JP2013185173A - 電解槽用栓 - Google Patents

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Abstract

【課題】過酷な条件下においても長期間使用することができる電解槽用栓を提供する。
【解決手段】金属の電解精錬用の電解槽の底部に設けられた底抜き配管を開閉するための電解槽用栓1において、鉛で構成されている栓本体2と、有機高分子で構成されており、少なくとも底抜き配管と接触する栓本体2の外側2Aを被覆する被覆部4と、チタンで構成され、一部が栓本体2に埋め込まれており、栓本体2に埋め込まれていない部分が、被覆部4によって被覆された栓本体2を引き上げることができるように形成されている吊り部3とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属の電解精錬プロセスなどにおける電解槽に用いられる電解槽用栓に関する。
銅を電解精製するプロセスでは、高品質な電気銅を安定かつ低コストに得ることが重要な課題である。高品質な電気銅を安定かつ低コストに得るためには、カソードに電析する銅への不純物の混入を防止するとともに、カソードを取り扱う手間が最小限で済むように、カソード表面の電着を平滑に維持することが必要である。
電析の平滑さには、電解液の組成が大きく影響する。一般的に、銅の電解精製は、例えば、銅が40〜50g/L、遊離硫酸が150〜200g/Lの濃度である組成の硫酸酸性溶液を電解浴に用いて、200〜350A/m程度の電流密度で行う。
銅の電解精製プロセスでは、アノードに用いられる粗銅中に含まれる微量の酸化銅(CuOやCuOなど)や金属銅が、電気によらずに、電解液中の硫酸によって化学的に溶解する。そのため、アノードから溶出する銅量がカソードに電着する銅量よりも1〜2%程度多くなる傾向がある。
この過剰な銅を分離せずに電解精製を継続すると、電解液中の銅濃度が次第に上昇する。銅濃度の上昇を放置したままでいると、アノードからの銅の溶出が阻害される不働態化と呼ばれる現象が生じて、銅の電解が不可能となってしまう。
電解液中の銅濃度の上昇を抑えるためには、水を添加して電解液を薄めれば良いとも考えられる。しかしながら、実際には、電解液の液量が増加し続けてしまうため、水を添加する方法には限界がある。
また、電解精製の操業においては、設備やカソード表面を洗浄するために水を用いたり、電解液の温度を60℃程度に維持するため、電解槽から水が蒸発することがあり、電解液の液量が絶えず増減してしまう。
そのため、銅濃度を一定に保ちながら、液量、すなわち水バランスを安定に維持するために、電解液から銅と水分とを分離する濃縮工程を設けることが一般的である。
具体的に、濃縮工程では、電解液を80〜90℃程度に加熱すると同時に減圧し、水分を蒸発させて分離する。濃縮後の液は、液量が減少した分だけ銅濃度が上昇するので、濃縮前と同じ温度に冷却すると、過飽和となった銅が硫酸銅などの形で析出する。そのため、濃縮後の液は、水と銅との両方を分離することができる。半分程度の液量まで濃縮し、析出した銅を分離した後の電解液は、銅濃度が10〜20g/L程度まで低下する。一方、この電解液において、蒸発しない遊離硫酸濃度は300〜500g/L程度に上昇する。
また、電解液には、アノードから溶出した砒素やアンチモンやビスマスなどの不純物も含有されている。これらの不純物を分離する方法として、上述した濃縮によって銅濃度を減らした電解液から電解採取し、銅と共に不純物を析出させて分離除去する脱銅電解(脱砒素電解、回酸電解又は脱不純物電解とも呼ばれる)が行われることが一般的である。
脱銅電解では、鉛や鉛合金を不溶性アノードに用い、先ず、電解液から銅を電解採取して分離する。電解液中の銅濃度が一定の濃度よりも低下すると、銅と共にビスマスが析出し始める。次いで、電解液から砒素やアンチモンが析出して、砒素やアンチモンが電解液から分離される。砒素やアンチモンは、平滑な電析をするのではなく、銅と共に粉状の析出物を生成して、脱銅スライムとして電解槽の槽底に沈積する。沈積した脱銅スライムは、電解槽の槽底に接続された底抜き配管(排水口)を利用して、底抜き配管の入り口に挿入した栓(電解槽用栓)の出し入れによって、定期的に抜き出して系外に排出される。
銅や不純物を分離した後の電解液は、遊離硫酸を主成分とするので、必要に応じて電解工程に補充する硫酸として利用されたり、硫酸工場で精製される。
ところで、脱銅電解は、電気銅を得る一般の電解精製とは様々な異なった点がある。上述したように、脱銅電解の電解液は、一般の電解精製と比べて硫酸濃度が2倍程度にまで上昇しており、酸性が極めて強い。また、脱銅電解は、電解採取であるため、アノード表面からは酸素が発生し、発生した酸素により電解液が強酸化性雰囲気になっている。
このような条件下では、電解槽や付帯する設備の材質にも、それ相応の耐蝕性や耐酸化性が必要とされる。具体的には、電解液や脱銅スライムを抜き出すための電解槽の槽底に設置された底抜き配管には電解槽用の栓が挿入されて、通電中に電解液が抜けないようにしている。
この電解槽用栓は、一般に電解槽の底抜き配管に接して電解液の流出を止める本体と、抜き差しを行うための吊り輪から構成される。使用時は吊り輪に棒状の金具(冶具)などを引っ掛け、槽の抜き口に乗せ、棒を本体の上から押さえつけて施栓し、反対に解栓する際は金具を吊り輪に引っ掛けて引き抜く。
工業的な電解槽の深さは、例えば1.5m程度ある。そのため、電解液が満たされた状態では、電解槽用の栓の位置を目視で直接確認することは困難であり、確実かつ迅速な栓の取り扱いが必要とされる。
しかしながら、脱銅電解の場合には、上述のように、強酸、強酸化性雰囲気であることから、従来の一般的な銅電解操業で用いられた電解槽用栓を用いることは困難であった。
また、脱銅電解では、アノードから水の電気分解によって酸素が常時発生し、カソードから水素が発生する。そのため、電解槽用栓には、耐酸化性や水素脆性の影響が少ないなど、酸化還元への耐性が求められる。また、脱銅電解において、通電中はジュール熱によって電解液の温度が高くなるため、耐熱性も求められる。
また、電解槽用栓には、化学的な安定性や、脱銅スライムが電解槽の底抜き配管の抜き口とその栓との間に噛み込んでも削られない耐磨耗性が求められる。また、電解槽用栓は、底抜き配管から引き抜く際に力が加えられるため、耐衝撃性が求められる。
また、電解槽用栓と底抜き配管との間には隙間が生じてはならないにも拘わらず、工業的な電解槽では、施工と経年変化による歪が避けられない。そのため、電解槽用栓は、底抜き配管の歪んだ形状に適応できる柔軟性が求められる。
このように、脱銅電解においては、過酷な条件が共存しており、この条件に長期間耐えうる電解槽用栓の材質と構造を見出すことが困難であった。
従来では、各種金属で構成された電解槽用栓が用いられていたが、脱銅電解に用いる電解槽では、劣化が急速に進行して補修や更新の頻度が増加するため、操業の安定性に問題があった。この問題は、通常の銅電解と比較して脱銅電解においては発生頻度が高く、特に脱銅電解においてコストや信頼性を向上させる方法が望まれていた。
また、例えば特許文献1〜4のように、金属材料の耐食性を向上させるような技術が提案されている。例えば、特許文献1には、各種金属にヘキサメチレンテトラミンを入れて耐食性を向上させる技術が開示されている。しかしながら、脱銅電解では、酸素発生反応が生じており、局所的にしろ、このような酸化的雰囲気においては、ヘキサメチレンテトラミンが速やかに消費されるため、この特許文献1の技術を使用することはできない。
また、例えば特許文献2には、チタンに白金を添加して耐食性を向上する技術が開示されている。しかしながら、当該技術の核心は、チタン表面に白金が濃縮することにあり、電解槽の底に沈んだスライムとの接触や底抜き配管からの抜き挿しの際の磨耗によって保護面を喪失してしまうため使用できない。また、高価な白金を使用していることもデメリットである。
また、例えば特許文献3には、ニッケル−クロム−モリブデン−銅合金の組成範囲を所定の範囲にすることによって耐食性を向上させる技術が開示されている。しかしながら、自由パラメータが多すぎるため脱銅電解への適用が難しい。さらに、特許文献3で検討された条件では、浴の対流や酸化的雰囲気が考慮されていない。脱銅電解においては、液中に残存する金属元素の大部分をニッケルが占めるという経験的事実から、仮に特許文献3に記載の技術に基づいてニッケルを主体とする材料を使用したとしても、金属置換反応によってニッケルが速やかに溶出すると考えられるため、使用できない。
また、例えば特許文献4には、チタンに各種元素を添加して耐食性を向上させる技術が開示されている。しかしながら、中性又は5%程度の酸濃度での技術であり、脱銅電解への適用は極めて難しい。また、スライムとの接触反応、耐磨耗性、耐衝撃性、柔軟性についても検討も必要である。
以上で述べたものの他に、例えば、電解槽用栓を使用せずに、底抜き配管にバルブや電磁弁を設置して開閉制御する方法も考えられるが、上述の耐蝕性の問題や配管内の詰まりによる不完全動作が懸念されることや、設置とメンテナンスに要するコストを考えると実用的ではない。
特開2001−011501号公報 特開平06−025779号公報 特開2004−019005号公報 特開2010−270360号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、脱銅電解などの過酷な条件下においても、腐食や劣化の発生を抑制するとともに電解槽内の底抜き配管との密着性を高めて、配管の開閉作業に対して信頼性が高く、長期間に亘って使用することができる電解槽用栓を提供することを目的とする。
本発明は、金属の電解精錬用の電解槽の底部に設けられた底抜き配管を開閉するための電解槽用栓において、鉛で構成されている栓本体と、有機高分子で構成されており、少なくとも底抜き配管と接触する栓本体の外側を被覆する被覆部と、チタンで構成され、一部が栓本体に埋め込まれており、栓本体に埋め込まれていない部分が、被覆部によって被覆された栓本体を引き上げることができるように形成されている吊り部とを備えることを特徴とする。
本発明に係る電解槽用栓によれば、耐食性や耐酸化性などの耐久性及び柔軟性を向上させることができるため、例えば脱銅電解などの強酸、強酸化性の電解液が接触する条件下においても、電解槽内の底抜き配管の開閉作業に対して高い信頼性を維持して、長期間に亘って使用することができる。
(A)は、本実施の形態に係る電解槽用栓の構成例を示す図であり、(B)は、本実施の形態に係る電解槽用栓の構成例を示す分解図である。 本実施の形態に係る電解槽用栓における吊り部の他の構成例を示す図である。 栓引き抜き冶具の構成例を示す図である。
以下、本発明を適用した実施の形態(以下、「本実施の形態」という)の一例について、図面を参照しながら以下の順序で説明する。
1.電解槽用栓
1−1.電解槽用栓の構成
1−2.電解槽用栓の作製方法
2.電解槽用栓の使用方法
3.実施例
≪1.電解槽用栓≫
<1−1.電解槽用栓の構成>
図1(A)は、本実施の形態に係る電解槽用栓1の全体構成の一例を示す図である。また、図1(B)は、電解槽用栓1の分解図である。図1に示すように、本実施の形態に係る電解槽用栓1は、栓本体2と、吊り部3と、被覆部4とから構成されている。
電解槽用栓1は、金属の電解精錬用の電解槽の底部に設けられた底抜き配管を開閉するため使用される構造材であり、例えば電気銅を製造する銅電解槽や、電解精製プロセスにおいて電解液中に余剰に溶出した銅を電解採取する脱銅電解槽で使用することができる。
より具体的に、電気銅を製造する銅電解槽では、転炉などの乾式精錬設備を用いて精製された粗銅を鋳造することにより得られる精製アノードを陽極に用い、また純粋な銅板(種板に吊り手部分を取り付けクロスビームを通して作成したカソード)を陰極に用いて電解精製を行う。これにより、精製アノードから銅を電解液中に電気溶解させ、電解液中の銅をカソードに電着させて、99.99%以上の純度にまで精製された電気銅を製造する。一方で、脱銅電解は、例えば温度が50〜70℃、銅濃度が60g/L以下、遊離硫酸濃度が150g/L以上の硫酸酸性溶液が電解液として用いられる。この脱銅電解では、上述した銅の電解精製プロセスにおいて、アノードとして用いる粗銅から電解液中に過剰に溶出した銅を電解採取するとともに、電解液中に溶出した砒素やアンチモン、ビスマスなどの不純物成分を回収除去する。
本実施の形態に係る電解槽用栓1は、銅精製プロセスにおける銅電解槽に用いることができるのみならず、上述した強酸であり強酸化性の電解液を収容した脱銅電解槽においても使用することができ、高い耐久性及び柔軟性で以って電解槽内の底抜き配管の開閉作業を行うことができ、その開閉作業に対して高い信頼性を維持して、長期間に亘って使用することができる。
(栓本体)
栓本体2は、電解槽用栓1において、電解槽の底部に設けられた底抜き配管を閉鎖するための本体部材である。栓本体2の形状は、底抜き配管を開閉することが可能な形状であれば特に限定されず、適用する電解槽の底抜き配管の形状に合わせて適宜設定することができる。例えば、図1(A)、(B)に示すように、略円錐台形状や円柱形状とすることができる。
栓本体2の大きさは、適用する電解槽の底抜き配管の大きさに応じて設定することができ特に限定されるものではない。
また、栓本体2の材質は、金属の電解精製用の電解槽で使用することができるもの、すなわち、耐酸性などの耐久性が良好なものであれば特に限定されない。例えば、栓本体2は、鉛で構成することができる。このように、栓本体2を鉛で構成することにより、栓本体2の耐酸性や酸化還元への耐性を向上させることができるため、酸性が強く酸化性ガスや還元性ガスが存在する脱銅電解の電解液中でも、電解槽用栓1を長期間に亘って使用することができる。また、栓本体2を鉛で構成することにより、コストを抑えることができ、また加工も容易となる。
(吊り部)
吊り部3は、主として電解槽の底抜き配管の開閉に際して、棒状の金具によって引き上げられる部材である。吊り部3は、チタンで構成されている。このように、吊り部3がチタンで構成されていることにより、電解槽用栓1の引き上げや押し込み操作の際に、応力によって吊り部3が変形したり破断してしまうことを防止することができ、耐衝撃性を向上させることができる。また、吊り部3がチタンで構成されていることにより、耐酸性などの耐久性を良好にすることができるため、酸性が強く酸化性ガスや還元性ガスが存在する脱銅電解の電解液中でも、電解槽用栓1を長期間に亘って使用することができる。
吊り部3は、図1(A)、(B)に示すように、例えばリング状に形成された部分3Aと直線状に形成された部分3Bとが接合部3Cで接続されて構成されている。
吊り部3は、電解槽用栓1において、図1(A)に示すように、リング状に形成された部分3Aの一部と直線状に形成された部分3Bとが栓本体2に埋め込まれている。すなわち、吊り部3は、電解槽用栓1において一部が栓本体2に埋め込まれており、栓本体2に埋め込まれていない部分(以下、「非埋め込み部」という)と、栓本体2に埋め込まれている部分(以下、「埋め込み部」という)とを形成している。
このように、吊り部3は、リング状に形成されている部分3Aの少なくとも一部が栓本体2から突出して非埋め込み部となっており、非埋め込み部が一体構造となっている。この吊り部3により、その非埋め込み部を介して後述する被覆部4によって被覆された栓本体2を引き上げることができるようになっている。また、非埋め込み部がリング状に形成されていることにより、吊り部3以外に応力を集中させないようにして電解槽用栓1の引き上げや押し込みをすることができ、電解槽用栓1の耐久性を高めることができる。
吊り部3の大きさとしては、特に限定されず、適用する電解槽の底抜き配管の大きさに応じて適宜設定することができる。例えば、リング状に形成されている部分3Aの穴3Dの直径としては20〜150mmとすることができる。このように、リング状の吊り部3の穴3Dの直径が20〜150mmであることにより、電解槽用栓1の引き上げや押し込み操作の際に、電解槽の上部から棒状の金具による触感によって穴3Dを容易に探り当てることができる。
ここで、図2は、本実施の形態に係る電解槽用栓1における吊り部の他の形状例を示す図である。図2に示すように、電解槽用栓1の吊り部として、図2(A)〜(D)に示すような形状とすることもできる。
図1(A)及び(B)に示した吊り部3では、強酸化性、強酸性溶液の中においては、接合部3Cが損傷・破断しやすい。そのため、吊り部3の形成されたような接合部3Cがない形状とすることによって、損傷をより効果的に防止することができる。具体的には、例えば図2(B)に示すような楕円形状や、図2(C)に示すような半楕円形状とすることが好ましい。
また、吊り部の形状は、図2(A)及び(D)に示すように、横方向、すなわち、吊り部が栓本体2に埋め込まれる方向と直交する方向に延びる支持部3Eを有する形状とすることができる。このような支持部3Eを有する形状とすることにより、電解槽用栓1の引き上げや押し込み操作の際に、応力によって吊り部が変形したり破断してしまうことをより効果的に防止することができ、耐衝撃性をより向上させることができる。また、物理的な強度も増し、例えば電解槽用栓の引き上げる際に吊り部3と栓本体2とが分離してしまうことを防止することができる。
(被覆部)
被覆部4は、電解槽の底に設けられた底抜き配管と電解槽用栓1との密着性を良好にするための部材である。被覆部4は、図1(A)、(B)に示すように、例えば上方へ開口する略円錐台形の容器状に形成されており、少なくとも電解槽の底に設けられた底抜き配管と接触する栓本体2の外側(外側表面)2Aを被覆するように形成されている。
被覆部4の大きさは、上述した栓本体2の大きさに応じて適宜設定することができる。すなわち、被覆部4は、栓本体2の外側2Aを被覆することができ、また電解槽の底部に設けられた底抜き配管を閉鎖することができる程度に設定することができる。
被覆部4は、電解槽の底に設けられた底抜き配管と電解槽用栓1との密着性を良好にすることができる材質で構成されており、具体的には有機高分子で構成されている。被覆部4が有機高分子で構成されていることにより、開閉時に生じる摩擦への耐性や底抜き配管を確実に閉鎖するとともに簡便に開放するための柔軟性を得ることができる。そして、これにより、栓本体2の被覆された部分の塑性変形を防止することができ、底抜き配管と電解槽用栓1との密着性を良好にすることができる。
このように、被覆部4は、有機高分子で構成されており、栓本体2の外側2Aを被覆するように形成されていることにより、底抜き配管と電解槽用栓1との密着性を向上させることができるとともに、底抜き配管の割れを防止することができる。したがって、過酷な条件下においても長期間に亘って電解槽用栓1を使用することができる。
また、被覆部4は、有機高分子の中でも、フッ素を含有する樹脂で構成されていることが好ましい。このように、被覆部4をフッ素を含有する樹脂で構成することにより、腐食による割れなどを防止することができるため、電解槽用栓1の耐摩耗性や柔軟性をより良好に保つことができる。
また、被覆部4は、有機高分子の中でも天然ゴム(生ゴム)やバイトン(登録商標)などのエラストマーで構成されていることがより好ましい。被覆部4をこのようなエラストマーで構成することにより、柔軟性が向上し、電解槽用栓1の密着性を高めることができる。
以上詳述したように、本実施の形態に係る電解槽用栓1は、鉛で構成されている栓本体2と、チタンで構成されている吊り部3と、有機高分子で構成されている被覆部4とで構成されている。そして、電解槽用栓1は、吊り部3の一部が栓本体2に埋め込まれ、その栓本体2が被覆部4で被覆されて構成されている。また。電解槽用栓1においては、吊り部3の一部が栓本体2に埋め込まれており、栓本体2に埋め込まれていない部分が例えばリング状に形成されており、その吊り部3を介して電解槽用栓1を容易に引き上げることが可能になっている。
このように構成された電解槽用栓1は、耐酸性、酸化還元への耐性、耐熱性、耐磨耗性、耐衝撃性及び柔軟性に優れており、腐食や劣化を防止することができ、電解槽中の電解液の流出を確実に防止することができ、また底抜き配管の開放時には容易に引き上げることができ、脱銅スライムや電解液の除去作業を効率的に行うことができる。このように、電解槽用栓1によれば、脱銅電解などの強酸、強酸化性の電解液に接触する環境下においても、長期間に亘って高い信頼性で以って使用することができる。
<1−2.電解槽用栓の作製方法>
上述した電解槽用栓1は、例えば次のような方法によって作製することができる。
先ず、溶融した状態の栓本体2の中心に、吊り部3におけるリング状に形成された部分3Aの一部と直線状に形成された部分3Bとを埋め込んだ状態で栓本体2を固める。次いで、栓本体2の外側2Aを被覆するように被覆部4を被せることによって、栓本体2の外側2Aを被覆部4で被覆させる。
≪2.電解槽用栓の使用方法≫
本実施の形態に係る電解槽用栓1に使用方法として、電解槽の底に設けられた開閉したい底抜き配管に対して、閉鎖する場合には配管口に電解槽用栓1を押し込み、また開放する場合には配管口から電解槽用栓1を引き抜いて使用することができる。
電解槽用栓1は、金属の電解精錬用の電解槽の底部に設けられた底抜き配管に設置され、電解処理が行われる電解操業中、例えば約1週間に1回程度の割合で、底抜き配管から抜き差しが行われる。
上述したように、電解槽用栓1は、耐久性及び柔軟性を有するため、耐酸性、酸化還元への耐性、耐熱性、耐磨耗性、耐衝撃性及び柔軟性に優れている。したがって、電解槽用栓1は、金属の電解精錬用の電解槽で使用された際に、例えば脱銅電解等の強酸、強酸化性の電解液に接触する環境下においても、長期間に亘って使用することができる。
ここで、図3は、底抜き配管の配管口に電解槽用栓1を抜き差しする際に使用する栓引き抜き冶具5の構成例を示す図である。電解槽用栓1は、例えば図3に示すような栓引き抜き冶具5を用いることによって、押し込み、引き抜き、運搬などを行うことができる。栓引き抜き冶具5は、例えば鉤棒であり、鉤部6と、把持部7とを備える。鉤部6は、栓引き抜き冶具5の下端に形成されており、電解槽用栓1におけるリング状に形成されている部分3Aの非埋め込み部と係合するように構成されている。把持部7は、栓引き抜き冶具5の中央に形成されており、使用される電解槽の水深を超える長さを有する。
≪3.実施例≫
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
(サンプル1)
サンプル1として、栓本体と、リング状に形成された部分の一部と直線状に形成された部分が栓本体に埋め込まれている吊り部と、栓本体の外側を被覆する被覆部とからなる電解槽用栓を作製した。
栓本体は、鉛で構成されており、上面の直径が41mm、下面の直径が35mmの円錐台形のものを用いた。吊り部は、チタンで構成され、リング状に形成された部分の穴の直径が38mmのものを用いた。被覆部は、天然ゴムで構成されており、上面の直径が57mm、下面の直径が45mmの略円錐台形の容器状のものを用いた。
(サンプル2)
サンプル2として、吊り部の材質をSUS304としたこと以外は、サンプル1と同様の電解槽用栓を作製した。
(サンプル3)
サンプル3として、吊り部の材質をSUS316としたこと以外は、サンプル1と同様の電解槽用栓を作製した。
(サンプル4)
サンプル4として、吊り部の材質をSUS316としたこと、被覆部の材質をナイロン(登録商標)としたこと以外は、サンプル1と同様の電解槽用栓を作製した。
(サンプル5)
サンプル5として、吊り部の材質をSUS316としたこと、被覆部の材質をバイトン(登録商標)としたこと以外は、サンプル1と同様の電解槽用栓を作製した。
(サンプル6)
サンプル6として、吊り部の材質をSUS316としたこと、被覆部の材質をテフロン(登録商標)としたこと以外は、サンプル1と同様の電解槽用栓を作製した。
サンプル1〜6の電解槽用栓を脱銅電解の底抜き配管の配管口に設置し、2〜30ヶ月に亘って脱銅電解槽での脱銅電解操業に使用し、電解槽用栓の密着性、吊り部の耐久性及び被覆部の耐久性を評価した。具体的には、脱銅電解槽の底抜き配管の配管口に設置したサンプル1〜6の電解槽用栓について、底抜き配管への液漏れの有無、被覆部の破損頻度、吊り部の破損頻度を調べた。なお、脱銅電解槽での操業期間中、約1週間に1回程度、脱銅電解槽の底抜き配管から電解槽用栓を抜き差しし、操業に伴って生じる脱銅スライムなどを排出する操作を行った。下記表1に調査結果を示す。
Figure 2013185173
いずれの電解槽用栓においても、鋳造時や鋳造直後に栓本体と吊り部とが剥離したり割れたりすることはなかった。
サンプル2〜6の電解槽用栓のように、吊り部の材料としてSUS304やSUS316を用いた場合には、吊り部が破損するまで11ヶ月程度であった。一方で、サンプル1の電解槽用栓のように、吊り部の材料としてチタンを用いた場合には、30ヶ月以上が経過しても使用可能な状態に維持されており、優れた耐久性を示した。
また、サンプル4、6のように、被覆部の材料としてナイロン(登録商標)又はテフロン(登録商標)を用いた場合には、密着性が悪く液漏れが抑制困難であった。一方で、サンプル1〜3、5のように、被覆部の材料として天然ゴム又はバイトン(登録商標)のエラストマーを用いた場合には、密着性が極めて良好であった。
以上の結果から、サンプル1のように、鉛で構成された栓本体と、有機高分子、特に天然ゴム又はバイトン(登録商標)などのエラストマーで構成されており、その栓本体の外側を被覆する被覆部と、チタンで構成された吊り部とからなる電解槽用栓とすることにより、耐久性及び柔軟性を良好にすることができ、脱銅電解槽などの強酸でかつ強酸化性の電解液と接触する環境下においても、配管の開閉作業に対して高い信頼性を維持して長期間に亘たって使用できることが分かった。
1 電解槽用栓、2 栓本体、3 吊り部、3A リング状に形成された部分、3B 直線状に形成された部分、3C 穴、3D 接合部、4 被覆部、5 鉤棒、6 鉤部、7 把持部

Claims (7)

  1. 金属の電解精錬用の電解槽の底部に設けられた底抜き配管を開閉するための電解槽用栓において、
    鉛で構成されている栓本体と、
    有機高分子で構成されており、少なくとも上記底抜き配管と接触する上記栓本体の外側を被覆する被覆部と、
    チタンで構成され、一部が上記栓本体に埋め込まれており、上記栓本体に埋め込まれていない部分が、上記被覆部によって被覆された栓本体を引き上げることができるように形成されている吊り部と
    を備えることを特徴とする電解槽用栓。
  2. 上記被覆部は、フッ素を含有する樹脂で構成されていることを特徴とする請求項1記載の電解槽用栓。
  3. 上記被覆部は、天然ゴム又はバイトン(登録商標)で構成されていることを特徴とする請求項1記載の電解槽用栓。
  4. 上記吊り部は、上記栓本体に埋め込まれていない部分がリング状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の電解槽用栓。
  5. 上記吊り部は、上記リング状に形成されている部分の穴の直径が20〜150mmであることを特徴とする請求項4記載の電解槽用栓。
  6. 上記吊り部は、上記栓本体に埋め込まれていない部分が一体構造で形成されていることを特徴とする請求項1記載の電解槽用栓。
  7. 遊離硫酸濃度が150g/L以上である硫酸酸性溶液を電解浴に用いた脱銅電解槽の底抜き配管を開閉するために使用されることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項記載の電解槽用栓。
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