JP2013183996A - 心臓矯正ネットの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】心臓に対する接触圧が適正な数値範囲内にある心臓矯正ネットを、従来よりも容易に製造できる方法を提供すること。
【解決手段】編み糸や編み方が同じ心臓矯正ネットであれば、心臓矯正ネットのサイズが変更されても、その形状が相似である場合、それら異なる心臓矯正ネットそれぞれに収容される収容物の体積と、そのような体積の収容物が収容された心臓矯正ネットの収容物に対する接触圧と、心臓外面形状に適合する内面形状を持つ心臓矯正ネットに対する相似比は、相関のある関係になる。そこで、上述のような相関をS1〜S6によって予備的に解析し、解析後は、その解析結果を踏まえて、S7〜S13によって、実際に患者の心臓に装着されることとなる心臓矯正ネットを製造する。これにより、かなり高い確度で心臓外面に対する接触圧が好適な数値範囲付近に設定されることとなる。
【選択図】図3

Description

本発明は、心臓疾患治療のために心臓の外側に装着される心臓矯正ネットの製造方法に関する。
従来、心臓疾患治療用の医療器具の一つとして、心臓の外側に装着される心臓矯正ネットが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この心臓矯正ネットは、メッシュ構造の布をカップ状に形成したもので、拡大した心不全患者の心臓の外側に装着することにより、更なる心拡大(心臓リモデリング)の防止を図り、心不全の悪化を予防しようとするものである。
特許文献1に記載の心臓矯正ネットの場合、小さめの心臓から大きめの心臓まで、より幅広く対応できる汎用品とするために、比較的大きめの心臓を基準に設計されている。そのため、手術中には、患者の心臓の大きさに合わせて余剰部分を切除縫合する必要がある。
しかし、このような余剰部分の切除を行う際、切除量が少なければ、心臓に対して大きめのネットとなるため、拡大防止効果は不十分となる。一方、切除量が多すぎると、心臓に対して小さめのネットとなるため、心臓の拡張障害を来して心拍出量が低下する。したがって、切除量を適切に設定しなければならないが、切除縫合量に関しては明確な基準がなく、外科医の主観に任されていたために治療成績にばらつきを生じていた。また、切除縫合作業に時間を要するため、その分だけ患者にかかる負担も増大する、という点で問題があった。
こうした問題に対し、本件発明者らは、患者ごとに大きさや形状に個人差がある心臓の三次元形状を実測して、各患者の心臓外面に適合する形態を持つ心臓矯正ネットを編成する技術を提案している(特許文献2参照。)。この技術では、CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、心臓超音波診断装置などの断層撮影装置を利用して複数の断層画像を実測し、各断層画像から心臓の輪郭(二次元データ)を抽出するとともに、複数の断層画像の輪郭に基づいて三次元データを構築する。そして、そのような三次元データに基づいて作成される型紙データを、立体的な編成が可能なコンピュータ編み機に与えることで、患者の心臓外面に適合する心臓矯正ネットを編成する。
このような手法で製造された心臓矯正ネットであれば、心臓への装着に当たっては、心臓矯正ネットを心臓に被せるだけでよく、大きめに作られた汎用の心臓矯正ネットとは異なり、手術中に患者の心臓の大きさに合わせて不要部分を切除する必要がない。したがって、その分だけ迅速に手術を実施でき、手術時間を大幅に短縮できるので、患者にかかる負担を軽減することができる。
特表2003−532489号公報 特許4582549号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載の技術であれば、手術中に切除しなければならないほど大きな余剰部分が生じるのは回避できるものの、心臓矯正ネットとしての効果を発揮する上で、最適なサイズとなっているかどうかについては、未だ検討の余地が残されていた。
特に、この種の心臓矯正ネットは、心臓の拡張末期において、心臓の表面に対して3〜5mmHgの接触圧を付与するものが好適であると言われており、本件発明者らが行った動物実験においても、同様の傾向が確認されている。
しかし、心臓矯正ネットの伸縮性や柔軟性といった物理的特性は、心臓矯正ネットの編み方(編み目の形状)や、編み糸そのものの伸縮性や柔軟性、あるいは編み糸の太さなどによっても変わる。また、編み糸によっては、同じ品番の編み糸であっても、製品のロットが異なると微妙に特性が変わることがあり、そのような特性も最終的に得られる心臓矯正ネットの物理的特性に影響を及ぼすことがある。
そのため、例えば、心臓矯正ネットが比較的伸展しやすい特性を持っている場合には、型紙上では患者の心臓外面に適合する心臓矯正ネットであったとしても、十分に接触圧が高まらない可能性があった。その逆に、心臓矯正ネットが比較的縮みやすい特性を持っている場合には、型紙上では患者の心臓外面に適合する心臓矯正ネットであったとしても、想定以上に接触圧が高くなる可能性もあった。
ここで、上述のような接触圧が高い場合、心臓矯正ネットのサイズを大きめにすれば、相応に接触圧を低下させることができる。また、接触圧が低い場合には、心臓矯正ネットのサイズを小さめにすれば、相応に接触圧を高めることができる。
しかし、このようなサイズ変更を行う場合でも、どの程度のサイズ変更を行えば接触圧の適正化を図ることができるのかについて、従来は、明確な基準が存在しなかった。そのため、従来技術で上述のようなサイズ変更を行うとしても、適宜サイズを変更して心臓矯正ネットを試作し、試行錯誤で好適な接触圧となるサイズの試作品を探すしかなく、適正な接触圧が得られる試作品を探し当てる作業には多大な手間がかかる、という問題があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、心臓に対する接触圧が適正な数値範囲内にある心臓矯正ネットを、従来よりも容易に製造できる方法を提供することにある。
以下、本発明において採用した構成について説明する。
本発明の心臓矯正ネットの製造方法は、患者の心臓の外側に装着されることにより、前記心臓が過剰に拡張するのを抑制する心臓矯正ネットの製造方法であって、予備解析用として任意に選定される前記心臓を対象にして、断層撮影装置によって前記心臓の断面画像を撮影する第一の工程と、前記第一の工程において撮影された前記断面画像に基づいて、前記心臓の外面形状を表す三次元データを作成する第二の工程と、前記第二の工程において作成された前記三次元データが表す前記心臓の外面形状に適合する内面形状とされた前記心臓矯正ネットを、三次元形状を表す型紙データに基づいて編み糸を立体的な形状に編成可能なコンピュータ制御編み機によって編成する際に、前記コンピュータ制御編み機に対して与えられる前記型紙データを、前記第二の工程において作成された前記三次元データに基づいて作成する第三の工程と、前記第三の工程において作成された前記型紙データと、任意に設定される複数通りの相似比とに基づいて、前記型紙データの表す前記心臓矯正ネットの内面形状に対し、前記複数通りの相似比それぞれに応じた拡大補正又は縮小補正を行って、当該補正前と相似の内面形状を持つ複数の前記心臓矯正ネットそれぞれを編成可能な複数の前記型紙データを作成する第四の工程と、前記第四の工程において作成された複数の前記型紙データそれぞれを前記コンピュータ制御編み機に与えることにより、複数の前記型紙データそれぞれに応じた形状の複数の前記心臓矯正ネットを、所定の編み糸及び所定の編み方で編成する第五の工程と、前記第五の工程において編成された複数の前記心臓矯正ネットそれぞれについて、当該心臓矯正ネットに収容される収容物の体積と、当該体積の収容物を収容した状態における前記心臓矯正ネットの前記収容物表面に対する接触圧とを計測して、それらの計測結果の統計処理を行うことにより、前記収容物の体積と前記接触圧と前記相似比との関係を解析する第六の工程と、実際に前記心臓矯正ネットが装着されることとなる患者の心臓を対象にして、断層撮影装置によって前記心臓の断面画像を撮影する第七の工程と、前記第七の工程において撮影された前記断面画像に基づいて、前記心臓の外面形状を表す三次元データを作成する第八の工程と、前記第八の工程において作成された前記三次元データが表す前記心臓の外面形状に適合する内面形状とされた前記心臓矯正ネットを、前記コンピュータ制御編み機によって編成する際に、前記コンピュータ制御編み機に対して与えられる前記型紙データを、前記第八の工程において作成された前記三次元データに基づいて作成する第九の工程と、前記第八の工程において作成された前記三次元データに基づいて、前記患者の心臓の拡張末期体積を算出する第十の工程と、前記第十の工程において算出された前記拡張末期体積の前記心臓が前記心臓矯正ネットに収容された状態において、前記接触圧が所定の数値範囲内となる前記相似比を、前記第六の工程において解析された前記収容物の体積と前記接触圧と前記相似比との関係に基づいて推定する第十一の工程と、前記第九の工程において作成された前記型紙データと、前記第十一の工程において推定された前記相似比とに基づいて、前記型紙データの表す前記心臓矯正ネットの内面形状に対し、前記推定された相似比に応じた拡大補正又は縮小補正を行って、当該補正前と相似の内面形状を持つ前記心臓矯正ネットを編成可能な前記型紙データを作成する第十二の工程と、前記第十二の工程において作成された前記型紙データを前記コンピュータ制御編み機に与えることにより、前記型紙データに応じた形状の前記心臓矯正ネットを、前記第五の工程と同じ所定の編み糸及び所定の編み方で編成する第十三の工程とを含み、実際に患者の心臓に装着されることとなる前記心臓矯正ネットを製造するのに先だって、前記第一の工程〜前記第六の工程によって予備的な解析を実施し、当該解析後は、前記第七の工程〜前記第十三の工程によって、実際に患者の心臓に装着されることとなる前記心臓矯正ネットを製造することを特徴とする。
このような心臓矯正ネットの製造方法によれば、実際に患者の心臓に装着されることとなる心臓矯正ネットを製造するのに先だって、予備解析用として任意に選定される心臓を対象に、第一の工程〜第六の工程によって予備的な解析が実施される。これにより、所定の編み糸及び所定の編み方で編成された心臓矯正ネット特有の物理的特性が解析される。
この物理的特性は、本件発明者らが見いだした知見によれば、編み糸や編み方が同じ心臓矯正ネットであれば、心臓矯正ネットのサイズが変更されても、ある傾向を備えた特性となる。
具体的には、編み糸や編み方が同じ心臓矯正ネットであれば、心臓矯正ネットのサイズが変更されても、その形状が相似である場合、それら異なる心臓矯正ネットそれぞれに収容される収容物の体積と、そのような体積の収容物が収容された心臓矯正ネットの収容物に対する接触圧と、心臓外面形状に適合する内面形状を持つ心臓矯正ネットに対する相似比は、相関のある関係になる。
そこで、上述のような相関を第一の工程〜第六の工程によって予備的に解析し、解析後は、その解析結果を踏まえて、第七の工程〜第十三の工程によって、実際に患者の心臓に装着されることとなる心臓矯正ネットを製造する。
具体的には、断面画像に基づいて患者の心臓の拡張末期体積を算出し、そのような心臓に対して、予備解析のときと同じ所定の編み糸及び所定の編み方で編成される心臓矯正ネットを装着した場合に、最適な接触圧が得られると予想される心臓矯正ネットが、心臓外面形状に適合する内面形状を持つ心臓矯正ネットに対し、どのような相似比を持つ心臓矯正ネットとなるのかを、予備解析の結果に基づいて推定する。
そして、心臓外面形状に適合する内面形状を持つ心臓矯正ネットを編成するための型紙データに対して、推定された相似比で拡大又は縮小する補正を行い、その補正後の型紙データに基づいて心臓矯正ネットを編成する。
このようにして編成された心臓矯正ネットは、心臓外面形状に適合する内面形状と相似の内面形状を持つ心臓矯正ネットとなるので、心臓への装着時には多少の伸縮を伴って心臓外面形状にぴったりと適合する。しかも、その相似比は、予備解析の結果に基づいて設定されているので、かなり高い確度で心臓外面に対する接触圧が好適な数値範囲付近に設定されることとなる。
もちろん、この種の心臓矯正ネットは、患者ごとの症例に応じて様々な補正も加えられ、例えば、心臓の拡張防止だけでなく、他の合併症についての処置を行うための設計も行われるので、上述のような相似比のみで、心臓矯正ネットの最終形状が決まるものではない。
ただし、本発明の製造方法によれば、上述のような相似比が決まることにより、少なくとも心臓外面に対する接触圧については、試行錯誤を繰り返すことなく目標値付近への調整ができるので、更に補正を加える場合でも、試行錯誤を繰り返して接触圧を調整した上で更に補正を加える場合に比べれば、その設計にかかる手間は格段に軽減することができる。換言すれば、この種の心臓矯正ネットを製造する際には、様々な観点から種々の補正を加える必要があり、その一つとして、接触圧の調整も重要かつ手間のかかる作業であったが、本発明の製造方法により、少なくとも接触圧については、極めて容易に調整できるようになるのである。
なお、本発明において、接触圧をどの程度の数値範囲に調節するかは、個々の症例ごとに検討してもよいが、心臓矯正ネットの分野では、一般的な知見として、心臓の拡張末期において心臓の表面に対して3〜5mmHgの接触圧を付与するものが好適であると言われている。したがって、このような知見に従う場合には、前記第十一の工程において、前記接触圧が3〜5mmHgとなる前記相似比を推定すると好ましい。
心臓矯正ネットが心臓に装着された状態を示す斜視図。 心臓矯正ネットの製造設備を示す説明図。 心臓矯正ネットの製造方法を示すフローチャート。 心臓矯正ネットの接触圧を測定する機器の概略構造を示す説明図。 バルーン内容積とバルーン内圧力の関係を示すグラフ。 異なる相似比それぞれに対応する近似式#1のグラフ。 近似式#2のグラフ。
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
心臓矯正ネット1は、図1に示すように、心臓3の外側に装着されることにより、心臓3が過剰に拡張するのを抑制する医療装具である。この心臓矯正ネット1は、詳しくは後述するが、編み糸を立体的な形状に編成可能なコンピュータ制御編み機によって編成されたもので、心臓3の立体的な形状を患者ごとにMRI等の断層撮影装置によって撮影し、その撮影データに基づいて作成された型紙データを用いて編成されている。
そのため、この心臓矯正ネット1の形状は、心臓3の立体的な形状に合致する形状になっており、患者ごとに心臓の大きさや形状に個人差があっても各患者にぴったりと適合する。なお、図1において、心臓矯正ネット1の編み地としては、四角形の編み目をなす編み地が描かれているが、これは図示を簡略にするための便宜的措置に過ぎず、実際の編み目の具体的形状を図示したものではない。
次に、この心臓矯正ネット1を製造するための設備について説明する。
心臓矯正ネット1の製造設備は、図2に示すように、核磁気共鳴診断装置11(又は、多列検出器型CT診断装置11’)、画像処理ワークステーション12、心臓超音波検査装置14、CADワークステーション20、編み機用CADワークステーション21、コンピュータ制御横編み機22などによって構成される。
これらの設備のうち、核磁気共鳴診断装置11(又は、多列検出器型CT診断装置11’)、画像処理ワークステーション12、及び心臓超音波検査装置14は、心臓矯正ネット1の発注元となる基幹病院に設置されている設備である。また、CADワークステーション20、編み機用CADワークステーション21、及びコンピュータ制御横編み機22は、心臓矯正ネット1を製造するメーカー(製造工場)に設置されている設備である。
核磁気共鳴診断装置11は、周知のように、核磁気共鳴を利用して人体の断層画像を撮影するための装置である。また、多列検出器型CT診断装置11’は、周知のように、X線を利用して人体の断層画像を撮影するための装置である。これら核磁気共鳴診断装置11と多列検出器型CT診断装置11’は、どちらを利用してもよい。
画像処理ワークステーション12は、核磁気共鳴診断装置11(又は、多列検出器型CT診断装置11’)において撮影された断層画像データ(MRI撮影データあるいはCT造影データ)に対するデータ処理を行うための装置で、本実施形態においては、この画像処理ワークステーション12において、拡張末期・収縮末期の心臓断層画像データ(心臓MRI画像データ又は心臓CT画像)が抽出される。なお、本実施形態においては、撮像時には30コマ/秒の画像が撮像されるとともに、心電図データから拡張末期を特定し、その拡張末期部分の画像データのみを抽出している。
心臓超音波検査装置14は、超音波の反射に基づいて心臓の形態を検査する装置であり、核磁気共鳴診断装置11(又は、多列検出器型CT診断装置11’)と併用することによって、より正確に心臓の形態を把握するために用いられている。また、心臓超音波検査装置14を利用して、僧帽弁閉鎖不全症患者の個々の病態を正確に診断することにより、心臓矯正ネット1による治療の適応の適否と、心臓矯正ネット1による僧帽弁縫縮量の設定、乳頭筋レベルでの心臓短径縫縮量の設定が可能となる。
CADワークステーション20は、画像処理ワークステーション12及び心臓超音波検査装置14から送られてくるデータに基づくデータ処理を行うための装置で、データ処理用のソフトウェアとして、三次元画像構築ソフト、汎用CADソフト(例えば、商品名:VectorWorks(登録商標)、ネメチェック・ノース・アメリカ社製)、型紙生成ソフトなどを備えている。
また、CADワークステーション20では、更に心臓超音波検査装置14から取得した心臓超音波のデータに基づいて、心臓の縫縮量を調整する等、補正値の設定も行うことができる。補正値の設定に必要なデータとしては、左室拡張末期径(LVDd)、左室収縮末期径(LVDs)、左室長軸径、僧帽弁輪径(短径、長径)、乳頭筋付着位置、収縮期僧帽弁接合位置の偏位量(tethering or tentingと言い、僧帽弁前後の弁輪を結んだ線と僧帽弁弁尖接合部との垂直距離)、僧帽弁逆流量(長軸像で評価)、逆流部位(短軸で評価)などが挙げられる。これら諸データに基づく補正を行うことで、個々の症例ごとに最適と考えられるデータに補正される。
なお、心臓外周の形状はMD−CT像から計算した方が正確なので、心臓超音波検査データによる補正を行わず、MD−CT像に基づいて測定する。すなわち、核磁気共鳴診断装置11(又は、多列検出器型CT診断装置11’)、及び心臓超音波検査装置14それぞれの長所を活かして最適なデータを構築する。心臓超音波検査データによる補正を行うか否か、行うとすればどの程度の補正が最適かといった事項は、例えば、メーカー側にいる心臓外科医及び画像処理担当者の共同作業によって検討され、また、必要があれば発注者(基幹病院側の心臓外科医)とも討議するなどして、最終的には、個々の症例ごとに最適と考えられるデータが完成することになる。
CADワークステーション20では、抽出後に補正された三次元心臓形状を、心臓矯正ネットの編成のために二次元へ展開した型紙データを生成する。編み機用CADワークステーション21は、CADワークステーション20から伝送されてくる二次元型紙データ(ビットマップ形式ファイル)に基づいて、コンピュータ制御横編み機22を制御するための装置である。
コンピュータ制御横編み機22は、編み機用CADワークステーション21からの指令に基づいて、編み糸を立体的な形状を持つ編み地に編成する装置であり、本実施形態においては、ホールガーメント(登録商標)対応コンピュータ横編み機(製品名:SWG041、株式会社島精機製作所製)を利用している。
編み糸としては、生物学的適合性材料からなる編み糸が使用される。編み糸の具体的な材質や太さについては、心臓矯正ネット1の使用目的に適合する性能(機械的強度、化学的強度、伸縮特性等)を持つものであれば、特に限定されないが、一例としては、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、発泡ポリテトラフルオロエチレン(発泡PTFE、ePTFE)、ポリプロピレン、ポリ2フッ化エチレン(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン)などの非吸収性の単繊維を撚り合わせたものや、ポリグラクチン、ポリグリコール酸、ポリエチレングリコール、ポリディオキサノン、ポリ乳酸、ポリラクチド、ポリグリコライド、ポリカプロラクトン、多無水物、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリジオキサノン、ポリアセタール、ポリケタール、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンサクシネート、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリ(アミノ酸)、およびこれらのコポリマー、化合物あるいは混合物等からなる吸収性の単繊維を撚り合わせたものや、これらを組み合わせたハイブリッドタイプの糸などを挙げることができる。これらの材料からなる編み糸は、いずれか1種だけを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
以上のような設備のうち、核磁気共鳴診断装置11(又は、多列検出器型CT診断装置11’)、画像処理ワークステーション12、及び心臓超音波検査装置14は、基幹病院側の心臓外科医、循環器内科医、あるいは放射線科医によって操作され、心臓の二次元断層データ(DICOMデータ)及び心臓超音波検査データが、基幹病院側で用意されることになる。そして、これら二次元断層データ及び心臓超音波検査データが、通信回線を介してメーカー(製造工場)へと伝送される。
メーカー(製造工場)側では、基幹病院側から伝送されてくる諸データを受け取って、上述したようなCADワークステーション20でのデータ処理が行われる。そして、CADワークステーション20上で三次元データに基づく編成データが完成したら、その編成データが編み機用CADワークステーション21へと伝送される。
編み機用CADワークステーション21、及びコンピュータ制御横編み機22は、メーカー側の担当者によって操作され、上記編成データに基づいて編み糸を編成することにより、編成データによって表された形態を持つ心臓矯正ネット1が製造される。なお、製造された心臓矯正ネット1は、直ちに発注元となる基幹病院へと納品されて使用されることになる。
次に、心臓の断層画像撮影から心臓矯正ネットの編成に至る手順について、図3に基づいて更に詳細に説明する。心臓矯正ネット1を製造するに当たっては、図3中に示すS1〜S6の工程に従って予備解析が行われ、その後に、図3中に示すS7〜S13の工程に従って実際に患者に適用される心臓矯正ネットが製造される。
まず、予備解析の段階では、予備解析用として任意に選定される心臓を対象に、核磁気共鳴診断装置11(又は、多列検出器型CT診断装置11’)を使用して、心臓断面の断層写真を撮像する(S1)。続いて、CADワークステーション20を使用して、S1において撮影された複数の断面画像に基づいて、心臓の外面形状を表す三次元データを作成する(S2)。このS2では、複数の断面画像それぞれから、心臓の輪郭線を抽出し、それら複数の輪郭線それぞれの線上に複数の点を設定し、これら複数の点により、心臓の外面形状を表現するデータを構築する。
以上のようなS2を終えたら、続いて、三次元データに基づいて型紙データを作成する(S3)。このS3では、三次元データの示す立体的な形状を二次元平面上に展開するための座標変換が行われ、その展開後のデータに基づいて、編み目の目数が単位となるように数値変換が行われる。1目が何mmに相当するかは、編む糸の種類や編み機のゲージ(編み針の間隔)によって変化するので、実際にネットのサンプルを試作して寸法と目数の関係を求め、例えば、周方向は1.9mm/目、層方向は0.9mm/目といった具合に目数と長さの関係を特定する。
そして、以上のような型紙データを作成したら、予備解析の段階では適宜所定の相似比を設定し、型紙データが示す形状の拡大補正又は縮小補正を実施する(S4)。このS4で作成される型紙データは、相似比の異なるものが複数作成され、例えば、基準となる型紙データに含まれる各部の寸法データを100%として、それらの寸法データが95%、90%、85%、…、75%などに縮小されたもの、あるいは、105%、110%、115%などに拡大されたものが作成される。
そして、S5では、それら相似比が異なる複数の型紙データそれぞれをコンピュータ制御横編み機22に与えることにより、複数の心臓矯正ネットの編成を行う(S5)。その結果、型紙データに準じた形状の心臓矯正ネットが編成されることとなる。
続いて、S6では、心臓矯正ネットの収容物の体積と接触圧と相似比との関係を解析する(S6)。本実施形態においては、図4に示すような機器を用意して、以下のような手順で心臓矯正ネットの接触圧を測定した。
すなわち、測定対象となる心臓矯正ネット1の中に、心臓に近い特性を有するバルーン31を配置する。このバルーン31には、圧ラインが接続されている。また、十分な厚み(本実施形態では3mm)を持ったゴム板(図示略)を用意し、そのゴム板の中央に穴を開けて、その穴に圧ラインを通した後、ゴム板に心臓矯正ネット1を逢着することにより、バルーン31を心臓矯正ネット1の内部に封入した。
そして、圧ラインには、三方活栓を介して圧トランスデューサー33(エドワード・ライフ・サイエンス社製)を接続した。なお、圧トランスデューサー33は、生体モニター(日本光電社製;図示略)に接続して、その計測結果をコンピュータ(図示略)に記録するとともに、データを表計算ソフトウェアに入力した。
測定に当たっては、三方活栓に接続された水源35(本実施形態では50ml注射器)から蒸留水を10mLずつ注入し、注入量と回路内圧を表計算ソフトウェアに入力してデータ処理を行った。心臓の拡張期圧は30mmHgを超えることはないので、内圧が70mmHgを超えた時点で実験を中止した。測定結果の一部を図5に例示する。
図5において、「バルーン単独」と記載されているグラフは、バルーン31に心臓矯正ネット1を装着せずに測定したデータである。また、「相似比77%」、「相似比88%」、「相似比99%」と記載されているグラフは、各相似比で縮小補正された型紙データに従って編成された心臓矯正ネット1をバルーン31に装着して測定したデータである。
これらのグラフのうち、例えば「相似比77%」のグラフは、バルーン内容積がグラフ中に示す点P1に達するまでは、「バルーン単独」と記載されているグラフとほぼ重なり、この点P1を超えると、「バルーン単独」と記載されているグラフよりもバルーン内圧力が上昇する。同様に、「相似比88%」のグラフは、バルーン内容積がグラフ中に示す点P2に達するまでは、「バルーン単独」と記載されているグラフとほぼ重なり、この点P2を超えると、「バルーン単独」と記載されているグラフよりもバルーン内圧力が上昇する。また、「相似比99%」のグラフは、バルーン内容積がグラフ中に示す点P3に達するまでは、「バルーン単独」と記載されているグラフとほぼ重なり、この点P3を超えると、「バルーン単独」と記載されているグラフよりもバルーン内圧力が上昇する。
これらの事実から、「バルーン単独」と記載されているグラフよりもバルーン内圧力が上昇する範囲において、心臓矯正ネット1が有意にバルーン31を拘束する状態になり、バルーン31の拡張を抑制していることがわかる。
そこで、これらの各点P1〜P3それぞれを原点として、その原点からのバルーン内容積の増分をΔV(図5には点P3を原点とするΔVを例示。)、ΔVがある値となるときにおける心臓矯正ネット装着状態のバルーン内圧力と心臓矯正ネット非装着状態のバルーン内圧力との圧力差ΔP(図5には相似比99%の場合を例示。)を求めてみると、その結果は、図6に示すようなグラフとなった。
図6に示した測定値は、コンピュータを利用した数値解析によれば、いずれも近似式#1:ΔP=AeB(ΔV)で示される指数関数によって近似でき、本実施形態の場合、近似式#1中の係数Aは、相似比が変動してもほぼ変動しない値(本実施形態の場合約2.5)をとり、近似式#1中の係数Bは、相似比が大きくなるほど小さな値をとる(例えば、相似比77%でB=0.0144、相似比88%でB=0.0093、相似比99%でB=0.0064となる。)ことがわかった。
そこで、これらの相似比と係数Bとの関係をグラフ化したものを図7に示す。図7に示した値にも一定の傾向が見受けられ、この傾向については、本実施形態の場合、近似式#2:B=0.5335e-0.05Rで示される指数関数によって近似することができた。以上のような図6及び図7の解析結果は、後述する工程で、患者の心臓3へ装着するときに所定の接触圧となる心臓矯正ネット1のサイズを推定するために利用されることになる。
以上説明したようなS1〜S6での解析結果は、心臓矯正ネット1を製造する際に使用する編み糸と編み方が変わらない限り、利用することができる。すなわち、S1〜S6の工程は、患者用の心臓矯正ネット1を製造するたびに実施する必要はない。
続いて、患者用の心臓矯正ネット1を製造する工程について説明する。患者用の心臓矯正ネット1を製造する段階では、患者の心臓を対象に、核磁気共鳴診断装置11(又は、多列検出器型CT診断装置11’)を使用して、心臓断面の断層写真を撮像する(S7)。続いて、CADワークステーション20を使用して、S7において撮影された複数の断面画像に基づいて、心臓の外面形状を表す三次元データを作成する(S8)。そして、三次元データに基づいて型紙データを作成する(S9)。これらS7〜S9は、先に説明したS1〜S3と同様な作業が行われることになる。
また、S8で作成される三次元データに基づいて、患者の心臓の拡張末期体積を算出する(S10)。そして、S10において算出された拡張末期体積の心臓が心臓矯正ネット1に収容された状態において、接触圧が所定の数値範囲内(本実施形態では、3mmHg)となる相似比を、S6において解析された予備解析結果から推定する(S11)。
本実施形態の場合、S11では、S10で求めた患者の心臓の拡張末期体積を、図5における「バルーン単独の値」、もしくは心臓矯正ネットの型紙データを使用して、図6及び図7から特定する。すなわち、患者の心臓の拡張末期体積(VED)が心臓矯正ネットによって適正な(本実施形態では、3mmHg)の接触圧が得られている状態の体積に等しくなるように相似比Rを算出すればよい。
図6上において、適正な接触圧の交点を示すΔVの値は、近似式#1:ΔP=AeB(ΔV)で示されるが、これは、ある相似比Rの心臓矯正ネットにおける無荷重容積に等しい容量(V0Rとする)のバルーンに対して、3mmHgの内圧をかけたときのバルーン容積増加分に等しい。
ここで、V0Rは、図5におけるP1、P2およびP3の値から、相似比Rを使用した関数で表すこともできるし、心臓矯正ネットの型紙データを使用して算出することもできるし、S1〜S6の工程で作成した心臓矯正ネットの実物から測定して求めることもできる。
適正な接触圧との交点を通る近似式#1:ΔP=AeB(ΔV)の係数Bは図7に示した近似式#2:B=0.5335e-0.05Rから算出される。また、係数Aは図6から算出されている。また、本実施形態では、ΔPは適正な接触圧すなわち3mmHgである。これにより、ΔP=3となるときのΔVは、相似比Rの関数として表すことができる。
以上により、患者の心臓の拡張末期体積(VED)は、相似比Rの関数として表すことができる。
ここで算出される相似比Rは、患者ごとの固有値となる心臓拡張末期体積がある値となる心臓に対して装着した際に、その接触圧が3mmHgになるものと期待される心臓矯正ネット1を編成するために、型紙データをどのような相似比で拡縮すればよいのかを示している。
もちろん、この種の心臓矯正ネット1は、患者ごとの症例に応じて様々な補正も加えられ、例えば、心臓の拡張防止だけでなく、他の合併症についての処置を行うための設計も行われるので、上述のような相似比のみで、心臓矯正ネットの最終形状が決まるものではない。ただし、上述のような相似比Rが決まることにより、少なくとも心臓外面に対する接触圧については、試行錯誤を繰り返すことなく目標値付近への調整ができるので、更に補正を加える場合でも、試行錯誤を繰り返して接触圧を調整した上で更に補正を加える場合に比べれば、その設計にかかる手間は格段に軽減することができる。なお、S10及びS11は、図3では、図示の都合上S9の後に描かれているが、S9の前に行ってもよいし、S9と並行して進めてもよい。
以上のようにして相似比Rが確定したら、S9において作成された型紙データと、S11において推定された相似比Rとに基づいて、型紙データの表す心臓矯正ネットの内面形状に対し、推定された相似比に応じた拡大補正又は縮小補正を行って、当該補正前と相似の内面形状を持つ心臓矯正ネットを編成可能な型紙データを作成する(S12)。
そして、S12において作成された型紙データをコンピュータ制御横編み機22に与えることにより、型紙データに応じた形状の心臓矯正ネット1を、S5と同じ編み糸及び同じ編み方で編成し(S13)、一連の工程を終了する。
以上説明したように、上述のような製造方法によれば、予備解析の結果から、接触圧を予測して型紙データの補正を行っているので、心臓矯正ネット1のサイズ変更を行うに当たって、どの程度のサイズ変更を行えば接触圧の適正化を図ることができるのかを、客観的に判断して対処することができる。
したがって、適宜サイズを変更して心臓矯正ネットを試作するしかなかった従来製法とは異なり、試行錯誤で好適な接触圧となるサイズの試作品を探さなくても済み、そのような手間のかかる作業を実施しなくてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では、接触圧が3mmHgとなる心臓矯正ネット1を製造する例を示したが、この種の心臓矯正ネットは、3〜5mmHg程度の接触圧が好適であると言われているので、この範囲で接触圧を調整すればよい。また、症例によっては、例えば、症状の進行に伴っていずれ3mmHg以上の接触圧となることを想定し、あえて3mmHg未満の接触圧を設定してもよく、そのような場合でも、本発明を利用すると便利である。すなわち、本発明において、3〜5mmHgという数値範囲は、あくまでも一例に過ぎず、その数値範囲は、症例や目的に応じて適宜設定すればよい。
1・・・心臓矯正ネット、3・・・心臓、11・・・核磁気共鳴診断装置、11’・・・多列検出器型CT診断装置、12・・・画像処理ワークステーション、14・・・心臓超音波検査装置、20・・・CADワークステーション、21・・・編み機用CADワークステーション、22・・・コンピュータ制御横編み機、31・・・バルーン、33・・・圧トランスデューサー、35・・・水源。

Claims (2)

  1. 患者の心臓の外側に装着されることにより、前記心臓が過剰に拡張するのを抑制する心臓矯正ネットの製造方法であって、
    予備解析用として任意に選定される前記心臓を対象にして、断層撮影装置によって前記心臓の断面画像を撮影する第一の工程と、
    前記第一の工程において撮影された前記断面画像に基づいて、前記心臓の外面形状を表す三次元データを作成する第二の工程と、
    前記第二の工程において作成された前記三次元データが表す前記心臓の外面形状に適合する内面形状とされた前記心臓矯正ネットを、三次元形状を表す型紙データに基づいて編み糸を立体的な形状に編成可能なコンピュータ制御編み機によって編成する際に、前記コンピュータ制御編み機に対して与えられる前記型紙データを、前記第二の工程において作成された前記三次元データに基づいて作成する第三の工程と、
    前記第三の工程において作成された前記型紙データと、任意に設定される複数通りの相似比とに基づいて、前記型紙データの表す前記心臓矯正ネットの内面形状に対し、前記複数通りの相似比それぞれに応じた拡大補正又は縮小補正を行って、当該補正前と相似の内面形状を持つ複数の前記心臓矯正ネットそれぞれを編成可能な複数の前記型紙データを作成する第四の工程と、
    前記第四の工程において作成された複数の前記型紙データそれぞれを前記コンピュータ制御編み機に与えることにより、複数の前記型紙データそれぞれに応じた形状の複数の前記心臓矯正ネットを、所定の編み糸及び所定の編み方で編成する第五の工程と、
    前記第五の工程において編成された複数の前記心臓矯正ネットそれぞれについて、当該心臓矯正ネットに収容される収容物の体積と、当該体積の収容物を収容した状態における前記心臓矯正ネットの前記収容物表面に対する接触圧とを計測して、それらの計測結果の統計処理を行うことにより、前記収容物の体積と前記接触圧と前記相似比との関係を解析する第六の工程と、
    実際に前記心臓矯正ネットが装着されることとなる患者の心臓を対象にして、断層撮影装置によって前記心臓の断面画像を撮影する第七の工程と、
    前記第七の工程において撮影された前記断面画像に基づいて、前記心臓の外面形状を表す三次元データを作成する第八の工程と、
    前記第八の工程において作成された前記三次元データが表す前記心臓の外面形状に適合する内面形状とされた前記心臓矯正ネットを、前記コンピュータ制御編み機によって編成する際に、前記コンピュータ制御編み機に対して与えられる前記型紙データを、前記第八の工程において作成された前記三次元データに基づいて作成する第九の工程と、
    前記第八の工程において作成された前記三次元データに基づいて、前記患者の心臓の拡張末期体積を算出する第十の工程と、
    前記第十の工程において算出された前記拡張末期体積の前記心臓が前記心臓矯正ネットに収容された状態において、前記接触圧が所定の数値範囲内となる前記相似比を、前記第六の工程において解析された前記収容物の体積と前記接触圧と前記相似比との関係に基づいて推定する第十一の工程と、
    前記第九の工程において作成された前記型紙データと、前記第十一の工程において推定された前記相似比とに基づいて、前記型紙データの表す前記心臓矯正ネットの内面形状に対し、前記推定された相似比に応じた拡大補正又は縮小補正を行って、当該補正前と相似の内面形状を持つ前記心臓矯正ネットを編成可能な前記型紙データを作成する第十二の工程と、
    前記第十二の工程において作成された前記型紙データを前記コンピュータ制御編み機に与えることにより、前記型紙データに応じた形状の前記心臓矯正ネットを、前記第五の工程と同じ所定の編み糸及び所定の編み方で編成する第十三の工程と
    を含み、
    実際に患者の心臓に装着されることとなる前記心臓矯正ネットを製造する製造するのに先だって、前記第一の工程〜前記第六の工程によって予備的な解析を実施し、当該解析後は、前記第七の工程〜前記第十三の工程によって、実際に患者の心臓に装着されることとなる前記心臓矯正ネットを製造する
    ことを特徴とする心臓矯正ネットの製造方法。
  2. 前記第十一の工程において、前記接触圧が3〜5mmHgとなる前記相似比を推定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の心臓矯正ネットの製造方法。
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