JP2013187349A - 太陽電池モジュール、太陽電池モジュールの製造方法、及び太陽電池セル用保護シート - Google Patents

太陽電池モジュール、太陽電池モジュールの製造方法、及び太陽電池セル用保護シート Download PDF

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Abstract

【課題】 従来の問題点を克服し、耐久性、太陽電池セルに対する接着性、及び接着耐久性に優れる太陽電池セル用保護シート、さらには該シートを用いてなる太陽電池モジュールを提供することを課題とする。
【解決手段】 太陽電池セル(III)に接着させるための易接着剤層(1)と、一方の主面が前記易接着剤層(1)を支持した融点120℃以上のオレフィンフィルム(2)とを具備した太陽電池セル用保護シート。
【選択図】 図1(a)

Description

本発明は、接着耐久性に優れる太陽電池モジュール、及び前記太陽電池モジュールの形成に好適に使用される太陽電池セル用保護シートに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから環境汚染がなくクリーンなエネルギー源として太陽電池が注目され、有用なエネルギー資源としての太陽エネルギー利用の面から鋭意研究され実用化が進んでいる。
太陽電池素子には様々な形態があり、その代表的なものとして、結晶シリコン太陽電池素子、多結晶シリコン太陽電池素子、非晶質シリコン太陽電池素子、銅インジウムセレナイド太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子等が知られている。この中でも多結晶シリコン太陽電池素子や、非晶質シリコン太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子は、比較的低コストであり、大面積化が可能であるため、各方面で活発に研究開発が行われている。また、これらの太陽電池素子の中でも、導体金属基板上にシリコンを積層し、更にその上に透明導電層を形成した非晶質シリコン太陽電池素子に代表される薄膜太陽電池素子は軽量であり、また耐衝撃性やフレキシブル性に富んでいるので、太陽電池における将来の形態として有望視されている。
その中でも太陽電池モジュールのうち、太陽電池表面部材単純なものは、太陽電池セルの両面に封止材、ガラス板を、順に積層した構成形態を呈する。また、ガラス板の代わりに、コストや安全性、加工性、重量の面から、様々な太陽電池セル用保護シートが提案され、ガラス板から太陽電池セル用保護シートに置き換わりつつある。また、封止材は、透明性が高く、耐湿性が優れているエチレン−酢酸ビニル共重合体(Ethylene-Vinyl Acetate copolymer、以下「EVA」と称する)フィルムが通常用いられている。
しかしながら、封止材として用いられているEVAフィルムは、光や高温高湿度環境に長時間曝されて、分解して酢酸が発生し、太陽電池セルの受光面側にある配線部分や導電膜部分を劣化させ、変換効率が低下するという問題があった。そのため、酸が発生しないポリビニルブチラール(PVB)フィルムや熱可塑性オレフィン(TPO)フィルム等が徐々に使われ始めているが、コストや透明性等の実績から、依然としてEVAフィルムが使われ続けているのが現状である。
特に太陽電池セルの受光面側に位置する封止材から発生する酢酸は、太陽電池セルにより大きなダメージを与えるので、その対策が望まれている。
特開2009−246360号公報 特開2004−200322号公報 特開2004−223925号公報 特開2001−119051号公報 特開2002−134770号公報
本発明は、太陽電池セルの受光面側に位置する封止材から発生する酢酸から太陽電池セルを保護し、太陽電池セルの劣化を防ぎ、太陽電池モジュールの変換効率を長期にわたって維持することを目的とする。
本発明者らは、太陽電池の受光面側に位置する封止材(II)と太陽電池セル(III)との間に、前記封止材(II)から発生する酢酸を遮蔽する機能を備えた太陽電池セル用保護シート(Z)を設けることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、太陽電池の受光面側に位置する太陽電池表面保護材(I)、太陽電池の受光面側に位置する封止材(II)、太陽電池セル用保護シート(Z)、太陽電池セル(III)、太陽電池の非受光面側に位置する封止材(IV)、及び太陽電池の非受光面側に位置する太陽電池裏面保護材(V)を具備してなる太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池セル用保護シート(Z)が、融点120℃以上のオレフィンフィルム(2)の一方の面に易接着剤層(1)が設けられてなるものであり、
前記易接着剤層(1)が、太陽電池セル(III)の受光面側に接している、太陽電池モジュールに関する。
前記易接着剤層(1)は、ガラス転移温度が0〜100℃、数平均分子量が5,000〜250,000、水酸基価が2〜100(mgKOH/g)である(メタ)アクリル系共重合体(A)、及び前記(メタ)アクリル系共重合体(A)中の水酸基1個に対して、イソシアネート基が0.1〜10個の範囲でポリイソシアネート化合物(B)を含有する易接着剤層(1’)を硬化処理してなるものであることが好ましく、
前記ポリイソシアネート化合物(B)がブロック化ポリイソシアネート(B1)であることが好ましい。
また、前記易接着剤層(1)は、波長変換材料(C)を含有することが好ましい。
さらに、前記受光面側の封止材(II)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を主成分とすることが好ましい。
また、本発明は、太陽電池の受光面側に位置する太陽電池表面保護材(I)、太陽電池の受光面側に位置する封止材(II)、オレフィンフィルム(2)の一方の面に、硬化処理していない易接着剤層(1’)を具備する太陽電池セル用保護シート(Z’)、太陽電池セル(III)、太陽電池の非受光面側に位置する封止材(IV)、及び太陽電池の非受光面側に位置する太陽電池裏面保護材(V)を、
前記の順にて、且つ、前記太陽電池セル用保護シート(Z’)を構成する前記易接着剤層(1’)が、太陽電池セル(III)の受光面側と接するように重ね合わせ、
次いで、前記封止材(II)及び(IV)の架橋温度より高温であって、前記前記オレフィンフィルム(2)の融点未満の温度にて、前記易接着剤層(1’)を硬化させ、前記(I)、(II)、(Z)、(III)、(IV)及び(V)を積層することを特徴とする、太陽電池モジュールの製造方法に関する。
前記オレフィンフィルム(2)の融点は、前記易接着剤層(1’)硬化時の温度よりも10℃以上高いことが好ましい。
さらに、本発明は、融点120℃以上のオレフィンフィルム(2)の一方の面に、硬化処理していない易接着剤層(1’)を具備する、太陽電池セル用保護シート(Z’)に関する。
前記易接着剤層(1’)は、ガラス転移温度が0〜100℃、数平均分子量が5,000〜250,000、水酸基価が2〜100(mgKOH/g)である(メタ)アクリル系共重合体(A)、及び前記(メタ)アクリル系共重合体(A)中の水酸基1個に対して、イソシアネート基が0.1〜10個の範囲でポリイソシアネート化合物(B)を含有することが好ましく、
前記ポリイソシアネート化合物(B)がブロック化ポリイソシアネート(B1)であることが好ましい。
また、前記易接着剤層(1)は、波長変換材料(C)を含有することが好ましい。
太陽電池の受光面側に位置する封止材(II)と太陽電池セル(III)との間に、本発明の太陽電池セル用保護シート(Z’)を挟み、太陽電池モジュールを得ることによって、EVAフィルムから発生する酢酸から太陽電池セル(III)を保護し、太陽電池セルの劣化を防ぐことができる。その結果、本発明の太陽電池セル用保護シートを使用した太陽電池モジュールは、変換効率を長期にわたって維持できる。
本発明の太陽電池モジュールの断面を模式的に示す図である。 図1(a)における太陽電池セル(III)を挟む部分の拡大断面を模式的に示す図である。 本発明の太陽電池用保護シートの断面を模式的に示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。また、本明細書において「〜」を用いて特定される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。また、本明細書において「フィルム」や「シート」は、厚みによって区別されないものとする。換言すると、本明細書の「シート」は、厚みの薄いフィルム状のものも含まれ、本明細書の「フィルム」は、厚みのあるシート状のものも含まれるものとする。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル系共重合体」は、「アクリル系共重合体」、「メタクリル系共重合体」、「アクリル系−メタクリル系共重合体」を包含する意であり、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」、「メタクリロイル」を包含する意であり、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」「メタクリル」を包含する意である。
図1(a)は、本発明に係る太陽電池モジュールの模式的断面図である。太陽電池モジュールは、太陽電池表面保護材(I)、受光面側の封止材(II)、太陽電池セル用保護シート(Z)、太陽電池セル(III)、非受光面側の封止材(IV)、太陽電池裏面保護材(V)を少なくとも有する。太陽電池セル(III)の受光面側は、太陽電池セル用保護シート(Z)によって覆われ、更に受光面側の封止材(II)を介して太陽電池表面保護材(I)によって保護されている。太陽電池セル用保護シート(Z)は、図1(b)に示すように、オレフィンフィルム(2)が受光面側の封止材(II)と接し、易接着剤層(1)は、太陽電池セル(III)の受光面に接する。
一方、太陽電池セル(III)の非受光面側は、非受光面側の封止材(IV)を介して太陽電池裏面保護材(V)によって保護されている。
本発明の太陽電池セル用保護シート(Z’)について説明する。
本発明の太陽電池セル用保護シート(Z’)は、融点が太陽電池モジュールを製造する際の温度より高いオレフィンフィルム(2)、言い換えると太陽電池モジュールを製造する際の温度にて溶融しないオレフィンフィルム(2)の一方の面に、太陽電池セル(III)に接着させるための易接着剤層(1’)を具備する。
本発明の太陽電池セル用保護シート(Z’)は、太陽電池の受光面側に位置する封止材(II)として用いられているEVAフィルムから発生する酢酸を遮蔽し、太陽電池セル(III)を保護するためのものである。本発明の太陽電池セル用保護シート(Z’)は、前記受光面側封止材(II)と太陽電池セル(III)との間に、挟んで用いられる。挟む際、前記オレフィンフィルム(2)は、前記受光面側封止材(II)に接するように配置され、前記易接着剤層(1’)は、太陽電池セル(III)の受光面に接するように配置される。
前記易接着剤層(1’)を硬化処理してなる易接着剤層(1)は、太陽電池セル(III)と前記オレフィンフィルム(2)とを接着する役割を担っている。
一方、前記オレフィンフィルム(2)は、受光面側封止材(II)から発生する酢酸を遮断する役割を担う。
オレフィンフィルムは、一般的に光や湿熱性に優れ、酢酸を透過しにくいという性質を有し、封止材のEVAフィルムと強く接着する。
しかし、太陽電池モジュールを製造する際の温度で、オレフィンフィルムが溶融し、流動し、受光面側封止材(II)と混ざってしまうと、十分な酢酸遮蔽機能を発現できない。そこで、太陽電池セル用保護シート(Z’)を構成するオレフィンフィルム(2)の融点は、太陽電池モジュールを製造する際の温度より高いこと、即ち太陽電池モジュールを製造する際の温度にて溶融しないことが求められる。太陽電池モジュールを製造する際、オレフィンフィルム(2)が、フィルムとしての形を保持できることによって、酢酸遮蔽機能を発現できる。
そして、太陽電池モジュールを製造する際の温度にて溶融しないので、オレフィンフィルム(2)と太陽電池セル(III)との接着力を確保するために、オレフィンフィルム(2)と太陽電池セル(III)との間に、易接着剤層(1’)を硬化処理してなる易接着剤層(1)を設けることが重要となる。
太陽電池セル(III)の受光面は、バスパー電極やフィンガー電極による大きな凸凹があるので、製造後の太陽電池モジュールが高温高湿度環境下に置かれた場合、前記電極に沿って浮き(空隙)が発生しやすい。そして、生じた空隙で光が反射したり、生じた空隙に水が浸入したりすることによって、光電変換効率や耐久性が低下しやすい。
そこで、太陽電池モジュールを製造する際の温度にて溶融しないオレフィンフィルム(2)の一方の面に易接着剤層(1’)を設けてなる太陽電池セル用保護シート(Z’)を、前記易接着剤層(1’)が太陽電池セル(III)の受光面に接するように配置し、太陽電池モジュールを製造する際の温度にて前記易接着剤層(1’)を硬化処理し、易接着剤層(1)を設けることが重要となる。
即ち、易接着剤層(1)を設けることによって、前述の浮き(空隙)の発生を防止できるので、光電変換効率や耐久性を低下させることがなく、さらに前述のオレフィンフィルム(2)の酢酸遮断効果により、太陽電池モジュールの長寿命化を実現できる。
本発明で用いるオレフィンフィルム(2)について説明する。
本発明の太陽電池セル用保護シート(Z’)に用いられるオレフィンフィルム(2)は、融点が太陽電池モジュールを製造する際の温度よりも高いことが重要であり、太陽電池モジュールを製造する際の温度よりも10℃以上高いことが好ましい。
太陽電池モジュールは、受光面側封止材(II)、非光面側封止材(IV)の軟化・溶融・架橋温度以上にて、製造される。受光面側封止材(II)、非光面側封止材(IV)の軟化・溶融・架橋温度は、120〜160℃程度のことが多いので、太陽電池モジュールは、110℃以上の温度にて製造されることが多く、生産性等を考慮し120〜150℃にて製造されることがより多い。
従って、オレフィンフィルム(2)の融点は、120℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましく、135℃以上であることがさらに好ましい。また、オレフィンフィルム(2)の融点は、オレフィンフィルム(2)自体の生産性や製造コストの観点から200℃以下であることが好ましい。
このようなオレフィンフィルム(2)の具体例としては、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレンやポリシクロペンタジエンのような環状オレフィン共重合体等が挙げられる。価格や透明性からポリプロピレンが好ましい。
オレフィンフィルム(2)は、耐候性や耐酸化性を付与するため、抗酸化剤やUV吸収剤、光安定剤を含有していても良い。
また、オレフィンフィルム(2)の厚みは、10〜100μmであることが好ましく、25〜50μmであることがより好ましい。
厚みが厚すぎるとフィルムの透過率が下がって光電変換効率が低下してしまい、厚みが薄すぎると柔らかすぎて、易接着剤層(1)の塗工適性が劣る。
オレフィンフィルム(2)を太陽電池セル(III)に接着させるための易接着剤層(1)は、耐候性や耐湿熱性の観点から、(メタ)アクリル系共重合体(A)、及びポリイソシアネート化合物(B)を含有する易接着剤層(1’)から形成されることが好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、ガラス転移温度が−0〜100℃、数平均分子量が5,000〜250,000、水酸基価が2〜100(mgKOH/g)である(メタ)アクリル系共重合体(A)であることが好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度が上記範囲にあることによって、表面にタックを生じにくい硬化処理前の易接着剤層(1’)を形成できると共に、硬化後であっても適度に柔らかい易接着剤層(1)が太陽電池セル(III)に強固に投錨する。
(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度が100℃を越える場合には、硬化処理後の易接着剤層(1)が硬くなり、太陽電池セル(III)への接着力が低下するおそれがある。(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度が0℃未満の場合には、易接着剤の塗膜の表面にタックが生じやすく、製造した太陽電池セル用保護シート(Z‘)をロール状にした場合、ブロッキングを起こしやすくなる。
(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度は、10〜80℃であることが好ましく、20〜70℃であることがより好ましい。
なお、ここでのガラス転移温度とは、(メタ)アクリル系共重合体(A)を乾燥させて固形分100%にした樹脂について、示差走査熱量分析(DSC)によって計測したガラス転移温度のことを示す。例えば、ガラス転移温度は、試料約10mgを秤量したサンプルを入れたアルミニウムパンと、試料を入れていないアルミニウムパンとをDSC装置にセットし、これを窒素気流中で、液体窒素を用いて−50℃まで急冷処理し、その後、20℃/分で200℃まで昇温し、DSC曲線をプロットする。このDSC曲線の低温側のベースライン(試験片に転移および反応を生じない温度領域のDSC曲線部分)を高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点から、補外ガラス転移開始温度(Tig)を求め、これをガラス転移温度として求めることができる。本発明のガラス転移温度は、上記の方法により測定した値を記載している。
(メタ)アクリル系共重合体(A)の数平均分子量が、上記範囲にあることによって、太陽電池セル(III)への接着力を確保でき、高温高湿度下に置かれても前記接着力を高いレベルで維持できる。
(メタ)アクリル系共重合体(A)の数平均分子量が250,000を越える場合には、太陽電池セルへの接着力が低下するおそれがあり、数平均分子量が5,000未満の場合には、硬化処理後の易接着剤層(1)の耐湿熱性が低下し、湿熱試験後に太陽電池セルへの接着力が低下する傾向にある。(メタ)アクリル系共重合体(A)の数平均分子量は、10,000〜100,000であることが好ましく、20,000〜80,000であることがより好ましい。
なお、上記の数平均分子量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算の値である。例えば、カラム(昭和電工(株)製KF−805L、KF−803L、及びKF−802)の温度を40℃として、溶離液としてTHFを用い、流速を0.2ml/minとし、検出をRI、試料濃度を0.02%とし、標準試料としてポリスチレンを用いて行ったものである。本発明の数平均分子量は、上記の方法により測定した値を記載している。
(メタ)アクリル系共重合体(A)の水酸基価は、固形分換算で2〜100mgKOH/gであることが好ましく、2〜50mgKOH/gであることがより好ましく、さらには2〜30mgKOH/gであることが特に好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体(A)の水酸基価が上記範囲にあることによって、太陽電池セル(III)への接着力を確保でき、高温高湿度下に置かれても前記接着力を高いレベルで維持できる。(メタ)アクリル系共重合体(A)の水酸基価が100mgKOH/gを越える場合には、易接着剤の塗膜の架橋が密になり、太陽電池セルへの接着力が低下するおそれがある。また、初期は接着していても、耐湿熱試験中に架橋反応が進行し、湿熱試験後に接着力が低下するおそれがある。一方、(メタ)アクリル系共重合体(A)の水酸基価が2mgKOH/g未満の場合には、易接着剤の塗膜の架橋が疎になり、塗膜の耐湿熱性が低下するおそれがあり、湿熱試験後に太陽電池セルへの接着力が低下するおそれがある。
太陽電池セル(III)の受光面側に位置する封止材(II)及び非受光面側に位置する封止材(IV)は、特に限定されず、公知の材料を好適に適用できる。好適な材料として、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)や、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、ポリオレフィンなどが挙げられる。このうち、コストの点からEVAが主に用いられる。封止材(II)、(IV)は、シート(フィルム状のものも含む)のものが簡便であるが、ペースト状のものなどでもよい。
受光面側に位置する封止材(II)及び非受光面側に位置する封止材(IV)には、有機過酸化物が含まれていてもよい。有機過酸化物を含有させることによって、封止材(II)及び(IV)で太陽電池セル(III)を挟み、加熱する際、ラジカル反応により封止材(II)を架橋させたり、封止材(II)と封止材(IV)とを架橋させたり、封止材(IV)を架橋させたりすることを高効率に行うことができる。
このような(メタ)アクリル系共重合体(A)は、種々のモノマーを重合することによって得ることができる。モノマーとしては、例えば、アルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、グリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマーなどの他に、酢酸ビニル、無水マレイン酸、ビニルエーテル、プロピオン酸ビニル、スチレン等が挙げられる。
アルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが例示できる。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸などが挙げられる。
グリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルなどが例示できる。
上記のモノマーの重合には、通常のラジカル重合を用いることができる。反応方法に何ら制限はなく、溶液重合、塊状重合、乳化重合などの公知の重合法で行うことができるが、反応のコントロールが容易であることや直接次の操作に移れることから溶液重合が好ましい。用いるモノマーは、1種類であっても複数種類を混合して用いてもよい。
溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、セロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチルなど、本発明で樹脂が溶解するものであれば何ら制限は無く、単独でも、複数の溶媒を混合しても良い。また、重合反応の際に使用される重合開始剤もベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系開始剤など公知のものを用いることができ、特に制限は無い。
次に、ポリイソシアネート化合物(B)について説明する。
ポリイソシアネート化合物(B)は、(メタ)アクリル系共重合体(A)中の水酸基と反応し、共重合体同士を架橋させることで、易接着剤層に耐湿熱性を付与すると共に、太陽電池セル用保護シートを構成するプラスチックフィルム(2)や受光面側の封止材(II)または非受光面側の封止材(IV)であるEVA等の封止材との密着性を向上させることができる。そのため、ポリイソシアネート化合物(B)は、一分子中に2つ以上のイソシアネート基を有することが重要であり、例えば、芳香族ポリイソシアネート、鎖式脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物(B)は、1種類でも2種類以上の化合物を併用してもよい。
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
鎖式脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
また、上記ポリイソシアネートに加え、上記ポリイソシアネートとトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、上記ポリイソシアネートのビュレット体やイソシアヌレート体、更には上記ポリイソシアネートと公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等とのアダクト体等が挙げられる。
これらポリイソシアネート化合物(B)の中でも、意匠性の観点から、低黄変型の脂肪族または脂環族のポリイソシアネートが好ましく、耐湿熱性の観点からは、イソシアヌレート体が好ましい。より具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレート体、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)のイソシアヌレート体が好ましい。
さらに、これらポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のほぼ全量とブロック化剤とを反応させることで、ブロック化ポリイソシアネート化合物(B1)を得ることができる。本発明における太陽電池セル用保護シート用易接着剤を塗布して得られる硬化処理前の易接着剤層(D’)は、封止材(II、IV)と貼り合わせて太陽電池モジュールを製造するまでは未架橋にあることが好ましく、そのため、ポリイソシアネート化合物(B)は、ブロック化ポリイソシアネート化合物(B1)であることが好ましい。
ブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、t−ペンタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールなどのアルコール類、3,5−ジメチルピラゾール、1,2−ピラゾール等のピラゾール類、1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等のハロゲン置換アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピルラクタム等のラクタム類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、マロン酸メチル、マロン酸エチル等の活性メチレン化合物類が挙げられる。その他にもアミン類、イミド類、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール類等も挙げられる。ブロック化剤は、1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。
これらのブロック剤の中でも、ブロック剤の解離温度が80℃〜150℃のものが好ましい。解離温度が80℃未満であると、易接着剤を塗布し、溶剤を揮散させる際に、硬化反応が進んで、充填剤との密着性が低下してしまう恐れがある。解離温度が150℃を超えると、太陽電池モジュールを構成する際の真空熱圧着の工程で、硬化反応が充分に進行せず、充填剤との密着性が低下してしまう。
解離温度が80℃〜150℃のブロック剤としては、メチルエチルケトンオキシム(解離温度:140℃、以下同様)、3,5−ジメチルピラゾール(120℃)、ジイソプロピルアミン(120℃)などが例示できる。
本発明の易接着剤におけるポリイソシアネート化合物(B)の量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)の水酸基1個に対して、イソシアネート基が0.1〜10個の範囲で存在するような量であることが必要であり、さらには0.5〜5個の範囲であることが好ましい。0.1個より少ないと、架橋密度が低すぎて、耐湿熱性が十分でなく、10個より多いと、過剰のイソシアネートが湿熱試験中に空気中の水分と反応して、塗膜が硬くなり、太陽電池セル用保護シートを構成するオレフィンフィルム(2)や非受光面側の封止材(IV)であるEVA等との封止材との接着力低下の原因となる。
本発明の易接着剤は、固形分100重量部に対して、後述する有機系粒子、又は無機系粒子を0.01〜30重量部含有することができ、より好ましくは0.1〜10重量部含有することができる。これらの粒子を含有することによって、硬化処理前の易接着剤層(D’)表面のタックを低減することができる。含有量が0.01重量部より少ないと、硬化処理前の易接着剤層(1’)表面のタックを充分に低減することができない。一方、上記各種粒子が多くなると、硬化処理前の易接着剤層(1’)と封止材との密着を阻害し、接着力の低下を招く可能性がある。
特に、有機系粒子においては、融点もしくは軟化点が150℃以上のものを好ましく用いることができる。有機系粒子の融点もしくは軟化点が150℃よりも低いと、太陽電池モジュールを構成する際の真空熱圧着の工程で粒子が軟化し、封止材との接着を妨げる恐れがある。
有機系粒子の具体例としては、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン(登録商標)樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、シリコン樹脂、メタクリレート樹脂、アクリレート樹脂などのポリマー粒子、あるいは、セルロースパウダー、ニトロセルロースパウダー、木粉、古紙粉、籾殻粉、澱粉などが挙げられる。有機系粒子は、1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。
前記ポリマー粒子は、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、ソープフリー重合法、シード重合法、マイクロサスペンジョン重合法などの重合法により得ることができる。また、前記有機系粒子は、その特性を損なわない程度に不純物を含んでいてもよい。また、粒子の形状は、粉末状、粒状、顆粒状、平板状、繊維状など、どのような形状であってもよい。
無機粒子の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、ケイ素、アンチモン、チタンなどの金属の酸化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩などを含有する無機系粒子が挙げられる。さらに詳細な具体例としては、シリカゲル、酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、鉛酸化物、珪藻土、ゼオライト、アルミノシリケート、タルク、ホワイトカーボン、マイカ、ガラス繊維、ガラス粉末、ガラスビーズ、クレー、ワラスナイト、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化チタン、リトポン、軽石粉、硫酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、炭酸バリウム、ドロマイト、二硫化モリブデン、砂鉄、カーボンブラックなどを含有する無機系粒子が挙げられる。無機粒子は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。
また、前記無機系粒子は、その特性を損なわない程度に不純物を含んでいてもよい。また、粒子の形状は、粉末状、粒状、顆粒状、平板状、繊維状など、どのような形状であってもよい。
また、本発明における易接着剤には、必要に応じて、本発明による効果を妨げない範囲で、架橋促進剤を添加してもよい。架橋促進剤は(メタ)アクリル系共重合体(A)の水酸基とポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネートによるウレタン結合反応を促進する触媒としての役割を果たす。架橋促進剤としては、スズ化合物、金属塩、塩基などが挙げられ、具体的にはオクチル酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、塩化スズ、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、トリエチルアミン、トリエチレンジアミンなどが挙げられる。これらは、単独または組み合わせて用いることができる。
また、本発明における易接着剤には、必要に応じて、本発明による効果を妨げない範囲で、充填剤、チクソトロピー付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導性改良剤、可塑剤、ダレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、レベリング剤、硬化剤、増粘剤、顔料分散剤、シランカップリング剤等の各種の添加剤を添加してもよい。
本発明に用いられる易接着剤には、溶剤が含まれる。
溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール類、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、
ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類、
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族類、
酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、などの内から樹脂組成物の組成に応じ適当なものを使用できるが、沸点が50℃〜200℃のものを好ましく用いることができる。沸点が50℃よりも低いと、易接着剤を塗布する際に溶剤が揮発しやすく、固形分が高くなって均一な膜厚で塗布することが難しくなる。沸点が200℃よりも高いと、溶剤を乾燥しづらくなる。なお、溶剤は2種以上用いてもよい。
本発明の易接着剤を、オレフィンフィルム(2)に塗工する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、コンマコーティング、グラビアコーティング、リバースコーティング、ロールコーティング、リップコーティング、スプレーコーティングなどが例示できる。これらの方法で易接着剤を塗布し、加熱乾燥により溶剤を揮散させることで、硬化処理前の易接着剤層(1’)を形成することができる。
形成される硬化処理前の易接着剤層(1’)の厚みは、0.01〜30μmであることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましい。
硬化処理前の易接着剤層(1’)及び硬化処理後の易接着剤層(1)は、波長変換材料(C)を含有することが好ましい。
波長変換材料(C)は太陽電池セル(III)の吸収感度の低い波長領域の光を吸収感度の高い波長領域に波長変換して太陽電池セル(III)に入射させることで、太陽電池のエネルギー変換効率が増大させる働きをする。
本発明の太陽電池セル用保護シート(Z’)は、太陽電池モジュールを製造する際の真空熱圧着の工程等でも溶融しないオレフィンフィルム(2)、例えば融点が120℃以上のオレフィンフィルム(2)を用いている。そのため、真空熱圧着の工程等の際、易接着剤層(1’)中に含まれる波長変換材料(C)を、封止材(II)に拡散させることなく、易接着剤層(1’)中に留めることができる。その結果、太陽電池セル(III)の受光面近傍に波長変換材料(C)の偏在した太陽電池モジュールを製造することができる。
波長変換材料(C)として、有機材料でも、無機材料でも、あるいは両者を組み合わせて使用しても良い。また、蓄光の効果を有しても良い。
有機材料としては、ベンゾキサゾイル誘導体、クマリン誘導体、スチレンビフェニル誘導体、ピラゾロン誘導体、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体、ビススチリルビフェニル誘導体、ビスベンゾオキサゾリルチオフェン誘導体、ペリレン誘導体、ピレン誘導体、ペンタセン誘導体、フルオレセン誘導体、ローダミン誘導体、アクリジン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、フラボン誘導体等が挙げられる。
無機材料としては、ZnO:Zn、ZnS:Cl、ZnS:Ag、ZnS:Cuなどの付活型無機系蛍光材料、希土類錯体等が挙げられる。希土類錯体としては、希土類イオンと有機配位子を原料成分とし、蛍光または燐光特性を発揮する公知のものを用いることができる、希土類イオンの金属元素としては、全ての希土類金属元素を用いることができ、具体的には、例えばTb、Sm、Eu、Ce、Dy、Pr、Tm、Gd、Hoなどである。また、有機配位子としては、ピリジン、ビピリジン、トリピリジン、テルピリジン、フェナントロリン、フタロシアニン、キノリン、ウトロピン、サリチル酸、フタル酸、ナフタル酸、ジフェニル酸、ピロガロールなどが挙げられる。
なお、ZnO:ZnとはZnOの結晶格子内にZnが、ZnS:ClとはZnSの結晶格子内にClが取り込まれた状態を表している。
波長変換材料(A)は、各材料の発光強度や量子収率、また接着剤層の厚み、シートの構成に応じて適宜選択される。易接着剤層(1)100重量%中、1.0×10−3〜10重量%含有することが好ましく、更に好ましくは1.0×10−2〜5重量%含有することが望ましい。1.0×10−3重量%より少ないと、十分に波長変換することができないため、太陽電池のエネルギー変換効率を増大させることはできない。10重量%より多いと、相溶性、及びコスト面の観点から不都合が生じる。
次に太陽電池モジュールについて説明する。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池の受光面側に位置する太陽電池表面保護材(I)、太陽電池の受光面側に位置する封止材(II)、オレフィンフィルム(2)の一方の面に、硬化処理していない易接着剤層(1’)を具備する太陽電池セル用保護シート(Z’)、太陽電池セル(III)、太陽電池の非受光面側に位置する封止材(IV)、及び太陽電池の非受光面側に位置する太陽電池裏面保護材(V)を、
前記の順にて、且つ、前記太陽電池セル用保護シート(Z’)を構成する前記易接着剤層(1’)が、太陽電池セル(III)の受光面側と接するように重ね合わせ、
次いで、前記封止材(II)及び(IV)の架橋温度より高温であって、前記前記オレフィンフィルム(2)の融点未満の温度にて、前記易接着剤層(1’)を硬化させ、前記(I)、(II)、(Z)、(III)、(IV)及び(V)を積層することによって製造することができる。
前記オレフィンフィルム(2)の融点は、上述したように、前記易接着剤層(1’)硬化時の温度よりも10℃以上高いことが好ましい。
太陽電池表面保護材(I)、太陽電池裏面保護材(V)としては、ガラス板、ポリカーボネートやポリアクリレートのプラスチック板や、水蒸気バリア性や絶縁性を有するフィルムを積層した公知の太陽電池用表面保護シートや太陽電池用裏面保護シートなどが挙げられる。
実用上の耐久性や燃焼性を考慮したとき、太陽電池用表面保護材(I)にガラス板を用い、太陽電池裏面保護材(V)は太陽電池用裏面保護シートから形成されたものであることが好ましい。
封止材(II)、(IV)として使用されるEVA等の封止材には、耐候性向上のための紫外線吸収剤、光安定剤や、EVA自身を架橋させるための有機過酸化物などの添加剤が含まれていても良い。
太陽電池セル(III)としては、結晶シリコン、アモルファスシリコン、銅インジウムセレナイドに代表される化合物半導体などの光電変換層に電極を設けたもの、さらにはそれらをガラス等の基板上に積層したもの等が例示できる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ示す。表1に(メタ)アクリル系共重合体の物性を示す。
<(メタ)アクリル系共重合体A1溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート18部、n−ブチルメタクリレート80部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が39,000、水酸基価が8.5(mgKOH/g)、Tgが33℃、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A1溶液を得た。
なお、数平均分子量、ガラス転移温度、水酸基価は、下記に記述するようにして測定した。
<数平均分子量(Mn)の測定>
Mnの測定は、前述したGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって求めた。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
ガラス転移温度の測定は、前述した示差走査熱量測定(DSC)法により求めた。
なお、Tg測定用の試料は、上記のアクリル樹脂溶液を150℃で約15分、加熱し、乾固させたものを用いた。
<水酸基価(OHV)の測定>
共栓三角フラスコ中に試料(樹脂の溶液:約50%)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
水酸基価は次式により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
水酸基価(mgKOH/g)
=[{(b−a)×F×28.25}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
<(メタ)アクリル系共重合体A2溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、n−ブチルメタクリレート86部、2−エチルヘキシルアクリレート10部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリルを0.075部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が75,000、水酸基価が17.0(mgKOH/g)、Tgが6℃、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A2溶液を得た。
<(メタ)アクリル系共重合体A3溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート90部、n−ブチルメタクリレート8部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が41,000、水酸基価が9.0(mgKOH/g)、Tgが95℃、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A3溶液を得た。
<(メタ)アクリル系共重合体A4溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート50部、n−ブチルメタクリレート48部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.4部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が15,000、水酸基価が10.8(mgKOH/g)、Tgが58℃、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A4溶液を得た。
<(メタ)アクリル系共重合体A5溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート20部、n−ブチルメタクリレート70部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、酢酸エチル100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら77℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.05部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.05部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.05部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が242,000、水酸基価が43.0(mgKOH/g)、Tgが37℃、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A5溶液を得た。
<(メタ)アクリル系共重合体A6溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート60部、n−ブチルメタクリレート20部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート20部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が45,000、水酸基価が85.0(mgKOH/g)、Tgが74℃、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A6溶液を得た。
<(メタ)アクリル系共重合体A7溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート18部、n−ブチルメタクリレート80部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを1.5部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.1部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.1部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が4,000、水酸基価が8.4(mgKOH/g)、Tgが34℃、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A7溶液を得た。
<(メタ)アクリル系共重合体A8溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、ブチルメタクリレート76部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート4部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.1部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が58,000、水酸基価が18.3(mgKOH/g)、Tgが−8℃、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体溶液A8を得た。
<(メタ)アクリル系共重合体A9溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート95部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート5部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が30,000、水酸基価が21.7(mgKOH/g)、Tgが102℃、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A9溶液を得た。
<(メタ)アクリル系共重合体A10溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート20部、n−ブチルメタクリレート80部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が35,000、水酸基価が0(mgKOH/g)、Tgが34℃、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A10溶液を得た。
<(メタ)アクリル系共重合体A11溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート55部、n−ブチルメタクリレート20部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート25部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.1部加えて2時間重合反応を行った。続いて、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行うことにより、数平均分子量が60,000、水酸基価が108.5(mgKOH/g)、Tgが72℃、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A11溶液を得た。
<ポリイソシアネート化合物溶液B>
3,5−ジメチルピラゾールでブロックされた、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を、酢酸エチルで75%に希釈し、ポリイソシアネート化合物溶液(B)を得た。
<易接着剤溶液1〜17の調整>
(メタ)アクリル系共重合体(A)溶液、ポリイソシアネート化合物(B)溶液、波長変換材料(C)を表2に示す組成にて混合し、易接着剤溶液1〜17を得た。
なお、易接着剤溶液15〜17は、表2に記載した波長変換材料C1〜C3をそれぞれ用いた。
<オレフィンフィルム1の作成>
ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)製、プライムポリプロF109V)をタンブラー(新栄工機産業社製、SKS50)でプレミックスした後、二軸押出機(日本プラコン社製)で、回転数300rpm、設定温度220℃の条件で混練・押出した後、ペレタイザーでカットし樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用いて、T−ダイ押出機により設定温度220℃の条件で、厚さ30μmのオレフィンフィルム1を作成した。前述した前述した示差走査熱量測定(DSC)法により融点を求めた所、150℃であった。
<太陽電池セル用保護シート1の作製>
オレフィンフィルム1の片面にコロナ処理し、その処理面に易接着剤溶液1をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、塗布量:3g/平方メートルの易接着剤層(1’)を設け、太陽電池セル用保護シート1を作製した。
<太陽電池セル用保護シート2〜17の作製>
太陽電池セル用保護シート1と同様にして、易接着剤溶液2〜17を用いて、太陽電池セル用保護シート2〜17を作製した。
<太陽電池セル用保護シート18の作製>
オレフィンフィルム1の代わりに、オレフィンフィルム2として融点142℃のゼオノアフィルム(日本ゼオン製、厚み40μm)を用いたこと以外は、太陽電池セル用保護シート1と同様にして、太陽電池セル用保護シート18を作製した。
<太陽電池セル用保護シート19の作製>
オレフィンフィルム1の代わりに、オレフィンフィルム3として融点100℃の低密度ポリエチレンフィルム(東セロ製、厚み30μm)を用いたこと以外は、太陽電池セル用保護シート1と同様にして、太陽電池セル用保護シート19を作製した。
<太陽電池セル用保護シート20の作製>
オレフィンフィルム1の代わりに、フィルム4として融点74℃のEVAフィルム(ブリジストン製、厚み30μm)を用いたこと以外は、太陽電池セル用保護シート1と同様にして、太陽電池セル用保護シート20を作製した。
<太陽電池セル用保護シート21の作製>
オレフィンフィルム1の代わりに、フィルム5として融点258℃のポリエステルフィルム(東レ製、厚み30μm)を用いたこと以外は、太陽電池セル用保護シート1と同様にして、太陽電池セル用保護シート21を作製した。
<太陽電池セル用保護シート22の作製>
オレフィンフィルム1の片面にコロナ処理したものを太陽電池セル用保護シート22とした。
[実施例1]
<太陽電池モジュールの作製>
白板ガラス・・・太陽電池表面保護材(I)
EVAフィルム・・・架橋温度約135℃の受光面側の封止材(II)
太陽電池セル用保護シート1・・・太陽電池セル用保護シート(Z’)
多結晶シリコン太陽電池素子・・・太陽電池セル(III)
EVAフィルム・・・架橋温度約135℃の非受光面側の封止材(IV)
太陽電池用裏面保護シート・・・太陽電池裏面保護材(V)
上記(I)−(V)及び太陽電池セル用保護シート1を、太陽電池セル用保護シート1の易接着剤層(1’)が太陽電池セル(III)に接するように上記の順に重ねた後、真空ラミネーターに入れ、1Torr程度に真空排気して、プレス圧力として大気圧の圧力をかけた状態で、120℃で30分間加熱した後、減圧を解除した状態でさらに135℃で30分間加熱し、10cm×10cm角の光電変換効率評価用太陽電池モジュール1を作製した。
<光電変換効率の測定>
得られた太陽電池モジュール1の太陽電池出力を測定し、JIS C8912に従って、ソーラーシュミレーター(英弘精機製、SS−100XIL)を用いて光電変換効率を測定した。
さらに、温度85℃、相対湿度85%RHの環境条件で1000時間、2000時間、3000時間、4000時間静置した後の耐湿熱試験後の光電変換効率を、同様にして測定した。
[実施例2〜18]、[比較例1〜3]
実施例1と同様にして、太陽電池セル用保護シート2〜21を用いて太陽電池モジュール2−21を作製し、光電変換効率(初期、耐湿熱試験後)を測定した。
[比較例4]
太陽電池セル用保護シート1を用い、太陽電池セル用保護シート1の易接着剤層(1’)が受光面側の封止材層(II)に接するように積層した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池モジュール22を作製し、光電変換効率(初期、耐湿熱試験後)を測定した。
[比較例5]
太陽電池セル用保護シート22のコロナ処理面が太陽電離セル(III)に接するように積層した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池モジュール23を作製し、光電変換効率(初期、耐湿熱試験後)を測定した。
[比較例6]
太陽電池セル用保護シートを用いないこと以外は、実施例1と同様にして、太陽電池モジュール24を作製し、光電変換効率(初期、耐湿熱試験後)を測定した。以上の結果を表3に示す。
Figure 2013187349
Figure 2013187349
Figure 2013187349
表3に示されるように、実施例1〜18は、易接着剤層(1’)を具備する本発明の太陽電池用保護シート(Z’)を用いているので、太陽電池セルに対して十分な接着性を有し、なおかつオレフィンフィルムが溶融しないため、受光面側の封止材であるEVAフィルムと物理的に遮断でき、光電変換効率の低下が見られない。
これに対して、表3に示されるように、比較例1と2は融点が120℃未満であるため、真空熱圧着の工程で溶融し、封止材のEVAフィルムが太陽電池セルの受光面と接触するため、湿熱経時で発生した酢酸により、電極や導電膜が侵され、変換効率の低下が大きくなる。
比較例3は、ポリエステルフィルムがEVAフィルムとの湿熱接着性が悪い為、浮きが発生し、界面での反射が大きくなり、さらにポリエステルフィルム自体の湿熱性も悪く、フィルムの透過率が大きく減少するため、湿熱経時で大きく変換効率が低下する、
比較例4は、易接着剤層が封止材のEVAの方を向いているため、太陽電池セルはオレフィンフィルム1と接している。しかしながら、融点が120℃以上のオレフィンフィルムは真空熱圧着の工程で溶融しないため、太陽電池セルと十分な接着性を有さず、初期、即ち湿熱性試験前から浮きが発生し、太陽電池セルとオレフィンフィルムの界面で反射によるロスが発生するため、湿熱性試験前から変換効率がそもそも著しく低い。ただし、オレフィンフィルムが存在するため、湿熱性試験によるその後の変換効率の低下は少ない。
比較例5は易接着剤層がない為、比較例4と同様の理由で、湿熱性試験前から変換効率がそもそも著しく低いが、湿熱性試験によるその後の変換効率の低下は少ない。
比較例6はオレフィンフィルムがない為、湿熱経時で発生した酢酸により、電極や導電膜が侵され、変換効率の低下が大きくなる。
なお、実施例16〜18は易接着剤層に波長変換材料(C)を有しているため、太陽電池セル(III)の吸収感度の低い波長領域の光を吸収感度の高い波長領域に波長変換して太陽電池セル(III)に入射し、変換効率が他のものより優れている。
I 太陽電池セルの受光面側に位置する太陽電池表面保護材
II 太陽電池セルの受光面側に位置する封止材
III 太陽電池セル
IV 太陽電池セルの非受光面側に位置する封止材
V 太陽電池セルの非受光面側に位置する太陽電池裏面保護材
Z 太陽電池セル用保護シート

Claims (15)

  1. 太陽電池の受光面側に位置する太陽電池表面保護材(I)、太陽電池の受光面側に位置する封止材(II)、太陽電池セル用保護シート(Z)、太陽電池セル(III)、太陽電池の非受光面側に位置する封止材(IV)、及び太陽電池の非受光面側に位置する太陽電池裏面保護材(V)を具備してなる太陽電池モジュールであって、
    前記太陽電池セル用保護シート(Z)が、融点120℃以上のオレフィンフィルム(2)の一方の面に易接着剤層(1)が設けられてなるものであり、
    前記易接着剤層(1)が、太陽電池セル(III)の受光面側に接している、太陽電池モジュール。
  2. 前記易接着剤層(1)が、ガラス転移温度が0〜100℃、数平均分子量が5,000〜250,000、水酸基価が2〜100(mgKOH/g)である(メタ)アクリル系共重合体(A)、及び前記(メタ)アクリル系共重合体(A)中の水酸基1個に対して、イソシアネート基が0.1〜10個の範囲でポリイソシアネート化合物(B)を含有する易接着剤層(1’)を硬化処理してなるものである、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
  3. 前記易接着剤層(1)が、波長変換材料(C)を含有する、請求項1又は2記載の太陽電池モジュール。
  4. 前記受光面側の封止材(II)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を主成分とする、請求項1〜3いずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  5. 前記ポリイソシアネート化合物(B)がブロック化ポリイソシアネート(B1)である、請求項2〜5いずれか1項記載の太陽電池モジュール。
  6. 太陽電池の受光面側に位置する太陽電池表面保護材(I)、太陽電池の受光面側に位置する封止材(II)、オレフィンフィルム(2)の一方の面に、硬化処理していない易接着剤層(1’)を具備する太陽電池セル用保護シート(Z’)、太陽電池セル(III)、太陽電池の非受光面側に位置する封止材(IV)、及び太陽電池の非受光面側に位置する太陽電池裏面保護材(V)を、
    前記の順にて、且つ、前記太陽電池セル用保護シート(Z’)を構成する前記易接着剤層(1’)が、太陽電池セル(III)の受光面側と接するように重ね合わせ、
    次いで、前記封止材(II)及び(IV)の架橋温度より高温であって、前記前記オレフィンフィルム(2)の融点未満の温度にて、前記易接着剤層(1’)を硬化させ、前記(I)、(II)、(Z)、(III)、(IV)及び(V)を積層することを特徴とする、太陽電池モジュールの製造方法。
  7. オレフィンフィルム(2)の融点が、易接着剤層(1’)硬化時の温度よりも10℃以上高いことを特徴とする、請求項6記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  8. 前記易接着剤層(1’)が、ガラス転移温度が0〜100℃、数平均分子量が5,000〜250,000、水酸基価が2〜100(mgKOH/g)である(メタ)アクリル系共重合体(A)、及び前記(メタ)アクリル系共重合体(A)中の水酸基1個に対して、イソシアネート基が0.1〜10個の範囲でポリイソシアネート化合物(B)を含有することを特徴とする、請求項6又は7記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  9. 前記易接着剤層(1)が、波長変換材料(C)を含有することを特徴とする請求項6〜8いずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  10. 前記受光面側の封止材(II)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を主成分とすることを特徴とする請求項6〜9いずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  11. 前記ポリイソシアネート化合物(B)がブロック化ポリイソシアネート(B1)であることを特徴とする、請求項8〜10いずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  12. 融点120℃以上のオレフィンフィルム(2)の一方の面に、硬化処理していない易接着剤層(1’)を具備する、太陽電池セル用保護シート(Z’)。
  13. 前記易接着剤層(1’)が、ガラス転移温度が0〜100℃、数平均分子量が5,000〜250,000、水酸基価が2〜100(mgKOH/g)である(メタ)アクリル系共重合体(A)、及び前記(メタ)アクリル系共重合体(A)中の水酸基1個に対して、イソシアネート基が0.1〜10個の範囲でポリイソシアネート化合物(B)を含有する、請求項12記載の太陽電池セル用保護シート(Z’)。
  14. 前記易接着剤層(1’)が、波長変換材料(C)を含有する、請求項12又は13に記載の太陽電池セル用保護シート(Z’)。
  15. 前記ポリイソシアネート化合物(B)が、ブロック化ポリイソシアネート(B1)である、請求項13または14に記載の太陽電池セル用保護シート(Z’)。
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