JP2013196765A - 固体高分子形燃料電池の運転方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固体高分子電解質膜2を燃料極1及び酸素極3で挟んで構成されるセルCを複数積層して備える燃料電池FCの運転方法が、発電運転の継続中に、燃料電池FCのセルCの性能を検出する性能検出工程と、発電運転の継続中での性能検出工程による検出結果に基づいて、セルCの性能が、セルCが低加湿状態にあることに起因する性能低下条件を満たすか否かを判定する判定工程と、判定工程で性能低下条件を満たしていると判定したとき、セルCが含む水の量が増加するように燃料電池FCの運転状態を所定期間だけ変化させる水量増加工程とを有する。
【選択図】図1
Description
つまり、固体高分子形燃料電池の運転状態が変化すれば、セルが含む水の量(即ち、湿潤状態)は変化する。従って、セルが含む水の量を減少傾向にさせるような運転状態で固体高分子形燃料電池の運転が継続されれば、セルの湿潤状態が低下して、固体高分子形燃料電池の性能が低下する恐れがある。
発電運転の継続中に、前記固体高分子形燃料電池の前記セルの性能を検出する性能検出工程と、
発電運転の継続中での前記性能検出工程による検出結果に基づいて、前記セルの性能が、前記セルが低加湿状態にあることに起因する性能低下条件を満たすか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程で前記性能低下条件を満たしていると判定したとき、前記セルが含む水の量が増加するように前記固体高分子形燃料電池の運転状態を所定期間だけ変化させる水量増加工程と、を有する点にある。
従って、固体高分子形燃料電池の運転中にその運転を中断することなく又は運転状態を変更することなく、セルが低加湿状態にあることに起因するセルの性能低下を検出し、それに伴って発生する固体高分子形燃料電池の性能低下及び劣化を抑制できる固体高分子形燃料電池の運転方法を提供できる。
前記判定工程において、前記性能検出工程で検出した実際の出力電圧が、出力電流密度の関数として設定される基準出力電圧より低い場合に前記性能低下条件を満たすと判定する点にある。
以下に図面を参照して第1実施形態の固体高分子形燃料電池の運転方法について説明する。図1は、固体高分子形燃料電池FCを備える燃料電池システムの構成を説明する図である。図2は、固体高分子形燃料電池FCが有するセルCの構造を説明する図である。
固体高分子形燃料電池FC(以下、「燃料電池FC」と記載する)は、固体高分子電解質膜2(以下、「電解質膜2」と記載する)を燃料極1及び酸素極3で挟んで構成されるセルCを複数積層して備える。また、セルCは、発電時に発生する熱を回収することで燃料電池FCを冷却する冷却部4を含む。尚、図1では図面の簡略化のため、単一のセルCのみを記載する。
その結果、熱交換器7では、湯水循環路10を流れる湯水と、燃焼排ガス及び排空気との熱交換が行われる。つまり、熱交換器7において、湯水循環路10を流れる湯水は、燃焼排ガス及び排空気から熱を回収して昇温される。
その結果、熱交換器8では、湯水循環路10を流れる湯水と、冷却水循環路9を流れる冷却水(即ち、セルCから熱を回収した後の冷却水)との熱交換が行われる。つまり、熱交換器8において、湯水循環路10を流れる湯水は、セルCから熱を回収して昇温される。
燃料電池FCのセルCが低加湿の状態になると、セルCの性能が低下し、更には電解質膜2の劣化にも至る可能性がある。そこで、本実施形態において、制御装置20は、燃料電池FCのセルCの性能を監視し、セルCが低い性能しか発揮できないままで運転される状態が継続されないような運転方法を実行する。
制御装置20は、性能検出工程#10において、発電運転の継続中に、燃料電池FCのセルCの性能を検出する。本実施形態では、性能検出工程#10で検出するセルCの性能は、セルCの出力電圧である。セルCの性能が相対的に高ければ、即ち、電解質膜2のイオン伝導性能が相対的に高ければ、電解質膜2の電気抵抗値は低くなるため、出力電流密度に対する出力電圧は相対的に高くなる。従って、電解質膜2の性能はセルCの出力電圧の高低として現れ、本実施形態では、セルCの出力電圧の高低を監視して、電解質膜2のイオン伝導性能を検出している。
図4には、出力電流密度の関数として設定される基準出力電圧を示す。尚、図4において、横軸に記載する出力電流密度は、基準とする定格運転時の出力電流密度で規格化した値である。そして、判定工程#20では、検出したセルCの出力電圧が図4中に実線で示す基準出力電圧よりも低い場合に、セルCの性能低下条件を満たすと判定する。
そして、定格運転時の出力電流密度の25%の出力電流密度で発電運転を継続中、7時間(実時間)連続して低負荷運転を行った段階で、上記判定工程#20において、セルCの性能が、セルCが低加湿状態にあることに起因する性能低下条件を満たすと判定された。そして、上記水量増加工程#30を行った。
以上のように、セルCが含む水の量が増加するように燃料電池FCの運転状態を所定期間だけ変化させる水量増加工程#30を行うことで、セルCの性能を回復させることができた。
従って、水量増加工程#30において、セルCが含む水の量が増加するように燃料電池FCの運転状態を所定期間だけ変化させた後は、以前の低負荷運転に復帰させても構わない。
第2実施形態の固体高分子形燃料電池の運転方法は、水量増加工程#30の内容が第1実施形態で説明した水量増加工程#30と異なっている。以下に第2実施形態の固体高分子形燃料電池の運転方法について説明するが、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図6から分かるように、上記判定工程#20を行いながら、定格運転時の出力電流密度の25%の出力電流密度で7時間(実時間)連続して低負荷運転を行った場合、セルCの燃料極1と酸素極3との間の電気抵抗値は時間経過に伴って徐々に増加している。そして、7時間(実時間)を経過した時点で水量増加工程#30を実行した。この水量増加工程#30は、上述したように発電反応を停止させることにより行った。本実施形態では、発電反応の停止期間は2時間とした。また、この発電反応の停止期間中、冷却水を循環させ続けてセルCの冷却を促進した。そして、2時間の停止後、再び低負荷運転を開始したところ、電気抵抗値は、定格運転時の抵抗値と同等となっていた。以上のように、セルCが含む水の量が増加するように発電反応を停止させる水量増加工程#30を行うことで、セルCの状態を定格運転時の状態と同等のレベルにさせることができた。
<1>
上記実施形態では、燃料電池システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。例えば、改質器5から燃料極1へ供給される燃料ガスを加湿するための加湿装置や、酸素極3に供給される空気を加湿するための加湿装置などを別途設けてもよい。また、貯湯タンク11から熱利用装置12に供給される湯水を昇温するための補助熱源装置などを別途設けてもよい。
上記実施形態では、本発明に係る固体高分子形燃料電池の運転方法について具体例を挙げて説明したが、上記具体例で挙げた数値等は一例として記載したに過ぎず、それらの値は適宜変更可能である。例えば、水量増加工程#30により得られる効果を図5又は図6を用いて説明する際、燃料ガス及び空気の露点や、出力電流密度や、発電運転中のセル温度などについての具体的な数値を挙げたが、それらの数値は適宜変更可能である。
上記第1実施形態では、水量増加工程#30として、発電反応により生成される水の量を増加させるためにセルCを定格運転させる場合を例示したが、水の生成量が相対的に少ない運転状態における出力電流密度よりも出力電流密度が増大して、発電反応により生成される水の量が増加すればよく、定格運転させなければならない訳ではない。
また、上記第2実施形態では、水量増加工程#30として、発電反応を停止させてセルCの温度を低下させるときの発電反応の停止期間を2時間とした例を説明したが、発電反応の停止期間の長さは適宜変更可能である。
2 固体高分子電解質膜(セル C)
3 酸素極(セル C)
4 冷却部(セル C)
C セル
FC 固体高分子形燃料電池
Claims (4)
- 固体高分子電解質膜を燃料極及び酸素極で挟んで構成されるセルを複数積層して備える固体高分子形燃料電池の運転方法であって、
発電運転の継続中に、前記固体高分子形燃料電池の前記セルの性能を検出する性能検出工程と、
発電運転の継続中での前記性能検出工程による検出結果に基づいて、前記セルの性能が、前記セルが低加湿状態にあることに起因する性能低下条件を満たすか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程で前記性能低下条件を満たしていると判定したとき、前記セルが含む水の量が増加するように前記固体高分子形燃料電池の運転状態を所定期間だけ変化させる水量増加工程と、を有する固体高分子形燃料電池の運転方法。 - 前記水量増加工程において、前記セルの出力電流密度が増大するように前記固体高分子形燃料電池の運転状態を変化させる請求項1に記載の固体高分子形燃料電池の運転方法。
- 前記水量増加工程において、発電反応を停止させて前記セルの温度が低下するように前記固体高分子形燃料電池の運転状態を変化させる請求項1に記載の固体高分子形燃料電池の運転方法。
- 前記性能検出工程で検出する前記セルの性能は、前記セルの出力電圧であり、
前記判定工程において、前記性能検出工程で検出した実際の出力電圧が、出力電流密度の関数として設定される基準出力電圧より低い場合に前記性能低下条件を満たすと判定する請求項1〜3の何れか一項に記載の固体高分子形燃料電池の運転方法。
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