JP2013193542A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ベルトコードとコーティングゴム間の接着性耐久性に優れた空気入りラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】少なくとも1枚のカーカスとトレッド部と、少なくとも2枚のベルト層の補強材が、2本のコードを撚らずに揃えた束であり、コードを構成する全てのフィラメント径が同径であり、その径をa(mm)としたとき、隣り合う束同士の間隔が、コードの外接円を用いて表した間隔よりも期待値としてa/4(mm)以上増加し、ベルト層のコーティングゴムが、ゴム成分100質量部に対して、下記式(I)、
(式中、Rは炭素数1〜16の2価の脂肪族基、または2価の芳香族基を表す。)で表される化合物が0.1〜10質量部添加されてなるゴム組成物からなる。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも1枚のカーカスとトレッド部と、少なくとも2枚のベルト層の補強材が、2本のコードを撚らずに揃えた束であり、コードを構成する全てのフィラメント径が同径であり、その径をa(mm)としたとき、隣り合う束同士の間隔が、コードの外接円を用いて表した間隔よりも期待値としてa/4(mm)以上増加し、ベルト層のコーティングゴムが、ゴム成分100質量部に対して、下記式(I)、
(式中、Rは炭素数1〜16の2価の脂肪族基、または2価の芳香族基を表す。)で表される化合物が0.1〜10質量部添加されてなるゴム組成物からなる。
【選択図】なし
Description
本発明は、空気入りラジアルタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、ベルト端で発生するセパレーションに対する耐久性およびベルトコードとコーティングゴム間の接着性耐久性に優れた空気入りラジアルタイヤに関する。
現在、乗用車用ラジアルタイヤの骨格をなすカーカスの補強部材、特にカーカスのクラウン部の補強部材として一般に用いられているベルトは、主としてタイヤの赤道面に対し傾斜配列されたスチールコードのゴム引き層からなるスチールベルト層を2枚以上用い、これらベルト層中のスチールコードが互いに交差するようにして構成されている。
従来より、ベルト層の改良に関して、種々の検討がなされてきている。例えば、特許文献1には、補強素子を数本以内の束とし、その束を一定の分散で打ち込むことにより、ベルトの耐久性を向上させる技術が開示されている。また、特許文献2には、ベルトの補強材として(1×2)構造のスチールコードを用いることにより、ベルト端で発生するセパレーション(ベルトエッヂセパレーション,以下「BES」とも称する)を抑制することができること、およびタイヤの軽量化が図れること、が開示されている。
近年、自動車の高性能化に伴って、タイヤに対して、ますます高い性能が求められるようになってきている。このような現状においては、特許文献1および2記載のベルト構造では、タイヤの耐久性について、必ずしも十分なものとは言えなくなってきている。また、ベルトの耐久性には、BESのみならず、水分や酸素によるベルトコードとゴムとの接着性の低下も重要な要因である。
そこで、本発明の目的は、ベルト端で発生するセパレーションに対する耐久性およびベルトコードとコーティングゴム間の接着性耐久性に優れた空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解消するためにベルトの構造につき鋭意検討した結果、ベルト層を構成する補強材の構造およびコーティングゴムを所定のものとすることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の空気入りラジアルタイヤは、左右一対のビードコア間にわたりトロイド状をなして跨る少なくとも1枚のカーカス層からなるカーカスと、該カーカスのクラウン領域のタイヤ径方向外側に配設されて接地部を形成するトレッド部と、該トレッド部と前記カーカスのクラウン領域との間に配置されて補強部を形成する、少なくとも2枚のベルト層からなるベルトを備える空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記ベルト層を構成する補強材が、2本のコードを撚らずに揃えた束であり、かつ、前記コードを構成する全てのフィラメントの径が同径であり、その径をa(mm)としたとき、隣り合う前記束同士の間隔が、前記コードの外接円を用いて表した間隔よりも期待値としてa/4(mm)以上増加し、かつ、
前記ベルト層のコーティングゴムが、ゴム成分100質量部に対して、下記式(I)、
(式中、Rは炭素数1〜16の2価の脂肪族基、または2価の芳香族基を表す。)
で表される化合物が0.1〜10質量部添加されてなるゴム組成物からなることを特徴とするものである。
前記ベルト層を構成する補強材が、2本のコードを撚らずに揃えた束であり、かつ、前記コードを構成する全てのフィラメントの径が同径であり、その径をa(mm)としたとき、隣り合う前記束同士の間隔が、前記コードの外接円を用いて表した間隔よりも期待値としてa/4(mm)以上増加し、かつ、
前記ベルト層のコーティングゴムが、ゴム成分100質量部に対して、下記式(I)、
(式中、Rは炭素数1〜16の2価の脂肪族基、または2価の芳香族基を表す。)
で表される化合物が0.1〜10質量部添加されてなるゴム組成物からなることを特徴とするものである。
本発明においては、前記式(I)で表される化合物は下記式(II)、
で表される化合物であることが好ましいが、本発明においては、ベルト層のコーティングゴムは、ゴム成分100質量部に対して、下記式(II)、
で表される化合物が60〜100質量%、下記式(III)、
(式中Rは、炭素数1〜16の2価の脂肪族基、または2価の芳香族基を表し、nは2〜6の整数を示す。)で表され、かつ、n=2の化合物が0〜20質量%、前記式(III)で表され、かつ、n=3の化合物が0〜10質量%、および前記式(III)で表され、かつ、n=4〜6の化合物が合計で0〜10質量%からなる混合物が0.1〜10質量部添加されてなるものでもよい。また、本発明においては、前記式(II)中のRは炭素数2〜10のアルキレン基またはフェニレン基であることが好ましく、前記式(III)中のRは炭素数2〜10のアルキレン基またはフェニレン基であることが好ましい。さらに、本発明においては、前記ベルト層のコーティングゴムのゴム成分100質量部に対し、有機酸コバルト塩がコバルト量として0.03〜1質量部添加されてなることが好ましい。さらにまた、本発明においては、前記ベルト層のコーティングゴムのゴム成分は、天然ゴムおよびポリイソプレンゴムの少なくとも一方よりなることが好ましい。また、本発明においては、前記ベルト層のコーティングゴムのゴム成分は、50質量%以上の天然ゴムおよび残部合成ゴムよりなることが好ましい。さらに、本発明においては、前記ベルト層の厚みが0.70mmより大きく1.20mm未満であることが好ましく、さらにまた、本発明においては、前記フィラメント径が0.23〜0.30mmであることが好ましい。また、本発明においては、前記コードが(1×2)構造であることが好ましい。
で表される化合物であることが好ましいが、本発明においては、ベルト層のコーティングゴムは、ゴム成分100質量部に対して、下記式(II)、
で表される化合物が60〜100質量%、下記式(III)、
(式中Rは、炭素数1〜16の2価の脂肪族基、または2価の芳香族基を表し、nは2〜6の整数を示す。)で表され、かつ、n=2の化合物が0〜20質量%、前記式(III)で表され、かつ、n=3の化合物が0〜10質量%、および前記式(III)で表され、かつ、n=4〜6の化合物が合計で0〜10質量%からなる混合物が0.1〜10質量部添加されてなるものでもよい。また、本発明においては、前記式(II)中のRは炭素数2〜10のアルキレン基またはフェニレン基であることが好ましく、前記式(III)中のRは炭素数2〜10のアルキレン基またはフェニレン基であることが好ましい。さらに、本発明においては、前記ベルト層のコーティングゴムのゴム成分100質量部に対し、有機酸コバルト塩がコバルト量として0.03〜1質量部添加されてなることが好ましい。さらにまた、本発明においては、前記ベルト層のコーティングゴムのゴム成分は、天然ゴムおよびポリイソプレンゴムの少なくとも一方よりなることが好ましい。また、本発明においては、前記ベルト層のコーティングゴムのゴム成分は、50質量%以上の天然ゴムおよび残部合成ゴムよりなることが好ましい。さらに、本発明においては、前記ベルト層の厚みが0.70mmより大きく1.20mm未満であることが好ましく、さらにまた、本発明においては、前記フィラメント径が0.23〜0.30mmであることが好ましい。また、本発明においては、前記コードが(1×2)構造であることが好ましい。
本発明によれば、ベルト端で発生するセパレーションに対する耐久性およびベルトコードとコーティングゴム間の接着性耐久性に優れた空気入りラジアルタイヤを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1に、本発明の一実施の形態に係る空気入りラジアルタイヤを示す。図示するタイヤは、カーカスのクラウン領域に配設されて接地部を形成するトレッド部1と、このトレッド部1の両側部に連続してタイヤ半径方向内方へ延びる一対のサイドウォール部2と、各サイドウォール部2の内周側に連続するビード部3とを備えている。
図1に、本発明の一実施の形態に係る空気入りラジアルタイヤを示す。図示するタイヤは、カーカスのクラウン領域に配設されて接地部を形成するトレッド部1と、このトレッド部1の両側部に連続してタイヤ半径方向内方へ延びる一対のサイドウォール部2と、各サイドウォール部2の内周側に連続するビード部3とを備えている。
トレッド部1、サイドウォール部2およびビード部3は、一方のビード部3から他方のビード部3にわたってトロイド状に延びる一枚のカーカス層からなるカーカス4により補強されている。また、トレッド部1は、以下で詳述する、カーカス4のクラウン領域のタイヤ径方向外側に配設した少なくとも2層、図示する例では2層の第1ベルト層5aと第2ベルト層5bとからなるベルトにより補強されている。ここで、カーカス4のカーカス層は複数枚としてもよく、タイヤ周方向に対してほぼ直交する方向、例えば、70〜90°の角度で延びる有機繊維コードを好適に用いることができる。
本発明においては、第1ベルト層5a、第2ベルト層5bを構成する補強材は、2本のコードを撚らずに揃えた束である。補強材をコード2本の束とすることにより、コードを束としない場合と比べて、ベルト層中の補強材の間隔が広くなり、ベルト幅方向端部のコード端を起点としたゴム剥離が容易に隣り合うコード間に伝播する、ベルトエッジセパレーションを抑制することができる。これにより、ベルトの耐久性を向上させることができる。また、本発明においては、コードを構成する全てのフィラメントの径を同径とし、その径をa(mm)としたとき、隣り合う束同士の間隔が、コードの外接円を用いて表した間隔よりも期待値としてa/4(mm)以上、好ましくは4a/11(mm)以上増加する。図2(a)〜(c)は、ベルト層の補強材として、(1×2)構造のコード2本を束6とした場合、図3(a)〜(c)は、(1+1)構造のコード2本を束16とした場合のコード束の断面の変化の例を示す断面図であり、まず、図2および図3を用いてコード径の変化について説明する。
通常、コード径Dcは、図2(a)に示す様に、フィラメント7の外接円8の直径により表わされている。しかしながら、(1×2)構造のコードは2本のフィラメント7を撚り合わせたコードであるため、コード内(外接円8内)でフィラメント7の位置が連続的に変化している。例えば、フィラメント7の位置が図2(b)、(c)のように45°ずつ変化すると、水平方向における実際のコード径は、外接円8より減少することになる。(1+1)構造のコードについても同様であり、図3(a)〜(c)に示す様に、フィラメント17の位置が、図3(b)、(c)のように45°ずつ変化すると、水平方向における実際のコード16の径は、外接円18より減少することになる。
本発明のタイヤは、ベルトの補強材として、コードを2本束にして用いているが、上述のように、ベルト幅方向でコード径が変化すると、隣り合う束同士の間隔も、コード径の変化に合わせて、連続的に変化することになる。すなわち、隣り合う束同士の間隔に広い部分と狭い部分が現れることになる。この束同士の間隔が広い部分が存在することにより、ベルト幅方向端部のコード端を起点としたゴム剥離が容易に隣り合うコード間に伝播するベルトエッジセパレーションを、より効果的に抑制することができる。その結果、ベルトの耐久性がさらに向上することになる。また、束同士の間隔が狭い部分が存在するため、ベルトの剛性を維持することができる。
次に、束間隔の増加量の期待値の算出方法について説明する。図4および図5は、(1×2)構造のコード2本を束とした場合の、束間隔の増加量の期待値を算出するための説明図である。まず、図4(a)に示す様に、隣り合う束6同士の近接するコードの一方をコードX、他方をコードYとし、コードXとコードYのそれぞれの外接円間の距離をWとする。次に、水平方向において、コードXおよびコードYの外接円間の距離と、コードXおよびコードYのフィラメント間距離と、が等しい状態をコードXおよびコードYの基本状態(図4(a))とする。図4(a)〜(h)は、例として、コードXが1ピッチで360°回転する場合において、基本状態からコードXを45°ずつ回転させた場合の断面形状をそれぞれ示す。図4(b)を参照するに、基本状態からコードXを45°回転させることにより、コードXとコードYの実際の間隔は、Wよりxz2だけ増加する。さらに、コードXを45°ずつ回転させると(図4(c)〜(h))、コードXとコードYの実際の間隔の増加量は、xz3〜xz8だけ変化する。なお、基本状態(図4(a))および基本状態から180°回転した状態(図4(e))のxz1およびxz5は0である。
コードYについても同様に、コードYが1ピッチで360°回転する場合において、コードYを45°ずつ回転させた場合の断面形状を、図5(a)〜(h)としてそれぞれ示す。図示するように、基本状態(図5(a))からコードYを45°回転させることにより(図5(b))、コードXとコードYの実際の間隔は、Wよりyz2だけ増加する。さらに、45°ずつ回転させると(図5(c)〜(h))、コードXとコードYの実際の間隔の増加量は、yz3〜yz8だけ変化することになる。
ここまでは、束間隔の増加量の算出の方法として、コードXおよびコードYを45°ずつ回転させた場合を例に挙げて説明してきたが、本発明においては、同様の考え方に基づき、コードXおよびコードYが1ピッチで360°回転する場合において、コードXおよびコードYを基本状態から1°ずつ回転させ、xz1〜xz360およびyz1〜yz360を求める。得られた値を基に、下記式、
により、束間隔の増加量の期待値を算出する。なお、コード構造が(1×2)構造を例として説明したが、他の構造のコードについても同様の手順で算出することができる。
により、束間隔の増加量の期待値を算出する。なお、コード構造が(1×2)構造を例として説明したが、他の構造のコードについても同様の手順で算出することができる。
上記式により算出された束間隔の増加量の期待値が、a/4(mm)以上、好ましくは4a/11(mm)以上増加するコードを、2本束としてベルトの補強材として用いることにより、剛性を悪化させることなく耐久性および軽量性に優れた空気入りラジアルタイヤを得ることができる。上記関係を満足するコード構造としては、(1×2)構造、(1+1)構造等を挙げることができる。
本発明においては、ベルトへの補強材の打込み数は35〜65本/50mmであることが好ましく、より好ましくは40〜59本/50mmである。打込み数が、上記範囲未満の場合は、引張強度を確保することができなくなる場合があり好ましくなく。一方、打込み数が上記範囲より多いと、束間隔を確保することが困難になり、有効にベルトエッジセパレーションを抑制することが困難になり、耐久性が低下する場合があるため、やはり好ましくない。
本発明においては、タイヤの軽量化と耐久性の向上の観点から、ベルト層の厚みは0.70mmより大きく1.20mm未満であることが好ましい。ベルト層の厚みが0.70mm以下では、十分な耐久性を得ることができない場合がある。一方、ベルト層の厚みが1.20mm以上であると、十分な軽量効果を得ることができない場合がある。より好ましくは0.80〜1.10mmである。
本発明においては、コードを構成するフィラメントのフィラメント径は0.23〜0.30mmであることが好ましい。フィラメント径が0.23未満であると、十分な強力を発揮することができない場合がある。一方、フィラメント径が0.30より大きいと、ベルトが厚くなってしまい、十分な軽量効果を得ることができないことがある。
なお、本発明においては、各フィラメントの撚り方向、撚りピッチ等の条件については、特に制約されるものではなく、用途に応じて、常法に従い適宜構成することが可能である。また、フィラメントの材質等については特に制限はないが、スチールフィラメントが好適である。スチールフィラメントとしては、引張り強さは、好適には2700N/mm2以上のものを好適に用いることができる。高い抗張力を有するモノフィラメントコードとしては、少なくとも0.72質量%、特には少なくとも0.82質量%の炭素を含有するものを、好適に用いることができる。
また、本発明の空気入りラジアルタイヤにおいては、第1ベルト層5a、第2ベルト層5bのコーティングゴムとして、ゴム成分100質量部に対して、下記式(I)、
(式中、Rは炭素数1〜16の2価の脂肪族基、または2価の芳香族基を表す。)
で表される化合物が0.1〜10質量部、好適には0.3〜6質量部添加されてなるゴム組成物を用いている。式(I)で表される化合物をコーティングゴムに含有させることで、ベルトコードとコーティングゴムとの接着耐久性を向上させることができる。
(式中、Rは炭素数1〜16の2価の脂肪族基、または2価の芳香族基を表す。)
で表される化合物が0.1〜10質量部、好適には0.3〜6質量部添加されてなるゴム組成物を用いている。式(I)で表される化合物をコーティングゴムに含有させることで、ベルトコードとコーティングゴムとの接着耐久性を向上させることができる。
式(I)で表される化合物において、式中のRは、炭素数1〜16の2価の脂肪族基、または2価の芳香族基を表す。式(I)で表される化合物としては、例えば、下記式(II)、
で表される化合物を挙げることができる。式(II)中のRは、式(I)中のRと同じである。
で表される化合物を挙げることができる。式(II)中のRは、式(I)中のRと同じである。
炭素数1〜16の2価の脂肪族基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、ブチレン基、イソブチレン基、オクチレン基、2−エチルヘキシレン基等の直鎖または分岐鎖のアルキレン基、ビニレン基(エテニレン基)、ブテニレン基、オクテニレン基等の直鎖または分岐鎖のアルケニレン基、これらのアルキレン基またはアルケニレン基の水素原子がヒドロキシル基またはアミノ基等で置換されたアルキレン基またはアルケニレン基、シクロヘキシレン基等の脂環式基を挙げることができる。また、2価の芳香族基としては、置換されていてもよいフェニレン基、置換されていてもよいナフチレン基等を挙げることができる。これらの中でも入手の容易さ等を考慮すれば、炭素数2〜10のアルキレン基およびフェニレン基が好ましく、特にエチレン基、ブチレン基、オクチレン基およびフェニレン基がより好ましい。
式(I)の化合物としては、具体的には、マロン酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、コハク酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、フマル酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、マレイン酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、リンゴ酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、イタコン酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、シトラコン酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、アジピン酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、酒石酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、アゼライン酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、セバシン酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、シクロヘキサンジカルボン酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、テレフタル酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、イソフタル酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、マロン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、コハク酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、フマル酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、マレイン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、リンゴ酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、イタコン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、シトラコン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、アジピン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、酒石酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、アゼライン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、セバシン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、シクロヘキサンジカルボン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、テレフタル酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、イソフタル酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、マロン酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、コハク酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、フマル酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、マレイン酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、イタコン酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、シトラコン酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、アジピン酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、酒石酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、アゼライン酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、セバシン酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、シクロヘキサンジカルボン酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、テレフタル酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、イソフタル酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル等を挙げることができる。
本発明のタイヤにおいては、マロン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、コハク酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、フマル酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、マレイン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、リンゴ酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、イタコン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、シトラコン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、アジピン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、酒石酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、アゼライン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、セバシン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、シクロヘキサンジカルボン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、テレフタル酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、イソフタル酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステルが好適であり、特にコハク酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、アジピン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、セバシン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、テレフタル酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、イソフタル酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステルがより好適である。
式(I)で表される化合物の製造法は特に限定されないが、例えば、下記式(IV)で表されるジカルボン酸ハライドと、
(式中、Rは炭素数1〜16の2価の脂肪族基、または2価の芳香族基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
下記式(V)で表される化合物と
を塩基の存在下または非存在下で反応させて製造することができる。式(IV)中のRは、式(I)中のRと同じであり、Xはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、塩素原子または臭素原子が好ましい。
(式中、Rは炭素数1〜16の2価の脂肪族基、または2価の芳香族基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
下記式(V)で表される化合物と
を塩基の存在下または非存在下で反応させて製造することができる。式(IV)中のRは、式(I)中のRと同じであり、Xはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、塩素原子または臭素原子が好ましい。
式(IV)で表される化合物としては、マロン酸ジクロライド、コハク酸ジクロライド、フマル酸ジクロライド、マレイン酸ジクイロライド、グルタル酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、スベリン酸ジクロライド、アゼライン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライド、1,10−デカンジカルボン酸ジクロライド、1,12−ドデカンジカルボン酸ジクロライド、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸ジクロライド等の脂肪族ジカルボン酸ジクロライド、シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、シクロヘキセンジカルボン酸ジクロライド等の脂環式ジカルボン酸ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド等の芳香族ジカルボン酸ジクロライド、マロン酸ジブロマイド、コハク酸ジブロマイド、フマル酸ジブロマイド、マレイン酸ジブロマイド、グルタル酸ジブロマイド、アジピン酸ジブロマイド、スベリン酸ジブロマイド、アゼライン酸ジブロマイド、セバシン酸ジブロマイド、1,10−デカンジカルボン酸ジブロマイド、1,12−ドデカンジカルボン酸ジブロマイド、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸ジブロマイド等の脂肪族ジカルボン酸ジブロマイド、シクロヘキサンジカルボン酸ジブロマイド、シクロヘキセンジカルボン酸ジブロマイド等の脂環式ジカルボン酸ジブロマイド、テレフタル酸ジブロマイド、イソフタル酸ジブロマイド等の芳香族ジカルボン酸ジブロマイド、を挙げることができる。本発明においては、マロン酸ジクロライド、コハク酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、アゼライン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、マロン酸ジブロマイド、コハク酸ジブロマイド、アジピン酸ジブロマイド、アゼライン酸ジブロマイド、セバシン酸ジブロマイド、テレフタル酸ジブロマイド、イソフタル酸ジブロマイド等が好適である。
一方、式(V)で表される化合物としては、カテコール、レゾルシンおよびハイドロキノンを挙げることができる。
式(IV)で表される化合物と式(V)で表される化合物とを反応させる際に使用する塩基としては、通常、ピリジン、β−ピコリン、N−メチルモルホリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の有機塩基である。また、式(IV)で表される化合物と式(V)で表される化合物とを反応させる際は、通常、式(IV)で表される化合物と式(V)で表される化合物とが、1:4〜1:30のモル比となるように反応させる。なお、式(IV)で表される化合物と式(V)で表される化合物とを反応させる際の反応温度は、通常、−20℃〜120℃で行なわれる。
式(IV)で表される化合物と式(V)で表される化合物とを反応させる際、原料を溶解させること等を目的として溶媒を用いてもよい。溶媒としては、上述の有機塩基をそのまま溶媒として使用してもよいし、反応を阻害しない他の有機溶媒を用いてもよい。このような溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒を挙げることができる。
上記の反応により得られる式(I)で表される化合物は、公知の方法により反応混合物から単離することができる。すなわち、減圧蒸留等の操作により、反応に用いた有機塩基および式(V)で表される化合物、反応に有機溶媒を使用した場合にはこの有機溶媒を留去し乾固させる方法、反応混合物に式(I)で表される化合物の貧溶媒を添加して再沈殿させる方法、反応混合液に水および水と混和しない有機溶媒を添加して有機層に抽出する方法等を採用することができる。また、場合によっては再結晶により精製してもよい。
式(I)で表される化合物の貧溶媒としては、通常、水が用いられる。また、水と混和しない有機溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類を用いることができる。
式(V)で表される化合物としてレゾルシンを用いた場合には、式(II)で表される化合物を主成分とする、式(II)で表される化合物と下記式(III)、
で表される化合物とからなる混合物が得られる。ここで、式(III)中のRは、式(I)中のRと同じであり、nは2〜6の整数を示す。
で表される化合物とからなる混合物が得られる。ここで、式(III)中のRは、式(I)中のRと同じであり、nは2〜6の整数を示す。
例えば、上記の反応にレゾルシンを用いた場合に得られる式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物とからなる混合物中には、通常、式(II)で表される化合物が60〜100質量%、式(III)におけるn=2の化合物が0〜20質量%、式(III)におけるn=3の化合物が0〜10質量%、式(III)におけるn=4〜6の化合物が合計で10質量%程度含まれる。これらの比率は、式(IV)で表される化合物とレゾルシンのモル比を変化させることでコントロールすることができる。なお、式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物とからなる混合物も、式(I)で表される化合物の単離方法と同様の方法により、これらを含む反応混合物から単離することができる。
式(II)で表される化合物が60質量%以上であると、ゴムと配合して接着した際の湿熱接着性が向上する。湿熱接着性向上の観点から判断すれば、より好ましくは式(II)で表される化合物の含有量が70〜100質量%であり、より好ましくは80〜100質量%である。
本発明のタイヤのベルト層のコーティングゴムに用いられるゴム組成物に、式(I)で表される化合物を配合する場合、式(I)で表される化合物の配合量は、ゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲であり、好ましくは0.3〜6質量部である。式(I)で表される化合物の配合量がゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上であると、ゴム組成物の湿熱接着性が向上し、10質量部以下であると、式(I)で表される化合物のブルームを抑制できるため、好ましい。
また、本発明のタイヤのベルト層のコーティングゴムに用いられるゴム組成物に、式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物とからなる混合を配合する場合、この混合物の配合量は、ゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲であり、好適には0.3〜6質量部である。式(II)で表される化合物を主成分とする混合物の配合量がゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上であると、ゴム組成物の湿熱接着性が向上し、10質量部以下であると、式(II)で表される化合物を主成分とする混合物のブルームを抑制できるため、好ましい。
本発明のタイヤのベルト層のコーティングゴムに用いられるゴム組成物には、有機酸コバルト塩を添加してもよい。有機酸コバルト塩としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ロジン酸コバルト、バーサチック酸コバルト、トール油酸コバルト等を挙げることができる。有機酸コバルト塩は、有機酸の一部をホウ酸等で置き換えた複合塩でもよい。具体的には、マノボンド(商標:OMG製)等を挙げることができる。有機酸コバルト塩の配合量としては、ゴム成分100質量部に対してコバルト量として0.03〜1質量部が好ましい。有機酸コバルト塩の配合量がゴム成分100質量部に対してコバルト量として0.03質量部以上であると、ゴム組成物と金属補強材との接着性が向上し、1質量部以下であると、ゴム組成物の老化が抑制される。
本発明のタイヤのベルト層のコーティングゴムに用いられるゴム組成物には、上記化合物または混合物、ゴム成分、硫黄、有機酸コバルト塩の他、カーボンブラックおよびシリカ等の充填剤、アロマオイル等の軟化剤、ヘキサメチレンテトラミン、ペンタメトキシメチルメラミン、ヘキサメチレンメチルメラミン等のメトキシメチル化メラミン等のメチレン供与体、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤等のゴム業界で通常使用される配合剤を通常の配合量で適宜配合することができる。本発明のタイヤのベルト層のコーティングゴムとして用いられるゴム組成物の調製方法に特に制限はなく、例えば、バンバリーミキサーやロール等を用いて、ゴム成分に、上記化合物または混合物、硫黄、有機酸コバルト塩および各種配合剤を練り込んで調製すればよい。
本発明のタイヤのベルト層のコーティングゴムに用いられるゴム組成物と接着される金属補強材は、ゴムとの接着を良好にするために黄銅、亜鉛、またはこれらにニッケルやコバルトを含有する金属でメッキ処理されていることが好ましく、黄銅メッキ処理されていることが特に好ましい。
本発明のタイヤのベルト層のコーティングゴムに用いられるゴム組成物は、直接加硫接着の際、接着性向上剤として、金属補強材との接着性を飛躍的に向上させることができる。従って、式(II)で表される化合物、または式(II)で表される化合物が60〜100質量%、式(III)で表され、かつn=2の化合物が0〜20質量%、式(III)で表され、かつn=3の化合物が0〜10質量%および式(III)で表され、かつn=4〜6の化合物が合計で0〜10質量%からなる混合物は、接着性向上剤として有用である。
本発明のタイヤのベルト層のコーティングゴムに用いられるゴム組成物に配合される化合物およびこの化合物を主成分とする混合物は、レゾルシンやレゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂(RF樹脂)に比べゴム成分と混ざり易いという特徴がある。そのため、この化合物およびこの化合物を主成分とする混合物を配合したゴム組成物は、レゾルシンやRF樹脂を配合したゴム組成物よりもブルームしにくい傾向がある。これは、本発明のタイヤのベルト層のコーティングゴムに用いられるゴム組成物に配合される化合物およびこの化合物を主成分とする混合物が、レゾルシンやRF樹脂に比べて極性が低いためであると推定される。さらに、本発明のタイヤのベルト層のコーティングゴムに用いられるゴム組成物は、経時変化が少なく、貯蔵期間に関わらず安定した接着性を発現する。
本発明のタイヤのベルト層のコーティングゴムに用いられるゴム組成物としては、ゴム弾性を示すものであれば特に制限はないが、天然ゴムの他;ビニル芳香族炭化水素/共役ジエン共重合体、ポリイソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム等の合成ゴム等の公知のゴムの全てを用いることができる。本発明においては、ゴム成分は1種単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。金属補強材との接着特性およびゴム組成物の破壊特性の観点から、ゴム成分としては、天然ゴムおよびポリイソプレンゴムの少なくとも一方よりなるか、50質量%以上の天然ゴムを含み残部が合成ゴムであるのが好ましい。
本発明のタイヤのベルト層のコーティングゴムに用いられるゴム組成物に配合される硫黄に特に制限はないが、通常粉体を用いる。本発明のタイヤのベルト層のコーティングゴムとして用いられるゴム組成物に配合される硫黄の配合量は、ゴム成分100質量部に対して1〜10質量部の範囲であり、3〜8質量部の範囲が好ましい。硫黄の配合量がゴム成分100質量部に対して1質量部以上であると、スチールコード等の金属補強材との接着性の点で好ましく、10質量部以下であると、過剰な接着層の生成が抑制されるため、接着性が低下しないので好ましい。
本発明においては、タイヤのベルト層に係るコーティングゴムとして、ゴム成分100質量部に対して、式(I)で表される化合物が0.1〜10質量部添加されてなるゴム組成物を用いていることのみが重要であり、ゴム成分としては、ベルト層のコーティングゴムとして従来から用いられてきたゴム組成物を用いることができる。例えば、本発明のタイヤに用いられるベルト層のコーティングゴムとしては、共役ジオレフィン、あるいは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の重合体または共重合体からなる重合ゴムを好適に用いることができる。なお、この重合ゴムには、一部に共重合可能な第3のモノマーを含めてもよい。
本発明の空気入りラジアルタイヤは、ベルトの構造が上記要件を満足するものであれば、それ以外の具体的なタイヤ構造については、特に制限されるものではない。また、タイヤに充填する気体としては、通常のまたは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
<実施例および比較例1〜3>
下記表1に示す構造のスチールコードを2本束にしてベルト補強材とし、得られたベルト補強材を用いて図1に示すタイプのタイヤを、タイヤサイズ225/45R17にて作製した。ベルト層のコーティングゴムとしては、表2に示す2種のゴム組成物を用いた。ベルト補強材の打込み角度はタイヤ周方向に対して±26°とした。得られた各タイヤについて、下記の手順に従い、耐久性、接着耐久性、および水・酸素劣化性の評価を行った。
<実施例および比較例1〜3>
下記表1に示す構造のスチールコードを2本束にしてベルト補強材とし、得られたベルト補強材を用いて図1に示すタイプのタイヤを、タイヤサイズ225/45R17にて作製した。ベルト層のコーティングゴムとしては、表2に示す2種のゴム組成物を用いた。ベルト補強材の打込み角度はタイヤ周方向に対して±26°とした。得られた各タイヤについて、下記の手順に従い、耐久性、接着耐久性、および水・酸素劣化性の評価を行った。
<耐久性>
各供試タイヤを、JATMA規格に定める標準リムに装着後、JATMA YEAR BOOKにおける最大負荷能力に対応する内圧を充填し、乗用車に装着した。舗装路を40000km走行した後、タイヤを解剖して、ベルト端部のセパレーション長さを調査した。結果は、値が小さいほど良好な結果を示す。結果を表1に併記する。
各供試タイヤを、JATMA規格に定める標準リムに装着後、JATMA YEAR BOOKにおける最大負荷能力に対応する内圧を充填し、乗用車に装着した。舗装路を40000km走行した後、タイヤを解剖して、ベルト端部のセパレーション長さを調査した。結果は、値が小さいほど良好な結果を示す。結果を表1に併記する。
<接着耐久性>
成形後のグリーンタイヤを相対湿度95%に保持した恒温恒湿槽中に5週間放置した後、加硫したタイヤからベルト層を取り出し、ベルト層中のスチールコードを引張試験機により50mm/minの速度で引張り、露出したスチールコードのゴムの被覆状態を目視で観察し、その被覆率を0〜100%で表示して接着耐久性の指標とした。結果を表1に併記する。
成形後のグリーンタイヤを相対湿度95%に保持した恒温恒湿槽中に5週間放置した後、加硫したタイヤからベルト層を取り出し、ベルト層中のスチールコードを引張試験機により50mm/minの速度で引張り、露出したスチールコードのゴムの被覆状態を目視で観察し、その被覆率を0〜100%で表示して接着耐久性の指標とした。結果を表1に併記する。
<水・酸素劣化性>
各供試タイヤについて温度60℃、湿度70%、内圧350kpaで酸素充填し2ヶ月劣化させ、JATMAで定める標準リムサイズのリムを用い、JATMA規格の最大内圧において、JATMA規格の最大負荷能力の2倍の荷重をかけて、耐久性ドラム走行試験を行い、タイヤが壊れるまでの距離を測定した。評価は、比較例1の場合を100とした指数で表1および2中に示し、値が大きいほど通常内圧時の水・酸素劣化性が良好である。
各供試タイヤについて温度60℃、湿度70%、内圧350kpaで酸素充填し2ヶ月劣化させ、JATMAで定める標準リムサイズのリムを用い、JATMA規格の最大内圧において、JATMA規格の最大負荷能力の2倍の荷重をかけて、耐久性ドラム走行試験を行い、タイヤが壊れるまでの距離を測定した。評価は、比較例1の場合を100とした指数で表1および2中に示し、値が大きいほど通常内圧時の水・酸素劣化性が良好である。
※2:サントフレックス6PPD フレキシス(株)製
※3:アジピン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル
※4:ノクセラーDZ 大内新興化学工業(株)製
表1より、本発明のタイヤはベルト端で発生するセパレーションに対する耐久性およびベルトコードとコーティングゴム間の接着性耐久性が向上していることが確かめられた。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス
5a 第1ベルト層
5b 第2ベルト層
6,16 束
7,17 フィラメント
8,18 外接円
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス
5a 第1ベルト層
5b 第2ベルト層
6,16 束
7,17 フィラメント
8,18 外接円
Claims (11)
- 左右一対のビードコア間にわたりトロイド状をなして跨る少なくとも1枚のカーカス層からなるカーカスと、該カーカスのクラウン領域のタイヤ径方向外側に配設されて接地部を形成するトレッド部と、該トレッド部と前記カーカスのクラウン領域との間に配置されて補強部を形成する、少なくとも2枚のベルト層からなるベルトを備える空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記ベルト層を構成する補強材が、2本のコードを撚らずに揃えた束であり、かつ、前記コードを構成する全てのフィラメントの径が同径であり、その径をa(mm)としたとき、隣り合う前記束同士の間隔が、前記コードの外接円を用いて表した間隔よりも期待値としてa/4(mm)以上増加し、かつ、
前記ベルト層のコーティングゴムが、ゴム成分100質量部に対して、下記式(I)、
(式中、Rは炭素数1〜16の2価の脂肪族基、または2価の芳香族基を表す。)
で表される化合物が0.1〜10質量部添加されてなるゴム組成物からなることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。 - 前記式(II)中のRが炭素数2〜10のアルキレン基またはフェニレン基である請求項2または3記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記式(III)中のRが炭素数2〜10のアルキレン基またはフェニレン基である請求項3または4記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記ベルト層のコーティングゴムのゴム成分100質量部に対し、有機酸コバルト塩がコバルト量として0.03〜1質量部添加されてなる請求項1〜5のうちいずれか1項記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記ベルト層のコーティングゴムのゴム成分が、天然ゴムおよびポリイソプレンゴムの少なくとも一方よりなる請求項1〜6のうちいずれか1項記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記ベルト層のコーティングゴムのゴム成分が、50質量%以上の天然ゴムおよび残部合成ゴムよりなる請求項1〜7のうちいずれか1項記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記ベルト層の厚みが0.70mmより大きく1.20mm未満である請求項1〜8のうちいずれか1項記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記フィラメント径が0.23〜0.30mmである請求項1〜9のうちいずれか1項記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記コードが(1×2)構造である請求項1〜10のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
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---|---|---|---|
JP2012061964A JP2013193542A (ja) | 2012-03-19 | 2012-03-19 | 空気入りラジアルタイヤ |
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JP2019131684A (ja) * | 2018-01-31 | 2019-08-08 | 横浜ゴム株式会社 | ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ |
-
2012
- 2012-03-19 JP JP2012061964A patent/JP2013193542A/ja active Pending
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