JP2013195522A - 多光子励起観察装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】AOMなどの調光部を設けることなく、標本に対して画像生成に寄与しない光パルスを照射せずに、各画素周期において均一な条件で標本からの反射光、蛍光または透過光を検出して、定量性のある画像を取得する。
【解決手段】多光子励起観察装置は、レーザ光源11において、電気パルサーから出力される電気パルスにより半導体レーザを利得スイッチ発振させ、出射する光パルスに光増幅および非線形パルス圧縮を行い、出射される光パルスをスキャナ13により標本A上で走査させて、発生する標本Aからの蛍光を、光検出部25により光強度信号に光電変換して、画像情報生成部33で画素周期中に得られる光強度信号を画素毎に加算して画像情報を生成する。制御部32は、標本Aに照射される光パルスが、画素周期毎に同数となるように、電気パルサーを制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、多光子励起観察装置に関するものである。
従来、チタンサファイアレーザなどのモードロックレーザを用い、高ピークパワーの超短パルス列のレーザ光を発生させ、このレーザ光をスキャナにより標本上で走査させることによって、標本から得られる蛍光を検出し画像情報を生成する多光子励起観察装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1に開示の多光子励起観察装置では、図11に概略構成を示すように、チタンサファイアレーザのレーザ光源111から出射した光パルス列を、スキャナ113で走査し、対物レンズ123により標本A上に照射している。そして、標本A上へのレーザ光の照射によって生じる多光子蛍光を、光電変換素子125により電気信号に変換し得られる強度信号を、制御部132の制御に基づき光検出回路131で画素周期毎に積算し画像生成部133に出力している。
ここで、モードロックレーザは、連続光のノイズ成分がカーレンズ効果などにより選択的に増幅されることで短パルス列を発生させる受動モードロック方式であり、光パルス列の間隔は、選択的に増幅される光パルスの光共振器内の周回時間(光共振器の長さに対応)によって決まる。このため、外部から光パルスのタイミングや繰返し間隔(繰返し周波数)を制御することができない。また、共振ガルバノスキャナなどの2次元方向にレーザ光を走査させるスキャナでは、走査領域の端部で走査速度が遅く、中心部で走査速度が速くなる。したがって、必ずしも画素周期と光パルスの繰り返し周期とは同期せず、標本の走査領域の中心部では、端部と比べて照射される光パルスが少なくなる場合がある。このような場合に、画素周期ごとに光パルスに対応して発生する蛍光を全て積算すると、同質で均一な蛍光体であっても、画素毎に輝度が異なってしまい、明るさにむらが生じる。
そのため、特許文献1に開示の発明では、画像情報生成部133によって、画素周期毎に同数の光パルスに対応する蛍光のみの光強度信号を積算する方法や、レーザ光源111とスキャナ113との間に、高速に応答可能な音響光学素子(AOM)により構成される調光部112を設けて光パルスを間引く方法を提案している。
特開2010−113062号公報
しかしながら、画像情報生成部133により画素周期毎に同数の光パルスに対応する蛍光のみの光強度信号を積算する方法では、標本に対して画像情報に寄与しない光パルスを照射することになり、これによる蛍光マーカの褪色など標本の劣化が発生し、長時間生細胞などの標本を観察することが困難であった。
一方、レーザ光源111とスキャナ113との間に調光部112を設け、光パルスを間引く方法では、標本に対して画像情報に寄与しない光パルスを照射することを避けることができる。しかし、図12に示すように、音響光学素子(AOM)を用いるために、一般的に小さいAOMのビーム開口径とレーザ光源のビーム径とを合わせるために、第1のズーム光学系114を設ける必要がある。また、AOMを動作させるための高周波ドライバーが必要であり、高速応答させるために高価なドライバーを用いる必要がある。さらに、AOMのビーム開口径とスキャナ113(多光子励起観察装置)の瞳径を合わせるために、第2のズーム光学系115を設ける必要がある。このように、調光部112を設けると周辺要素も必要となり装置が大型且つ高価になり、またビームのアライメントも必要となるという課題があった。
したがって、これらの点に着目してなされた本発明の目的は、AOMなどの調光部を設けることなく、標本に対して画像生成に寄与しない光パルスを照射せずに、各画素周期において均一な条件で標本からの反射光、蛍光または透過光を検出して、定量性のある画像を取得することができる多光子励起観察装置を提供することにある。
上記目的を達成する第1の観点に係る多光子励起観察装置の発明は、
電気パルスを出力する第1の電気パルス発生器および該電気パルスにより利得スイッチ発振する半導体レーザを含み、該半導体レーザから出射される光パルスに光増幅および非線形パルス圧縮を行い第1の光パルスとして出射する第1のレーザ光源と、
該第1のレーザ光源から出射される前記第1の光パルスを被観察物上で走査させるスキャナと、
前記第1の光パルスの走査によって生じる被観察物からの反射光、蛍光または透過光を受け、光強度信号に光電変換する光検出部と、
画素周期中に得られる前記光強度信号を画素毎に加算して画像情報を生成する画像情報生成部と、
前記被観察物に照射される前記第1の光パルスが、前記画素周期毎に同数となるように、前記第1の電気パルス発生器を制御する制御部と
を備えることを特徴とするものである。
ここで、画素周期は、画像を形成する各画素に対応する標本上の領域の走査時間(あるいは、各画素のサンプリング可能な時間)を意味する。このようにすることによって、外部から第1の光パルスの出射タイミングが設定可能となり、調光部を設けて光パルスを間引いたり、画素情報に寄与しない光パルスの照射をしたりすること無く、各画素周期において均一な条件で標本からの蛍光を検出して、定量性のある画像を取得することが可能となる。
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係る多光子励起観察装置において、前記制御部は、前記第1の電気パルス発生器の出力する電気パルスの繰返し間隔および発振数を設定し、且つ、前記制御部は、前記第1の電気パルス発生器に発振指令信号を送信し、前記設定された繰返し間隔および発振数に基づいて前記電気パルスを出力させることを特徴とするものである。
このようにすることによって、第1の観点に係る発明の効果に加え、例えば不定期間隔のピクセル同期信号を発振指令信号としても、各画素周期において均一な条件で標本からの蛍光を検出して、定量性のある画像を取得することが可能となる。
第3の観点に係る発明は、第2の観点に係る多光子励起観察装置において、
前記制御部は、前記第1の電気パルス発生器の出力する電気パルスの、前記発振指令信号に対する遅延時間を設定することを特徴とするものである。
このようにすることによって、第2の観点に係る発明の効果に加え、第1の光パルスの発振指令信号を受けてからの出射のタイミングを制御することができる。
第4の観点に係る発明は、第1〜第3の観点に係る多光子励起観察装置において、
前記制御部は、前記スキャナが所定の被観察領域以外の領域を走査する状態にあるときは、前記発振指令信号を送信しないことを特徴とするものである。
このようにすることによって、第1〜第3の観点に係る発明の効果に加え、被観察領域以外の領域に、標本のダメージにつながる不要な光パルスを照射することを避けることができる。
第5の観点に係る発明は、第3の観点に係る多光子励起観察装置において、
第2の光パルスを出射する第2のレーザ光源と、前記第1の光パルスの光路および前記第2の光パルスの光路を前記スキャナの前段で結合させる光路結合手段とを備え、前記制御部は、前記第1の光パルスと前記第2の光パルスとが、同時に前記被観察物に照射されないように、前記遅延時間を設定することを特徴とするものである。
このようにすることによって、第3の観点に係る発明の効果に加え、複数のレーザ光源の異なる励起波長で異なるマーカを励起して観察する際に、各々の光パルス間隔を詳細に調整出来るようになることで、光パルスの同時照射による標本へのダメージを抑止し、且つ、標本のマーカ間の相互作用(光刺激)をより正確に観察することが出来る。
第6の観点に係る発明は、第5の観点に係る多光子励起観察装置において、
前記第2のレーザ光源は、前記第2の光パルスを生成するための第2の電気パルス発生器を備え、前記制御部は、前記第1の光パルスと前記第2の光パルスとが、略等しい繰返し間隔でタイミングをずらして出射されるように、前記第1の電気パルス発生器および前記第2の電気パルス発生器の発振指令信号からの遅延時間を設定することを特徴とするものである。
このようにすることによって、第5の観点に係る発明の効果に加え、第2のレーザ光源も電気パルス発生器により駆動されるので、第1および第2のレーザ光源を連動させて、光パルス出力の周期やタイミングをより精緻に制御することができる。
第7の観点に係る発明は、第5の観点に係る多光子励起観察装置において、
前記第2のレーザ光源は、モードロックレーザであることを特徴とするものである。
このようにすることによって、第5の観点に係る発明の効果に加え、免疫・発生分野などで多数のマーカを同時に長時間観察したいニーズに対して、複数の励起波長で同時に複数のマーカを観察する際、励起光パルスの一方に外部から光パルスのタイミングを制御不能なモードロックレーザを用いても、時間差を与えて照射でき、これにより標本ダメージ(褪色)を抑えて長時間観察が可能になる。
第8の観点に係る発明は、第1〜第7の観点の何れかに係る多光子励起観察装置において、
前記制御部は、前記電気パルスの発振数を、前記検出部により得られる前記光強度信号に基づいて設定することを特徴とするものである。
このようにすることによって、第1〜第7の観点に係る発明の効果に加え、高速繰返しが可能な利得スイッチ半導体レーザでは、数百MHzの光パルス間隔を電気パルス発生器の出力信号の設定で発振可能なので、この発振数を変更することで試料の各画素周期当たりに照射する光パルス数(照射強度)を、所望の強度信号が得られるように調整することができる。
本発明によれば、画素周期毎に、被観察物に照射される第1の光パルスが同数となるように、第1の電気パルス発生器を制御するようにしたので、高価かつアライメント調整を要するAOMなどの調光部を設けることなく、標本に対して画像生成に寄与しない光パルスを照射せずに、各画素周期において均一な条件で標本からの反射光、蛍光または透過光を検出して、定量性のある画像を取得することができる。
第1実施の形態に係る多光子励起観察装置の概略構成を示す図である。 図1の多光子励起観察装置のレーザ光源の概略構成を示す図である。 図1の多光子励起観察装置のピクセル同期信号と電気パルサーの出力パルスとの関係を説明する図である。 図1の多光子励起観察装置のガルバノ走査速度とピクセル同期信号と電気パルサーの出力信号との関係を説明する図である。 図1の多光子励起観察装置のピクセル同期信号と電気パルサーの出力パルス数による強度調整を説明する図である。 観察範囲のスキャナによる走査を説明する図である。 第2実施の形態に係る多光子励起観察装置の概略構成を示す図である。 図7の多光子励起観察装置のピクセル同期信号と電気パルサーの出力パルスとの関係を説明する図である。 第3実施の形態に係る多光子励起観察装置の概略構成を示す図である。 図9の多光子励起観察装置のピクセル同期信号と電気パルサーの出力パルスとの関係を説明する図である。 従来例に係る多光子励起観察装置の概略構成を示す図である。 従来例に係る多光子励起観察装置の調光部周辺の構成を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施の形態)
図1は、第1実施の形態に係る多光子励起観察装置の概略構成を示す図である。多光子励起観察装置1は、この場合レーザ走査型顕微鏡であり、レーザ光を射出するレーザ光源装置2と、レーザ光源装置2からのレーザ光を標本A(被観察物)に照射して標本Aを観察するための顕微鏡本体3と、レーザ光源装置2および顕微鏡本体3を制御する制御装置4とを主な構成要素として備えている。
レーザ光源装置2は、レーザ光を射出するレーザ光源11(第1のレーザ光源)と、レーザ光源11から出射されたレーザ光を走査するスキャナ13とを備えている。スキャナ13は、例えば、ガルバノミラー、ポリゴンミラー、音響光学偏向素子等が用いられる。図示のスキャナ13は、アルミコートされた一対のガルバノミラー15a,15bを有しており、制御装置4からの指示により、ガルバノミラー15a,15bの角度を変化させ、ラスタスキャン方式で駆動されるようになっている。これにより、レーザ光源11からのレーザ光を標本A上において2次元的に走査させることができるようになっている。
顕微鏡本体3は、レーザ光源11から射出されスキャナ13により走査されたレーザ光を対物レンズ23へリレーするレンズ22,レンズ24と、レーザ光源11からのレーザ光を標本Aに照射する一方、標本Aから戻る反射光または蛍光を集光する対物レンズ23と、レーザ光の光路と標本Aからの反射光または蛍光の光路とを分岐するダイクロイックミラー21と、ダイクロイックミラー21により分岐された標本Aからの反射光または蛍光を検出する光電変換素子(光検出部)25とを備えている。
ダイクロイックミラー21は、レーザ光源装置2からのレーザ光を対物レンズ23に向けて反射させる一方、対物レンズ23により集光された標本Aからの反射光または蛍光を透過させることで、照明光としてのレーザ光の光路から標本Aからの反射光または蛍光の光路を分岐するようになっている。なお、以降では説明を簡略化するために、ダイクロイックミラー21は、標本Aからの蛍光のみを透過させ、標本Aからの反射光については透過させないこととし、標本Aからの蛍光を観察する場合を例として説明する。
光電変換素子25は、例えばPMT(Photo Multiplier Tube)やAPD(Avalanche Photo Diode)であり、ダイクロイックミラー21を透過してきた標本Aからの蛍光を光電変換し、得られた光強度信号を制御装置4に出力するようになっている。
制御装置4は、光電変換素子25からの光強度信号にA/D変換等の処理を施す光検出回路31と、A/D変換された光強度信号から画像情報を生成する画像情報生成部33と、画像情報生成部33により生成された画像情報を画面に表示する表示モニタ34と、多光子励起観察装置1の各部を制御する制御部32とを備えている。
次に、レーザ光源11について図2を用いて説明する。図2は、レーザ光源11の概略構成を示す図である。レーザ光源11は、電気パルサー(第1の電気パルス発生器)40、半導体レーザ41、分散補償ファイバ42、第1の光アンプ43、光フィルタ44、第2の光アンプ45およびパルス圧縮部46を備える。
電気パルサー40は、外部入力信号に基づいて、1ナノ秒以下の電気パルスを生成し、半導体レーザ41に印加する。半導体レーザ41は、電気パルサー40からの電気パルスを受けて、利得スイッチ動作により短波長成分が先行するチャープした、時間幅数十ピコ秒で光スペクトル幅が0.5ナノメートルから数ナノメートルの光パルスを発振する。半導体レーザ41としては、分布帰還型半導体レーザ(DFB−LD)や面発光半導体レーザ(VCSEL)、量子ドット半導体レーザ(QD−LD)が使用可能であり、望ましくはVCSELである。VCSELは、発振する光パルスの空間への発散角が水平方向と垂直方向で同一であり、光ファイバとの結合が容易かつ高効率で可能である。
分散補償ファイバ42は半導体レーザ41の発振波長に対してシングルモードのみ伝播するファイバである。シングルクラッドファイバや、フォトニック結晶ファイバ(PCF)が使用可能である。分散補償ファイバ42の長さは,半導体レーザ41が発振する光パルスのチャープ量(フーリエ限界との差)を補償するように設定され、数百メートルから1キロメートル程度である。半導体レーザ41から出射したチャープした光パルスは、正常分散を持つ分散補償ファイバ42でチャープが補償され、フーリエ限界(Transform Limit:TL)パルスである、数ピコ秒の光パルスとなる。
半導体レーザ41の利得スイッチ動作で発振する光パルスの強度は、サブピコジュールから数ピコジュールであり、多光子励起観察装置で必要とされるパルスの強度である数十ナノジュールと比べて4桁以上微弱である。この微弱な光パルスを4桁以上増幅するために、第1の光アンプ43と第2の光アンプ45とが設けられる。
第1の光アンプ43としては、利得媒質として希土類元素(Yb,Er,Pr,Hoなどの単体か混合)が添加されたシングルモードの光のみを伝搬するシングルモード光ファイバ増幅器を用いることができる。分散補償ファイバ42から第1の光アンプ43に入射した光パルスは、第1の光アンプ43内でパルスエネルギーを10倍以上光増幅される。
光フィルタ44は、光学基板上に誘電体多層膜を多数成膜しており各層の屈折率に応じて厚さが設計されており、特定の波長帯で設計した帯域を透過し、その他の帯域は反射する特性を有する。第1の光アンプ43を出射した光パルスは、フィルタ44でその光スペクトルの短波長側と長波長側の両方が除去される。これにより、半導体レーザ41の利得スイッチ動作で発生した光パルスのペデスタル(時間波形上のゆっくりと光強度がゼロに落ちていく波尾成分)や、サブパルス(時間波形上に意図した光パルスとは時間間隔があり更に微弱な光パルス)を除去し、理想的な光パルスとすることができる。透過する帯域は1ナノメール以下であり、半導体レーザ41の利得スイッチ動作で発振した光パルスの光スペクトル幅が約1.5ナノメートルの時、フィルタ44を透過する帯域は約0.6ナノメートル程度である。
第2の光アンプ45は、ダブルクラッドファイバを用いた光ファイバ増幅器を用いることができる。ダブルクラッドファイバの利得ファイバを用いることで、光増幅される信号光を利得媒質である希土類が添加されたコアに伝播させ、励起光をインナークラッドに伝播させることができる。インナークラッドはマルチモードの光が伝播するので、シングルモードファイバを用いた光増幅器の場合のシングルモード半導体レーザでなく、マルチモード半導体レーザを励起光源として使用することができる。マルチモード半導体レーザは、数十ワット以上の出力が容易に得られる。これによって、光フィルタ44を透過した約数百ピコジュールの光パルスは、第2の光アンプ45に入射し、光パルスエネルギーが数十ナノジュール台(光強度で数ワット台)に更に光増幅される。なお、ダブルクラッドファイバのコア径はシングルモードファイバのコア径より大きいが、開口数をシングルモードファイバのコアより小さくすることでシングルモードが優先的に伝播するよう設計されている。
なお、シングルクラッドの光ファイバ増幅器およびダブルクラッドの光ファイバ増幅器は公知であるため、それらの詳細な構成の説明は省略する。
パルス圧縮部46は、例えば、シングルモードファイバ47とレンズ48と回折格子対49とから構成され、第2の光アンプ45から出射した光パルスを、非線形パルス圧縮にてピコ秒からフェムト秒にパルス圧縮する。非線形パルス圧縮は、以下の書籍にて紹介されている。
「超高速光エレクトロニクス」 培風館(1991) P.47
「Ultrashort Laser Pulse Phenomena Second Edition」 Academic Press
第1の光アンプ43および第2の光アンプ45により増幅され、高エネルギー且つ高ピークパワーとなった光パルスは、シングルモードファイバ47を伝播することにより、非線形光学効果の自己位相変調を受け光スペクトル幅が拡大し、且つ、シングルモードファイバの正常分散によりチャープが加わる。シングルモードファイバ47を出射した光パルスは、レンズ48により空間ビームとして出力され、図示しないフィルタで自然放出光が除去され図示しない空間アイソレータを透過した後、回折格子対49でパルス圧縮され、フェムト秒の光パルスとなる。
シングルモードファイバ47は、非線形パルス圧縮で最短の時間幅と最高のピーク光強度が得られるように、パルス光のエネルギーと時間幅(光スペクトル幅)に応じて最適な光スペクトル幅とチャープが加わる長さに調節する。通常、シングルモードファイバ47の長さは、数十ナノジュールの光パルスの場合は、数メートルから10メートル程度である。回折格子対49は異常分散を発生する機能を有している。このようにして、100フェムト秒から200フェムト秒のパルス幅である短パルス光を生成することができる。
なお、異常分散を与えるために回折格子対49を用いたが、望ましくは透過型回折格子であると良く、反射型回折格子やプリズム、グリズム、偏波保持の異常分散中空コアフォトニックバンドギャップファイバとしても良い。
以上のように、レーザ光源11は半導体レーザ41で利得スイッチ動作によって発振した種パルスに、光増幅と非線形パルス圧縮を行いレーザ光を生成しており、モードロック方式のような帰還機構を有していない。すなわち、半導体レーザ41を利得スイッチ動作させる電気パルスを発生する電気パルサー40により、ほぼ自由にレーザ光生成のタイミングと光パルス間隔と光パルス数とを制御することが可能である。
次に、制御装置4において実行される処理について図1、図3および図4を用いて説明する。
制御部32は、画像情報生成部33からスキャナ13の走査速度や解像度等の走査条件を受信し、この走査条件に基づいて画像を形成する各画素に対応する標本上の領域の走査時間(あるいは、各画素のサンプリング可能な時間)である画素周期を算出する。さらに、制御部32は、最小の画素周期(最小画素周期)に収まるように射出する光パルスの数と間隔とを決定し、場合によって、遅延時間を設定する。制御部32は、これらパルス数、間隔および遅延時間の情報を電気パルス設定信号として電気パルサー40に送信する。そして、光パルスの走査時に、走査される画素ごとに、画素周期の開始のタイミングを決定するピクセル同期信号(発振指令信号)を生成し、電気パルサー40に送信する。電気パルサー40は、図3のようにピクセル同期信号を受信すると、設定された遅延時間を待って設定数の電気パルスを設定間隔で発生する。なお、電気パルス設定信号は、光パルスの走査前に送信されるが、光パルスの走査中に設定条件を更新して送信することも可能である。
このように、電気パルサー40から、設定された数、間隔および遅延時間の電気パルスを出力することにより、電気パルスに応じてレーザ光源11から光パルスが出射されるので、標本Aの画素周期毎に同数の光パルスが照射可能になる。例えば、スキャナ13としてX方向に共振振動する共振ガルバノスキャナを用いた場合、図4のように走査速度の遅い両端部と逆に速い中心部とでは、ピクセル同期信号の間隔が異なるが、画素周期ごとに同数の光パルスを照射することができる。
光検出回路31は、制御部32の制御のもとで、ピクセル同期信号により光電変換素子25内のコンデンサに検出光量に相当する電荷を蓄積させ、一定時間経過後にこの電荷量を読み取ることにより光強度信号を取得する。光検出回路31は、光強度信号を画像情報生成部33に送信し、画像情報生成部33はこれを画像化し表示モニタ34に画像を表示する。光検出回路31による電荷量の読み取りは、制御部32から光電変換信号25の取込信号を送信して行う。なお、光検出回路31は、あるクロック周期で光電変換素子25の瞬時の検出光量を読取り、この検出光量のピクセル同期信号によるある時間内での積算量(総合計量)を光強度信号として取得するように構成することもできる。
画像情報生成部33は、例えばPC(Personal Computer)であり、レーザ光の標本A面上での集光位置の座標と光検出回路31からの光強度信号とを対応付けて記憶するとともに、記憶した光強度信号を画素周期毎に積算して画像情報を生成し表示モニタ34に表示するようになっている。また、画像情報生成部33は、スキャナ13の走査条件等の入力を受けることができる。すなわち、多光子励起観察装置1の使用者は、表示モニタ34を見ながら走査速度や解像度などの条件を入力部(図示せず)から入力し、これらの条件は画像情報生成部33に設定される。
上記構成を有する多光子励起観察装置1の作用について以下に説明する。
多光子励起観察装置1が駆動されると、制御部32は、画像情報生成部33に設定されている走査条件に基づいて最小画素周期を算出する。そして、最小画素周期に収まるように射出する光パルスの数、間隔および必要に応じて遅延時間を決定する。制御部32は、これらを電気パルス設定信号として、電気パルサー40に送信し、電気パルサー40は、これをメモリに格納することにより電気パルスの発信条件を記憶する。これによって、最小画素周期から、蛍光取り込み範囲およびサンプリング有効範囲が設定される。
例えば、スキャナ13として8kHzの共振ガルバノを使用し、XY観測面を512×512画素としX方向にのみ共振ガルバノを用いた場合、最小画素周期は68ns、最大画素周期は105nsとなる。レーザ光源11の光パルス繰返し周期を80MHzとすると、最小画素周期で5パルス(5.5パルス)、最大画素周期で8パルス(8.4パルス)となる。従って、電気パルサー40にはパルス繰返し間隔を12.5ns(80MHz)、パルス数を5と設定する。ここでは遅延時間はゼロとした。そして、蛍光取り込み範囲およびサンプリング有効範囲は62.5ns(12.5ns/パルス×5パルス)が設定される。
次に、スキャナ13の動作(例えば、ガルバノミラーの揺動)が開始され、制御部32は画素周期の開始タイミングに合せてピクセル同期信号を生成し、電気パルサー40に送信する。電気パルサー40は、ピクセル同期信号を受信すると、記憶している発振条件に従って電気パルスを半導体レーザ41に出力する。これによって、既に説明したように、レーザ光源11からピーク光強度が高く時間幅の短い光パルスのレーザ光が出射される。
レーザ光源11から射出されたレーザ光は、スキャナ13を通り、レンズ24を透過してダイクロイックミラー21により反射され、レンズ22を透過した後に、対物レンズ23により標本A上に照射される。スキャナ13の動作により、レーザ光は標本A上において2次元的に走査されるが、各画素周期では上記設定された数の光パルスが照射される。
レーザ光の照射を受けた標本A上の対物レンズ23の焦点位置では、光子密度が高くなり、多光子励起効果により標本A内の蛍光物質が励起され、蛍光が発生する。発生した蛍光は、対物レンズ23により集光され、レンズ24およびダイクロイックミラー21を透過して光電変換素子25に導光される。光電変換素子25では、設定されたサンプリング有効範囲の間に標本Aから得られた各画素に対応する蛍光が、光電変換されて光強度信号が生成される。生成された光強度信号は、光検出回路31によりA/D変換され、1画素の輝度データとして画像情報生成部33に出力される。
画像情報生成部33では、レーザ光の標本A面上での集光位置の座標と、光電変換素子25により検出された蛍光の光強度とを対応付けて画像情報が生成される。このように蛍光のパルス数が各画素周期において同数となるように生成された画像情報は、画像として図示しない記憶部に記憶するとともに、表示モニタ34に表示される。
以上のように、本実施形態に係る多光子励起観察装置1では、制御部32により設定された光パルスの数に対応する蛍光が、各画素周期において同数ずつ積算される。これにより、本実施形態に係る多光子励起観察装置1によれば、様々な周辺要素やビームアライメントが必要な調光部を設けることなく、画素情報に寄与しない光パルスの照射を無くし、かつ全ての画素周期において均一な条件で画像情報を生成することができ、定量性のある画像を取得することが可能となる。
また、調光部を設けないので、制御部32にかかる負荷を低くすることができる。さらに、観察に必要となる光パルスの数しか、レーザ光源11を発振させないので、画像情報生成部33で演算に用いる光パルスを限定する方法や、調光部で光パルスを間引く方法と比べ、エネルギーの利用効率を高めることができる。
なお、ここでは最小画素周期68nsに対して、光パルス間隔を12.5ns(80MHz)、光パルス数を5パルスとする例を示したが、検出部25から得られる強度信号に基づいて、制御部32によりまたは使用者の操作により、図5のように照射する光パルス数を減らすことで標本Aの蛍光マーカの褪色を減らし、必要な画像輝度に照射強度を変更することが出来る。また、光パルス間隔を10ns(100MHz)とすると画素周期に収まる最大のパルス数は6パルス(6.4パルス)、同5ns(200MHz)とすると13パルス(13.7パルス)となり、光パルス間隔を短くすることで調整可能な光パルス数を大きくでき、光パルス数の調整による照射強度の調整範囲を大きくすることが可能となる。
また、共振ガルバノを用いたときの観察範囲の光走査の振る舞いは、図6のようになる。ここで、X方向には共振ガルバノが設置されており、Y方向には非共振ガルバノが設置されている。X方向の走査をする共振ガルバノはその共振周波数でのみ動作することが可能であり、その振幅(触れ角)のみ調整可能である。このため、観測範囲のX方向には常に共振ガルバノの共振周波数(8kHz)で走査されており、Y方向には一定速度で非共振ガルバノが走査されている。このため、観測範囲の光走査は図6の(1)のようにジグザクの走査となる。そして、ジグザグの走査が終了した後、(2)の原点復帰のスキャンを行う。この時、画像取得を行う(1)のジグザグの走査ではピクセル同期信号により光パルスの照射が標本Aに対して行われるが、画像取得を行わない(2)の原点復帰動作では光パルスの照射を停止する。こうすることで、不要な光パルスの照射による標本Aの蛍光マーカの劣化(褪色)を発生しないようにすることができる。
さらに、上記は原点復帰する際に光パルスの照射を停止するとしたが、例えば、共振ガルバノを用いてROIスキャンやPANスキャン等を行う場合のように、標本A上の共振ガルバノの走査領域のうち一部の領域のみを観察対象の領域(被観察領域)とする場合、制御部32はピクセル同期信号を送信しないことにより、観察対象以外の領域への光パルスの照射を停止させることができる。従来であれば、ROIスキャンやPANスキャンにおいて、被観察領域以外に光パルスを照射しないようにするには、独立して制御可能な駆動機構や、AOM等の高速変調素子が必要だが、本実施の形態によれば、そのような追加の構成を設ける必要がない。
(第2実施の形態)
本発明の第2実施の形態に係る多光子励起観察装置について、図面を参照して以下に説明する。本実施の形態に係る多光子励起観察装置は、波長の異なる光パルスを出射する複数のレーザ光源を用いて、複数の波長の光パルスにより標本Aを観察する点で、第1実施の形態と異なっている。
図7は、第2実施の形態に係る多光子励起観察装置の概略構成を示す図である。本実施の形態の多光子励起観察装置1は、レーザ光源装置2内に、レーザ光源(第1のレーザ光源)11に加え、レーザ光源11と同様に、図示しない電気パルサー(第2の電気パルス発生器)の電気パルスによる利得スイッチ動作によって発生した種パルスに、光増幅と非線形パルス圧縮を行い、レーザ光源11とは異なる波長の光パルス(第2の光パルス)を出射するレーザ光源(第2のレーザ光源)12を備える。さらに、レーザ光源装置2は、レーザ光源11からのレーザの光路とレーザ光源12からのレーザの光路とを結合させる光路結合手段14を備える。この光路結合手段14により、レーザ光源11およびレーザ光源12のそれぞれから出射される光パルスは同軸となり、スキャナ13に入射するようになっている。
また、顕微鏡本体3の光電変換素子25a〜25cの直前にはダイクロイックミラー21を透過した、標本Aからの反射光または蛍光を波長毎に分岐する分光手段26が設けられ、分光手段26によって分岐された光路毎に光電変換素子25a〜25cが各々設けられている。
光路結合手段14は、例えばダイクロイックミラーや光フィルタであり、レーザ光源11からの光パルスを透過し、レーザ光源12からの光パルスを反射することで、レーザ光源11からの光パルスの光路とレーザ光源12からの光パルスの光路とを同軸に結合させることができる。また、分光手段26は、例えばダイクロイックミラーや光フィルタを含み、波長帯域により異なる透過特性と反射特性を用いて光路を分岐させる。あるいは、回折格子やプリズムを用いて、波長によって異なる角度に出力されることで光路を分岐させる。
レーザ光源12は、レーザ光源11と同様に制御部32に電気的に接続されており、制御部32は、レーザ光源11およびレーザ光源12を、第1実施の形態と同様に制御する。また、光電変換素子25a〜25cは光検出回路31に接続されており、光検出回路31は、光電変換素子25a〜25cの各々の光強度信号にA/D変換等の処理を施して、画像情報生成部33に送信し、画像情報生成部33は、各々の強度信号を、それぞれ第1実施の形態と同様に処理することができる。その他の構成は、第1実施の形態と同様なので、同一の構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。
次に、多光子励起観察装置1の作用について説明する。
多光子励起観察装置1が駆動されると、制御部32は、画像情報生成部33からスキャナ13の走査速度や解像度等の走査条件を受信し、この走査条件に基づいて最小画素周期を算出し、最小画素周期に収まるように射出する光パルスの数と間隔を決定する。また、制御部32は、レーザ光源11からの光パルスとレーザ光源12からの光パルスとを、同時刻に標本Aに照射しないようにレーザ光源11とレーザ光源12との間に異なる遅延時間を設定する。例えば、第1実施の形態に記載した例と同様に、パルス繰返し間隔を12.5ns(80MHz)でパルス数を5と設定した場合、レーザ光源11の遅延時間をゼロ、レーザ光源12の遅延時間を6.5nsとする。
次に、スキャナ13の走査開始後、制御部32は、これら光パルスの数、パルス間隔および遅延時間を、レーザ光源11の電気パルサーとレーザ光源12の電気パルサーとに各々電気パルス設定信号として送信する。さらに、レーザ光源11の電気パルサーとレーザ光源12の電気パルサーとは、制御部32から、図8のようにピクセル同期信号(発振指令信号)を受信すると、それぞれ設定された遅延時間が経過した後、設定数の電気パルスを設定間隔で発生する。これにより、レーザ光源11の光パルスとレーザ光源12の光パルスとが、設定された回数および間隔で、タイミングをずらして出射される。
レーザ光源11およびとレーザ光源12をそれぞれ出射した光パルスは、光路結合手段14によって光路を結合され、第1実施の形態と同様に、標本A上に照射され、スキャナ13の動作により、レーザ光は標本A上において2次元的に走査される。各画素周期の間、レーザ光源11とレーザ光源12とのそれぞれにより、標本Aの各画素に対応する領域に、上記設定されたパルス数の光パルスが照射される。
光パルスが照射された標本A上の対物レンズ23の焦点位置においては、光パルスの光子密度が高くなり、多光子励起効果により標本A内の蛍光物質が励起され蛍光が発生する。この時、標本A内には少なくとも三種類の蛍光物質がそれぞれ注目する場所毎にマーキングされている。そして、これら蛍光物質を蛍光物質Pa〜Pcとすると,例えば蛍光物質Paはレーザ光源11の光パルスにより励起可能であり、蛍光物質PbとPcとはレーザ光源12の光パルスで励起可能となっている。また、蛍光物質Pa〜Pcは異なるピーク波長の蛍光を発する。発生した蛍光は、対物レンズ23により集光され、レンズ22およびダイクロイックミラー21を透過して分光素子26に導光され、蛍光物質毎に分光され、各々の光電変換素子25a〜25cに導光される。光電変換素子25a〜25cでは、標本Aからの各々の蛍光物質の蛍光が光電変換されて光強度信号が生成される。生成されたそれぞれの光強度信号は、光検出回路31によりA/D変換され、1画素の輝度データとして画像情報生成部33に出力され、これから蛍光物質毎の画像情報が生成され、表示モニタ34に表示される。
以上のように、本実施形態に係る多光子励起観察装置1では、第1実施の形態の多光子励起観察装置の有する効果に加え、波長の異なる複数のレーザ光源11および12を用いながら、それらレーザ光源11および12の光パルス間に遅延時間を設けたことで、標本Aに光パルスが同時に照射されないので、同一の標本Aの発する複数の蛍光の様子を並行して観察しながら、標本Aの蛍光物質の劣化(褪色)を最小限に抑えることができ、これによって長時間標本を観測できる。
また、複数のレーザ光源11および12の異なる励起波長で異なるマーカを励起して観察する際に、各々の光パルス間隔を詳細に調整出来るようになることで標本のマーカ間の相互作用(光刺激)をより正確に観察することが出来る。
(第3実施の形態)
図9は、第3実施の形態に係る多光子励起観察装置の概略構成を示す図である。本実施の形態の多光子励起観察装置1は、レーザ光源装置2内に、レーザ光源(第1のレーザ光源)11に加え、モードロックレーザであるレーザ光源(第2のレーザ光源)16を備える。レーザ光源16からの光パルスは調光部17を介して光路結合手段14に入射され、レーザ光源11からの光パルスと光路が同軸となる。調光部17は、例えば、音響光学素子(AOM)、シャッター、減光フィルタ等であり、制御部32からの指示により、スキャナ13に入射させる光パルスを間引くことが可能になっている。
制御部32は、画像情報生成部33からスキャナ13の走査速度や解像度等の走査条件を取得し、この走査条件に基づいて最小画素周期を算出する。そして、最小画素周期に収まるように、レーザ光源11の光パルスの数と間隔を決定する。また、レーザ光源16より光パルス同期信号を受信し、レーザ光源11の光パルスとレーザ光源16の光パルスとが同時刻に標本Aに照射されないように光源間の遅延時間を設定する。そして、これら光パルスの数、パルス間隔および遅延時間を、レーザ光源11の電気パルサーに送信する。
図10は、図9の多光子励起観察装置のピクセル同期信号と電気パルサーの出力パルスとの関係を説明する図である。レーザ光源11の電気パルサーは、ピクセル同期信号を受信すると、設定された遅延時間の経過後、設定数の電気パルスを設定間隔で発生する。また、制御部32は、調光部17に対して、ピクセル同期信号の送信後、レーザ光源11の蛍光取り込み範囲に対応した所定時間だけレーザ光源16からの光パルス(第2の光パルス)を透過させ、それ以降次のピクセル同期信号を受信するまで、レーザ光源16からの光パルスを間引くように制御信号を送信する。その他の構成および作用は、第2実施の形態と同様なので、同一の構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。
このようにすることで、異なる波長の複数のレーザ光源の一方に光パルスのタイミング制御が不可能なモードロックレーザを用いながら、制御部32により設定された光パルスの数に対応する蛍光が、各画素周期において同数ずつ積算される。これにより、画素情報に寄与しない光パルスの照射を無くし、全ての画素周期において均一な条件で画像情報を生成することができ、定量性のある画像を取得することが可能となる。また、波長の異なる複数のレーザ光源11および16を用いながら、それらレーザ光源11および16の光パルス間に遅延時間を設けたことで、標本Aで光パルスが同時に照射されないようになり、同一の標本Aの複数の蛍光を観察しながら、標本Aの蛍光物質の劣化(褪色)を最小限に抑えることができる。これによって、長時間標本を観測できる。
さらに、本実施の形態の多光子励起観察装置1は、モードロックレーザであるレーザ光源16を有する多光子励起観察装置に対して、レーザ光源11および光路結合手段14の部分を付加し、制御部32の制御プログラムを拡張することによって、既存のシステムを拡張して構成することができるという利点も有している。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。
たとえば、ダイクロイックミラー21は、標本Aからの蛍光のみを透過させ、標本Aからの反射光については透過させないこととして説明したが、標本Aからの反射光についても透過させて、光電変換素子25により検出することとしても良い。
また、標本Aを透過した透過光を観察する場合には、光電変換素子を試料の透過側に配置して透過光を検出し、前述の各実施形態と同様の処理を行うことで、各画素周期において均一な条件で定量性のある画像を取得することができる。
さらに、第2および第3実施の形態では、2台のレーザ光源を用いる構成を例示したが、3台以上のレーザ光源を用いて、各レーザ光源からの光パルスの光路を結合して標本A上を走査させるようにしても良い。また、光電変換素子は、1個または3個に限られず、種々の蛍光波長に対応して2個または4個以上の光電変換素子を用いて良い。
1 多光子励起観察装置
2 レーザ光源装置
3 顕微鏡本体
4 制御装置
11 レーザ光源(第1のレーザ光源)
12 レーザ光源(第2のレーザ光源)
13 スキャナ
14 光路結合手段
15a,15b ガルバノミラー
16 レーザ光源(第2のレーザ光源)
17 調光部
21 ダイクロイックミラー
22 レンズ
23 対物レンズ
24 レンズ
25,25a,25b,25c 光電変換素子(光検出部)
26 分光手段
31 光検出回路
32 制御部
33 画像情報生成部
34 表示モニタ
40 電気パルサー(第1の電気パルス発生器)
41 半導体レーザ
42 分散補償ファイバ
43 第1の光アンプ
44 光フィルタ
45 第2の光アンプ
46 パルス圧縮部
47 シングルモードファイバ
48 レンズ
49 回折格子対
A 標本(被観察物)

Claims (8)

  1. 電気パルスを出力する第1の電気パルス発生器および該電気パルスにより利得スイッチ発振する半導体レーザを含み、該半導体レーザから出射される光パルスに光増幅および非線形パルス圧縮を行い第1の光パルスとして出射する第1のレーザ光源と、
    該第1のレーザ光源から出射される前記第1の光パルスを被観察物上で走査させるスキャナと、
    前記第1の光パルスの走査によって生じる被観察物からの反射光、蛍光または透過光を受け、光強度信号に光電変換する光検出部と、
    画素周期中に得られる前記光強度信号を画素毎に加算して画像情報を生成する画像情報生成部と、
    前記被観察物に照射される前記第1の光パルスが、前記画素周期毎に同数となるように、前記第1の電気パルス発生器を制御する制御部と
    を備える多光子励起観察装置。
  2. 前記制御部は、前記第1の電気パルス発生器の出力する電気パルスの繰返し間隔および発振数を設定し、且つ、前記制御部は、前記第1の電気パルス発生器に発振指令信号を送信し、前記設定された繰返し間隔および発振数に基づいて前記電気パルスを出力させることを特徴とする請求項1に記載の多光子励起観察装置。
  3. 前記制御部は、前記第1の電気パルス発生器の出力する電気パルスの、前記発振指令信号に対する遅延時間を設定することを特徴とする請求項2に記載の多光子励起観察装置。
  4. 前記制御部は、前記スキャナが所定の被観察領域以外の領域を走査する状態にあるときは、前記発振指令信号を送信しないことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の多光子励起観察装置。
  5. 第2の光パルスを出射する第2のレーザ光源と、前記第1の光パルスの光路および前記第2の光パルスの光路を前記スキャナの前段で結合させる光路結合手段とを備え、前記制御部は、前記第1の光パルスと前記第2の光パルスとが、同時に前記被観察物に照射されないように、前記遅延時間を設定することを特徴とする請求項3に記載の多光子励起観察装置。
  6. 前記第2のレーザ光源は、前記第2の光パルスを生成するための第2の電気パルス発生器を備え、前記制御部は、前記第1の光パルスと前記第2の光パルスとが、略等しい繰返し間隔でタイミングをずらして出射されるように、前記第1の電気パルス発生器および前記第2の電気パルス発生器の発振指令信号からの遅延時間を設定することを特徴とする請求項5に記載の多光子励起観察装置。
  7. 前記第2のレーザ光源は、モードロックレーザであることを特徴とする請求項5に記載の多光子励起観察装置。
  8. 前記制御部は、前記電気パルスの発振数を、前記検出部により得られる前記光強度信号に基づいて設定することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の多光子励起観察装置。
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