JP2013194079A - 機能性薄膜の形成方法及び機能性インク - Google Patents

機能性薄膜の形成方法及び機能性インク Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット射出安定性、塗膜全体としての平坦性、及び、はじき防止性を向上できる機能性薄膜の形成方法及び機能性インクを提供すること。
【解決手段】機能性材料と、溶剤とを少なくとも含有する機能性インクを基材に付着させた後、基材上で溶剤を乾燥させて機能性薄膜を形成する機能性薄膜の形成方法において、機能性インクは、溶剤として、沸点が150℃以上200℃未満のエステル系又はケトン系溶剤からなる溶剤群1より選ばれる第1の溶剤と、沸点が150℃未満のエステル系又はケトン系溶剤からなる溶剤群2より選ばれ、且つ前記第1の溶剤よりも低表面張力である第2の溶剤と、を少なくとも含むことを特徴とする機能性薄膜の形成方法と、前記形成方法によって形成された機能性インクによって解決した。
【選択図】なし

Description

本発明は、機能性薄膜の形成方法及び機能性インクに関し、詳しくは、基材上に機能性薄膜を形成する機能性薄膜の形成方法及びこれに用いられる機能性インクに関する。
機能性材料を種々の基材上にパターニングすることが、例えば電子デバイス製造など多岐に亘る分野で必要とされている。
従来、機能性材料のパターニングには蒸着法が用いられてきたが、真空プロセスを用いる蒸着法は、装置コストが高いこと、材料の利用効率が低いことなどの問題があった。
これに対して、インクジェット法によって、半導体材料をダイレクトにパターニングする方法が検討されている(特許文献1及び2)が、インクジェット射出安定性、塗膜全体としての平坦性、及び、はじき防止性等に問題があった。
特開2005−328030号公報 特表2008−503870号公報
特許文献1は、半導体含有インクに用いる溶剤としてケトン系溶剤、エステル系溶剤等を用いること、及び2種以上の溶剤を併用してもよいことを提案しているが、ハロゲン系溶剤インクの作業環境影響、素子特性に鑑みたものであり、インクジェット射出安定性、塗膜全体としての平坦性、及び、はじき防止性等については一切言及していない。特許文献1には、溶剤を2種併用する際の具体例や併用方法も記載されていないし、インクジェット法を適用した実施例は、アニソール(沸点153℃、表面張力35mN/m)の単独系である。
特許文献2は、有機半導体含有インクに、比較的高沸点であり且つ有機半導体の良溶媒である溶媒Aと、比較的低沸点であり且つ有機半導体の貧溶媒である溶媒Bの2種の溶媒を含有することで、インクにおける有機半導体の溶解・析出を利用する発明である。特許文献2は、インク全体としての表面張力について言及するが、2種の溶媒間に特定の表面張力差を設けることについては一切の言及がない。更に、特許文献2において、2種の溶媒は、有機半導体を溶解する溶解性が異なるものでなければならず、2種の溶媒を共にエステル系又はケトン系溶剤から選択することについては一切言及していない。
本発明者は、研究により、沸点が150℃以上200℃未満のエステル系又はケトン系溶剤は、機能性化材料、特に液中で安定性の低い機能性材料を含む場合においても、インクジェット射出安定性を向上し得るが、この溶剤だけでは、塗膜の乾燥過程において、局所的に膜厚異常部が発生したり、はじきによる液寄り(ドットの合一)が発生したりするため、塗布パターンの精密描画ができないという知見を得た。
そこで本発明者は、更に鋭意検討し、特定の2種以上の溶剤を併用することにより、インクジェット射出安定性の向上と、塗膜全体としての平坦性、及び、はじき防止性の向上との両立が達成できることを見出して本発明に至った。
そこで、本発明の課題は、インクジェット射出安定性、塗膜全体としての平坦性、及び、はじき防止性を向上できる機能性薄膜の形成方法及び機能性インクを提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
1.機能性材料と、溶剤とを少なくとも含有する機能性インクを基材に付着させた後、該基材上で前記溶剤を乾燥させて機能性薄膜を形成する機能性薄膜の形成方法において、
前記機能性インクは、前記溶剤として、沸点が150℃以上200℃未満のエステル系又はケトン系溶剤からなる溶剤群1より選ばれる第1の溶剤と、沸点が150℃未満のエステル系又はケトン系溶剤からなる溶剤群2より選ばれ、且つ前記第1の溶剤よりも低表面張力である第2の溶剤と、を少なくとも含むことを特徴とする機能性薄膜の形成方法。
2.前記機能性インクは、更なる第3の溶剤として、前記第1の溶剤よりも低沸点且つ低表面張力であるアルコールを含むことを特徴とする前記1記載の機能性薄膜の形成方法。
3.前記第1の溶剤及び第2の溶剤の少なくとも1種は、分子内にエーテル結合を有するエステル系又はケトン系溶剤であることを特徴とする前記1又は2記載の機能性薄膜の形成方法。
4.前記機能性インクは、前記溶剤群1より選ばれる溶剤の総含有量が40重量%未満の範囲であることを特徴とする前記1〜3の何れかに記載の機能性薄膜の形成方法。
5.前記第2の溶剤は、沸点が80℃以上であることを特徴とする前記1〜4の何れかに記載の機能性薄膜の形成方法。
6.前記機能性インクは、高分子の総含有量が0.5重量%未満の範囲であることを特徴とする前記1〜5の何れかに記載の機能性薄膜の形成方法。
7.前記機能性インクを加熱された前記基材に付着させることを特徴とする前記1〜6の何れかに記載の機能性薄膜の形成方法。
8.前記機能性インクを前記基材にワンパス印字法で付着させることを特徴とする前記1〜7の何れかに記載の機能性薄膜の形成方法。
9.機能性材料と、溶剤とを少なくとも含有する機能性インクにおいて、
前記溶剤として、沸点が150℃以上200℃未満のエステル系又はケトン系溶剤からなる溶剤群1より選ばれる第1の溶剤と、沸点が150℃未満のエステル系又はケトン系溶剤からなる溶剤群2より選ばれ、且つ前記第1の溶剤よりも低表面張力である第2の溶剤と、を少なくとも含むことを特徴とする機能性インク。
10.更なる第3の溶剤として、前記第1の溶剤よりも低沸点且つ低表面張力であるアルコールを含むことを特徴とする前記9記載の機能性インク。
11.前記第1の溶剤及び第2の溶剤の少なくとも1種は、分子内にエーテル結合を有するエステル系又はケトン系溶剤であることを特徴とする前記9又は10記載の機能性インク。
12.前記溶剤群1より選ばれる溶剤の総含有量が40重量%未満の範囲であることを特徴とする前記9〜11の何れかに記載の機能性インク。
13.前記第2の溶剤は、沸点が80℃以上であることを特徴とする前記9〜12の何れかに記載の機能性インク。
14.高分子の総含有量が0.5重量%未満の範囲であることを特徴とする前記9〜13の何れかに記載の機能性インク。
本発明によれば、インクジェット射出安定性、塗膜全体としての平坦性、及び、はじき防止性を向上できる機能性薄膜の形成方法及び機能性インクを提供することができる。
光干渉法で得られた垂直方向の2次元プロファイルに基づく塗布端部における膜厚異常部の幅の測定例を示す図
以下に、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明に係る機能性薄膜の形成方法は、機能性材料と、溶剤とを少なくとも含有する機能性インクを基材に付着させた後、該基材上で前記溶剤を乾燥させて機能性薄膜を形成する。
本発明において、機能性インクは、溶剤として、第1の溶剤及び第2の溶剤からなる2種の溶剤を少なくとも含有する。
第1の溶剤は、沸点が150℃以上200℃未満のエステル系又はケトン系溶剤からなる溶剤群1より選ばれる。
一方、第2の溶剤は、沸点が150℃未満のエステル系又はケトン系溶剤からなる溶剤群2より選ばれ、且つ第1の溶剤よりも低表面張力である。
つまり、本発明において、第1の溶剤は比較的高沸点且つ高表面張力であり、第2の溶剤は比較的低沸点且つ低表面張力である。
従来、機能性材料を含有するインクでは、インクジェットヘッドのノズル孔近傍でのインクの非射出時(待機状態)におけるインクの蒸発に伴って、固形分が析出したり、インクが増粘すること等が理由で、射出時における射出安定性が確保できなくなる場合があった。
本発明の機能性インクでは、比較的低沸点である第2の溶剤の一部が先に蒸発していっても、比較的高沸点である第1の溶剤が残留し、インクジェット射出安定性の向上に寄与しているものと考えられる。
更に、本発明の機能性インクにより形成された塗膜(湿潤塗膜)の乾燥過程では、比較的低表面張力である第2の溶剤によってもたらされる濡れ性が、乾燥後の塗膜全体としての平坦性やはじき防止性の向上に寄与しているものと考えられる。また更に、薄膜状態では乾燥が早いため、第2の溶剤に引き続き、速やかに第1の溶剤も乾燥していく。乾燥に伴って第1の溶剤の割合が高まっても、薄膜であるため、第1の溶剤の比較的高い表面張力に起因した濡れ性の低下による故障が発生する前に、第1の溶剤が乾燥する。そのため、第1の溶剤の表面張力による影響は驚くほど小さくなることを発見した。このことも、乾燥後の塗膜全体としての平坦性やはじき防止性の向上に寄与しているものと考えられる。
本発明者は、上記の知見に基づいて更に検討を行い、本発明において、比較的高沸点且つ高表面張力である溶剤群1より選ばれる溶剤(第1の溶剤含む)の機能性インクにおける総含有量を比較的少量(具体的には後述する)の範囲とすることが、上述した本発明による効果を更に向上させることを見出した。薄膜の乾燥時における第1の溶剤の比較的高い表面張力による影響(濡れ性の低下)が更に抑えられるものと考えられる。
また、本発明者は、上記の知見に基づいて更に検討を行い、本発明において、機能性インクを、加熱された基材、好ましくは比較的低い温度(具体的には後述する)に加熱された基材に付着させて(塗布して)薄膜形成することが、上述した本発明による効果を更に向上させることを見出した。加熱された基材に塗布することで、第1の溶剤の比較的高い表面張力による影響が更に抑えられ、特に、加熱を比較的低い温度で行うことで、第2の溶剤による濡れ性も好適に発現するものと考えられる。
以下に、本発明に係る機能性インクについて更に詳しく説明する。
本発明において、第1の溶剤が選択される溶剤群1は、沸点が150℃以上200℃未満のエステル系又はケトン系溶剤からなる。
沸点が150℃以上200℃未満のエステル系溶剤としては、例えば、酢酸3−メトキシブチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、シクロヘキサノールアセテート、酢酸アミル、3−エトキシプロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、乳酸エチル等が挙げられ、中でも分子内にエーテル結合を有するエステル系溶剤が好ましく、酢酸3−メトキシブチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネートが好ましく、酢酸3−メトキシブチルが最も好ましい。
沸点が150℃以上200℃未満のケトン系溶剤としては、好ましくは、例えば、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジイソブチルケトン等が挙げられ、これらの中でも、シクロヘキサノン等が更に好ましい。また、分子内にエーテル結合を有するケトン系溶剤も好ましく用いることができる。
本発明において、第2の溶剤が選択される溶剤群2は、沸点が150℃未満のエステル系又はケトン系溶剤からなる。
沸点が150℃未満のエステル系溶剤としては、例えば、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸n−プロピルが挙げられ、中でも分子内にエーテル結合を有するエステル系溶剤が好ましく、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。
沸点が150℃未満のケトン系溶剤としては、好ましくは、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、これらの中でも、3−ペンタノン等が更に好ましい。また、分子内にエーテル結合を有するケトン系溶剤も好ましく用いることができる。
本発明において、第2の溶剤は、溶剤群2の中から、第1の溶剤よりも低表面張力のものが選ばれる。なお、表面張力は、協和界面科学社製の自動表面張力計CVBP−Z型を用いて、Wilhelmy法(プレート法)により25℃で測定した値である。
また、本発明において、第2の溶剤は、沸点が80℃以上であることが好ましい。
更に、本発明において、第1の溶剤及び第2の溶剤の少なくとも1種、好ましくは両方が、分子内にエーテル結合を有するエステル系又はケトン系溶剤であることが好ましく、分子内にエーテル結合を有するエステル系溶剤であることが特に好ましい。
本発明に係る機能性インクは、第1の溶剤及び第2の溶剤の他に、更なる他の溶剤を1又は2種以上含んでもよい。
他の溶剤としては、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール等のアルコールを好ましく例示できる。
中でも他の溶剤(第3の溶剤)として、第1の溶剤よりも低沸点且つ低表面張力であるアルコールを含むことが好ましい。これにより、インクジェット射出安定性、塗膜全体としての平坦性、及び、はじき防止性を更に顕著に向上できる効果が得られる。
また、機能性インク中に、溶剤群1及び溶剤群2に属する溶剤を、上述した第1の溶剤及び第2の溶剤の他に更に含むことも好ましいことである。
本発明に係る機能性インクは、溶剤群1より選ばれる溶剤(第1の溶剤含む)の総含有量が比較的少量であることが好ましく、具体的には、好ましくは40重量%未満、より好ましくは30重量%以下、最も好ましくは20重量%以下の範囲である。これにより、インクジェット射出安定性、塗膜全体としての平坦性、及び、はじき防止性が更に向上し、特に、塗膜全体としての平坦性、及び、はじき防止性が顕著に向上する。
また、機能性インクにおける溶剤群1より選ばれる溶剤(第1の溶剤含む)の総含有量は、5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましい。これにより、インクジェット射出安定性、塗膜全体としての平坦性、及び、はじき防止性が更に向上し、特に、インクジェット射出安定性が顕著に向上する。
本発明のインクが含有する機能性材料としては、格別限定されるものではないが、導電性微粒子、導電性ポリマー等の導電性材料、絶縁性材料、半導体材料、光学フィルター材料、誘電体材料等を好ましく例示できる。
導電性微粒子としては、格別限定されないが、Au、Pt、Ag、Cu、Ni、Cr、Rh、Pd、Zn、Co、Mo、Ru、W、Os、Ir、Fe、Mn、Ge、Sn、Ga、In等の微粒子を好ましく例示でき、中でも、Au、Ag、Cuのような金属微粒子を用いると、電気抵抗が低く、且つ腐食に強い回路パターンを形成することができるので、より好ましい。コスト及び安定性の観点から、Agを含む金属微粒子が最も好ましい。これらの金属微粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜100nmの範囲、より好ましくは3〜50nmの範囲とされる。
また、導電性微粒子として、カーボン微粒子を用いることも好ましい。カーボン微粒子としては、グラファイト微粒子、カーボンナノチューブ、フラーレン等を好ましく例示できる。
導電性ポリマーとしては、格別限定されないが、π共役系導電性高分子を好ましく挙げることができる。
π共役系導電性高分子としては、特に限定されず、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類の鎖状導電性ポリマーを利用することができる。中でも、高い導電性と良好な精密パターニング特性が得られる点で、ポリチオフェン類やポリアニリン類が好ましい。ポリエチレンジオキシチオフェンであることが最も好ましい。
本発明に用いられる導電性ポリマーは、より好ましくは、上述したπ共役系導電性高分子とポリアニオンとを含んで成ることである。こうした導電性ポリマーは、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを、適切な酸化剤と酸化触媒と、ポリアニオンの存在下で化学酸化重合することによって容易に製造できる。
ポリアニオンは、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステル及びこれらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるものである。
このポリアニオンは、π共役系導電性高分子を溶媒に可溶化させる可溶化高分子である。また、ポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性と耐熱性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ及び安定性の観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性高分子へのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
また、化合物内にF(フッ素原子)を有するポリアニオンであってもよい。具体的には、パーフルオロスルホン酸基を含有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)等を挙げることができる。
これらのうち、スルホン酸を有する化合物であると、インク射出安定性が特に良好であり、かつ高い導電性が得られることから、より好ましい。
さらに、これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸が好ましい。これらのポリアニオンは、導電性に優れるという効果を奏する。
ポリアニオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10000個の範囲がより好ましい。
導電性ポリマーは市販の材料も好ましく利用できる。例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸からなる導電性ポリマー(PEDOT/PSSと略す)が、H.C.Starck社からCLEVIOSシリーズとして、Aldrich社からPEDOT−PASS483095、560598として、Nagase Chemtex社からDenatronシリーズとして市販されている。また、ポリアニリンが、日産化学社からORMECONシリーズとして市販されている。
絶縁性材料としては、格別限定されないが、酸化シリコン(SiOX)、窒化シリコン(SiNX)、酸化窒化シリコン(SiOXNY;但しX>Y)、窒化酸化シリコン(SiNXOY;但しX>Y)等のシリコン系材料、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等の有機絶縁樹脂等を好ましく例示できる。
半導体材料としては、格別限定されないが、ポリチエニレンビニレン、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、ポリアセチレン、ポリアセチレン誘導体、ポリアリレンビニレン等の有機半導体材料等を好ましく例示できる。
本発明の機能性インク及び機能性薄膜の形成方法を、有機ELパネル(有機EL素子)の有機層薄膜形成に用いることは特に好ましい。
有機EL素子は、電極間に単数又は複数の有機化合物層を積層した構成であり、例えば、前記のような構成を有し、上記以外にも電子阻止層、また正孔阻止層、またバッファー層等適宜必要な層が所定の層順で積層され、両極から注入された正孔及び電子等のキャリア移動がスムースに行われるよう構成されている。
有機EL素子は、種々の有機層構成を有するが、又最も単純な構成においては、陽極/発光層/陰極からなるもので、その他、必要に応じ、例えば、上記以外、電子輸送層、電子阻止層、また正孔輸送層、正孔阻止層、またバッファー層等が適宜所定の層順で積層される。代表的には、例えば、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極等の構成層からなる素子が一般的である。
有機EL素子は、このように電極間に単数又は複数の有機層を積層した構成であり、両極から正孔及び電子等のキャリアを注入することで発光する。
本発明の機能性インク及び機能性薄膜の形成方法を、発光層、正孔注入・輸送層、又は電子注入・輸送層等の塗布形成に用いることは特に好ましい。
このとき、例えば、発光層中に含有される有機発光材料としては、カルバゾール、カルボリン、ジアザカルバゾール等の芳香族複素環化合物、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリーレン、芳香族縮合多環化合物、芳香族複素縮合環化合物、金属錯体化合物等及びこれらの単独オリゴ体あるいは複合オリゴ体等、また、前述のポリフルオレン、ポリビニルカルバゾール等の高分子材料があげられるが、本発明においてはこれに限られるものではなく、広く公知の材料を用いることができる。
また有機発光材料と共に、該有機発光材料に対して好ましくは0.1〜20重量%程度のドーパントを含んでもよい。ドーパントとしては、ペリレン誘導体、ピレン誘導体等公知の蛍光色素等が知られ、また、リン光発光タイプの発光層の場合、例えば、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、ビス(2−フェニルピリジン)(アセチルアセトナート)イリジウム、ビス(2,4−ジフルオロフェニルピリジン)(ピコリナート)イリジウム、などに代表されるオルトメタル化イリジウム錯体等の錯体化合物が同様に0.1〜20質量%程度含有されることが好ましい。
正孔注入・輸送層中に用いられる材料としては、フタロシアニン誘導体、ヘテロ環アゾール類、芳香族三級アミン類、ポリビニルカルバゾール、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)などに代表される導電性高分子等の高分子材料が、また、発光層に用いられる、例えば、4,4′−ジカルバゾリルビフェニル、1,3−ジカルバゾリルベンゼン等のカルバゾール系発光材料、(ジ)アザカルバゾール類、1,3,5−トリピレニルベンゼンなどのピレン系発光材料に代表される低分子発光材料、ポリフェニレンビニレン類、ポリフルオレン類、ポリビニルカルバゾール類などに代表される高分子発光材料などが挙げられる。
電子注入・輸送層材料としては、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛等の金属錯体化合物もしくは以下に挙げられる含窒素五員環誘導体がある。即ち、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールもしくはトリアゾール誘導体が好ましい。これらのポリマー材料も好ましい。具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4′−tert−ブチルフェニル)−5−(4″−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)−4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4′−tert−ブチルフェニル)−5−(4″−ビフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2−(4′−tert−ブチルフェニル)−5−(4″−ビフェニル)−1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルトリアゾリル)]ベンゼン等が挙げられる。
また、本発明の機能性インク及び機能性薄膜の形成方法を、有機TFTの有機層薄膜形成に用いることは特に好ましい。
TFT作成工程の一例として説明すると、基板上に、ゲート電極形成、ゲート絶縁膜形成、ソース、ドレイン電極形成、半導体層形成、保護膜形成を順次形成していく工法が知られているが、本発明の機能性インク及び機能性薄膜の形成方法を用いて、半導体層を形成することが特に好ましい。
半導体材料は、有機高分子材料はもちろんのこと、有機低分子材料に溶解性を上げるために可溶性の側鎖を設けたものでも構わないが、低分子有機半導体材料を用いると移動度の高い有機TFTを作製することができる。
低分子系半導体材料としてはシリル基、フェロセニル基、シリルアルキル基、シリルアルコキシ基、シリルアルケニル基、フェロセニルアルキル基、フェロセニルアルコキシ基、フェロセニルアルケニル基等の有機溶媒に対する溶解性を向上させるための置換基を付加した、アセン類が好ましい。アセン類材料としては、ペンタセン、テトラセン、アントラセン、アントラジチオフェン、ベンゾチエノベンゾチオフェン等が好ましい。
π共役系ポリマーおよびオリゴマーとしては、チオフェン、ビニレン、チエニレンビニレン、フェニレンビニレン、p−フェニレン、これらの置換体又はこれらの2種以上を繰返し単位とし、かつ該繰返し単位の数(n)が2〜15であるオリゴマーもしくは該繰返し単位の数(n)が20以上であるポリマー、ペンタセンなどの縮合多環芳香族化合物よりなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。また、繰り返し単位のうち少なくとも1箇所に、例えばC4〜C15のアルキル基などの置換基を付加し、立体的な規則構造を有する材料が好ましい。
光学フィルター材料としては、格別限定されず、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ブルー、グリーン、レッドの色相を形成する材料が好ましく用いられ、特に好ましくはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各材料である。また、必ずしも可視光領域に光学特性を有する材料に限定されるものではなく、紫外光、赤外光等の不可視光領域に光学特性を有する材料を用いてもよい。また、特定波長領域の強度を変化させる機能を有する材料の他に、偏光特性を変化させる機能を有する材料であってもよい。また、励起エネルギーの付与等によって発光等の光学特性を発現する材料であってもよい。
また、光学フィルター材料としては、顔料、染料等も好ましく用いることができる。
顔料としては、従来公知のものを特に制限なく使用でき、水分散性顔料、溶剤分散性顔料等いずれも使用可能であり、例えば、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料及び、カーボンブラック等の無機顔料を好ましく用いることができる。この顔料は水性インクの中で分散された状態で存在させ、この分散の方式としては自己分散、活性剤分散、ポリマー分散、マイクロカプセル分散のいずれでもよいが、ポリマー分散、マイクロカプセル分散が定着性の点から好ましい。
不溶性顔料としては特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
好ましく用いることのできる具体的顔料としては、以下の顔料が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー15:3、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
以上の顔料の他にレッド、グリーン、ブルー、中間色が必要とされる場合には、以下の顔料を単独あるいは併用して用いることが好ましく、例えば、C.I.Pigment Red;209、224、177、194、C.I.Pigment Orange;43、C.I.Vat Violet;3、C.I.Pigment Violet;19、23、37、C.I.Pigment Green;36、7、C.I.Pigment Blue;15:6等が用いられる。
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.Pigment Black;1、C.I.Pigment Black;6、C.I.Pigment Black;7等が挙げられる。
染料としては、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料等を挙げることができ、その具体的化合物としては、例えば、特開2002−264490号公報に例示した染料を挙げることができる。
また、ポリマー等と共に着色微粒子を形成し着色材となる油溶性染料については、通常カルボン酸やスルホン酸等の水溶性基を有さない有機溶剤に可溶で水に不溶な染料、例えば、分散染料等が選ばれる。また、水溶性染料を長鎖の塩基と造塩することにより油溶性を示す染料も含まれ、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料と長鎖アミンとの造塩染料が知られている。
誘電体材料としては、格別限定されないが、酸化ケイ素、酸化アルミナ、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化スズ等を好ましく例示できる。
また、機能性材料の分散樹脂として、あるいは機能性材料のバインダーとして、各種高分子材料を用いることができる。
また、本発明に係る機能性インクは、高分子の総含有量が0.5重量%未満の範囲であることが好ましい。本発明の機能性インクが含有する高分子は、通常、上述した機能性材料に由来するものである。なお、高分子とは一般に分子量が10000以上のものを指し、分子量が1000以上10000未満の化合物は準高分子として扱われる。しかしながら、本発明において高分子とは、準高分子を含み、分子量が1000以上のものを指すこととする。
また、本発明において、機能性材料は、第1の溶剤及び第2の溶剤の両方に対して溶解性が高いことが好ましく、第1の溶剤及び第2の溶剤の何れに対しても、好ましくは0.3g/l以上、より好ましくは5g/l以上の高い溶解性を有することが好ましい。また、本発明において、機能性材料は、第1の溶剤よりも、第2の溶剤に対して高い溶解性を示すものであってもよいし、第2の溶剤よりも、第1の溶剤に対して高い溶解性を示すものであってもよい。
本発明において、機能性インクが付与されて、塗膜が形成される基材は、格別限定されず、光透過性であっても、光不透過性であってもよい。例えば、基材としての硬度に優れ、またその表面への導電層の形成のし易さ等の点で、ガラス基板、樹脂基板、樹脂フィルム等を好ましく例示できるが、軽量性及び可撓性に優れ、且つ安価である等の観点から、樹脂フィルムを用いることが好ましい。
本発明において基材として用いられる樹脂フィルムは、格別限定されず、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を好ましく例示できる。
中でも、化学的に安定であり、製造時のばらつきが小さく、且つ安価であるという観点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミド樹脂フィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることが、より好ましい。
本発明において、基材は、精密パターニング特性の観点から、前処理されていることも好ましいことである。前処理としては、接着層の塗設、撥水層の塗設、コロナ放電、プラズマ照射、UV照射等を好ましく例示できる。
本発明の機能性インクによる塗膜形成に用いられるインクジェットヘッドとしては、ピエゾ方式、サーマル方式、コンティニュアス方式など既存の方式の何れを用いてもよいが、本願発明に係るインクを用いた際における射出安定性を更に好適に向上できる観点から、ピエゾ方式を用いることが好ましい。
ヘッドから射出するインク滴の体積は、0.5pl〜100plの範囲とすることが好ましい。塗布ムラが少なく、且つ印字速度を高速化できる観点から、2pl〜20plの範囲であることが、より好ましい。なお、インク滴の体積は、印加電圧の調整等によって適宜調整可能である。
印字解像度は、好ましくは180dpi〜10000dpiの範囲、より好ましくは360dpi〜2880dpiの範囲で、湿潤膜厚とインク滴の体積等を考慮して適宜設定することができる。
本発明において、インクジェット塗布時(塗布直後)における湿潤塗膜の湿潤膜厚は、適宜設定することができるが、好ましくは1μm〜100μmの範囲、より好ましくは1μm〜30μmの範囲、最も好ましくは1μm〜5μmの範囲において、本発明の効果がより顕著に奏される。なお、湿潤膜厚は、塗布面積、印字解像度及びインク滴の体積から算出できる。
インクジェットによる印字方法には、ワンパス印字法とマルチパス印字法がある。
ワンパス印字法は、所定の印字領域を1回のヘッドスキャンで印字する方法である。対して、マルチパス印字法は、所定の印字領域を複数回のヘッドスキャンで印字する方法である。
本発明の機能性インクは、上述した通り、ワンパス印字法を用いて塗膜形成する際に、より顕著な効果を奏する。
ワンパス印字法では、所望とする塗布パターンの幅以上の幅に亘ってノズルが並設された広幅のヘッドを用いることが好ましい。同一の基材上に、互いにパターンが連続していない独立した複数の塗布パターンを形成する場合は、少なくとも各塗布パターンの幅以上の広幅ヘッドを用いればよい。
なお、ノズルの並設幅が塗布パターンの幅に満たない場合は、1つの塗布パターンを複数の印字領域に分けて、各印字領域毎にワンパス印字を行うことになるが、この場合、従来のインクでは、隣接する領域間に未塗布のスジが形成されたり、あるいは、領域間で塗膜が重なり合って膜厚の均一性を損ない易い問題があった。これに対して、本発明に係る機能性インクであれば、このような印字条件においても、膜厚の均一性を向上できる効果が得られることが確認されている。
本発明においては、印字時(機能性インクの基材への付着時)に、基材が加熱されていることも好ましいことである。これにより、塗膜の乾燥を促進して、第1の溶剤の比較的高い表面張力による影響(濡れ性の低下)が更に抑えられ、乾燥ムラを更に軽減することができる。その結果、特に、乾燥後の塗膜全体としての平坦性やはじき防止性を更に向上する効果が得られる。
加熱は、比較的低い温度で行われることが好ましく、具体的には印字時における基材表面の温度が30℃〜70℃の範囲となるように行うことが好ましい。これにより、特に、乾燥後の塗膜全体としての平坦性やはじき防止性を更に向上する効果が得られる。70℃を超える場合は、乾燥が促進されすぎて、第2の溶剤による濡れ性が発現され難くなり、塗布ムラを生じる恐れがある。
また、本発明においては、印字後に乾燥工程を設けることも好ましく、加熱乾燥、送風乾燥等を好ましく用いることができる。本発明において、塗布液の流動は、塗布後、数秒から数時間後も起こる場合があるので、塗布後になるべく速やかに乾燥して流動性を減じることも好ましいからである。
本発明において好ましい乾燥工程の一例としては、塗布後、室温〜70℃の範囲で乾燥を開始し、乾燥温度を後に上げ、80℃以上で完全に乾燥させることである。乾燥温度の上昇は、多段的又は連続的に上げてもよい。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されない。
(実施例1)
<インクの調製>
表1に示す組成(重量%)で機能性材料及び有機溶剤を混合後、0.45μmのPTFEフィルターにて濾過して、得られた濾液をインク1〜13とした。なお、濾過前後において、表1に示した組成は実質的に変化していないことを確認した。
機能性材料としては、発光材料1(下記ホスト材料(90重量%)と下記発光材料(10重量%)の混合物)、又は、有機半導体材料1(下記C10−DNTT)を用いた。各機能性材料の高分子含有量は、機能性材料の総重量に対して、発光材料1及び有機半導体材料1共に0重量%である。
Figure 2013194079
Figure 2013194079
Figure 2013194079
調製された各々のインクに対して以下の評価を行った。
1.はじき防止性の評価
<基材の作製>
10cm角(10cm×10cm)ガラスを洗剤洗浄後、純水洗浄し、更にUV−オゾン洗浄機を用いて、低圧水銀灯(UV波長254nm、185nm)で30mmの距離から照度2mW/cmで10分間UV照射して処理を行い、基材を得た。
<印字>
インクジェットヘッド(コニカミノルタ社製「KM512M」)を搭載したインクジェット描画装置を用いて、インクジェット法により、上記作製された基材上に、上記調製されたインクを吐出して、2つのパターン膜(各36mm幅×90mm高さ;湿潤膜厚(μm)は表1記載)を形成した。
インクジェット法の描画条件は、印加電圧調整により液適量を13.0ng(14.1pl)とし、解像度を360dpi×360dpiとし、パターン膜ごとにワンパス印字とした。
また、基材の温度は、印字時においては50℃に保持された。印字後は、ホットプレート上で、100℃において30分間加熱して乾燥させた。
連続して5枚の基材に、計10のパターン膜を形成し、塗布ムラ故障の発生パターンを数え、はじき防止性について以下の評価基準に従って評価した。
〔評価基準〕
評価5:10パターンに故障なし
評価4:1パターンに故障あり
評価3:2パターンに故障あり
評価2:3〜5パターンに故障あり
評価1:6パターン以上に故障あり
2.塗膜平坦性の評価
上記はじき防止性の評価と同様にして形成されたパターン膜に、Pd蒸着(厚さ1mm)を均一に施し、光干渉型表面形状測定装置(日本ビーコ社製「WYKO NT9300」)を用いた光干渉法で得られた垂直方向の2次元プロファイルに基づいて、塗布端部における膜厚異常部の幅を測定し、下記の評価基準に従って評価した。
なお、2次元プロファイルに基づく塗布端部における膜厚異常部の幅の測定例は図1に示した通りである。
〔評価基準〕
評価5:膜厚異常部の幅が50μm未満である
評価4:膜厚異常部の幅が50μm以上100μm未満である
評価3:膜厚異常部の幅が100μm以上150μm未満である
評価2:膜厚異常部の幅が150μm以上300μm未満である
評価1:膜厚異常部の幅が300μm以上である
3.インクジェット吐出安定性の評価
インクジェットヘッド(コニカミノルタ社製「KM512M」)を搭載したインクジェット描画装置を用いて、インクジェット法により、インクジェット用光沢メディア(空隙型)上に、上記調製されたインクを吐出して、36mm幅×290mm高さのパターンを連続して印字した。
インクジェット法の描画条件は、印加電圧調整により液適量を13.0ng(14.1pl)とし、解像度を360dpi×360dpiとし、各パターン膜毎にワンパス印字とした。
連続して100パターンまで印字を行い、光学顕微鏡(100倍)により、着弾したインクを観察し、全ノズル(512本)中において、ノズル欠及びノズル曲がり(着弾位置ずれ)が発生したノズルの数を下記の評価基準に従って評価した。
〔評価基準〕
評価5:ノズル欠、ノズル曲がりの発生なし
評価4:ノズル欠の発生はないが、ノズル曲がりの発生あり(25本未満)
評価3:ノズル欠の発生はないが、ノズル曲がりの発生あり(25本以上50本未満)
評価2:ノズル欠の発生あり(50本未満)
評価1:ノズル欠の発生あり(50本以上)
4.評価
各々のインクに対して以上の評価を行った結果を表1に示す。
Figure 2013194079
<評価>
溶剤群1より選ばれた第1の溶剤と、溶剤群2より選ばれ且つ第1の溶剤よりも低表面張力である第2の溶剤とを少なくとも含む本発明に係るインク1〜10では、インクジェット射出安定性、塗膜全体としての平坦性、及び、はじき防止性が向上することがわかる。
特に、第3の溶剤としてアルコールを含むインク3では、インクジェット射出安定性、塗膜全体としての平坦性、及び、はじき防止性が顕著に向上することがわかる。
更に、インク1とインク4の対比より、溶剤群1より選ばれる溶剤(第1の溶剤含む)の総含有量が40重量%未満の範囲であるインク1が、塗膜全体としての平坦性に更に優れることがわかる。
これに対して、溶剤群1より選ばれた第1の溶剤と、溶剤群2より選ばれ且つ第1の溶剤よりも低表面張力である第2の溶剤とを含まないインク11〜13では、インクジェット射出安定性、塗膜全体としての平坦性、及び、はじき防止性が劣ることがわかる。

Claims (14)

  1. 機能性材料と、溶剤とを少なくとも含有する機能性インクを基材に付着させた後、該基材上で前記溶剤を乾燥させて機能性薄膜を形成する機能性薄膜の形成方法において、
    前記機能性インクは、前記溶剤として、沸点が150℃以上200℃未満のエステル系又はケトン系溶剤からなる溶剤群1より選ばれる第1の溶剤と、沸点が150℃未満のエステル系又はケトン系溶剤からなる溶剤群2より選ばれ、且つ前記第1の溶剤よりも低表面張力である第2の溶剤と、を少なくとも含むことを特徴とする機能性薄膜の形成方法。
  2. 前記機能性インクは、更なる第3の溶剤として、前記第1の溶剤よりも低沸点且つ低表面張力であるアルコールを含むことを特徴とする請求項1記載の機能性薄膜の形成方法。
  3. 前記第1の溶剤及び第2の溶剤の少なくとも1種は、分子内にエーテル結合を有するエステル系又はケトン系溶剤であることを特徴とする請求項1又は2記載の機能性薄膜の形成方法。
  4. 前記機能性インクは、前記溶剤群1より選ばれる溶剤の総含有量が40重量%未満の範囲であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の機能性薄膜の形成方法。
  5. 前記第2の溶剤は、沸点が80℃以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の機能性薄膜の形成方法。
  6. 前記機能性インクは、高分子の総含有量が0.5重量%未満の範囲であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の機能性薄膜の形成方法。
  7. 前記機能性インクを加熱された前記基材に付着させることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の機能性薄膜の形成方法。
  8. 前記機能性インクを前記基材にワンパス印字法で付着させることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の機能性薄膜の形成方法。
  9. 機能性材料と、溶剤とを少なくとも含有する機能性インクにおいて、
    前記溶剤として、沸点が150℃以上200℃未満のエステル系又はケトン系溶剤からなる溶剤群1より選ばれる第1の溶剤と、沸点が150℃未満のエステル系又はケトン系溶剤からなる溶剤群2より選ばれ、且つ前記第1の溶剤よりも低表面張力である第2の溶剤と、を少なくとも含むことを特徴とする機能性インク。
  10. 更なる第3の溶剤として、前記第1の溶剤よりも低沸点且つ低表面張力であるアルコールを含むことを特徴とする請求項9記載の機能性インク。
  11. 前記第1の溶剤及び第2の溶剤の少なくとも1種は、分子内にエーテル結合を有するエステル系又はケトン系溶剤であることを特徴とする請求項9又は10記載の機能性インク。
  12. 前記溶剤群1より選ばれる溶剤の総含有量が40重量%未満の範囲であることを特徴とする請求項9〜11の何れかに記載の機能性インク。
  13. 前記第2の溶剤は、沸点が80℃以上であることを特徴とする請求項9〜12の何れかに記載の機能性インク。
  14. 高分子の総含有量が0.5重量%未満の範囲であることを特徴とする請求項9〜13の何れかに記載の機能性インク。
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