JP4787666B2 - 癌の検出方法及び検出キット - Google Patents
癌の検出方法及び検出キット Download PDFInfo
- Publication number
- JP4787666B2 JP4787666B2 JP2006127069A JP2006127069A JP4787666B2 JP 4787666 B2 JP4787666 B2 JP 4787666B2 JP 2006127069 A JP2006127069 A JP 2006127069A JP 2006127069 A JP2006127069 A JP 2006127069A JP 4787666 B2 JP4787666 B2 JP 4787666B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- antibody
- binds
- ferm
- sulfate
- ach
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Description
GAG:グリコサミノグリカン
HA:ヒアルロン酸
HEP:ヘパリン
HS:ヘパラン硫酸
EHS−HS:マウスのエンジェルブレス−ホーム−スワーン腫瘍組織(Engelbreth-Holm-Swarm sarcoma)由来のHS
Bi−GAG:ビオチン標識GAG
Bi−HEP誘導体:ビオチン標識HEP誘導体
GlcNS:N−硫酸化グルコサミン
GlcNAc:N−アセチルグルコサミン
IdoA:イズロン酸
IdoA(2S):2−O−硫酸化イズロン酸
NAH:N−アセチルヘパロザン
AS:アカラン硫酸
Bi−AS:ビオチン標識AS
RA−AS:還元アミノ化AS
PDP−AS:2−ピリジルジスルフィドプロピオニル化AS
SH−AS:チオプロピオニル化AS
ACH:2−O−脱硫酸化AS
Bi−ACH:ビオチン標識ACH
RA−ACH:還元アミノ化ACH
PDP−ACH:2−ピリジルジスルフィドプロピオニル化ACH
SH−ACH:チオプロピオニル化ACH
NH2−HEP:N−脱硫酸化HEP
NAc−HEP:N−脱硫酸化・N−アセチル化HEP
2DSH:2−O−脱硫酸化HEP
NH2−6SH:(2−O・N)−脱硫酸化HEP
6SH:(2−O・N)−脱硫酸化・N−アセチル化HEP
6DSH:6−O−脱硫酸化HEP
NAc−6DSH:N−アセチル化6DSH
NSH:(2−O・6−O)−脱硫酸化HEP
NAc−NSH;N−アセチル化NSH
NH2−2SH:(6−O・N)−脱硫酸化HEP
2SH:(6−O・N)−脱硫酸化・N−アセチル化HEP
NH2−CDSH:完全脱硫酸化HEP
CDSH:完全脱硫酸化・N−アセチル化HEP
Ch:コンドロイチン
CS:コンドロイチン硫酸
CS−A(S):サメ由来コンドロイチン硫酸A
CS−A(W):クジラ由来コンドロイチン硫酸A
CS−B:コンドロイチン硫酸B
CS−C:コンドロイチン硫酸C
CS−D:コンドロイチン硫酸D
CS−E:コンドロイチン硫酸E
KS:ケラタン硫酸
FITC:フルオレセインイソチオシアネート
HRP:ホースラディッシュペルオキシダーゼ
BSA:ウシ血清アルブミン
KLH:ヘモシアニン
PDP−KLH:2−ピリジルジスルフィドプロピオニル化KLH
FCS:子ウシ胎仔血清
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
TMB:テトラメチルベンジジン
SPDP:N−スクシンイミジル−3−[2−ピリジルジチオ]プロピオン酸
EDC:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
ELISA法:酵素標識抗体測定法
ASは、アフリカマイマイ(学名:Achatina fulica)から単離されたGAGの一種である。ASは、GlcNAcとIdoA(2S)とからなる二糖(-[IdoA(2S)-GlcNAc]-)の繰り返し構造を基本糖鎖構造として有する多糖であり、HS及びHEPと極めて類似した構造を有していることが知られている(非特許文献1)。ASを化学的に脱硫酸化した化合物としては、ACHが知られている(非特許文献2)。ASに結合する抗体としては、MW3G3が知られている(非特許文献3)。しかしながら、「ACHに結合する抗体」は知られていない。また、これらの抗体を癌の検出に用いることも知られていない。
この「ACHに結合する抗体」は、ASに実質的に結合しないものが好ましい。またこの「ACHに結合する抗体」は、NAHに実質的に結合しないものが好ましい。またこの「ACHに結合する抗体」は、ブタ腸由来のHEPに実質的に結合しないものが好ましい。またこの「ACHに結合する抗体」は、ウシ腎臓由来のHSに実質的に結合しないものが好ましい。またこの「ACHに結合する抗体」は、EHS−HSに実質的に結合しないものが好ましい。
またこの「ACHに結合する抗体」は、モノクローナル抗体であることが好ましい。この「ACHに結合する抗体」は、タンパク質とACHとを化学的に結合させてなる物質を抗原として免疫した哺乳動物由来のリンパ球と、哺乳動物由来のミエローマ細胞との細胞融合により形成されるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体であることが好ましい。このリンパ球及びミエローマ細胞は、マウス由来であることが好ましい。
またこの「ACHに結合する抗体」の免疫グロブリンクラスはIgMであることが好ましい。またこの「ACHに結合する抗体」は、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにおける受託番号がFERM BP−10779であるハイブリドーマにより産生される抗体であることが好ましい。
また、この「ASに結合する抗体」は、ウシ腎臓由来のHSに実質的に結合しないものが好ましい。またこの「ASに結合する抗体」は、ブタ腸由来のHEPに実質的に結合しないものが好ましい。またこの「ASに結合する抗体」は、EHS−HSに実質的に結合しないものが好ましい。またこの「ASに結合する抗体」は、ウシ角膜由来のKSに実質的に結合しないものが好ましい。またこの「ASに結合する抗体」は、HAに実質的に結合しないものが好ましい。またこの「ASに結合する抗体」は、NAHに実質的に結合しないものが好ましい。
またこの「ASに結合する抗体」は、モノクローナル抗体であることが好ましい。この「ASに結合する抗体」は、タンパク質とASとを化学的に結合させてなる物質を抗原として免疫した哺乳動物由来のリンパ球と、哺乳動物由来のミエローマ細胞との細胞融合により形成されるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体であることが好ましい。このリンパ球及びミエローマ細胞は、マウス由来であることが好ましい。
またこの「ASに結合する抗体」の免疫グロブリンクラスはIgM又はIgGであることが好ましい。またこの「ASに結合する抗体」は、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにおける受託番号がFERM BP−10774、FERM BP−10775、FERM BP−10776、FERM BP−10777又はFERM BP−10778であるハイブリドーマにより産生される抗体であることが好ましい。
本発明方法は、「ACHに結合する抗体」及び/又は「ASに結合する抗体」を生体組織由来の試料に接触させるステップを少なくとも含む、癌の検出方法である。
(1)ACHに結合する抗体
ここで用いる「ACHに結合する抗体」は、ACHに結合する抗体である限りにおいて特に限定されない。この「ACHに結合する抗体」は、ASに実質的に結合しないものが好ましく、またNAHに実質的に結合しないものも好ましく、またブタ腸由来のHEPに実質的に結合しないものも好ましく、またウシ腎臓由来のHSに実質的に結合しないものも好ましく、またEHS−HSに実質的に結合しないものも好ましい。なかでも、これらの全ての性質を満たしているものが好ましい。
なお本明細書において「実質的に結合しない」とは、1分子たりとも結合しないことを意味するものではなく、結合が検出できないか又は結合が検出できたとしても弱いものであって本発明が属する技術分野における当業者から見て無視できる程度のものであることを意味する。例えば、ACHに対する結合性を100%としたときに、ある物質への結合性が5%以下である場合には「実質的に結合しない」ということができる。したがって、後述する実施例において示されるACH55は、ACHに結合するが、AS、NAH、ブタ腸由来のHEP、ウシ腎臓由来のHS及びEHS−HSのいずれにも実質的に結合しないものであるということができる。
また、この「ACHに結合する抗体」は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれであっても良いが、継続的な生産性の確保や、抗体の均一性の観点からすればモノクローナル抗体であることが好ましい。
「ACHに結合する抗体」の免疫グロブリンクラスも特に限定されないが、IgMであることが好ましい。
「ACHに結合する抗体」として最も好ましいのは、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにおける受託番号がFERM BP−10779であるハイブリドーマにより産生される抗体である。
(2)ASに結合する抗体
ここで用いる「ASに結合する抗体」は、ASに結合する抗体である限りにおいて特に限定されない。この「ASに結合する抗体」は、ウシ腎臓由来のHSに実質的に結合しないものが好ましく、またブタ腸由来のHEPに実質的に結合しないものも好ましく、またEHS−HSに実質的に結合しないものも好ましく、またウシ角膜由来のKSに実質的に結合しないものも好ましく、またCS及びHAに実質的に結合しないものも好ましく、またNAHに実質的に結合しないものも好ましい。なかでも、これらの全ての性質を満たしているものが好ましい。
「実質的に結合しない」の意義は前記と同様である。例えば、ASに対する結合性を100%としたときに、ある物質への結合性が5%以下である場合には「実質的に結合しない」ということができる。したがって、後述する実施例において示されるAS22は、ASに結合するが、ウシ腎臓由来のHS、ブタ腸由来のHEP、EHS−HS、ウシ角膜由来のKS、HA及びNAHのいずれにも実質的に結合しないものであるということができる。
また、この「ASに結合する抗体」も、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれであっても良いが、継続的な生産性の確保や、抗体の均一性の観点からすればモノクローナル抗体であることが好ましい。
「ASに結合する抗体」の免疫グロブリンクラスも特に限定されないが、IgM又はIg
Gであることが好ましい。
「ASに結合する抗体」として最も好ましいのは、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにおける受託番号がFERM BP−10774、FERM BP−10775、FERM BP−10776、FERM BP−10777又はFERM BP−10778であるいずれかのハイブリドーマにより産生される抗体である。
(3)生体組織由来の試料との接触
本発明方法では、以上のような「ACHに結合する抗体」及び/又は「ASに結合する抗体」を生体組織由来の試料に接触させるステップを少なくとも含んでいる。
また、これらの抗体以外の抗体をさらに接触させてもよい。このような抗体としては、例えば「NAHに結合する抗体」等を例示することができる。
また本発明における「生体組織」は、生体に由来する組織である限りにおいて特に限定されないが、脊椎動物の生体組織であることが好ましい。脊椎動物としては、例えば魚類、両生類、は虫類、鳥類、哺乳類等が例示されるが、哺乳類であることが好ましい。なかでもヒトの生体組織であることがより好ましい。
また「生体組織由来の試料」も、このような生体組織から得ることができる試料である限りにおいて特に限定されない。このような生体組織由来の試料としては、例えば、生体組織そのもの、その生体組織に由来する細胞、その細胞の細胞膜を含有する画分、その生体組織から抽出された分子(例えば糖鎖分子)等を例示することができる。なかでも、その生体組織に由来する細胞であることが好ましい。
(4)癌の検出
「ACHに結合する抗体」及び/又は「ASに結合する抗体」をこのような生体組織由来の試料に接触させ、当該試料における生体組織、細胞、細胞膜画分、生体組織から抽出された分子(例えば糖鎖分子)等への当該抗体の結合を検出することにより、癌を検出することができる。すなわち、これらの抗体が生体組織由来の試料におけるこれらのものに結合すれば、当該生体組織が癌であるということを検出することができる。
抗体の結合の検出は、公知の免疫学的手法により行うことができる。例えば、抗体(又はさらに当該抗体に結合する抗体(二次抗体))に、最終的に何らかの特殊なシグナルとして検出されうる物質を結合させて、これを生体組織由来の試料(生体組織、細胞、細胞膜画分、生体組織から抽出された分子(例えば糖鎖分子)等)に接触させ、洗浄した後に、当該試料に当該シグナルが残存している場合には、その抗体は当該試料に結合したと判断することができる。
本発明方法における検出の対象となる「癌」の種類も特に限定されないが、大腸癌又は扁平上皮癌であることが好ましい。
なお、本発明における「癌の検出」は、癌であるということの検出は勿論、癌の種類の検出(鑑別)等も含む概念である。
例えば、「ACHに結合する抗体」や「ASに結合する抗体」は、癌のなかでも大腸癌や扁平上皮癌の生体組織由来の試料に結合しやすいことから、これらの抗体がある生体組織に結合した場合には「当該生体組織が癌である」ということを検出できるとともに、「当該生体組織が大腸癌又は扁平上皮癌である」ということも検出(鑑別)することができる。
また、同一の生体組織に由来する複数の試料に、複数種類の抗体を1種類づつ接触させることによっても、癌の種類の検出(鑑別)をすることができる。この場合にはその検出(鑑別)の精度をさらに高めうる。例えば、同一の生体組織に由来する複数の試料に、「ACHに結合する抗体」、「ASに結合する抗体」をそれぞれ接触させて、これらの抗体の結合性のパターンを調べることにより、より精度の高い検出(鑑別)をなしうる。例えば後述する実施例に示す通り、ある生体組織に由来する複数の試料に、AS17抗体(ASに結合する抗体)、AS22抗体(ASに結合する抗体)、AS25抗体(ASに結合する抗体)、ACH55(ACHに結合する抗体)のそれぞれを接触させたときに、AS22抗体及びACH55抗体のみが結合し、AS17抗体及びAS25抗体が結合しない場合には、当該生体組織は大腸癌であると検出(鑑別)することができる。また後述の実施例に示すとおり、「NAHに結合する抗体」(例えばNAH46抗体)は癌組織に結合することから、さらにこの抗体を組み合わせることによって、このような癌の検出の精度をさらに高めることができる。
また、ここにいう「癌の検出(鑑別)」は、その可能性の検出(鑑別)をも包含する概念である。すなわち例えば、少なくとも「ACHに結合する抗体」及び/又は「ASに結合する抗体」が生体組織由来の試料に結合した場合には、「当該生体組織が癌である可能性がある」ということを検出できるとともに、「当該生体組織が大腸癌又は扁平上皮癌である可能性がある」ということも検出(鑑別)することができる。
<2>本発明キット
本発明キットは、「ACHに結合する抗体」及び/又は「ASに結合する抗体」を構成成分として少なくとも含む、癌の検出キットである。
(参考例1) AS及びACHの調製
ASは、Kim, Y. S.らの方法(前記の非特許文献1に記載された方法)に従ってアフリカマイマイ(学名:Achatina fulica)から調製した。得られたASを原料として、Ishihara, M.らの方法(前記の非特許文献2に記載された方法)に従ってACHを調製した。
(参考例2) PDP−KLHの調製
KLHへの2−ピリジルジスルフィド構造の導入は、Carlsson, J.らの方法(Biochem. J., 173, 723 (1978))に従って行った。
(参考例3) ウロン酸を介したACH−BSAコンジュゲートの調製
ACH及びBSA(バイエル社製)を、それぞれ0.1M MES緩衝液(pH5.5)に、終濃度が10mg/mlになるように溶解し、ACH溶液及びBSA溶液を得た。ACH溶液 300 μlとBSA溶液 150 μlとを混合し、EDC(PIERCE社製)400 μgを添加した後、撹拌しながら20時間室温に保持した。得られた反応後の溶液は、蒸留水に対して一晩透析した後、凍結乾燥し、ウロン酸を介したACH−BSAコンジュゲート 3.5mgを得た。
(参考例4) Bi−GAG及びBi−HEP誘導体の調製
ASおよび、ACHは参考例1で調製したものを使用した。ブタ皮由来のHA(以下、単に「HA」と記載する)、CS−A(W)、CS−A(S)、CS−B、CS−C、CS−D、CS−E、ウシ腎臓由来のHS(以下、単に「HS」と記載する)、及びウシ角膜由来のKS(以下、単に「KS」と記載する)は、生化学工業株式会社製のものを使用した。NAHは特開2004-18840に記載の方法に従って、大腸菌K5の培養物から調製した。ブタ腸由来のHEP(以下、単に「HEP」と記載する)は、サイエンティフィックプロテインラボラトリーズ社から購入した。また、EHS−HSは、特公平7−53756号公報に記載の方法により調製した。
(参考例5) ストレプトアビジン固相化マイクロプレートの作製
ストレプトアビジン(Vector社製)をPBS(−)で20μg/mlに希釈し、マキシソープ(登録商標)96ウェルマイクロプレート(ヌンク社製)の各ウェルに50μlずつ加えた。このプレートを18時間、4℃で保存することにより、ストレプトアビジンをプレート上に均一に固相化した後、PBS(−)で2回洗浄した。続いて、ブロッキング剤としてApplieDuo(登録商標、生化学工業株式会社製)を用い、以下の方法によりストレプトアビジンでコーティングされていない部分をブロッキングした。すなわち、防腐剤として0.05%プロクリン300(登録商標、SUPELCO社製)を含むリン酸緩衝液(pH7.2〜7.5:以下、「PB」という)を用いて、ApplieDuo(登録商標)の5倍希釈液(以下、「ブロッキング液」という)を調製し、これを各ウェルに250μlずつ加え、室温で2時間静置した。静置後、ブロッキング液を充分に除去し、37℃で2時間乾燥させることにより、所望するストレプトアビジン固相化マイクロプレートを得た。得られたプレートは乾燥剤とともにアルミラミネート袋に封入し、冷蔵保存した。
(参考例6) 各種GAG固相化マイクロプレート及び各種HEP誘導体固相化マイクロプレートの作製
1) ACH固相化マイクロプレートの作製
参考例3で調製したACH-BSAコンジュゲート (50 ng)を、マキシソープ(登録商標) 96ウェルマイクロプレートに添加し、18時間、4℃に保持した後、防腐剤として0.05%プロクリン300(登録商標)を含むPBS(−)で4倍希釈したブロックエース(登録商標;大日本製薬株式会社製)を用いてブロッキングした。1時間、室温で静置した後、所望のACH固相化マイクロプレートを得た。このACH固相化マイクロプレートは、後述する参考例8において血清中の抗体価を検証のために使用した。
2) 各種Bi−GAG固相化マイクロプレート及び各種Bi−HEP誘導体固相化マイクロプレートの作製
上記参考例4に記載の各種Bi−GAG及び各種Bi−HEP誘導体を、終濃度が1 μg/mlになるように、0.05%プロクリン300(登録商標)を含むPBS(−)で20倍希釈したApplieDuo(登録商標)溶液に溶解した(以下この溶液を、「各種Bi−GAG溶液」及び「各種Bi−HEP誘導体溶液」という)。参考例5で作製したストレプトアビジン固相化マイクロプレートの各ウェルを、300μlの0.05%プロクリン300(登録商標)及び0.05%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含むPBS(−)(以下、「洗浄緩衝液」と言う)で4回洗浄した。各種Bi−GAG溶液及び各種Bi−HEP誘導体溶液をそれぞれ100 μlずつ各ウェルに分注し、室温で30分間静置したのち、各ウェルを洗浄緩衝液で4回洗浄することにより、所望の各種Bi−GAG固相化マイクロプレート及び各種Bi−HEP誘導体固相化マイクロプレートを得た。これらのプレートは、後述する参考例8におけるクローニング、及び後述する参考例10における反応性試験において使用した。
(参考例7) ACH抗原の調製
1) RA−ACHの調製
参考例1で調製したACH 4.5mgを、2M 塩化アンモニウム水溶液 160μlに溶解した。この溶液に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム 12mgを添加し、70℃で2日間、還元アミノ化反応を行った。反応後の溶液に、シアノ水素ホウ素ナトリウム 5mgを添加し、さらに2日間、上記と同一の条件で反応を行った。反応後の溶液を氷浴中で冷却した後、酢酸 32μlを添加して反応を完全に停止させた。2倍量のエタノールを用いた溶媒沈殿法により、RA−ACHを回収した。得られた沈殿を、エタノール洗浄した後に凍結乾燥し、RA−ACHの凍結乾燥物2.1mgを得た。
2) 2−ピリジルジスルフィドプロピオニル化ACHの調製
上記1)で調製したRA−ACH 2.1mgを、0.1M NaCl−0.1M リン酸緩衝液(pH7.5) 1mlに溶解した。この溶液に5mM SPDPエタノール溶液 80μlを添加した後、室温にて一晩静置し、2−ピリジルジスルフィドプロピオニル化反応(PDP反応)を行った。過剰のSPDPを除くために蒸留水を用いて透析を行った後、凍結乾燥し、PDP−ACHの凍結乾燥物 1.7mgを得た。
3) SH−ACHの調製
上記2)で調製したPDP−ACH 1.7mgを、0.1M NaCl−0.1M 酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5) 160μlに溶解した。この溶液に、終濃度が25mMになるようにジチオスレイトールを添加し、60分間室温にて還元反応を行った。2倍量のエタノールを用いた溶媒沈殿法でSH−ACHを回収した。得られた沈殿を、エタノール洗浄した後に凍結乾燥し、SH−ACHの凍結乾燥物 1.3mgを得た。
4) ジスルフィド結合を介したACH−KLHコンジュゲートの調製
上記3)で調製したSH−ACH 1.3mg及び参考例2で調製したPDP−KLH 0.65mgを、0.1M NaCl−0.1M リン酸緩衝液(pH7.5) 1mlに溶解し、2時間室温にてコンジュゲーション反応を行った。反応中に生成されるピリジル−2−チオンを除くため、上記反応後の溶液を、蒸留水に対して一晩透析した後、凍結乾燥し、ACH−KLHコンジュゲートの凍結乾燥物1.5mgを得た。得られた凍結乾燥物は、後述する参考例8において、ACH抗原として用いた。
(参考例8) ACHに対して反応する抗体を生産するハイブリドーマ細胞株の樹立
1) マウスの免疫化
前記参考例7の4)で得られたACH抗原1mgを少量の蒸留水に溶解し、これをTiterMAX Gold(登録商標;シグマ社製)2mlと混合し、抗原溶液を調製した。また、免疫する動物としては、4匹のBALB/Cマウス(6週齢のメス;日本チャールズリバー社製)を用いた。上記の抗原溶液 100μl/匹 を、2週間毎に2又は3回皮下投与した。血清の抗体価が十分な値に達した時、最終免疫として、アジュバントを含まないACH抗原溶液 100μl/匹を投与した。最終免疫から3日後、免疫したマウスを安楽死させ、脾臓を摘出した。
1)で摘出した脾臓から得られた免疫感作されたリンパ球と、マウスミエローマP3U1細胞(株式会社シマ研究所製)とを、4対1ないし5対1の混合比で混合した後、50%のポリエチレングリコール1500(ロシュ社製)中で共遠心分離することによって細胞融合を実施した。なお、上記の細胞融合に用いるミエローマ細胞には、細胞融合の1週間前より、8−アザグアニンを含んだHAT培地で生育させたものを用いた。細胞融合後、HAT培地中で細胞を生育させた細胞を、以下のクローンの選抜に用いた。
3)クローンの選抜及び評価
3−1) クローニング
クローニングには限界希釈法を採用した。すなわち、細胞数がウエル当り1以下になるようにHAT培地で細胞を希釈し、これを96ウェルマイクロプレートに播種した。これを常法に従って培養し、培養上清液を得た。培養上清液の抗体価の評価を、参考例6の2)で作製したBi−ACH固相化マイクロプレートを用いたELISA法により行い、クローンを選抜した。以上のクローンニングの工程は、少なくとも2回以上実行した。以上の結果として、1つのクローンを選抜し、取得した。
3−2) クローンの評価
上記3)−1で取得したクローンの活性が維持されていることを確認するため、当該クローンを24ウェルプレートの培養スケールにて培養し、得られた培養上清液の抗体価の評価を、参考例6の2)で作製したBi−ACH固相化マイクロプレート、及びHRP標識ヤギ抗マウス免疫グロブリン抗体(以下、「HRP抗マウスIg」という;ダコ社製)を用いたELISA法により行った。以下に詳細を示す。
[クローンの抗体価の評価]
予め洗浄緩衝液によって4回洗浄したBi−ACH固相化マイクロプレートに、培養上清液 100μlを分注し、室温にて1時間静置した。さらに洗浄緩衝液で4回洗浄した後に、反応緩衝液(0.05%プロクリン300(登録商標)を含むPBS(−)で20倍に希釈したApplieDuo(登録商標)溶液)で2000倍に希釈したHRP抗マウスIg 100μlを、各ウェルに分注した。このプレートを室温にて1時間静置した後、洗浄緩衝液で4回洗浄し、TMB溶液(HRP基質溶液;BIOFX社製) 100μlを各ウェルに加え、30分間、常温で酵素反応を行った。反応終了後、発色試薬(BIOFX社製)100μlを各ウェルに添加し、630nmをバックグラウンド補正として、450nmの吸光度を測定した。なお、反応緩衝液をネガティブブランクとして用いた。その結果、当該クローンが抗ACH抗体を生産していることが確認された。樹立したハイブリドーマのクローン番号はACH55であったことから、このハイブリドーマによって産生される抗体を、ACH55抗体と名付けた。上記のハイブリドーマは、平成18年3月1日に独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−10779として受託された。常法に従って抗体の免疫グロブリンクラスを調べた結果、ACH55抗体の免疫グロブリンクラスはIgMであることを確認した。
(参考例9) 抗ACHモノクローナル抗体の調製
1) 抗ACHモノクローナル抗体の生産
目的の抗ACHモノクローナル抗体を生産する方法としては、マウス腹水法を採用した。すなわち、上記参考例8の3)で樹立したハイブリドーマ(クローン番号:ACH55)5×106個を、予めプリスタン(2,6,10,14-Tetrametylpentadecane:東京化成工業株式会社)処理した3匹のBALB/Cマウス(15週齢の雌)の腹腔に注入した。注射後10〜20日の間に、マウスの腹水を数回に分けて採取し、合計約10mlの腹水を得た。
2) 抗ACHモノクローナル抗体の精製
上記1)で得た腹水を、吸着バッファ2(0.5M K2SO4を含む20のmMリン酸緩衝液(pH 7.5))に対して一晩透析した。透析内液をメンブランフィルタ(孔径:0.45 mm)によって濾過し、得られた濾過液を、予め吸着バッファ1(20 mMリン酸緩衝液(pH 7.0))で平衡化したHiTrap IgY Purification HPカラム(5ml;アマシャム・バイオサイエンス社製)にアプライした後、吸着バッファ1でカラムを洗浄した。通過させた洗浄液の280nmの吸収がほぼ0になったとき、20 mMリン酸緩衝液(pH 7.5)をカラムに通過させ、ACH55抗体を溶出した。溶出したACH55抗体をNH4SO4(50%の飽和)を用いて塩析することによって回収した。得られた沈澱物をPBS(−)に対して透析し、精製ACH55抗体 2.2mgを含む透析内液を得た。
(参考例10) 抗ACHモノクローナル抗体の反応性試験
1) ACH55抗体の各種GAGに対する反応性
1)−1 方法
Bi−GAGの固相化量の異なるマイクロプレートを作製するために、固相化に用いるBi−GAG溶液中のBi−GAGの終濃度を、0.001、0.004、0.012、0.037、0.111、0.333、1.000μg/mlと変化させて参考例6の2)と同様の方法で作製したBi−GAG固相化マイクロプレートを、それぞれ洗浄緩衝液で4回洗浄した。その後、各ウェルに、添加剤としてApplieDuo(登録商標;最終希釈率20倍;生化学工業株式会社製)及び防腐剤として0.05%プロクリン300を含有するPBS(−)(以下、「反応液A」という)を用いて濃度0.06 μg/mlに調整したACH55抗体からなる各試験溶液を100μlずつ加え、これを常温で60分間静置し、抗原抗体反応させた。反応終了後、各ウェルを洗浄緩衝液で4回洗浄し、二次抗体溶液として、反応液Aで2000倍に希釈したHRP抗マウスIg溶液を100μlずつ加え、これを常温で60分間静置して抗原抗体反応させた。反応終了後、このプレートを洗浄緩衝液で4回洗浄し、HRPの基質としてTMB溶液(HRP基質溶液、BIOFX社製)を100μlずつ加え、常温で30分間反応させて発色させた。続いて、プレートに反応停止液(BIOFX社製)を100μlずつ加えて反応を停止させた後、TMB分解によって増加する波長450nmの吸光度(対照波長630nm)をウェルリーダーSK−603(登録商標;生化学工業株式会社販売)で測定した。なお、抗体の反応性は、上記の各濃度のBi−GAGを用いて作製したBi−GAG固相化マイクロプレートを用いて上記測定を行った場合の吸光度から、Bi−GAG溶液の代わりにBi−GAGを含まない0.05%プロクリン300(登録商標)を含むPBS(−)で20倍希釈したApplieDuo(登録商標)溶液を用いることの他、参考例6 2)と同様の方法により作製したコントロール測定用マイクロプレートを用いて上記の測定方法に準じて測定を行った場合の吸光度(ブランク値)を減算した吸光度差(以下、単に「吸光度差」と記載する)によって評価した。
1)−2 結果
Bi−GAG固相化マイクロプレートのGAGとして、NAH、AS、ACH、HS、HEP及びEHS−HSを用いた場合の結果を、図2に示す。
2) ACH55抗体の各種HEP誘導体に対する反応性
各種HEP誘導体に対する反応性を評価した。Bi−HEP誘導体固相化マイクロプレートのHEP誘導体として、NH2−HEP、NAc−HEP、6DSH、NAc−6DSH、NH2−6SH、6SH、NH2−2SH、2SH、NSH、NAc−NSH、NH2−CDSH及びCDSHを用いた。なおこの試験においては、固相化に用いるBi−HEP誘導体を含む溶液の濃度を1μg/mlに固定した(0.1 μg/ウェル)。結果を図3に示す。
(参考例11) ウロン酸を介したAS−BSAコンジュゲートの調製
ACHに代えてASを用い、前記の参考例3と同様に行った。最終的に、ウロン酸を介したAS−BSAコンジュゲート 3.5mgを得た。
(参考例12) Bi−GAG及びBi−HEP誘導体の調製
ACHに代えてASを用い、前記の参考例4と同様に行った。
(参考例13) ストレプトアビジン固相化マイクロプレートの作製
前記の参考例5と同様に行った。
(参考例14) 各種GAG固相化マイクロプレート及び各種HEP誘導体固相化マイクロプレートの作製
1) AS固相化マイクロプレートの作製
参考例11で調製したAS−BSA(50 ng)を用いて、参考例6の1)と同様に行った。このAS固相化マイクロプレートは、後述する参考例16において血清中の抗体価を検証するために使用した。
2) 各種Bi−GAG固相化マイクロプレート及び各種Bi−HEP誘導体固相化マイクロプレートの作製
参考例6の2)と同様に行った。
(参考例15) AS抗原の調製
1) RA−ASの調製
参考例1で調製したAS 4mgを秤量し、2M 塩化アンモニウム水溶液 160μlに溶解した。この溶液に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム12mgを添加し、70℃で2日間、還元アミノ化反応を行った。反応後の溶液に、シアノ水素ホウ素ナトリウム 5mgを添加し、さらに2日間、上記と同一の条件で反応を行った。反応後の溶液を氷浴中で冷却した後、酢酸 32μlを添加して反応を完全に停止させた。2倍量のエタノールを用いた溶媒沈殿法により、RA−ASを回収した。得られた沈殿を、エタノール洗浄した後に凍結乾燥し、RA−ASの凍結乾燥物3.3mgを得た。
2) PDP−ASの調製
上記1)で調製したRA−AS 3.3mgを、0.1M NaCl−0.1M リン酸緩衝液(pH7.5) 1mlに溶解した。この溶液に5mM SPDPエタノール溶液 80μlを添加した後、室温にて一晩静置し、2−ピリジルジスルフィドプロピオニル化反応(PDP反応)を行った。過剰のSPDPを除くために蒸留水を用いて透析を行った後、凍結乾燥し、PDP−ASの凍結乾燥物3.8mgを得た。
3) SH−ASの調製
上記2)で調製したPDP−AS 2.0mgを秤量し、0.1M NaCl−0.1M 酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)160μlに溶解した。この溶液に、終濃度が25mMになるようにジチオスレイトールを添加し、60分間室温にて還元反応を行った。2倍量のエタノールを用いた溶媒沈殿法でSH−ASを回収した。得られた沈殿を、エタノール洗浄した後に凍結乾燥し、SH−ASの凍結乾燥物1.5mgを得た。
4) ジスルフィド結合を介したAS−KLHコンジュゲートの調製
上記3)で調製したSH−AS 1.5mg及び参考例2で調製したPDP−KLH 0.75mgを、0.1M NaCl−0.1M リン酸緩衝液(pH7.5) 1mlに溶解し、2時間室温にてコンジュゲーション反応を行った。反応中に生成されるピリジル−2−チオンを除くため、上記反応後の溶液を、蒸留水に対して一晩透析した後、凍結乾燥し、AS−KLHコンジュゲートの凍結乾燥物1.9mgを得た。得られた凍結乾燥物は、後述する参考例16において、AS抗原として用いた。
(参考例16) ASに対して反応する抗体を生産するハイブリドーマ細胞株の樹立
1) マウスの免疫化
少量の蒸留水に溶解したAS抗原 1mgとTiterMAX Gold(登録商標;シグマ社製)2mlとを混合し、抗原溶液を調製した。また、免疫する動物としては、4匹のBALB/Cマウス(6週齢のメス;日本チャールズリバー社製)を用いた。上記の抗原溶液 100μl/匹を、2週間毎に2又は3回皮下投与した。血清の抗体価が十分な値に達した時、最終免疫として、アジュバントを含まないAS抗原溶液 100μ1/匹を投与した。最終免疫から3日後、免疫したマウスを安楽死させ、脾臓を摘出した。
2)ハイブリドーマの創製
1)で摘出した脾臓から得られた免疫感作されたリンパ球と、マウスミエローマP3U1細胞(株式会社シマ研究所製)とを、4対1ないし5対1の混合比で混合した後、50%のポリエチレングリコール1500(ロシュ社製)中で共遠心分離することによって細胞融合を実施した。なお、上記の細胞融合に用いるミエローマ細胞には、細胞融合の1週間前より、8−アザグアニンを含んだHAT培地で生育させたものを用いた。細胞融合後、HAT培地中で細胞を生育させた細胞を、以下のクローンの選抜に用いた。
3)クローンの選抜及び評価
3−1) クローニング
クローニングには限界希釈法を採用した。すなわち、細胞数がウェル当り1以下になるようにHAT培地で細胞を希釈し、これを96ウェルマイクロプレートに播種した。これを常法に従って培養し、培養上清液を得た。培養上清液の抗体価の評価を、参考例14の2)で作製したBi−AS固相化マイクロプレートを用いたELISA法により行い、クローンを選抜した。以上のクローンニングの工程は、少なくとも2回以上実行した。以上の結果として、6つのクローンを選抜し、取得した。
3−2) クローンの評価
上記3)−1で取得した各クローンの活性が維持されていることを確認するため、当該クローンを24ウェルプレートの培養スケールにて培養し、得られた培養上清液の抗体価の評価を、参考例14の2)で作製したBi−AS固相化マイクロプレート及びHRP抗マウスIgを用いたELISA法により行った。以下に詳細を示す。
[クローンの抗体価の評価]
予め洗浄緩衝液によって4回洗浄した、Bi−AS固相化マイクロプレートに、培養上清液 100μlを分注し、室温にて1時間静置した。さらに洗浄緩衝液で4回洗浄した後に、反応緩衝液(0.05%プロクリン300(登録商標)を含むPBS(−)で20倍に希釈したApplieDuo(登録商標;生化学工業株式会社製)溶液)で2000倍に希釈したHRP抗マウスIg 100μlを、各ウェルに分注した。このプレートを室温にて1時間静置した後、洗浄緩衝液で4回洗浄し、TMB(HRP基質溶液;BIOFX社製)100μlを各ウェルに加え、30分間、常温で酵素反応を行った。反応終了後、発色試薬(BIOFX社製)100μlを各ウェルに添加し、630nmをバックグラウンド補正として、450nmの吸光度を測定した。なお、反応緩衝液をネガティブブランクとして用いた。その結果、各クローンが抗AS抗体を生産していることが確認された。樹立したハイブリドーマのクローン番号はAS17、AS22、AS25、AS38及びAS48であったことから、このハイブリドーマによって産生される抗体を、それぞれAS17抗体、AS22抗体、AS25抗体、AS38抗体及びAS48抗体と名付けた。上記のハイブリドーマは、平成18年3月1日に独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに、受託番号FERM BP−10774、FERM BP−10775、FERM BP−10776、FERM BP−10777又はFERM BP−10778としてそれぞれ受託された。常法に従って抗体の免疫グロブリンクラスおよびそのサブクラスを調べた結果、AS17抗体はIgG2aに分類され、AS25抗体及びAS38抗体はIgG1に分類され、AS22抗体及びAS48抗体はIgMに分類されることを確認した。
(参考例17) 抗ASモノクローナル抗体の調製
1) 抗ASモノクローナル抗体の生産
目的の抗ASモノクローナル抗体を生産する方法としては、マウス腹水法を採用した。すなわち、上記参考例16の3)で樹立した各ハイブリドーマ(AS17、AS22、AS25、AS38、AS48)それぞれ5×106個を、それぞれ予めプリスタン(2,6,10,14-Tetrametylpentadecane:東京化成工業株式会社)処理した3匹のBALB/Cマウス(15週齢の雌)の腹腔に注入した。注射後10〜20日の間に、マウスの腹水を数回に分けて採取し、合計約10mlの腹水を得た。
2) 抗ASモノクローナル抗体の精製
以下に、IgGタイプ抗体(AS17抗体、AS25抗体及びAS38抗体)の精製方法を示す。すなわち、上記1)により得られた腹水を、それぞれ吸着バッファ1(20 mMリン酸緩衝液(pH 7.0))に対して一晩透析した。透析内液をメンブランフィルタ(孔径:0.45 mm)によって濾過し、得られた濾過液を、予め吸着バッファ1で平衡化したHiTrap Protein G HPカラム(5ml;アマシャム・バイオサイエンス社製)にアプライし、同バッファでカラムを洗浄した。通過液の280nmの吸収がほぼ0になった時、0.1 M グリシンバッファ(pH 2.7)をカラムに通過させ、AS17抗体、AS25抗体及びAS28抗体をそれぞれ溶出した。各抗体を含む溶液をそれぞれ回収し、PBS(−)に対して十分に透析した。透析内液は必要に応じて限外ろ過濃縮等で適切な濃度に適宜調整し、それらを精製抗体として使用した。精製したAS17抗体、AS25抗体及びAS38抗体の量はそれぞれ、30.8mg、4.6mg及び11.5mgであった。
(参考例18) 各抗ASモノクローナル抗体の反応性試験
各抗ASモノクローナル抗体(精製抗体)の各種GAG及び各種HEP誘導体に対する反応性を検証した。
1) 各精製抗体の反応性試験その1−ASに対する反応性試験
1)−1 方法
Bi−GAGの固相化量の異なるマイクロプレートを作製するために、固相化に用いるBi−AS溶液中のBi−ASの終濃度を、0.001、0.004、0.012、0.037、0.111、0.333、1.000 μg/mlと変化させて参考例14の2)と同様の方法により作製したBi−AS固相化マイクロプレートを、それぞれ洗浄緩衝液で4回洗浄した後、各ウェルに、添加剤としてApplieDuo(登録商標;最終希釈率20倍、生化学工業株式会社製)、防腐剤として0.05%プロクリン300を含むPBS(−)(以下、「反応液A」という)を用いて、それぞれ、0.025 mg/ml(AS17抗体)、0.07mg/ml(AS22抗体)、0.006 mg/ml(AS25抗体)、0.006 mg/ml(AS38抗体)、0.1 mg/ml(AS48抗体)に調製した各精製抗体を含む各試験溶液を100μlずつ加え、これを常温で60分間静置し、抗原抗体反応させた。反応終了後、各ウェルを洗浄緩衝液で4回洗浄し、二次抗体溶液として、反応液Aで2000倍希釈したHRP抗マウスIg(ダコ社製)溶液を100μlずつ加え、これを常温で60分間静置して抗原抗体反応させた。反応終了後、このプレートを洗浄緩衝液で4回洗浄し、HRPの基質としてTMB溶液(HRP基質溶液;BIOFX社製)を100μlずつ 加え、常温で30分間反応させて発色させた。続いて、プレートに反応停止液(BIOFX社製)を100μlずつ 加えて反応を停止させた後、TMB分解によって増加する波長450nmの吸光度(対照波長630nm)をウェルリーダーSK−603(登録商標;生化学工業株式会社販売)で測定した。なお、抗体の反応性は、上記の各濃度のBi−GAGを用いて作製したBi−GAG固相化マイクロプレートを用いて上記測定を行った場合の吸光度から、Bi−GAG溶液の代わりにBi−GAGを含まない0.05%プロクリン300(登録商標)を含むPBS(−)で20倍希釈したApplieDuo(登録商標)溶液を用いることの他、参考例6 2)と同様の方法により作製したコントロール測定用マイクロプレートを用いて上記の測定方法に準じて測定を行った場合の吸光度(ブランク値)を減算した吸光度差(以下、単に「吸光度差」と記載する)によって評価した。
1)−2 結果
結果を、図4に示す。ASに対するAS22抗体とAS48抗体の相対感度は、AS17抗体、AS25抗体及びAS38抗体のそれよりも100倍の強度があった。Bi−AS濃度が1.0 μg/ml(0.1μg/ウェル)のとき、すべての抗体は強い反応性(吸光度差;≧1)を示した。
2) 各精製抗体の反応性試験その2−各種GAGに対する反応性試験
2)−1 方法
用いる各種Bi−GAGの濃度を、1.0 μg/ ml(0.1μg/ウェル)に固定することの他、上記1)−1と同様の方法により、各種GAG及び各種HEP誘導体に対する各精製抗体の反応性を評価した。
2)−2 結果
図5に各種GAGに対する各精製抗体の反応性の結果を示す。
3) 各精製抗体の反応性試験その3−各種HEP誘導体に対する反応性試験
エピトープ解析の一助とするために、前記の参考例14に記載の各種Bi−HEP誘導体固相化プレートを用いることの他、上記2)−1に記載の方法に準じて反応性の評価を行うことにより、抗原のグルコサミン残基のN位の修飾状態が、各抗体の反応性にどのように影響するかを検証した。以下、グルコサミン残基のN位が「NH2−」となっている状態を「未修飾」と記載する。結果を図6に示す。
また表1中の「NH2」、「N-Acetyl」、「NS」、「6S」、「2S」は、それぞれ糖鎖骨格中のアミノ基、N−アセチル基、N−硫酸基、6−O硫酸基、2−O硫酸基を示す。また、表1中の◎の記号、○の記号、△の記号及び×の記号は、糖鎖中における当該基の存在量のイメージを示すものである。
◎の記号は当該基が糖鎖中に多く存在するというイメージ、○の記号は当該基が糖鎖中に比較的多く存在するというイメージ、△の記号は当該基が糖鎖中にあまり存在しないというイメージ又は不明であること、×の記号は当該基が糖鎖中に実質的に存在しないというイメージをそれぞれ示す。ただし◎、○及び△は、あくまでイメージであって、当該基の絶対量を意味するものではなく、それぞれの記号相互間において必ずしも同レベルであることを意味しない。
表1中の各抗体の名称の直下に示した数字(左から、0.02、0.05、0.01、0.005、0.15、0.05)は、反応させた各抗体の濃度(μg/ml)を示す。これらの抗体を、左に列記した各種GAGのビオチン標識物(1μg/ml)と反応させてその反応性を評価した。
表1から、例えばACS22抗体は、NAc−HEP(6−O硫酸基及び2−O硫酸基を保持している点が1つの特徴である)とNAc−6DSH(N−硫酸基及び2−O硫酸基を保持している点が1つの特徴である)に高い結合性を有していることがわかる。
扁平上皮癌由来細胞株であるHSC−4株(Anticancer Res., 2005 Nov-Dec; 25(6B): 4053-4059)、HO−1−u−1株(Oncol. Rep., 2004 Aug; 12(2): 339-345)及びHO−1N−1株(Cancer. Lett. 2000 Apr 14; 151(2): 199-208)、並びに大腸癌由来細胞株であるLS174T株(Clin. Cancer Res., 2006 Mar 1; 12(5): 1606-1614)及びC−1株(Cancer Res. 2001 Jun 1; 61(11): 4620-4627)を生体組織由来の試料として用いた。コントロールとして、大腸癌由来細胞株であるCOLO201株(Cancer Res. 1994 Jan 1; 54(1): 272-275)を用いた。
精製したAS22抗体 1本(一次抗体)
精製したACH55抗体 1本(一次抗体)
3.FITC標識した抗マウスイムノグロブリン抗体 1本(二次抗体)
4.AS(標準品) 1本
5.ACH(標準品) 1本
6.洗浄液(PBS) 1本
Claims (17)
- 「2−O脱硫酸化アカラン硫酸に結合する抗体」及び/又は独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにおける受託番号がFERM BP−10774、FERM BP−10775、FERM BP−10776、FERM BP−10777又はFERM BP−10778であるハイブリドーマにより産生される抗体である「アカラン硫酸に結合する抗体」を生体組織由来の試料に接触させるステップを少なくとも含む、癌の検出方法。
- 「2−O脱硫酸化アカラン硫酸に結合する抗体」が、アカラン硫酸に結合しないものである、請求項1に記載の方法。
- 「2−O脱硫酸化アカラン硫酸に結合する抗体」が、N−アセチルヘパロザンに結合しないものである、請求項1又は2に記載の方法。
- 「2−O脱硫酸化アカラン硫酸に結合する抗体」が、ブタ腸由来のヘパリンに結合しないものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 「2−O脱硫酸化アカラン硫酸に結合する抗体」が、ウシ腎臓由来のヘパラン硫酸に結合しないものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 「2−O脱硫酸化アカラン硫酸に結合する抗体」が、マウスのエンジェルブレス−ホーム−スワーン腫瘍組織由来のヘパラン硫酸に結合しないものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 「2−O脱硫酸化アカラン硫酸に結合する抗体」が、モノクローナル抗体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 「2−O脱硫酸化アカラン硫酸に結合する抗体」が、タンパク質と2−O脱硫酸化アカラン硫酸とを化学的に結合させてなる物質を抗原として免疫した哺乳動物由来のリンパ球と、哺乳動物由来のミエローマ細胞との細胞融合により形成されるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体である、請求項7に記載の方法。
- リンパ球及びミエローマ細胞が、マウス由来である、請求項8に記載の方法。
- 「2−O脱硫酸化アカラン硫酸に結合する抗体」の免疫グロブリンクラスがIgMである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
- 「2−O脱硫酸化アカラン硫酸に結合する抗体」が、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにおける受託番号がFERM BP−10779であるハイブリドーマにより産生される抗体である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 「アカラン硫酸に結合する抗体」が、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにおける受託番号がFERM BP−10775であるハイブリドーマにより産生される抗体である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 生体組織が、脊椎動物の生体組織である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
- 癌が、大腸癌又は扁平上皮癌である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
- 癌が、大腸癌である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
- 「2−O脱硫酸化アカラン硫酸抗体に結合する抗体」及び/又は独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにおける受託番号がFERM BP−10774、FERM BP−10775、FERM BP−10776、FERM BP−10777又はFERM BP−10778であるハイブリドーマにより産生される抗体である「アカラン硫酸に結合する抗体」を構成成分として少なくとも含む、癌の検出キット。
- 「アカラン硫酸に結合する抗体」が、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにおける受託番号がFERM BP−10775であるハイブリドーマにより産生される抗体である、請求項16に記載のキット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006127069A JP4787666B2 (ja) | 2006-04-28 | 2006-04-28 | 癌の検出方法及び検出キット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006127069A JP4787666B2 (ja) | 2006-04-28 | 2006-04-28 | 癌の検出方法及び検出キット |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007298420A JP2007298420A (ja) | 2007-11-15 |
JP4787666B2 true JP4787666B2 (ja) | 2011-10-05 |
Family
ID=38768028
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006127069A Expired - Fee Related JP4787666B2 (ja) | 2006-04-28 | 2006-04-28 | 癌の検出方法及び検出キット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4787666B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5711877B2 (ja) * | 2009-06-08 | 2015-05-07 | 愛知県 | 癌の悪性度の検知方法及び癌の悪性度の診断剤 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0753756B2 (ja) * | 1986-08-22 | 1995-06-07 | 生化学工業株式会社 | 抗ヘパラン硫酸モノクロ−ン抗体及びこれを用いるヘパラン硫酸の検出方法 |
JPH0745518B2 (ja) * | 1986-11-28 | 1995-05-17 | 生化学工業株式会社 | 抗コンドロイチン硫酸dモノクロ−ン抗体及びこれを用いるコンドロイチン硫酸dの検出方法 |
US20080008710A1 (en) * | 2003-09-04 | 2008-01-10 | Hiroyuki Aburatani | Therapeutic Agent And Diagnostic Agent For Cholangiocarcinoma |
-
2006
- 2006-04-28 JP JP2006127069A patent/JP4787666B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007298420A (ja) | 2007-11-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4841546B2 (ja) | 新規抗ヘパラン硫酸抗体、ヘパラン硫酸の検出方法、及びヘパラン硫酸検出キット | |
Pejler et al. | Monoclonal antibodies specific for oligosaccharides prepared by partial nitrous acid deamination of heparin. | |
US5374533A (en) | Method for determining chondrocalcin | |
CA2264509C (en) | Novel monoclonal antibody recognizing cell surface antigen cd14 | |
JP4933140B2 (ja) | 抗2−o−脱硫酸化アカラン硫酸抗体とその応用 | |
JP4787666B2 (ja) | 癌の検出方法及び検出キット | |
Suzuki et al. | Generation and characterization of a series of monoclonal antibodies that specifically recognize [HexA (±2S)-GlcNAc] n epitopes in heparan sulfate | |
CA2005794A1 (en) | Monoclonal antibodies which recognise polysulphated polysaccharides | |
JP4942018B2 (ja) | 抗アカラン硫酸抗体とその応用 | |
JP5685712B2 (ja) | アポトーシスの検出方法 | |
US6228599B1 (en) | Antibody specific for homogalacturonan | |
Kongtawelert et al. | A monoclonal antibody that recognizes 2, 3-, 2, 6-, and 4, 6-disulphate ester ring substitution in pyranose-containing polysaccharides its production, characterization and application for the quantitation of pentosan polysulphate, dextran sulphate, glycosaminoglycan polysulphate and chondroitin sulphate E | |
JP6659024B2 (ja) | 抗コンドロイチン硫酸e抗体 | |
JP5467185B2 (ja) | アポトーシスの検出方法 | |
EP0425665B1 (en) | Method for assaying chondrocalcine | |
JP2004208604A (ja) | 新規酵素活性測定方法 | |
WO1999020748A1 (fr) | Anticorps monoclonal anti-uracile et hybridome produisant cet anticorps | |
WO2012077737A1 (ja) | 抗pskポリクローナル抗体並びにそれを用いたpskの免疫学的分析方法およびpskの免疫学的分析用キット | |
JPH11155566A (ja) | 診断用モノクローナル抗体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090415 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20101210 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20101220 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110218 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110712 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110715 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140722 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |