直径60μm以上の内接円が描かれる気孔46a」から、多くの触媒を気孔46内に導入することができ、隔壁41の内部(気孔46内)に、より多くの触媒を担持することができる。このため、従来の触媒担体と比較して、隔壁41の表面に担持(堆積)される触媒の量を相対的に少なくすることができ、ハニカム構造体140(即ち、触媒担体)の圧力損失の上昇を抑制することができる。また、直径60μm以上の内接円の面積の総和の比率が2〜10%となることで、「直径60μm以上の内接円が描かれる気孔46a」が隔壁41表面に多く存在することとなり、例えば、触媒の担持量を比較的に多く必要とする、NO選択還元用SCR触媒等であっても、被浄化成分の浄化を行うのに十分な量を気孔内に導入することができる。
「隔壁表面における直径60μm以上の内接円の面積の総和の比率」が、2%未満であると、触媒を大量に導入することできる開口の大きな気孔46aの比率が少な過ぎて、気孔46内に担持できる触媒の量を十分に確保することができない。即ち、大量の触媒をハニカム構造体140に担持する際には、従来のハニカム構造体と同様に、隔壁41表面の担持量を多くせざるを得ず、ハニカム構造体140の圧力損失が増大してしまう。また、「隔壁表面における直径60μm以上の内接円の面積の総和の比率」が、10%を超えると、ハニカム構造体140の強度(例えば、アイソスタティック強度)が低下して、ハニカム構造体140が破損し易くなってしまう。
本実施形態のハニカム構造体140は、上述したように「開口領域内に直径60μm以上の内接円が描かれる気孔46a」が、隔壁41の表面の面積に対して直径60μm以上の内接円の面積の総和の比率が2〜10%となるように形成されているため、ハニカム構造体140自体の強度が低くなることもあるが、隔壁41の気孔46内に触媒を導入し易く、従来に比して大量の触媒を担持することができることから、同等の圧力損失の従来品(即ち、隔壁表面の開口部の大きさが小さいハニカム構造体)と比較した場合には、ハニカム構造体(触媒担持体)の強度を向上させることができる。即ち、実際に触媒を担持して触媒担持体として用いる場合には、従来品と比して、高い強度を実現することができる。
「隔壁41表面の気孔46内に描かれる直径60μm以上の内接円の比率(S4/S3×100)」は、以下のようにして測定することができる。
まず、本実施形態のハニカム構造体140(図8参照)の隔壁表面が観察できるように、ハニカム構造体140をセル42の延びる方向に平行に切断する。次に、図11Aに示すように、隔壁表面の画像を、日立製作所社製の走査電子顕微鏡「S−3200N(商品名)」の反射電子(アニュラー検出器)によって撮像する。隔壁表面の撮像は、隔壁表面に対して垂直な方向から行うものとする。また、隔壁表面の撮像は、倍率100倍で、1200×1000μmの範囲で行うこととし、隔壁表面から垂直方向の隔壁間の中央を中心とする視野の20箇所について行う。
次に、図11Bに示すように、得られた画像を、元画像と平滑化した画像の差分を取り、差分画像において輝度20を閾値として二値化処理を行う。上記の二値化処理の方法は、動的閾値法とも称される方法である。このような二値化処理により、得られた画像中の気孔の開口部分(隔壁表面の空隙部分)を抽出することができる。
次に、図11Cに示すように、ノイズ処理を行い、抽出された空隙部分のうちの微小な領域(例えば、直径60μm以上の内接円が当てはまらない極めて微小な領域)を除去する。このノイズ処理により、直径60μm以上の内接円が当てはまらない極めて微小な領域を取り除き、以降の解析が行い易くなる。上記ノイズ処理を行った後の領域を「解析領域」とする。
次に、図11Dに示すように、図11Cの「解析領域」に、直径60μm以上の内接円47aを当てはめる。この際、隔壁41の実体部分に、上記内接円47aが重ならないようにする。内接円47aが当てはめられた場合には、この内接円47aの位置を座標として特定する。また、この内接円47aの直径を算出し、内接円47aの直径から、当該内接円47aの面積を算出する。内接円47aの位置については、画像内にX軸とY軸とを規定して、内接円47aの中心のX座標とY座標とを求めることが好ましい。上記内接円47aが当てはめられた部分(気孔)を、「開口領域内に直径60μm以上の内接円が描かれる気孔46a」とする。
次に、図11Eに示すように、図11Dにて当てはめられた内接円47aを、「解析領域」から更に除く処理を行う。その後、図11Fに示すように、図11Eの解析領域(内接円が除かれた解析領域)に、再度、直径60μm以上の内接円47bを当てはめて、内接円47bが当てはめられた場合には、この内接円47bの位置の座標を特定し、更に、この内接円47bの直径から、当該内接円47bの面積を算出する。図11E〜図11Fにおける操作を、「直径60μm以上の内接円47」が当てはめられなくなるまで繰り返す(図11G参照)。図11A〜図11Gは、本発明(第三の発明)のハニカム構造体の一実施形態における、隔壁表面の開口領域内に描かれる直径60μm以上の内接円の比率の測定に用いられる隔壁表面の顕微鏡写真である。
以上の操作によって、画像中の気孔内に描かれる内接円のうち、直径60μm以上の内接円を全て求め、得られた内接円の面積を加算して、「直径60μm以上の内接円の面積の総和」を算出することができる。「直径60μm以上の内接円の面積の総和」は、20視野(20箇所の視野による画像)の相加平均値とする。
また、「隔壁の表面の面積」は、上記画像に撮像された隔壁の表面を求めることによって測定することができる。「隔壁の表面の面積」は、20視野(20箇所の視野による画像)の相加平均値とする。
本実施形態のハニカム構造体は、上述した方法によって求められた、「隔壁41の表面の面積」に対する、「直径60μm以上の内接円の面積の総和」の比率(以下、単に「直径60μm以上の内接円の面積比率」ということがある)が2〜10%となるように、隔壁表面に大気孔(開口領域内に直径60μm以上の内接円が描かれる気孔)が形成されている。直径60μm以上の内接円の面積比率は、2〜10%であることが好ましく、2〜8%であることが更に好ましく、2〜6%であることが特に好ましい。直径60μm以上の内接円の面積比率を上記範囲とすることにより、十分な触媒担持量を確保しつつ、強度の高いハニカム構造体とすることができる。
本実施形態のハニカム構造体においては、「直径60μm以上の内接円の面積比率」が2〜10%であること以外、ハニカム構造体の形状や隔壁の厚さ、また、隔壁の気孔率や気孔の平均気孔径等の各構成については、上述した第一の発明のハニカム構造体と同様に構成されたものであることが好ましい。
また、本実施形態のハニカム構造体は、例えば、平均粒子径が大きな造孔材(例えば、平均粒子径が隔壁の厚さ以上の造孔材)を、ハニカム構造体を製造する原料に添加して製造することができる。例えば、上記原料(即ち、平均粒子径が隔壁の厚さ以上の造孔材が添加された原料)からなる坏土を押出成形してハニカム成形体を得、得られたハニカム成形体を焼成することにより、上記造孔材により、隔壁の一方の表面から他方の表面に貫通するような気孔が形成され、隔壁表面の開口領域内に直径60μm以上の内接円が描かれる気孔が形成される。
造孔材としては、押出形成時の圧力により変形又は収縮して、押出形成用口金のスリットの隙間を通過するものであることが好ましい。例えば、造孔材としては、吸水性ポリマー、でんぷん等を挙げることができる。また、造孔材としては、例えば、ハニカム成形体を焼成する際に膨張し、隔壁表面の開口領域内に直径60μm以上の内接円が描かれる気孔を形成するものであってもよい。
造孔材の添加量は、隔壁の気孔率、直径60μm以上の内接円が描かれる気孔の比率(換言すれば、「直径60μm以上の内接円の面積比率」)、平均気孔径等を考慮して適宜選択することができる。また、造孔材の粒度分布も、直径60μm以上の内接円が描かれる気孔の比率に影響を及ぼすため、造孔材の粒度分布と造孔材の添加量とを調製して、上記坏土を調製することが好ましい。
例えば、本実施形態のハニカム構造体として、隔壁の厚さが110μmで、隔壁表面における直径60μm以上の内接円の面積比率が2〜10%となるハニカム構造体を製造する際には、造孔材の添加量を、成形用の坏土を調製する主原料(例えば、セラミック原料)100質量部に対して1.0〜8.0質量部とすることが好ましい。
(4)触媒担持ハニカム構造体(第四の発明):
次に、図12〜図14に示すように、本発明(第四の発明)の触媒担持ハニカム構造体200は、これまでに説明した第一の発明〜第三の発明のハニカム構造体(例えば、図1に示すハニカム構造体100)と、このハニカム構造体100の隔壁1の気孔6の内部に充填された触媒210と、を備え、隔壁1の気孔6の総容積に対する、触媒210が充填された気孔6の容積の比率が、70〜100%である触媒担持ハニカム構造体200である。
ここで、図12は、本発明(第四の発明)の触媒担持ハニカム構造体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。図13は、本発明(第四の発明)の触媒担持ハニカム構造体の一実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。図14は、本発明(第四の発明)の触媒担持ハニカム構造体の一実施形態の、セルの延びる方向に垂直な断面を拡大して示す模式図である。
図12〜図14においては、触媒担持ハニカム構造体200として、図1〜図3に示すハニカム構造体100を用いた場合の例を示しているが、図4〜図6に示すハニカム構造体120や、図8〜図10に示すハニカム構造体140を用いることもできる。なお、図12〜図14において、図1〜図3に示すハニカム構造体100と同様に構成された構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の触媒担持ハニカム構造体200においては、隔壁1の気孔6の総容積に対する、触媒210が充填された気孔6の容積の比率(以下、「触媒充填率」ということがある)が、70〜100%である。このように、本実施形態の触媒担持ハニカム構造体200は、大気孔6aの内部に、極めて多くの量の触媒210が充填されたものであり、被浄化成分の浄化を極めて良好に行うことができる。
触媒充填率は、70〜100%であることが好ましく、75〜100%であることが更に好ましく、80〜100%であることが特に好ましい。このように構成することによって、ハニカム構造体の隔壁に大気孔が形成されることにより、仮にハニカム構造体の強度が低下した場合であっても、上記大気孔を塞ぐように、より多くの量の触媒が充填されるため、この触媒によって大気孔が塞がれ、触媒担持ハニカム構造体200の強度を向上させることができる。
触媒充填率(即ち、隔壁の気孔の総容積に対する、触媒が充填された気孔の容積の比率)は、触媒担持ハニカム構造体をセルの延びる方向に垂直に切断し、その断面を走査電子顕微鏡(SEM)により撮像し、得られた画像を解析することにより得られた、「隔壁内の気孔面積(気孔の総面積)」に対する、「触媒が充填された気孔の面積」の比率として求めることができる。具体的には、上記SEM画像から、隔壁内の気孔面積と、隔壁内に充填した触媒面積を測定し、隔壁内の気孔に対して、触媒が充填した割合を求めることより、触媒充填率(%)を算出することができる。より具体的な算出方法としては、まず、本実施形態の触媒担持ハニカム構造体を、セルの延びる方向に垂直に切断する。次に、この断面を、走査電子顕微鏡(例えば、日立製作所社製の走査電子顕微鏡「S−3200N(商品名)」)の反射電子(アニュラー検出器)によって、倍率200倍、600×500μmの範囲で、隔壁交点部分を中心に20箇所の視野で撮影を行う。得られた画像の画像解析により、隔壁内の気孔面積と隔壁内に充填した触媒面積を測定する。「隔壁内の気孔面積」に対する、「触媒が充填された気孔の面積(換言すれば、触媒が充填した触媒面積)」の割合(%)を、「触媒充填率(%)」とすることができる。なお、「隔壁内の気孔面積」、及び「触媒が充填された気孔の面積」は、20視野(20箇所の視野による画像)の相加平均値とする。
本実施形態の触媒担持ハニカム構造体に用いられる触媒については、特に制限はないが、例えば、NO選択還元用SCR触媒、三元触媒、酸化触媒、NO吸蔵触媒などを挙げることができる。例えば、NO選択還元用SCR触媒は、触媒の担持量を比較的に多く必要とする触媒であるが、本実施形態の触媒担持ハニカム構造体は、触媒を担持(充填)可能な大気孔を有するハニカム構造体が用いられたものであるため、被浄化成分の浄化を行うのに十分な量の触媒を、気孔内に担持することができる。
NO選択還元用SCR触媒としては、金属置換ゼオライト、バナジウム、チタニア、酸化タングステン、銀、及びアルミナからなる群より選択される少なくとも1種を含有するものを挙げることができる。また、NO吸蔵触媒としては、アルカリ金属、及び/又はアルカリ土類金属等を挙げることができる。アルカリ金属としては、K、Na、Li等を挙げることができる。アルカリ土類金属としては、Caなどを挙げることができる。酸化触媒には、貴金属が含有され、この貴金属としては、Pt、Rh、及びPdからなる群より選択される1種以上が好ましい。三元触媒とは、主に炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO)を浄化する触媒のことをいう。例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)を含む触媒を挙げることができる。この三元触媒により、炭化水素は水と二酸化炭素に、一酸化炭素は二酸化炭素に、窒素酸化物は窒素に、それぞれ酸化又は還元によって浄化される。
(5)ハニカム構造体の製造方法(第五の発明):
次に、本発明(第五の発明)のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態について説明する。本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、これまでに説明した第一の発明〜第三の発明のハニカム構造体を好適に製造することができるハニカム構造体の製造方法である。
本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、セラミック原料を含有する成形原料を混合し混練して坏土を得る坏土調製工程と、得られた坏土をハニカム形状に成形してハニカム成形体を得る成形工程と、得られたハニカム成形体を乾燥し、焼成して、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を備えたハニカム構造体を得る焼成工程と、を備え、上記坏土調製工程において、セラミック原料に、得られるハニカム構造体の隔壁の厚さよりも、平均粒子径が大きな造孔材を添加して坏土を調整するハニカム構造体の製造方法である。
本実施形態のハニカム構造体の製造方法によれば、得られるハニカム構造体の隔壁に、従来のハニカム構造体と比較して極めて大きな(例えば、隔壁の厚さよりも大きな)気孔を形成することができる。また、得られるハニカム構造体の隔壁の厚さよりも、平均粒子径が大きな造孔材を添加して坏土を調整することにより、例えば、得られるハニカム構造体として、隔壁をセルの延びる方向に垂直に切断した断面における、この断面中の全ての気孔の総面積に対する、断面中の気孔内に描かれる内接円のうち、直径90μm以上の内接円の面積の総和の比率が、10〜50%であるハニカム構造体を簡便に製造することができる。更に、得られるハニカム構造体として、隔壁の表面における、隔壁の表面の面積に対する、隔壁の表面に開口する気孔の開口領域内に描かれる内接円のうち、直径60μm以上の内接円の面積の総和の比率が、2〜10%であるハニカム構造体も簡便に製造することができる。
造孔材としては、例えば、押出形成時の圧力により変形又は収縮して、押出形成用口金のスリットの隙間を通過するもの(例えば、収縮性を有する造孔材)であることが好ましい。例えば、造孔材としては、吸水性ポリマー、でんぷん等を挙げることができる。造孔材が吸水性ポリマーである場合には、この吸水性ポリマーの飽和吸水状態における平均粒子径が、隔壁の厚さよりも大であることが更に好ましい。
以下、本実施形態のハニカム構造体の製造方法について、各製造工程毎に更に詳細に説明する。
(5−1)坏土調製工程:
まず、本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、セラミック原料を含有する成形原料を混合し混練して坏土を得る(坏土調製工程)。坏土調製工程においては、上記セラミック原料に、得られるハニカム構造体の隔壁の厚さよりも、平均粒子径が大きな造孔材を添加する。
成形原料に含有されるセラミック原料としては、コージェライト化原料、コージェライト、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、ムライト、アルミナ、チタン酸アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素−コージェライト系複合材料からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。なお、コージェライト化原料とは、シリカが42〜56質量%、アルミナが30〜45質量%、マグネシアが12〜16質量%の範囲に入る化学組成となるように配合されたセラミック原料であって、焼成されてコージェライトになるものである。
造孔材は、得られるハニカム構造体の隔壁の厚さよりも、平均粒子径が大きなものであれば特に制限はないが、上述したように、吸水性ポリマー、でんぷん等を好適に用いることができる。吸水性ポリマー等は、収縮性を有する粒子であるため、押出形成用口金のスリットよりも大きな粒子であっても、そのスリットの隙間を変形して通過することができる。
造孔材の添加量としては、主原料系(例えば、成形原料に含有されるセラミック原料)100質量部に対して、1.0〜8.0質量部であることが好ましく、1.0〜6.0質量部であることが更に好ましく、1.0〜4.0質量部であることが特に好ましい。造孔材の添加量が、1.0質量部未満であると、隔壁中に形成される大気孔の比率が減少し、得られるハニカム構造体に担持できる触媒量が少なくなってしまうことがある。一方、造孔材の添加量が、8.0質量部を超えると、大気孔の比率が大きくなり過ぎて、得られるハニカム構造体の強度が低下してしまうことがある。
造孔材の平均粒子径は、得られるハニカム構造体の隔壁の厚さよりも大であれば特に制限はないが、隔壁の厚さの、1.2〜2.5倍の大きさであることが好ましく、1.2〜2.0倍の大きさであることが更に好ましく、1.2〜1.5倍の大きさであることが好ましい。造孔材の平均粒子径が、隔壁の厚さの1.2倍未満であると、隔壁の厚さよりも気孔径が大きな気孔が実際に形成され難く、大気孔の容積比率が低くなってしまう。一方、隔壁の厚さの2.5倍を超えると、造孔材が押出成形用口金のスリットに詰まってしまうことがある。
造孔材の粒度分布は、粒度分布における最も大きいピークが、得られるハニカム構造体の隔壁の厚さ(リブ厚)の1.2倍以上の粒径によるものであることが好ましい。これにより触媒コート性を向上することができる。
また、成形原料は、上記セラミック原料及び造孔材に、分散媒、有機バインダー、無機バインダー、界面活性剤等を更に混合して調製することが好ましい。各原料の組成比は、特に限定されず、作製しようとするハニカム構造体の構造、材質等に合わせた組成比とすることが好ましい。
分散媒としては、水を用いることができる。分散媒の添加量は、セラミック原料100質量部に対して、30〜150質量部であることが好ましい。
有機バインダーとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、又はこれらを組み合わせたものとすることが好ましい。また、有機バインダーの添加量は、セラミック原料100質量部に対して、1〜10質量部が好ましい。
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の添加量は、セラミック原料100質量部に対して、0.1〜5.0質量部が好ましい。
成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。
(5−2)成形工程:
次に、得られた坏土をハニカム形状に成形してハニカム成形体を得る(成形工程)。坏土を成形してハニカム成形体を形成する方法としては特に制限はなく、押出成形、射出成形等の公知の成形方法を用いることができる。例えば、所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を用いて押出成形してハニカム成形体を形成する方法等を好適例として挙げることができる。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、得られるハニカム構造体の隔壁の厚さよりも、平均粒子径が大きな造孔材が用いられているため、造孔材のうちの一部の粒子は、押出成形に使用される押出形成用口金のスリットの幅よりも大きな粒子であるが、吸水性ポリマー等の造孔材は、押出形成時の圧力により変形や収縮を起こし、上記スリットを通過することとなる。
ハニカム成形体の形状は、特に限定されず、円筒形状、端面が楕円形の筒形状、端面が「正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、八角形等」の多角形の筒形状、等が好ましい。
(5−3)焼成工程:
次に、得られたハニカム成形体を乾燥し、焼成して、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を備えたハニカム構造体を得る(焼成工程)。このようにして、隔壁中に、従来のハニカム構造体に比して大きな気孔が形成されたハニカム構造体を良好に製造することができる。
乾燥方法は、特に限定されるものではないが、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等を挙げることができ、なかでも、誘電乾燥、マイクロ波乾燥又は熱風乾燥を単独で又は組み合わせて行うことが好ましい。
ハニカム成形体を焼成(本焼成)する前には、このハニカム成形体を仮焼することが好ましい。仮焼は、脱脂のために行うものであり、その方法は、特に限定されるものではなく、ハニカム成形体中の有機物(有機バインダ、界面活性剤、造孔材等)の少なくとも一部を除去することができればよい。一般に、有機バインダーの燃焼温度は100〜300℃程度、造孔材の燃焼温度は200〜800℃程度であるので、仮焼の条件としては、酸化雰囲気において、200〜1000℃程度で、10〜100時間程度加熱することが好ましい。
ハニカム成形体の焼成(本焼成)は、仮焼した成形体を構成する成形原料を焼結させて緻密化し、所定の強度を確保するために行われる。焼成条件(温度、時間、雰囲気)は、成形原料の種類により異なるため、その種類に応じて適当な条件を選択すればよい。例えば、コージェライト化原料を使用している場合には、焼成温度は、1350〜1440℃が好ましい。また、焼成時間は、最高温度でのキープ時間として、3〜10時間が好ましい。仮焼、本焼成を行う装置は、特に限定されないが、電気炉、ガス炉等を用いることができる。
(6)ハニカム構造体の製造方法(第六の発明):
次に、本発明(第六の発明)のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態について説明する。本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、これまでに説明した第一の発明〜第三の発明のハニカム構造体を好適に製造することができるハニカム構造体の製造方法である。
本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、セラミック原料を含有する成形原料を混合し混練して坏土を得る坏土調製工程と、得られた坏土をハニカム形状に成形してハニカム成形体を得る成形工程と、得られたハニカム成形体を乾燥し、焼成して、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を備えたハニカム構造体を得る焼成工程と、を備え、上記坏土調製工程において、セラミック原料に、得られるハニカム構造体の隔壁の厚さよりも平均粒子径が小さく、且つ、熱膨張によって隔壁の厚さよりも平均粒子径が大きくなる造孔材を添加して坏土を調整するハニカム構造体の製造方法である。
本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、上述した第五の発明のハニカム構造体の製造方法に用いられる「平均粒子径が大きな造孔材」に代えて、「得られるハニカム構造体の隔壁の厚さよりも平均粒子径が小さく、且つ、熱膨張によって隔壁の厚さよりも平均粒子径が大きくなる造孔材」を用いること以外は、上述した第五の発明の実施形態と同様の方法によってハニカム構造体を製造することができる。
成形体の焼成時において、坏土に添加された上記造孔材が膨張して、隔壁に大気孔を形成することができる。このような膨張性を有する造孔材としては、未膨張の発泡樹脂を好適例として挙げることができる。発泡樹脂の具体例としては、アクリル系マイクロカプセル等を挙げることができる。
本実施形態のハニカム構造体の製造方法に用いられる造孔材は、坏土の調製時、及び、押出成形時において、得られるハニカム構造体の隔壁の厚さ(換言すれば、押出成形用口金のスリットの幅)よりも、平均粒子径が小さいものであることが好ましい。即ち、押出成形が終了し、成形体を得るまでは、造孔材が未膨張であることが好ましい。このような造孔材を用いることにより、押出成形を良好に行うことができる。
未膨張状態の造孔材の平均粒子径については特に制限はない。但し、焼成工程における焼成時には、隔壁の厚さよりも平均粒子径が大きく膨張するものであることが好ましい。
膨張状態の造孔材の平均粒子径は、隔壁の厚さの、1.2〜2.5倍の大きさであることが好ましく、1.2〜2.0倍の大きさであることが更に好ましく、1.2〜1.5倍の大きさであることが特に好ましい。造孔材の平均粒子径が、隔壁の厚さの1.2倍未満であると、隔壁の厚さよりも気孔径が大きな気孔が実際に形成され難く、大気孔の容積比率が低くなってしまう。膨張状態の造孔材の平均粒子径は、以下の測定方法によって測定することができる。まず、未膨張発泡樹脂と分散剤とを混合して未膨張発泡樹脂を含有するスラリーを得る。次に、得られたスラリーに蒸気を当てて、スラリー中の未膨張発泡樹脂を発泡させる。その後、その発泡させた発泡樹脂の粒度を、従来公知の方法によって測定することによって、膨張状態の造孔材の平均粒子径を測定することができる。
造孔材の膨張率については特に制限はない。造孔材の膨張率とは、未膨張状態の造孔材の平均粒子径に対する、膨張状態の造孔材の平均粒子径の比率(倍率)のことをいう。例えば、造孔材の膨張率が、1.2倍以上であることが好ましく、1.5倍以上であることが更に好ましく、2倍以上であることが特に好ましい。造孔材の膨張率が1.2倍未満であると、成形時に口金のスリットに造孔材が詰まることがある。
造孔材の添加量としては、主原料系(例えば、成形原料に含有されるセラミック原料)100質量部に対して、2〜15質量部であることが好ましく、2〜10質量部であることが更に好ましく、4〜8質量部であることが特に好ましい。造孔材の添加量が、2質量部未満であると、隔壁中に形成される大気孔の比率が減少し、得られるハニカム構造体に担持できる触媒量が少なくなってしまうことがある。一方、造孔材の添加量が、15質量部を超えると、大気孔の比率が大きくなり過ぎて、得られるハニカム構造体の強度が低下してしまうことがある。
以下、本発明のハニカム構造体及びその製造方法を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1においては、セラミック原料として、コージェライト化原料を用い、このコージェライト化原料に、造孔材として吸水性ポリマーを加えて坏土を調製し、得られた坏土を押出成形してハニカム成形体を得、得られたハニカム成形体を焼成してハニカム構造体を作製した。ハニカム構造体の隔壁厚さを、100μmとした。
まず、坏土の調製においては、コージェライト化原料として、タルク、カオリン、焼カオリン、アルミナ、及び水酸化アルミニウムを用いた。コージェライト化原料の質量比は、タルクが40質量部、カオリンが15質量部、焼カオリンが28質量部、アルミナ12質量部、水酸化アルミニウムは5質量部とした。また、タルクの平均粒子径は10μmであり、カオリンの平均粒子径は5μmであり、焼カオリンの平均粒子径は2μmであり、アルミナの平均粒子径は5μmであり、水酸化アルミニウムの平均粒子径は1μmであった。
上記コージェライト化原料100質量部に対して、造孔材として、平均粒子径が125μmの吸水性ポリマーを1.0質量部加えた。更に、バインダーとして、メチルセルロースを5.6質量部、界面活性剤として、ラウリン酸カリ石鹸を0.5質量部、水を50質量部加えて成形原料を得た。得られた成形原料を、ニーダーを用いて混練して、坏土を得た。
次に、得られた坏土を押出成形して、ハニカム成形体を得た。押出成形用の口金のスリットの幅は、ハニカム構造体の隔壁厚さに対応した110μmである。得られたハニカム成形体は、隔壁厚さが100μmであり、セル密度が62個/cmであり、全体形状が円筒形(端面の直径が70mm、セルの延びる方向における長さが120mm)であった。セル形状は、セルの延びる方向に直交する形状が正方形であった。得られたハニカム成形体を、マイクロ波及び熱風で乾燥させた。
次に、ハニカム成形体を、200℃で12時間加熱することにより脱脂を行い、更に、1425℃で7時間加熱することにより焼成を行い、ハニカム構造体を得た。
得られたハニカム構造体について、以下に示す方法で、「隔壁の厚さよりも気孔径が大きな気孔の容積比率(%)」、「直径90μm以上の内接円の面積比率(%)」、「直径60μm以上の内接円の面積比率(%)」、「気孔率(%)」、「平均気孔径(%)」、「熱膨張係数(ppm/K)」、「触媒充填率(%)」、「触媒付圧損比(−)」、「アイソスタティック強度(MPa)」を測定した。測定結果を表2に示す。
[隔壁の厚さよりも気孔径が大きな気孔の容積比率(%)]
ハニカム構造体の隔壁に形成された気孔の気孔分布(細孔分布)を測定し、この気孔分布において、ハニカム構造体の隔壁の厚さ(100μm)よりも気孔径が大きな気孔を、「隔壁の厚さよりも気孔径が大きな気孔」とした。「隔壁の厚さよりも気孔径が大きな気孔の容積比率(%)」は、上記気孔分布において、ハニカム構造体の隔壁の厚さ以上となる気孔径の、気孔分布全体に占める比率(%)として算出した。気孔分布は、Micromeritics社製、商品名:Autopore 9500によって測定した。
[直径90μm以上の内接円の面積比率(%)]
ハニカム構造体を、セルの延びる方向に垂直に切断し、その切断面の画像を、日立製作所社製の走査電子顕微鏡「S−3200N(商品名)」の反射電子(アニュラー検出器)によって撮像する。切断面の撮像は、ハニカム構造体のセルの延びる方向に垂直な面について、倍率200倍、600×500μmの範囲で行うこととし、隔壁交点部を中心に20箇所の視野について行う。次に、得られた画像を、輝度ヒストグラムの分布モード(頻値輝度)間の谷を閾値として二値化処理(モード法による二値化処理)を行う。次に、膨張処理と収縮処理とを、交互1回ずつ行うことによりクロージング処理を行って、隔壁の領域(以下、「隔壁領域」ということがある)を更に抽出する。クロージング処理は、まず、200画素の大きさで膨張処理を行い、次に、200画素の大きさで収縮処理を行った。次に、得られた隔壁領域を膨張させて、膨張させた隔壁領域を、気孔判別のための解析領域とする。
次に、膨張させた解析領域に、輝度ヒストグラムの分布モード(頻値輝度)間の谷を閾値として二値化処理(モード法による二値化処理)を行う。次に、二値化処理を行った画像に、直径90μm以上の内接円を当てはめる。この際、隔壁の実体部分に、上記内接円が重ならないようにする。内接円が当てはめられた場合には、この内接円の位置を座標として特定する。また、この内接円の直径を算出し、内接円の直径から、当該内接円の面積を算出する。内接円の位置については、画像内にX軸とY軸とを規定して、内接円の中心のX座標とY座標とを求めた。次に、当てはめられた内接円を、「解析領域」から更に除く処理を行う。
次に、当てはめられた内接円を、「解析領域」から更に除く処理を行う。その後、内接円が除かれた解析領域に、再度、直径90μm以上の内接円を当てはめて、内接円が当てはめられた場合には、この内接円の位置の座標を特定し、更に、この内接円の直径から、当該内接円の面積を算出する。以下、「直径90μm以上の内接円」が当てはめられなくなるまで上記操作を繰り返し、直径90μm以上の内接円が描かれる気孔全てに、内接円を当てはめる。得られた内接円の面積を加算して、「直径90μm以上の内接円の面積の総和」を算出する。
また、上記切断面の画像から、「断面中の全ての気孔の総面積」を、輝度ヒストグラムの分布モード(頻値輝度)間の谷を閾値として求める。
その後、「断面中の全ての気孔の総面積」に対する、「直径90μm以上の内接円の面積の総和」の比率(直径90μm以上の内接円の面積比率(%))を算出する。「直径90μm以上の内接円の面積の総和」、及び「断面中の全ての気孔の総面積」は、20視野(20箇所の視野による画像)の相加平均値とする。従って、「直径90μm以上の内接円の面積比率(%)」は、「直径90μm以上の内接円の面積の総和」及び「断面中の全ての気孔の総面積」の相加平均値を用いて算出された値となる。
[直径60μm以上の内接円の面積比率(%)]
まず、ハニカム構造体の隔壁表面が観察できるように、ハニカム構造体をセルの延びる方向に平行に切断する。次に、隔壁表面の画像を、日立製作所社製の走査電子顕微鏡「S−3200N(商品名)」の反射電子(アニュラー検出器)によって撮像する。隔壁表面の撮像は、隔壁表面に対して垂直な方向から行うものとする。また、隔壁表面の撮像は、倍率100倍、1200×1000μmの範囲で行うこととし、20箇所の視野について行う。次に、得られた画像を、元画像と平滑化した画像の差分を取り、差分画像において輝度20を閾値として二値化処理(動的閾値法による二値化処理)を行う。次に、直径60μm以上の内接円が当てはまらない極めて微小な領域を条件でノイズ処理を行い、抽出された空隙部分のうちの微小な領域を除去する。上記ノイズ処理を行った後の領域を「解析領域」とする。
次に、「解析領域」に、直径60μm以上の内接円を当てはめる。この際、隔壁の実体部分に、上記内接円が重ならないようにする。内接円が当てはめられた場合には、この内接円の位置を座標として特定する。また、この内接円の直径を算出し、内接円の直径から、当該内接円の面積を算出する。内接円の位置については、画像内にX軸とY軸とを規定して、内接円の中心のX座標とY座標とを求める。
次に、当てはめられた内接円を、「解析領域」から更に除く処理を行う。その後、内接円が除かれた解析領域に、再度、直径60μm以上の内接円を当てはめて、内接円が当てはめられた場合には、この内接円の位置の座標を特定し、更に、この内接円の直径から、当該内接円の面積を算出する。以下、「直径60μm以上の内接円」が当てはめられなくなるまで上記操作を繰り返し、直径60μm以上の内接円が描かれる気孔全てに、内接円を当てはめる。得られた内接円の面積を加算して、「直径60μm以上の内接円の面積の総和」を算出する。
また、「隔壁の表面の面積」は、上記画像に撮像された隔壁の表面を求めることによって測定することができる。
その後、「隔壁の表面の面積」に対する、「直径60μm以上の内接円の面積の総和」の比率(直径60μm以上の内接円の面積比率(%))を算出する。「直径60μm以上の内接円の面積の総和」、及び「隔壁の表面の面積」は、20視野(20箇所の視野による画像)の相加平均値とする。従って、「直径60μm以上の内接円の面積比率(%)」は、「直径60μm以上の内接円の面積の総和」及び「隔壁の表面の面積」の相加平均値を用いて算出された値となる。
[気孔率(%)]
Micromeritics社製、商品名:Autopore 9500を用いて、水銀圧入法により気孔率(%)を測定する。
[平均気孔径(%)]
Micromeritics社製、商品名:Autopore 9500を用いて、水銀圧入法により平均細孔径(%)を測定する。
[熱膨張係数(ppm/K)]
理学社製、商品名:2S−TMAを用いて、熱膨張係数(ppm/K)を測定する。
[触媒充填率(%)]
まず、ハニカム構造体に対して、触媒量260g/Lで触媒付けを行った触媒担持ハニカム構造体をセルの延びる方向に垂直に切断する。次に、この断面を、日立製作所社製の走査電子顕微鏡「S−3200N(商品名)」の反射電子(アニュラー検出器)によって、倍率200倍、600×500μmの範囲で、隔壁交点部分を中心に20箇所の視野で撮影を行う。得られた画像の画像解析により、隔壁内の気孔面積と隔壁内に充填した触媒面積を測定する。隔壁内の気孔面積に対する、触媒が充填した触媒面積の割合(%)を、「触媒充填率(%)」とした。
[触媒付圧損比(−)]
比較例1の圧力損失に対する、各実施例及び比較例のハニカム構造体の圧力損失の比率を算出した。各実施例及び比較例のハニカム構造体の圧力損失は、上記触媒充填率(%)の測定において触媒が担持された状態における圧力損失である。圧力損失の測定は、以下の方法で行った。まず、触媒付けを行った後のハニカム構造体(触媒担持ハニカム構造体)に、セラミックマットを巻き、その触媒担持ハニカム構造体を容器に入れた。次に、触媒担持ハニカム構造体の内部に、毎分3立方メートルの室温空気を流し、触媒担持ハニカム構造体の、上流側端面と、下流側端面とにおける圧力を測定し、その圧力差(差圧)を求めた。上記「圧力差」を、「触媒付圧損比(−)」とする。
[アイソスタティック強度(MPa)]
フレキシブルチューブ内にハニカム構造体を挿入し、水圧による均等圧を掛け、部分破壊を生じた圧力を測定した。部分破壊を生じた圧力を、アイソスタティック強度(MPa)とする。
(実施例2〜24、比較例1〜7)
造孔材として、表1及び表3に示すような「吸収性ポリマー」或いは「未膨張発泡樹脂」を用い、且つ、水の配合量を表1及び表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法でハニカム構造体を製造した。なお、未膨張発泡樹脂は、アクリル系マイクロカプセルを用いた。また、表3における未膨張発泡樹脂の平均粒子径は、未膨張発泡樹脂が膨張した後の平均粒子径を示す。
実施例2〜24、及び比較例1〜7のハニカム構造体について、実施例1と同様の方法で、「隔壁の厚さよりも気孔径が大きな気孔の容積比率(%)」、「直径90μm以上の内接円の面積比率(%)」、「直径60μm以上の内接円の面積比率(%)」、「気孔率(%)」、「平均気孔径(%)」、「熱膨張係数(ppm/K)」、「触媒充填率(%)」、「触媒付圧損比(−)」、「アイソスタティック強度(MPa)」を測定した。測定結果を表2及び表4に示す。また、実施例7のハニカム構造体の「直径90μm以上の内接円の面積比率」の測定に用いた顕微鏡写真を図15に示す。実施例7のハニカム構造体の「直径60μm以上の内接円の面積比率」の測定に用いた顕微鏡写真を図16に示す。比較例1のハニカム構造体の「直径90μm以上の内接円の面積比率」の測定に用いた顕微鏡写真を図17に示す。
表2及び表4に示すように、実施例1〜24のハニカム構造体は、圧力損失比(−)が小さいものであった。また、圧力損失比(−)が同程度の比較例のハニカム構造体と比較して、アイソスタティック強度が高いものであった。比較例7のハニカム構造体は、「隔壁の厚さよりも気孔径が大きな気孔の容積比率(%)」、「直径90μm以上の内接円の面積比率(%)」、及び「直径60μm以上の内接円の面積比率(%)」が共に大きすぎ、触媒を大量に担持することができるものの、アイソスタティック強度が極めて低いものであった。
本発明のハニカム構造体は、触媒を担持する触媒担体として利用することができる。また、ハニカム構造体の製造方法は、このようなハニカム構造体の製造に好適に利用することができる。
1,21,41:隔壁、2,22,42:セル、3,23,43:外周壁、6,26,46:気孔、6a,26a,46a:気孔(隔壁の厚さよりも気孔径が大きな気孔)、27a,27b,47,47a,47b:内接円、100,120,140:ハニカム構造体、200:触媒担持ハニカム構造体、210:触媒。

Claims (8)

  1. 流体の流路となる複数のセルを区画形成する、複数の気孔が形成された多孔質の隔壁を備え、
    前記隔壁を前記セルの延びる方向に垂直に切断した断面における、前記断面中の全ての気孔の総面積に対する、断面中の気孔内に描かれる内接円のうち、直径90μm以上の内接円の面積の総和の比率が、10〜50%であるハニカム構造体。
  2. 前記隔壁の表面における、前記隔壁の表面の面積に対する、前記隔壁の表面に開口する気孔の開口領域内に描かれる内接円のうち、直径60μm以上の内接円の面積の総和の比率が、2〜10%である請求項1に記載のハニカム構造体。
  3. 流体の流路となる複数のセルを区画形成する、複数の気孔が形成された多孔質の隔壁を備え、
    前記隔壁の表面における、前記隔壁の表面の面積に対する、前記隔壁の表面に開口する気孔の開口領域内に描かれる内接円のうち、直径60μm以上の内接円の面積の総和の比率が、2〜10%であるハニカム構造体。
  4. 前記隔壁には、前記セルの延びる方向に垂直な断面における前記隔壁の厚さよりも気孔径が大きな気孔が、前記隔壁に形成された前記気孔の総容積に対して4〜11%形成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  5. 前記隔壁がセラミックスを含む材料からなり、前記隔壁が、気孔率40〜70%で、且つ平均気孔径10〜70μmである請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  6. 前記隔壁が、コージェライト、炭化珪素、アルミニウムチタネート、及びムライトからなる群より選択される少なくとも一種のセラミックスを含む材料からなる請求項1〜5のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  7. 前記隔壁の厚さが、50〜350μmであり、セル密度が、15.5〜155個/cmである請求項1〜6のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のハニカム構造体と、前記ハニカム構造体の前記隔壁の前記気孔の内部に充填された触媒と、を備え、
    前記隔壁の前記気孔の総容積に対する、前記触媒が充填された前記気孔の容積の比率が、70〜100%である触媒担持ハニカム構造体。
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