JP2013198498A - アポトーシスの検出方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】細胞に存在するヘパリン骨格又はヘパラン硫酸骨格における「N位が置換されていないグルコサミン残基」の増加を検知するステップを少なくとも含む、アポトーシスの検出方法、または、細胞におけるNDST−3及びNDST−4の少なくとも一方の発現の増加を検知するステップを少なくとも含む、アポトーシスの検出方法。
【選択図】図2
Description
2SH:(6−O・N)−脱硫酸化・N−アセチル化HEP
6DSH:6−O−脱硫酸化HEP
6SH:(2−O・N)−脱硫酸化・N−アセチル化HEP
AS:アカラン硫酸
ACH:2−O−脱硫酸化AS
Ac−6DSH:N−アセチル化6DSH
Ac−NAH:N−アセチル化NAH
Ac−NSH;N−アセチル化NSH
CDSH:完全脱硫酸化・N−アセチル化HEP
Ch:コンドロイチン
CS:コンドロイチン硫酸
CS−A(S):サメ由来コンドロイチン硫酸A
CS−A(W):クジラ由来コンドロイチン硫酸A
CS−B:コンドロイチン硫酸B(DSと同義である)
CS−C:コンドロイチン硫酸C
CS−D:コンドロイチン硫酸D
CS−E:コンドロイチン硫酸E
DMEM:ダルベッコの改変イーグル培地
DS:デルマタン硫酸(CS−Bと同義である)
DTT:ジチオスレイトール
EHS−HS:マウスのエンジェルブレス−ホーム−スワーン腫瘍組織(Engelbreth-Holm-Swarm sarcoma)由来のHS
ELISA法:酵素標識抗体測定法
FCS:仔ウシ胎仔血清
FITC:フルオレセインイソチオシアネート
G3PDH:グリセロアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ
GlcA:グルクロン酸
GlcN:N位が置換されていないグルコサミン
GlcNAc:N−アセチルグルコサミン
GlcNS:N−硫酸化グルコサミン
HA:ヒアルロン酸
HEP:ヘパリン
HS:ヘパラン硫酸
HS2ST:HS 2−O−硫酸基転移酵素
HS6ST:HS 6−O−硫酸基転移酵素
IdoA:イズロン酸
IdoA(2S):2−O−硫酸化イズロン酸
KS:ケラタン硫酸
NAc−HEP:N−脱硫酸化・N−アセチル化HEP
NAH:N−アセチルヘパロザン
NDST:HS/HEP GlcNAc N−脱アセチル/GlcN N−硫酸基転移酵素
(heparan sulfate/heparin GlcNAc N-deacetylase/GlcN N-sulfotransferase)
NH2−2SH:(6−O・N)−脱硫酸化HEP
NH2−6SH:(2−O・N)−脱硫酸化HEP
NH2−CDSH:完全脱硫酸化HEP
NH2−HEP:N−脱硫酸化HEP
NSH:(2−O・6−O)−脱硫酸化HEP
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
PDNAc−NAH:部分的脱アセチル化NAH
抗体を用いてアポトーシスを検出する方法が知られている(特許文献1)。
しかし、グリコサミノグリカンやプロテオグリカンを指標としてアポトーシスを検出する方法は知られていない。
一方、HEP骨格やHS骨格におけるGlcN残基を認識し結合する抗体として、例えばJM403抗体(特許文献2)や、NAH43抗体(特許文献3)が知られている。そして、例えばJM403抗体についてはリソソーム病の検出用途が(特許文献2)、NAH43抗体についてはHSやNAHの検出用途が(特許文献3)それぞれ知られている。しかし、いずれの抗体も、アポトーシス検出用途として用いることについては知られていない。
また、HEPやHSの生合成に関与する酵素として、NDST−1、−2、−3及び−4が知られているが(非特許文献2)、これらの酵素の発現を指標としてアポトーシスを検出することも知られていない。
このGlcN残基は、GlcA残基とグリコシド結合した構造として存在するものが好ましい。
また、この検知は、なかでも抗体によって行われることが好ましい。この場合に用いる抗体としては、HEP骨格又はHS骨格におけるGlcN残基に結合する抗体が好ましい。
この抗体が結合するGlcN残基は、GlcA残基とグリコシド結合しているものが好ましい。
(1)HEP骨格又はHS骨格におけるGlcN残基に結合する抗体、
(2)上記(1)の抗体を検出する試薬。
この抗体が結合するGlcN残基は、GlcA残基とグリコシド結合しているものが好ましい。
このGlcN残基は、GlcA残基とグリコシド結合した構造として存在するものが好ましい。
本発明検出方法1は、細胞に存在するHEP骨格又はHS骨格におけるGlcN残基の増加を検知するステップを少なくとも含む、アポトーシスの検出方法である。
本発明検出方法1によるアポトーシスの検出対象となる「細胞」は、アポトーシスを引き起こしうる細胞である限りにおいて特に限定されず、アポトーシス検出を所望する細胞をそのまま用いればよい。細胞の一例としては、例えば、癌細胞、T細胞などの血球細胞、神経細胞などを挙げることができる。例えば、ヒトの癌細胞におけるアポトーシスの検出を所望するのであれば、当該癌細胞をそのまま用いればよい。
また、本出願書類におけるGlcN残基は、GlcA残基とグリコシド結合した構造として存在するものが好ましい。
したがって、本出願書類におけるGlcN残基として最も好ましいものは、「N位がアセチル基及び硫酸基のいずれにも置換されていないグルコサミン残基」であって、これがGlcA残基とグリコシド結合した構造として存在するものである。
この場合に用いる抗体は、HEP骨格又はHS骨格におけるGlcN残基に結合するものである限りにおいて特に限定されない。なかでも、当該抗体が結合する抗原をヘパリチナーゼで処理すると、当該抗原に対する結合性が消失するものであることが好ましい。また、HA、CS、DS、KSのいずれとも実質的に結合しないものが好ましい。すなわち、当該糖鎖構造に特異的に結合するものが好ましい。
また抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体のいずれであってもよいが、継続的な生産性の確保や、抗体の均一性の観点からすればモノクローナル抗体であることが好ましい。また、本出願書類において「実質的に結合しない」とは、1分子たりとも結合しないことを意味するものではなく、結合が検出できないか又は結合が検出できたとしても弱いものであって本発明の属する技術分野における当業者からみて無視できる程度のものであることを意味する。
また抗原をヘパリチナーゼ処理することによって結合性が消失し、HA、CS、DS、KSとは実質的に結合しない。
また、JM403抗体と同じ相補性決定領域(CDR)を有する抗体も本発明において
使用できる。
特許生物寄託センター、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2丁目5番地8 120号室、郵便番号292-0818)に受託番号FERM BP−10535として受託されたハイブリド
ーマによって産生される。NAH43抗体はモノクローナル抗体であり、その免疫グロブリンクラスはマウスIgMであって、HEP骨格又はHS骨格中に存在するGlcN残基に結合する。一方、EHS−HS、HA、Ch、各種CS(CS−A、CS−B、CS−C、CS−D、CS−E)及びKSには実質的に結合しない。
また、NAH43抗体と同じ相補性決定領域(CDR)を有する抗体も本発明において使用できる。
また、ここで用いることができる抗体は、免疫グロブリンの分子構造を完全に保持しているものは勿論、抗原結合部位(Fab)を分解しないプロテアーゼ(例えばプラスミン、ペプシン、パパイン等)で処理してFabを含むフラグメントとしたものであっても良い。抗体のFabを含むフラグメントとしては、Fab以外に、Fabc、(Fab')2等が例示される。
こで用いることができる抗体を一次抗体とし、この一次抗体に結合し、かつ標識物質が結合した二次抗体(当該一次抗体に係る免疫グロブリンに結合する抗体)を用いてもよい。
この標識物質としては、例えば酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、グルコースオキシダーゼなど)、放射性同位元素(125I、131I、3Hなど)、蛍光色素(FITC、7−
アミノ−4−メチルクマリン−3−酢酸(AMCA)、ジクロロトリアジニルアミノフルオレセイン(DTAF)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、リスアミンローダミンB(Lissamine Rhodamine B)、テキサスレッド(Texas Red)、フィコエリスリン(Phycoerythrin;PE)、ウンベリフェロン、ユーロピウム、フィコシアニン、トリカラー、シアニンなど)、化学発光物質(ルミノールなど)、ハプテン(ジニトロフルオロベンゼン、アデノシン一リン酸(AMP)、2,4−ジニトロアニリンなど)、金属粒子(フェリチン粒子、金コロイド粒子など)、特異的結合対(ビオチンとアビジン類(ストレプトアビジンなど)、レクチンと糖鎖、アゴニストとアゴニストの受容体、HEPとアンチトロンビンIII(ATIII)など)のいずれか一方の物質等が例示される。
なお、迅速性・簡便性等の面からすると、前記の糖鎖構造の検知は、抗体を用いて行われることが好ましい。
本発明検出剤は、HEP骨格又はHS骨格におけるGlcN残基に結合する抗体を有効成分とする、アポトーシス検出剤である。
本発明検出剤の有効成分である、「HEP骨格又はHS骨格におけるGlcN残基に結合する抗体」についての説明は、前記<1>と同様である。すなわち、本発明検出方法1において用いることができる抗体を、そのまま本発明検出剤の有効成分として用いること
ができる。当該抗体に標識物質が直接結合していてもよいことはいうまでもない。
本発明検出剤は、「HEP骨格又はHS骨格におけるGlcN残基に結合する抗体」を有効成分として含有している限りにおいて、さらに他の成分を含有していてもよい。このような他の成分の一例としては、例えば試薬的に許容される安定化剤、保存剤、賦形剤等を例示することができる。
本発明検出剤は、「HEP骨格又はHS骨格におけるGlcN残基に結合する抗体」をそのまま、又は必要に応じてさらに前記のような他の成分を添加して、通常の試薬・製剤等の調製方法にしたがって製造することができる。
また本発明検出剤は、前記<1>における本発明検出方法1に記載の方法にしたがって使用することができる。
本発明キットは、次の(1)及び(2)に示す構成成分を少なくとも含む、アポトーシス検出キットである;
(1)HEP骨格又はHS骨格におけるGlcN残基に結合する抗体、
(2)上記(1)の抗体を検出する試薬。
本発明キットの構成成分である、(1)「HEP骨格又はHS骨格におけるGlcN残基に結合する抗体」についての説明は、前記<1>と同様である。すなわち、本発明検出方法1において用いることができる抗体を、そのまま本発明キットの構成成分(1)に係る抗体として用いることができる。当該抗体に標識物質が直接結合していてもよいことはいうまでもない。
本発明キットは、前記<1>の本発明検出方法1にしたがって使用することができる。
本発明キットは、前記の(1)及び(2)に示す構成成分を少なくとも含む限りにおいて、さらに所望の他の構成成分を含ませてもよい。このような他の構成成分としては、例えば洗浄液、酵素反応停止液等を例示することができる。また、測定バッチ同士の実施レベルを一定水準に保つための陽性コントロール(QCコントロール)を含有させることもできる。
これらの構成成分は、それぞれ別体の容器に収容し保存しておくことができる。
本発明スクリーニング方法1は、被験物質と細胞とを接触させ、当該細胞におけるHEP骨格又はHS骨格におけるGlcN残基が増加又は減少した場合に当該被験物質を選択するステップを少なくとも含む、アポトーシス誘導剤又はアポトーシス阻害剤の候補物質のスクリーニング方法である。
ここにいう「被験物質」とは、アポトーシス誘導剤又はアポトーシス阻害剤の候補物質のスクリーニングに付される物質を意味する。
本発明スクリーニング方法1においては、まずこの被験物質と、アポトーシス誘導又はアポトーシス阻害のターゲットとする細胞とを接触させる。接触の方法は、被験物質分子が細胞と接触できる状態となる限りにおいて特に限定されない。簡便な方法の一例として、例えば細胞を含有する培養液に、被験物質を添加する方法を例示することができる。
また、アポトーシス阻害剤の候補物質のスクリーニングを行う場合には、ターゲットとする細胞を予めアポトーシスが惹起される環境下(例えば、ダウノマイシン等のアポトーシス誘導物質の存在下や、血清成分が欠乏した環境下)でインキュベートしてこの細胞と被験物質とを接触させるか、または被験物質とターゲットとする細胞とを接触させた後に、そのままアポトーシスが惹起される環境下(上記参照)でインキュベートすればよい。
その後、前記<1>の本発明検出方法1にしたがって、当該細胞におけるHEP骨格又はHS骨格におけるGlcN残基を検知すればよい。
そして、アポトーシス誘導剤の候補物質のスクリーニングにおいては、被験物質を接触させることによって細胞における当該糖鎖構造が増加すれば、アポトーシスが誘導されたのであるから、当該被験物質をアポトーシス誘導剤の候補物質として選択することができる。
同様に、アポトーシス阻害剤の候補物質のスクリーニングにおいては、被験物質を接触させることにより、細胞における当該糖鎖構造が減少すれば、アポトーシスが阻害されたのであるから、当該被験物質をアポトーシス阻害剤の候補物質として選択することができる。
本発明検出方法2は、細胞におけるNDST−3及びNDST−4の少なくとも一方の発現の増加を検知するステップを少なくとも含む、アポトーシスの検出方法である。
細胞におけるNDST−3やNDST−4の発現は、タンパク質として検知してもよく、mRNAとして検知してもよい。タンパク質として検知する場合には、例えば抗体等を用いることもできる。またmRNAとして検知する場合には、例えば実施例に例示したような、NDST−3やNDST−4についての特異的なプライマーを用いたRT−PCRを採用することもできる。なかでもmRNAの発現を検知することが好ましい。この場合におけるNDST−3やNDST−4についての特異的なプライマーは、それぞれの塩基配列(NDST−3:配列番号19、NDST−4:配列番号21)に基づいて設計することができるが、その具体例としては、NDST−3について配列番号5と6の組合わせ、NDST−4について配列番号7と8の組合わせを例示することができる。また、RT−PCRの条件等の具体例についても、実施例に記載したものを例示することができる。
本発明スクリーニング方法2は、被験物質と細胞とを接触させ、これにより当該細胞におけるNDST−3及びNDST−4の少なくとも一方の発現が増加又は減少した場合に当該被験物質を選択するステップを少なくとも含む、アポトーシス誘導剤又はアポトーシス阻害剤の候補物質のスクリーニング方法である。NDST−3及びNDST−4の少なくとも一方の発現が増加した場合には当該被験物質をアポトーシス誘導剤として選択することができ、NDST−3及びNDST−4の少なくとも一方の発現が減少した場合には当該被験物質をアポトーシス阻害剤として選択することができる。
本発明スクリーニング方法2は、本発明スクリーニング方法1のスクリーニング指標である「HEP骨格又はHS骨格におけるGlcN残基の増加又は減少」に代えて、「NDST−3及びNDST−4の少なくとも一方の発現が増加又は減少」をスクリーニング指標として採用したものである。したがって、この点以外の説明は、本発明スクリーニング方法1と同様である。
そして、NDST−3及びNDST−4の少なくとも一方の発現は、前記<5>の本発明検出方法2にしたがって検知すればよい。したがって本発明スクリーニング方法2における「発現」もmRNAの発現であることが好ましく、これに関する他の説明も前記<5>と同様である。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、これにより本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
1−1.本実施例で用いた細胞
以下の各種細胞株を生体組織由来の試料として用いた。
(1)K562株: ヒト慢性骨髄性白血病由来細胞株(Blood, 1975 Mar; 45(3): 321-334)(RCB0027)である。
(2)HL−60株: ヒト前骨髄球性白血病細胞株(Nature, 1977 Nov 24; 270(5635):
347-349)(RCB0041)である。
(3)U937株: ヒトリンパ腫由来細胞株(J. Exp. Med., 1976 Jun 1; 143(6): 1528-1533)(RCB1978)である。
(4)C−1株: ヒト大腸癌由来細胞株(Cancer Res. 2001 Jun 1; 61(11): 4620-4627)である。
(5)LS174T株: ヒト大腸癌由来細胞株(Clin. Cancer Res., 2006 Mar 1; 12(5): 1606-1614)である。
(6)PC12株: ラット褐色腫由来細胞株であり、NGF添加により神経突起を伸ばして分化する特性を有する(Natl. Acad. Sci. USA., 1976 Jul; 73(7): 2424-2428)(RCB0009)。
(7)Jurkat株: ヒトT細胞株(Int. J. Cancer, 1977 May 15; 19(5): 621-626)(RCB0806)である。
なお、「RCB」で始まる番号は、理化学研究所 バイオリソースセンター 細胞バンク(RIKEN CELL BANK)における細胞番号である。
なお、C−1株、LS174T株及びPC12株についてはFCSを10%含有するDMEMを、他の細胞株についてはFCSを10%含有するRPMI−1640培地を、それぞれ細胞培養液として用いた。
(1)JM403抗体: 生化学バイオビジネス株式会社製のものを用いた。この抗体の
免疫グロブリンクラスはマウスIgMであり、HEP骨格又はHS骨格中に存在する、GlcN残基に結合する。抗原をヘパリチナーゼ処理することによって結合性が消失し、HA、CS、DS、KSとは実質的に結合しない。
−10535として受託されたハイブリドーマによって産生されたものを用いた。この抗体の免疫グロブリンクラスはマウスIgMである。この抗体はHEP骨格又はHS骨格中に存在するGlcN残基に結合するが、EHS−HS、HA、Ch、各種CS(CS−A、CS−B、CS−C、CS−D、CS−E)及びKSには実質的に結合しない。
用いた。この抗体の免疫グロブリンクラスはマウスIgMであり、HS中に存在するGlcNS残基に結合する。抗原をヘパリチナーゼ処理すると結合性が消失し、HA、CS、DS、KS、DNAとは実質的に結合しない。
体の免疫グロブリンクラスはマウスIgMであり、HS中に存在するO−硫酸化・N−アセチル化グルコサミンに結合する。マウス、サル、ラット、ハムスター、ニワトリ由来の多様な正常細胞とも結合する。HA、Ch、HEP、コンドロイチン−4−硫酸、コンドロイチン−6−硫酸、DS、CS−D、CS−E及びKSとは実質的に結合しない。
ものを用いた。この抗体の免疫グロブリンクラスはマウスIgMである。この抗体はACHに結合するが、AS、HEP、HS、NAH及びEHS−HS、HA、各種CS(CS−A(W)、CS−A(S)、CS−B、CS−C、CS−D、CS−E)及びKSには実質的に結合しない。またこの抗体は、HEP誘導体のうち、CDSHに対しては強く反応し、2SH、6SHとAc−NSHに対しては極弱く反応するが、NH2−HEP、N
Ac−HEP、6DSH、Ac−6DSH、NH2−6SH、NH2−2SH、NSH、NH2−CDSHには実質的に結合しない。
ACH55抗体が強く反応したACHは、イズロン酸ユニット(-[IdoA-GlcNAc]-)を
主な構成二糖としていることから、ACH55抗体のエピトープは、イズロン酸ユニットから構成されていると考えられる。このことは、この抗体がCDSH(グルクロン酸ユニット及びイズロン酸ユニットにより主に構成される多糖であり、イズロン酸ユニットの存在比は60%以上と高い)とも強く反応することからも裏付けられる。
またこの抗体が結合しなかったNAHは、グルクロン酸ユニット(-[GlcA-GlcNAc]-)
からなるACHのウロン酸C5−エピマーであることから、特にイズロン酸残基がこの抗体の抗原認識において必須であることが示唆される。さらに、この抗体はAS(イズロン酸残基の2位水酸基が硫酸化されている)に対する結合性がみられないことから、イズロン酸の硫酸化(IdoA(2S))は、この抗体の結合性を阻害することが示唆される。
またこの抗体の結合性は、GlcNAc残基のN−脱アセチル化(NH2−CDSH)
及びN−硫酸化(NSH)によって消失したので、GlcN残基のアミノ基がアセチル化されていることも、この抗体の抗原の認識において重要であることが示唆された。ASと結合しないこの抗体が、2SH、6SHやAc−NSHと弱く反応した理由は、HEPがN−脱硫酸化、2−O脱硫酸化及び6−O脱硫酸化等、複数の修飾を経る過程で、イズロン酸ユニットがHEP誘導体中に顕在化したためと推察される。
のを用いた。この抗体の免疫グロブリンクラスはマウスIgMである。
この抗体はASに対して強く反応するが、HS及びHEPに対して実質的に結合しない。またこの抗体は、ACH、EHS−HS、KS、HA、NAH、CS−A(W)、CS−A(S)、CS−B、CS−C、CS−D、CS−E及びChのいずれに対しても実質的に結合しない。したがってこの抗体のエピトープには、IdoA(2S)残基が含まれていることが示唆される。
また、この抗体が結合性を示さないHS及びHEPの分子中には、IdoA(2S)のα(1−4)結合が存在するが、その大部分はGlcNS又はO−硫酸化GlcNSと結合した二糖ユニットとして存在することから、GlcN残基の修飾も、この抗体の結合を阻害する要因となっていることが推察される。
また、この抗体は、NH2−HEP及び6DSHに対して実質的に結合しないが、それ
らをN−アセチル化したNAc−HEP及びAc−6DSHに対してはASと同程度の結合性を示す。このことから、この抗体のエピトープには、N位が何らかの形で修飾されたGlcN残基、特にN−アセチル化されたGlcN残基が含まれていることが示唆される。また、この抗体のNAc−HEP及びAc−6DSHとの結合性からみて、そのGlcN残基のO−硫酸化やN−硫酸化はこの抗体の結合性に実質的に影響しないことが示唆される。
免疫グロブリンクラスはマウスIgMであり、コンドロイチン−4−硫酸と結合する。HA、Ch、HEP、HS、DS及びKSとは実質的に結合しない。
リルルイスXセラミド、6,6'-bis-硫酸化シアリルルイスXセラミド、6-硫酸化ルイスX
セラミド、ルイスXセラミド等には結合しない抗体。特開平11−313684に記載の方法で製造した。)
前記の各種細胞に対するアポトーシスの誘導は、以下のいずれかの方法によって行った。
(1)ダウノマイシン(daunomycin、daunorubicinともいう)処理
上記細胞の培養液中に、ダウノマイシン(daunorubicin hydrochloride;シグマ社製)を添加することによってアポトーシスを誘導した。
(2)血清欠乏処理
FCS含量(通常は10%)を0.6%とした細胞培養液中で上記細胞を培養することにより、アポトーシスを誘導した。
アポトーシスが誘導されていることは、アガロースゲル電気泳動によって、細胞の染色体DNAのラダー(断片化)を観察することにより確認した。
前記の各細胞(アポトーシスを誘導しないもの及びアポトーシスを誘導したもののそれぞれ)の懸濁液に、終濃度5μg/ml又は20μg/mlとなるように前記の各種抗体(一次抗体)を添加して4℃で30分間インキュベートした。その後、終濃度2%のFCSを含有するPBSで洗浄し、次いで1/200に希釈した二次抗体(FITC標識抗マウス
イムノグロブリン抗体(Chemicon;カタログ番号AQ326F))を添加して4℃で30分間インキュベートした。その後、終濃度2%のFCSを含有するPBSで洗浄し、フローサイトメトリーにより解析した。なお、一次抗体を用いずに二次抗体のみでインキュベートしたものをコントロールとした。
前記1−3.(1)に記載の方法でダウノマイシン(終濃度1.0μM)処理をしたK562株における、各種NDST(NDST−1、NDST−2、NDST−3、NDST−4)のmRNAの発現を、RT−PCRで解析した。詳細な条件等は、次のとおりである。
前記の各細胞を、直径100mmの細胞培養ディッシュを用いて、ダウノマイシンの在下又は非存在下で培養した。その後、培養上清を除去し、細胞をPBS(−)で洗浄した。洗浄後の細胞に、1mlのISOGEN(株式会社ニッポンジーン)を添加して細胞を溶解させた。この細胞溶解液をクロロホルム抽出し、RNA画分を分離し、イソプロパノール沈殿を行って全RNAを分離した。回収したRNAを、DEPC処理水(RNaseフリーの水;ナカライテスク株式会社)で溶解してRNA溶液を得た。
cDNAの合成は、SuperScript II Reverse Transcription kit(インビトロジェン社)を用いて行った。全容量10μlの反応液に、5μgの全RNA、1mMのdNTP混合物、500ngのオリゴ(dT)12-18プライマー及びDEPC処理水を混合し、65℃で5分間加熱した後、氷上で急冷した。この反応液に、前記キットに付属している1x反応緩衝液、5mM MgCl2、10mM DTT及び40U RNaseOUT(登録商標)を混合し、全容量を20μlとした。42℃で2分間加熱した後、200UのSuperScript II Reverse Transcriptase(逆転写酵素;インビトロジェン社)を添加し、更に50分間保温した。その後、70℃で15分間加熱することによって逆転写酵素を失活させた。その後、RNaseHを添加して37℃で20分間保温し、cDNA合成の鋳型として用いた全RNAを分解した。これによって得られたcDNAを、次の実験に用いた。
前記で得られたcDNAと、以下に示す各遺伝子特異的プライマーを用いて標的遺伝子の部分配列を増幅した。なお、用いたプライマーは以下の通りである。「F:」は正方向(forward)プライマーを、「R:」は逆方向(reverse)プライマーをそれぞれ示す。なお、括弧内に記載された温度の意義は後述する。
F:5'-ACCTGTCCAACTATGGGAATGACC-3'(配列番号1)
R:5'-AACTCCATGTACCAGTCGATGCCT-3'(配列番号2)
(2)NDST−2(58℃、307bp)
F:5'-TCTCGTGAACTAGACCGGAGCAT-3'(配列番号3)
R:5'-GACGATCACAGGTTTTCTCCTTGGAC-3'(配列番号4)
(3)NDST−3(58℃、310bp)
F:5'-ACTATGGGAATGACCGACTGGGAT-3'(配列番号5)
R:5'-GGGGAGTTACTAAGGATGGAAGGATG-3'(配列番号6)
(4)NDST−4(59℃、397bp)
F:5'-TGAGCAGAAAGACCCTCTATGGCA-3'(配列番号7)
R:5'-TGAGGGGTCAATGAGGATGGTGAT-3'(配列番号8)
(5)HS2ST(60℃、444bp)
F:5'-CAGGATTTTATCATGGACACG-3'(配列番号9)
R:5'-TCTTTCCTGTGCGATAGAGT-3'(配列番号10)
(6)HS6ST−1(60℃、490bp)
F:5'-TGGACCGAGCTCACCAACTG-3'(配列番号11)
R:5'-AGGGCCGGATGAACTTGAGG-3'(配列番号12)
(7)HS6ST−2(60℃、333bp)
F:5'-TGGACCGAGCTCACCAACTG-3'(配列番号13)
R:5'-AGGGCCGGATGAACTTGAGG-3'(配列番号14)
(8)HS6ST−3(60℃、398bp)
F:5'-TAGCTGCAAAGCGGGTCAGAAG-3'(配列番号15)
R:5'-TGTTAGCCAGGTTGTAGGTGCAATCC-3'(配列番号16)
(9)G3PDH(57℃、498bp)
F:5'-AAGGTCATCCATGACAAC-3'(配列番号17)
R:5'-CACCCTGTTGCTGTAGCCA-3'(配列番号18)
2−1.アポトーシス誘導の確認
前記「1−3.」の方法で処理した細胞は、いずれもアガロースゲル電気泳動によって染色体DNAのラダー(断片化)が観察され、アポトーシスが誘導されていることが確認された。一例として、K562株を終濃度1μMのダウノマイシンで2日間処理した場合の電気泳動像を図1に示す。図1中の「M」のレーンは分子量マーカーを、「−」のレーンはダウノマイシン処理していない細胞を、「+」のはダウノマイシン処理した細胞をそれぞれ示す。
図1の「+」において、細胞の染色体DNAが断片化し、アポトーシスが誘導されたことが示された。
結果を図2〜図13に示す。各図とも、グラフの横軸は蛍光強度を、縦軸は細胞数を示す。また各図とも、グラフ中の左側の位置に存在する山型の実線はコントロールを示す。このコントロールよりも実線のピークが右側にシフトしている場合には、一次抗体が細胞に結合している(一次抗体によって細胞が染色されている)ことになる。
A:JM403抗体(5μg/ml)
B:NAH46抗体(50μg/ml)
C:NAH43抗体(20μg/ml)
D:NAH43抗体(50μg/ml)
E:NAH43抗体(100μg/ml)
F:JM403抗体(5μg/ml)
G:NAH46抗体(50μg/ml)
H:NAH43抗体(20μg/ml)
I:NAH43抗体(50μg/ml)
J:NAH43抗体(100μg/ml)
K:JM403抗体(5μg/ml)
L:NAH46抗体(50μg/ml)
M:NAH43抗体(20μg/ml)
N:NAH43抗体(50μg/ml)
O:NAH43抗体(100μg/ml)
A:10E4抗体(5μg/ml)
B:NAH46抗体(5μg/ml)
C:JM403抗体(5μg/ml)
D:10E4抗体(5μg/ml)
E:NAH46抗体(5μg/ml)
F:JM403抗体(5μg/ml)
A:10E4抗体(5μg/ml)
B:NAH46抗体(5μg/ml)
C:JM403抗体(5μg/ml)
D:10E4抗体(5μg/ml)
E:NAH46抗体(5μg/ml)
F:JM403抗体(5μg/ml)
A:10E4抗体(5μg/ml)
B:NAH46抗体(5μg/ml)
C:JM403抗体(5μg/ml)
D:10E4抗体(5μg/ml)
E:NAH46抗体(5μg/ml)
F:JM403抗体(5μg/ml)
A:AS22抗体(5μg/ml)
B:ACH55抗体(5μg/ml)
C:10E4抗体(1μg/ml)
D:NAH46抗体(1μg/ml)
E:JM403抗体(1μg/ml)
F:HepSS−1抗体(1μg/ml)
A:AS22抗体(5μg/ml)
B:ACH55抗体(5μg/ml)
C:10E4抗体(1μg/ml)
D:NAH46抗体(1μg/ml)
E:JM403抗体(1μg/ml)
F:HepSS−1抗体(1μg/ml)
A:AS22抗体(5μg/ml)
B:ACH55抗体(5μg/ml)
C:10E4抗体(1μg/ml)
D:JM403抗体(1μg/ml)
E:NAH46抗体(1μg/ml)
F:HepSS−1抗体(5μg/ml)
G:LY111抗体(5μg/ml)
H:G152抗体(20倍希釈)
A:AS22抗体(5μg/ml)
B:ACH55抗体(5μg/ml)
C:10E4抗体(1μg/ml)
D:JM403抗体(1μg/ml)
E:NAH46抗体(1μg/ml)
F:HepSS−1抗体(5μg/ml)
G:LY111抗体(5μg/ml)
H:G152抗体(20倍希釈)
A:10E4抗体(5μg/ml)
B:NAH46抗体(5μg/ml)
C:JM403抗体(5μg/ml)
D:10E4抗体(5μg/ml)
E:NAH46抗体(5μg/ml)
F:JM403抗体(5μg/ml)
A:10E4抗体(5μg/ml)
B:NAH46抗体(5μg/ml)
C:JM403抗体(5μg/ml)
D:10E4抗体(5μg/ml)
E:NAH46抗体(5μg/ml)
F:JM403抗体(5μg/ml)
A:10E4抗体(5μg/ml)
B:NAH46抗体(5μg/ml)
C:JM403抗体(5μg/ml)
D:10E4抗体(5μg/ml)
E:NAH46抗体(5μg/ml)
F:JM403抗体(5μg/ml)
B:NAH46抗体(5μg/ml)
C:JM403抗体(5μg/ml)
D:10E4抗体(5μg/ml)
E:NAH46抗体(5μg/ml)
F:JM403抗体(5μg/ml)
これらのことから、アポトーシスを誘導した細胞においては、アポトーシスを誘導していない細胞に比して、JM403抗体やNAH43抗体に対する抗原(HEP骨格又はHS骨格におけるGlcN残基)の発現が増加することが示された。
RT−PCRによる各種NDSTのmRNAの発現解析の結果を図14に示す。なお図14中、レーン「C」はダウノマイシン処理していないK562株の結果を、レーン「1」はダウノマイシンで1日間処理したK562株の結果を、レーン「2」はダウノマイシンで2日間処理したK562株の結果をそれぞれ示す。またG3PDHは、RT−PCRのコントロールである。
図14より、NDST−1及びNDST−2については、アポトーシス誘導処理(ダウノマイシン処理)の有無にかかわらず、これらの発現量に変化はなかった。一方、NDST−3及びNDST−4については、アポトーシス誘導処理(ダウノマイシン処理)によって、これらの発現が誘導されることが示された。
また、図面には示していないが、HS6ST−2とHS6ST−3についてはアポトーシス誘導処理(ダウノマイシン処理)の有無にかかわらずmRNAの発現は観察されなかった。HS6ST−1については、アポトーシス誘導処理(ダウノマイシン処理)によって1日目はmRNAの発現量に変化はなかったが、2日目に発現量が減少した。HS2STについては、アポトーシス誘導処理(ダウノマイシン処理)によって1日目はmRNAの発現量に変化はなかったが、2日目に発現量が不変かやや減少した。
以下の構成成分からなる本発明キットを製造した。
(1)JM403抗体 1本(一次抗体)
(2)FITC標識した抗マウスイムノグロブリン抗体 1本(二次抗体)
(3)洗浄液(PBS) 1本
また、以下の構成成分からなる本発明キットを製造した。
(1)NAH43抗体 1本(一次抗体)
(2)FITC標識した抗マウスイムノグロブリン抗体 1本(二次抗体)
(3)洗浄液(PBS) 1本
Claims (4)
- 細胞におけるNDST−3及びNDST−4の少なくとも一方の発現の増加を検知するステップを少なくとも含む、アポトーシスの検出方法。
- 発現が、mRNAの発現である、請求項1に記載の検出方法。
- 被験物質と細胞とを接触させ、当該細胞におけるNDST−3及びNDST−4の少なくとも一方の発現が増加又は減少した場合に当該被験物質を選択するステップを少なくとも含む、アポトーシス誘導剤又はアポトーシス阻害剤の候補物質のスクリーニング方法。
- 発現が、mRNAの発現である、請求項3に記載のスクリーニング方法。
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JPH06109729A (ja) * | 1992-09-30 | 1994-04-22 | Nippon Koutai Kenkyusho:Kk | アポトーシス検出試薬 |
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