JP2013194982A - ヒートポンプ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】膨張弁(16)を有する冷媒回路(8)に設けた圧縮機(14)を運転して循環する冷媒の状態変化により温調負荷の温調を行うヒートポンプ装置(2)であって、圧縮機の回転数を周波数制御するインバータ(24)と、インバータの出力周波数及び膨張弁の開度を制御する制御部(26)とを備え、制御部は、圧縮機を起動してから所定の起動時制御時間(tr)は、外部情報に拘わらず、膨張弁の開度を所定の起動時規制開度(Ar)に一定に維持するとともに、圧縮機の回転数を所定の起動時規制回転数(Rr)に一定に維持する起動時制御を行う。
【選択図】図2
Description
好ましくは、起動時規制回転数は、圧縮機を安定運転可能な最低安定回転数よりも低く、且つ、液冷媒を圧縮しても圧縮機を保護可能な回転数に設定される。
好ましくは、起動時規制開度は、起動時規制回転数に基づいて、圧縮機の吸入側圧力と吐出側圧力との差圧が所定圧力以上となる開度に設定される。
好ましくは、起動時制御時間は、起動時規制回転数と、冷媒回路の1周分の冷媒流路の容積とに基づいて設定される。
好ましくは、冷媒は二酸化炭素冷媒である。
図1は本実施例のヒートポンプ装置が用いられる暖房システム1の構成を概略的に示す。この暖房システム1は、大きく分けてヒートポンプ装置2と、暖房装置4から構成され、これら装置2,4はガスクーラ6を介して互いに熱的に接続されている。
ヒートポンプ装置2は、例えば二酸化炭素ガスの冷媒が循環する冷媒回路8を備え、この冷媒回路8は、冷媒の流れ方向から、外気と冷媒との間で熱交換を行う蒸発器10、アキュームレータ12、スクロール型の圧縮機14、ガスクーラ6及び膨脹弁16等を順次備えている。
具体的には、圧縮機14はインバータ制御モータで駆動され、その回転数を周波数制御するインバータ24が電気的に接続され、インバータ24の出力周波数及び膨張弁16の開度は制御部26において制御される。制御部26には、インバータ24、膨張弁16の駆動部の他、ポンプ20の駆動部、蒸発器10の伝熱部に外気を送風するファン28、外気温度を検出する外気温度センサ30、水回路18において暖房負荷22の入口水温度を検出する入口温度センサ32、水回路18において暖房負荷22の出口水温度を検出する出口温度センサ34、圧縮機14の吐出冷媒温度を検出する吐出ガス温度センサ31、暖房負荷22にて設定された温度を送信する設定部等が電気的に接続されている。
図2は、圧縮機14の起動時に制御部26で設定されるインバータ24の設定周波数(Hz)、及び膨張弁16のデューティ制御において設定される設定開度(パルス)を時系列的に示したタイムチャートである。
この場合には、圧縮機14の起動により、膨張弁16はデューティ制御で瞬時に例えば250パルス程度(全開は460パルス)の初期目標開度(As)にされ、インバータ24の出力周波数は所定の上昇速度で一定に上昇され、最終的に44Hzの初期目標回転数(Rs)にされる。その後は、実線で示されるように、上述した各温度データ等に基づいて膨張弁16の目標開度、及びインバータ24の目標回転数が都度変更され、上記通常制御が継続して行われる。
起動時規制回転数(Rr)は、圧縮機14を安定運転可能な最低安定回転数(Rl)よりも低く、且つ、液冷媒を圧縮しても圧縮機14を保護可能な回転数に設定され、例えば本実施例の場合には最低安定回転数(Rl)が35Hzであるのに対し、矢印で示すように、それよりも低い20Hzの起動時規制回転数(Rr)が設定されている。
一方、起動時規制開度(Ar)は、起動時規制回転数(Rr)に基づいて、圧縮機14の吸入側圧力と吐出側圧力との差圧が圧縮機14内の液冷媒を排出可能な所定圧力以上となる開度に設定され、例えば本実施例の場合には初期目標開度(As)が250パルス程度であるのに対し、矢印で示すように、それよりも低い200パルスの起動時規制開度(Ar)が設定されている。
図3は、暖房システム1の全体において行われる上述した起動時制御の制御ルーチンを示したフローチャートである。先ず制御部26において上記起動時制御が開始されると、暖房負荷22から暖房システム1の運転指令があるか否かが判定される<ステップS1>。ステップS1の判定結果が偽(NO)であり、運転指令なしと判定された場合には、再びステップS1に移行する。
ステップS2の判定結果が偽(NO)であり、エラーありと判定された場合には、エラー処理を行い<ステップS3>、本制御ルーチンを終了する。
次に、ステップS4でファン28を起動後は、ポンプ20を起動する<ステップS5>。
次に、ステップS5でポンプ20を起動後は、膨張弁16の開度を起動時規制開度(Ar)に設定する<ステップS6>。
次に、ステップS7で起動時規制回転数(Rr)を設定後は、起動時規制開度(Ar)及び起動時規制回転数(Rr)の設定条件下で圧縮機14を起動する<ステップS8>。
次に、ステップS8で圧縮機14を起動後は、起動時制御時間(tr)が経過したか否かが判定される<ステップS9>。ステップS9の判定結果が偽(NO)であり、起動時制御時間(tr)が経過していないと判定された場合には、再びステップS9に移行する。
以上のように本実施例のヒートポンプ装置2によれば、上述した起動時制御を行うことにより、圧縮機14の起動時に圧縮機14から液冷媒を迅速に且つ確実に排出することができるとともに、圧縮機14の起動時における冷媒回路8内の圧縮機14前後の冷媒状態を適切な差圧にすることができ、圧縮機14の破損を防止した信頼性の高いヒートポンプ装置2を提供することができる。
また、起動時規制開度(Ar)は、起動時規制回転数(Rr)に基づいて、圧縮機14の吸入側圧力と吐出側圧力との差圧が所定圧力以上となる開度に設定される。すなわち、圧縮機14が比較的低い起動時規制回転数(Rr)で運転中であっても、冷媒回路8の圧縮機14の前後において圧縮機14から液冷媒を迅速に冷媒回路8に排出可能な差圧以上となるように膨張弁16の開度を設定することで、圧縮機14から液冷媒を迅速に且つ確実に排出可能である。
例えば、上記実施例では冷媒回路8を循環する冷媒は二酸化炭素冷媒であるが、これに限定されない。しかし、二酸化炭素冷媒を作動流体とした場合には、作動圧力が高圧で且つ小容量のスクロール型圧縮機とならざるを得ないため、少量の液冷媒であってもスクロールのラップ壁が破損し易くなる。そこで、本発明の適用によりこれを効果的に防止することができるため、冷媒が二酸化炭素冷媒である場合に本発明の効果がより一層発揮される。
また、上記実施例では、圧縮機14の構造については詳述していないが、起動時制御においては圧縮機14のスクロールユニットにおける吸入ポートと吐出ポートとに発生する差圧によってスクロールユニット内の液冷媒が冷媒回路8に排出される。吐出ポートは固定スクロールの径方向略中央に穿孔された吐出孔に連通されており、スクロールユニット内の液冷媒は吐出孔から吐出ポートを経て冷媒回路8に排出される。
16 膨張弁
8 冷媒回路
14 スクロール型圧縮機(圧縮機)
22 暖房負荷(温調負荷)
24 インバータ
26 制御部
Claims (8)
- 膨張弁を有する冷媒回路に設けた圧縮機を運転して循環する冷媒の状態変化により温調負荷の温調を行うヒートポンプ装置であって、
前記圧縮機の回転数を周波数制御するインバータと、
前記インバータの出力周波数及び前記膨張弁の開度を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記圧縮機を起動してから所定の起動時制御時間は、外部情報に拘わらず、前記膨張弁の開度を所定の起動時規制開度に一定に維持するとともに、前記圧縮機の回転数を所定の起動時規制回転数に一定に維持する起動時制御を行うことを特徴とするヒートポンプ装置。 - 前記外部情報は、少なくとも外気温度、冷媒温度、及び前記温調負荷に関する情報の何れかを含むことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ装置。
- 前記起動時規制回転数は、前記圧縮機を安定運転可能な最低安定回転数よりも低く、且つ、液冷媒を圧縮しても前記圧縮機を保護可能な回転数に設定されることを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ装置。
- 前記起動時規制開度は、前記起動時規制回転数に基づいて、前記圧縮機の吸入側圧力と吐出側圧力との差圧が所定圧力以上となる開度に設定されることを特徴とする請求項3に記載のヒートポンプ装置。
- 前記制御部は、前記起動時制御時間の経過後に前記起動時制御を停止し、前記外気温度及び前記温調負荷に関する情報に基づき前記インバータの出力周波数及び前記膨張弁の開度を制御する通常制御に移行することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のヒートポンプ装置。
- 前記起動時制御時間は、前記起動時規制回転数と、前記冷媒回路の1周分の冷媒流路の容積とに基づいて設定されることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のヒートポンプ装置。
- 前記圧縮機はスクロール型圧縮機であって、そのスクロールユニットは前記圧縮機の吸入側圧力と吐出側圧力との差圧が前記所定圧力以上となるときに該スクロールユニット内の液冷媒を排出可能なリリーフポートを有することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のヒートポンプ装置。
- 前記冷媒は二酸化炭素冷媒であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のヒートポンプ装置。
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