JP2013187431A - ドーピング装置及びドーピング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸素を添加可能なドーピング装置を提供する、及び電気特性が向上した半導体装置を提供する。
【解決手段】不活性ガスが導入されるガス導入部と、熱電子を発生するフィラメントとを有するアークチャンバと、当該アークチャンバでイオン化された不活性ガスのイオンを引き出す第1の電極と、当該第1の電極によって引き出された不活性ガスのイオンを加速する第2の電極と、当該第2の電極で加速された不活性ガスのイオンが通過する領域に酸素イオンを供給する酸素イオン供給部と、当該不活性ガスのイオンと酸素イオンが導入される試料室と、を有するドーピング装置に関する。
【選択図】図1

Description

開示される発明の一態様は、ドーピング装置及びドーピング方法に関する。
イオンドーピング装置(ドーピング装置とも呼ばれる)は、イオン源に連接するドーピング室を有する。ドーピング装置は、真空状態としたドーピング室に基板を設置し、イオン源で発生させたイオンを電界で加速し、基板の極表層に添加するものである。本明細書中において、基板とはドーピングされる対象物の1つである。イオン源はプラズマ室と、プラズマ室で生じたイオンを引き出す引き出し加速電極系(引き出し電極と加速電極)と、二次電子の流入を制御する減速電極系(減速電極と接地電極)とから成っている。電極には一般に多孔電極が使用され、イオンはこの孔を通過してドーピング室へ到達する。このようなイオンの流れをイオン流と称する。
イオン源のプラズマ発生方法には、直流放電方式、高周波放電方式、マイクロ波放電方式等がある(特許文献1参照)。また、磁場を印加することによりプラズマをイオン源内部に閉じこめておくことも可能であり、プラズマ室の周囲に永久磁石を配置することによりカスプ磁場を形成する場合もある。
ところで、近年、トランジスタの構成材料として、酸化物半導体と呼ばれる半導体特性を示す金属酸化物に注目が集まっている。半導体特性を示す金属酸化物としては、例えば、酸化タングステン、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛などがあり、このような半導体特性を示す金属酸化物にチャネルが形成されるトランジスタが、既に知られている(特許文献2及び特許文献3)。
特開2009−21066号公報 特開2007−123861号公報 特開2007−96055号公報
酸化物半導体において、水素や酸素欠損の一部はドナーとなり、キャリアである電子を生成する。酸化物半導体膜において、キャリア密度が高まると、ゲートに電圧を印加しなくてもトランジスタにチャネルが形成されてしまう。これにより、しきい値電圧が負の方向にシフトする。
そのため、酸化物半導体膜に酸素を添加する、又は当該酸化物半導体膜に接する絶縁膜に過剰な酸素を添加して酸素過剰領域を形成し、当該酸素過剰領域から酸化物半導体膜に酸素を供給すると、酸素欠損を抑制することができるので好適である。酸化物半導体膜に酸素を添加する、又は、当該酸化物半導体膜に接する絶縁膜に酸素過剰領域を形成することにより、トランジスタの電気特性を向上させることができる。
酸化物半導体膜、又は当該酸化物半導体膜に接する絶縁膜に酸素を添加するために、上述のドーピング装置を用いると、酸化物半導体膜又は絶縁膜表面の広い領域に酸素を添加することが可能という点で好適である。
しかしながら、ドーピング装置により酸素を添加する場合、熱電子を発生させるフィラメントや、発生したイオンを加速又は減速する電極が、酸素により酸化してしまう恐れが生じる。フィラメントが酸化してしまうと、プラズマを発生させることが不可能となる。また電極が酸化してしまうと、電極に設けられた複数の孔が酸化物で詰まってしまい、イオン流を塞いでしまう恐れがある。
以上を鑑みて、開示される発明の一態様では、酸素を添加可能なドーピング装置を提供することを課題の一とする。
また開示される発明の一態様では、電気特性が向上した半導体装置を提供することを課題の一とする。
開示される発明の一態様では、まず、第1のチャンバに設けられたフィラメントに電流を流すことにより、熱電子を発生させる。
また第1のチャンバには、ガス導入部から不活性ガスが導入される。導入された不活性ガスは、当該熱電子と衝突し、これにより当該不活性ガスのイオンが生成され、不活性ガスのプラズマが発生する。このように、フィラメントが曝されるのは不活性ガスであるので、フィラメントが酸化されることはない。
当該生成された不活性ガスのイオンは、第2のチャンバに設置された引き出し電極により引き出され、加速電極にて加速される。引き出し電極及び加速電極は多孔質であり、引き出し電極及び加速電極が酸化されてしまうと、設けられた複数の孔が酸化物で詰まる恐れがある。しかしながら、引き出し電極及び加速電極を通過するのは不活性ガスのイオンであるので、引き出し電極及び加速電極が酸化される恐れはない。
当該加速された不活性ガスのイオンは、第3のチャンバに到達する。当該第3のチャンバには、酸素イオン供給部によって酸素イオンが供給される。より具体的には、酸素イオン供給部は、酸素導入装置、酸素導入装置及び酸素プラズマ室を連結する管、管に捲かれたコイルを有しており、酸素導入装置から管を通って酸素プラズマ室に酸素が導入される。管に捲かれたコイルによって高電圧が印加されることにより、当該管を通る酸素がプラズマ化される(誘導結合プラズマ)。つまり、当該コイルで電圧が印加されることにより、酸素イオンが生成される。なお、酸素がプラズマ化されることにより、酸素イオンだけでなく、酸素ラジカルも生成される可能性がある。その場合、本明細書では「酸素イオン」は、記載がなくても「酸素ラジカル」も含むものとする。なお、当該管は、例えば石英ガラス管等の絶縁物で構成された管を用いる。このようにして、第3のチャンバには、酸素プラズマが生成されている。
第3のチャンバでは、不活性ガスのイオンが通過する領域に、上述のようにして生成された酸素イオンが供給される。これにより不活性ガスのイオンと酸素イオンが衝突する。衝突した不活性ガスのイオン及び酸素イオンは、不活性ガスのイオンの運動エネルギーにより、第4のチャンバに設置された対象物に照射される。
以上により、酸素イオンが対象物に照射される。なお、対象物には、酸素イオンと同時に不活性ガスのイオンも照射されるが、不活性ガスのため、特に問題は生じない。
開示される発明の一態様は、不活性ガスが導入されるガス導入部と、熱電子を発生するフィラメントとを有するアークチャンバと、当該アークチャンバでイオン化された不活性ガスのイオンを引き出す第1の電極と、当該第1の電極によって引き出された不活性ガスのイオンを加速する第2の電極と、当該第2の電極で加速された不活性ガスのイオンが通過する領域に酸素イオンを供給する酸素イオン供給部と、当該不活性ガスのイオンと酸素イオンが導入される試料室と、を有することを特徴とするドーピング装置に関する。
開示される発明の一態様において、当該酸素イオン供給部は、誘導結合プラズマによって酸素をプラズマ化して酸素イオンを生成するものであることを特徴とする。
開示される発明の一態様において、当該酸素イオン供給部は、酸素導入装置と、酸素導入装置に連結された管と、当該管に捲かれたコイルを有することを特徴とする。
開示される発明の一態様において、当該管の材料は、石英ガラスであることを特徴とする。
開示される発明の一態様において、当該フィラメントの材料は、タングステンであることを特徴とする。
開示される発明の一態様において、当該第1の電極及び当該第2の電極は、それぞれ多孔性電極であり、当該第1の電極及び当該第2の電極の材料は、タングステンであることを特徴とする。
開示される発明の一態様は、フィラメントに電流を流して熱電子を発生させ、当該熱電子を不活性気体に衝突させて、当該不活性気体のイオンを生成し、当該生成された不活性気体のイオンに、電極により電圧を印加することにより、当該不活性気体のイオンを加速し、酸素に電圧を印加することにより、酸素プラズマを発生させて酸素イオンを生成し、当該酸素イオンに、当該加速された不活性気体のイオンを衝突させて、当該酸素イオンを対象物に照射することを特徴とするドーピング方法に関する。
開示される発明の一態様において、基板上に絶縁層を形成し、当該絶縁層に当該酸素イオンを照射することを特徴とする。
開示される発明の一態様において、酸化物半導体層に当該酸素イオンを照射することを特徴とする。
開示される発明の一態様により、酸素を添加可能なドーピング装置を提供することができる。
また開示される発明の一態様により、電気特性が向上した半導体装置を提供することができる。
ドーピング装置の概略図。 ドーピング装置の概略図。 半導体装置の平面図及び断面図。 半導体装置の作製工程を示す断面図。 半導体装置の作製工程を示す断面図。 半導体装置の断面図。
以下、本明細書に開示された発明の実施の態様について、図面を参照して説明する。但し、本明細書に開示された発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本明細書に開示された発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に示す図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
なお本明細書に開示された発明において、半導体装置とは、半導体を利用することで機能する素子及び装置全般を指し、電子回路、表示装置、発光装置等を含む電気装置およびその電気装置を搭載した電子機器をその範疇とする。
なお、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、説明を分かりやすくするために、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
なお、本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの序数は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
また、「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
なお、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
本明細書等において厚さに関する「略等しい」の用語は、完全に等しい場合のみでなく、実質的に等しい場合をも含む趣旨で用いる。例えば、「略等しい」には、完全に等しい場合と比較して半導体装置の特性に与える影響が無視できる程度の差(特性に与える影響が5%以下)である場合や、意図せずに僅かに研磨された場合(研磨量が5nm未満程度の場合)などが含まれる。
なお、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が「直上」または「直下」であることを限定するものではない。例えば、「ゲート絶縁膜上のゲート電極」の表現であれば、ゲート絶縁膜とゲート電極との間に他の構成要素を含むものを除外しない。
[実施の形態1]
本実施の形態のドーピング装置を図1に示す。図1に示すドーピング装置は、第1のチャンバであるアークチャンバ101、第2のチャンバであるイオン加速室103、第3のチャンバである酸素プラズマ室104、第4のチャンバである試料室102を有している。なお図1では、アークチャンバ101、イオン加速室103、及び、酸素プラズマ室104は、明確な区切りはなく連結されているため、これら全てのチャンバが一つのチャンバとみなすこともでき、ドーピングに用いるイオンを発生させるイオン源であるともいえる。
アークチャンバ101には、カソードであるフィラメント111、アノード116、及び、アルゴン等の不活性ガスを導入するガス導入部134が設けられている。なおアノード116は、必要がなければ設けなくてもよい。
不活性ガスは、ガス導入部134からアークチャンバ101に導入される。
上記フィラメント111に電流を流すことにより、熱電子を発生させる。なお本実施の形態では、フィラメント111の材料として、タングステン(W)を用いている。
図1における、フィラメント111が設けられたアークチャンバ101のA1−A2の断面を図2(A)に示す。図2(A)において、断面が円状のアークチャンバ101に、4つのフィラメント111が等間隔に設けられている。
ガス導入部134からアークチャンバ101に不活性ガスが導入される。導入された不活性ガスは、当該熱電子と衝突し、これにより当該不活性ガスのイオンが生成され、不活性ガスのプラズマ138が発生する(アーク放電)。このように、フィラメントが曝されるのは不活性ガスであり、酸素には曝されないので、フィラメント111は酸化されない。
イオン加速室103には、引き出し電極112、加速電極113、減速電極114、及び、接地電極115が設けられている。引き出し電極112、加速電極113、減速電極114、及び、接地電極115は、それぞれ貫通穴を複数有する多孔性電極である。引き出し電極112及びアノード116は同電位であり、引き出し電源131の正極に電気的に接続されている。加速電極113は、引き出し電源131の負極及び加速電源132の正極に電気的に接続されている。減速電極114は、減速電源133の負極に電気的に接続されている。接地電極115は接地されている。以上のようにして、引き出し電極112、加速電極113、減速電極114、及び、接地電極115には、異なる電圧値の電圧が印加されている。なお本実施の形態では、引き出し電極112、加速電極113、減速電極114、及び、接地電極115の材料として、タングステン(W)を用いている。
アークチャンバ101で生成されたイオンは、引き出し電極112に所定の電圧値の電圧を印加されることにより引き出され、加速電極113に別の電圧値の電圧を印加されることにより所望の速度まで加速される。減速電極114及び接地電極115では、発散するイオンを捕集してイオン流の方向性を高めている。
図1における、引き出し電極112が設けられたイオン加速室103のB1−B2の断面を図2(B)に示す。図2(B)に示すように、断面が円状のイオン加速室103に、複数の貫通孔を有する多孔性電極である引き出し電極112が設けられている。
なお、加速電極113、減速電極114、接地電極115も、図2(B)に示す引き出し電極112と同様の構造を有している。
また減速電極114は、引き出し電極112、加速電極113、減速電極114、及び、接地電極115を通過したものの、ドーピング装置の壁に反射して戻ってくるイオンの進行を抑制する機能を有する。これにより、ドーピング装置の壁に反射して戻ってくる不活性ガスのイオンはもちろん、後述する酸素イオンがアークチャンバ101側に進行するのを抑制することができる。
なお、引き出し電源131、加速電源132、及び減速電源133は、ドーピング装置の外部に設けられている。加速電源132の負極及び減速電源133の正極は、接地されている。
生成された不活性ガスのイオンは、引き出し電極112により引き出され、加速電極113にて加速される。引き出し電極112、加速電極113、減速電極114、及び、接地電極115は多孔性電極であり、これら多孔性電極が酸化されてしまうと、設けられた複数の孔が酸化物で詰まる恐れがある。しかしながら、引き出し電極112、加速電極113、減速電極114、及び、接地電極115を通過するのは不活性ガスのイオンであるので、これら多孔性電極が酸化される恐れはない。
生成された不活性ガスのイオンは、引き出し電極112、加速電極113、減速電極114、及び、接地電極115を通過して、酸素プラズマ室104に到達する。
酸素プラズマ室104には、酸素イオン供給部145及び排気装置136が設けられている。酸素イオン供給部145は、酸素を導入する酸素導入装置135、酸素導入装置135と酸素プラズマ室104を連結する管141、管141に捲かれたコイル142を有している。管141は、例えば石英ガラス管等であり、絶縁物で構成された管である。また酸素プラズマ室104の内壁の材料として、酸化されない材料、例えば酸化物材料、より具体的には酸化モリブデンを用いることが好ましい。
酸素プラズマ室104では、酸素導入装置135から酸素が導入される。また排気装置136により、酸素プラズマ室104に供給された酸素が排気される。これにより、酸素プラズマ室104内で、酸素導入装置135から排気装置136に向かって酸素の気流が発生する。
管141に捲かれたコイル142に電源143から高電圧が印加されることにより、コイル142から酸素に高電圧が印加される。これにより、管141を通る酸素がプラズマ化される(誘導結合プラズマ)。これにより、酸素導入装置135から酸素プラズマ室104に酸素が移動する間に、酸素イオンが生成される。
このようにして、酸素プラズマ室104には、酸素プラズマ139が生成される。
酸素プラズマ室104では、不活性ガスのイオンが通過する領域に、上述のようにして生成された酸素イオンが供給される。これにより不活性ガスのイオンと酸素イオンが衝突する。衝突した不活性ガスのイオン及び酸素イオンは、不活性ガスのイオンの運動エネルギーにより、試料室102に設けられた対象物120に照射される。
なお、酸素プラズマ室104及び試料室102との間に、酸素イオン及び不活性ガスのイオンの拡散を防止する拡散防止板144を設けてもよい。拡散防止板144は、複数の貫通孔を有する多孔性の材料から形成されればよい。
以上により、酸素イオンが対象物120に照射される。なお、対象物120には、酸素イオンと同時に不活性ガスのイオンも照射されるが、不活性ガスのため、特に問題は生じない。
試料室102には、ステージ107及び排気装置108が設けられている。酸素イオンが照射される対象物120は、ステージ107上に配置される。なお、ステージ107は、ステージ107が設けられている試料室の壁(あるいは床)を移動できるような構成にしてもよい。ステージ107を移動させることにより、対象物120も移動し、対象物120に均一にイオンを照射することができる。
試料室102はイオン流の断面積よりも大面積の対象物120を処理する場合は、ステージ107を走査させることにより対象物120の全面へのドーピング処理を可能とする。このような場合、イオン流の断面形状を長方形又は線形として、対象物120に照射する形態とする。なお、図1においては、対象物120を水平に配置し、イオン流を対象物120に対して垂直方向に照射する構成を示しているが、対象物120上のパーティクルを減らすために、対象物120を地面に対して垂直に配置し、イオン流を対象物120に対して垂直方向に照射する構造としてもよい。
本実施の形態では、対象物120は、保持手段121a及び保持手段121bにより、ステージ107上に保持されている。又は、対象物120を真空チャック等でステージ107に保持してもよい。
図1における、対象物120、ステージ107、保持手段121a、及び保持手段121bが設けられた試料室102のC1−C2の断面を図2(C)に示す。図2(C)に示すように、断面が円状の試料室102に、ステージ107が設けられている。また、対象物120の端部を保持手段121a及び保持手段121bで保持することにより、対象物120をステージ107上に保持する。
なお図2(C)では、イオン流の断面積よりも面積の小さい対象物120について述べている。イオン流の断面積よりも大面積の対象物120を処理する場合は、上述のように、ステージ107を走査させることにより対象物120の全面へのドーピング処理を可能とする。このような場合、イオン流の断面形状を長方形又は線形として、対象物120に照射する形態とすればよい。
対象物120は、例えば、酸化物半導体層や当該酸化物半導体層に接する絶縁膜の形成された基板等である。
なお試料室102には、排気装置108が設けられており、対象物120へのイオン照射を行う前に、アークチャンバ101、試料室102、イオン加速室103、及び酸素プラズマ室104内部を、排気装置108により高真空状態とする。
図1に示すドーピング装置では、フィラメント111を用いて発生させるのは、不活性ガスのプラズマである。また、引き出し電極112により加速電極113に導入され、当該加速電極113により加速、減速電極114及び接地電極115によりイオンの分布が調整されるのは、不活性ガスのイオンである。
一方、酸素プラズマが発生し、酸素イオンが生成される酸素プラズマ室内部には、フィラメントや電極が設置されない。これにより、フィラメントや電極が酸化されるのを防ぐことができる。
上述のように、本実施の形態のドーピング装置では、対象物120に酸素を添加(酸素イオンを照射)することが可能であり、かつ、フィラメントや多孔性電極の酸化を防ぐことが可能である。
排気装置136及び排気装置108はそれぞれ、ドライポンプ、メカニカルブースターポンプ、又はターボ分子ポンプ等を適宜用いればよい。
なお必要であれば、第3のチャンバである酸素プラズマ室104及び第4のチャンバである試料室102との間に、質量分離器を設置してもよい。質量分離器を設置することによって、特定の質量のイオン種を対象物に照射することができる。
以上本実施の形態により、酸素を添加可能なドーピング装置を提供することができる。
[実施の形態2]
本実施の形態では、実施の形態1で述べたドーピング装置を用いた半導体装置の作製方法の一形態について説明する。本実施の形態では、半導体装置の一例として酸化物半導体層を有するトランジスタを示す。
トランジスタはチャネル形成領域が1つ形成されるシングルゲート構造でも、2つ形成されるダブルゲート構造もしくは3つ形成されるトリプルゲート構造であってもよい。また、チャネル領域の上下にゲート絶縁層を介して配置された2つのゲート電極層を有する、デュアルゲート型でもよい。
図3(A)乃至図3(C)に示すトランジスタ440aは、トップゲート構造のトランジスタの一例である。図3(A)は平面図であり、図3(A)中の一点鎖線X1−X2で切断した断面が図3(B)に相当し、図3(A)中の一点鎖線Y1−Y2で切断した断面が図3(C)に相当する。
チャネル長方向の断面図である図3(B)及びチャネル幅方向の断面図である図3(C)に示すように、トランジスタ440aを含む半導体装置は、下地絶縁層436が設けられた絶縁表面を有する基板400上に、酸化物半導体層403、ソース電極層405a、ドレイン電極層405b、ゲート絶縁層402、ゲート電極層401、ゲート電極層401の側面に設けられた側壁絶縁層412、ゲート電極層401上に設けられた絶縁層413、ソース電極層405a及びドレイン電極層405b上に設けられた層間絶縁層417、層間絶縁層417上に設けられた層間絶縁層415、トランジスタ440aを覆う絶縁層407を有する。なお、図面をわかりやすくするため、図3(A)では一部の構成要素の記載を省略している。
また、本実施の形態に示す下地絶縁層436は、第1の下地絶縁層436a及び第2の下地絶縁層436bの積層により構成する例を示している。また、本実施の形態に示すゲート絶縁層402は、第1のゲート絶縁層402a及び第2のゲート絶縁層402bの積層により構成する例を示している。第1の下地絶縁層436a、第2のゲート絶縁層402b、層間絶縁層417は、水素、水分、水素化物、または水酸化物などの不純物や、酸素に対するバリア性を有する材料を用いることが好ましい。上記絶縁層にバリア性を有する材料を適用することで、外部からの不純物の浸入を防ぐとともに、酸化物半導体層403、第2の下地絶縁層436b、第1のゲート絶縁層402aからの酸素の脱離を防ぐことができる。
層間絶縁層415はトランジスタ440aによる凹凸を平坦化するように設けられており、該上面の高さ(基板400表面からの垂直距離)は側壁絶縁層412、及び絶縁層413と概略同じである。また、ソース電極層405a及びドレイン電極層405bの上面の高さは、層間絶縁層415、側壁絶縁層412、及び絶縁層413の上面の高さより低く、ゲート電極層401の上面の高さより高い。
また、図3において、絶縁層407は、層間絶縁層415、層間絶縁層417、ソース電極層405a、ドレイン電極層405b、側壁絶縁層412、絶縁層413と接して設けられている。
なお、本明細書中において、酸化物半導体層403中のゲート電極層401と重畳する領域を、チャネル形成領域と言い、酸化物半導体層403中のソース電極層405aと接する領域をソース領域と言い、酸化物半導体層403中のドレイン電極層405bと接する領域をドレイン領域と言う。また、酸化物半導体層403中のチャネル形成領域とソース領域の間をオフセット領域406aと言い、チャネル形成領域とドレイン領域の間の領域をオフセット領域406bと言う。オフセット領域406a、及びオフセット領域406bは、酸化物半導体層403中の側壁絶縁層412と重畳する位置に形成される。
すなわち、チャネル形成領域、ソース領域、ドレイン領域、オフセット領域406a、オフセット領域406bは、自己整合により形成される。なお、オフセット領域を設けることによりゲート電極層401とソース電極層405a間に生じる寄生容量を低減することができる。また、ゲート電極層401とドレイン電極層405b間に生じる寄生容量を低減することができる。
また、自己整合によりチャネル形成領域が形成されるため、トランジスタの微細化が実現し易く、オン特性(例えば、オン電流及び電界効果移動度)が高く、高速動作が可能となる。
一方、後述する作製工程において、酸化物半導体層403に、ゲート電極層401をマスクとして、酸化物半導体の導電性を変化させる不純物元素が添加される場合は、ソース領域及びチャネル形成領域との間、並びに、ドレイン領域及びチャネル形成領域との間に、自己整合的に低抵抗領域が形成される。当該低抵抗領域が形成されると、トランジスタ440aのオン抵抗を低減し、動作速度を向上させることができる。
酸化物半導体層403に用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)または亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてジルコニウム(Zr)を有することが好ましい。
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
例えば、酸化物半導体層403として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
また、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)(n>0)で表記される材料を用いてもよい。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)、あるいはIn:Ga:Zn=3:1:2(=1/2:1/6:1/3)の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子数比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間結合距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
例えば、In−Sn−Zn系酸化物では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn系酸化物でも、バルク内欠陥密度を低くすることにより移動度を上げることができる。
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C=1)の酸化物の組成の近傍であるとは、a、b、cが、(a−A)+(b−B)+(c−C)≦rを満たすことをいう。rとしては、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様である。
本実施の形態に開示する酸化物半導体には、単結晶酸化物半導体、多結晶(ポリクリスタルともいう。)酸化物半導体、または非晶質酸化物半導体の他に、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)を用いることができる。
CAAC−OSは、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC−OSは、非晶質相に結晶部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体である。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OSに含まれる非晶質部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OSには粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OSは、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
CAAC−OSに含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OSの被形成面または表面に垂直な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸及びb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。
なお、CAAC−OSにおいて、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OSの形成過程において、酸化物半導体層の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OSへ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
CAAC−OSに含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OSの被形成面または表面に垂直な方向に揃うため、CAAC−OSの形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結晶部のc軸の方向は、CAAC−OSが形成されたときの被形成面または表面に垂直な方向となる。結晶部は、成膜することにより、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
CAAC−OSを用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動を低減することが可能である。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
なお、酸化物半導体層を構成する酸素の一部は窒素で置換されてもよい。
また、CAAC−OSのように結晶部を有する酸化物半導体では、よりバルク内欠陥を低減することができ、表面の平坦性を高めればアモルファス状態の酸化物半導体以上の移動度を得ることができる。表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体を形成することが好ましく、具体的には、平均面粗さ(Ra)が1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下の表面上に形成するとよい。
なお、Raは、JIS B0601で定義されている中心線平均粗さを面に対して適用できるよう三次元に拡張したものであり、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」と表現できる。また、Raは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)にて評価可能である。
酸化物半導体層の厚さは、1nm以上30nm以下(好ましくは5nm以上10nm以下)とし、スパッタリング法、MBE(Moleculer Beam Epitaxy)法、CVD法、パルスレーザ堆積法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等を適宜用いることができる。また、酸化物半導体層403は、スパッタリングターゲット表面に対し、概略垂直に複数の基板表面がセットされた状態で成膜を行うスパッタ装置、所謂CPスパッタ装置(Columner Plasma Sputtering system)を用いて成膜してもよい。
図4(A)乃至図4(E)及び図5(A)乃至図5(D)にトランジスタ440aを有する半導体装置の作製方法の一例を示す。
まず、基板400上に下地絶縁層436を形成する。
基板400に使用することができる基板に大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例えば、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などを用いることができる。また、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI基板などを適用することもでき、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板400として用いてもよい。
また、基板400として、可撓性基板を用いて半導体装置を作製してもよい。可撓性を有する半導体装置を作製するには、可撓性基板上に酸化物半導体層403を含むトランジスタ440aを直接作製してもよいし、他の作製基板に酸化物半導体層403を含むトランジスタ440aを作製し、その後可撓性基板に剥離、転置してもよい。なお、作製基板から可撓性基板に剥離、転置するために、作製基板と酸化物半導体層を含むトランジスタ440aとの間に剥離層を設けるとよい。
下地絶縁層436としては、プラズマCVD法又はスパッタリング法等により、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、又はこれらの混合材料を用いて形成することができる。なお、本明細書において、酸化窒化とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものを指し、窒化酸化とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものを指すものとする。ここで、酸素及び窒素の含有量は、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)または水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward scattering Spectrometry)を用いて測定するものとする。
また、下地絶縁層436として、熱酸化膜を用いてもよい。熱酸化膜は、基板を酸化性雰囲気中で熱処理することで、基板表面を酸化させて形成することができる。例えば、基板400として単結晶シリコン基板を用いて、酸素を含む雰囲気や水蒸気を含む雰囲気中で、900℃乃至1200℃で数時間の熱処理を行うことで、基板400の表面に熱酸化膜を形成することができる。
また、下地絶縁層436は、単層でも積層でもよいが、後述する酸化物半導体層403に近い方から順に、層中(バルク中)に少なくとも化学量論比を超える量の酸素が存在する絶縁層、及び、水素、水分、水素化物、または水酸化物などの不純物や、酸素に対するバリア性を有する絶縁層の積層であると、酸化物半導体層403に酸素を供給、かつ、酸化物半導体層403からの酸素の脱離を抑制することができるので好適である。本実施の形態では、下地絶縁層436として、第1の下地絶縁層436aと第2の下地絶縁層436bの積層を用いる。また、基板400上に形成する第1の下地絶縁層436aは、窒化シリコンや酸化アルミニウムなどの、水素、水分、水素化物、または水酸化物などの不純物や、酸素に対するバリア性を有する材料を用いることが好ましい。また、第1の下地絶縁層436a上に形成する第2の下地絶縁層436bは酸化物半導体層403と接するため、層中(バルク中)に少なくとも化学量論比を超える量の酸素が存在することが好ましい。例えば、第2の下地絶縁層436bとして、酸化シリコンを用いる場合には、SiO2+α(ただし、α>0)とする。このような第2の下地絶縁層436bを用いることで、酸化物半導体層403に酸素を供給することができ、特性を良好にすることができる。酸化物半導体層403へ酸素を供給することにより、酸化物半導体層403中の酸素欠損を補填することができる。
層中(バルク中)に少なくとも化学量論比を超える量の酸素が存在する第2の下地絶縁層436bを形成するために、第2の下地絶縁層436bを成膜後、実施の形態1で説明したドーピング装置を用いて酸素を添加すればよい。実施の形態1で説明したドーピング装置を用いて、酸素を添加する方法については、第1の下地絶縁層436a及び第2の下地絶縁層436bを積層した基板400を、実施の形態1で述べた対象物120として、酸素を第2の下地絶縁層436bに添加する。
本実施の形態では、基板400として単結晶シリコン基板を用い、第1の下地絶縁層436aとして基板400上にプラズマCVD法により厚さ50nmの窒化シリコンを形成し、第1の下地絶縁層436a上に第2の下地絶縁層436bとして厚さ300nmの酸化シリコンを形成する。
下地絶縁層436形成時の温度は、基板400が耐えうる温度以下で、より高いほうが好ましい。例えば、基板400を350℃以上450℃以下の温度に加熱しながら下地絶縁層436を形成する。なお、下地絶縁層436形成時の温度は一定であることが好ましい。例えば、下地絶縁層436の形成を、基板400を350℃に加熱して行う。
また、下地絶縁層436の形成後、減圧下、窒素雰囲気下、希ガス雰囲気下、または超乾燥エア窒素雰囲気下において、加熱処理を行ってもよい。加熱処理により下地絶縁層436に含まれる水素、水分、水素化物、または水酸化物などの濃度を低減することができる。加熱処理度は、基板400が耐えうる温度以下で、より高い温度で行うことが好ましい。具体的には、下地絶縁層436の成膜温度以上、基板400の歪点以下で行うことが好ましい。
なお、下地絶縁層436の水素濃度は、5×1018atoms/cm未満、好ましくは1×1018atoms/cm以下、より好ましくは5×1017atoms/cm以下、更に好ましくは1×1016atoms/cm以下とすることが望ましい。
第2の下地絶縁層436bを成膜後、実施の形態1で説明したドーピング装置を用いて酸素を添加する。これにより、層中(バルク中)に少なくとも化学量論比を超える量の酸素が存在する第2の下地絶縁層436bを形成することができる。
第2の下地絶縁層436bに酸素を添加する方法については、上述のように、第1の下地絶縁層436a及び第2の下地絶縁層436bを積層した基板400を、実施の形態1で述べた対象物120として、第2の下地絶縁層436bに酸素を添加する(図4(A)参照)。
酸素の供給により、第2の下地絶縁層436bを構成する元素と水素の間の結合、或いは該元素と水酸基の間の結合を切断するとともに、これらの水素または水酸基が酸素と反応することで水を生成するため、酸素の供給後に加熱処理を行うと、不純物である水素または水酸基が、水として脱離しやすくなる。このため、第2の下地絶縁層436bへ酸素を供給した後に加熱処理を行ってもよい。その後、さらに第2の下地絶縁層436bに酸素を供給し、第2の下地絶縁層436bを酸素過剰な状態としてもよい。また、第2の下地絶縁層436bへの酸素の供給と加熱処理は、それぞれを交互に複数回行ってもよい。また、加熱処理と酸素の供給を同時に行ってもよい。
次に、下地絶縁層436上に酸化物半導体層403をスパッタリング法により形成する。
酸化物半導体層403の形成工程において、酸化物半導体層403に水素、又は水がなるべく含まれないようにするために、酸化物半導体層403の成膜の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室で下地絶縁層436が形成された基板を予備加熱し、基板及び下地絶縁層436に吸着した水素、水分などの不純物を脱離し排気することが好ましい。なお、予備加熱室に設ける排気手段はクライオポンプが好ましい。
下地絶縁層436において酸化物半導体層403が接して形成される領域に、平坦化処理を行ってもよい。平坦化処理としては、特に限定されないが、研磨処理(例えば、化学的機械研磨法)、ドライエッチング処理、プラズマ処理を用いることができる。
プラズマ処理としては、例えば、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタリングを行うことができる。逆スパッタリングとは、アルゴン雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウム、酸素などを用いてもよい。逆スパッタリングを行うと、下地絶縁層436の表面に付着している粉状物質(パーティクル、ごみともいう)を除去することができる。
平坦化処理として、研磨処理、ドライエッチング処理、プラズマ処理は複数回行ってもよく、それらを組み合わせて行ってもよい。また、組み合わせて行う場合、工程順も特に限定されず、下地絶縁層436表面の凹凸状態に合わせて適宜設定すればよい。
平坦化処理は、例えば、下地絶縁層436として用いる酸化シリコン層表面に化学的機械研磨法により研磨処理(研磨条件:ポリウレタン系研磨布、シリカ系スラリー、スラリー温度室温、研磨圧0.001MPa、研磨時回転数(テーブル/スピンドル)60rpm/56rpm、研磨時間0.5分)を行い、酸化シリコン層表面における平均面粗さ(Ra)を約0.15nmとすればよい。
なお、酸化物半導体層403を形成するためのスパッタリングガスは、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気、酸素雰囲気、希ガス及び酸素の混合ガスを適宜用いる。また、スパッタリングガスには、水素、水、水酸基または水素化物などの不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
なお、酸化物半導体層403は、酸素が多く含まれるような条件(例えば、酸素100%の雰囲気下でスパッタリング法により成膜を行うなど)で形成して、酸素を多く含むまたは酸素が過飽和な状態(好ましくは酸化物半導体が結晶状態における化学量論的組成比に対し、酸素の含有量が過剰な領域が含まれている状態)とすることが好ましい。
例えば、スパッタリング法を用いて酸化物半導体層を形成する場合、スパッタリングガスの酸素の占める割合が多い条件で行うことが好ましく、スパッタリングガスを酸素ガス100%として行うことが好ましい。スパッタリングガス中の酸素ガスの占める割合が多い条件、特に酸素ガス100%で成膜すると、例えば形成温度を300℃以上としても、酸化物半導体層中からのZnの放出が抑えられる。
酸化物半導体層403は、銅、アルミニウム、塩素などの不純物がほとんど含まれない高純度化されたものであることが望ましい。トランジスタの製造工程において、これらの不純物が混入または酸化物半導体層表面に付着する恐れのない工程を適宜選択することが好ましい。具体的には、酸化物半導体層403の銅濃度は1×1018atoms/cm以下、好ましくは1×1017atoms/cm以下とする。また、酸化物半導体層403のアルミニウム濃度は1×1018atoms/cm以下とする。また、酸化物半導体層403の塩素濃度は2×1018atoms/cm以下とする。
また、酸化物半導体層403中のナトリウム(Na)、リチウム(Li)、カリウム(K)などのアルカリ金属の濃度は、Naは5×1016cm−3以下、好ましくは1×1016cm−3以下、さらに好ましくは1×1015cm−3以下、Liは5×1015cm−3以下、好ましくは1×1015cm−3以下、Kは5×1015cm−3以下、好ましくは1×1015cm−3以下とすることが好ましい。
本実施の形態においては、酸化物半導体層403として、AC電源装置を有するスパッタリング装置を用いたスパッタリング法により、膜厚35nmのIn−Ga−Zn系酸化物(IGZO)を形成する。スパッタリング法で作製するためのターゲットとしては、組成比として、In:Ga:Zn=3:1:2[原子数比]の金属酸化物ターゲットを用いる。
また、金属酸化物ターゲットの相対密度(充填率)は90%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%以下である。相対密度の高い金属酸化物ターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体層403は緻密な膜とすることができる。
酸化物半導体層403を、成膜する際に用いるスパッタリングガスは水素、水、水酸基又は水素化物などの不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
まず、減圧状態に保持された成膜室内に基板を保持する。そして、成膜室内の残留水分を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて基板400上に酸化物半導体層403を成膜する。成膜室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプ、例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子、水(HO)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該成膜室で成膜した酸化物半導体層403に含まれる不純物の濃度を低減できる。
また、下地絶縁層436と酸化物半導体層403を大気に解放せずに連続的に形成してもよい。下地絶縁層436と酸化物半導体層403とを大気に曝露せずに連続して形成すると、下地絶縁層436表面に水素や水分などの不純物が付着することを防止することができる。
また、酸化物半導体層403形成後に、酸化物半導体層403中の過剰な水素(水や水酸基を含む)を除去(脱水化または脱水素化)するための加熱処理を行ってもよい。加熱処理の温度は、300℃以上700℃以下、または基板の歪み点未満とする。加熱処理は減圧下又は窒素雰囲気下などで行うことができる。例えば、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導体層403に対して窒素雰囲気下450℃において1時間の加熱処理を行う。
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を用いてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。高温のガスには、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性ガスが用いられる。
例えば、加熱処理として、650℃〜700℃の高温に加熱した不活性ガス中に基板を入れ、数分間加熱した後、基板を不活性ガス中から出すGRTAを行ってもよい。
なお、加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、熱処理装置に導入する窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上好ましくは7N(99.99999%)以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
また、加熱処理により酸化物半導体層403を加熱した後、同じ炉に高純度の酸素ガス、高純度の一酸化二窒素ガス、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは10ppb以下の空気)を導入してもよい。酸素ガスまたは一酸化二窒素ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、熱処理装置に導入する酸素ガスまたは一酸化二窒素ガスの純度を、6N以上好ましくは7N以上(即ち、酸素ガスまたは一酸化二窒素ガス中の不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。酸素ガス又は一酸化二窒素ガスの作用により、脱水化または脱水素化処理による不純物の排除工程によって同時に減少してしまった酸化物半導体を構成する主成分材料である酸素を供給することによって、酸化物半導体内の酸素欠損が低減され、酸化物半導体層403をi型(真性)または実質的にi型化することができる。この点、シリコンなどのように不純物元素を添加してのi型化ではないため、酸化物半導体のi型化は従来にない技術思想を含むものといえる。
脱水化又は脱水素化のための加熱処理は、酸化物半導体層の形成後であれば、島状の酸化物半導体層403の形成前に行ってもよく、形成後に行ってもよい。また、脱水化又は脱水素化のための加熱処理は、複数回行ってもよく、他の加熱処理と兼ねてもよい。
また、脱水化又は脱水素化処理によって、酸化物半導体を構成する主成分材料である酸素が同時に脱離して減少してしまう恐れがある。酸化物半導体層において、酸素が脱離した箇所では酸素欠損が存在し、該酸素欠損に起因してトランジスタの電気的特性変動を招くドナー準位が生じてしまう。
このため、脱水化又は脱水素化処理を行った酸化物半導体層403に、酸素(少なくとも、酸素ラジカル、酸素原子、酸素イオン、のいずれかを含む)を供給してもよい。
脱水化又は脱水素化処理を行った酸化物半導体層403に、酸素を供給することによって、脱水化または脱水素化処理による不純物の排除工程によって生じた酸化物半導体内の酸素欠損を低減し、酸化物半導体層403を電気的にi型(真性)化することができる。電気的にi型(真性)化した酸化物半導体層403を有するトランジスタは、電気特性変動が抑制されており、電気的に安定である。
酸素の供給方法としては、実施の形態1で説明したドーピング装置を用いて酸素を添加すればよい。下地絶縁層436上に酸化物半導体層403を成膜した基板400を、実施の形態1で述べた対象物120として、酸化物半導体層403に酸素を添加する(図4(B)参照)。
酸素の供給により、酸化物半導体層403を構成する元素と水素の間の結合、或いは該元素と水酸基の間の結合を切断するとともに、これらの水素または水酸基が酸素と反応することで水を生成するため、酸素の供給後に加熱処理を行うと、不純物である水素または水酸基が、水として脱離しやすくなる。このため、酸化物半導体層403へ酸素を供給した後に加熱処理を行ってもよい。その後、さらに酸化物半導体層403に酸素を供給し、酸化物半導体層403を酸素過剰な状態としてもよい。また、酸化物半導体層403への酸素の供給と加熱処理は、それぞれを交互に複数回行ってもよい。また、加熱処理と酸素の供給を同時に行ってもよい。
このように、酸化物半導体層403は水素などの不純物が十分に除去されることにより高純度化され、また、十分な酸素が供給されて酸化物半導体層403中の酸素欠損が低減されることにより、i型(真性)または実質的にi型(真性)化されたものであることが望ましい。
電子供与体(ドナー)となる水分または水素などの不純物が低減されて高純度化された酸化物半導体(purified OS)は、その後、酸化物半導体に酸素を供給して、酸化物半導体内の酸素欠損を低減することによりi型(真性)の酸化物半導体又はi型に限りなく近い(実質的にi型化した)酸化物半導体とすることができる。チャネルが形成される半導体層にi型または実質的にi型化された酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が著しく低いという特性を有する。
具体的に、高純度化された酸化物半導体層の水素濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)による水素濃度の測定値が、5×1019atoms/cm以下、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは5×1017atoms/cm以下とする。また、酸化物半導体層403に十分な酸素が供給されて酸素が過飽和の状態とするため、酸化物半導体層403を挟むように酸素を多く含む絶縁層(酸化シリコンなど)を接して設けることが好ましい。
また、酸素を多く含む絶縁層の水素濃度もトランジスタの特性に影響を与えるため重要である。酸素を多く含む絶縁層の水素濃度が、7.2×1020atoms/cm以上である場合には、トランジスタの初期特性のバラツキの増大、L長依存性の増大、さらにBTストレス試験において大きく劣化するため、酸素を多く含む絶縁層の水素濃度は、7.2×1020atoms/cm未満とする。即ち、酸化物半導体層の水素濃度は5×1019atoms/cm以下、且つ、酸素を多く含む絶縁層の水素濃度は、7.2×1020atoms/cm未満とすることが好ましい。
ここで、水素濃度のSIMS分析について触れておく。SIMS分析は、その原理上、試料表面近傍や、材質が異なる膜との積層界面近傍のデータを正確に得ることが困難であることが知られている。そこで、層中における水素濃度の厚さ方向の分布をSIMSで分析する場合、対象となる層が存在する範囲において、値に極端な変動が無く、ほぼ一定の値が得られる領域における平均値を、水素濃度として採用する。また、測定の対象となる層の厚さが小さい場合、隣接する膜内の水素濃度の影響を受けて、ほぼ一定の値が得られる領域を見いだせない場合がある。この場合、当該膜が存在する領域における、水素濃度の最大値または最小値を、当該膜中の水素濃度として採用する。さらに、当該膜が存在する領域において、最大値を有する山型のピーク、最小値を有する谷型のピークが存在しない場合、変曲点の値を水素濃度として採用する。
次いで、酸化物半導体層403を島状に加工し、当該島状の酸化物半導体層403を覆うゲート絶縁層442を形成する。
なお、ゲート絶縁層442の被覆性を向上させるために、酸化物半導体層403表面にも上記平坦化処理を行ってもよい。特にゲート絶縁層442として膜厚の薄い絶縁層を用いる場合、酸化物半導体層403表面の平坦性が良好であることが好ましい。
ゲート絶縁層442の厚さは、1nm以上20nm以下とし、スパッタリング法、MBE法、CVD法、パルスレーザ堆積法、ALD法等を適宜用いて形成することができる。また、ゲート絶縁層442は、スパッタリングターゲット表面に対し、概略垂直に複数の基板表面がセットされた状態で成膜を行うスパッタ装置、所謂CPスパッタ装置を用いて成膜してもよい。
なお、ゲート絶縁層442として、酸化シリコン膜または、酸化窒化シリコンをCVD法で形成する際、グロー放電プラズマの生成は、3MHzから30MHz、代表的には13.56MHz、27.12MHzのHF帯の高周波電力、または30MHzより大きく300MHz程度までのVHF帯の高周波電力、代表的には、60MHzを印加することで行うことが好ましい。また、1GHz以上のマイクロ波の高周波電力を印加することで行うこともできる。なお、高周波電力がパルス状に印加されるパルス発振や、連続的に印加される連続発振とすることができる。1GHz以上のマイクロ波を用いて形成した酸化シリコン膜または、酸化窒化シリコンは、ゲート絶縁層442の膜中および酸化物半導体層403との界面の固定電荷が、通常のプラズマCVDで成膜した酸化シリコン膜、または酸化窒化シリコンより少ない。そのためトランジスタの閾値電圧等の電気特性の信頼を高くすることができる。
また、ゲート絶縁層442は、単層でも積層でもよいが、酸化物半導体層403に近い方から順に、層中(バルク中)に少なくとも化学量論比を超える量の酸素が存在する絶縁層、及び、水素、水分、水素化物、または水酸化物などの不純物や、酸素に対するバリア性を有する絶縁層の積層であると、酸化物半導体層403に酸素を供給、かつ、酸化物半導体層403からの酸素の脱離を抑制することができるので好適である。本実施の形態では、ゲート絶縁層442として、第1のゲート絶縁層442aと第2のゲート絶縁層442bの積層を用いる。ゲート絶縁層442の材料としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、又はこれらの混合材料を用いて形成することができる。本実施の形態では、ゲート絶縁層442として、第1のゲート絶縁層442a及び第2のゲート絶縁層442bを積層する。
また、一般に、容量素子は対向する二つの電極の間に誘電体を挟む構成を有し、誘電体の厚さが薄いほど(対向する二つの電極間距離が短いほど)、また、誘電体の誘電率が大きいほど容量値が大きくなる。ただし、容量素子の容量値を増やすために誘電体を薄くすると、二つの電極間に生じるリーク電流が増加しやすくなり、また、容量素子の絶縁耐圧が低下しやすくなる。
トランジスタのゲート電極、ゲート絶縁層、半導体層が重畳する部分は、前述した容量素子として機能する(以下、「ゲート容量」ともいう)。なお、半導体層の、ゲート絶縁層を介してゲート電極と重畳する領域にチャネルが形成される。すなわち、ゲート電極と、チャネル形成領域が容量素子の二つの電極として機能し、ゲート絶縁層が容量素子の誘電体として機能する。ゲート容量の容量値は大きいほうが好ましいが、容量値を増やすためにゲート絶縁層を薄くすると、前述のリーク電流の増加や、絶縁耐圧の低下といった問題が生じやすい。
そこで、ゲート絶縁層442として、ハフニウムシリケート(HfSi(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSi(x>0、y>0、z>0))、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAl(x>0、y>0、z>0))、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh−k材料を用いると、ゲート絶縁層442を厚くしても、ゲート電極層401と酸化物半導体層403間の容量値を十分確保することが可能となる。
例えば、ゲート絶縁層442として誘電率が大きいhigh−k材料を用いると、ゲート絶縁層442を厚くしても、ゲート絶縁層442に酸化シリコンを用いた場合と同等の容量値を実現できるため、ゲート電極層401と酸化物半導体層403間に生じるリーク電流を低減できる。また、ゲート電極層401と同じ層を用いて形成された配線と、該配線と重畳する他の配線との間に生じるリーク電流を低減できる。なお、ゲート絶縁層442をhigh−k材料と、上記材料との積層構造としてもよい。
ゲート絶縁層442は、酸化物半導体層403と接する部分において酸素を含むことが好ましい。本実施の形態においては、酸化物半導体層403と接する第1のゲート絶縁層442aは、膜中(バルク中)に少なくとも化学量論比を超える量の酸素が存在することが好ましい。例えば、第1のゲート絶縁層442aとして、酸化シリコン膜を用いる場合には、SiO2+α(ただし、α>0)とする。本実施の形態では、第1のゲート絶縁層442aとして、SiO2+α(ただし、α>0)である酸化シリコン膜を用いる。この酸化シリコン膜を第1のゲート絶縁層442aとして用いることで、酸化物半導体層403に酸素を供給することができ、特性を良好にすることができる。さらに、第1のゲート絶縁層442aは、作製するトランジスタのサイズや第1のゲート絶縁層442aの段差被覆性を考慮して形成することが好ましい。
第1のゲート絶縁層442aの形成後、第1のゲート絶縁層442aに酸素を供給して第1のゲート絶縁層442aを酸素過剰な状態とすると、第1のゲート絶縁層442aから酸化物半導体層403へ酸素を供給できるので好適である。
酸素の供給方法としては、実施の形態1で説明したドーピング装置を用いて酸素を添加すればよい。酸化物半導体層403上に第1のゲート絶縁層442aを成膜した基板400を、実施の形態1で述べた対象物120として、第1のゲート絶縁層442aに酸素を添加する(図4(C)参照)。
酸素の供給により、第1のゲート絶縁層442aを構成している元素と水素の間の結合、或いは該元素と水酸基の間の結合を切断するとともに、これら水素、または水酸基が、酸素と反応することで水を生成するため、酸素の供給後に加熱処理を行うことで、不純物である水素、または水酸基を、水として、脱離させやすくすることができる。すなわち、第1のゲート絶縁層442a中の不純物濃度をさらに低減することができる。このため、第1のゲート絶縁層442aへ酸素を供給した後に加熱処理を行ってもよい。その後、さらに第1のゲート絶縁層442aに酸素を供給し、ゲート絶縁層442を酸素過剰な状態としてもよい。また、第1のゲート絶縁層442aへの酸素の供給と加熱処理は、それぞれを交互に複数回行ってもよい。また、加熱処理と酸素の供給を同時に行ってもよい。
次いで、第1のゲート絶縁層442a上に、第2のゲート絶縁層442bを形成する。これにより、酸化物半導体層403上に、第1のゲート絶縁層442a及び第2のゲート絶縁層442bの積層であるゲート絶縁層442が形成される。(図4(D)参照)。第2のゲート絶縁層442bは、窒化シリコンや酸化アルミニウムなどの、水素、水分、水素化物、または水酸化物などの不純物や、酸素に対するバリア性を有する材料を用いることが好ましい。
また、ゲート絶縁層442を形成する前に、酸素、一酸化二窒素、もしくは希ガス(代表的にはアルゴン)などを用いたプラズマ処理により、酸化物半導体層403の表面に付着した水分や有機物などの不純物を除去することが好ましい。
次に、ゲート絶縁層442上に、ゲート電極層401を形成するための導電層404(図示せず)、及び絶縁層413を形成するための絶縁層408(図示せず)の積層を形成し、第1のフォトリソグラフィ工程により導電層404及び絶縁層408の一部を選択的にエッチングして、ゲート電極層401及び絶縁層413の積層を形成する(図4(E)参照)。
なお、特段の説明が無い限り、本明細書で言うフォトリソグラフィ工程には、レジストマスクの形成工程と、導電層または絶縁層のエッチング工程と、レジストマスクの剥離工程が含まれているものとする。
本実施の形態では、導電層404として、スパッタリング法によりゲート絶縁層442上に厚さ30nmの窒化タンタルを形成し、該窒化タンタル上に厚さ135nmのタングステンを形成する。また、絶縁層408として、プラズマCVD法により厚さ200nmの酸化窒化シリコンを形成する。
導電層404及び絶縁層408の一部を選択的にエッチングして、ゲート電極層401及び絶縁層413を形成するためのレジストマスクは、印刷法やインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
また、ゲート電極層401及び絶縁層413を形成するためのエッチングは、ドライエッチング法でもウェットエッチング法でもよく、両方を用いてもよい。なお、微細なパターンを形成するためには、異方性エッチングが可能なドライエッチング法を用いることが好ましい。
導電層404及び絶縁層408のエッチングをドライエッチング法で行う場合は、エッチングガスとしてハロゲン元素を含むガスを用いることができる。ハロゲン元素を含むガスの一例としては、塩素(Cl)、三塩化硼素(BCl)、四塩化珪素(SiCl)もしくは四塩化炭素(CCl)などを代表とする塩素系ガス、四フッ化炭素(CF)、六フッ化硫黄(SF)、三フッ化窒素(NF)もしくはトリフルオロメタン(CHF)などを代表とするフッ素系ガス、臭化水素(HBr)または酸素を適宜用いることができる。また用いるエッチング用ガスに不活性ガスを添加してもよい。また、ドライエッチング法としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。所望の加工形状にエッチングできるように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
後にゲート電極層401となる導電層404の材料は、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウム等の金属材料またはこれらを主成分とする合金材料を用いて形成することができる。また、導電層404としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体層、ニッケルシリサイドなどのシリサイド膜を用いてもよい。導電層404は、単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。
また、導電層404の材料は、酸化インジウム酸化スズ、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、酸化インジウム酸化亜鉛、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を適用することもできる。また、上記導電性材料と、上記金属材料の積層構造とすることもできる。
また、ゲート絶縁層442と接する導電層404として、窒素を含む金属酸化物、具体的には、窒素を含むIn−Ga−Zn系金属酸化物や、窒素を含むIn−Sn系金属酸化物や、窒素を含むIn−Ga系金属酸化物や、窒素を含むIn−Zn系金属酸化物や、窒素を含む酸化錫や、窒素を含む酸化インジウムや、金属窒化膜(InN、SnNなど)を用いることができる。これらの材料は5eV(電子ボルト)以上の仕事関数を有し、ゲート電極層として用いた場合、トランジスタの電気特性のしきい値電圧をプラスにすることができ、所謂ノーマリーオフのスイッチング素子を実現できる。
絶縁層413の材料は、代表的には酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化シリコン、窒化酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることができる。絶縁層413は、CVD法又はスパッタリング法等を用いて形成することができる。
次に、ゲート電極層401及び絶縁層413上に絶縁層411(図示せず)を形成し、絶縁層411をエッチングして側壁絶縁層412を形成する。さらに、ゲート電極層401及び側壁絶縁層412をマスクとして、ゲート絶縁層442をエッチングし、ゲート絶縁層402(第1のゲート絶縁層402a及び第2のゲート絶縁層402b)を形成する(図5(A)参照)。
絶縁層411は、絶縁層413と同様な材料及び方法を用いて形成することができる。本実施の形態では、CVD法により形成した酸化窒化シリコン膜を用いる。
次いで、酸化物半導体層403、ゲート絶縁層402、ゲート電極層401、側壁絶縁層412、及び絶縁層413上に、後にソース電極層及びドレイン電極層(これと同じ層で形成される配線を含む)となる導電層445を形成する(図5(B)参照)。
導電層445は、後の加熱処理に耐えられる材料を用いる。例えば、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)等から選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。また、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の低抵抗な金属膜の下側又は上側の一方または双方にチタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)等の高融点金属膜またはそれらの金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)を積層させた構成としても良い。低抵抗な金属膜の下側又は上側の一方または双方に、高融点金属膜またはそれらの金属窒化物膜を積層すると、低抵抗な金属膜の金属の移動(拡散)を阻害できるので好適である。すなわち、導電層445を、第1の導電層、第2の導電層である金属膜、及び第3の導電層の積層とし、第2の導電層として低抵抗な導電層を用いる。第1の導電層及び第3の導電層の少なくとも一方に、第2の導電層の金属の移動を阻害できる材料を用いる。また、第2の導電層上の第3の導電層は、当該第2の導電層の端部を覆う構成にすると、第2の導電層の端部からの金属の移動を抑制することができるので好適である。
例えば導電層445として、タングステン(W)、銅(Cu)、窒化タンタルを積層したものを用い、低抵抗な銅(Cu)を、銅の移動を阻害するタングステン(W)及び窒化タンタルで挟めばよい。
また、導電層445としては、導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム酸化スズ(In―SnO、ITOと略記する)、酸化インジウム酸化亜鉛(In―ZnO)またはこれらの金属酸化物に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
本実施の形態では、導電層445として、スパッタリング法により厚さ30nmのタングステンを形成する。
導電層445は、第2のフォトリソグラフィ工程により形成する。具体的には、導電層445上にレジストマスクを形成し、導電層445の一部を選択的にエッチングした後、レジストマスクを除去して島状の導電層445を形成する。なお、該エッチング工程では、ゲート電極層401と重畳する部分の導電層445の除去は行わない。
導電層445として厚さ30nmのタングステン層を用いる場合、該導電層のエッチングは、例えばドライエッチング法により、タングステン層の一部を選択的にエッチング((エッチング条件:エッチングガス(CF:Cl:O=55sccm:45sccm:55sccm、電源電力3000W、バイアス電力140W、圧力0.67Pa)して、島状のタングステン層を形成すればよい。
この時、導電層445の形成により露出した酸化物半導体層403の表面には、導電層445を構成する元素や、処理室内に存在する元素、エッチングに用いたエッチングガスを構成する元素が不純物として付着する場合がある。
不純物が付着すると、トランジスタのオフ電流の増加、或いはトランジスタの電気的特性の劣化がもたらされやすい。また、酸化物半導体層403に寄生チャネルが生じやすくなり、電気的に分離されるべき電極や配線が酸化物半導体層403を介して電気的に接続されやすくなる。
また、不純物によっては、酸化物半導体層403内(バルク内)の表面近傍に混入し、酸化物半導体層403中の酸素を引き抜いてしまい、酸化物半導体層403の表面及び表面近傍に酸素欠損が形成されることがある。例えば、上述したエッチングガスに含まれる塩素やボロンや、エッチング室の構成材料であるアルミニウムは、酸化物半導体層403が低抵抗化(n型化)する要因の一つとなりうる。
そこで、導電層445を形成するためのエッチングが終了した後、酸化物半導体層403の表面に付着した不純物を除去するための洗浄処理(不純物除去処理)を行うことが好ましい。
不純物除去処理は、プラズマ処理、または溶液による処理によって行うことができる。プラズマ処理としては、酸素プラズマ処理または一酸化二窒素プラズマ処理などを用いることができる。また、プラズマ処理として希ガス(代表的にはアルゴン)を用いてもよい。
また、溶液による洗浄処理としては、TMAH(Tetramethylammonium Hydroxide)溶液などのアルカリ性の溶液、希フッ酸、シュウ酸などの酸性の溶液、水などを用いて行うことができる。例えば、希フッ酸を用いる場合、50wt%フッ酸を、水で1/10乃至1/10程度、好ましくは1/10乃至1/10程度に希釈した希フッ酸を使用する。すなわち、濃度が0.5重量%乃至5×10−4重量%の希フッ酸、好ましくは5×10−2重量%乃至5×10−4重量%の希フッ酸を洗浄処理に用いることが望ましい。洗浄処理により、酸化物半導体層403の表面に付着した上記不純物を除去することができる。
また、希フッ酸溶液を用いて不純物除去処理を行うと、酸化物半導体層403の表面をエッチングすることができる。すなわち、酸化物半導体層403の表面に付着した不純物や、酸化物半導体層403内の表面近傍に混入した不純物を、酸化物半導体層403の一部とともに除去することができる。これにより、酸化物半導体層403の、導電層445と重畳する領域の膜厚が、重畳しない領域の膜厚より大きくなる場合がある。すなわち、酸化物半導体層403の、ソース電極層405a及びドレイン電極層405bと重畳する領域の膜厚が、重畳しない領域の膜厚より大きくなる場合がある。例えば、1/10希釈フッ酸(0.05%フッ酸)で、IGZO膜を処理すると、1秒あたり1〜3nm膜厚が減少し、2/10希釈フッ酸(0.0025%フッ酸)で、IGZO膜を処理すると、1秒あたり0.1nm程度膜厚が減少する。
不純物除去処理を行うことで、SIMSを用いた分析により得られる濃度のピーク値において、半導体層表面における塩素濃度を1×1019/cm以下(好ましくは5×1018/cm以下、さらに好ましくは1×1018/cm以下)とすることができる。また、半導体層表面におけるボロン濃度を1×1019/cm以下(好ましくは5×1018/cm以下、さらに好ましくは1×1018/cm以下)とすることができる。また、半導体層表面におけるアルミニウム濃度を1×1019/cm以下(好ましくは5×1018/cm以下、さらに好ましくは1×1018/cm以下)とすることができる。
不純物除去処理を行うことで、安定した電気特性を有する信頼性の高いトランジスタを実現することができる。なお、ゲート絶縁層402形成後にも不純物除去処理を行っても構わない。
次に、島状の導電層445上に絶縁層447を形成し、絶縁層447上に絶縁層446を形成する。
絶縁層447は、第2のゲート絶縁層402b、第1の下地絶縁層436aと同様の材料及び方法で形成することができる。絶縁層447は、絶縁層413と同様の材料及び方法を用いて形成することができる。絶縁層447は、窒化シリコンや酸化アルミニウムなどの、水素、水分、水素化物、または水酸化物などの不純物や、酸素に対するバリア性を有する材料を用いることが好ましい。本実施の形態では、絶縁層447としてスパッタリング法により酸化アルミニウムを10nmの厚さで形成する。酸化アルミニウムを高密度(密度3.2g/cm以上、好ましくは3.6g/cm以上)とすることによって、トランジスタ440a、トランジスタ440bに安定な電気特性を付与することができる。膜密度はラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)や、X線反射率測定法(XRR:X−Ray Reflection)によって測定することができる。
また、絶縁層446は、これまで基板400上に形成された層により生じる凹凸を平坦化できる厚さで形成する。本実施の形態では、絶縁層446としてCVD法により酸化窒化シリコンを300nmの厚さで形成する。
絶縁層447の形成後、絶縁層447に酸素を供給して絶縁層447を酸素過剰な状態とすると、絶縁層447から酸化物半導体層403へ酸素を供給できるので好適である。
酸素の供給方法としては、実施の形態1で説明したドーピング装置を用いて酸素を添加すればよい。絶縁層447を形成した基板400を、実施の形態1で述べた対象物120として、絶縁層447に酸素を添加する(図5(C)参照)。
また、絶縁層446を形成後、実施の形態1で説明したドーピング装置を用いて絶縁層446に酸素を添加してもよい。その場合は、絶縁層446を形成した基板400を、実施の形態1で述べた対象物120として、絶縁層446に酸素を添加すればよい。
酸素の供給により、絶縁層を構成している元素と水素の間の結合、或いは該元素と水酸基の間の結合を切断するとともに、これら水素、または水酸基が、酸素と反応することで水を生成するため、酸素の供給後に加熱処理を行うことで、不純物である水素、または水酸基を、水として、脱離させやすくすることができる。すなわち、絶縁層447又は絶縁層446、あるいはその両方中の不純物濃度をさらに低減することができる。このため、絶縁層447又は絶縁層446、あるいはその両方へ酸素を供給した後に加熱処理を行ってもよい。その後、さらに絶縁層447又は絶縁層446、あるいはその両方に酸素を供給し、絶縁層447又は絶縁層446、あるいはその両方を酸素過剰な状態としてもよい。また、絶縁層447又は絶縁層446、あるいはその両方への酸素の供給と加熱処理は、それぞれを交互に複数回行ってもよい。また、加熱処理と酸素の供給を同時に行ってもよい。
次に絶縁層447、絶縁層446及び導電層445に化学的機械研磨法により研磨処理を行い、絶縁層413が露出するよう絶縁層447、絶縁層446及び導電層445の一部を除去する。
該研磨処理によって、絶縁層446を層間絶縁層415に加工し、絶縁層447を層間絶縁層417に加工し、ゲート電極層401上の導電層445を除去してソース電極層405a及びドレイン電極層405bを形成する。
本実施の形態では、絶縁層446、絶縁層447及び導電層445の除去に化学的機械研磨法を用いたが、他の切削(研削、研磨)方法を用いてもよい。また、ゲート電極層401上の導電層445を除去する工程において、化学的機械研磨法などの切削(研削、研磨)法の他、エッチング(ドライエッチング、ウェットエッチング)法や、プラズマ処理などを組み合わせてもよい。例えば、化学的機械研磨法による除去工程後、ドライエッチング法やプラズマ処理(逆スパッタリングなど)を行い、処理表面の平坦性向上を図ってもよい。切削(研削、研磨)方法に、エッチング法、プラズマ処理などを組み合わせて行う場合、工程順は特に限定されず、絶縁層446及び導電層445の材料、厚さ、及び表面の凹凸状態に合わせて適宜設定すればよい。
なお、本実施の形態においては、ソース電極層405a、ドレイン電極層405bはゲート電極層401側面に設けられた側壁絶縁層412の側面に接するように設けられている。また、ソース電極層405a、及びドレイン電極層405bは、側壁絶縁層412を側壁絶縁層412の側面の上端部よりやや低い位置まで覆っている。ソース電極層405a、及びドレイン電極層405bの形状は導電層445を除去する研磨処理の条件によって異なり、本実施の形態に示すように、側壁絶縁層412、及び絶縁層413の研磨処理された表面より厚さ方向に後退した形状となる場合がある。しかし、研磨処理の条件によっては、ソース電極層405a、及びドレイン電極層405bの上端部と、側壁絶縁層412の上端部とは概略一致する場合もある。
以上の工程で、本実施の形態のトランジスタ440aが作製される(図5(D)参照)。
トランジスタ440aは作製工程において、ゲート電極層401、絶縁層413、及び側壁絶縁層412上に設けられた導電層445を化学機械研磨処理することによって除去し導電層445を分断することによって、ソース電極層405a及びドレイン電極層405bを形成する。
また、ソース電極層405a、及びドレイン電極層405bは、露出した酸化物半導体層403上面、及び側壁絶縁層412と接して設けられている。よって、ソース電極層405a又はドレイン電極層405bと酸化物半導体層403とが接する領域(ソース領域又はドレイン領域)と、ゲート電極層401との距離は、側壁絶縁層412のチャネル長方向の幅となり、より微細化が達成できる他、作製工程におけるばらつきをより少なくすることができる。
また、ソース電極層405a又はドレイン電極層405bと酸化物半導体層403とが接する領域(ソース領域又はドレイン領域)と、ゲート電極層401との距離を短くすることができるため、ソース電極層405a又はドレイン電極層405bと酸化物半導体層403とが接する領域(ソース領域又はドレイン領域)、及びゲート電極層401間の抵抗が減少し、トランジスタ440aのオン特性を向上させることが可能となる。
また、ソース電極層405a及びドレイン電極層405bの形成工程におけるゲート電極層401上の導電層445を除去する工程において、レジストマスクを用いたエッチング工程を用いないため、精密な加工を正確に行うことができる。よって、半導体装置の作製工程において、形状や特性のばらつきが少ない微細な構造を有するトランジスタ440aを歩留まりよく作製することができる。
なお、ソース電極層405a及びドレイン電極層405bの形成工程におけるゲート電極層401上の導電層445を除去する工程において、絶縁層413の一部、又は絶縁層413全部を除去してもよい。図6(C)に、絶縁層413を全部除去し、ゲート電極層401が露出しているトランジスタ440cの例を示す。また、ゲート電極層401も上方の一部が除去されてもよい。トランジスタ440cのようにゲート電極層401を露出する構造は、トランジスタ440c上に他の配線や半導体素子を積層する集積回路において用いることができる。
トランジスタ440a上に保護絶縁層となる緻密性の高い無機絶縁層(代表的には酸化アルミニウム層)を設けてもよい。
本実施の形態では、絶縁層413、ソース電極層405a、ドレイン電極層405b、側壁絶縁層412、及び層間絶縁層415上に接して絶縁層407を形成する(図3(B)参照)。
また、層間絶縁層417を形成せず、層間絶縁層415として保護絶縁層となる緻密性の高い無機絶縁層(代表的には酸化アルミニウム層)を設けてもよい。図6(B)にソース電極層405a及びドレイン電極層405bと層間絶縁層415との間に層間絶縁層417を形成しないトランジスタ440bの例を示す。
また、絶縁層407は単層でも積層でもよく、少なくとも酸化アルミニウム層を含むことが好ましい。
絶縁層407は、プラズマCVD法、スパッタリング法、又は蒸着法等により成膜することができる。
酸化アルミニウム以外の絶縁層407に用いる材料としては、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、又は酸化ガリウムなどの無機絶縁材料などを用いることができる。また、酸化ハフニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化バリウム、又は金属窒化物も用いることができる。
本実施の形態では、絶縁層407としてスパッタリング法により酸化アルミニウムを形成する。酸化アルミニウムを高密度(密度3.2g/cm以上、好ましくは3.6g/cm以上)とすることによって、トランジスタ440a、トランジスタ440bに安定な電気特性を付与することができる。
酸化物半導体層403上に設けられる絶縁層407、絶縁層410として用いることのできる酸化アルミニウムは、水素、水分などの不純物、及び酸素の両方に対して膜を通過させない遮断効果(ブロック効果)が高い。
従って、酸化アルミニウムで形成された絶縁層は、作製工程中及び作製後において、変動要因となる水素、水分などの不純物の酸化物半導体層403への混入、及び酸化物半導体を構成する主成分材料である酸素の酸化物半導体層403からの放出を防止する保護層として機能する。
絶縁層407は、絶縁層407に水、水素等の不純物を混入させない方法(好適にはスパッタリング法など)を適宜用いて形成することが好ましい。
また、酸化物半導体層の形成時と同様に、成膜室内の残留水分を除去するために、吸着型の真空ポンプ(クライオポンプなど)を用いることが好ましい。クライオポンプを用いて排気した成膜室で形成した絶縁層407、絶縁層410に含まれる不純物の濃度を低減できる。また、成膜室内の残留水分を除去するための排気手段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。
絶縁層407を、成膜する際に用いるスパッタガスとしては、水素、水、水酸基又は水素化物などの不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
また、トランジスタ起因の表面凹凸を低減するために、トランジスタ上に平坦化絶縁層を形成してもよい。平坦化絶縁層としては、ポリイミド、アクリル樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、等の有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁層を複数積層させることで、平坦化絶縁層を形成してもよい。
また、図6(A)に、絶縁層407、層間絶縁層415及び層間絶縁層417にソース電極層405a、及びドレイン電極層405bに達する開口433a、開口433bを形成し、絶縁層407上に、開口433aを介してソース電極層405aと電気的に接続する配線層435aと、開口433bを介してドレイン電極層405bに電気的に接続する配線層435bを形成する例を示す。配線層435a、配線層435bを用いて他のトランジスタや素子と接続させ、様々な回路を構成することができる。
開口433a、及び開口433bは、第3のフォトリソグラフィ工程により絶縁層407、層間絶縁層415及び層間絶縁層417の一部を選択的にエッチングして形成することができる。絶縁層407、層間絶縁層415及び層間絶縁層417のエッチングは、ドライエッチング法でもウェットエッチング法でもよく、両方を用いてもよい。
配線層435a及び配線層435bは、開口433a及び開口433bの形成後、絶縁層407上に配線層435a及び配線層435bを形成するための導電層を形成し、第4のフォトリソグラフィ工程により該導電層の一部を選択的にエッチングして形成することができる。
配線層435a、及び配線層435bを形成するための導電層は、ゲート電極層401、ソース電極層405a、又はドレイン電極層405bと同様の材料を用いることができる。
配線層435a、及び配線層435bを形成するための導電層は、後の加熱処理に耐えられる材料を用いる。例えば、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)等から選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。また、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の低抵抗な金属膜の下側又は上側の一方または双方にチタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)等の高融点金属膜またはそれらの金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)を積層させた構成としても良い。低抵抗な金属膜の下側又は上側の一方または双方に、高融点金属膜またはそれらの金属窒化物膜を積層すると、低抵抗な金属膜の金属の移動(拡散)を阻害できるので好適である。すなわち、配線層435a、及び配線層435bを形成するための導電層を、第1の導電層、第2の導電層である金属膜、及び第3の導電層の積層とし、第2の導電層として低抵抗な導電層を用いる。第1の導電層及び第3の導電層の少なくとも一方に、第2の導電層の金属の移動を阻害できる材料を用いる。また、第2の導電層上の第3の導電層は、当該第2の導電層の端部を覆う構成にすると、第2の導電層の端部からの金属の移動を抑制することができるので好適である。
例えば配線層435a、及び配線層435bを形成するための導電層として、タングステン(W)、銅(Cu)、窒化タンタルを積層したものを用い、低抵抗な銅(Cu)を、銅の移動を阻害するタングステン(W)及び窒化タンタルで挟めばよい。
また、配線層435a、配線層435bに用いる導電層としては、導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム酸化スズ(In―SnO、ITOと略記する)、酸化インジウム酸化亜鉛(In―ZnO)またはこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
また、配線層435a及び配線層435bとして、モリブデンの単層、窒化タンタルと銅との積層、又は窒化タンタルとタングステンとの積層などを用いることができる。
本実施の形態によれば、半導体装置において、形状や特性のばらつきを少ない微細な構造を有するオン特性の高いトランジスタ440a、トランジスタ440b、トランジスタ440cを歩留まりよく提供することができる。
従って、微細化を実現し、かつ高い電気的特性を付与された半導体装置、及び該半導体装置の作製方法を提供することができる。
なお、酸化物半導体層403を、複数の酸化物半導体層が積層された構造としてもよい。例えば、酸化物半導体層403を、第1の酸化物半導体層と第2の酸化物半導体層の積層として、第1の酸化物半導体層と第2の酸化物半導体層に異なる組成の金属酸化物を用いてもよい。例えば、第1の酸化物半導体層に三元系金属の酸化物を用い、第2の酸化物半導体層に二元系金属の酸化物を用いてもよい。また、例えば、第1の酸化物半導体層と第2の酸化物半導体層を、どちらも三元系金属の酸化物としてもよい。
また、第1の酸化物半導体層と第2の酸化物半導体層の構成元素を同一とし、両者の組成比を異ならせてもよい。例えば、第1の酸化物半導体層の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1とし、第2の酸化物半導体層の原子数比をIn:Ga:Zn=3:1:2としてもよい。また、第1の酸化物半導体層の原子数比をIn:Ga:Zn=1:3:2とし、第2の酸化物半導体層の原子数比をIn:Ga:Zn=2:1:3としてもよい。
この時、第1の酸化物半導体層と第2の酸化物半導体層のうち、ゲート電極に近い側(チャネル側)の酸化物半導体層のInとGaの含有率をIn>Gaとするとよい。またゲート電極から遠い側(バックチャネル側)の酸化物半導体層のInとGaの含有率をIn≦Gaとするとよい。
酸化物半導体では主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、Inの含有率を多くすることによりs軌道のオーバーラップが多くなる傾向があるため、In>Gaの組成となる酸化物はIn≦Gaの組成となる酸化物と比較して高い移動度を備える。また、GaはInと比較して酸素欠損の形成エネルギーが大きく酸素欠損が生じにくいため、In≦Gaの組成となる酸化物はIn>Gaの組成となる酸化物と比較して安定した特性を備える。
チャネル側にIn>Gaの組成となる酸化物半導体を適用し、バックチャネル側にIn≦Gaの組成となる酸化物半導体を適用することで、トランジスタの移動度及び信頼性をさらに高めることが可能となる。
また、第1の酸化物半導体層と第2の酸化物半導体層に、結晶性の異なる酸化物半導体を適用してもよい。すなわち、単結晶酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体、またはCAAC−OSを適宜組み合わせた構成としてもよい。また、第1の酸化物半導体層と第2の酸化物半導体層の少なくともどちらか一方に非晶質酸化物半導体を適用すると、酸化物半導体層403の内部応力や外部からの応力を緩和し、トランジスタの特性ばらつきが低減され、また、トランジスタの信頼性をさらに高めることが可能となる。
一方で、非晶質酸化物半導体は水素などのドナーとなる不純物を吸収しやすく、また、酸素欠損が生じやすいためn型化されやすい。このため、チャネル側の酸化物半導体層は、CAAC−OSなどの結晶性を有する酸化物半導体を適用することが好ましい。
また、トランジスタとしてボトムゲート構造のチャネルエッチング型のトランジスタを用いる場合、バックチャネル側に非晶質酸化物半導体を用いると、ソース電極及びドレイン電極形成時のエッチング処理により酸素欠損が生じ、n型化されやすい。このため、チャネルエッチング型のトランジスタを用いる場合は、バックチャネル側の酸化物半導体層に結晶性を有する酸化物半導体を適用することが好ましい。
また、酸化物半導体層403を3層以上の積層構造とし、複数層の結晶性を有する酸化物半導体層で非晶質酸化物半導体層を挟む構造としてもよい。また、結晶性を有する酸化物半導体層と非晶質酸化物半導体層を交互に積層する構造としてもよい。
酸化物半導体層403を複数層の積層構造とする場合の上記構成は、それぞれを適宜組み合わせて用いることができる。
また、酸化物半導体層403を複数層の積層構造とし、各酸化物半導体層の形成後に酸素を供給してもよい。酸素の供給は、酸素雰囲気下による熱処理や、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法、酸素を含む雰囲気下で行うプラズマ処理などを用いることができる。
本実施の形態により、電気特性が向上した半導体装置を提供することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
101 アークチャンバ
102 試料室
103 イオン加速室
104 酸素プラズマ室
107 ステージ
108 排気装置
111 フィラメント
112 引き出し電極
113 加速電極
114 減速電極
115 接地電極
116 アノード
120 対象物
121a 保持手段
121b 保持手段
131 引き出し電源
132 加速電源
133 減速電源
134 ガス導入部
135 酸素導入装置
136 排気装置
138 プラズマ
139 酸素プラズマ
141 管
142 コイル
143 電源
145 酸素イオン供給部
400 基板
401 ゲート電極層
402 ゲート絶縁層
402a 第1のゲート絶縁層
402b 第2のゲート絶縁層
403 酸化物半導体層
404 導電層
405a ソース電極層
405b ドレイン電極層
406a オフセット領域
406b オフセット領域
407 絶縁層
408 絶縁層
410 絶縁層
411 絶縁層
412 側壁絶縁層
413 絶縁層
415 層間絶縁層
417 層間絶縁層
433a 開口
433b 開口
435a 配線層
435b 配線層
436 下地絶縁層
436a 第1の下地絶縁層
436b 第2の下地絶縁層
440a トランジスタ
440b トランジスタ
440c トランジスタ
442 ゲート絶縁層
442a 第1のゲート絶縁層
442b 第2のゲート絶縁層
445 導電層
446 絶縁層
447 絶縁層

Claims (9)

  1. 不活性ガスが導入されるガス導入部と、熱電子を発生するフィラメントとを有するアークチャンバと、
    前記アークチャンバでイオン化された不活性ガスのイオンを引き出す第1の電極と、
    前記第1の電極によって引き出された不活性ガスのイオンを加速する第2の電極と、
    前記第2の電極で加速された不活性ガスのイオンが通過する領域に酸素イオンを供給する酸素イオン供給部と、
    前記不活性ガスのイオンと酸素イオンが導入される試料室と、
    を有することを特徴とするドーピング装置。
  2. 請求項1において、
    前記酸素イオン供給部は、誘導結合プラズマによって酸素をプラズマ化して酸素イオンを生成するものであることを特徴とするドーピング装置。
  3. 請求項2において、
    前記酸素イオン供給部は、酸素導入装置と、前記酸素導入装置に連結された管と、前記管に捲かれたコイルを有することを特徴とするドーピング装置。
  4. 請求項3において、
    前記管の材料は、石英ガラスであることを特徴とするドーピング装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
    前記フィラメントの材料は、タングステンであることを特徴とするドーピング装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
    前記第1の電極及び前記第2の電極は、それぞれ多孔性電極であり、
    前記第1の電極及び前記第2の電極の材料は、タングステンであることを特徴とするドーピング装置。
  7. フィラメントに電流を流して熱電子を発生させ、
    前記熱電子を不活性気体に衝突させて、前記不活性気体のイオンを生成し、
    前記生成された不活性気体のイオンに、電極により電圧を印加することにより、前記不活性気体のイオンを加速し、
    酸素に電圧を印加することにより、酸素プラズマを発生させて酸素イオンを生成し、
    前記酸素イオンに、前記加速された不活性気体のイオンを衝突させて、前記酸素イオンを対象物に照射することを特徴とするドーピング方法。
  8. 請求項7において、
    基板上に絶縁層を形成し、
    前記絶縁層に前記酸素イオンを照射することを特徴とするドーピング方法。
  9. 請求項7又は請求項8において、
    酸化物半導体層に前記酸素イオンを照射することを特徴とするドーピング方法。
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