JP2013184986A - 燃料ガス精製装置、発電システム及び燃料合成システム - Google Patents

燃料ガス精製装置、発電システム及び燃料合成システム Download PDF

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Abstract

【課題】炭酸塩による可燃性ガスの精製をより効率的に行うことができる燃料ガス精製装置、燃料ガス精製装置を備える発電システム及び燃料合成システムを提供する。
【解決手段】バイオマスを熱分解して生成された熱分解ガスが導入されるガス精製容器11と、熱分解ガスが流通するようにガス精製容器11内に設けられた多孔質構造体30と、多孔質構造体30に溶融炭酸塩17を供給して多孔質構造体30に溶融炭酸塩17を保持させる炭酸塩供給手段13とを備え、多孔質構造体30は、複数のセル32を区画する多孔質体31、及び機能性材料から形成された粒子33を備え、粒子33の径よりも小さな開口径を有するセル32の内部に粒子33が保持されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料ガス精製装置、発電システム及び燃料合成システムに関し、特に、可燃性ガスに含まれる未燃分、灰分、不純物等を除去、精製し、精製して得られた燃料ガスを利用する場合に適用して有用なものである。
近年、バイオマスをエネルギーとして利用することが注目されている。バイオマスのエネルギーの利用方法としては、バイオマスを直接燃焼させて熱・電気エネルギーを得る方法、または熱分解によって燃料ガスを得る方法等が知られている。バイオマスを炭化機などで熱分解した粗ガスには、灰分や不純物が含まれている。このため、燃料ガス精製装置により不純物等を除去することで粗ガスから燃料ガスを精製する。
燃料ガス精製装置としては、例えば、粗ガスが供給される容器内に多孔質体を配置し、多孔質体に溶融炭酸塩を供給し、多孔質体に粗ガスを流通させることで燃料ガスに精製するものがある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、溶融炭酸塩は、多孔質体の空孔に保持されるものの、次第に自重で容器下部に落下してしまう。このため、多孔質体に溶融炭酸塩が保持された状態を維持するために、溶融炭酸塩を供給する頻度を高めなければならないという問題が生じる。
溶融炭酸塩の供給頻度を高めるためには、容器下部に溜まった溶融炭酸塩を回収して、再度供給するなどの装置構成が必要となる。このため、燃料ガス精製装置の構成が複雑となり、コストが増大してしまう。
また、多孔質体の空孔を細かくすることで溶融炭酸塩を保持しやすくすることも可能である。しかしながら、多孔質体の空孔を細かくすると粗ガスの流路抵抗が大きくなってしまう。このため、溶融炭酸塩を保持するために多孔質体の空孔を細かくすることは現実的に採用できる手段ではない。
このような問題は、バイオマス由来の熱分解ガスに限らず、可燃性ガスから不純物等を除去する場合についても同様に存在する。
特開2010−184972号公報
本発明は、かかる事情に鑑み、炭酸塩による可燃性ガスの精製をより確実に行うことができる燃料ガス精製装置、燃料ガス精製装置を備える発電システム及び燃料合成システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、可燃性ガスが導入されるガス精製容器と、前記可燃性ガスが流通するように前記ガス精製容器内に設けられた多孔質構造体と、前記多孔質構造体に炭酸塩を供給する炭酸塩供給手段とを備え、前記ガス精製容器は、前記多孔質構造体を流通した可燃性ガスが前記炭酸塩との反応により精製されたものである燃料ガスを外部へ排出するように構成され、前記多孔質構造体は、複数のセルを区画する多孔質体、及び機能性材料から形成された粒子を備え、前記粒子の径よりも小さな開口径を有する前記セルの内部に前記粒子が保持されていることを特徴とする燃料ガス精製装置にある。
かかる第1の態様では、多孔質構造体を構成する多孔質体及び粒子の表面、さらに多孔質体と粒子との間隙に、炭酸塩(又は溶融炭酸塩)が保持された状態が維持される。すなわち、多孔質構造体に十分な量の溶融炭酸塩が保持されるので、可燃性ガス中の不純物をより確実に除去することができる。また、溶融炭酸塩が長期に亘り多孔質構造体に保持されるので、溶融炭酸塩の供給頻度を低減することができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載する燃料ガス精製装置において、前記ガス精製容器内には、前記多孔質構造体が複数配設され、隣り合う前記多孔質構造体の間に、機能性材料から形成された反応剤が保持されていることを特徴とする燃料ガス精製装置にある。
かかる第2の態様では、複数の多孔質構造体と、これに保持された反応剤により、より多くの溶融炭酸塩を保持することが可能となる。したがって、可燃性ガスから不純物をより確実に除去することができる。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載する燃料ガス精製装置において、前記多孔質体は、前記機能性材料から形成されていることを特徴とする燃料ガス精製装置にある。
かかる第3の態様では、多孔質体側においても機能性を発揮させることができる。
本発明の第4の態様は、第1〜第3の態様の何れか一つに記載する燃料ガス精製装置において、前記機能性材料は、金属酸化物、金属、合金及び無機物からなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする燃料ガス精製装置にある。
かかる第4の態様では、機能性を有する粒子を形成することができる。
本発明の第5の態様は、第1〜第4の態様の何れか一つに記載する燃料ガス精製装置において、前記セルは、開気孔であることを特徴とする燃料ガス精製装置にある。
かかる第5の態様では、多孔質構造体に開気孔であるセルが複数連通した連通孔が形成され、該連通孔を介して流体が粒子に接触可能となる。
本発明の第6の態様は、第1〜第4の何れか一つの態様に記載する燃料ガス精製装置において、前記セルは、閉気孔の一部が割れて他の閉気孔と連通して開気孔となったものであることを特徴とする燃料ガス精製装置にある。
かかる第6の態様では、多孔質構造体には閉気孔であるセルが複数設けられている。そして、この多孔質構造体が圧縮されたり、熱歪みしたり、化学的に反応することで閉気孔の一部が割れ、他の閉気孔に連通したときに各セルが連通した連通孔が形成される。この連通孔を介して流体が粒子に接触可能となる。例えば、多孔質構造体を実際に用いる現場に搬送するまでの間、粒子を外気に触れさせないことができる。そして、その現場において圧縮等をすることで始めて粒子が流体に接触可能になる。これにより、現場に搬送するまでの間に粒子が化学反応してその機能が劣化してしまうことを防止できる。
本発明の第7の態様は、第1〜第6の何れか一つの態様に記載する燃料ガス精製装置と、前記燃料ガス精製装置からの燃料ガスを用いて発電する発電手段とを具備することを特徴とする発電システムにある。
かかる第7の態様では、燃料ガス精製装置で精製された燃料ガスを用いて発電することができる。
本発明の第8の態様は、第1〜第6の何れか一つの態様に記載する燃料ガス精製装置と、前記燃料ガス精製装置からの燃料ガスから液体燃料を合成する液体燃料合成装置と、前記液体燃料合成装置に供給される燃料ガスの水分の比率を調節し得るように前記炭化機又は前記ガス精製容器内に水を供給する水分供給手段とを具備することを特徴とする燃料合成システムにある。
かかる第8の態様では、水分供給手段を調節することで、燃料ガスの一酸化炭素と水素との比率を、合成する液体燃料に適した比率とすることができる。これにより、所望の液体燃料を製造し得る。
本発明によれば、可燃性ガスを高純度に精製し得る燃料ガス精製装置が提供される。更に、該燃料ガス精製装置を有する発電システム、及び燃料合成システムが提供される。
実施形態1に係る発電システムの概略構成図である。 実施形態1に係る燃料ガス精製装置の概略構成図である。 実施形態1に係る多孔質構造体の概略構成を示す断面図である。 図3の一部を拡大した断面図である。 実施形態2に係る燃料ガス精製装置の概略構成図である。 実施形態3に係る多孔質構造体の概略構成を示す断面図である。 多孔質構造体の製造方法を示す断面図である。 多孔質構造体の製造方法を示す断面図である。
〈実施形態1〉
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態の説明は例示であり、本発明は以下の説明に限定されない。
図1は、実施形態1に係る燃料ガス精製装置を備える発電システムの概略構成図である。図示するように、実施形態1に係る発電システムは、バイオマスを熱分解する炭化機1と、炭化物を燃焼する火炉2と、可燃性ガスの一例である熱分解ガスを精製する燃料ガス精製装置10と、炭化機1から熱分解ガスを燃料ガス精製装置10に導入する導入管5と、炭化機1から炭化物を火炉2に導入する炭化物導入管7と、燃料ガス精製装置10で精製された燃料ガスを発電手段20に供給する燃料ガス供給管6と、燃料ガスを燃料として発電する発電手段20とを備えている。
炭化機1には、木質系バイオマス、都市ゴミ等の廃棄物系バイオマスおよびこれらの混合バイオマス等が供給される。炭化機1は、バイオマスを蒸し焼きして熱分解し、熱分解ガスと炭化物とを生成する。熱分解ガスは、バイオマス中の揮発分から構成され、主に一酸化炭素、水素、水、炭化水素、タール等からなる。一方、炭化物は、炭素、炭等のいわゆるチャーである。
火炉2は、下部のガス化・燃焼部2aと、上部の容器配置部2bとから構成されている。ガス化・燃焼部2aには、炭化機1から炭化物導入管7を介して炭化物が供給される。ガス化・燃焼部2aには、別途空気又は酸素が導入され、炭化物が燃焼される。これによりガス化・燃焼部2aでは高温ガスが発生し、該高温ガスは上部の容器配置部2bへと導かれる。なお、燃焼した炭化物のうち比較的融点の低い灰分は、火炉2底部から溶融スラグとして排出される。
火炉2の容器配置部2bには、燃料ガス精製装置10を構成するガス精製容器11が配設されている。燃料ガス精製装置10は、熱分解ガスを燃料ガスに精製するものである。すなわち、ガス精製容器11は、炭化機1で生じた熱分解ガスが導入管5を介して供給され、この熱分解ガスを燃料ガスに精製して該燃料ガスを火炉2外部の発電手段20に供給している。
発電手段20は、例えば、燃料ガス供給管6からの燃料ガスが送られる燃料極を備えた溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)から構成されている。MCFCは、一般に、燃料電池の中でも、高効率で、かつ一酸化炭素を燃料として利用可能なものである。
なお、発電手段20としては、燃料ガス供給管6からの燃料ガスを用いて発電するものであれば特に限定されない。例えば、発電手段20は、燃料ガス供給管6からの燃料ガスにより作動するガスエンジンと、該ガスエンジンの作動により発動する発電機とから構成されていてもよい。他にも、発電手段20は、燃料ガス供給管6からの燃料ガスを燃焼するタービン燃焼器と、該タービン燃焼器からの燃焼ガスの膨張により動力を得ることで発電機の駆動を行うガスタービンとから構成されていてもよい。
また、発電手段20と炭化機1とは、発電手段20で生じた廃熱が、熱交換器(図示せず)等を介して、バイオマスを加熱する炭化機1の熱源となるように構成されている。これにより、発電システム全体のエネルギーの効率を改善できる。また、火炉2と炭化機1とは、火炉2で生じた廃熱が、熱交換器(図示せず)等を介して、バイオマスを加熱する炭化機1の熱源となるように構成されている。これにより、更に発電システム全体のエネルギー効率を改善できる。
本実施形態に係る燃料ガス精製装置10について詳細に説明する。図2は、実施形態1に係る燃料ガス精製装置の概略構成図である。
図示するように、燃料ガス精製装置10は、ガス精製容器11と、ガス精製容器11内部に配設された多孔質構造体30と、多孔質構造体30に炭酸塩を供給する炭酸塩供給手段13とを備えている。
ガス精製容器11は、その中央部に熱分解ガスが流通するように多孔質構造体30が配設されている。詳言すると、ガス精製容器11の下部、すなわち多孔質構造体30の下方には、導入管5が配設されており、ガス精製容器11の上部、すなわち多孔質構造体30の上方には、燃料ガス供給管6が配設されている。このような構成のガス精製容器11では、その下部に導入された熱分解ガスが多孔質構造体30を流通し、精製された後、燃料ガス供給管6を介して外部に排出されるようになっている。なお、本実施形態では、ガス精製容器11はその下部に溶融炭酸塩4を貯留しており、この溶融炭酸塩4に熱分解ガスが導入されるようになっているので、熱分解ガスは、溶融炭酸塩4を流通したのち、多孔質構造体30を流通するようになっている。
また、ガス精製容器11には、多孔質構造体30に溶融炭酸塩17を供給する炭酸塩供給手段13が設けられている。具体的には、炭酸塩供給手段13は、炭酸塩を溶融した状態で貯留する炭酸塩容器14と、その溶融した炭酸塩(溶融炭酸塩17)をガス精製容器11に圧送するポンプ15と、溶融炭酸塩17を多孔質構造体30に噴霧するノズル16とから構成されている。なお、本実施形態では、炭酸塩供給手段13は、溶融した炭酸塩を多孔質構造体30に供給したが、固体の炭酸塩を多孔質構造体30に供給するようにしてもよい。この場合、ガス精製容器11内の温度を炭酸塩の融点以上に設定するなどして、多孔質構造体30上で固体の炭酸塩を溶融炭酸塩とする。
溶融炭酸塩17としては、炭酸リチウム(LiCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)等の各種アルカリ金属炭酸塩を、単独又は複数混合したものを用いることができる。また、上記アルカリ金属炭酸塩の他に、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、セリウム(Ce)等の炭酸塩を溶融炭酸塩として用いることも可能である。
図3及び図4を用いて、多孔質構造体30について詳細に説明する。図示するように、本実施形態に係る多孔質構造体30は、多孔質体31とそのセル32内に保持された粒子33とを備える。多孔質構造体30は、ガス精製容器11の内面に接するように平板状に形成されている。もちろん、多孔質構造体30はこのような形状に限定されず任意の形状であってよい。また、ガス精製容器11の内面に接していなくてもよい。
粒子33は、機能性材料から形成された粒状のものである。粒子33の形状には特に限定はなく、また、詳細は後述するが、粒子33は、セル32内部に保持され(セル32内面に固着していてもよい)、大きさはセル32内部から外部に排出されない程度の大きさを有する。
機能性材料としては、金属酸化物、金属及び無機物からなる群から選択される少なくとも一種である。これらは、熱分解ガスから除去する対象の不純物に合わせて適宜選択される。本実施形態では、粒子33は、溶融炭酸塩17を用いて熱分解ガス中の不純物を除去するために、触媒として作用する材料から形成されている。
金属の例としては、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、タングステン(W)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ジルコニウム(Zr)、プラチナ(Pt)、金(Au)などを挙げることができる。合金は、これらの金属の2種以上からなるものである。
金属酸化物は、上記金属がそれぞれ酸化したもの若しくはこれらの金属の2種以上が酸化した複合酸化物である。その他の金属酸化物としては、アルミナ、ジルコニア、リチウムアルミネート、ベータアルミナ、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化カルシウムのような単一酸化物又は前記のものの少なくともひとつを含む組合せからなるものを挙げることができる。また、無機物としては、カーボンを挙げることができる。
多孔質体31は、内部に無数の微小なセル32(気孔)を有し、さらにそれらのセル32が一方面から他方面まで連結して連通孔を形成している構造体を指す。多孔質体31の材料としては、上述した機能性材料を用いることができる。
図3及び図4には、観念的なセル32の構造として球形状のものを示してある。これらの複数のセル32は、隣り合うセル32同士が連結している。このセル32同士が連結した開口である連結口34を介して、隣り合うセル32の内部同士が連通している。つまり、多孔質体31のほとんどのセル32は開気孔(オープンセル)となっている。セル32同士が連通することで、例えば図4の矢印に示すような熱分解ガスの流路となる連通孔が多数形成される。なお、全てのセル32がオープンセルである必要はない。外部に連通していないセル(閉気孔)を一部に含む多孔質体31であってもよい。
セル32は、多孔質体31中に形成された気孔であり、その内部に粒子33が保持される程度の大きさの空間を有する。ただし、粒子33は、多孔質体31に含まれる全てのセル32内部に保持されている必要はない。また、多孔質体31における気孔率に特に限定はないが、多孔質構造体30の用途に応じた機能を十分に発揮できる量の粒子33を保持できる程度の気孔率とすることが好ましい。なお、気孔率とは、多孔質体31の体積に対するセル32が占めている空間の体積の割合である。
セル32は、隣り合うセル32と連結した連結口34を1又は2以上有している。この連結口34の開口径は、セル32内部に保持された粒子33の径よりも小さなものとなっている。換言すれば、セル32内部に保持された粒子33は、連結口34から外部に抜け出ないようになっている。
ただし、セル32が有する全ての連結口34の開口径が粒子33より小さい必要はない。例えば、或るセル32には粒子33よりも大きな開口径の連結口34が設けられていてもよく、このような連結口34を介して他のセル32側に粒子33が移動可能となっていてもよい。最終的に、何れかのセル32において、粒子33よりも小さな開口径の連結口34(又は、多孔質体31の外表面に現れた開口(以下、外部開口))が設けられており、その連結口34(又は外部開口)からはセル32外部に粒子33が移動しないようになっていればよい。
このような連結口34(又は外部開口)を有するセル32内部に粒子33が保持されることで、粒子33は、多孔質体31のセル32から外部に抜け出すことが防止されている。
このような多孔質構造体30には、上述したノズル16から溶融炭酸塩17が供給される。多孔質構造体30に供給された溶融炭酸塩17は、多孔質体31のセル32全体に浸透していく。この溶融炭酸塩17は、粒子33が無いセル32内においてはセル32の内面に保持される。これに加えて、セル32内に粒子33が保持されることで表面張力が高まり、セル32内面と粒子33との間隙に溶融炭酸塩が良好に保持される。すなわち、多孔質構造体30の溶融炭酸塩17を保持する能力は、粒子33を保持しない多孔質体31のみよりも高い。
さらに、上述したように多孔質構造体30は、セル32内に粒子33が保持され、脱落しにくい構成となっている。これにより、多孔質構造体30に熱分解ガスが流通しても粒子33が維持されるので、溶融炭酸塩17もこぼれ落ちにくい。このため、多孔質構造体30は、長時間に亘って不純物除去機能が維持されるものとなる。
また、単に多孔質体31の表面に機能性材料が被覆されている場合であると、その被覆された機能性材料が熱分解ガスとともに剥離されることがある。しかし、本発明によれば、機能性材料から形成された粒子33は物理的に多孔質体31に保持されるので、長期に亘って、機能性が維持された多孔質構造体30が提供される。
さらに、多孔質構造体30は、多孔質体31と粒子33のそれぞれを異なる機能性材料で形成することが可能である。これによれば、一つの多孔質構造体30において2種類の触媒作用を同時に実現することができる。さらに、このような構成としたことで、本発明に係る多孔質構造体30では、一種の機能性材料は多孔質体31の表面全てを占め、もう一種の機能性材料は粒子33の表面全てを占めることができる。すなわち、多孔質構造体30は、粒子33を用いずに多孔質体31に2種類の機能性材料を塗布したものよりも、各種の機能性材料の接触面積を十分確保することができる。
ここで、溶融炭酸塩17と熱分解ガスとの反応により不純物を除去されるメカニズムについて説明する。図2に示すように、多孔質構造体30には、ノズル16から溶融炭酸塩17が供給され、セル32や粒子33に保持される。この状態で多孔質構造体30の下面側から熱分解ガスが供給される。セル32内を下方から上方に向けて熱分解ガスが流通していく過程で次のような反応が行われる。
熱分解ガスに含まれる不純物としては、例えば、硫黄(S)分、ハロゲン(F、Cl)分、窒素(N)が挙げられ、これらの元素から高温の還元雰囲気では、硫化水素(HS)、塩化水素(HCl)、フッ化水素(HF)、アンモニア(NH)等の代表的な不純物ガスが発生する。
還元雰囲気下で生じたHSは、S2−として溶融炭酸塩17に取り込まれ、硫化アルカリ金属(MS)として、HCl、HFは、Cl、Fとして溶融炭酸塩17に取り込まれ、塩素分は塩化アルカリ金属(MCl)として、フッ素分はフッ化アルカリ金属(MF)として捕捉される。この結果、熱分解ガスは多孔質構造体30において溶融炭酸塩17により不純物が除去され、一酸化炭素や水素を主成分とする燃料ガスに精製される。このような反応に際しては、粒子33は触媒として作用している。このような熱分解ガス中の不純物を溶融炭酸塩17で除去する際には、ジルコニアなどの金属酸化物で粒子33を形成することが好ましい。
なお、粒子33を機能性材料で形成して触媒としたが、このような態様に限定されない。多孔質体31を機能性材料で形成し、触媒として作用させるものとしてもよいし、粒子33及び多孔質体31の双方を機能性材料で形成して触媒としてもよい。
以上に説明したように、本発明に係る燃料ガス精製装置10では、溶融炭酸塩17が多孔質構造体30に保持された状態が維持されるので、熱分解ガス中の不純物を効率的に行うことができる。ちなみに、粒子33を含まない多孔質構造体30では、溶融炭酸塩17がこぼれ落ちてしまい、少ない量の溶融炭酸塩17で反応させることになるので、本発明よりも不純物除去の効率が落ちてしまう。
また、従来技術では、多孔質体に溶融炭酸塩を保持させるためには、セル32を細かく形成することが必要であった。しかし、本発明では、セル32及び粒子33で溶融炭酸塩17を保持するため、セル32自体は細かくする必要はない。したがって、ガス精製容器11内に流通する熱分解ガスに対する多孔質構造体30の流路抵抗を、従来よりも小さなものとすることができる。これにより、燃料ガス精製装置10は、より多くの流量の熱分解ガスを効率的に精製することができる。
また、熱分解ガスと溶融炭酸塩17との反応が行われ続けると、多孔質構造体30では、硫黄アルカリ金属等が蓄積され、溶融炭酸塩17が減少してしまう。しかしながら、本発明の燃料ガス精製装置10では、炭酸塩供給手段13を設けたことで、多孔質構造体30に炭酸塩が保持された状態を維持することができ、これにより溶融炭酸塩17による熱分解ガスを燃料ガスに継続的に精製することができる。さらに、この炭酸塩供給手段13による溶融炭酸塩17の供給頻度を低減することができる。上述したように多孔質構造体30には溶融炭酸塩17が良好に保持されるからである。
その他、燃料ガス精製装置10は次の特徴を有する。ガス精製容器11の下部には、溶融炭酸塩4が貯留されている。この溶融炭酸塩4は、予めガス精製容器11内部に貯留したものであってもよいし、多孔質構造体30からこぼれ落ちたものであってもよい。この溶融炭酸塩4には、導入管5から熱分解ガスが導入されている。このとき、熱分解ガスは溶融炭酸塩4との反応により、不純物が取り除かれる。なお、この反応は、多孔質構造体30における溶融炭酸塩17と熱分解ガスとの反応と同じである。
このように、多孔質構造体30で熱分解ガスを溶融炭酸塩17に反応させるのに先立ち、ガス精製容器11に貯留された溶融炭酸塩4と熱分解ガスとを反応させることで、熱分解ガスから不純物がより確実に除去され、高純度に精製された熱分解ガスが得られる。
なお、炭化機1から導入される熱分解ガスに含まれる未燃分やタールなどの灰分50(以下、まとめて灰分50とする)は、溶融炭酸塩4が液体であるため、ガス精製容器11内で集塵可能である。更に熱分解ガスに含まれるタールも同様に、溶融炭酸塩4と反応し、分解される。この灰分50は、ガス精製容器11の下部に設けられた排出管18を介して外部に排出される。
また、ガス精製容器11には、ミストトラップ19が設けられている。ミストトラップ19は、多孔質構造体30と燃料ガス供給管6との間に配設されており、多孔質構造体30を流通して精製された燃料ガスに含まれる低融点の溶融塩を捕捉する。このような溶融塩としては、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、及び塩化カリウム等が挙げられる。ミストトラップ19により、燃料ガスからこれらの溶融塩が除去され、さらに高純度に精製された燃料ガスが得られる。
なお、特に図示しないが、燃料ガス精製装置10に、溶融炭酸塩4に水酸化ナトリウム(水酸化物)を供給する水酸化ナトリウム供給手段(水酸化物供給手段)を設けてもよい。溶融炭酸塩4に水酸化ナトリウムが供給されると、溶融炭酸塩4中の二酸化炭素が水酸化ナトリウムと反応して、炭酸ナトリウム(炭酸塩)が生成される。
ちなみに、水酸化ナトリウムを供給することなく溶融炭酸塩4と熱分解ガスとの反応を続けると、ガス精製容器11では、硫黄アルカリ金属等が蓄積され、溶融炭酸塩4が減少するので、ガス精製容器11の溶融炭酸塩4を適宜取替える必要がある。例えば、排出管18を介して、ガス精製容器11内の溶融炭酸塩4や硫黄アルカリ金属等を外部へ排出すると共に、新たな炭酸塩をガス精製容器11に供給する必要がある。しかしながら、本発明の燃料ガス精製装置10では、水酸化ナトリウムを溶融炭酸塩4に適宜供給することで、溶融炭酸塩4で燃料ガスを精製しつつ、ガス精製容器11に炭酸塩を供給したのと同様の効果を得られる。さらに、溶融炭酸塩4又は燃料ガス(熱分解ガス)に含まれる二酸化炭素は水酸化ナトリウムに吸収されて炭酸ナトリウムとなるので、二酸化炭素の排出量を低減することができる。
また、ガス精製容器11の溶融炭酸塩4を取替える際には、上記のように溶融炭酸塩4に水酸化物を供給して間接的に炭酸塩を供給する場合に限定されず、直接炭酸塩をガス精製容器11内に供給して溶融炭酸塩4としてもよい。なお、ここでいう炭酸塩は、水分や重曹を含んでいてもよい。
また、水酸化物供給手段としては、水酸化ナトリウムを供給するものに限られず、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、又は水酸化セリウムを供給するものであってもよい。要するに、水酸化物供給手段は、溶融炭酸塩4中の二酸化炭素と反応して炭酸塩を生成しうる水酸化物をガス精製容器11内の溶融炭酸塩4に供給するように構成されていればよい。
以上に説明した構成の燃料ガス精製装置10を備える発電システムでは、炭化機1によってバイオマスから熱分解ガスと炭化物とが生成され、炭化物は燃料ガス精製装置10内の炭酸塩を溶融させるため、又は溶融炭酸塩4、17が溶融した状態を維持するために燃焼される。一方、熱分解ガスは溶融炭酸塩4で不純物が除去され、多孔質構造体30の溶融炭酸塩17で精製されて燃料ガスとなり、発電手段20は、この高純度に精製された燃料ガスを用いて発電を行うことができる。
このように多孔質構造体30に保持された溶融炭酸塩17とガス精製容器11に貯留された溶融炭酸塩4とで、熱分解ガスの精製が行われるので、熱分解ガスを、より多くの溶融炭酸塩17と反応させることができ、熱分解ガスから不純物を十分に取り除いて、高純度の燃料ガスを精製することができる。
また、火炉2内に配設されたガス精製容器11内で、熱分解ガスの精製が行われるので、燃料ガスを精製する装置を火炉2外部に設ける必要がない。これにより、発電システムの省スペース化を図ることができる。また、従来技術のガス精製装置の如く複雑な構成の装置が不要となるため、設備の運用性を高めることができ、更に、このような装置が不要となる分、発電システムに係るコストを削減できる。
なお、本実施形態では、ガス精製容器11は火炉2内に配設されていたが、必ずしも火炉2内に配設する必要はない。例えば、ガス精製容器11の全体又は一部を火炉2外部に配設し、火炉2で燃焼された炭化物の熱エネルギーを、熱交換器等を介して火炉2外部に配設されたガス精製容器11に供給してもよい。この場合でも、高カロリーの燃料ガスが精製され、この燃料ガスを用いて発電できる。
更に、火炉2内部の空間とは隔てられたガス精製容器11内部で熱分解ガスが燃料ガスに精製されるため、燃料ガスは、炭化物の燃焼に用いられる空気や窒素などにより希釈されることはない。また前記したように、燃料ガスは不純物が取り除かれている。これらのことから、単位体積あたりのカロリーが従来よりも高い燃料ガスを燃料ガス供給管6から供給することができる。このように、本発明の燃料ガス精製装置10は、高カロリーの燃料ガスを精製するので、特に、高温型の燃料電池、例えば溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)や固体酸化物形燃料電池(SOFC)を発電手段として用いる発電システムに適用して有用である。
また、火炉2と炭化機1とは、火炉2で生じた廃熱が、熱交換器(図示せず)等を介して、バイオマスを加熱する炭化機1の熱源となるように構成されている。これにより、全体のエネルギー効率を改善できる。
〈実施形態2〉
実施形態1に係る燃料ガス精製装置10には、多孔質構造体30が一つ設けられていたが、このような態様に限定されない。図5は、実施形態2に係る燃料ガス精製装置の概略構成図である。なお、実施形態1と同一のものには同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図示するように、ガス精製容器11内には、多孔質構造体30が所定間隔を空けて3つ配置されている。各多孔質構造体30は、いずれもガス精製容器11の内面に接するように平板状に形成されている。
各多孔質構造体30の間には、反応剤40が保持されている。反応剤40は、機能性材料から形成されている。具体的な機能性材料に関しては多孔質構造体30の粒子33に用いられるものと同じである。熱分解ガスから除去する対象の不純物に合わせて適宜選択すればよい。
反応剤40の形状については特に限定はないが、ガス精製容器11に供給される熱分解ガスの流通を妨げない程度の空隙があることが好ましい。これにより、ガス精製容器11内に流通する熱分解ガスに対する反応剤40の流路抵抗が小さなものとなるので、燃料ガス精製装置10は、より多くの流量の熱分解ガスを効率的に精製することができる。
また、反応剤40は、セル32を通過せず、多孔質構造体30上に保持される程度の形状とすることが好ましい。本実施形態では、反応剤40として、多孔質構造体30のセル32内に流入しない程度の大きさを有する粒状のジルコニアを用いる。
このように反応剤40を保持した複数の多孔質構造体30には、ノズル16から溶融炭酸塩17が供給される。実施形態1で述べたように、溶融炭酸塩17は、各多孔質構造体30及び反応剤40に保持される。このような多孔質構造体30を複数個設けることで、溶融炭酸塩17がガス精製容器11の下部にこぼれ落ちることをより確実に防止することができる。
導入管5(図1参照)から供給される熱分解ガスは、各多孔質構造体30及びこれらに保持された反応剤40を流通する。多孔質構造体30では、実施形態1で説明したように、溶融炭酸塩17及び触媒として作用する粒子33により、熱分解ガスが精製されて燃料ガスとなる。多孔質構造体30を多段としたため、燃料ガス中の不純物をより一層多く除去することができる。
さらに、多孔質構造体30の間に保持された反応剤40は、粒子33と同様に、触媒として作用するジルコニアである。したがって、熱分解ガスは、反応剤40の隙間に保持された溶融炭酸塩17及び反応剤40によっても不純物が除去される。そして、精製された燃料ガスは、燃料ガス供給管6(図1参照)からガス精製容器11外に排出される。
このように、本実施形態に係る燃料ガス精製装置10によれば、複数の多孔質構造体30と、これに保持された反応剤40により、より多くの溶融炭酸塩17を保持することが可能となり、これにより熱分解ガスをより確実に精製することができる。
なお、多孔質構造体30を複数用いる場合には、反応剤40を保持させる必要は無い。つまり、ガス精製容器11内に多孔質構造体30を複数設置するだけでもよい。
〈実施形態3〉
実施形態1及び実施形態2に係る多孔質構造体30は、セル32が外部に連通している構成としたが、必ずしもこのような態様に限定されない。図6は、本実施形態に係る多孔質構造体の概略構成及びその一部を拡大した断面図である。なお、実施形態1と同一のものには同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図6(a)に示すように、本実施形態に係る多孔質構造体30は、多孔質体31とそのセル32内に保持された粒子33とを備える。
多孔質体31は、内部に無数の微小なセル32(気孔)を有し、それらのセル32は、閉気孔(クローズセル)として形成されている。多孔質体31の材料としては、上述した機能性材料を用いることができる。ただし、全てのセル32が閉気孔である必要はない。実施形態1の様にいくつかの開気孔を一部に含む多孔質体31であってもよい。
図6(a)には、観念的なセル32の構造として球形状のものを示してある。これらの複数のセル32は、隣り合う他のセル32とは連結していない。
セル32は、多孔質体31中に形成された気孔であり、その内部に粒子33が保持される程度の大きさの空間を有する。すなわち、粒子33は、セル32内部の空間に閉じ込められた状態である。
このような多孔質構造体30は、セル32の一部が割れて他のセル32と連通する。例えば、物理的な圧縮、熱歪みや化学的な反応によりセル32の一部が割れて他のセル32と連通する。このような圧縮等の作用により、多孔質体31のほとんどのセル32が開気孔となり、セル32同士が連通し、例えば図6(b)の矢印に示すような流体の流路となる連通孔が多数形成される。
このようにして形成された多孔質構造体30は、実施形態1のものと同等の作用効果を奏する。例えば、実施形態1と同様に、連結口34の開口径は、セル32内部に保持された粒子33の径よりも小さなものとなっているので、セル32内部に保持された粒子33は、連結口34から外部に抜け出ないようになっている。また、セル32及び粒子33により溶融炭酸塩が保持された状態を長期に亘り維持することができる。
本実施形態の多孔質構造体30は、当初は閉気孔としてのセル32内に粒子33が保持され、多孔質構造体30が圧縮されるなどの作用よりセル32内の粒子33に流体が接触できるような連通孔が形成される。このような構造とすることにより、多孔質構造体30を実際に用いる現場に搬送するまでの間、粒子33を外気に触れさせないことができる。そして、その現場において各セル32が連通することで始めて粒子33が流体に接触可能になる。これにより、現場に搬送するまでの間に粒子33が化学反応してその機能が劣化してしまうことを防止できる。
実施形態3に係る多孔質構造体30は、例えば次のようにして作製することができる。まず、多孔質体31を形成する粉体状の機能性材料をスラリー化したスラリーを作製し、該スラリーに粒子33を混入する。そして、スラリー内に気泡を注入しながら(バブリング)、加熱して焼結することで、多孔質構造体30を製造することができる。
他の製造方法としては、発泡剤としてCaCO、MgCO等を用い、これらを粒子33にコーティングする。そして、そのコーティングした粒子33を溶融金属に混ぜる。その後、温度を発泡剤が発泡する発泡温度まで上げたのち、急冷することで、固体金属中にクローズセルが形成され、そのクローズセル内に粒子33が保持された多孔質構造体が得られる。
以上に説明した多孔質構造体30の製造方法によれば、セル内に保持された機能性を有する粒子が抜け落ちることを確実に防止できる多孔質構造体30を簡易な方法で製造することができる。
〈多孔質構造体の製造方法〉
多孔質構造体30の製造方法を説明する。図7は、本実施形態に係る多孔質構造体の製造方法を示す断面図である。
まず、図7(a)に示すように、粒子33の周囲をスペーサー材56で覆う。スペーサー材56は、加熱により溶融するものが好ましく、例えば、アルカリ金属化合物が好ましい。アルカリ金属化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどを挙げることができる。
次に、図7(b)に示すように、多孔質体31を形成する粉体状の機能性材料と、スペーサー材56で覆われた粒子33とを混合し、所定形状に成形する。例えば、当該粒子33と金属粉末とを、所望の気孔率となるような割合で混合し、平板状に成形する。
そして、図7(c)に示すように、成形した混合物を焼結する。この焼結による加熱で、スペーサー材56が溶融するので、これを水洗除去する。これにより、元々スペーサー材56が存在していた領域がセル32となり、そのセル32内部に粒子33が保持された多孔質構造体30が形成される。なお、隣り合うスペーサー材56同士が接触していた部分がセル32同士の連結口34となっている。
上述した製造方法とは別の多孔質構造体30の製造方法を説明する。図8は、本実施形態に係る多孔質構造体の製造方法を示す断面図である。
まず、図8(a)に示すように、多数のセル32が画成されたテンプレート材57を用意する。テンプレート材57のセル32を画成する部分(隔壁)中には、粒子33を混入させておく。テンプレート材57としては、多孔質で加熱により溶融するものが好ましく、例えば、ポリウレタンを多孔状に形成したもの(ウレタンフォーム)が挙げられる。具体的にはポリウレタン原料に発泡剤とともに粒子33を混入し、発泡させることで形成する。
次に、図8(b)に示すように、多孔質体31を形成する粉体状の機能性材料をスラリー化したスラリー58を、テンプレート材57に含浸させる。これにより、テンプレート材57のセル32にスラリー58が保持される。
そして、図8(c)に示すように、スラリー58を含浸したテンプレート材57を乾燥させ、加熱する。これにより、テンプレート材57が溶融するとともに、除去され多孔質構造体30が形成される。図8(d)に拡大するように、この製造方法による多孔質構造体30は、テンプレート材57のセル32部分に粉体状の機能性材料が焼結されたものが位置し、その隙間がセル32となり該セル32に粒子33が保持されたものとなる。なお、この場合、元々テンプレート材57(隔壁)が位置していた部分が空隙となって、セル32同士の連結口34となる。
以上に説明した多孔質構造体30の製造方法によれば、セル内に保持された機能性を有する粒子が抜け落ちることを確実に防止できる多孔質構造体30を簡易な方法で製造することができる。
〈他の実施形態〉
実施形態1では、燃料ガス精製装置10により製造された燃料ガスを発電手段20に供給するよう構成した発電システムについて説明したが、燃料ガス精製装置10は、燃料ガスを原料として液体燃料を合成する燃料合成システムに適用されてもよい。
具体的には、燃料合成システムは、燃料ガス精製装置10と、燃料ガス精製装置10で精製された燃料ガスが供給される液体燃料合成装置とを備える。
液体燃料合成装置は、燃料ガスからメタノール、ジメチルエーテル、軽油等の炭化水素液体燃料を合成する装置である。この液体燃料は、一般に、水素と一酸化炭素を主成分とするガスを反応に適した温度、圧力とし、触媒の存在下で合成反応させることにより得られることが知られている。
この燃料合成システムに、炭化機1内部に水分を供給する水分供給手段を設けてもよい。炭化機1内部に水分を供給する量を調節することで、燃料ガス供給管6から液体燃料合成装置に供給される燃料ガスの水分の比率を調節することが可能となる。このように水分比率を調整することで、燃料ガスを構成する一酸化炭素と水素との比率が所望の比率に設定されたものとすることができる。
どの種別の液体燃料を合成するかは、原料となる一酸化炭素と水素との比率により決まる。したがって、特定の液体燃料を合成する場合は、燃料ガスの一酸化炭素と水素との比率が、当該液体燃料に適した比率となるように、水分供給手段を調節すればよい。このように、本実施形態の燃料合成システムは、所望する種別の液体燃料を製造し得る柔軟性を有している。
なお、水分供給手段は、炭化機1内部に水分を供給する場合に限定されず、例えばガス精製容器11内でもよいし、導入管5や燃料ガス供給管6に対して水分を供給してもよい。要するに、水分供給手段は、液体燃料合成装置に燃料ガスが供給される前に、燃料ガス(熱分解ガス)に水分を添加できる構成であればよい。
また、実施形態1〜実施形態3では、バイオマス由来の熱分解ガスをガス精製の対象としたが、これに限定されず、本発明は、可燃成分を含む可燃性ガス全般に広く適用できる。このような可燃性ガスとしては、石炭がガス火炉でガス化されて生じる石炭ガス化ガスや、汚泥が微生物により分解されて生じる消化ガスや、LNGやLPGが気化して生じるボイルオフガスなどが挙げられる。
バイオマス等の可燃性ガスを燃焼して発電等を行う設備や液体燃料の原料として用いる設備を使用、製造、販売する産業分野で有効に利用し得る。
1 炭化機
2 火炉
2a ガス化・燃焼部
2b 容器配置部
4、17 溶融炭酸塩
5 導入管
6 燃料ガス供給管
7 炭化物導入管
10 燃料ガス精製装置
11 ガス精製容器
13 炭酸塩供給手段
14 炭酸塩容器
15 ポンプ
16 ノズル
18 排出管
19 ミストトラップ
20 発電手段
30 多孔質構造体
31 多孔質体
32 セル
33 粒子
34 連結口
40 反応剤
56 スペーサー材
57 テンプレート材
58 スラリー

Claims (8)

  1. 可燃性ガスが導入されるガス精製容器と、
    前記可燃性ガスが流通するように前記ガス精製容器内に設けられた多孔質構造体と、
    前記多孔質構造体に炭酸塩を供給する炭酸塩供給手段とを備え、
    前記ガス精製容器は、前記多孔質構造体を流通した可燃性ガスが前記炭酸塩との反応により精製されたものである燃料ガスを外部へ排出するように構成され、
    前記多孔質構造体は、複数のセルを区画する多孔質体、及び機能性材料から形成された粒子を備え、前記粒子の径よりも小さな開口径を有する前記セルの内部に前記粒子が保持されている
    ことを特徴とする燃料ガス精製装置。
  2. 請求項1に記載する燃料ガス精製装置において、
    前記ガス精製容器内には、前記多孔質構造体が複数配設され、
    隣り合う前記多孔質構造体の間に、機能性材料から形成された反応剤が保持されている
    ことを特徴とする燃料ガス精製装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する燃料ガス精製装置において、
    前記多孔質体は、前記機能性材料から形成されている
    ことを特徴とする燃料ガス精製装置。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載する燃料ガス精製装置において、
    前記機能性材料は、金属酸化物、金属、合金及び無機物からなる群から選択される少なくとも一種である
    ことを特徴とする燃焼ガス精製装置。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載する燃料ガス精製装置において、
    前記セルは、開気孔である
    ことを特徴とする燃料ガス精製装置。
  6. 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載する燃料ガス精製装置において、
    前記セルは、閉気孔の一部が割れて他の閉気孔と連通して開気孔となったものである
    ことを特徴とする燃料ガス精製装置。
  7. 請求項1〜請求項6の何れか一項に記載する燃料ガス精製装置と、
    前記燃料ガス精製装置からの燃料ガスを用いて発電する発電手段とを具備する
    ことを特徴とする発電システム。
  8. 請求項1〜請求項6の何れか一項に記載する燃料ガス精製装置と、
    前記燃料ガス精製装置からの燃料ガスから液体燃料を合成する液体燃料合成装置と、
    前記液体燃料合成装置に供給される燃料ガスの水分の比率を調節し得るように前記炭化機又は前記ガス精製容器内に水を供給する水分供給手段とを具備する
    ことを特徴とする燃料合成システム。
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