JP2013192113A - 超音波探触子及びその製造方法 - Google Patents

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高志 小椋
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Abstract

【課題】ノイズの少ない明瞭な超音波画像を提供するための超音波探触子を提供する。
【解決手段】超音波探触子は、材料に1ミクロン以下の金属ナノ粒子を用いて低温焼成することで層の一部または全部を金属バルク化したことを特徴とする複数の層から形成される音響整合層を備え、複数の層の物理特性の一つである熱膨張係数は、発信素子側から生体側に向けて徐々に傾斜変化していることを特徴とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、超音波診断に用いられる超音波探触子に関するものである。
まず、従来一般的な超音波探触子について、図1を用いて説明する。図1は、従来の超音波探触子の構成を示す縦断面図である。図1の上方から、音響レンズ3、整合層2、圧電振動子1、バッキング層4が積層された構造がとられ、図1においては、それぞれの部材の厚み方向が図示され、上部が生体側である。
一般的な超音波診断装置では、圧電振動子1から発信された超音波が整合層2、音響レンズ3を通り、生体に放射され、生体内で反射した超音波が往路と逆のルートを辿り、再び圧電振動子1にて受信され、その受信強度や応答時間に即した信号が濃淡になって映像化される。
一般的に音波は、空気や物質、様々な媒質の中を伝達する性質を持っている。しかし、ある媒質Aから媒質Bに媒質間を移動しようとする際には、両者の媒質の音響インピーダンスの差異より、素材界面で反射が生じて伝達が阻害される。その傾向は、両者の音響インピーダンスの差が大きいほど強くなり、その差異が20以上になるとほぼ全反射に近くなるため、媒質同士が接していたとしても伝達は困難になる。
超音波探触子を構成する圧電振動子1の音響インピーダンスは、およそ29MRayls(=10^6N・s/m3)である(ただし、圧電振動子の素材構成により、25〜35程度の幅を有する)。これに対し、生体の音響インピーダンスは1.5MRaylsである。この状態では素材の音響インピーダンスに極端な開きがあるため、前記圧電振動子を生体に密着させても、皮膚において反射が生じてしまい、超音波を体内に伝達させることは困難である。逆に、別の発信素子からの信号が生体内からプローブ側に送信されたとしても、同様に生体での反射により、受信は期待できない。
そこで、生体と圧電振動子1の間には、通常、音響インピーダンス整合層(以下、「整合層」または「音響整合層」ともいう)2がサンドイッチされている。これは、生体と圧電素子との中間のインピーダンスを有する素材であり、圧電振動子のインピーダンスから生体のインピーダンスへと段階的に変化させることで、反射率を低下させ、効率的に超音波を生体に伝達させる役割を担っている。
例えば、上記のインピーダンスを有する圧電素子から出力された音波が直接生体に放射される時、生体への伝播率はおよそ19%であるが、インピーダンス10MRaylsの層を間に挟むと34%と向上する。
整合層を設計する際には、媒質を通る際に波長の1/4λの厚さで設計する手法が取られることが多い。これは、整合層内で反射にて往復する波を再利用して効率を向上させるためである。
また、より広帯域化を実現するために、段階的にインピーダンスを変化させ、特性に傾斜を持たせた整合層を作る場合もある(特許文献1)。
いずれの手法も、伝達効率を向上させる設計の上では、インピーダンスが圧電素子側に近い層が必要となる。
しかしながら、現状の整合層を形成する素材は、プラスチックか、グラファイト程度の選択肢しかなく、前記いずれの素材も音響インピーダンスは(2〜4)一桁台であり、圧電素子のインピーダンス29から離れているため伝播効率の高い設計が困難である。
プラスチックには数多くのバリエーションはあるものの、ほとんどがインピーダンス2〜4程度のものに集中している。それ以上のインピーダンスを望む場合、構成素材は金属の他に乏しく、インピーダンスは圧電素子を越えてしまうため、整合層として構成させることができない。
このように、汎用的に流通している材料には、圧電素子の物性に即した任意な設計を可能とするような整合層の材料に選択性が無いのが現状である。
そして、このような構成では、グラファイトとプラスチックという構成上、熱膨張係数に極端に差異が生じたものが選択されている。これらが層を形成していると、圧電素子が振動することによって生じる熱が伝達して、膨張係数の違いによる反りが生じようとする。しかし、その他の部材によって、上下からサンドイッチ様に固定されているため、層間に応力が常に集中することになる。
その結果、長期的には層間における材料歪みや、剥離、浮き、また層材料自身に亀裂などが生じる可能性がある。整合層は音響インピーダンスのマッチングによる信号をスムーズに極端にインピーダンスの違う媒質へ伝達させるための部材であるため、途中に一部でも不具合があると、その部分の信号が正常に受け取られない、つまり画像化ができない状況になってしまう。
特開昭60−100950号公報 特表2009−528784号公報
音響インピーダンスは特定材料に固有な物性であり、設計上効率的な層構造を与える理論上の数値を有していても、かならずしもその数値に合致した音響インピーダンスや厚みを有する素材が得られないのが現状である。
また、プラスチック素材はインピーダンス2から4程度のものが多く、その間では、比較的設計は容易であるが、それ以降の選択肢に欠け、材質が金属になると、一部を除き、圧電振動子の値(29)を大きく超えてしまうのが現実である。すなわち、インピーダンス4から29を構成する素材の絶対数が希薄であるために、任意設計ができないことが1番の課題である。
また、整合層を設計するには、素材の厚みもパラメータのひとつとなるが、既存材料を用いる場合、任意の設計厚を得るために、ほとんどの場合において、素材メーカへの特注となり、また、グラファイトなど、樹脂フィルムを製造する際に用いられるキャスティングができない材料においては、薄膜化するために一定厚のバルク材からの研磨が必要となる。すなわち、時間、コスト的に高価となる可能性が高い。
さらに、別々に作られた各層の材料は、積層させるために、層間に接着材を挟んで形成されるため、製造タクトの増加、各層ごとの接着剤の最適化、塗工厚、接合工程の管理など、従来の工法では、いずれにしても製造単価を抑えることができないというのが2番目の課題である。
さらに、既存材料の代表である、グラファイトでは熱膨張係数が5程度、樹脂フィルムが20〜50と大きく、これらが積層されると、熱膨張率の違いから圧電素子の振動で生じる熱によって反り現象が生じようとする、実際には、上下からサンドイッチされているため、現象として反ることが出来ず、応力を層材料の間に貯めこむことになってしまう。この応力が、長期的に、素材そのものや素材間の接着剤等に影響を及ぼし、部材の歪、剥離、浮き、素材の割れ(亀裂の発生)が生じる可能性がある。
シングルアレイプローブの場合、圧電素子は100〜200ミクロンの幅で、100以上の素子数が平行して並んでいる。この素子、それぞれが均一な信号を送信し、別々の信号を受信しているため、微細であって素材に不均一部分が存在すると、その影響を受け、正しい信号を送受信することができない。この現象はすなわち、画像上にノイズとして現れ、正確な診断装置を得ることができない要因を引き起こす。これが3番目の課題である。
上記、現行の整合層の傾斜化の課題を解決するために、先行例としては、結合剤となるエポキシ、アクリルなどの有機系高分子樹脂溶液などにタングステン粉末や磁性体(セラミック)粉末といった、インピーダンスの高い金属のフィラーを添加して硬化させる技術が提案されている(特許文献1、特許文献2を参照)。
しかし、この手法では、少量の添加でこそインピーダンス上昇の効果は見られるが、添加の量と共にインピーダンスの上昇率は低下し、金属の持つ高インピーダンス(例えばタングステンは104MRayls)には及ぶことなく、一桁〜10MRayls強の値でインピーダンスは頭打ちとなる。
この現象は、素材がフィラーとして樹脂内部で独立して存在しているためであり、インピーダンスに極端に差異のある素材同士の不連続性に富む媒質を通過する音波の音速が伸びないことが、その要因である。
インピーダンスは音速と密度の積によって定義されるため、音速が上がらなければ素材の高インピーダンス化は望めない。
すなわち、このような素材構成手法を採っていては、バルクで数十を超える金属のインピーダンス(例:銅44、タングステン104、鉄46、銀38)に及ぶことはなく、インピーダンスが10を超えるような素材さえ、樹脂に金属などのフィラーを添加するだけで実現することは困難である。
また、金属フィラーの配合率が高まれば、結合剤によるバインド力も低下し、特に薄膜での形状を保持できなくなるため、一定以上にフィラーの配合量を増加させることも出来ない。さらに、密度の極端に高いもの、また粒径が1〜10ミクロン程度になると、結合剤に比較して密度の高い金属は粒子が結合剤内で沈降し分離しやすい。すなわち、下部ほど配合率が自然と高まる現象が生じる。その結果上記のように結合材によるバインド力が落ちて層を形成することが出来なくなるだけでなく、層の中で密度のバラツキが発生し設計通りの物性を維持することが困難である。また、基本的に樹脂がバインダである場合、熱膨張係数が極端に大きくなる(50〜100)ことは周知である。
上記4つの要因から、フィラーの結合材への添加だけでは、以下のような4つの課題が生じる。
(1)設計上必要な、高インピーダンスが得られない。
(2)結合材の密度が低下することで層材料の破壊に繋がる。
(3)層内での密度が安定しない。
(4)熱膨張係数が高い。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、生体と圧電振動子のインピーダンス差異を埋めるために、ナノ金属を焼成することで任意なインピーダンスの組み合わせから得られる高効率、長期信頼性に長けた設計の薄膜を用いて整合層を作製し、前記整合層を搭載した超音波探触子によって、ノイズの少ない明瞭な超音波画像を提供することを目的とする。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、添加する金属粒子が結合材内で単独で分散した状態で用いられるのではなく、各々の粒子を結合しバルク化したことで、結合材との混合物でありながらも、より高いインピーダンスの層が得ることができ、かつ、金属粒子の配合率が上がっても、形状を保持する十分な強度を保つことのできる手法である。
さらに、本手法では、任意なインピーダンスを得ることが可能であり、これによって設計の自由度を高めることができる。また、熱膨張係数を徐々に変化させた整合層を設計することが可能であり、生じる熱により発生する層間の応力歪を最小に抑えることが可能である。すなわち、伝達効率を高め、長期信頼性に長けた音響整合層の最適設計を具現化することが可能となる。
本発明にかかる超音波探触子によれば、整合層を形成する素材には、金属ナノ粉末と、金属ナノ粉末を結着させる結合材との混合物を用いる。
数百ナノメートル台を下回る金属ナノ粒子は、その表面積の大きさから反応性に富み、焼結開始温度が100〜350℃と粒径に依存して温度は変化するがものの実際の金属の融点と比較すれば、大幅に低下する現象が生じる。
これにより、前記金属ナノ粉末と結合材素材との混合物中のナノ金属粉末粒子は、焼結し金属のバルク状に成長する。このとき、金属粉末は金属粉末同士がバルク成長し自身の形状を保持する強度を増すが、結合材は金属粒子で形成される空隙を埋めるように侵入し、金属バルクを支持しながら結合材同士でもバルク成長する。
このように互いに絡み合った状態で成長し、素材全体としては複合素材化することで構造的にさらに強化され、破壊強度が向上する。
この独立粒子の焼成バルク化に伴い、金属本来のインピーダンスに近づけることが可能であり、整合層の設計上、要求される所定の高インピーダンスを有する層を形成することが可能となる。
任意のインピーダンスを得る素材設計においては、結合材中の金属ナノ粒子の配合率を変化させることで制御することが可能であり、所望の音響インピーダンスが得られるように設計された素材を積層させることで、高インピーダンス層を部材として構成された高効率な傾斜整合層を得ることができる。
高インピーダンス素材構成として、具体的には銀、銅などのナノ金属粒子に、無機高分子系の結合材を用い、結合材自身も焼成や高温環境下での化学反応(加水分解、縮合重合、共重合など)によって結着させることが望ましい。結合材が無機系素材を含まない有機系高分子樹脂、例えばエポキシ、アクリル、ポリエステル樹脂などとしている場合があるが有機高分子結合材は、焼成の温度、150〜350℃により劣化や変性が生じ易く、それによってインピーダンスが安定しないといった現象が生じてしまう。ましてや、ミクロン以上となる金属粒子を通常の固有の融点で焼成させた場合には、混合している有機系の結合材では完全に分解され、結合材としての役目を果たせないだけでなく、配合することによるインピーダンスの制御はできない。
但し、耐熱性を有する有機系結合材であり、金属の焼成温度に支障が無ければ、この限りではない。
この結合材のインピーダンスは、配合される材料より、小さくても、大きくてもよく、結果として所望のインピーダンスを得られるようにコントロールできれば問題はない。
複数の層からなる整合層を形成させるためには、高インピーダンス層だけではなく、生体側に近い、低インピーダンスの層も必要である。これについては、無機系高分子結合材に、プラスチック製の粒子を混入させることで対応することができる。アクリル系、ポリエステル系、ポリプロピレン系、アミド−イミド系など、結合材のインピーダンスを上下にコントロールできるものであれば特に素材を選ばないが、それぞれに固有の物性を有しているので、目的のインピーダンスの設計において、工法、信頼性などを勘案した上で、優位となる選択をすればよい。
前記プラスチック製の粉末の粒径は、ナノ〜数ミクロン以下の素材が望ましい。なぜなら、設計上求められる整合層が数10ミクロン〜数10ミクロンの層厚であり、粒径が小さいほど微視的な構造ムラが低減するだけでなく、粒径が大き過ぎればナノ金属粒子と混合した場合に、強度を保持する構造材として機能しないからである。
このように、配合される素材は異なっても、結合材に関しては、全ての層に共通して、統一することが望ましい。これは、層間の相容性を高め、層間接合性を向上させる為である。異種材料同士は、物性上、または表面の状態などにより、互いの相容性が著しく低下し、それに伴って層間の接合力が欠如することがある。接合力の低下した整合層は、局所的な浮きや剥離などによって、インピーダンスが不安定となるだけでなく、製造工程において素材破壊を起こすことがある。
ただし、結合剤の量が設計上少なく、層間の相容性に欠ける場合もあるため、構成上のインピーダンスに変化を与えない程度の厚み(例えば、1〜数ミクロン厚)に制御したプライマー処理や、コロナ、プラズマ処理などにて表面状態を改質し、接合力を向上させても構わない。
材料のインピーダンスは、前記素材の配合率だけではなく、焼成温度条件や焼成時間条件によってもコントロールする事が可能である。すなわち、焼成時間を短く、低温であれば、ナノ金属粒子間のネッキングが少なくなり、音響インピーダンスなどの音響特性は低下する。一方、焼成時間が長く、高温であれば、ナノ金属粒子間の結合が強くなり、よりインピーダンスが高くなるなど、温度時間条件により、目標とする特性を制御してもよい。
また、銅粒子など酸化被膜が影響を及ぼし、焼成を妨げる場合がある。この場合には、表面を酸化防止剤で被覆したり、還元剤(水素ガス、一酸化炭素ガス、炭素など)を環境下に添加したり、溶液に配合するなどすることで、バルクの成長を促すことが出来るこれによっても、インピーダンスを制御する事ができる。
さらに、ナノ粉末〜ミクロンレベルの粉体同士を混合した材料を用いることにより積層材は印刷やスプレー塗工といった工法にて容易に均一化した層が得られる、また低温焼が成可能なことから、大がかりな炉が必要なく、材料費にかかるコストを低下させることができる。さらに層間において相容性の高い状態で作製すれば、接着工程などを省略することが可能であり、工法そのものを簡単化し、製造コストを削減することができる。
熱膨張係数については、層間で徐々に変化させることにより、従来に比べ、長期信頼性を向上させることができる。層全体に統一された結合剤を用いることが基本であるため、熱膨張係数の極端な変化は生じにくい。圧電素子側の層は金属材料に近い物性であるため、熱膨張係数が20前後、生体側は樹脂が配合されているが、シリカ系のセラミックスを主成分とする材料が焼成によってバルク化しているため、熱膨張係数は大きくはならず、10程度である。複数の整合層を介し最大10程度の熱膨張係数の変化は長期信頼性に影響を及ぼしにくい。従って、層の最大と最小の差が10程度の変化に抑えるのが望ましい。これらの変化は、配合剤の調整だけでなく、焼成温度、焼成時間で調整しても構わない。
本発明にかかる超音波探触子によれば、整合層を形成する各層の構成材料にナノ金属粒子を用い、前記ナノ金属粒子を結合材と共に低温焼成させることで、金属粉末が結合材内で単独で存在する素材構成に比べて高いインピーダンスの整合層を低い製造コストで得ることができる。さらに、熱膨張係数を徐々に生体側が小さくなるように制御することで、圧電振動子から発せられた超音波をより効率的に生体へ浸入させることが可能となるだけでなく、整合層の極端なインピーダンス変化や、層間の歪などに伴った反射波による信号の乱れ(ノイズ)を抑制させることができる。前記反射波としてのロスが抑制されるため、音圧出力感度、受信感度共に向上すると共に、長期信頼性の高い整合層が得られる。
これらの効果により、従来の画像に比較して、ノイズの少ない明瞭な超音波画像を得ることができる。逆に従来の画質を基準とすれば、出力レベルを落とすことができ、機器の省電力化に貢献することができる。
従来の超音波探触子の断面図である。 実施の形態1におけるナノ銀粒子を用いた整合層材料の音響特性を示すグラフである。 実施の形態1におけるナノ銅粒子を用いた整合層材料の音響特性を示すグラフである。 実施の形態1における有機系高分子樹脂粒子を用いた整合層材料の音響特性を示すグラフである。 本発明の実施の形態2における整合層の断面図である。 本発明の実施の形態2における整合層について、実装の有無を比較した探触子の音響特性のグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
フィラーとしてナノ銀粒子、ナノ銅粒子、有機系ポリマー粒子、主材として無機系の結合材をそれぞれ、所定量、混合し、減圧下でマグネチックスターラーを用いて撹拌し、脱泡および溶存ガスを排出した溶液を元に薄膜を形成し、所定の条件によって乾燥させ、材料を得た。ここで得られた素材を通過する時の音速から、音響インピーダンスを算出した。
図2、図3、図4は、本発明の実施の形態1における整合層材料の特性を表している。
図2により、ナノ銀粒子と無機系高分子結合材との配合によって、音響インピーダンス25〜8.5が得られるのがわかる。
また、図3により、ナノ銅粒子と無機系高分子結合材との配合によって、音響インピーダンス8.5〜4の材料が作製できるのがわかる。
さらに、図4により有機系高分子粒子と無系結合材との配合によって音響インピーダンス4〜2.5の材料が作製できるのがわかる。
本実施の形態1により、本発明で、生体のインピーダンス1.5MRaylsから圧電の一般的インピーダンス29MRaylsの間を埋めるインピーダンス設計値を任意に選択できることが確認された。
(実施の形態2)
図1に示すように、従来例の超音波探触子は、圧電振動子1、整合層2、音響レンズ3、およびバッキング層4を備えている。本実施の形態にかかる超音波探触子は、図1の整合層2の構造に特徴を有する。
図5は、本発明の実施の形態2における音響整合層の断面図である。
本実施の形態2における整合層は、総数8層で形成されており、図5の下部から第1ナノ銀層5、第2ナノ銀層6、第1ナノ銅層7、第2ナノ銅層8、第3ナノ銅層9、第1ナノ高分子粒子層10、第2ナノ高分子粒子層11、第3ナノ高分子粒子層12で構成されている。それぞれに、異なるインピーダンスを有し、第1ナノ銀層5から第3ナノ高分子粒子層12まで、インピーダンスを設計に応じて25〜2.5の範囲で変化させている。下部が圧電振動子1側、上部が音響レンズ3側である。
整合層のインピーダンス変化量を、表1に示す。これは、音響ホーンなどに採用されている指数関数に基づいて算出され、透過効率の向上を狙った設計となっている。ただし、ホーン関数の定数を変化させて最適化を図ったり、圧電素子のインピーダンスに即して設定値は変化するため表1は実施の形態2における一例である。
Figure 2013192113
次に材料の調製について説明する。
ナノ銀ペーストを所定のインピーダンスが得られるような割合で、無機結合材と混合する。減圧下でマグネチックスターラーを用いて撹拌し、脱泡及び、溶存ガスを溶液から排出した溶液をスプレーコーターにより所定のサイズ、厚みに塗工し、常温にて乾燥後、所定の温度にて焼成したものを第1ナノ銀層5とする。同様に第2ナノ銀層6を形成させる。
次にナノ銅粒子(粒子径:数百ナノ)を所定のインピーダンスが得られるような割合で無機結合材と混合する。減圧下でマグネチックスターラーを用いて撹拌し、脱泡及び、溶存ガスを排出した溶液をスプレーコーターにより前記第2層(第2ナノ銀層6)に重ねて所定の厚み分、塗工する。これを乾燥し所定の温度にて焼成させる。これを、配合を変え、3層分(第1ナノ銅層7〜第3ナノ銅層9)形成させる。
同様に、高分子樹脂粒子を配合した溶液を調製する。前記第5層(第3ナノ銅層9)に重ね、所定の厚みに塗工し、乾燥後、焼成させる。これを、配合を変えて3層分(第1ナノ高分子粒子層10〜第3ナノ高分子粒子層12)形成させて、設計通りの8層の傾斜整合層を得る。
このようにして得られる整合層を用いた超音波探触子は、図6に示すような特性を有する。図6において、第1グラフ13は、本実施の形態2における整合層を実装した超音波探触子の比帯域特性を示す。また、第2グラフ14は、本実施の形態2における整合層を実装しない超音波探触子の比帯域特性を示す。このように、本実施の形態2における整合層を実装した超音波探触子は、第1グラフ13に示す特性を持ち、整合層を実装しない超音波探触子(第2グラフ14)に比較して、比帯域が拡大されるのが確認された。
比帯域とは中心周波数における−6(dB)の帯域幅を中心周波数で除算したものである。
本発明にかかる金属ナノ粒子を結合材と共に低温焼結することで所定の音響インピーダンスを得られるように制御し、かつ熱膨張係数を層間で徐々に変化する設計とした構成材料は、整合層の高インピーダンス層を容易に形成しうる手段であり、整合層として要求される最適設計をより理想に近づけ、音響インピーダンスを高効率に整合を図り、かつ長期信頼性に長けた構成部材を具現化するために有用である。
これにより、整合層内に生じる音響ロスやノイズなどを低減し、送受信感度を高めることが可能である。すなわち、画像の解像度を改善することで、高精度な診断につながり、一方で、出力感度を押さえることができるため、省電力化を図ることが可能である。この効果は、バッテリーの長寿命化により超音波診断装置のモバイル化に波及する技術となる。
また、整合層は、超音波を外部に発信するデバイス全般に広く使用されている構成部材であり、その効率化は、超音波診断装置のみならず、非破壊検査やソナーなど多くの分野に応用が可能である。
1 圧電振動子
2 整合層
3 音響レンズ
4 バッキング層
5 第1ナノ銀層
6 第2ナノ銀層
7 第1ナノ銅層
8 第2ナノ銅層
9 第3ナノ銅層
10 第1ナノ高分子粒子層
11 第2ナノ高分子粒子層
12 第3ナノ高分子粒子層
13 第1グラフ
14 第2グラフ

Claims (14)

  1. 材料に1ミクロン以下の金属ナノ粒子を用いて低温焼成することで層の一部または全部を金属バルク化したことを特徴とする複数の層から形成される音響整合層を備え、
    前記複数の層の物理特性の一つである熱膨張係数は、発信素子側から生体側に向けて徐々に傾斜変化していることを特徴とする
    超音波探触子。
  2. 熱膨張係数の変化の範囲が10〜20以内であり、発振素子側から、生体側にかけて小さく傾斜変化することを特徴とする
    請求項1に記載の超音波探触子。
  3. 金属ナノ粒子を結合材に配合した複合素材において、前記複合素材における金属ナノ粒子の配合割合により、焼結してバルク化する量を調整することで、音速、密度、または音響インピーダンスを含む物理特性を任意に制御したことを特徴とする
    請求項1または2に記載の超音波探触子。
  4. 金属ナノ粒子を焼結してバルク化させる量を焼結温度または焼結時間により制御したことを特徴とする
    請求項3に記載の超音波探触子。
  5. 結合材にシロキサンまたはシランカップリング剤を含むシリカ化合物を用いた
    請求項3に記載の超音波探触子。
  6. 結合材に有機系高分子樹脂を用いた
    請求項3に記載の超音波探触子。
  7. 請求項5または6に記載の結合材、または結合材と金属ナノ粒子との混合物に、ナノ金属表面の酸化被膜に作用する還元剤を添加したことを特徴とする
    請求項3に記載の超音波探触子の製造方法。
  8. 請求項5または6に記載の結合材を含む複合素材を焼成する炉内雰囲気にナノ金属表面の酸化皮膜に作用する還元性ガスを添加したことを特徴とする
    請求項3に記載の超音波探触子の製造方法。
  9. 金属ナノ粒子に銅ナノ粒子を用いた
    請求項1または2に記載の超音波探触子。
  10. 金属ナノ粒子に銀ナノ粒子を用いた
    請求項1または2に記載の超音波探触子。
  11. 音響インピーダンスなどの物理特性を変化させた複数の薄膜を積層し、前記複数の薄層のそれぞれはナノ金属の焼成によって得られる特性の傾斜した整合層を部材として用いた
    請求項1または2に記載の超音波探触子。
  12. 音響インピーダンスなどの物理特性を変化させた複数の薄膜を積層し、前記複数の薄層のそれぞれは金属ナノ粒子の焼成によって得られる特性の傾斜した整合層を部材として用い、各々の整合層全てにおいて結合材を共通化したことを特徴とする
    請求項3に記載の超音波探触子。
  13. 金属ナノ粒子と結合材との複合素材と、前記複合素材に樹脂などで形成される低インピーダンスの粉体を添加して、音速や密度、音響インピーダンスなどの物理特性を変化させたことを特徴とする
    請求項3に記載の超音波探触子。
  14. 焼結時に所定のインピーダンスを有するように設計されたそれぞれのスラリーを印刷、乾燥、積層、焼結という一連のプロセスにより製造を簡素化させたことを特徴とする
    請求項12または13に記載の超音波探触子の製造方法。
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