JP2013188493A - 不織布シートの製造方法及び不織布シートの製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸収体3の表面側に設けられた不織布シート11の前記吸収体3への液体の移行性に優れた吸収性物品1等を提供する。
【解決手段】液体を吸収する吸収体3の表面側に不織布シート11が設けられた吸収性物品1である。前記不織布シート11の表面11sから厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる表面側平均値Asよりも、前記不織布シート11の裏面11bから厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる裏面側平均値Abの方が小さい。前記表面側平均値Asが902(μm2/ヶ)以上であり、且つ、前記裏面側平均値Abが392(μm2/ヶ)以上である。
【選択図】図7
【解決手段】液体を吸収する吸収体3の表面側に不織布シート11が設けられた吸収性物品1である。前記不織布シート11の表面11sから厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる表面側平均値Asよりも、前記不織布シート11の裏面11bから厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる裏面側平均値Abの方が小さい。前記表面側平均値Asが902(μm2/ヶ)以上であり、且つ、前記裏面側平均値Abが392(μm2/ヶ)以上である。
【選択図】図7
Description
本発明は、吸収性物品及び不織布シートに関する。
経血などの人体から排泄される液体を吸収する吸収性物品として、例えば生理用ナプキンが知られている。この吸収性物品は、粉砕パルプ等からなる吸収体を有しており、この吸収体の表面側(人の肌と触れる側、肌側)は、液透過性の不織布シートで覆われている(特許文献1を参照)。
この不織布シートは、人体から排泄された液体を受け止めるとともに、受け止めた液体を速やかに吸収体へ移行させるための中間媒体である。そして、望ましくは、所謂ドロ経血の如き高粘度の経血に対しても、表面での液残りが少なく(液捌け性が良く)、且つ不織布シートの内部での液体の滞留が少ない(加圧した際に表面へ逆戻りし難い)と良く、つまり、不織布シートの表面で受けた液体を、表面、内部、及び、裏面のいかなる位置でも極力留まらせることなく、速やかに厚さ方向に通過させて裏面から出してしまうような透過性能に優れたものが望ましい。
しかしながら、不織布シートによっては、表面からの液捌け性が悪かったり、表面から一旦不織布シートの内部に入った液体が不織布シートの裏面から吸収体へと出て行き難かったりしてしまい、その結果、不織布シートの表面の液残りや内部から表面へと逆戻りした液体によって表面が濡れた状態となり、肌に触れた際、使用者に不快感を与えてしまう虞があった。
そして、このような厚さ方向の液体の透過性能につき、本願出願人が鋭意検討した結果、不織布シートの繊維間隙間の大きさによって上記性能が左右されることが判明した。
そして、このような厚さ方向の液体の透過性能につき、本願出願人が鋭意検討した結果、不織布シートの繊維間隙間の大きさによって上記性能が左右されることが判明した。
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、吸収体の表面側に設けられた不織布シートの前記吸収体への液体の移行性に優れた吸収性物品及び不織布シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための主たる発明は、
液体を吸収する吸収体の表面側に不織布シートが設けられた吸収性物品であって、
前記不織布シートの表面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる表面側平均値よりも、前記不織布シートの裏面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる裏面側平均値の方が小さく、
前記表面側平均値が902(μm2/ヶ)以上であり、且つ、前記裏面側平均値が392(μm2/ヶ)以上であることを特徴とする吸収性物品である。
液体を吸収する吸収体の表面側に不織布シートが設けられた吸収性物品であって、
前記不織布シートの表面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる表面側平均値よりも、前記不織布シートの裏面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる裏面側平均値の方が小さく、
前記表面側平均値が902(μm2/ヶ)以上であり、且つ、前記裏面側平均値が392(μm2/ヶ)以上であることを特徴とする吸収性物品である。
また、上記目的を達成するための主たる発明は、
吸収性物品が具備する液体を吸収する吸収体の表面側に設けられる不織布シートであって、
前記不織布シートの表面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる表面側平均値よりも、前記不織布シートの裏面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる裏面側平均値の方が小さく、
前記表面側平均値が902(μm2/ヶ)以上であり、且つ、前記裏面側平均値が392(μm2/ヶ)以上であることを特徴とする不織布シートである。
吸収性物品が具備する液体を吸収する吸収体の表面側に設けられる不織布シートであって、
前記不織布シートの表面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる表面側平均値よりも、前記不織布シートの裏面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる裏面側平均値の方が小さく、
前記表面側平均値が902(μm2/ヶ)以上であり、且つ、前記裏面側平均値が392(μm2/ヶ)以上であることを特徴とする不織布シートである。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、吸収体の表面側に設けられた不織布シートの前記吸収体への液体の移行性に優れた吸収性物品及び不織布シートを提供することができる。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
液体を吸収する吸収体の表面側に不織布シートが設けられた吸収性物品であって、
前記不織布シートの表面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる表面側平均値よりも、前記不織布シートの裏面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる裏面側平均値の方が小さく、
前記表面側平均値が902(μm2/ヶ)以上であり、且つ、前記裏面側平均値が392(μm2/ヶ)以上であることを特徴とする吸収性物品。
液体を吸収する吸収体の表面側に不織布シートが設けられた吸収性物品であって、
前記不織布シートの表面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる表面側平均値よりも、前記不織布シートの裏面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる裏面側平均値の方が小さく、
前記表面側平均値が902(μm2/ヶ)以上であり、且つ、前記裏面側平均値が392(μm2/ヶ)以上であることを特徴とする吸収性物品。
このような吸収性物品によれば、前記不織布シートの表面で受け止めた液体を、その裏面側に位置する吸収体へと速やかに移行させることができて、つまり、前記不織布シートから吸収体への液体の移行性に優れたものとなる。
詳しくは次のとおりである。先ず、この不織布シートでは、前記表面側平均値が902(μm2/ヶ)以上である。よって、人体から排泄されて前記不織布シートの表面で受けられた液体は、前記表面の繊維間隙間が大きいことから、速やかに厚さ方向に流下して不織布シートの厚さ方向の内部に吸い込まれる。すると、この内部においては前記表面側平均値よりも前記裏面側平均値の方が小さいことから、液体には、毛細管現象等に起因して表面側から裏面側へと引き込む力が作用し、これにより、不織布シートの内部では、液体は表面側から裏面側へと速やかに誘導される。このようにして、不織布の裏面近傍まで誘導された液体は、内部から裏面を経て吸収体へと移行することになるが、ここで、前記裏面側平均値は392(μm2/ヶ)以上というようにその繊維間隙間は大きい。よって、液体が裏面近傍にて溜まることは抑えられて、もって裏面を介して外側へと流れ出て、液体は、吸収体へ速やかに到達することになる。
かかる吸収性物品において、
前記表面側平均値が1507(μm2/ヶ)以上であるのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、前記表面側平均値が1507(μm2/ヶ)以上であるので、人体から排泄されて前記不織布シートの表面で受け止められた液体は、前記不織布シートの表面においてより留まり難くなり、もって、より速やかに前記表面の液体を内部へと吸い込むことができる。
前記表面側平均値が1507(μm2/ヶ)以上であるのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、前記表面側平均値が1507(μm2/ヶ)以上であるので、人体から排泄されて前記不織布シートの表面で受け止められた液体は、前記不織布シートの表面においてより留まり難くなり、もって、より速やかに前記表面の液体を内部へと吸い込むことができる。
かかる吸収性物品において、
前記裏面側平均値が805(μm2/ヶ)以上であるのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、前記裏面側平均値が805(μm2/ヶ)以上であるので、前記不織布シートの裏面近傍において前記液体はより留まり難くなり、もって、より速やかに前記裏面を通して前記液体を前記不織布シートの外側に出すことができる。
前記裏面側平均値が805(μm2/ヶ)以上であるのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、前記裏面側平均値が805(μm2/ヶ)以上であるので、前記不織布シートの裏面近傍において前記液体はより留まり難くなり、もって、より速やかに前記裏面を通して前記液体を前記不織布シートの外側に出すことができる。
かかる吸収性物品において、
前記裏面側平均値が1056(μm2/ヶ)以上であるのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、前記裏面側平均値が1056(μm2/ヶ)以上であるので、前記不織布シートの裏面近傍において前記液体はより一層留まり難くなり、より一層速やかに前記裏面を通して前記液体を前記不織布シートの外側に出すことができる。
前記裏面側平均値が1056(μm2/ヶ)以上であるのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、前記裏面側平均値が1056(μm2/ヶ)以上であるので、前記不織布シートの裏面近傍において前記液体はより一層留まり難くなり、より一層速やかに前記裏面を通して前記液体を前記不織布シートの外側に出すことができる。
かかる吸収性物品において、
前記表面側平均値は4038(μm2/ヶ)以下であるのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、前記表面側平均値を4038(μm2/ヶ)以下にしているので、前記不織布シートの表面の肌触りが格段に良好になる。
前記表面側平均値は4038(μm2/ヶ)以下であるのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、前記表面側平均値を4038(μm2/ヶ)以下にしているので、前記不織布シートの表面の肌触りが格段に良好になる。
かかる吸収性物品において、
前記不織布シートの表面には、所定方向に沿った山部と谷部とが、前記所定方向と交差する方向に交互に形成されており、
前記山部の頂き部と前記谷部の底部とをつなぐ傾斜部の繊維の坪量が、前記頂き部の繊維の坪量よりも大きいとともに、前記頂き部の繊維の坪量は、前記底部の繊維の坪量よりも大きいのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、液体を前記不織布シートの表面で受け止めた場合に、当該液体は、速やかに坪量の大きい前記傾斜部を経て、坪量の小さい前記谷部の底部から速やかに吸収体へ移行される。よって、不織布シートから吸収体への液体の移行性がより優れた吸収性物品となる。
また、前記傾斜部の坪量が大きいことから、当該吸収性物品に着用者の体圧がかかっても、妄りに前記不織布シートが潰れることはなくその繊維間隙間は維持され、もって、前記不織布シートは、液体の移行性の優れた状態を維持できる。
前記不織布シートの表面には、所定方向に沿った山部と谷部とが、前記所定方向と交差する方向に交互に形成されており、
前記山部の頂き部と前記谷部の底部とをつなぐ傾斜部の繊維の坪量が、前記頂き部の繊維の坪量よりも大きいとともに、前記頂き部の繊維の坪量は、前記底部の繊維の坪量よりも大きいのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、液体を前記不織布シートの表面で受け止めた場合に、当該液体は、速やかに坪量の大きい前記傾斜部を経て、坪量の小さい前記谷部の底部から速やかに吸収体へ移行される。よって、不織布シートから吸収体への液体の移行性がより優れた吸収性物品となる。
また、前記傾斜部の坪量が大きいことから、当該吸収性物品に着用者の体圧がかかっても、妄りに前記不織布シートが潰れることはなくその繊維間隙間は維持され、もって、前記不織布シートは、液体の移行性の優れた状態を維持できる。
かかる吸収性物品において、
前記不織布シートの裏面は平坦面であるとともに、
前記裏面よりも前記吸収体の側において前記裏面と対面して接触する部分が平坦面であるのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、前記不織布シートの裏面は平坦面であるとともに、この裏面よりも前記吸収体の側において前記裏面と対面して接触する部分も平坦面であることから、前記不織布シートの裏面側に配置される前記吸収体との間には、大きな隙間や空間が生じ難い。よって、不織布シートの繊維を伝わせて液体を前記吸収体へ移行させることができて、不織布シートから吸収体への液体の移行性に優れたものとなる。
前記不織布シートの裏面は平坦面であるとともに、
前記裏面よりも前記吸収体の側において前記裏面と対面して接触する部分が平坦面であるのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、前記不織布シートの裏面は平坦面であるとともに、この裏面よりも前記吸収体の側において前記裏面と対面して接触する部分も平坦面であることから、前記不織布シートの裏面側に配置される前記吸収体との間には、大きな隙間や空間が生じ難い。よって、不織布シートの繊維を伝わせて液体を前記吸収体へ移行させることができて、不織布シートから吸収体への液体の移行性に優れたものとなる。
吸収性物品が具備する液体を吸収する吸収体の表面側に設けられる不織布シートであって、
前記不織布シートの表面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる表面側平均値よりも、前記不織布シートの裏面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる裏面側平均値の方が小さく、
前記表面側平均値が902(μm2/ヶ)以上であり、且つ、前記裏面側平均値が392(μm2/ヶ)以上であることを特徴とする不織布シート。
このような不織布シートによれば、当該不織布シートの表面で受け止めた液体を、その裏面側に位置する吸収体へと速やかに移行させることができて、つまり、吸収体への液体の移行性に優れたものとなる。
前記不織布シートの表面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる表面側平均値よりも、前記不織布シートの裏面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる裏面側平均値の方が小さく、
前記表面側平均値が902(μm2/ヶ)以上であり、且つ、前記裏面側平均値が392(μm2/ヶ)以上であることを特徴とする不織布シート。
このような不織布シートによれば、当該不織布シートの表面で受け止めた液体を、その裏面側に位置する吸収体へと速やかに移行させることができて、つまり、吸収体への液体の移行性に優れたものとなる。
===吸収性物品1===
先ず吸収性物品1の構成について説明する。この吸収性物品1は、生理用ナプキンであり、以下、人体に接触する側を表面側とし、下着に接する側を裏面側として説明する。
先ず吸収性物品1の構成について説明する。この吸収性物品1は、生理用ナプキンであり、以下、人体に接触する側を表面側とし、下着に接する側を裏面側として説明する。
図1Aは、吸収性物品1の表面側の平面図である。また、図1Bは図1A中のB−B断面図である。図1Aに示すように、吸収性物品1は全体的に所定方向に長い形状をなしている。ここでは、この所定方向のことを縦方向と言い、縦方向と直交する方向を横方向と言う。また、これら縦横方向で規定される平面と直交する方向を厚さ方向と言う。
この吸収性物品1は、経血等の液体を吸収する吸収体3と、この吸収体3の表面側を覆って設けられた液透過性の表面シート11と、吸収体3の裏面側を覆って設けられた液不透過性の裏面シート21と、吸収体3の横方向の両端部の各位置を表面側から覆って設けられた一対のサイドシート25と、を有している。
表面シート11は、人体から排泄された液体を受け止めるとともに、受け止めた液体を速やかに厚さ方向に吸い込んで吸収体3へと移行するものであり、吸収体3の平面形状よりも若干大きめの略長方形のシートが使用される。この表面シート11は、熱可塑性樹脂繊維を含む15〜80(g/m2)の坪量の不織布、更に好ましくは20〜50(g/m2)の坪量の不織布を基材とし、この熱可塑性樹脂繊維としては、例えば、ポリエチレン(以下、PEと言う)、ポリプロピレン(以下、PPと言う)、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと言う)等を素材とする単独繊維や、PPとPEとを重合してなる繊維、又は、PPとPEとからなる芯鞘構造の複合繊維等が挙げられる。なお、熱可塑性樹脂繊維以外の繊維を含んでいても良く、例えばセルロース等の天然繊維等を含んでいても良い。なお、この表面シート11については後述する。
吸収体3は、高吸収性ポリマーが混入された粉砕パルプ等の液体吸収性繊維を略矩形平板状に成型後、ティッシュペーパー等の液透過性シート(不図示)にて包んだものである。粉砕パルプ以外の液体吸収性繊維としては、例えば、コットン等のセルロース、レーヨンやフィブリルレーヨン等の再生セルロース、アセテートやトリアセテート等の半合成セルロース、繊維状ポリマー、熱可塑性疎水性化学繊維などが挙げられる。なお、ここで望ましくは、吸収体3の表面たる前記液透過性シートの表面は平坦面であり、且つ、これと対面して接触する表面シート11の裏面も平坦面であると良い。このようになっていれば、表面シート11の裏面側に配置される吸収体3との間に、大きな隙間や空間が生じ難くなり、その結果、表面シート11の繊維を伝わせて液体を吸収体3へ移行させることができて、表面シート11から吸収体3への液体の移行性を高めることができる。
裏面シート21は、吸収性物品1の裏面側からの液体の漏れを防止するものであり、その形状は、縦横方向に吸収体3よりも大きな略長方形状である。そして、当該裏面シート21は、その表面に吸収体3を載せた状態で、少なくとも長手方向の両端部において表面シート11と接合され、これにより、裏面シート21と表面シート11との間に吸収体3が保持される。この裏面シート21の素材としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等を素材とする通気性の樹脂フィルムや、スパンボンドやスパンレースなどの不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシート積層体、更には、スパンボンドーメルトブローン−スパンボンド層からなる不織布等が使用される。
サイドシート25は、吸収性物品1の横方向の両端部からの液体の漏れを防止するものであり、吸収体3の横方向の両端部に位置されて表面シート11及び裏面シート21を表面側から覆って貼り付けられている。このサイドシート25の素材としては、例えば、合成樹脂繊維で形成されたエアースルー不織布やスパンボンド不織布等の適宜な不織布が使用される。
===表面シート11===
上述したように表面シート11は、人体から排泄された液体を受け止めるとともに、受け止めた液体を速やかに吸収体3へ移行させるための謂わば中間媒体である。よって、表面シート11の好ましい性能としては、表面11sで受け止めた液体を、表面11s、内部、及び、裏面11bのいかなる厚さ方向の位置においても極力留まらせずに、滞り無く速やかに厚さ方向に通過させて裏面11bから出してしまうことである。
上述したように表面シート11は、人体から排泄された液体を受け止めるとともに、受け止めた液体を速やかに吸収体3へ移行させるための謂わば中間媒体である。よって、表面シート11の好ましい性能としては、表面11sで受け止めた液体を、表面11s、内部、及び、裏面11bのいかなる厚さ方向の位置においても極力留まらせずに、滞り無く速やかに厚さ方向に通過させて裏面11bから出してしまうことである。
この点につき、本願出願人は、このあと説明する試験等を通じて、上述の性能、つまり、表面シート11の厚さ方向の液体の透過性能(液透過性)が、表面シート11の繊維間隙間の大きさに応じて変化することを知見した。そして、この知見に基づいて、以下に挙げる本実施形態に係る表面シート11の繊維間隙間の大きさが規定されている。
ここで、繊維間隙間の大きさは、厚さ方向の表面11s側及び裏面11b側に対してそれぞれ一つずつ規定される。表面11s側については、表面11sから厚さ方向の内側に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる平均値Asとして規定され、他方、裏面11b側については、裏面11bから厚さ方向の内側に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる平均値Abとして規定される。
そして、これら二つの平均値As,Abのうちで前者を表面側平均隙間面積As(表面側平均値に相当)とし、後者を裏面側平均隙間面積Ab(裏面側平均値に相当)と名付けた場合に、本実施形態に係る表面シート11にあっては、表面側平均隙間面積Asよりも裏面側平均隙間面積Abの方が小さくなっており、しかも、前記表面側平均隙間面積Asが902(μm2/ヶ)以上であり、且つ、前記裏面側平均隙間面積Abが392(μm2/ヶ)以上になるようにしている。
そして、このようにしていれば、先ず、前記表面側平均隙間面積Asが902(μm2/ヶ)以上というようにその繊維間隙間が大きいことから、表面シート11の表面11sで受け止められた液体は、速やかに厚さ方向の内側に流下して表面シート11の内部に吸い込まれる。すると、この内部においては前記表面側平均隙間面積Asよりも前記裏面側平均隙間面積Abの方が小さいことから、液体には、毛細管現象等に起因して表面11s側から裏面11b側へと引き込む力が作用し、これにより、表面シート11の内部では、液体は表面11s側から裏面11b側へと速やかに誘導される。このようにして表面シート11の裏面11b近傍まで誘導された液体は、内部から裏面11bを経て吸収体3へと移行することになるが、ここで、前記裏面側平均隙間面積Abは392(μm2/ヶ)以上というようにその繊維間隙間は大きくなっている。よって、液体が裏面11b近傍にて滞留することは抑えられて、もって裏面11bを介して外側へと流れ出て、以上をもって、液体は速やかに吸収体3に到達する。
<<表面側平均隙間面積Asの下限値及び裏面側平均隙間面積Abの下限値>>
上記の表面側平均隙間面積Asの902(μm2/ヶ)という下限値、及び、裏面側平均隙間面積Abの392(μm2/ヶ)という下限値は、以下の試験によって得られた。
上記の表面側平均隙間面積Asの902(μm2/ヶ)という下限値、及び、裏面側平均隙間面積Abの392(μm2/ヶ)という下限値は、以下の試験によって得られた。
先ず、表面側平均隙間面積As及び裏面側平均隙間面積Abをそれぞれ複数の水準でふった複数種類の表面シート11のサンプルを用意する。そして、これらサンプルの表面11sに人工経血を滴下して、各サンプルの液透過性を評価する。
ここで、前述したように、表面シート11の液透過性が優れるというのは、液体が表面11sで滞留し難く、且つ、表面シート11の内部に吸い込まれた液体が裏面11b近傍でも滞留し難いことである。また、前者については、表面11sの液残り性により評価できる一方、後者については、表面シート11を厚さ方向に加圧した際の表面11sへの液戻り性によって評価できる。このため、ここでは、これら液残り性及び液戻り性を評価している。
ここで、前述したように、表面シート11の液透過性が優れるというのは、液体が表面11sで滞留し難く、且つ、表面シート11の内部に吸い込まれた液体が裏面11b近傍でも滞留し難いことである。また、前者については、表面11sの液残り性により評価できる一方、後者については、表面シート11を厚さ方向に加圧した際の表面11sへの液戻り性によって評価できる。このため、ここでは、これら液残り性及び液戻り性を評価している。
次に、上記の液残り性及び液戻り性の評価結果が得られたら、この評価結果を、液残り性及び液戻り性に関する規定の判定基準に照らし合わせ、そして、これら両方の判定基準を満足するサンプルのうちで、表面側平均隙間面積Asの値及び裏面側平均隙間面積Abの値が最小のサンプルを選択する。この選択されたサンプルの表面側平均隙間面積Asの値及び裏面側平均隙間面積Abの値が、上記の一対の下限値たる902(μm2/ヶ)及び392(μm2/ヶ)の値である。
以下、この試験内容について詳しく説明する。
以下、この試験内容について詳しく説明する。
<表面シート11のサンプル>
図2の表1に、表面シート11の各サンプルの製造仕様を示す。8つの何れのサンプルも、同芯の芯鞘構造(芯材:PET,鞘材:HDPE(高密度PE))の第1繊維と、第1繊維とは繊度の異なる同芯の芯鞘構造(芯材:PET,鞘材:HDPE)の第2繊維とを70:30の重量比で混合した繊維ウエブを基材とし、その繊維ウエブに対して最終的にエアースルー処理してなる35g/m2の坪量のエアースルー不織布である。
図2の表1に、表面シート11の各サンプルの製造仕様を示す。8つの何れのサンプルも、同芯の芯鞘構造(芯材:PET,鞘材:HDPE(高密度PE))の第1繊維と、第1繊維とは繊度の異なる同芯の芯鞘構造(芯材:PET,鞘材:HDPE)の第2繊維とを70:30の重量比で混合した繊維ウエブを基材とし、その繊維ウエブに対して最終的にエアースルー処理してなる35g/m2の坪量のエアースルー不織布である。
すなわち、第1乃至第3比較例及び第1実施例のサンプルは、カード機等によって開繊された第1及び第2繊維をベルトコンベアのベルト上に堆積してなる繊維ウエブを基材とし、その繊維ウエブに対して、高温のエアーが吹き付けられて第1及び第2繊維の各繊維が交絡状態で溶着してなるエアースルー不織布である。そして、その表面11s及び裏面11bは共に略平坦面である。
これに対して、第4比較例、第2及び第3実施例、並びに第1参考例の表面シート11については、エアースルー処理前の繊維ウエブの状態において空気流処理が施され、これにより、裏面11bは略平坦面であるが、表面11sには、繊維の坪量の多い部分たる山部14と、坪量の少ない部分たる谷部13とが形成されている(図3を参照)。詳しくは、山部14の頂き部14aと谷部13の底部13aとをつなぐ傾斜部15の繊維の坪量が、前記頂き部14aの繊維の坪量よりも大きいとともに、前記頂き部14aの繊維の坪量は、前記底部13aの繊維の坪量よりも大きくなっている。そして、このようになっていると、液体を表面シート11の表面11sで受け止めた場合に、当該液体は、速やかに坪量の大きい前記傾斜部15を経て、坪量の小さい前記谷部13の底部13aから速やかに吸収体3へ移行される。よって、表面シート11から吸収体3への液体の移行性がより良好になる。また、傾斜部15の坪量が大きいことから、当該吸収性物品1に着用者の体圧がかかっても、妄りに表面シート11が潰れることはなくその繊維間隙間は維持され、もって、表面シート11は液体の移行性の優れた状態を維持できる。
図3及び図4は、この空気流処理の説明図である。図3には、空気流処理が施された第4比較例、第2及び第3実施例、並びに第1参考例の表面シート11の斜視図を示し、図4には空気流処理を行う様子を斜視で示している。
空気流処理によれば、厚さ方向と直交する平面内(縦横方向で規定される平面内)における繊維の坪量分布を部分的に大きく変化させることが可能であり、例えば、第4比較例、第2及び第3実施例、並びに第1参考例の表面11sには、縦方向に沿う山部14と、同縦方向に沿う谷部13とが横方向に交互に形成されている。また、この空気流処理を施せば、図2の表1の表面側及び裏面側平均隙間面積As,Abよりわかるように、繊維間隙間の大きい不織布が形成される。
この空気流処理は、図4に示すように、前記ベルトコンベアのベルト73上に堆積されてベルト73とともに縦方向の下流へと移動する繊維ウエブ11wに対して、ベルト73の上方に配置されたエアーヘッダー75の複数のノズル76から空気流を吹き付ける処理である。そして、このエアーヘッダー75の設置位置を通過後には、繊維ウエブ11wの表面11sには上述の山部14と谷部13とが形成される。
詳しくは、図4に示すように、エアーヘッダー75におけるベルト73との対向面には、横方向にピッチP2でノズル76が設けられているとともに、ベルト73は厚さ方向に通気性を有した例えば網目体であり、更に、ベルト73の下方には、空気流を吸い込むサクションボックス77が設けられている。よって、エアーヘッダー75の各ノズル76から吐出された空気流は、繊維ウエブ11w及びベルト73を厚さ方向に通過し、しかる後にサクションボックス77に吸い込まれるが、その際に、各空気流は、それぞれに、その空気流が当たる位置の繊維を吹き分けて繊維を横方向に移動し、これにより、各空気流が当たる位置には谷部13が形成されつつ、谷部13と谷部13との間には山部14が形成される。すなわち、繊維ウエブ11wには縦方向に沿った谷部13が横方向にピッチP2で形成され、谷部13と谷部13との間には山部14が形成される。なお、これら山部14及び谷部13の平面面積に占める谷部13の平面面積の割合たる谷部面積率は、例えば5〜45(%)の範囲に設定されると良く、より好ましくは10〜40(%)の範囲に設定されると良い。この谷部面積率の調整は、上述のノズル76のピッチP2の設定や空気流の流量調整等によって行われる。
<表面側平均隙間面積As及び裏面側平均隙間面積Abの測定方法>
次に、上述の表面シート11の各サンプルの表面側平均隙間面積As及び裏面側平均隙間面積Abの測定方法について説明する。この平均隙間面積As,Abというのは、前述したように、表面11s又は裏面11bから厚さ方向に220μmの範囲に存在する繊維を、厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、この総面積に対応する総隙間数で平均してなる平均値のことであり、これら二つの平均値は、例えば、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−100を用いることにより、以下の手順を経て測定される。
次に、上述の表面シート11の各サンプルの表面側平均隙間面積As及び裏面側平均隙間面積Abの測定方法について説明する。この平均隙間面積As,Abというのは、前述したように、表面11s又は裏面11bから厚さ方向に220μmの範囲に存在する繊維を、厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、この総面積に対応する総隙間数で平均してなる平均値のことであり、これら二つの平均値は、例えば、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−100を用いることにより、以下の手順を経て測定される。
(1)先ず、表面シート11のサンプルを、その表面11s又は裏面11bのうちの観察対象面が上を向くようにしながら観察台上に載置する。ここでは最初の観察対象面を表面11sとしている。
(2)次に、観察台の上方の位置するマイクロスコープのレンズの倍率、及びパソコン画面上の倍率を設定するとともに、サンプルの表面11sとして最もレンズ寄りの繊維にレンズのピントを合わせる。但し、このとき、イレギュラーに手前に飛び出した繊維は除く。
(3)そうしたら、撮影深度(厚さ方向のピントの位置)を20μmずつ変更しながら、表面11sから20〜220μmの範囲を順次撮影する。すなわち、表面11sから厚さ方向に20μmの位置、40μmの位置、60μmの位置、…180μmの位置、200μmの位置、220μmの位置にそれぞれピントを合わせて各位置の画像を撮影する。そして、これにより得られた11枚の画像に基づいて、図5Aに示すようなサンプルの3D画像(3次元画像)を作成する。なお、この3D画像には、表面11sから20〜220μmの範囲に存在する繊維が記録されている。
(4)次に、この3D画像を2D画像(2次元画像)に変換する。すなわち、20〜220μmの範囲の空間を、厚さ方向と直交する平面上に平面化する。そして、その平面上に存在する繊維の隙間を特定すべく、この2D画像に対して二値化処理を行い、繊維が存在する箇所を白色にする一方、存在しない箇所を黒色にする。
(5)そうしたら、色反転させて繊維が存在しない箇所(繊維間隙間に相当)を白色にし(図5Bを参照)、当該白色の領域の面積を測定し、これらの面積の総和を前記繊維間隙間の総面積とする。また、この繊維間隙間の総面積の算出に用いた白色の領域の数をカウントし、そのカウント数を総隙間数とする。そして、これら総面積(μm2)及び総隙間数(ヶ)を下式1に代入して上述の平均隙間面積(μm2/ヶ)を算出する。
平均隙間面積(μm2/ヶ)=繊維間隙間の総面積/総隙間数 ・・・式1
平均隙間面積(μm2/ヶ)=繊維間隙間の総面積/総隙間数 ・・・式1
(6)上記(1)〜(5)を、サンプルの裏面11bについても同様に行い、これにより、表面側平均隙間面積Asと裏面側平均隙間面積Abとが取得される。
ちなみに、第1乃至第3比較例並びに第1実施例にあっては、上記の表面側平均隙間面積As及び裏面側平均隙間面積Abの測定対象を平面内(縦横方向の平面内)の任意位置としているが、第4比較例、第2及び第3実施例、並びに第1参考例については、上記の表面側平均隙間面積Asの測定対象を、山部14及び谷部13の両者としている。
これは、空気流処理が施された第4比較例、第2及び第3実施例、並びに第1参考例の場合には、表面側平均隙間面積Asの大きさが山部14と谷部13とで異なるケースが有るからであり、よって、以下の評価に用いる表面側平均隙間面積Asには、山部14の表面側平均隙間面積Asと谷部13の表面側平均隙間面積Asとを各面積率で平均化した値を用いている。詳しくは、縦横方向で規定される平面における山部14の平面面積の占める割合たる山部面積率と、同平面における谷部13の平面面積の占める割合たる谷部面積率とに基づいて下式2により補正している。
表面側平均隙間面積As(μm2/ヶ)
=山部の表面側平均隙間面積As×山部面積率
+谷部の表面側平均隙間面積As×谷部面積率 ・・・式2
表面側平均隙間面積As(μm2/ヶ)
=山部の表面側平均隙間面積As×山部面積率
+谷部の表面側平均隙間面積As×谷部面積率 ・・・式2
上記の式2を具体的数値例で説明すると、例えば第4比較例にあっては、図2の表1より、山部面積率が70.5%であり、谷部面積率が29.5%(=100%−70.5%)、また、山部14の表面側平均隙間面積Asが948(μm2/ヶ)であり、谷部13の表面側平均隙間面積Asが792(μm2/ヶ)であるので、これらを上式2に代入して、この第4比較例の補正後の表面側平均隙間面積Asは、以下のように求められる。
補正後の表面側平均隙間面積As
=948(μm2/ヶ)×0.705+792(μm2/ヶ)×0.295
=902(μm2/ヶ)
補正後の表面側平均隙間面積As
=948(μm2/ヶ)×0.705+792(μm2/ヶ)×0.295
=902(μm2/ヶ)
なお、裏面側平均隙間面積Abについては、山部面積率及び谷部面積率によって補正せずに、山部14の表面側平均隙間面積Asの値をそのまま評価に用いている。これは、空気流処理の空気流が吹き当てられる表面11s側の方が、山部14と谷部13との間で繊維間隙間に差が顕れ易く、これに対して、裏面11b側の方は前述のベルト73と当接していること等もあって繊維が移動し難く、山部14と谷部13との間で繊維間隙間の大きさに差が生じ難いと考えられるからである。但し、裏面側平均面積率Abについても、表面11s側と同様の方法で山部面積率及び谷部面積率に基づき補正しても良い。
<表面11sの液残り性及び表面11sへの液戻り性の評価方法>
次に、表面11sの液残り性及び表面11sへの液戻り性の評価方法について説明する。表面11sの液残り性については、所定量の人工経血を表面シート11の表面11sに滴下後に、人工経血が滴下された表面11sの熱移動速度Qmax(℃・sec−1)を測定することにより評価する。この熱移動速度Qmaxは、本来は「物に触れたときの冷たさ暖かさ」を測定するものであるが、表面シート11の表面11sの液残り量が多いほど高い数値が現れる傾向にある。例えば、表面11sの液残り性が高い場合には、表面シート11の表面11sに残存する液体の量が多くなるので、熱移動速度Qmaxの値は大きくなる。よって、表面シート11の表面11sにおける液残り性を熱移動速度Qmaxにて示すこととしている。この熱移動速度Qmaxを測定する装置としては、フィンガーロボットサーモラボ(カトーテック株式会社製)を用いている。
次に、表面11sの液残り性及び表面11sへの液戻り性の評価方法について説明する。表面11sの液残り性については、所定量の人工経血を表面シート11の表面11sに滴下後に、人工経血が滴下された表面11sの熱移動速度Qmax(℃・sec−1)を測定することにより評価する。この熱移動速度Qmaxは、本来は「物に触れたときの冷たさ暖かさ」を測定するものであるが、表面シート11の表面11sの液残り量が多いほど高い数値が現れる傾向にある。例えば、表面11sの液残り性が高い場合には、表面シート11の表面11sに残存する液体の量が多くなるので、熱移動速度Qmaxの値は大きくなる。よって、表面シート11の表面11sにおける液残り性を熱移動速度Qmaxにて示すこととしている。この熱移動速度Qmaxを測定する装置としては、フィンガーロボットサーモラボ(カトーテック株式会社製)を用いている。
一方、表面11sへの液戻り性については、リウェット率(%)によって評価している。リウェット率は、次のようにして得られる。先ず、所定量(10ml)の人工経血を表面シート11に滴下後に、表面シート11の表面11sに、長さ50mm×幅35mmの10枚の濾紙を重ね置き、更にその上にアクリル板及び重りを載置して、これにより50g/cm2の圧力で濾紙を表面シート11の表面11sに押し付ける。そして、この押し付け状態を60秒だけ維持した後に、濾紙のみを取ってこの人工経血が転写した濾紙の重量Waを測定し、この重量Waを下式3に代入して、リウェット率が求められる。
リウェット率(%)=(Wa−Wb)/Wc×100 ・・・式3
なお、上式3中における「Wb」は、表面シート11に押し付け前の濾紙の重量(g)であり、また、「Wc」は、表面シート11に滴下した人工経血の総重量(g)である。
リウェット率(%)=(Wa−Wb)/Wc×100 ・・・式3
なお、上式3中における「Wb」は、表面シート11に押し付け前の濾紙の重量(g)であり、また、「Wc」は、表面シート11に滴下した人工経血の総重量(g)である。
(A)試験片
表面11sの液残り性及び表面11sへの液戻り性の評価に供する試験片は、実際の吸収性物品1を模擬すべく、上述の表面シート11のサンプル単体ではなくて、表面シート11のサンプルを吸収体の上に重ねたものを用いる。すなわち、当該試験片は、上述の表面シート11のサンプル毎に用意される。なお、何れの試験片にあっても、表面シート11が吸収体から浮かないように両側部にはエンボス加工が施されている。
ここで、吸収体としては、パルプを坪量15g/m2のティッシュペーパーで包み、長さ100mm×幅60mmにカットしたものを用いている。なお、パルプの坪量は500g/m2であり、密度は0.09g/cm3である。
表面11sの液残り性及び表面11sへの液戻り性の評価に供する試験片は、実際の吸収性物品1を模擬すべく、上述の表面シート11のサンプル単体ではなくて、表面シート11のサンプルを吸収体の上に重ねたものを用いる。すなわち、当該試験片は、上述の表面シート11のサンプル毎に用意される。なお、何れの試験片にあっても、表面シート11が吸収体から浮かないように両側部にはエンボス加工が施されている。
ここで、吸収体としては、パルプを坪量15g/m2のティッシュペーパーで包み、長さ100mm×幅60mmにカットしたものを用いている。なお、パルプの坪量は500g/m2であり、密度は0.09g/cm3である。
(B)試験手順
図6は試験手順の説明図である。
(1)先ず、試験片の表面シート11上に、中央に開口が形成されたアクリル板を載置する。アクリル板のサイズは、例えば、長さ200mm×幅100mmであり、開口のサイズは40mm×10mmであり、重量は125gである。
(2)人工経血を滴下するためのオートビュレット(メトローム社製)のノズルを、アクリル板の開口上であって、アクリル板の上面から10mmの位置に配置する。なお、人工経血の粘度は、22〜26mPa・sである。
(3)試験片の表面シート11上に人工経血を滴下する。この1回目の滴下量は3mlであり、滴下速度は、95ml/minである。なお、この滴下速度は、この後の2回目及び3回目の滴下においても同じである。
(4)人工経血滴下開始60秒後に表面シート11の表面11sにおける熱移動速度Qmaxを測定する(1回目)。すなわち、フィンガーロボットサーモラボの接触式温度センサを試験片の人工経血が滴下された位置に当接させる。
(5)1回目の人工経血滴下終了時から90秒経過したら、試験片の表面シート11上に再度人工経血を滴下する。この2回目の滴下量は4mlである。
(6)2回目の人工経血滴下開始60秒後に表面シート11の表面11sにおける熱移動速度Qmaxを測定する(2回目)。
(7)2回目の人工経血滴下終了時から90秒経過したら、試験片の表面シート11上に再度人工経血を滴下する。この3回目の滴下量は3mlである。
図6は試験手順の説明図である。
(1)先ず、試験片の表面シート11上に、中央に開口が形成されたアクリル板を載置する。アクリル板のサイズは、例えば、長さ200mm×幅100mmであり、開口のサイズは40mm×10mmであり、重量は125gである。
(2)人工経血を滴下するためのオートビュレット(メトローム社製)のノズルを、アクリル板の開口上であって、アクリル板の上面から10mmの位置に配置する。なお、人工経血の粘度は、22〜26mPa・sである。
(3)試験片の表面シート11上に人工経血を滴下する。この1回目の滴下量は3mlであり、滴下速度は、95ml/minである。なお、この滴下速度は、この後の2回目及び3回目の滴下においても同じである。
(4)人工経血滴下開始60秒後に表面シート11の表面11sにおける熱移動速度Qmaxを測定する(1回目)。すなわち、フィンガーロボットサーモラボの接触式温度センサを試験片の人工経血が滴下された位置に当接させる。
(5)1回目の人工経血滴下終了時から90秒経過したら、試験片の表面シート11上に再度人工経血を滴下する。この2回目の滴下量は4mlである。
(6)2回目の人工経血滴下開始60秒後に表面シート11の表面11sにおける熱移動速度Qmaxを測定する(2回目)。
(7)2回目の人工経血滴下終了時から90秒経過したら、試験片の表面シート11上に再度人工経血を滴下する。この3回目の滴下量は3mlである。
(8)3回目の人工経血滴下開始60秒後に表面シート11の表面11sにおける熱移動速度Qmaxを測定する(3回目)。
(9)3回目の熱移動速度Qmaxの測定終了時から30秒後に、リウェット率を測定すべく、試験片の上に濾紙と重りを載せる。そして、この状態で60秒間放置後、試験片から濾紙を取り外して濾紙の重量Waを測定し、測定された重量Waを前述の式3に代入して人工経血10ml当たりのリウェット率(%)を求める。
(9)3回目の熱移動速度Qmaxの測定終了時から30秒後に、リウェット率を測定すべく、試験片の上に濾紙と重りを載せる。そして、この状態で60秒間放置後、試験片から濾紙を取り外して濾紙の重量Waを測定し、測定された重量Waを前述の式3に代入して人工経血10ml当たりのリウェット率(%)を求める。
上記(1)〜(9)の手順にて、サンプル毎に試験片を5個ずつ用いて熱移動速度Qmax及びリウェット率を求め、それらの平均値(n=5)を各サンプルの熱移動速度Qmax及びリウェット率として、前述の図2の表1に記録した。
<液透過性(液残り性及び液戻り性)の良否判定基準>
各サンプルの液残り性及び液戻り性の良否判定は、図2の表1に記録した熱移動速度Qmax及びリウェット率を、それぞれ、以下の良否判定基準に照らし合わせて行われる。
各サンプルの液残り性及び液戻り性の良否判定は、図2の表1に記録した熱移動速度Qmax及びリウェット率を、それぞれ、以下の良否判定基準に照らし合わせて行われる。
液残り性の良否判定基準は、「熱移動速度Qmax≦0.3」である。すなわち、これを満足すれば、液残り性が「良」判定(表面11sに液体が残り難いということ)となり、満足しない場合には「NG」判定となる。
一方、液戻り性の良否判定基準は、「リウェット率≦10%」である。すなわち、これを満足すれば、「良」判定(表面11sへと液体が戻り難いということ)となり、満足しない場合には「NG」判定となる。
そして、最終的には、これら液残り性及び液戻り性の何れもが「良」判定の場合にのみ、「液透過性が良いサンプルである」と最終判定される。
ちなみに、ここで、液残り性の判定基準を上記のように「熱移動速度Qmax≦0.3」としたのは、実際に触れた際の感触(体感値)の目安と熱移動速度Qmaxの値とが、以下の関係にあるからである。
<液透過性(液残り性及び液戻り性)の判定結果>
図7に、表面シート11の各サンプルの判定結果を示す。グラフの横軸にはサンプルの表面側平均隙間面積Asをとり、縦軸には同裏面側平均隙間面積Abをとっている。プロット点の凡例は判定結果を表しており、つまり、○印は、液透過性が良判定のサンプルを示し、×印は液透過性がNG判定のサンプルを示している。
図7に、表面シート11の各サンプルの判定結果を示す。グラフの横軸にはサンプルの表面側平均隙間面積Asをとり、縦軸には同裏面側平均隙間面積Abをとっている。プロット点の凡例は判定結果を表しており、つまり、○印は、液透過性が良判定のサンプルを示し、×印は液透過性がNG判定のサンプルを示している。
また、空気流処理によって山部14及び谷部13が形成された第4比較例、第2及び第3実施例、並びに第1参考例については、グラフのプロットに用いた表面側平均隙間面積Asの値は、前述の山部面積率及び谷部面積率により補正後の値を用いており、このことは、後述の図8及び図10のグラフについても同じである。
ここで、図7中の○印に着目すると、液透過性が良判定のサンプルは、第1乃至第3実施例並びに第1参考例である。そして、このなかで、表面側平均隙間面積Asが最小で且つ裏面側平均隙間面積Abが最小のサンプルは、第3実施例である。よって、上述の液透過性の良否判定基準を満足するのは、表面側平均隙間面積Asが902(μm2/ヶ)以上であり、且つ、前記裏面側平均隙間面積Abが392(μm2/ヶ)以上であり、これにより、表面側平均隙間面積Asの下限値として902(μm2/ヶ)が得られ、また、裏面側平均隙間面積Abの下限値としては392(μm2/ヶ)が得られた。ちなみに、これらの各値よりも平均隙間面積As,Abが大きければ、繊維間隙間に形成される液膜による表面張力の作用も小さくなって、液透過性がより良好になるのは言うまでもない。
<表面側平均隙間面積As及び裏面側平均隙間面積Abのより好ましい下限値>
図8は、上記の表1の熱移動速度Qmaxを表面側平均隙間面積Asによって整理したグラフである。このグラフの滴下1回目のプロット点を見ると、表面側平均隙間面積Asが1507(μm2/ヶ)の近傍において、熱移動速度Qmaxが急激に低下するが、そこからは表面側平均隙間面積Asが大きくなっても熱移動速度Qmaxはあまり下がらずに横ばいになっている。
図8は、上記の表1の熱移動速度Qmaxを表面側平均隙間面積Asによって整理したグラフである。このグラフの滴下1回目のプロット点を見ると、表面側平均隙間面積Asが1507(μm2/ヶ)の近傍において、熱移動速度Qmaxが急激に低下するが、そこからは表面側平均隙間面積Asが大きくなっても熱移動速度Qmaxはあまり下がらずに横ばいになっている。
よって、表面側平均隙間面積Asを1507(μm2/ヶ)以上にすれば、表面11sでの液残りを非常に小さくすることができ、このことから、望ましくは表面側平均隙間面積Asを1507(μm2/ヶ)以上に設定すると良いと考えられる。
また、この1507(μm2/ヶ)以上で熱移動速度Qmaxが横ばいになる傾向は、滴下1回目だけでなく、滴下2回目及び3回目についても当てはまる。よって、表面側平均隙間面積Asを1507(μm2/ヶ)以上にすれば、経血が繰り返し排泄される場合であっても、表面11sの液残りを非常に小さく抑えることが可能である。
一方、図9は、上記の表1のリウェット率を裏面側平均隙間面積Abによって整理したグラフである。なお、裏面側平均隙間面積Abで整理した理由は、当該裏面側平均隙間面積Abが小さい程に、裏面11b側近傍に液体が滞留しやすくなり、この滞留した液体が、加圧時に表面シート11の内部から表面11sへと逆戻りすると考えられるからである。
このグラフを見ると、裏面側平均隙間面積Abが805(μm2/ヶ)の近傍において、リウェット率が大幅に低下し、更に1056(μm2/ヶ)においてもう一段階下がり、そこからリウェット率はあまり下がらずその下がり勾配はほぼ飽和している。
よって、裏面側平均隙間面積Abを805(μm2/ヶ)以上にすれば、裏面11b近傍での液体の滞留を小さくすることができ、更に1056(μm2/ヶ)以上にすれば、概ね液体の滞留を最小にすることができる。このことから、裏面側平均隙間面積Abを805(μm2/ヶ)以上に設定すると良く、更に望ましくは1056(μm2/ヶ)以上にすると良いと考えられる。
<表面側平均隙間面積Asの上限値について>
ところで、上述したように、表面側平均隙間面積Asが大きいと、表面シート11の液残り性が低くなるため、表面側平均隙間面積Asは極力大きい方が好ましいと考えられる。但し、大き過ぎると表面11sの滑らかさが低下する、更には毛羽立ちが大きくなる虞があり、また、この表面シート11の表面11sは人体の肌に当接するため、その毛羽立ちを含めた肌触り性も重要な要素である。そこで、ここでは、表面側平均隙間面積Asと毛羽立ちを含めた肌触り性との関係についても調査している。
ところで、上述したように、表面側平均隙間面積Asが大きいと、表面シート11の液残り性が低くなるため、表面側平均隙間面積Asは極力大きい方が好ましいと考えられる。但し、大き過ぎると表面11sの滑らかさが低下する、更には毛羽立ちが大きくなる虞があり、また、この表面シート11の表面11sは人体の肌に当接するため、その毛羽立ちを含めた肌触り性も重要な要素である。そこで、ここでは、表面側平均隙間面積Asと毛羽立ちを含めた肌触り性との関係についても調査している。
試験方法は、触感の官能評価である。すなわち、上記の表面シート11の各サンプルを長さ100mm×幅60mmにカットしたものを用意し、これらを試験片として20名の被験者(20〜40歳の成人女性)に渡し、そして、試験片の表面11sを被験者の唇に当ててもらい、その状態で試験片を横方向に約10mmの移動幅でもって10往復してもらう。そうしたら、その際の感触を5段階(1:非常に肌触りが悪い、2:やや肌触りが悪い、3:どちらでもない、4:やや肌触りが良い、5:非常に肌触りが良い)で評価してもらい、そして、各サンプルが取得した評価値の平均点(n=20)をサンプル毎に集計し、集計結果を図2の表1に記録する。
図10は、上記の表1の触感の評価結果を、表面側平均隙間面積Asによって整理したグラフである。グラフよりわかるように、表面側平均隙間面積Asが4038(μm2/ヶ)までは評価値が3.5以上というように毛羽立ちも無く良好な肌触り性を示しているが、これよりも大きい4803(μm2/ヶ)になると、評価値は1.6というように極端に悪化している。従って、肌触り性の観点からは、表面側平均隙間面積Asの上限値を4038(μm2/ヶ)にするのが好ましいと考えられる。
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形が可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形が可能である。
上述の実施形態では、吸収性物品1として、表面シート11と吸収体3との間に中間シートを配置しない構成を例示したが、中間シートを配置しても良い。なお、この中間シートとしては、表面シート11よりも繊維密度の高い不織布等が好ましい。
上述の実施形態では、空気流処理が施された表面シート11として、その表面11sに山部14と谷部13とが形成された表面シート11を例示したが、何等これに限るものではなく、例えば、これに加えて、図11の斜視図に示すように、谷部13を厚さ方向に貫通する貫通孔12が縦方向にピッチP1で形成されていても良い。このような貫通孔12は、以下のようにベルトコンベアのベルト73を工夫することにより形成される。
すなわち、上述の貫通孔無しの第2及び第3実施例等の場合には、単なる網目状のベルト73が使用されていたが、貫通孔12を有する当該実施例にあっては、図12Bに示すように網目状のベルト73の表面に、CD方向に沿った不通気性の矩形の帯板74が、縦方向にピッチP1で配置されており、また、縦方向に隣り合う帯板74,74同士の間には、帯状の隙間Gが形成されている。このため、前記隙間Gに位置する繊維については、空気流が厚さ方向に通過する際に、当該繊維をCD方向に吹き分ける力が作用するのみであり、もって谷部13が形成されるだけであるが、帯板74の上に位置する繊維については、上記の力に加えて、更に、帯板74を通過できない空気流が帯板74の表面に沿って流れて繊維を横方向に移動するように作用し、これにより、図12Aや図11のように、この位置には貫通孔12が形成される。この谷部13の平面面積における貫通孔12の占める割合たる面積率は、例えば7〜30(%)の範囲に設定されると良く、更に好ましくは12〜25(%)の範囲に設定されると良い。この面積率の調整は、上述の帯板74のピッチP1の設定や隙間Gの大きさの設定、空気流の流量調整等によって行われる。ちなみに表面側平均隙間面積As及び裏面側平均隙間面積Abの測定対象からは、上記貫通孔12の部分が除外されるのは言うまでもない。
1 吸収性物品、3 吸収体、
11 表面シート(不織布シート)、
11s 表面、11b 裏面、11w 繊維ウエブ、
12 貫通孔、13 谷部、13a 底部、
14 山部、14a 頂き部、15 傾斜部、
21 裏面シート、25 サイドシート、
73 ベルト、74 帯板、75 エアーヘッダー、
76 ノズル、77 サクションボックス
11 表面シート(不織布シート)、
11s 表面、11b 裏面、11w 繊維ウエブ、
12 貫通孔、13 谷部、13a 底部、
14 山部、14a 頂き部、15 傾斜部、
21 裏面シート、25 サイドシート、
73 ベルト、74 帯板、75 エアーヘッダー、
76 ノズル、77 サクションボックス
本発明は、不織布シートの製造方法及び不織布シートの製造装置に関する。
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、吸収体への液体の移行性に優れた不織布シートの製造方法及び不織布シートの製造装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための主たる発明は、
液体を吸収する吸収体の表面側に設けられる不織布シートの製造方法であって、
ベルトコンベアのベルト上に堆積されて当該ベルトとともに移動方向へ移動する繊維ウエブに対して、前記移動方向と交差する交差方向に沿って設けられた複数のノズルから空気流を吹き付けることにより、前記繊維ウエブの表面に前記移動方向に沿った山部と谷部とを形成するとともに、前記谷部を厚さ方向に貫通する貫通孔を前記移動方向に所定のピッチで形成し、
前記ベルトは、前記厚さ方向に通気性を有した網目体であり、
前記ベルトの表面には、前記交差方向に沿った不通気性の板が、前記移動方向に前記ピッチで配置されていることを特徴とする不織布シートの製造方法である。
液体を吸収する吸収体の表面側に設けられる不織布シートの製造方法であって、
ベルトコンベアのベルト上に堆積されて当該ベルトとともに移動方向へ移動する繊維ウエブに対して、前記移動方向と交差する交差方向に沿って設けられた複数のノズルから空気流を吹き付けることにより、前記繊維ウエブの表面に前記移動方向に沿った山部と谷部とを形成するとともに、前記谷部を厚さ方向に貫通する貫通孔を前記移動方向に所定のピッチで形成し、
前記ベルトは、前記厚さ方向に通気性を有した網目体であり、
前記ベルトの表面には、前記交差方向に沿った不通気性の板が、前記移動方向に前記ピッチで配置されていることを特徴とする不織布シートの製造方法である。
上記目的を達成するための他の主たる発明は、
吸収性物品が具備する液体を吸収する吸収体の表面側に設けられる不織布シートの製造装置であって、
ベルト上に堆積された繊維ウエブを当該ベルトとともに移動方向へ移動させるベルトコンベアと、
前記移動方向と交差する交差方向に沿って設けられ、前記ベルトとともに前記移動方向へ移動する前記繊維ウエブに対して空気流を吹き付けることにより、前記繊維ウエブの表面に前記移動方向に沿った山部と谷部とを形成するとともに、前記谷部を厚さ方向に貫通する貫通孔を前記移動方向に所定のピッチで形成する複数のノズルと、を有し、
前記ベルトは、前記厚さ方向に通気性を有した網目体であり、
前記ベルトの表面には、前記交差方向に沿った不通気性の板が、前記移動方向に前記ピッチで配置されていることを特徴とする不織布シートの製造装置である。
吸収性物品が具備する液体を吸収する吸収体の表面側に設けられる不織布シートの製造装置であって、
ベルト上に堆積された繊維ウエブを当該ベルトとともに移動方向へ移動させるベルトコンベアと、
前記移動方向と交差する交差方向に沿って設けられ、前記ベルトとともに前記移動方向へ移動する前記繊維ウエブに対して空気流を吹き付けることにより、前記繊維ウエブの表面に前記移動方向に沿った山部と谷部とを形成するとともに、前記谷部を厚さ方向に貫通する貫通孔を前記移動方向に所定のピッチで形成する複数のノズルと、を有し、
前記ベルトは、前記厚さ方向に通気性を有した網目体であり、
前記ベルトの表面には、前記交差方向に沿った不通気性の板が、前記移動方向に前記ピッチで配置されていることを特徴とする不織布シートの製造装置である。
Claims (8)
- 液体を吸収する吸収体の表面側に不織布シートが設けられた吸収性物品であって、
前記不織布シートの表面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる表面側平均値よりも、前記不織布シートの裏面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる裏面側平均値の方が小さく、
前記表面側平均値が902(μm2/ヶ)以上であり、且つ、前記裏面側平均値が392(μm2/ヶ)以上であることを特徴とする吸収性物品。 - 請求項1に記載の吸収性物品において、
前記表面側平均値が1507(μm2/ヶ)以上であることを特徴とする吸収性物品。 - 請求項2に記載の吸収性物品において、
前記裏面側平均値が805(μm2/ヶ)以上であることを特徴とする吸収性物品。 - 請求項3に記載の吸収性物品において、
前記裏面側平均値が1056(μm2/ヶ)以上であることを特徴とする吸収性物品。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の吸収性物品において、
前記表面側平均値は4038(μm2/ヶ)以下であることを特徴とする吸収性物品。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載の吸収性物品において、
前記不織布シートの表面には、所定方向に沿った山部と谷部とが、前記所定方向と交差する方向に交互に形成されており、
前記山部の頂き部と前記谷部の底部とをつなぐ傾斜部の繊維の坪量が、前記頂き部の繊維の坪量よりも大きいとともに、前記頂き部の繊維の坪量は、前記底部の繊維の坪量よりも大きいことを特徴とする吸収性物品。 - 請求項6に記載の吸収性物品において、
前記不織布シートの裏面は平坦面であるとともに、
前記裏面よりも前記吸収体の側において前記裏面と対面して接触する部分が平坦面であることを特徴とする吸収性物品。 - 吸収性物品が具備する液体を吸収する吸収体の表面側に設けられる不織布シートであって、
前記不織布シートの表面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる表面側平均値よりも、前記不織布シートの裏面から厚さ方向に220μmに亘る範囲を、前記厚さ方向を法線方向とする平面に投影し、当該投影された繊維間隙間の総面積を、該総面積に対応する総隙間数で平均してなる裏面側平均値の方が小さく、
前記表面側平均値が902(μm2/ヶ)以上であり、且つ、前記裏面側平均値が392(μm2/ヶ)以上であることを特徴とする不織布シート。
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CN105369476A (zh) * | 2015-10-09 | 2016-03-02 | 东华大学 | 一种具有定向导水功能的非织造复合材料及其制备方法 |
JP2017196346A (ja) * | 2016-04-28 | 2017-11-02 | 王子ホールディングス株式会社 | 吸収体製造装置および製造方法 |
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