JP2013191117A - Icチップ、atr応答処理プログラム、及びatr応答方法 - Google Patents

Icチップ、atr応答処理プログラム、及びatr応答方法 Download PDF

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Abstract

【課題】旧方式と新方式とが混在するシステムであっても、旧端末と新端末との双方ともに効率の良い通信を行うと共に、将来的にATRの内容が変更された場合にも迅速かつ効率良く対応可能とし、更に、端末に応じたATRの応答時間を短縮する。
【解決手段】複数のアプリケーションプログラムを搭載し、端末からのコマンド信号に応じて何れか一方のアプリケーションプログラムを選択実行するICチップは、コールドATR情報と、ウォームATR情報と、を予め記憶するATR記憶領域を備え、前記端末からコールドリセット信号を受信した場合に、コールドATR情報を前記端末に送信し、前記端末から代替ATR情報と共にコマンド信号を受信した場合に、受信された前記代替ATR情報を、代替ATR記憶領域に記憶し、前記端末からウォームリセット信号を受信した場合に、前記代替ATR情報が記憶されているときには、当該代替ATR情報を前記端末に送信する。
【選択図】図3

Description

本発明は、複数のアプリケーションプログラム(以下、単に、「アプリケーション」という)を搭載したICカードの技術分野に関する。
従来から、金融、通信、交通等の様々な分野でICカードが普及している。ICカード(マイクロコンピュータを搭載したICチップ)は、例えばETC(登録商標(Electronic Toll Collection))車載器(以下、「車載器」という)等の端末(リーダライタを備える)との間で通信を行う。ICカードと端末間の通信プロトコルは、国際規格であるISO/IEC7816−3に準拠している。ISO/IEC7816−3には、端末からのリセット信号(以下、単に、「リセット」という)に対して、ICカードが初期応答情報としてATR(Answer To Reset)を端末へ送信することが定義されている。ATRは、主に、通信プロトコルに関するICカードの性能(例えば、通信速度設定用のパラメータ等)を表しており、例えばICカードの対向機器である端末がATRに記述されたICカードの性能に合わせて通信プロトコルを変更する際に使用される。このようなATRには、コールドATRとウォームATRの2種類が存在する。コールドリセットに対する応答がコールドATRであり、ウォームリセットに対する応答がウォームATRである。コールドリセットとは、ICカードを活性化した直後(言い換えれば、電源電圧及びクロックの投入動作の直後)に実行されるリセットである。一方、ウォームリセットとは、電源電圧及びクロックが安定状態(言い換えれば、電源電圧及びクロックが投入されたままの状態)にあるときに実行されるリセットであり、再活性化ともいわれる。また、一般に、コールドATRには、難易度が高い(例えば、通信速度が速い)通信速度設定用のパラメータが記述されている一方、ウォームATRには、コールドATRよりも難易度が低い(例えば、通信速度が遅い)最低限の通信速度設定用のパラメータが記述される。そして、例えば、ICカードからコールドATRを受信した端末は、当該コールドATRに記述された通信速度設定用のパラメータで通信可能であれば、このパラメータを設定してICカードとの間で通信を行う。一方、ICカードからコールドATRを受信した端末は、当該コールドATRに記述された通信速度設定用のパラメータで通信困難であれば、ウォームリセットをICカードへ送信し当該ICカードにウォームATRを送信させることで、当該ウォームATRに記述された通信速度設定用のパラメータを設定して通信を行うようになっている。
ところで、近年、例えばETCシステムにおいて、車載器とICカードとの間の相互認証に用いられる暗号方式を強化するため、新暗号方式が検討されている。この新暗号方式では、暗号化鍵データのデータ量が従来の旧暗号方式に比べて大きくなっている(例えば、1024ビットから2048ビットに増加)。そのため、車載器とICカードとの間の従来の通信速度で暗号化鍵データを送信した場合、通信時間が従来に比べて長くなってしまい問題となる(従来の通信時間と同程度の通信時間にする要望がある)。そこで、新暗号方式を採用する新車載器及び新ICカードでは、通信速度を従来より上げるように構成すればよい。しかしながら、新車載器及び新ICカードが一般ユーザに提供されるようになった場合であっても、その後に、旧暗号方式を採用する旧車載器は継続して使用されることを考慮する必要がある。そのため、新ICカードでは、旧車載器との相互認証には旧暗号方式を用いる一方、新車載器との相互認証には新暗号方式を用いるように、複数のアプリケーション(旧暗号方式を用いた認証処理を規定するアプリケーションと、新暗号方式を用いた認証処理を規定するアプリケーション)を搭載し切換え可能に構成することが必要である。この場合、例えばコールドATRには新暗号方式で採用される通信速度設定用のパラメータを記述する一方、ウォームATRには旧暗号方式で採用される通信速度設定用のパラメータを記述するように構成することが考えられる。この構成によれば、新ICカードからコールドATRを受信した旧車載器は、ウォームリセットを新ICカードへ送信し当該ICカードにウォームATRを送信させることで、旧暗号方式で採用される通信速度設定用のパラメータを設定して新ICカードとの間で通信を行うことが可能となる。
特許文献1には、複数のアプリケーションを搭載したICカードにおいて、アプリケーションの切換えを効率良く実施し、再活性化時のアプリケーションに対応したATRを出力することができる技術が開示されている。
特許第3620834号
しかしながら、上述した旧車載器の中には、新暗号方式で採用される通信速度設定用のパラメータを記述するコールドATRを受信した場合に、停止してしまう旧車載器が存在する。これは、このような旧車載器が、特定のATRのみをサポート対象とし、それ以外のATRを持つICカードを異常カードとして扱うためである。このことは、ETCシステムばかりでなく、ATRが限定された特定用途向けに作られたシステムにおいても当てはまる。
一方、ATRの応答が完了するまでには、ICカードのマイクロプロセッサの正常動作を確認するための動作チェックが実施される。しかし、ATRの応答完了が速ければ速いほどシステムが次の動作へ移行するタイミングが早まるため、ATRの応答完了までの制御をいかに効率よく実施するかが、対人ストレスの低いシステムを稼働させるための鍵となってくる。ところが、特許文献1の技術では、ICカードが外部装置からファイル選択コマンドを受信すると、指示されたファイルを選択し、選択したファイルが格納されているアプリケーションファイルの識別情報をバッファ記憶し、その後に、外部装置からリセットを受信すると、バッファに記憶される識別情報を参照して、当該識別情報に対応するアプリケーションファイルに対応したATRを応答するようになっている。そのため、特許文献1の技術では、リセット受信時に、識別情報の判断、該当するATRデータの探索、ATRデータ完全性検証(自己診断)、及びATRデータのコピー、といった一連の処理を経てからATRを応答するものと考えられる。しかしながら、リセット受信時にこのような処理が含まれると応答時間が遅くなるだけでなく、必要なマイクロプロセッサの動作チェック量を削減しなければならない可能性もある。
更に、特許文献1の技術のように、ICカード内にアプリケーションファイルに対応したATRを予め記録しておく方法では、その後にATRの内容が変更された場合(例えば、さらに新たなシステムにおいて新たなATRが適用される場合)、従来のICカード内データの変更或いは新たなICカードへの交換等が必要となり、新たなシステムに迅速かつ効率良く対応することが困難となる。
そこで、本発明は、上記点等に鑑みてなされたものであり、旧方式と新方式とが混在するシステムであっても、旧端末と新端末との双方ともに効率の良い通信を行うと共に、将来的にATRの内容が変更された場合にも迅速かつ効率良く対応可能となり、更に、端末に応じたATRの応答時間を短縮することが可能なICチップ、ATR応答処理プログラム、及びATR応答方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数のアプリケーションプログラムを搭載し、端末からのコマンド信号に応じて何れか一方の前記アプリケーションプログラムを選択実行するICチップにおいて、コールドATR情報と、ウォームATR情報と、を予め記憶するATR記憶領域であって、不揮発性メモリに設けられた前記ATR記憶領域と、前記端末からコールドリセット信号を受信した場合に、前記ATR記憶領域に記憶されたコールドATR情報を前記端末に送信するコールドATR応答手段と、前記端末から前記ウォームATR情報を代替する代替ATR情報と共にコマンド信号を受信した場合に、当該受信された前記代替ATR情報を、前記不揮発性メモリ又は揮発性メモリに設けられた代替ATR記憶領域に記憶する記憶手段と、前記端末からウォームリセット信号を受信した場合に、前記代替ATR情報が前記代替ATR記憶領域に記憶されているときには、当該代替ATR情報を前記端末に送信する一方、前記代替ATR情報が前記代替ATR記憶領域に記憶されていないときには、前記ATR記憶領域に記憶されたウォームATR情報を前記端末に送信するウォームATR応答手段と、を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のICチップにおいて、前記コールドATR情報、前記ウォームATR情報、及び前記代替ATR情報には、夫々、少なくとも通信速度設定用のパラメータが含まれており、前記代替ATR情報に含まれる前記パラメータで規定される通信速度は、前記コールドATR情報及び前記ウォームATR情報に含まれる前記パラメータで規定される通信速度よりも速いことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、複数のアプリケーションプログラムを搭載し、端末からのコマンド信号に応じて何れか一方の前記アプリケーションプログラムを選択実行するICチップであって、コールドATR情報と、ウォームATR情報と、を予め記憶するATR記憶領域であって、不揮発性メモリに設けられた前記ATR記憶領域を備えるICチップに含まれるコンピュータを、前記端末からコールドリセット信号を受信した場合に、前記ATR記憶領域に記憶されたコールドATR情報を前記端末に送信するステップと、前記端末から前記ウォームATR情報を代替する代替ATR情報と共にコマンド信号を受信した場合に、当該受信された前記代替ATR情報を、前記不揮発性メモリ又は揮発性メモリに設けられた代替ATR記憶領域に記憶するステップと、前記端末からウォームリセット信号を受信した場合に、前記代替ATR情報が前記代替ATR記憶領域に記憶されているときには、当該代替ATR情報を前記端末に送信する一方、前記代替ATR情報が前記代替ATR記憶領域に記憶されていないときには、前記ATR記憶領域に記憶されたウォームATR情報を前記端末に送信するステップと、を実行させることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、端末と、複数のアプリケーションプログラムを搭載し前記端末からのコマンド信号に応じて何れか一方の前記アプリケーションプログラムを選択実行するICチップと、を用いたATR応答方法であって、前記ICチップは、コールドATR情報と、ウォームATR情報と、を予め記憶するATR記憶領域であって、不揮発性メモリに設けられた前記ATR記憶領域を備え、前記ATR応答方法は、前記端末が、コールドリセット信号を前記ICチップに送信するステップと、前記ICチップが、前記端末から前記コールドリセット信号を受信した場合に、前記ATR記憶領域に記憶されたコールドATR情報を前記端末に送信するステップと、前記端末が、前記ICチップから前記コールドATR情報を受信した場合に、前記ウォームATR情報を代替する代替ATR情報と共にコマンド信号を前記ICチップに送信するステップと、前記ICチップが、前記端末から前記ウォームATR情報を代替する代替ATR情報と共にコマンド信号を受信した場合に、当該受信された前記代替ATR情報を、前記不揮発性メモリ又は揮発性メモリに設けられた代替ATR記憶領域に記憶し、当該コマンド信号に対するレスポンスを送信するステップと、前記端末が、前記ICチップから前記レスポンスを受信した場合に、ウォームリセット信号を前記ICチップに送信するステップと、前記ICチップが、前記端末から前記ウォームリセット信号を受信した場合に、前記代替ATR情報が前記代替ATR記憶領域に記憶されているときには、当該代替ATR情報を前記端末に送信するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、旧方式と新方式とが混在するシステムであっても、旧端末と新端末との双方ともに効率の良い通信を行うと共に、将来的にATRの内容が変更された場合にも迅速かつ効率良く対応可能となり、更に、端末に応じたATRの応答時間を短縮することができる。
ICカードに搭載されるICチップの概要構成例を示すブロック図である。 (A)は、代替ATRを要求する端末2における処理を示すフローチャートであり、(B)は、代替ATRを要求しない端末2における処理を示すフローチャートである。 (A)は、ICチップ1におけるリセット受信処理を示すフローチャートであり、(B)は、ICチップ1におけるコマンド受信処理を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、端末との間で接触または非接触で通信を行うICカードに対して本発明を適用した場合の実施の形態である。なお、端末とICカードとを備えて通信システムが構成される。
先ず、図1を参照して、ICカードに搭載されるICチップの構成及び機能等について説明する。図1は、ICカードに搭載されるICチップの概要構成例を示すブロック図である。
ICチップ1は、複数のアプリケーションを搭載し、端末2からのコマンド信号(以下、(以下、単に、「コマンド」という)に応じて何れか一方のアプリケーションを選択実行するものである。端末2の例としてはETC車載器が挙げられる。また、端末2は、ICチップ1との間で接触または非接触で通信を行うためのリーダーライタを備える。なお、接触式通信の場合、端末にはICカードを挿入するための挿入部が設けられている。
ICチップ1は、図1に示すように、I/Oインターフェイス11、ROM(Read Only Memory)12、EEPROM(Electrical Erasable Programmable Read Only Memory)13、RAM(Random Access Memory)14、及びCPU(Central Processing Unit)15(マイクロコンピュータ)等を備えて構成されている。なお、ROM12及びEEPROM13は、本発明における不揮発性メモリの一例である。また、RAM14は、揮発性メモリの一例である。
I/Oインターフェイス11は、端末2との間でリーダーライタを介して各種信号(リセット、コマンド、クロック等)の入出力を接触または非接触で行う。
ROM12又はEEPROM13には、オペレーティングシステム、及び本発明のATR応答処理プログラムが予め記憶されている。更に、ROM12又はEEPROM13には、複数のアプリケーション、各アプリケーションを管理するための管理情報、及び複数のATR(ATR情報)等が予め記憶されている。なお、ATRを記憶する記憶領域をATR記憶領域という。
ここで、複数のアプリケーションとしては、例えば、旧暗号方式を用いた認証(車載器との間の相互認証)処理を規定するアプリケーションと、新暗号方式を用いた認証処理を規定するアプリケーションとが挙げられる。
また、複数のATRとしては、コールドATRと、ウォームATRとが挙げられる。コールドATRは、コールドリセット(つまり、活性化及び初期化のために非活性状態のICチップ1が端末2から供給される電源(Vcc)その他のリセット)に対して送信する初期応答情報である。また、コールドATRには、例えば、プロトコル形式がT=0(調歩式半二重キャラクタ式通信プロトコル)、通信速度が38.4kbps等の通信速度設定用のパラメータ等が含まれている。コールドATRは、後述する代替ATRを要求しない従来の端末2(例えば、旧暗号方式を採用する旧車載器)のうちの一部の端末2に適用される。
ウォームATRは、ウォームリセット(つまり、クロック(CLK)及び電源が供給され、ICチップ1が活性化されている状態において受信するリセット)に対する初期応答情報である。ウォームATRには、例えば、プロトコル形式T=1(調歩式半二重ブロック式通信プロトコル)、通信速度が9600bps等の通信速度設定用のパラメータ等が含まれている。ウォームATRは、後述する代替ATRを要求しない従来の端末2のうちの一部の端末2に適用される。
上記コールドATRとウォームATRの他に、ICチップ1内に予め記憶されないATRとして、ウォームATRを代替する代替ATRが存在する。この代替ATRは、端末2において用意され、端末2から代替ATR設定コマンドと共にICチップ1に送信されるものである。代替ATRは、ウォームATRと同様、ウォームリセットに対する初期応答情報である。ただし、代替ATRに含まれる通信速度設定用のパラメータは、ウォームATRに含まれる通信速度設定用のパラメータとは、その全部又は一部が異なる。代替ATRは、代替ATRを要求する端末2(例えば、新暗号方式を採用する新車載器)に適用されるものであり、代替ATRに含まれる通信速度設定用のパラメータで示される通信速度は、新暗号方式を採用するため、従来よりも速く(コールドATR及びウォームATRに含まれる通信速度設定用のパラメータで規定される通信速度より速い)規定されている。
EEPROM13又はRAM14には、端末2から受信された代替ATRを記憶(コピー)するための代替ATR記憶領域が設けられている。
そして、CPU15は、本発明のATR応答処理プログラムを実行することにより、本発明におけるコールドATR応答手段、記憶手段、及びウォームATR応答手段として機能し、後述する処理を行うようになっている。
次に、図2及び図3を参照して、ICチップ1と端末2における処理について説明する。図2(A)は、代替ATRを要求する端末2における処理を示すフローチャートであり、図2(B)は、代替ATRを要求しない端末2における処理を示すフローチャートである。図3(A)は、ICチップ1のCPU15におけるリセット受信処理を示すフローチャートであり、図3(B)は、ICチップ1のCPU15におけるコマンド受信処理を示すフローチャートである。
なお、図2(A),(B)に示す処理は、ICチップ1が活性化された直後に開始される。
代替ATRを要求する端末2(例えば、新暗号方式を採用する新車載器)において、図2(A)に示す処理が開始されると、端末2は、コールドリセットをICチップ1へ送信する(ステップS1)。
一方、図3(A)に示すリセット受信処理は、端末2から送信されたリセットがI/Oインターフェイス11を介して受信された場合に開始される。図3(A)に示すステップS21では、ICチップ1のCPU15は、受信したリセットがウォームリセットであるか否かを判定する。そして、受信されたリセットがウォームリセットでない場合(ステップS21:NO)、ステップS22に進み、ウォームリセットである場合(ステップS21:YES)、ステップS23に進む。上記ステップS1では、コールドリセットがICチップ1へ送信されたので、ステップS22に進むことになる。そして、ステップS22では、ICチップ1のCPU15は、ATR記憶領域からコールドATRを読み出し、当該コールドATRをI/Oインターフェイス11を介して端末2へ送信する。すなわち、ICチップ1のCPU15は、端末2からコールドリセットを受信した場合に、ATR記憶領域に記憶されたコールドATRを端末2に送信(応答)する。
一方、図2(A)に示すステップS2において、端末2は、ICチップ1から送信されたコールドATRを受信すると、代替ATR設定コマンドと共に代替ATR(例えば、代替ATRを代替ATR設定コマンドに付加)をICチップ1へ送信する(ステップS3)。代替ATR設定コマンドは、端末2が送信した代替ATRを設定させるためのコマンドである。
一方、図3(B)に示すコマンド受信処理は、端末2から送信されたコマンドがI/Oインターフェイス11を介して受信された場合に開始される。図3(B)に示すステップS31では、ICチップ1のCPU15は、受信したコマンドが代替ATR設定コマンドであるか否かを判定する。そして、受信されたコマンドが代替ATR設定コマンドでない場合(ステップS31:NO)、受信待ち状態へ移行し、代替ATR設定コマンドである場合(ステップS31:YES)、ステップS32に進む。上記ステップS3では、代替ATR設定コマンドがICチップ1へ送信されたので、ステップS32に進むことになる。そして、ステップS32では、ICチップ1のCPU15は、代替ATR設定コマンドと共に受信した代替ATRを、代替ATR記憶領域に記憶する(つまり、コピーする)。なお、代替ATR記憶領域がRAM14に設けられている場合、端末2からの電源供給断により代替ATR記憶領域に記憶された代替ATRは自動的に消去される。一方、代替ATR記憶領域がEEPROM13に設けられている場合、例えば、代替ATRが端末2へ応答されたとき、または端末2から次のコードドリセットが受信されたときに、ICチップ1のCPU15は、代替ATR記憶領域から代替ATRを消去する。
次いで、ステップS33では、ICチップ1のCPU15は、代替ATRの記憶が完了したことを示すレスポンス(代替ATR設定コマンドに対するレスポンス)を端末2に送信する(正常完了通知を応答)。
一方、図2(A)に示すステップS4において、端末2は、ICチップ1から送信されたレスポンス(代替ATR設定コマンドに対するレスポンス)を受信すると、代替ATRのコピー成功を認識し、ステップS5へ進む。なお、図示しないが、代替ATR設定コマンドに対するレスポンスが受信されない場合(例えば、旧暗号方式を用いた認証処理を規定するアプリケーションだけを搭載した従来のICカードの場合)、上記ステップS2で受信されたコールドATRで示される通信速度設定用のパラメータ等の設定要求を示すPPS(Protocol and Parameters Selection)がICカードへ送信されることになる。
そして、ステップS5では、端末2は、ウォームリセットをICチップ1へ送信する。
一方、ICチップ1のCPU15は、端末2から送信されたウォームリセットを受信すると、上記ステップS21の処理によりステップS23に進む。そして、ステップS23では、ICチップ1のCPU15は、ATR(つまり、代替ATR)が代替ATR記憶領域に記憶されているか否かを判定する。そして、代替ATRが代替ATR記憶領域に記憶されている場合(ステップS23:YES)、ステップS24に進み、代替ATRが代替ATR記憶領域に記憶されていない場合(ステップS23:NO)、ステップS25に進む。ステップS24では、ICチップ1のCPU15は、代替ATR記憶領域に記憶されている代替ATRをI/Oインターフェイス11を介して端末2へ送信する。すなわち、ICチップ1のCPU15は、端末2からウォームリセットを受信した場合に、代替ATRが代替ATR記憶領域に記憶されているときには、当該代替ATRを端末2に送信する。
一方、図2(A)に示すステップS6において、端末2は、ICチップ1から送信された代替ATRを受信すると、当該代替ATRで示される通信速度設定用のパラメータ等の設定要求を示すPPSをICチップ1へ送信する(ステップS7)。そして、端末2は、アプリケーション選択コマンドをICチップ1へ送信する(ステップS8)。アプリケーション選択コマンドは、アプリケーションを選択するためのコマンドである。なお、アプリケーション選択コマンドには、選択すべきアプリケーション(例えば、新暗号方式を用いた認証処理を規定するアプリケーション)を示す識別子が含まれる。そして、ICチップ1のCPU15は、端末2から送信されたアプリケーション選択コマンドを受信すると、アプリケーション選択コマンドで示される例えば新暗号方式を用いた認証処理を規定するアプリケーションを選択する処理を実行し、当該アプリケーションを選択したことを示すレスポンスを端末2に送信する(図示せず)。なお、デフォルト設定では、例えば旧暗号方式を用いた認証処理を規定するアプリケーションが選択されており、アプリケーション選択コマンドの実行により、新暗号方式を用いた認証処理を規定するアプリケーションへの選択に変更される。そして、端末2は、ICチップ1から送信された、当該アプリケーションを選択したことを示すレスポンスを受信する(ステップS9)。
一方、代替ATRを要求しない端末2(例えば、旧暗号方式を採用する旧車載器)において、図2(B)に示す処理が開始されると、端末2は、コールドリセットをICチップ1へ送信する(ステップS11)。そして、端末2は、ICチップ1から送信(上記ステップS22の処理で送信)されたコールドATRを受信する(ステップS12)。ここで、コールドATRで示される通信速度設定用のパラメータで通信可能な端末2の場合、当該端末2は、ウォームリセットをICチップ1へ送信することなく、コールドATRで示される通信速度設定用のパラメータ等の設定要求を示すPPSをICチップ1へ送信することになる。
一方、コールドATRで示される通信速度設定用のパラメータで通信不能な端末2の場合、ウォームリセットをICチップ1へ送信する(ステップS13)。そして、ICチップ1のCPU15は、端末2から送信されたウォームリセットを受信すると、上記ステップS21の処理によりステップS23に進む。このとき、代替ATR記憶領域に代替ATRが記憶されていないので(ステップS23:NO)、ICチップ1のCPU15は、ステップS25で、ATR記憶領域からウォームATRを読み出し、当該ウォームATRをI/Oインターフェイス11を介して端末2へ送信する。すなわち、ICチップ1のCPU15は、端末2からウォームリセットを受信した場合に、代替ATRが代替ATR記憶領域に記憶されていないときには、ATR記憶領域に記憶されたウォームATRを端末2に送信(応答)する。一方、端末2は、ICチップ1から送信されたウォームATRを受信すると(ステップS14)、当該ウォームATRで示される通信速度設定用のパラメータ等の設定要求を示すPPSをICチップ1へ送信する。
以上説明したように、上記実施形態によれば、ICチップ1は、端末2からコールドリセットを受信した場合に、ATR記憶領域に記憶された従来と同様のコールドATRを端末2に送信し、端末2から代替ATR設定コマンドと共に代替ATRを受信した場合に、受信された代替ATRを代替ATR記憶領域に記憶するように構成し、なおかつ、端末2からウォームリセットを受信した場合に、代替ATRが代替ATR記憶領域に記憶されているときには、当該代替ATRを端末2に送信する一方、代替ATRが代替ATR記憶領域に記憶されていないときには、ATR記憶領域に記憶されたウォームATRを端末2に送信するように構成したので、旧方式と新方式とが混在するシステムであっても、旧端末と新端末との双方ともに効率の良い通信を行うと共に、将来的にATRの内容が変更された場合にも迅速かつ効率良く対応することができる。更に、端末2から代替ATR設定コマンドと共に受信された代替ATRを代替ATR記憶領域に記憶しておき、端末2からウォームリセットを受信したとき、代替ATRの探索や自己診断等の処理を行うことなく、当該代替ATRをただちに端末2へ送信するように構成したので、代替ATRの応答時間を短縮することができる。
上記実施形態において、端末2の例として、ETC車載器以外にも、ATM等に対して適用することも可能である。
1 ICチップ
2 端末
11 I/Oインターフェイス
12 ROM
13 EEPROM
14 RAM
15 CPU

Claims (4)

  1. 複数のアプリケーションプログラムを搭載し、端末からのコマンド信号に応じて何れか一方の前記アプリケーションプログラムを選択実行するICチップにおいて、
    コールドATR情報と、ウォームATR情報と、を予め記憶するATR記憶領域であって、不揮発性メモリに設けられた前記ATR記憶領域と、
    前記端末からコールドリセット信号を受信した場合に、前記ATR記憶領域に記憶されたコールドATR情報を前記端末に送信するコールドATR応答手段と、
    前記端末から前記ウォームATR情報を代替する代替ATR情報と共にコマンド信号を受信した場合に、当該受信された前記代替ATR情報を、前記不揮発性メモリ又は揮発性メモリに設けられた代替ATR記憶領域に記憶する記憶手段と、
    前記端末からウォームリセット信号を受信した場合に、前記代替ATR情報が前記代替ATR記憶領域に記憶されているときには、当該代替ATR情報を前記端末に送信する一方、前記代替ATR情報が前記代替ATR記憶領域に記憶されていないときには、前記ATR記憶領域に記憶されたウォームATR情報を前記端末に送信するウォームATR応答手段と、
    を備えることを特徴とするICチップ。
  2. 請求項1に記載のICチップにおいて、
    前記コールドATR情報、前記ウォームATR情報、及び前記代替ATR情報には、夫々、少なくとも通信速度設定用のパラメータが含まれており、
    前記代替ATR情報に含まれる前記パラメータで規定される通信速度は、前記コールドATR情報及び前記ウォームATR情報に含まれる前記パラメータで規定される通信速度よりも速いことを特徴とするICチップ。
  3. 複数のアプリケーションプログラムを搭載し、端末からのコマンド信号に応じて何れか一方の前記アプリケーションプログラムを選択実行するICチップであって、
    コールドATR情報と、ウォームATR情報と、を予め記憶するATR記憶領域であって、不揮発性メモリに設けられた前記ATR記憶領域を備えるICチップに含まれるコンピュータを、
    前記端末からコールドリセット信号を受信した場合に、前記ATR記憶領域に記憶されたコールドATR情報を前記端末に送信するステップと、
    前記端末から前記ウォームATR情報を代替する代替ATR情報と共にコマンド信号を受信した場合に、当該受信された前記代替ATR情報を、前記不揮発性メモリ又は揮発性メモリに設けられた代替ATR記憶領域に記憶するステップと、
    前記端末からウォームリセット信号を受信した場合に、前記代替ATR情報が前記代替ATR記憶領域に記憶されているときには、当該代替ATR情報を前記端末に送信する一方、前記代替ATR情報が前記代替ATR記憶領域に記憶されていないときには、前記ATR記憶領域に記憶されたウォームATR情報を前記端末に送信するステップと、
    を実行させることを特徴とするATR応答処理プログラム。
  4. 端末と、複数のアプリケーションプログラムを搭載し前記端末からのコマンド信号に応じて何れか一方の前記アプリケーションプログラムを選択実行するICチップと、を用いたATR応答方法であって、
    前記ICチップは、コールドATR情報と、ウォームATR情報と、を予め記憶するATR記憶領域であって、不揮発性メモリに設けられた前記ATR記憶領域を備え、
    前記ATR応答方法は、
    前記端末が、コールドリセット信号を前記ICチップに送信するステップと、
    前記ICチップが、前記端末から前記コールドリセット信号を受信した場合に、前記ATR記憶領域に記憶されたコールドATR情報を前記端末に送信するステップと、
    前記端末が、前記ICチップから前記コールドATR情報を受信した場合に、前記ウォームATR情報を代替する代替ATR情報と共にコマンド信号を前記ICチップに送信するステップと、
    前記ICチップが、前記端末から前記ウォームATR情報を代替する代替ATR情報と共にコマンド信号を受信した場合に、当該受信された前記代替ATR情報を、前記不揮発性メモリ又は揮発性メモリに設けられた代替ATR記憶領域に記憶し、当該コマンド信号に対するレスポンスを送信するステップと、
    前記端末が、前記ICチップから前記レスポンスを受信した場合に、ウォームリセット信号を前記ICチップに送信するステップと、
    前記ICチップが、前記端末から前記ウォームリセット信号を受信した場合に、前記代替ATR情報が前記代替ATR記憶領域に記憶されているときには、当該代替ATR情報を前記端末に送信するステップと、
    を含むことを特徴とするATR応答方法。
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