以下、図面を用いて、本発明の実施形態1に係る遊技台(例えば、パチンコ機100等の弾球遊技機やスロット機等の回胴遊技機)について詳細に説明する。
<全体構成>
まず、図1を用いて、本発明の実施形態1に係るパチンコ機100の全体構成について説明する。なお、同図はパチンコ機100を正面側(遊技者側)から見た外観斜視図である。
パチンコ機100は、外部的構造として、外枠102と、本体104と、前面枠扉106と、球貯留皿付扉108と、発射装置110と、遊技盤200と、をその前面に備える。外枠102は、遊技機設置営業店に設けられた設置場所(島設備等)へと固定させるための縦長方形状から成る木製の枠部材である。本体104は、内枠と呼ばれ、外枠102の内部に備えられ、ヒンジ部112を介して外枠102に回動自在に装着された縦長方形状の遊技機基軸体となる部材である。また、本体104は、枠状に形成され、内側に空間部114を有している。また、本体104が開放された場合、本体104の開放を検出する不図示の内枠開放センサを備える。
前面枠扉106は、ロック機能付きで且つ開閉自在となるようにパチンコ機100の前面側となる本体104の前面に対しヒンジ部112を介して装着され、枠状に構成されることでその内側を開口部とした扉部材である。なお、この前面枠扉106には、開口部にガラス製又は樹脂製の透明板部材118が設けられ、前面側には、スピーカ120や枠ランプ122が取り付けられている。前面枠扉106の後面と遊技盤200の前面とで遊技領域124を区画形成する。また、前面枠扉106が開放された場合、前面枠扉106の開放を検出する不図示の前面枠扉開放センサを備える。
球貯留皿付扉108は、パチンコ機100の前面において本体104の下側に対して、ロック機能付きで且つ開閉自在となるように装着された扉部材である。球貯留皿付扉108は、複数の遊技球(以下、単に「球」と称する場合がある)が貯留可能で且つ発射装置110へと遊技球を案内させる通路が設けられている上皿126と、上皿126に貯留しきれない遊技球を貯留する下皿128と、遊技者の操作によって上皿126に貯留された遊技球を下皿128へと排出させる球抜ボタン130と、遊技者の操作によって下皿128に貯留された遊技球を遊技球収集容器(俗称、ドル箱)へと排出させる球排出レバー132と、遊技者の操作によって発射装置110へと案内された遊技球を遊技盤200の遊技領域124へと打ち出す球発射ハンドル134と、遊技者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136と、チャンスボタン136を発光させるチャンスボタンランプ138と、遊技店に設置されたカードユニット(CRユニット)に対して球貸し指示を行う球貸操作ボタン140と、カードユニットに対して遊技者の残高の返却指示を行う返却操作ボタン142と、遊技者の残高やカードユニットの状態を表示する球貸表示部144と、を備える。また、下皿128が満タンであることを検出する不図示の下皿満タンセンサを備える。
発射装置110は、本体104の下方に取り付けられ、球発射ハンドル134が遊技者に操作されることによって回動する発射杆146と、遊技球を発射杆146の先端で打突する発射槌148と、を備える。遊技盤200は、前面に遊技領域124を有し、本体104の空間部114に臨むように、所定の固定部材を用いて本体104に着脱自在に装着されている。なお、遊技領域124は、遊技盤200を本体104に装着した後、開口部から観察することができる。
図2は、図1のパチンコ機100を背面側から見た外観図である。パチンコ機100の背面上部には、上方に開口した開口部を有し、遊技球を一時的に貯留するための球タンク150と、この球タンク150の下方に位置し、球タンク150の底部に形成した連通孔を通過して落下する球を背面右側に位置する払出装置152に導くためのタンクレール154とを配設している。
払出装置152は、筒状の部材からなり、その内部には、不図示の払出モータとスプロケットと払出センサとを備えている。スプロケットは、払出モータによって回転可能に構成されており、タンクレール154を通過して払出装置152内に流下した遊技球を一時的に滞留させると共に、払出モータを駆動して所定角度だけ回転することにより、一時的に滞留した遊技球を払出装置152の下方へ1個ずつ送り出すように構成している。なお、タンクレール154と払出装置152の係合構造は本発明の特徴点の一つであるため、その詳細な構造については、後述の<タンクレールと払出装置の係合構造>において説明する。
払出センサは、スプロケットが送り出した遊技球の通過を検知するためのセンサであり、遊技球が通過しているときにハイまたはローの何れか一方の信号を、遊技球が通過していないときはハイまたはローの何れか他方の信号を払出制御部600へ出力する。なお、この払出センサを通過した遊技球は、後述する払出通路ユニット300と排出口ユニット400を通過してパチンコ機100の表側に配設した上皿126に到達するように構成しており、パチンコ機100は、この構成により遊技者に対して球の払い出しを行う。なお、払出通路ユニット300と排出口ユニット400の係合構造は本発明の特徴点の一つであるため、その詳細な構造については、後述の<払出通路ユニットと排出口ユニットの係合構造>において説明する。
払出装置152の図中左側には、遊技全般の制御処理を行う主制御部300を構成する主基板156を収納する主基板ケース158、主制御部300が生成した処理情報に基づいて演出に関する制御処理を行う第1副制御部400を構成する第1副基板160を収納する第1副基板ケース162、第1副制御部400が生成した処理情報に基づいて演出に関する制御処理を行う第2副制御部500を構成する第2副基板164を収納する第2副基板ケース166、遊技球の払出に関する制御処理を行う払出制御部600を構成するとともに遊技店員の操作によってエラーを解除するエラー解除スイッチ168を備える払出基板170を収納する払出基板ケース172、遊技球の発射に関する制御処理を行う発射制御部630を構成する発射基板174を収納する発射基板ケース176、各種電気的遊技機器に電源を供給する電源制御部660を構成するとともに遊技店員の操作によって電源をオンオフする電源スイッチ178と電源投入時に操作されることによってRWMクリア信号を主制御部300に出力するRWMクリアスイッチ180とを備える電源基板182を収納する電源基板ケース184、および払出制御部600とカードユニットとの信号の送受信を行うCRインターフェース部186を配設している。
図3は、遊技盤200を正面から見た略示正面図である。遊技盤200には、外レール202と内レール204とを配設し、遊技球が転動可能な遊技領域124を区画形成している。
遊技領域124の略中央には、演出装置206を配設している。この演出装置206には、略中央に装飾図柄表示装置208を配設し、その周囲に、普通図柄表示装置210と、第1特別図柄表示装置212と、第2特別図柄表示装置214と、普通図柄保留ランプ216と、第1特別図柄保留ランプ218と、第2特別図柄保留ランプ220と、高確中ランプ222を配設している。なお、以下、普通図柄を「普図」、特別図柄を「特図」と称する場合がある。演出装置206は、演出可動体224を動作して演出を行うものであり、詳細については後述する。
装飾図柄表示装置208は、装飾図柄ならびに演出に用いる様々な表示を行うための表示装置であり、本実施例では液晶表示装置(Liquid Crystal Display)によって構成する。この装飾図柄表示装置208は、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cおよび演出表示領域208dの4つの表示領域に分割し、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208bおよび右図柄表示領域208cはそれぞれ異なった装飾図柄を表示し、演出表示領域208dは演出に用いる画像を表示する。さらに、各表示領域208a、208b、208c、208dの位置や大きさは、装飾図柄表示装置208の表示画面内で自由に変更することを可能としている。なお、装飾図柄表示装置208として液晶表示装置を採用しているが、液晶表示装置でなくとも、種々の演出や種々の遊技情報を表示可能に構成されていればよく、例えば、ドットマトリクス表示装置、7セグメント表示装置、有機EL(ElectroLuminescence)表示装置、リール(ドラム)式表示装置、リーフ式表示装置、プラズマディスプレイ、プロジェクタを含む他の表示デバイスを採用してもよい。
普図表示装置210は、普図の表示を行うための表示装置であり、本実施例では7セグメントLEDによって構成する。第1特図表示装置212および第2特図表示装置214は、特図の表示を行うための表示装置であり、本実施例では7セグメントLEDによって構成する。
普図保留ランプ216は、保留している普図変動遊技(詳細は後述)の数を示すためのランプであり、本実施例では、普図変動遊技を所定数(例えば、2つ)まで保留することを可能としている。第1特図保留ランプ218および第2特図保留ランプ220は、保留している特図変動遊技(詳細は後述)の数を示すためのランプであり、本実施例では、特図変動遊技を所定数(例えば、4つ)まで保留することを可能としている。高確中ランプ222は、遊技状態が大当りが発生し易い高確率状態であること、または高確率状態になることを示すためのランプであり、遊技状態を大当りが発生し難い低確率状態から高確率状態にする場合に点灯し、高確率状態から低確率状態にする場合に消灯する。
また、この演出装置206の周囲には、所定の球進入口、例えば、一般入賞口226と、普図始動口228と、第1特図始動口230と、第2特図始動口232と、可変入賞口234を配設している。
一般入賞口226は、本実施例では遊技盤200に複数配設しており、この一般入賞口226への入球を所定の球検出センサ(図示省略)が検出した場合(一般入賞口226に入賞した場合)、払出装置152を駆動し、所定の個数(例えば、10個)の球を賞球として上皿126に排出する。上皿126に排出した球は遊技者が自由に取り出すことが可能であり、これらの構成により、入賞に基づいて賞球を遊技者に払い出すようにしている。なお、一般入賞口226に入球した球は、パチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出する。本実施例では、入賞の対価として遊技者に払い出す球を「賞球」、遊技者に貸し出す球を「貸球」と区別して呼ぶ場合があり、「賞球」と「貸球」を総称して「球(遊技球)」と呼ぶ。
普図始動口228は、ゲートやスルーチャッカーと呼ばれる、遊技領域124の所定の領域を球が通過したか否かを判定するための装置で構成しており、本実施例では遊技盤200の左側に1つ配設している。普図始動口228を通過した球は一般入賞口226に入球した球と違って、遊技島側に排出することはない。球が普図始動口228を通過したことを所定の球検出センサが検出した場合、パチンコ機100は、普図表示装置210による普図変動遊技を開始する。
第1特図始動口230は、本実施例では遊技盤200の中央に1つだけ配設している。この第1特図始動口230への入球を所定の球検出センサが検出した場合、後述する払出装置152を駆動し、所定の個数(例えば、3個)の球を賞球として上皿126に排出するとともに、第1特図表示装置212による特図変動遊技を開始する。なお、第1特図始動口230に入球した球は、パチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出する。
第2特図始動口232は、電動チューリップ(電チュー)と呼ばれ、本実施例では第1特図始動口230の真下に1つだけ配設している。この第2特図始動口232は、左右に開閉自在な羽根部材232aを備え、羽根部材232aの閉鎖中は球の入球が不可能であり、普図変動遊技に当選し、普図表示装置210が当たり図柄を停止表示した場合に羽根部材232aが所定の時間間隔、所定の回数で開閉する。第2特図始動口232への入球を所定の球検出センサが検出した場合、払出装置152を駆動し、所定の個数(例えば、4個)の球を賞球として上皿126に排出するとともに、第2特図表示装置214による特図変動遊技を開始する。なお、第2特図始動口232に入球した球は、パチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出する。
可変入賞口234は、大入賞口またはアタッカーと呼ばれ、本実施例では遊技盤200の中央部下方に1つだけ配設している。この可変入賞口234は、開閉自在な扉部材234aを備え、扉部材234aの閉鎖中は球の入球が不可能であり、特図変動遊技に当選して特図表示装置が大当たり図柄を停止表示した場合に扉部材234aが所定の時間間隔(例えば、開放時間29秒、閉鎖時間1.5秒)、所定の回数(例えば15回)で開閉する。可変入賞口234への入球を所定の球検出センサが検出した場合、払出装置152を駆動し、所定の個数(例えば、15個)の球を賞球として上皿126に排出する。なお、可変入賞口234に入球した球は、パチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出する。
さらに、これらの入賞口や始動口の近傍には、風車と呼ばれる円盤状の打球方向変換部材236や、遊技釘238を複数個、配設していると共に、内レール204の最下部には、いずれの入賞口や始動口にも入賞しなかった球をパチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出するためのアウト口を設けている。
このパチンコ機100は、遊技者が上皿126に貯留している球を発射レールの発射位置に供給し、遊技者の操作ハンドルの操作量に応じた強度で発射モータを駆動し、発射杆146および発射槌148によって外レール202、内レール204を通過させて遊技領域124に打ち出す。そして、遊技領域124の上部に到達した球は、打球方向変換部材236や遊技釘238等によって進行方向を変えながら下方に落下し、入賞口(一般入賞口226、可変入賞口234)や始動口(第1特図始動口230、第2特図始動口232)に入賞するか、いずれの入賞口や始動口にも入賞することなく、または普図始動口228を通過するのみでアウト口240に到達する。
<演出装置206>
次に、パチンコ機100の演出装置206について説明する。この演出装置206の前面側には、遊技球の転動可能な領域にワープ装置242およびステージ244を配設し、遊技球の転動不可能な領域に演出可動体224を配設している。また、演出装置206の背面側には、装飾図柄表示装置208および遮蔽装置246(以下、扉と称する場合がある)を配設している。すなわち、演出装置206において、装飾図柄表示装置208および遮蔽手段は、ワープ装置242、ステージ244、および演出可動体224の後方に位置することとなる。
ワープ装置242は、演出装置206の左上方に設けたワープ入口242aに入った遊技球を演出装置206の前面下方のステージ244にワープ出口242bから排出する。
ステージ244は、ワープ出口242bから排出された球や遊技盤200の釘などによって乗り上げた球などが転動可能であり、ステージ244の中央部には、通過した球が第1特図始動口230へ入球し易くなるスペシャルルート244aを設けている。
演出可動体224は、本実施形態では人間の右腕の上腕と前腕を模した上腕部224aと前腕部224bとからなり、肩の位置に上腕部224aを回動させる不図示の上腕モータと肘の位置に前腕部224bを回動させる不図示の前腕モータを備える。演出可動体224は、上腕モータと前腕モータによって装飾図柄表示装置208の前方を移動する。
遮蔽装置246は、格子状の左扉246aおよび右扉246bからなり、装飾図柄表示装置208および前面ステージ244の間に配設する。左扉246aおよび右扉246bの上部には、不図示の2つのプーリに巻き回したベルトをそれぞれ固定している。すなわち、左扉246aおよび右扉246bは、モータによりプーリを介して駆動するベルトの動作に伴って左右にそれぞれ移動する。遮蔽手段は、左扉246aおよび右扉246bを閉じた状態ではそれぞれの内側端部が重なり、遊技者が装飾図柄表示装置208を視認し難いように遮蔽する。左扉246aおよび右扉246bを開いた状態ではそれぞれの内側端部が装飾図柄表示装置208の表示画面の外側端部と若干重なるが、遊技者は装飾図柄表示装置208の表示の全てを視認可能である。また、左扉246aおよび右扉246bは、それぞれ任意の位置で停止可能であり、例えば、表示した装飾図柄がどの装飾図柄であるかを遊技者が識別可能な程度に、装飾図柄の一部だけを遮蔽するようなことができる。なお、左扉246aおよび右扉246bは、格子の孔から後方の装飾図柄表示装置208の一部を視認可能にしてもよいし、格子の孔の障子部分を半透明のレンズ体で塞ぎ、後方の装飾図柄表示装置208による表示を漠然と遊技者に視認させるようにしてもよいし、格子の孔の障子部分を完全に塞ぎ(遮蔽し)、後方の装飾図柄表示装置208を全く視認不可にしてもよい。
<タンクレールと払出装置の係合構造>
次に、上述のタンクレール154と払出装置152の係合構造について説明する。図4は、パチンコ機100からタンクレール154と払出装置152だけを抜き出して示した外観斜視図であり、図5(a)は、図4において符号Aで示す丸で囲った部分を拡大して示した部分拡大図であり、同図(b)は、(a)に示すタンクレールと払出装置を離間した状態においてタンクレールの一部を透過して示す図である。また、図6は、図5に示す払出装置152から第一カバー部材152aを取り外した状態を示した部分拡大図である。
図5(a)に拡大して示すように、払出装置152は、長板状の第一カバー部材152aと略同形状の第二カバー部材152bを対向配置して構成されている。また、図6に拡大して示すように、第一カバー部材152aおよび第二カバー部材152bの内面には、タンクレール154から排出される遊技球を払出装置152の上方から下方に導くための球レール152a1、152b1(第一カバー部材152aの球レール152a1は図示省略)が長手方向全域に亘って立設されており、第一カバー部材152aと第二カバー部材152bが内面を向けて対向配置されて互いの球レール152a1、152b1が当接することで、遊技球が通過する球通路152cが払出装置152の長手方向に沿って形成されている。
また、図5(b)に拡大して示すように、タンクレール154の先端部上方には、タンクレール154の短手方向下側に向かって突出し、かつタンクレール154の短手方向(図の上下方向)にスライド自在な板状の2つのシャッター154dが配設されており、各々のシャッター154dは、タンクレール154内に取り付けられた板バネ154eによって下方向(タンクレール154から突出する方向)に付勢されている。また、図6に拡大して示すように、タンクレール154の払出装置152側の下部には、タンクレール154の長手方向に向かって突出する板状の球受け部材154aが固定されている。この球受け部材154aの先端部には、第一カバー部材152aおよび第二カバー部材152bの球レール152a1、152b1との間に縮設される2本のバネ154bの一端が固定されている。
図7(a)は、連通状態のタンクレール154と払出装置152を示した図であり、同図(b)は、連通状態が解除されたタンクレール154と払出装置152を示した図である。
同図(a)に示すように、タンクレール154と払出装置152が連通された状態(タンクレール154の球通路154cから払出装置152の球通路152cに遊技球が移動可能な状態)では、タンクレール154の球受け部材154aの一部が、第一カバー部材152aおよび第二カバー部材152bの球レール152a1、152b1の下方に収容されるとともに、球受け部材154aのバネ154bは、球受け部材154aの先端部と球レール152a1、152b1との間で縮められて第一の長さとなっている。また、シャッター154dは、払出装置152に当接することによって、板バネ154eの付勢力に逆らって上方向に押圧され、タンクレール154の球通路154cの排出口を塞がない位置まで上昇する。これにより、タンクレール154の球通路154cから遊技球が排出可能な状態となる。
一方、同図(b)に示すように、タンクレール154と払出装置152の連通状態が解除された状態(タンクレール154と払出装置152が離間された状態)では、球レール152a1、152b1の下方に収容されていた球受け部材154aが、タンクレール154と払出装置152の間に形成される隙間に位置(出現)するとともに、バネ154bは、球受け部材154aの先端部と球レール152a1、152b1との間で、第1の長さよりも長い第2の長さに伸ばされた状態となっている。また、シャッター154dは、払出装置152と離間することによって、板バネ154eの付勢力によって下方向に押圧され、タンクレール154の球通路154cの排出口の一部を塞ぐ位置(この例では、遊技球の中心位置とほぼ同じ高さ)まで下降する。これにより、タンクレール154の球通路154cから遊技球が排出不可能な状態となる。なお、シャッター154dは、タンクレール154の球通路154cから遊技球が排出不可能な位置まで下降するように構成されていればよく、例えば、球通路154cの排出口全体を塞ぐようにしてもよい。
同図(a)に示す連通状態では、タンクレール154の球通路154cを通過してタンクレール154外部に排出された遊技球は、(球レール152a1、152b1の下方に収容されている球受け部材154aに接触することなく)払出通路152の球レール152a1、152b1上を転動し、払出通路152の球通路152cを通過して払出装置152の下方に案内される。なお、タンクレール154の球通路154cは、払出装置152側に向かって徐々に下降する傾斜面とされており、球通路154c上の遊技球は重力によってタンクレール154の排出口に向かって自然に転動するように構成されている。
一方、同図(b)に示す連通状態が解除された状態では、タンクレール154の球通路154cに残存している遊技球は、シャッター154dによって排出が防止され、タンクレール154の球通路154cに留まるが、シャッター154dを通過してタンクレール154の排出口から外部に排出された遊技球は、球受け部材154a上に保持される。
このような構成とすれば、タンクレール154や払出装置152に遊技球が残存した状態でタンクレール154と払出装置152の連通が解除されても、球受け部材154aによってタンクレール154と払出装置152の外に流出した遊技球を一時的に保持することが可能となる。このため、残存している遊技球がタンクレール154や払出装置152の外に流出したりタンクレール154と払出装置152から落下したりするような事態を防止することができ、タンクレール154と払出装置152のメンテナンス作業(例えば、清掃や部品交換)を行う場合に、従来よりもメンテナンス性を高めることができる場合がある。しかも、タンクレール154の球通路154cの排出口を塞ぐように構成されたシャッタ−154dを備えているため、タンクレール154に残存した遊技球が外部に流出することもない。
<払出通路ユニットと排出口ユニットの係合構造>
次に、上述の払出通路ユニット300と排出口ユニット400の係合構造について説明する。図8は、パチンコ機100の前面枠扉106を開放してパチンコ機100の内部構造を示した外観斜視図であり、図9(a)は、図8において符号Bで示す丸で囲った部分を拡大して示した部分拡大図であり、同図(b)は、同図(a)に示す払出通路ユニット300と排出口ユニット400をさらに拡大して示した部分拡大図である。
本体104の前面側には、上述の払出装置152と、この払出装置152の球通路152cに連通可能な払出通路ユニット300が取り付けられ、前面枠扉106の背面側には、前面枠扉106を閉鎖したときに一方側が本体104側の払出通路ユニット300と連通可能で、かつ他方側が上皿126に連通された、排出口ユニット400が取り付けられている。すなわち、払出装置152から排出された遊技球は、払出通路ユニット300と排出口ユニット400を通過して本体104側から前面枠扉106側に移動し、上皿126に到達して上皿126に貯留されるように構成されている。
図9(b)に拡大して示すように、払出通路ユニット300は、本体104の背面側から前面側に向かって延びる複数(この例では2つ)の筒状の球通路302a、302bを有して構成され、これらの球通路302a、302bの排出口近傍には、前面枠扉106の開放に連動して排出口の一部を塞ぎ、遊技球が球通路302a、302bの排出口から流出することを防ぐための板状のシャッター304が設けられている。なお、払出通路ユニット300の球通路302a、302bは、排出口ユニット400側に向かって徐々に下降する傾斜面とされており、球通路302a、302b上の遊技球は重力によって払出通路ユニット300の排出口に向かって自然に転動するように構成されている。
一方、排出口ユニット400は、払出通路ユニット300の球通路302aに連通可能な筒状の球通路402を有して構成され、下方には、板状のスライダ404(詳細は後述)を備えている。なお、排出口ユニット400の球通路402は、上皿126側に向かって徐々に下降する傾斜面とされており、球通路402上の遊技球は重力によって排出口ユニット400の排出口に向かって自然に転動するように構成されている。
なお、シャッター304は、球通路302a、302bの排出口の一部を塞ぐように構成されていればよいが、遊技球の排出を確実に防止するためには排出口を通過する遊技球の中心位置よりも高い位置まで上昇するように構成されていることが好ましく、さらには、排出口全てを塞ぐように構成されていることがより好ましい。また、本実施形態では、球通路302a、302bを円滑に通過させるとともに排出口から球を確実に排出させるために、球通路302a、302bの短手方向の最大幅を、球2個分の直径の長さよりも長く、球3個分の直径の長さよりも短く設定し、球が排出口から2個ずつ排出されるように構成している。
<排出口ユニットの構造>
次に、上述の排出口ユニット400の構造について説明する。図10は、排出口ユニット400の分解斜視図であり、図11(a)は、スライダ404が収容されているときの排出口ユニット400の外観斜視図であり、同図(b)は、スライダ404が突出しているときの排出口ユニット400の外観斜視図である。また、図12(a)は、図11(a)に示す排出口ユニット400を裏から見た外観斜視図であり、図12(b)は、図11(b)に示す排出口ユニット400を裏から外観斜視図である。また、図13(a)は、スライダ404がベース408の外側に最大量突出しているときの排出口ユニット400の外観斜視図である。
排出口ユニット400は、上皿126に連通される球通路402および下皿128に連通される下皿球通路414を有するベース408と、このベース408の上部を覆うよう取り付けられる板状のカバー410と、ベース408に対してネジ410の軸心O1(図13参照)を中心として回動可能に配設されるスライダ404と、ベース408に設けたバネ止め412とスライダ404との間に縮設され、スライダ404がベース408から突出する方向に付勢するスライダバネ406と、を有して構成されている。また、図11(b)および図13(a)に示すように、球通路402には、スライダ404上に保持された遊技球を排出口ユニット400の球通路402に導き易くするためにスライダ404側から球通路402側に向かって下降する傾斜面とされた傾斜部402aが形成されている。
また、図10および図11(a)に示すように、スライダ404は、平面状のベース部404aと、このベース部404aの長手方向一端側に形成されたバネ止め404bと、ベース部404aの長手方向他端側に突出形成された第1突出部404cと、ベース部404aの短手方向一端側に突出形成され第2突出部404dと、を有して構成されている。第1突出部404cは、図11(a)に示すように、スライダ404が収容されているときは、球通路402と下皿球通路414との仕切り壁の一部として機能し、図13(a)に示すように、スライダ404が最大量突出しているときは、ベース部404a上に保持された遊技球がベース部404aから落下しないように防止する保持部材としても機能する。
また、図13(a)に示すように、第1突出部404cの最大高さh1と第2突出部404dの最大高さh2は、ベース部404a上に保持された遊技球の落下を防止すべく、遊技球の中心位置よりも高くなるような高さに設定されているとともに、第1突出部404cの最大高さh1は、スライダ404が軸心O1を中心に回動したときに遊技球が遠心力によって落下しないように、第2突出部404dの最大高さh2よりも高く設定されている(h1>h2)。
図13(b)は、図13(a)の状態においてスライダ404近傍だけを抜き出して上方から見た図である。スライダ404が最大量突出した状態では、スライダ404のベース部404a上に遊技球を最大2個保持することが可能となっている。また、スライダ404aは軸心O1を中心として回動する構造とされているため、軸心O1から遠い側の遊技球は遠心力による影響を受けやすくベース部404aから外に流出しやすいが、第1突出部404cの存在により、遊技球の流出が防止されている。また、前面枠扉106を開放することによってスライダ404が本体104から離間された場合、ベース部404aに保持されている遊技球は、本体104側に向かうため、ベース部404aから外に流出しやすいが、第2突出部404dの存在により、遊技球の本体104側への流出が防止されている。
さらに、払出通路ユニット300や排出口ユニット400のメンテナンスを行う場合、作業者は前面枠扉106を開放してメンテナンス作業を行うことになるが、スライダ404は軸心O1(前面枠扉106のヒンジ部112と同じ軸心)を中心に回動する構造とされており、スライダ404の突出量は、軸心O1に近い側の端部の距離h4よりも軸心O1に遠い側の端部の距離h3が長いため、作業者からは、ベース部404aに保持された遊技球や払出通路ユニット300に残存する遊技球が確認しやすく、メンテナンス性が高められている。
<排出口ユニットの動き>
次に、図14および図15を併せて参照して、上述の排出口ユニット400の動きについて説明する。なお、図14(a)は、前面枠扉106を完全に閉鎖したときの排出口ユニット400の様子をパチンコ機100上方から見た図であり、同図(b)は、同図(a)に示す状態から前面枠扉106を少量だけ開放したときの排出口ユニット400の様子を示した図であり、同図(c)は、同図(b)に示す状態から前面枠扉106をさらに少量だけ開放したときの排出口ユニット400の様子を示した図である。また、図15(a)〜(c)は、図14(a)〜(c)に示す様子をパチンコ機100側方から見た図である。
図14(a)および図15(a)に示すように、前面枠扉106が閉鎖された状態では、排出口ユニット400と払出通路ユニット300が当接され、排出口ユニット400の球通路402と払出通路ユニット300の球通路302aが連通状態(払出通路ユニット300の球通路302aから排出口ユニット400の球通路402に遊技球が移動可能な状態)となる。このとき、スライダ404は、スライダバネ406によって、ベース408の下方から外側に突出する方向に付勢されているが、払出通路ユニット300によって突出方向への移動が規制されるため、突出することができず、図11(a)や図12(a)に示すように、ベース408の下方に収容された状態となる。
次に、図14(a)および図15(a)から図14(b)および図15(b)に示す状態まで前面枠扉106が開放された場合には、前面枠扉106の回動とともに、上述のシャッター304が徐々に上昇し、払出通路ユニット300の球通路302aの排出口の一部が塞がれる。これにより、払出通路ユニット300の球通路302aに残存している球は、球通路302aに貯留される。また、前面枠扉106の回動とともに、払出口ユニット400のベース408およびカバー410は、払出通路ユニット300から遠ざかる方向に回動され、排出口ユニット400の球通路402と払出通路ユニット300の球通路302aが離間される。このとき、スライダ404は、スライダバネ406によって、ベース408の下方から外側に突出する方向に付勢されているため、ベース408とカバー410だけがスライダ404を残す形で回動され、図11(b)や図12(b)に示すように、スライダ404はベース408の下方から外側に突出した状態となる。これにより、ベース408およびカバー410は払出通路ユニット300の球通路302aから離間するが、スライダ404が払出通路ユニット300の球通路302aに連通された状態が継続する。したがって、払出通路ユニット300の球通路302aを通過している遊技球が、たとえシャッター304を乗り越えて外部に流出したとしても、遊技球をスライダ404によって保持することが可能である。
このような構成とすれば、払出通路ユニット300の球通路302や排出口ユニット400の球通路402に遊技球が残存した状態で払出通路ユニット300の球通路302と排出口ユニット400の球通路402が解除されても、スライダ404によって払出通路ユニット300の球通路302や排出口ユニット400の球通路402の外に流出した遊技球を一時的に保持することが可能となる。このため、残存している遊技球が払出通路ユニット300の球通路302や排出口ユニット400の球通路402の外に流出したり払出通路ユニット300の球通路302や排出口ユニット400の球通路402から落下したりするような事態を防止することができ、払出通路ユニット300の球通路302や排出口ユニット400の球通路402のメンテナンス作業(例えば、清掃や部品交換)を行う場合に、従来よりもメンテナンス性を高めることができる場合がある。
次に、図14(b)および図15(b)から図14(c)および図15(c)に示す状態まで前面枠扉106が開放された場合には、前面枠扉106の回動とともに、払出口ユニット400のベース408およびカバー410は、払出通路ユニット300からさらに遠ざかる方向に回動され、排出口ユニット400の球通路402と払出通路ユニット300の球通路302aがさらに離間される。このとき、スライダ404は、スライダバネ406によって、ベース408の下方から外側に突出する方向に付勢されているため、ベース408とカバー410だけがスライダ404を残す形で回動され、スライダ404は、最終的に、図13(a)に示すように、ベース408の下方から外側に最大量突出した状態となり、より多くの遊技球を保持することが可能となる。また、払出通路ユニット300の球通路302と排出口ユニット400の球通路402が所定の距離を超えて離反されても、第1突出部404c、第2突出部404dを備えることによって、スライダ404に保持された遊技球がスライダ404の外に流出したり、スライダ404から落下したりするような事態を防ぐことができる場合がある。
<実施形態2>
次に、実施形態2に係る排出口ユニット500について説明する。なお、以降、上記実施形態1に係るパチンコ機100と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
図16(a)は、実施形態2に係るスライダ504が収容されているときの排出口ユニット500の外観斜視図であり、同図(b)は、スライダ504が突出しているときの排出口ユニット500の外観斜視図である。また、図17(a)は、図16(a)に示す排出口ユニット500を裏から見た外観斜視図であり、図17(b)は、図16(b)に示す排出口ユニット500を裏から外観斜視図である。
排出口ユニット500は、上記実施形態1に係るスライダ404と、コイルバネによって構成されるスライダバネ406に替えて、スライダ504と、ねじりバネによって構成されるスライダバネ506を備えている。スライダ504は、スライダバネ506によって、ベース408の下方から外側に突出する方向に付勢されているが、上述のとおり、前面枠扉106が閉鎖された状態では、払出通路ユニット300によって突出方向への移動が規制され、図16(a)や図17(a)に示すように、ベース408の下方に収容された状態となる。
一方、前面枠扉106が開放された状態では、上述のとおり、排出口ユニット500と払出通路ユニット300が離間されるとともに、スライダ504は、スライダバネ506によってベース408の下方から外側に突出する方向に付勢されているため、ベース408とカバー410だけがスライダ504を残して回動され、図16(b)や図17(b)に示すように、スライダ504はベース408の下方から外側に突出した状態となる。
このような構成とすれば、上記実施形態1に係る排出口ユニット400に比べ、省スペース化を図ることができ、配置場所のバリエーションを増やすことができる場合がある。
<実施形態3>
次に、実施形態3に係る排出口ユニット550について説明する。図18(a)は、実施形態3に係るスライダ554が収容されているときの排出口ユニット550の外観斜視図であり、同図(b)は、スライダ554が突出しているときの排出口ユニット550の外観斜視図である。また、図19(a)は、図18(a)に示す排出口ユニット550を裏から見た外観斜視図であり、図19(b)は、図18(b)に示す排出口ユニット550を裏から外観斜視図である。
排出口ユニット550は、上記実施形態1に係るスライダ404とスライダバネ406に替えて、スライダ554を備えている。スライダ554は、払出通路ユニット300の方向にスライド可能に構成されているとともに、スライダ554の先端には、払出通路ユニット300に形成された係止部(図示省略)に係止される係止部554aが形成されている。本実施形態3では、スライダ554は、前面枠扉106が閉鎖された状態では、図18(a)や図19(a)に示すように、ベース558の下方に収容された状態となり、前面枠扉106が開放された状態では、係止部554aが払出通路ユニット300の係止部に係止されてスライダ554が外部に引き出され、図18(b)や図19(b)に示すように、ベース558の下方から外側に突出した状態となる。
このような構成とすれば、上記実施形態1に係る排出口ユニット400に比べ、部品点数の削減や低コスト化が図れる場合がある。また、スライダ554が直線的にスライドされるため、払出通路ユニット300から溢れた球を保持するためのスペースを広く取ることができ、上記実施形態1に係る排出口ユニット400に比べ、多くの球を保持できる場合がある。なお、ここでは、スライダ544の係止部554を他の部材に係止させることによってスライダ544をスライドさせる例を示したが、上記実施形態のように、弾性体(バネ)を用いてスライドさせる構成を採用してもよい。
<実施形態4>
次に、実施形態4に係る排出口ユニット600について説明する。図20(a)は、実施形態4に係るスライダ604が収容されているときの排出口ユニット600の外観斜視図であり、同図(b)は、スライダ604が突出しているときの排出口ユニット600の外観斜視図である。また、図21(a)は、図20(a)に示す排出口ユニット600を裏から見た外観斜視図であり、図21(b)は、図20(b)に示す排出口ユニット600を裏から外観斜視図である。
排出口ユニット600は、上記実施形態1に係るスライダ404とスライダバネ406に替えて、上下方向に回動可能なスライダ604を備えている。スライダ604は、図示しない回転軸を中心としてスライダ604の厚み方向に回動可能に構成されているとともに、スライダ604の先端には、球の落下を防止するための突出部604aが形成されている。本実施形態4では、スライダ604は、前面枠扉106が閉鎖された状態では、図20(a)や図21(a)に示すように、下方向に回動され、ベース508の下方に収容された状態となり、前面枠扉106が開放された状態では、回転軸に設けられた図示しない弾性体(バネ)の付勢力によって上方向に回動され、図20(b)や図21(b)に示すように、ベース608の下方から外側に突出した状態となる。
このような構成とすれば、上記実施形態1に係る排出口ユニット400に比べ、省スペース化を図ることができ、配置場所のバリエーションを増やすことができる場合がある。
<本発明の基本思想>
次に、本発明の基本思想について説明する。図22および図23は、本発明に係る第一の通路R1、第二の通路R2、および第三の通路R3を模式的に示した図であり、図24および図25は、図22および図23に対応する断面図である。
<本発明の基本思想/第一、第二、第三の通路>
第一の通路R1は、一方側から他方側(または他方側から一方側)に遊技球が通過可能な通路であり、例えば、上述のタンクレール154や払出通路ユニット300などが該当する。
第二の通路R2は、第一の通路R1の下流(第一の通路R1において遊技球が排出される側)に設けられ、一方側から他方側(または他方側から一方側)に遊技球が通過可能な通路であり、例えば、タンクレール154の下流に設けられた、上述の払出装置152や、払出通路ユニット300の下流に設けられた、上述の排出口ユニット400などが該当する。
第三の通路R3は、第一の通路R1および第二の通路R2のうちの少なくとも一方から流出した遊技球を一時的に保持して第二の通路R2に案内することが可能な通路であり、例えば、上述の球受け部材154aやスライダ404などが該当する。また、第三の通路R3は、保持部材R3a(例えば、上述の第1突出部404c、第2突出部404dや、図22や図23に示すような、第三の通路R3の四方を囲む枠状体)を備え、この保持部材R3aによって、両通路R1、R2のうちの少なくとも一方から第三の通路R3に流出した遊技球が、第三の通路R3の外へ流出することを防止している。
また、第一の通路R1と第二の通路R2は、少なくとも一方が移動可能に構成されており、図22(a)、図24(a)に示す連通状態(両通路R1、R2間を遊技球が通過することが可能な状態)と、図22(b)および図24(b)、図23(a)および図25(a)、図23(b)および図25(b)に示す離間状態(両通路R1、R2間を遊技球が通過することが困難または不可能な状態)と、に相対移動可能である。また、離間状態としては、図22(b)および図24(b)に示すように、両通路R1、R2間の距離が、第三の通路における、第一の通路R1と第二の通路R2の少なくとも一方の移動方向の最大長さLよりも近い距離L1(L1<L)となる離間状態や、図23(a)および図25(a)に示すような、両通路R1、R2間の距離が、上述の最大長さLと等しい距離L2(L2=L)となる離間状態や、図23(b)および図25(b)に示すように、両通路R1、R2間の距離が、上述の最大長さLよりも遠い距離L3(L3>L)となる離間状態に移行可能である。
そして、図22(a)および図24(a)に示すように、両通路R1、R2が連通状態にある場合には、第三の通路R3の少なくとも一部が第一の通路R1の下部に収容された状態となる一方で、図22(b)および図24(b)、図23(a)および図25(a)、図23(b)および図25(b)に示すように、両通路R1、R2が離間状態にある場合には、第一の通路R1の下部に収容されていた第三の通路の一部が、両通路R1、R2の間に形成される隙間に位置することによって、両通路R1、R2のうちの少なくとも一方から流出した遊技球を一時的に保持するとともに、当該遊技球を下流側の第二の通路R2に案内することが可能である。
図26および図27は、本発明に係る第一の通路R1、第二の通路R2、および第三の通路R3の他の例を模式的に示した図であり、図28および図29は、図26および図27に対応する断面図である。
この例では、第三の通路R3を第二の通路R2に対してスライド可能に構成している点が異なっている。具体的には、第三の通路R3は、バネSPを介して第二の通路R2に配設されており、バネSPの付勢力によって第一の通路R1に向かって付勢されている。一方、第一の通路R1には、第三の通路R3と対向する位置に係止部R1aを形成しており、第一の通路R1と第二の通路R2が連通状態にある場合には、第3の通路R3の先端部が第1の通路R1の係止部R1aに係止されるように構成されている。
また、第一の通路R1と第二の通路R2は、少なくとも一方が移動可能に構成されており、図26(a)、図28(a)に示す連通状態(両通路R1、R2間を遊技球が通過することが可能な状態)と、図28(b)および図29(b)、図28(a)および図29(a)、図28(b)および図29(b)に示す離間状態(両通路R1、R2間を遊技球が通過することが困難または不可能な状態)と、に相対移動可能である。また、離間状態としては、図28(b)および29(b)に示すように、スプリングSPが第一の長さに縮んだ状態で両通路R1、R2間の距離が距離L1となる離間状態や、図28(a)および図29(a)に示すような、スプリングSPが第二の長さに伸びきった状態(自然長の状態)かつ第三の通路R3が係止部R1aに当接して両通路R1、R2間の距離が距離L2となる離間状態や、図28(b)および図29(b)に示すように、スプリングSPが第二の長さに伸びきった状態(自然長の状態)かつ第三の通路R3が係止部R1aから離間して両通路R1、R2間の距離が距離L3となる離間状態に移行可能である。
そして、図28(a)および図29(a)に示すように、両通路R1、R2が連通状態にある場合には、第三の通路R3の少なくとも一部が第二の通路R2の下部に収容された状態となる一方で、図28(b)および図29(b)、図28(a)および図29(a)、図28(b)および図29(b)に示すように、両通路R1、R2が離間状態にある場合には、第二の通路R2の下部に収容されていた第三の通路の一部が、両通路R1、R2の間に形成される隙間に位置することによって、両通路R1、R2のうちの少なくとも一方から流出した遊技球を一時的に保持するとともに、当該遊技球を下流側の第二の通路R2に案内することが可能である。
<本発明の基本思想/第一、第二の遊技部品>
図30は、本発明に係る第一の遊技部品、第二の遊技部品の外観斜視図であり、図31は、図31は、図30を側方から見た側面図である。
第一の遊技部品P1は、第一の通路R1(例えば、図26に示すような第一の通路R1)が設けられる部材であり、例えば、払出通路ユニット300が設けられる、上述の本体104などが該当する。また、第二の遊技部品P2は、第二の通路R2(例えば、図26に示すような第二の通路R2)が設けられる部材であり、例えば、排出口ユニット400が設けられる、上述の前面枠扉106などが該当する。
また、第一の遊技部品P1は、図30(b)および図31(b)に示すように、第一の通路R1と第二の通路R2の連通状態が解除される方向に移動可能に構成されている。なお、この例に係る第一の通路R1と第二の通路R2の連通状態とは、図30(a)および図31(a)に示すように、第一の通路R1と第二の通路R2は当接せず、第三の通路R3に形成された突出部R3bが第一の通路R1と第二の通路R2の間に挟まった状態となるとともに、突出部R3bの上面が第一の通路R1の底面と第二の通路R2の底面と同じ高さとなって球が通過可能な面を構成し、第三の通路R3の突出部R3bを経由することによって第一の通路R1から第二の通路R2まで球が通過可能となっている状態である。
このような構成とすれば、第一の通路R1と第二の通路R2を再び連通状態とした場合に、第三の通路R3によって保持した遊技球が第一の通路R1との間に挟まったり、第二の通路R2との間に挟まったりするような事態を回避できる場合がある。
以上説明したように、上記実施形態に係るパチンコ機100は、第一の通路(例えば、タンクレール154、払出通路ユニット300)と、前記第一の通路の下流に設けられた第二の通路(払出装置152、排出口ユニット400)と、を備えた遊技台であって、前記第二の通路は、前記第一の通路との位置関係が少なくとも第一の位置関係である場合に、該第一の通路を通過した遊技球を下流側に案内可能なものであり、前記第一の通路と前記第二の通路の位置関係が前記第一の位置関係の場合よりも離間された第二の位置関係である場合に、前記第一の通路および第二の通路のうちの少なくとも一方から流出した遊技球を該第二の通路に少なくとも案内可能な第三の通路(例えば、球受け部材154a、スライダ404)を備え、前記第三の通路には、前記第二の通路以外へ遊技球が流出することを防止するための保持部材(例えば、第1突出部404c、第2突出部404d)が設けられている、ことを特徴とする遊技台である。
ここで、本発明における「第二の位置関係」とは、第一の通路と第二の通路との間に隙間ができることによって第一の通路から排出される遊技球が第二の通路に到達できなくなる状態をいい、例えば、第一の通路と第二の通路との間に遊技球1個分以上の隙間が形成され、第一の通路から排出される遊技球が第二の通路に到達する前に落下してしまうような状態や、第一の通路と第二の通路との間に遊技球1個分よりも小さな隙間が形成され、第一の通路から排出される遊技球が第一の通路と第二の通路の間に挟まってしまい第二の通路に到達できない状態などが含まれる。なお、本発明においては、第一の通路と第二の通路が第一の位置関係である場合にも第一の通路と第二の通路は離間されていてもよい(例えば、第一の通路と第二の通路との間に遊技球1個分未満の隙間が形成され、第一の通路から排出される遊技球が第二の通路に到達することができる状態でもよい)。また、保持部材により第三の通路から遊技球は流出しないが、第二の通路から遊技球の流出を許容してもよい。
また、保持部材により第三の通路から遊技球は流出しないが、第一の通路から遊技球の流出を許容してもよい。また、保持部材は遊技機の外部に遊技球が流出することを防止可能であり、保持部材は所定の部材への流出を許容してもよい。ここで、所定の部材は「第一の通路」および「第二の通路」のうちの少なくとも一方または全部であってもよい。
上記実施形態に係るパチンコ機100によれば、第一の通路や第二の通路に遊技球が残存した状態で第一の通路と第二の通路が第一の位置関係から第二の位置関係になった場合でも、第三の通路の保持部材によって両通路の外に流出した遊技球を一時的に保持し、該第三の通路から第二の通路に遊技球を案内することが可能となる。このため、残存している遊技球が両通路の外に流出したり両通路から落下したりするような事態を防止することができ、第一の通路や第二の通路のメンテナンス作業(例えば、清掃や部品交換)を行う場合に、従来よりもメンテナンス性を高めることができる場合がある。また、第一の通路と第二の通路が所定の距離を超えて離反されても、第三の通路が保持部材を備えることによって、第三の通路に保持された遊技球が第三の通路の外に流出したり第三の通路から落下したりするような事態を防ぐことができる場合がある。
また、前記第一の位置関係は、前記第一の通路と前記第二の通路が連通状態であってもよい。
このような構成とすれば、第一の通路や第二の通路に遊技球が残存した状態で第一の通路と第二の通路の連通が解除されても、第三の通路の保持部材によって両通路の外に流出した遊技球を一時的に保持し、該第三の通路から第二の通路に遊技球を案内することが可能となる。このため、残存している遊技球が両通路の外に流出したり両通路から落下したりするような事態を防止することができ、第一の通路や第二の通路のメンテナンス作業(例えば、清掃や部品交換)を行う場合に、従来よりもメンテナンス性を高めることができる場合がある。また、第一の通路と第二の通路が所定の距離を超えて離反されても、第三の通路が保持部材を備えることによって、第三の通路に保持された遊技球が第三の通路の外に流出したり第三の通路から落下したりするような事態を防ぐことができる場合がある。
また、前記第三の通路の少なくとも一部は、前記第一の通路と前記第二の通路が前記第一の位置関係にある場合に、前記第一の通路と前記第二の通路のうちの少なくとも一方の通路の下部に収納されていてもよい。
このような構成とすれば、第三の通路を設けた場合でも省スペース化を実現することが可能となり、第一、第二、第三の通路の配置場所が限定されてしまうようなことがない。
また、第一の遊技部品(例えば、本体104)と、第二の遊技部品(例えば、前面枠扉106)と、を備え、前記第一の通路と前記第二の通路のうちの一方の通路は、前記第一の遊技部品に設けられており、前記第一の通路と前記第二の通路のうちの他方の通路は、前記第二の遊技部品に設けられており、前記第三の通路の少なくとも一部は、前記第一の通路と前記第二の通路が前記第一の位置関係にある場合に、前記第二の遊技部品の少なくとも一部と当接してもよい。
このような構成とすれば、第一の通路と第二の通路の連通を行うことにより、ともに第三の通路の収納を行うことが可能となり、余計な作業を少なくし、メンテナンス性を向上できる場合がある。特に、第一の遊技部品が本体で、第二の遊技部品が前面枠扉であれば、遊技中(遊技球が第一の通路と第二の通路を通過している途中)に前面枠扉が開閉されたとしても、第三の通路によって遊技球を保持することができ、遊技球が外部に放出されるのを防止することができる場合がある。
また、前記第三の通路は弾性体(例えば、バネ154b、スライドバネ406)を有し、前記弾性体は、前記第一の通路と前記第二の通路が前記第一の位置関係にある場合に第一の長さであり、前記第一の通路と前記第二の通路が前記第二の位置関係にある場合に、前記第一の長さよりも長い第二の長さとなるものでよい。
このような構成とすれば、弾性体によって第三の通路を確実に機能させることができ、遊技球が通路の外に流出するのをより確実に防ぐことができる場合がある。
また、前記他方の通路は、前記第一の通路と前記第二の通路が前記第二の位置関係にある場合に、前記第一の通路と前記第二の通路から通路の外へ遊技球が流出するのを防止する第二の保持部材(例えば、シャッター154d、シャッター304)を備えてもよい。
このような構成とすれば、第一の保持部材と第二の保持部材により、第一の通路と第二の通路が所定の距離を超えて離れている場合であっても、遊技球を通路上に保持することができ、遊技球を通路の外へ流出させるのを防ぐことができる場合がある。
また、前記第一の遊技部品は、前記第一の通路と前記第二の通路が前記第一の位置関係から前記第二の位置関係になる方向に移動可能であってもよい。
このような構成とすれば、第一の遊技部品が可動した場合であっても、第三の通路により、遊技球が通路の外に流出するのを防ぐことができる場合がある。
ここで、球タンク150から排出された遊技球が上皿126(または下皿128)に到達するまでのルートについて上記図8を用いて説明する。球タンク150から排出された遊技球は、タンクレール154を通過して払出装置152に導かれる。また、払出装置152の排出口152aから排出された遊技球は、払出通路ユニット300を通過して排出口ユニット400に移動する。
この際、上皿126に遊技球が貯留可能な場合には、遊技球は払出通路ユニット300の第1の遊技通路301aを通過して排出口ユニット400の第1の遊技通路401aに移動して上皿126の方向に導かれるが、上皿126に遊技球が貯留不可能な場合(上皿126が満タンの場合)には、遊技球は払出通路ユニット300の第2の遊技通路301bを通過して排出口ユニット400の第2の遊技通路402aに移動した後に、下皿用通路401aを通過して下皿128の方向に導かれるように構成されている。
また、発射装置によって打ち出された遊技球のうち、遊技盤まで到達しなかったり、発射槌で打ち損じた遊技球は、遊技盤の裏側に配置された遊技盤側通路401bを通過して本体106側に移動し、該本体106側に設けられた凹形状の本体側通路401cに当たって遊技盤側に移動し、該遊技盤の裏側に配置された下皿開口部401dを通過して下皿128に導かれるように構成されている。
下皿の容量を超えて遊技球が入っているときに扉を開けた場合、遊技球が逆流し、通路外に流出してしまう可能性があるが、本発明に係る第三の通路(球受け部材)を、上述の遊技盤側通路401b、本体側通路401c、下皿開口部401などに設ければ、扉の開放時に扉側または本体側から排出された遊技球を一時的に保持することができ、メンテナンス性を向上させることができる場合がある。
また、本発明に係る遊技台は、パチンコ遊技機に限定されるものではなく、例えば、遊技球(例えば、パチンコ玉)を遊技媒体としたスロットマシン(いわゆるパチロット)や等にも適用可能であり、また、封入式遊技機にも適用可能である。
ここで、「封入式遊技機」は、遊技機内に封入された遊技球を循環使用するものであり、当該封入式遊技機において、遊技盤から回収された遊技球を球送装置に案内する扉側通路が扉体に設けられていてもよい。
また、封入式遊技機において、遊技盤から回収された遊技球を循環させる遊技球循環経路を通過した遊技球が球送装置に送られるようにしてもよい。また、封入式遊技機において、遊技盤から回収された遊技球の研磨を行う玉磨き装置を通過した遊技球が球送装置に送られるようにしてもよい。
また、封入式遊技機において、発射杆の発射強度が不足した場合に遊技球が誘導されるファール球通路が球送り装置の近傍に設けられていてもよい。また、封入式遊技機において、球送装置から送られた遊技球が発射位置に送られたことを検知する発射検知手段を発射位置の直前に設けてもよい。また、発射検知手段は、球送装置の排出口と連通する通路に設けられていてもよい。
なお、本発明の実施例に記載された作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用および効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。また、本発明は、異なる実施例に記載された構成を組み合わせることによっても実現可能である。