JP6618673B2 - 注入プロトコル設定装置、薬液注入装置および医療システム - Google Patents

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Description

本発明は、患者に造影剤等を注入する際の注入プロトコルを設定するための装置等に関し、特には、患者に対してより好適な注入プロトコルを設定可能な注入プロトコル設定装置、薬液注入装置および医療システム等に関する。
現在、医療用の画像診断装置として、CT(Computed Tomography)スキャナ、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、超音波診断装置、血管造影(アンギオグラフィ)撮像装置等が知られている。このような撮像装置を使用する際、患者に造影剤や生理食塩水など(以下、これらを単に「薬液」とも言う)を注入することがある。
患者への薬液の注入は、薬液注入装置を用いて自動的に行なうのが一般的となっている。薬液注入装置は、例えば、薬液を充填したシリンジが着脱自在に装着される注入ヘッドと、注入ヘッドの動作を制御するコンソールとを備えている。シリンジは、シリンダと、シリンダ内にその軸方向に移動可能に挿入されたピストンとを有しており、薬液はシリンダ内に充填される。注入ヘッドは、注入ヘッドに装着されたシリンジのピストンをシリンダ内に押し込むためのピストン駆動機構を備えている。シリンダの先端部に延長チューブを介して注入針を接続し、注入針を患者の血管に穿刺した後、ピストン駆動機構がピストンをシリンダ内に押し込むことで、シリンジ内の薬液が患者に注入される。
造影剤を用いた撮像(一例でCTスキャン)では、良好な造影効果が得られるように注入プロトコルが設定される。CT画像の撮像は、造影剤の注入後、患者の血流に乗って流れた造影剤が撮像部位に到達したタイミングで実施することが望ましい。そのため、従来の画像診断装置では、撮像部位への造影剤の到達時間を測定するために、本スキャンに先だって、テスト注入を行い撮像部位のモニタリングスキャンを行うこともある。
また、テスト注入のモニタリングスキャンで得られた時間濃度曲線(TDC:Time Density Curve)に基づき、本番検査での時間濃度曲線(TDC)を数学的に推測するFleischmannらによる手法も提案されている(非特許文献1)。また、Fleischmannらによる手法の他にも、「加算法(単純線形加算モデル)」と呼ばれる手法も提案されている。
Dominik Fleischmann and Karl Hittmair: "Mathematical Analysis of Arterial Enhancement and Optimization of Bolus Geometry for CT Angiography Using the Discrete Fourier Transform", Journal of Computer Assisted Tomography 23(3):474−484,1999
このように数学的な解析により本番検査のTDCを推定し、さらにそれに基づき、所望の注入プロトコルをコンピュータで演算し、1つまたは複数の注入プロトコルを自動的に作成して提示することは、操作者による注入プロトコルのパラメータ設定等が不要になる点で有利である。しかしながら、造影効果には患者の生体特性が複雑に影響するため、同様の条件で造影剤を注入しても、得られるCT値は患者間で大きくばらつき、安定した造影効果が得られないこともある。他方で、造影剤の注入は患者の身体に副作用を及ぼすこともあるため、できるだけ少なくすることも求められる。
本発明の一形態は、このような点に鑑みてなされたものであって、その目的は、患者に対してより好適な注入プロトコルを設定可能な注入プロトコル設定装置、薬液注入装置およびシステムを提供する点にある。
本発明の一形態は下記の通りである:
患者に少なくとも造影剤を注入するための注入プロトコルを設定する方法であって、
a1:テスト注入を行って得られた時間濃度曲線(以下、「テスト注入TDC」という)に対応する本番検査での推定時間濃度曲線(以下、「本注入推定TDC」という)を得るための複数の推奨注入プロトコルのデータを用意するステップと、
a2:操作者による、前記複数の推奨注入プロトコルのうち1つを選択する入力を受け付けるステップと、
a3:選択された前記注入プロトコルの調整を行うために、
(i)患者の生体情報、
(ii)造影剤に関する情報、
(ii)撮像装置の動作条件、および、
(iii)薬液注入装置の動作条件、
の少なくとも1つに関する調整項目を含むグラフィカル・ユーザ・インターフェース(以下、GUIという)を、ディスプレイに表示させるステップと、
a4:操作者による前記調整項目の入力を受け付けるステップと、
a5:その後、入力された前記調整項目に応じて、前記注入プロトコルを変更するステップと、
を有する、注入プロトコル設定方法。
(用語の説明)
「薬液」とは、例えば、造影剤、生理食塩水、またはそれらを混合したものをいう。
「造影剤」の具体例としては、ヨード濃度240mg/mlの造影剤(例えば、37℃において粘度3.3Pa・s、比重1.268〜1.296)、ヨード濃度300mg/mlの造影剤(例えば、37℃において粘度6.1mPa・s、比重1.335〜1.371)、ヨード濃度350mg/mlの造影剤(例えば、37℃において粘度10.6mPa・s、比重1.392〜1.433)等がある。
「生理食塩水」の生理食塩水の具体例としては、生理食塩水20ml中に塩化ナトリウム180mgを含有した生理食塩水(例えば、20℃において粘度0.9595mPa・s、比重1.004〜1.006)等がある。
「注入プロトコル」とは、どのような薬液を、どの程度の量、どの程度の注入速度および注入時間で注入するかを示すものである。
「可変注入」とは、時間とともに注入速度が増加または減少するフェーズを少なくとも一部に含む注入プロトコルで薬液注入を行うことをいう。
「可変定数」とは、時間とともに注入速度が増加または減少するフェーズにおける終端注入速度を、開始速度で除した値をいう。
「接続」−本明細書において、所定の機器と他の機器とが接続されていると言った場合には、有線接続または無線接続のいずれの態様であってもよい。また、他の機器を制御することができるように一方向または双方向に接続されている形態は、「操作可能に接続(operably connected/linked)」と表すこともできる。
「電気的に接続」とは、一方向または双方向に電気的信号の送信が行えるように構成要素どうしが接続されていることをいい、有線接続または無線接続のいずれの形態であってもよい。また、構成要素どうしが互いに直接接続されているものに加え、他の要素を介して間接的に接続されている場合も含む。
「端末」とは、ネットワークに接続されまたはスタンドアロンで使用される、データ処理を行うコンピュータシステムのことをいい、デスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、携帯型コンピュータまたはタブレット型コンピュータ等を含む。
「制御部」とは、CPUおよびメモリ等を有し演算処理を行うものであり、「コントローラ」、「プロセッサ」、「コントローラユニット(制御ユニット)」、「コントローラ回路(制御回路)」、「コントローラモジュール(制御モジュール)」、「プロセッサ部」、「プロセッサユニット」、「プロセッサモジュール」等と呼ぶこともできる。「制御部」は、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、プログラマブル論理コントローラ、特定応用向け集積回路、および他のプログラム可能な回路などで構成することができる。本明細書において、「制御部」は、物理的に1つの構成であってもよいが、2つまたは3以上の制御部が機能的に協働して1つの「制御部」を構成するものであってもよい。
制御部における基本的は処理は、一例で、まずメモリに記憶されたコンピュータプログラムを読み込み、次にコンピュータプログラムの指示に従って入力装置や記憶装置からデータを受け取り、そのデータを演算・加工した上で、データをメモリなどの記憶装置やディスプレイなどの出力装置に出力するというものである。
「コンピュータプログラム」は、それを記憶した記憶媒体を所定の装置・デバイス・機構等で読み出し、それらのコンピュータを所定の機能で動作させるものであってもよい。この場合、コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は本発明の一形態を構成することになる。また、コンピュータプログラムは、通信ネットワーク(一例でインターネット)を介して提供されるものであってもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分プログラムであってもよい。
「記憶媒体」としては、例えば、不揮発性のメモリカード(フラッシュメモリ)、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、一例で、CDやDVD等などを用いることができる。記憶媒体としては、磁気的記録媒体や光学的記録媒体等、種々のものを利用できる。
「入力装置/入力デバイス」(コンピュータシステムに対する入力手段)としては、キーボード、マウス、タッチパネル、トラックボール、手動によりまたは機械によって操作される物理的スイッチ、マイク、音声入力、グラフィカル・ユーザ・インターフェース等であってもよい。操作者の動きを認識(一例で非接触)してその動きに応じた所定の入力を認識するものであってもよい。
「部(「エレメント」または「モジュール」等としても表現できる)」−本明細書で例えば「(機能の名称)」+「部」で表わされるものは、コンピュータの機能として実現可能なものである。このような「部(エレメント)、モジュール等」」は、システムにおけるいずれの機器に備わっていてもよい。また、必ずしも1つの機器内に備わっている必要はなく、相当する機能が2つ以上の機器に分散して備えられていてもよい。さらに、通信ネットワーク(例えばインターネット)を介して、所定の1つまたは複数の「部」のみが外部のサーバ等に備えられていてもよい。このような「部(エレメント)、モジュール等」」は、コンピュータが論理的に有する各種の機能であってもよい。
なお、本明細書で云う各種の構成要素(デバイス、装置、部、モジュールなど)は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等であってもよい。
各種構成要素は、その機能を実現するように形成されていればよく、ハードウェアにより実現するものでも、コンピュータプログラムにより実現されるものでも何れでも構わない。例えば、ある構成要素が、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより実現された設定装置、これらの組合せ、等として実現することができる。
「グラフィカル・ユーザ・インターフェース」(GUI)とは、例えば、画面上のアイコン、画像ボタン、プルダウンメニュー、または数値入力ウィンドウなどを、カーソルによりまたはタッチパネルの場合にはタッチすることにより、視覚的に操作できるインターフェースのことをいう。
「アイコン」とは 、(i)所定の情報を表示しかつ操作者によって選択することができるものと、(ii)単に所定の情報を表示するためのものであって選択できるようには構成されていないものとの両方を含むものであってもよい。画面に表示される全てまたは一部のアイコンは、それぞれの表示箇所をタッチペンあるいは操作者の指等でタッチすることで、または、画面上のカーソルによって、選択可能である。
(I.薬液注入装置の一般的説明)
「薬液注入装置」は、一形態では、次の構成要素を備えている:ピストン駆動機構、制御部(制御ユニット)、および、ディスプレイ等。
ここで、これらの構成要素は、薬液注入装置を構成するいずれの機器に備えられていてもよい。すなわち、薬液注入装置が注入ヘッドおよびコンソール等を備える場合には、(i)注入ヘッドにピストン駆動機構が備えられ、コンソールに制御部とディスプレイとが備えられてもよいし、(ii)注入ヘッドとコンソールの双方に制御部が設けられもよいし、(iii)注入ヘッドとコンソールの双方にディスプレイが設けられもよい。このような制御部(制御ユニット)が、例えば、CTスキャナ、MRI装置、PET装置、超音波診断装置、血管造影撮像装置のような撮像装置の一部として設けられていてもよい。
薬液注入装置は、薬液の注入モードとして、テスト注入および本注入の2つの注入モードを有するものであってもよい。「本注入」は、診断の目的で患者のCT画像を撮像するための造影剤の注入である。「テスト注入」は、本注入に先立って本注入よりも少ない量の造影剤を注入することにより、本注入での注入条件の少なくとも1つのパラメータを決定するための注入である。
患者に注入すべき造影剤の量は、以下のように決定可能である。すなわち、本注入においては、造影剤の注入量(ml)は、患者の体重(kg)や所定の比例係数等をパラメータとする計算式で計算できる。この比例係数は、患者の体重1kg当たりの必要なヨード量(mgI/kg)および造影剤のヨード濃度(mgI/ml)に基づいて決定することができる。例えば、患者の体重をW(kg)、必要なヨード量をI(mgI/kg)、ヨード濃度をC(mgI/ml)としたとき、造影剤の注入量は、
式:造影剤注入量(ml)=W(kg)×I(mgI/kg)/C(mgI/ml)
で計算できる。または、単位体重および単位時間当りの必要なヨード量をI’(mgI/kg/sec)、造影剤の注入時間をT(sec)としたとき、
式:造影剤注入量(ml)=W(kg)×(I′(mgI/kg/sec)/C(mgI/ml))×T(sec)
によって造影剤の注入量を計算することもできる。
投与条件を決定するための手法としては、体重だけでなく、特開2012−016377号に開示されているような血液量を用いるもの、特開2012−200430に開示されているような体表面積を用いるもの、特許5227189号に開示されているような除脂肪体重を用いるもの等であってもよい。
また、例えば、「大」「中」「小」のような体重区分、体表面積および/または血液量区分では、造影効果に寄与するヨウド量のみ注入するよう区分ごとに最適な計算式を使用してもよい。区分ごとのテーブルを使用することもできる。
血液量計算体重の算出には、次のような式を利用できる:
Figure 0006618673
本注入における造影剤の注入量を計算するためには、一例で患者の体重、必要なヨード量、およびヨード濃度が入力され、これら入力されたデータを用いて、コンピュータが、本注入での造影剤の注入量を算出してもよい。なお、これらの情報の一部は、例えば、操作者によって手入力されてもよいし、シリンジのICタグから読み取られてもよいし、または外部のサーバ内の情報(例えば病院システムの電子カルテ等)から取得されてもよい。
「注入ヘッド」は、シリンジを保持するシリンジ保持部と、そのシリンジのピストンを前進および/または後退させるピストン駆動機構を有する。シリンジの装着方法としては、主に、(i)シリンジ保持部が、ヘッド上面の半円柱状の凹部として形成されそこにシリンジがセットされるいわゆるサイドローディングのタイプと、(ii)シリンジ保持部がヘッド前面に形成されシリンジの基端部が保持されるいわゆるフロントローディングのタイプとがある。本発明の一形態においては、いずれのタイプの注入ヘッドをも含む。
薬液注入装置または注入ヘッドは、次のようなもののうち1つまたは複数を有してもよい:1つまたは複数の圧力センサ、1つまたは複数のシリンジ検出センサ(磁石センサ、ホールセンサ等)、1つまたは複数の傾斜センサ、1つまたは複数のロータリエンコーダ、および、1つまたは複数のモータ電流検出器、等。
・圧力センサ:圧力センサは、例えばピストン部材を押す圧力を検出するためのものであり、これにより、薬液の圧力推定値を求めることができる。圧力センサは、一例でロードセルであってもよい。ロードセルは、ピストン駆動機構のラム部材がピストン部材を押す圧力を検出できるような位置に設けられていればよい。ロードセルの検出結果を利用して、例えば、薬液を注入しているときの薬液の圧力の推定値を求める場合、その算出は、注入回路の抵抗(例えば針のサイズ等)、薬液の濃度、注入条件なども考慮して行われてもよい。他の態様では、薬液の圧力を直接的に検出する圧力センサなどを有していてもよい。
・シリンジ検出センサ:シリンジ検出センサは、シリンジ、アダプタ、および/または保護ケースが装着されたか否かを検出する、あるいは、どのような種類のシリンジ、アダプタ、および/または保護ケースが装着されたかを判定するのに用いられるものである。このようなセンサとしては、接触式または非接触式のいずれであってもよく、例えば次のようなものを利用できる:物理的な接触を利用した接触センサ、電気的に対象物を検出する電気センサ、磁気センサ、ホールセンサ、光センサ、近接センサ、等。
・傾斜センサ:傾斜センサは、注入ヘッドの傾きを検出する。一般に、この種の注入ヘッドは、その前端側(つまりシリンジ側)が上方となるような姿勢でシリンジ内への薬液吸引が実施される。一方、薬液注入は、注入ヘッドの前端側が相対的に下方となるような姿勢(先端側をやや下に向けた姿勢)で実施される。傾斜センサの検出結果を用いることで、例えば、望ましくない姿勢での薬液吸引または薬液注入することを防止することも可能である。
・ロータリエンコーダ:ピストン駆動機構のモータや送りネジの回転数および/または回転方向を検出するためのロータリエンコーダ等が設けられていてもよい。
・モータ電流検出器:ロードセル等を用いずモータ電流に基づいて薬液の圧力推測値を算出することも可能である。この方式においては、モータ電流検出器により、モータの動作中、モータ電流を監視し、そのモータ電流に基づいて薬液の圧力推定値を求める。
薬液注入装置または注入ヘッドは、さらに、次のようなもののうち1つまたは複数を有してもよい:1つまたは複数のヘッドディスプレイ、1つまたは複数のヘッド状況表示部、1つまたは複数の物理ボタン、1つまたは複数のRFID通信デバイス、1つまたは複数のデータレシーバ、1つまたは複数のデータトランスミッタ等。
・ディスプレイ:所定の情報を表示するためのディスプレイが注入ヘッドに設けられていてもよい。ディスプレイは、例えば、注入ヘッドの筐体の一部に設けられていてもよい。あるいは、筐体とは別体に用意されたサブディスプレイであってもよい。ディスプレイは、LCD(Liquid
Crystal Display)や有機EL(Organic Electro−Luminescence)ディスプレイ等を利用した表示部であってもよいが、LED(Light
Emitting Diode)を利用した表示部であってもよい。このディスプレイに表示される内容としては、特に限定されないが、次のようなものであってもよい:注入動作中の所定の状態表示、注入予定の薬液注入条件、注入された薬液注入条件、薬液注入量、薬液圧力、注入速度、等。
例えば、注入ヘッドの筐体の一部に、注入ヘッドの所定の状態を操作者に知らせるための所定の発光部が設けられていてもよい。光源としては、一例でLED(Light
Emitting Diode)等を利用できる。このような発光部は、ヘッド状況表示部としての機能を有し、発光色や発光パターンを変化させることにより、注入ヘッドの種々の状況を操作者に知らせることができる。
・物理ボタン:物理ボタンとしては、特に限定されないが、次のようなものであってもよい。ラム部材を前進させるための前進ボタン、ラム部材を後退させるための後退ボタン、前進ボタンまたは後退ボタンと同時に押すことでラム部材の移動速度を早くするアクセラレータボタン、および、ヘッドの動作を停止させる停止ボタン等。これらの物理ボタンは注入ヘッドの筐体の上面、側面、下面、後端面等に適宜配置可能である。二筒式の注入ヘッドの場合、一方のピストン駆動機構のための物理ボタンの配置と、他方のピストン駆動機構のための物理ボタンの配置とが非対称となっていてもよい。
・RFID通信デバイス:シリンジ、アダプタ、または保護カバーにICタグなどのデータ保持手段が付されている場合には、同タグの情報を読み取る無線通信デバイスが設けられていてもよい。この無線通信デバイスは、単にICタグからデータの読取りを行うRFIDリーダであってもよいし、または、ICタグにデータの書込みを行うことも可能なRFIDリーダ/ライタであってもよい。
・データレシーバ:データレシーバは、有線または無線により、外部から注入ヘッド等に対して送信されたデータを受けるためのものである。データレシーバは、一例で、次のようなデータを外部から受けるようになっていてもよい:撮像装置によって生成された任意のデータ、病院システムによって生成された任意のデータ、等。
・データトランスミッタ:データトランスミッタは、有線または無線により、注入ヘッド等から外部に対して所定のデータを送り出すためのものである。データレシーバおよびデータトランスミッタの通信プロトコルは、通信の相手方である他の機器との通信方式を考慮して適宜好適なものを採用すればよい。なお、外部機器との通信を行うデータトランスミッタ等はコンソールまたはその他の機器に設けられていてもよい。データトランスミッタにより注入ヘッドから外部に送信可能なデータとしては、次のようなものの1つまたは複数であってもよい:使用された造影剤の名称等(造影剤識別情報)、造影剤の注入総量、造影剤の注入時間、造影剤の注入圧力、造影剤の注入速度、設定した注入プロトコル等。また、次のようなものの1つまたは複数:患者の識別情報(例えば患者ID)、検査識別情報(例えば検査ID)、撮像時刻に関する情報、等。このような情報は、上述した造影剤に関する情報と組み合わせて送信されてもよい。
注入ヘッドおよびコンソールは、外部機器と通信を行うための通信部が設けられている。この通信部を介して外部機器から入力された注入条件に応じて、造影剤の注入量や注入の速度等を調節するようにピストン駆動機構が動作制御されるように構成されていてもよい。
・異常検出について:上記のような各種センサを利用して、次のようなもののうち1つまたは複数の注入異常を検出可能に構成されていることが好ましい。
−ピストン駆動機構が正常に動作しないことによる注入異常、
−シリンジが注入ヘッドに正常に搭載されていないことによる注入異常、
−シリンジ内に注入動作を行うに足りる造影剤が残存していないことによる注入異常、
−カテーテルや注射針が患者に正常に挿入されていないことによる注入異常
−薬液経路の途中でキンクが生じているなどに起因した注入異常、
−検出される薬液の圧力値が所定の範囲(上限および下限を有する所定範囲、または、所定の上限リミット、所定の下限リミットなど)にないという注入異常、等。
−薬液注入時、例えば、薬液経路が詰まったりしている場合には、ピストン駆動機構の駆動力が所定範囲を上回ることとなる。他方、注入針が患者から抜けているような場合には、駆動力が所定範囲を下回ることとなる。このような駆動力の変化をみることによって、薬液が正常に注入されているか否を検知できる。
−センサにより、所定量の薬液が正常に装填されていないことが検知された場合、その検知結果が通信部から外部に送信されてもよい。
−その他、例えば、延長チューブの途中に圧力を測定する圧力センサを設け、薬液が所定の圧力で注入されているかを検知してもよい。
(II.撮像装置の一般的説明)
撮像装置としては、例えばX線CTスキャナ等であってもよく、一般的には、撮像部(一例でガントリ)と、患者を載せるベッド(寝台)と、それらの動作を制御する動作制御部と、透視撮像データを収集処理するデータ収集部と、全体の動作を制御するメインコントローラ等を有している。メインコントローラは、例えばコンソールとして設けられることもある。撮像装置は、また、所定の情報を表示する1つまたはそれ以上のディスプレイを有することもある。CTスキャナの場合、ガントリの内部には、X線管やコリメータ等を有しX線を患者に向けて照射するX線照射部と、患者を透過したX線の検出を行う検出部等が配置される。X線照射部および検出部は、それらの位置関係を保ったまま患者の体軸の周りを回転しながらスキャンを行い、データ収集部によって透視撮像データ(投影データ)の収集が行われる。ベッドは、例えばモータを駆動源として移動可能に構成され、その移動動作は動作制御部によって制御される。
撮像装置と薬液注入装置との間、撮像装置のその他の機器との間、薬液注入装置とその他の機器との間といった、機器間の通信プロトコルとしては種々のものを利用でき、例えば、CANopen、HL7、DICOM等のプロトコルが挙げられる。
本発明によれば、患者に対してより好適な注入プロトコルを設定可能な注入プロトコル設定装置、薬液注入装置および医療システム等を提供することができる。
薬液注入装置の構成例を示す斜視図である。 注入ヘッドおよびそれに装着される薬液シリンジを示す斜視図である。 薬液注入装置および撮像装置のブロック図である。 プログラムにより実現される注入処理部の構成を示すブロック図である。 病院システムの構成を模式的に示すブロック図である。 注入プロトコル設定手順の一例を示すフローチャートである。 GUIの一例である。 推奨注入プロトコルと推定TDCを表示したTDCの一例である。 テスト注入TDCから本注入TDCを推定する理論を説明するための図である。 テスト注入TDCから本注入TDCを推定する理論を説明するための図である。 重ね合わせにより推測される本注入TDCの一例である。 伝達関数法で本注入TDCを推定する理論を説明するための図である。
1.システム構成
薬液注入装置について図1〜図3を参照して説明する。本発明の一形態に係る薬液注入装置100は、一例で可動式スタンド111の上部に保持された注入ヘッド110と、ケーブル102で注入ヘッド110と電気的に接続されたコンソール150とを備えている。この例では、注入ヘッド110には、2つのシリンジ200C、200Pが並列に取外し自在に装着される。なお、注入ヘッドとコンソールとは無線方式で接続されていてもよい。
なお、以下の説明では、シリンジ200C、200Pを区別せずに単に「シリンジ200」ということもある。「注入ヘッド」は、インジェクタまたはインジェクションヘッドなどとも呼ばれる。薬液注入装置100のコンソール150を、撮像装置のコンソールと区別するために「注入器コンソール」ということもある。また、以下の説明では、図面に表された1つの具体的な形態に基づいて説明を行うが、薬液注入装置やシリンジ等については下記に説明するもの以外にも種々変更可能である。本発明の変形例については後述するものとする。
〔A1.シリンジ〕
シリンジ200C、200P(図2参照)に充填される薬液としては、造影剤および生理食塩水などが挙げられる。例えば、一方のシリンジ200Cに造影剤が充填され、もう一方のシリンジ200Pに生理食塩水が充填されていてもよい。
シリンジ200は、中空筒状のシリンダ部材221と、そのシリンダ部材221にスライド自在に挿入されたピストン部材222とを有している。シリンダ部材221は、その基端部にシリンダフランジ221aが形成されるとともに先端部に導管部221bが形成されたものであってもよい。ピストン部材222をシリンダ部材221内に押し込むことにより、シリンジ内の薬液が導管部221bを介して外部に押し出される。なお、シリンジは予め薬液が充填されたプレフィルドタイプであってもよいし、空のシリンジに薬液を吸引して使用する吸引式のものであってもよい。
各シリンジ200の導管部221bには、延長チューブ230が連結される。延長チューブ230は、いわゆるT字管またはY字管であってもよく、一方のシリンジ200Cの導管部221bから分岐部まで延びるチューブ231aと、他方のシリンジ200Pの導管部221bから分岐部まで延びるチューブ231bと、分岐部から患者に向けて延びるチューブ231cとを有するものであってもよい。チューブ231cの先端側(不図示)には例えば注入針が接続される。この注入針を患者の血管に穿刺して、シリンジ200Cおよび/またはシリンジ200P内の薬液を押し出すことで血管内に薬液が注入される。
なお、延長チューブとしては第1の薬液と第2の薬液との合流箇所にミキシングデバイス(一例で内部に旋回流を生じさせて薬液どうしを混和するもの)が配置されたものを使用してもよい。
図3に示すように、シリンダ部材221の一部にICタグ225が付されていてもよい。このICタグ225には、シリンジに関する情報(シリンジの識別情報、シリンジの耐圧、シリンダ部材の内径、ピストン部材のストローク等)や、該シリンジに充填された薬液の情報(名称(例えば製品名)、ヨード量などの成分情報、消費期限、薬液容量等)が記憶されている。ICタグは、そのタグに固有のユニークIDを有していてもよい。ICタグは、シリンジサイズ、シリンジの製造番号、および薬剤標準化コードから選ばれる少なくとも1つの情報を有していてもよい。なお、ICタグ225としては、例えば、RFID(Radio frequency identification)タグを利用することができる。ICタグ225を貼り付ける位置としては、一例で、シリンダ部材221の外周面であってもよく、具体的には、外周面のうちシリンダフランジの付近であってもよい。
なお、ICタグへの情報の書き込みは、製造時に書き込まれるものであってもよいし、病院内で吸引器で吸い込んだ際に書き込まれるものであってもよい。
〔A2.注入ヘッド〕
注入ヘッド110は、図2に示すように、一例として前後方向に長く延びるような筐体を有しており、この筐体の上面先端側には、それぞれシリンジ200C、200Pが載せられる2つの凹部120aが形成されている。凹部120aはシリンジ保持部として機能する部分である。
凹部120aに対しては、シリンジ200が直接装着されてもよいし、または、所定のシリンジアダプタを介して装着されてもよい。図2では、各シリンジ200のシリンダフランジ221aおよびその近傍を保持するシリンジアダプタ121、122が一例として図示されている。シリンジアダプタの形状や機能は特定のものに限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。
注入ヘッド110は、また、図2および図3に示すように、シリンジ200のピストン部材222を押し込む機能を少なくとも有するピストン駆動機構130を有している。ピストン駆動機構130は二系統設けられており、各機構130は独立して動作する。ピストン駆動機構130は、例えばシリンジ内への薬液吸引のために、ピストン部材222を後退させる機能を有するものであってもよい。2つのピストン駆動機構130は同時に駆動されてもよいし、別々のタイミングで駆動されてもよい。
ピストン駆動機構130は、詳細な図示は省略するが、駆動モータ(不図示)と、その駆動モータの回転出力を直線運動に変換する運動変換機構(不図示)と、その運動変換機構に連結され、ピストン部材222を前進および/または後退させるシリンジプレッサー(ラム部材)とを有するものであってもよい。このようなピストン駆動機構としては、薬液注入装置で一般に用いられる公知の機構を用いることができる。なお、モータ以外のアクチュエータを駆動源としてもよい。
典型的なピストン駆動機構の動作としては、次のようなものが挙げられる:薬液注入(ラム部材の前進)および薬液吸引(ラム部材の後退)。「薬液注入」では、所定のモータ制御信号にしたがってモータを動作させラム部材を前進させることにより、設定された注入プロトコル(注入条件)に従った薬液注入を行う。「薬液吸引」では、所定の制御信号にしたがってモータを動作させピストン部材を後退させることにより、シリンジ内に薬液を吸引する。なお、プレフィルドシリンジの場合には、薬液吸引は実施しなくてよい。
なお、ピストン駆動機構130は、シリンジプレッサーがピストン部材220を押圧する力を検出するためのロードセル(不図示)を有していてもよい。ロードセルの検出結果を利用して、例えば、薬液を注入しているときの薬液の圧力の推定値を求めることができる。この推定値の算出は、針のサイズ、薬液の濃度、注入条件なども考慮して行われる。他にも、ロードセル(不図示)を用いるのではなく、駆動モータ(不図示)のモータ電流に基づいて圧力の算出を行うものであってもよい。
シリンジにICタグ225が付されている場合には、注入ヘッド110は、図3に示すように、同ICタグ225の情報を読み取るおよび/または同ICタグ225に情報を書き込むリーダ/ライタ145を有していてもよい。このリーダ/ライタ145は、シリンジ200が装着される凹部120aに設けられていてもよい。なお、リーダ/ライタ145は、ICタグ225の情報を読み取る機能のみを有するものであってもよい。
注入ヘッド110は、図3に示すように、ピストン駆動機構130やリーダ/ライタ145の動作を制御するための制御部144を有していてもよい。また、例えば、ICタグ225から読み取られた情報を一時的に記憶する記憶部146を有していてもよい。制御部144は、プロセッサおよびメモリ等を有する制御回路として構成することができる。
注入ヘッド110の筐体の上面および側面には、注入ヘッド110に各種動作を行わせるための複数の物理ボタンも設けられている。これらの物理ボタンの一部は、例えば、所定の情報を術者に知らせるために発光するように構成されていてもよい。
〔A3.コンソール〕
コンソール150は、一例で検査室に隣接した操作室内に置かれて使用されるものであってもよい。コンソール150は、所定の画像を表示するディスプレイ151と、その筐体前面に設けられた操作パネル159と、筐体内に配置された制御回路(詳細下記)などを有している。操作パネル159は、1つまたは複数の物理ボタンが配置された部分であり、操作者によって操作される。ディスプレイ151は、タッチパネル式ディスプレイであってもよいし、単なるディスプレイであってもよい。コンソール150は、音および/または音声を出力するためのスピーカ等(不図示)を有していてもよい。
コンソール150は、図3のブロック図では、接続されている各部の動作を制御する制御部153と、注入処理部155と、種々のデータが記憶される記憶部154と、所定の外部機器と接続するためのインターフェースとを有するものとして描かれている。コンソール150は、操作者の手元で操作されるハンドユニットなどの入力装置157(図1では不図示)を有していてもよい。
注入処理部155は、注入プロトコルの作成や注入の実行などを制御する部分であり、一例として、図4に示すように、
−設定画面表示部155a、
−注入プロトコル作成部155b、
−注入制御部155c、
−履歴生成部155d、および、
−履歴出力部155e、
を含む。
設定画面表示部155aは、注入プロトコルを設定するための情報、具体的には、注入プロトコル設定用のGUIをディスプレイ151に表示させる機能に相当するものであってもよい。注入プロトコル設定用のGUIは、薬液注入装置、撮像装置、病院システムまたはその他のコンピュータの任意の記憶デバイス内に格納されていてもよい。
プロトコル作成部155bは、例えば、操作者によるディスプレイ151のタッチパネル等への入力操作を受け付け、その内容が反映された注入プロトコルを作成する機能に相当するものであってもよい。このように操作者によって入力される条件としては、例えば、薬液の種類、薬液の注入速度、薬液の注入量、患者の身体情報、撮像を行う患者の身体区分、および撮像部位などから選ばれる少なくとも1つであってもよい。
注入制御部155cは、作成された注入プロトコルにしたがってピストン駆動機構130の動作を制御する機能に相当するものであってもよい。注入制御部155bは、ピストン駆動機構130の一方のみを動作させること、および、両方を同時に動作させることを行うものであってもよい。
履歴生成部155dは、注入履歴データを生成する機能に相当するものであってもよい。「注入履歴データ」としては、例えば、注入作業ごとに固有の識別情報である注入作業ID、注入開始および終了の日時、薬液注入装置の識別情報、前述の注入条件である薬液や撮像部位の識別情報などであってもよい。これらはテキストデータであってもよい。また、横軸と縦軸との一方が経過時間で他方が注入速度の経時グラフの画像データなどであってもよい。注入履歴データとしては、シリンジのICタグから取得した、または操作者によって手動で入力された、または外部ネットワーク等から入力された薬液の情報やシリンジの情報であってもよい。
履歴出力部155eは、注入履歴データを外部に送信する機能に相当するものであってもよい。具体的には、外部の所定の機器および/またはネットワークにデータを送信するものであってもよい。シリンジのICタグから取得した、または操作者によって手動で入力された、または外部ネットワーク等から入力された薬液の情報やシリンジの情報が、薬液注入装置から病院内の医療情報システムに送信され、例えば会計処理機能を備えるシステムが、その情報に基づいて会計処理を行うようなシステム構成も可能である。
なお、各部155a〜155eの各機能は、実装されたプログラムによってコンピュータが実行するものであってもよい。プログラムは、コンソール内の所定の記憶手段(例えば記憶部154でもよい)に予め記憶されたものであってもよい。
記憶部154には、例えば、ディスプレイ151に表示される画像やGUIのデータなどが記憶されていてもよい。また、注入条件を設定するための計算式などを含むアルゴリズムや、注入プロトコルのデータが記憶されていてもよい。注入速度は、一定であってもよいし、時間とともに変化するものであってもよい。造影剤と生理食塩水とを注入する場合、それらの薬液をどのような順序で注入するかといった情報も、注入プロトコルに含まれる。なお、このような注入プロトコルに関する情報は、インターフェース端子158を介して接続された外部機器から入力されてもよい。また、コンソール150がスロット(不図示)を有し、そこに差し込まれる外部記憶媒体を通じて入力されてもよい。
〔A4.撮像装置〕
撮像装置300は、例えばX線CTスキャナ、MRI装置、またはアンギオグラフィ装置などであり、図3に示すように、患者の透視画像を撮像する撮像部303bと、患者を載せるベッド304と、それらの動作を制御する制御部303aとを有するものであってもよい。
撮像部303bは、ガントリ内に配置された、X線管やコリメータ等を有しX線を患者に向けて照射するX線照射部と、患者を透過したX線の検出するX線検出器を有する検出部とを有するものであってもよい。X線照射部および検出部が、それらの位置関係を保ったまま患者の体軸の周りを回転しながらスキャンを行うように構成されている。
〔A5.病院システム〕
病院システムは、一例として、図5に示すように、撮像装置、薬液注入装置、カルテ管理装置であるHIS、撮像管理装置であるRIS、データ保存装置であるPACS、画像閲覧装置である画像ビューア、プリンタ等を備える。
(HIS)
HISは、専用のコンピュータプログラムが実装されたコンピュータであり、カルテ管理システムを有する。カルテ管理システムで管理される電子カルテは、例えば、
−固有の識別情報であるカルテID、
−患者ごとの患者ID、
−患者の氏名などの個人データ、
−患者の疾病に関するカルテデータ、等のデータを含むものであってもよい。
また、カルテデータには、治療全般に関連した個人条件データとして、患者の体重、性別、年齢、血清クレアチニン値、等が登録されていてもよい。
(RIS)
RISは、患者から透視画像データを撮像するための撮像オーダデータを固有の識別情報で管理する。この撮像オーダデータは、HISから取得する電子カルテに基づいて作成される。撮像オーダデータは、例えば、
−固有の識別情報である撮像作業ID、
−CT撮像やMR撮像などの作業種別、
−前述の電子カルテの患者IDとカルテデータ、
−CTスキャナの識別情報、
−撮像開始および終了の日時、
−身体区分または撮像部位、
−撮像作業に対応した造影剤などの薬液種別からなる適正種別、
−撮像作業に適合した薬液IDからなる適正ID、等のデータを含むものであってもよい。
(PACS)
PACSは、撮像装置から撮像オーダデータが付与された透視画像データを受信して保存する。
〔A5.一般的な動作の一例〕
本実施形態の薬液注入装置は、一例として次のように動作するものであってもよい:
まず、薬液注入装置100の電源がオンの状態で、操作者は、注入ヘッド110にシリンジ200P、200Cを装着する。シリンジ200P、200Cの装着後、操作者は、一例で、延長チューブ230を介してシリンジ200P、200Cに延長チューブを接続し、延長チューブの先端に設けられている注入針(不図示)を患者に穿刺する。
その後、一例として、操作者がコンソール150の所定のボタンを操作すると、ディスプレイ151に注入プロトコル設定用の1つまたは複数の画面が表示される。この画面では、次のようなパラメータの少なくとも1つが入力、選択、または変更されるようになっていてもよい;
−撮像の対象である身体区分
−撮像の対象である部位(撮像部位という)
−患者の体重などの情報
−注入する薬液の種類、等
これらのパラメータを選択するための画像は順次あるいは一括して表示されてもよい。上記のようなパラメータの入力、選択、または変更は、装置の機能によって自動的になされるものであってもよいし、操作者の操作によりなされるものであってもよい。
パラメータの入力が完了したら、操作者は画面上の所定のボタン(例えば確認ボタン)を押す。注入プロトコルを作成する場合には、画面に表示された注入プロトコル作成用の画像に従い、例えば、(i)予め用意された幾つかの基本パターンのうち1つを選択し、その内容を確認もしくは必要に応じて変更する、(ii)画面上に表示された注入グラフ内に幾つかの基準点をプロットしていくことにより任意の注入プロトコルを作成する、等の方式によって行うことができる。
(ii)の方式については、他の図面を参照して後述するものとする。注入グラフ上に基準点をプロットしていくための操作としては、グラフ内の任意の位置(または、グラフ内の任意の格子点)に直接タッチして基準点を作成していく方式や、あるいは、所定のポップアップ画面の操作を経て基準点を作成していく方式等を採用しうる。公知のデジタルファントムを使い、時間濃度曲線(TDC)を予測しながら薬液の注入パターンを作成することも可能である。例えば、デジタルファントムのTDCカーブを参照しながら種々の条件を決定することができる。
なお、薬物動態解析を用いた造影剤の濃度変化推測方法を使って造影剤の濃度の予測を行いつつ、薬液の注入パターンを作成することも可能である。薬物動態解析を行うためには、患者および造影剤の注入条件(例えば、身長、体重、性別、心拍出量、造影剤濃度、注入速度、注入量等の少なくとも一部)を変化させたときの大動脈(右心、左心、動脈、肺循環、全身循環などであってもよい)の時間造影曲線の変化を推測することができるシミュレーションソフトウェア等を利用して実施可能である。また、1mgI/mlのCT値(HU)を設定してもよい。変化させる注入条件としては、体重当りのヨード量や時間当り体重当りのヨード量などであってもよい。なお、造影強度の薬物動態モデルに関する論文としては、「薬物動態解析を用いた大動脈における造影剤濃度変化の推測:MDCTを使用した急速静注下造影検査」、山口功ほか、2007等がある。
上記シミュレーションソフトウェアにおける諸条件をPACS、HIS、RIS、撮像装置、ワークステーション等と双方向にデータ通信して入力、出力するようにしてもよい。撮像装置が複雑な注入プロトコルを取得したり、撮像装置が注入プロトコルを設定したり、CT値を見ながら速度および/または量を変更してもよい。
注入プロトコルが作成されたら、操作者により所定の注入開始ボタンが操作された後、その注入プロトコルに基づいてピストン駆動機構130が動作制御され、患者への薬液注入が行われる。
2.注入プロトコルの作成手順の例
本実施形態の薬液注入装置100では、一例では、以下のような処理を行うことができる。以下、図6のフローチャートも参照しつつ説明する。
まず、図6のフローチャートに示すように、操作者が患者の撮像部位を選択する(ステップS1)。具体的な一例として、胸部、腹部、下肢部などの身体区分のうち、例えば腹部が選択される。コンソール150のディスプレイ151に図7Aのようなグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)が表示され、人体画像561の区分561a〜561cのうち、その一部(ここでは腹部561b)を、タッチパネルを介してまたは画面上のカーソルで選択するものであってもよい。
注入器コンソール150の制御部153は、このような入力を受け付け、次いで、テスト注入の注入プロトコルデータを記憶部154から読み込む。例えば、テスト注入の注入プロトコルデータは、撮像部位ごとに予め登録されたものであってもよい。別の態様としては、制御部153が上記部位選択の入力を受け付けた場合に、テスト注入の注入プロトコル条件を入力するためのGUI(すなわち、テスト注入条件設定画面)をディスプレイ151に表示させるようにしてもよい。
テスト注入の具体的な例としては、350mgI/ml濃度の造影剤を用い、5ml/secの注入速度(一定速)で2秒間の注入条件としてもよい。必要に応じて、生理食塩水の後押し注入条件が付加される。この場合の条件は一例で造影剤と同じ速度で例えば20mlの注入であってもよい。
設定されたテスト注入条件にしたがってピストン駆動機構を動作させ、テスト注入を実施する(ステップS2)。この際、撮像装置300ではモニタリングスキャンを行い、テスト注入の濃度時間曲線(「テスト注入TDC」とも言う)のデータを作成する。データの形式は特に限定されるものではなく、数値データや画像データ等であってもよい。テスト注入TDCは、一例で撮像装置のコンソール(不図示)のディスプレイに表示されてもよい。または、ネットワーク経由で所定のサーバに格納され、ネットワークに接続された所定の端末にテスト注入TDCが表示される構成としてもよい。
撮像装置と薬液注入装置とが通信可能な構成の場合、撮像装置がテスト注入TDCのデータを薬液注入装置に送信するようになっていてもよい。撮像装置から薬液注入装置に直接データが送信されてもよいし、他の機器を中継して送信されてもよい。また、任意のシステム内のサーバ等に、一旦、テスト注入TDCのデータが格納され、薬液注入装置がそれを読み込む構成であってもよい。
別の態様としては、所定のディスプレイに表示されたテスト注入TDCのデータを操作者が読みとり、あるいは、テスト注入TDCをプリントアウトし、それらのデータに基いて、操作者が薬液注入装置に対してデータを手入力することで薬液注入装置にデータが入力される構成としてもよい。
さらに別の態様としては、例えば、撮影機能付き携帯型端末などで、撮像装置の所定のディスプレイに表示されたテスト注入TDCの画像データを撮影すると、その端末が画像認識処理を行い、数値データを抽出し、それを携帯型端末に表示する、または、そのデータを薬液注入装置へと送信するような構成とすることもできる。端末による画像認識処理としては、例えば、TDCの曲線上の複数の点を自動的に抽出し、抽出した各点のX座標およびY座標のデータを数値化することで、時刻とCT値(HU)との相関データを取得するものであってもよい。このような機能はソフトウェアとして実現されてもよい。
ここまでの工程(ステップS1〜S3)により、テスト注入の結果であるテスト注入TDCのデータが、薬液注入装置100に取得される。
その後、薬液注入装置100は、そのテスト注入TDCのデータを利用して、本スキャンにおける推測時間濃度曲線(「本注入推測TDC」とも言う)を作成する(ステップS4)。本スキャンのTDCを推定する方法としては、「伝達関数法」や「加算法(単純線形加算モデル)」などを利用できる。
「伝達関数法」とは、テスト注入の造影プロトコルと、それから得られたTDCとをフーリエ変換し、それにより伝達関数を算出して本注入でのTDCを推定する方法である。伝達関数は下記式で表わすことができる。ここで、pt(t)はテスト注入の造影プロファイル、dt(t)はテスト注入TDC、PT(f)はpt(t)のフーリエ変換、DT(f)はdt(t)のフーリエ変換である。
Figure 0006618673
「加算法」とは、テスト注入のTDCを単純加算させて本注入TDCの推測を行う方法である(下記式参照)。例えばテスト注入を、図8Aに示すような3ml/secで2秒注入と定義してTDCを得たとする。一方、本注入は、図8Bに示すような3ml/sec、10秒注入と定義する。この場合、テスト注入を時間間隔0で5回加算すれば本注入のTDCを推定することができ、図8Cの例で言えば、破線のTDCがテスト注入TDCをシフトさせていったものであり、実線のTDCが本注入推定TDCということになる。下記式において、D(t)は時間tにおける本番注入(actual injection)のCT値の推定値(HU)であり、d(t)は時間tにおけるテスト注入の実測CT値(HU)であり、Tは推定する本番注入の注入時間(sec)であり、Δtはテスト注入の注入時間(sec)であり、Nは加算回数(T/Δt)である。
Figure 0006618673
本注入のTDC推定は、システム内のいずれかのコンピュータで実施可能である。例えば、薬液注入装置でもよいし、撮像装置でもよいし、その他のコンピュータであってもよい。推定TDCは1つに限らず、複数作成されてもよい。
加算法で幾つかの本注入推定TDCを求めるものとしては例えば特許4086309(図19(a)〜図19(c)等参照)に例示されるようなものもある。同文献の手法(同文献図20等参照)によれば、さらに、複数の本注入推測TDCとともに「複数の注入プロトコル」の算出も行うことができる。具体的には、(i)注入速度をテスト注入速度と等しい一定値とし、注入時間をテスト注入時間とは異ならせた複数の注入関数のそれぞれについて、テスト時間濃度曲線に基づいて時間濃度曲線を推定する、(ii)そして、その推定時間濃度曲線において所要の濃度維持時間(T)を確保できる最大濃度値(h)を求め、この最大濃度値(h)と所要濃度増強値(H)との比に基づいて注入速度vを求める。このようにして、濃度増強値(H)を濃度維持時間(T)に渡って維持できる複数の適正な注入プロトコルをコンピュータにより作成することができる。本発明の一形態においては、この手法を用いてもよく、これにより複数の本注入推測TDCと注入プロトコルを用意することができる。もっとも、この文献の手法以外にも、他の手法により、複数の推奨注入プロトコルのデータを作成および/または取得してもよい。
本発明の一形態においては、このようにして用意された複数の推奨注入プロトコルのデータを操作者が容易に取り扱うことができるシステム等を提供する。例えば用意された推奨注入プロトコルのデータの数が多すぎる場合、より具体的には、ディスプレイ上に例えば15以上の注入プロトコルのデータが表示されるような場合、操作者はその中からいずれの注入プロトコルを選べばよいか迷うおそれもある。他方、このようにして求められる注入プロトコルに対して、患者の生体情報などを考慮して調整を加える必要が生じることもある。そこで、本発明の一形態では、このような複数の推奨注入プロトコルから任意の1つを選択しやすく、しかもその注入プロトコルに対する条件変更(調整)を行いやすい薬液注入装置等を提供する。
例えば、本実施形態の注入器コンソール150は、注入プロトコルの複数の候補とそれに対応する本注入推測TDCとを図7Bに示すように、コンソール150のディスプレイ151上にGUIとして表示してもよい。ここで、図7BのGUIの例では、複数の注入プロトコルのうちから選ばれた3つ(一例)が、プロトコル表示部531に表示されている。具体的には下記のとおりである:
−注入プロトコル1:2.3ml/sec、69ml、(時間30sec)
−注入プロトコル2:3.0ml/sec、90ml、(時間30sec)
−注入プロトコル3:3.5ml/sec、150ml、(時間30sec)
操作者は、これらの条件の中から所望の1つを選択し(ステップS6)、コンソール150は、操作者によるこの入力を受け付ける。選択された注入プロトコルに対応した推定TDCが、推定TDC表示部521に表示されるようになっていることも好ましい。すなわち、コンソール150は、上記入力を受け付けた後、選択された注入プロトコルに対応する推定TDCを推定TDC表示部521のグラフ中に表示するように構成されていてもよく、これにより、操作者はどのようなTDCが得られる注入プロトコルであるかを視覚的に容易に確認することが可能となる。
図7Bの例では、本注入推定TDCのグラフに、造影に必要な「所要濃度値」(一例で200HU)と、それが維持される「維持時間」(時刻t1〜t2)の情報が表示される。通常、造影剤注入においては、注入時間が一定の場合、注入速度が早いなるほどTDCのピーク時刻が早まり、速度が遅くなるほどTDCのピーク時刻が遅れて出現することとなる。
このようにして注入プロトコルの候補と、それに対応する推定TDCが表示された状態で、操作者は必要に応じて注入プロトコルの調整を実施することができる(ステップS7)。調整は、様々な観点から行うことが可能であり、次のようなものであってもよい。以下、順に説明する。
(1)造影剤の濃度
注入プロトコルの候補中に操作者の望む注入速度の条件が存在しない場合、例えば造影剤の種類を変えることで注入速度の変更をしてもよい。例えば、濃度が300mgI/mlの造影剤から350mgI/mlのものに変更した場合、注入すべき造影剤の量は約0.85倍(300÷350)となり、注入時間一定の条件のもと、注入速度もそれに応じて低減する。このような注入速度の変更は、例えば、注入速度が速すぎて、もしその条件で注入した場合には患者の血管を損傷させるおそれがあるような場合に有利である。
造影剤の濃度を容易に変更できるように、図7BのようなGUIに、造影剤の濃度を変更するためのアイコンが表示されていてもよい。具体的には、現在想定している造影剤の濃度を表示し(例えば「300」のような数値)、それが選択された場合に、プルダウンメニューのような態様で他の造影剤濃度の選択肢(240、350、370等)が表示されるものとしてもよい。
他の態様としては、注入ヘッドのシリンジが別のものに載せ替えられた場合(例えば、300mgI/ml濃度のものから350mgI/ml濃度のものへ変更)、注入ヘッドがシリンジのタグ情報を読み込み、その読み込まれた濃度情報が自動的に設定されるとともに、注入速度等がそれに基いて再計算されるように構成されていてもよい。
造影剤のシリンジを載せ換えるのではなく、いわゆる「希釈注入」により造影剤の濃度を調整するようにしてもよい。具体的には、2つのピストン駆動機構を同時に動作させ、造影剤と生理食塩水とを混和しながら注入することで、より低い濃度の造影剤の注入が行われることとなる。ディスプレイ上のGUIに、このように希釈注入をするか否か、また、どのような混和比率とするかを決定するためのアイコンが表示されていてもよい。
(2)撮像装置の管電圧
管電圧は、TDCにおける造影剤が目的部位まで到達する時間や、最大CTに到達する時間を変化させるものではなく、TDCの横軸(時間軸)には影響を与えない。しかしながら、管電圧が低くなるほどTDCにおいて縦軸のCT値が高くシフトすることが知られており、例えば管電圧120kVに比べて100kVの方が、例えば大動脈や肝実質における上昇CT値が高く、造影効果が向上することとなる。より具体的には、一般的に使用されている管電圧120kVを基準とすると、120kV時のTDCと同じTDCを得るための造影剤使用量は、80kVで62%、100kVで84%、135kVでは113%程度となると説明される。また、120kVを基準とした場合のCT値の相対値は、80kVで1.61、100kVで1.23、135kVでは0.88程度となると説明される。したがって、例えばテスト注入の際の管電圧値と、本注入での管電圧値が異なるような場合には、操作者がその変更を行うことができるように構成されていることが好ましい。
具体的には、120kVと100kVとでは、CT値は上述の通り1.23倍となる。ところで、前述したように、特許4086309の手法では、造影に必要な「所要濃度値」(一例で200HU)と、それが維持される「維持時間」(一例で30秒)といった情報が入力し、それに基いて複数の注入プロトコルを求めるものであった。管電圧の変更は、CT値(HU値)の変更を意味するものであるから、このように管電圧を変更する場合には、再度「所要濃度値」を入力して再計算し、複数の注入プロトコルを求め直してもよい。
(3)患者の生体情報
(3−1)腎機能
患者の腎機能によっては造影剤注入を実施しない方がよい場合がある。したがって、ディスプレイのGUIに患者の腎機能を示す情報を表示するようにしてもよい。腎機能を示す情報としては、糸球体濾過量(推算糸球体濾過量estimated GFR(eGFR))を利用してもよい。
eGFR値は、次のような式で算出可能である:
eGFR=194×(クレアチニン[mg/dL])−1.094×(年齢[才])−0.287
(女性は×0.739)
コンソール150は、例えば、ネットワーク上の電子カルテ情報にアクセスし、外部からeGFR値を読み込むように構成されていてもよい。または、ネットワーク上の電子カルテ情報にアクセスして患者のクレアチニン値を読み込み、例えば上記式による演算を行ってeGFR値を算出してもよい。
コンソール150は、ディスプレイ151にこれらの情報を表示してもよい。また、所定の基準値のデータを持っており、読み込んだまたは算出したeGFR値とその基準値とを比較し、eGFR値が所定の基準値を超えている場合(つまり、患者の腎機能が造影剤注入に適さないほど低い場合)に、警告を発する処理、注入プロトコルの設定を禁止する処理、造影剤注入を禁止する処理の少なくとも1つを行うように構成されていることも好ましい。
eGFR値が所定の基準値としては、造影剤注入の実施に適さないレベルであることを示す第1の基準値または基準範囲(一例で、30(ml/min/1.73m)未満の場合)と、造影剤を希釈すれば実施可能であるレベルを示す第2の基準値または基準範囲(一例で、30以上45未満)等が設定されていてもよい。eGFR値のレベルにより量を少なくするなど調整してもよい。または、量の調整に変えて速度を遅くしてもよい。
(3−2)心機能
心拍数や心拍出量も造影効果に影響を及ぼす因子である。したがって、本実施形態の薬液注入装置はディスプレイ151のGUIに患者の心機能を示す情報を表示するようにしてもよい。
例えば、慢性心不全の患者の透視画像を撮像する場合、通常の患者に比べてCT値が低くなる傾向がある。その結果、通常の患者と同量の造影剤を注入しても意図したような画像が取得できない場合がある。そこで、この場合には、患者のこうした症状も考慮して造影剤量を決定することで、より良好な画像を取得することができる。
この場合、コンソール150は、例えば、ネットワーク上の電子カルテ情報にアクセスし、外部から患者の心機能に関する情報を読み込むように構成されていてもよい。コンソール150は、ディスプレイ151にこれらの情報を表示してもよい。コンソール150は、当該患者が心不全かどうかを判定し、心不全の場合に、より高い造影効果(CT値)の注入プロトコルの設定を操作者に促すように警告を表示するように構成されていてもよい。また、GUI上に、例えば、注入速度および/または注入量の増加を促す警告を表示してもよい。GUI上に、注入速度および/または注入量を変更するためのアイコン等が表示されることが好ましく、これにより、操作者がこのGUI上で注入プロトコルの再設定を行うことができる。
ただし、上記のように患者の症状を考慮して造影剤量を決定した場合、通常と比較し
て注入される造影剤量が多くなり、患者の身体的負担が大きくなる。そこで、コンソール150は、例えば「本症例は XX ml以上の造影剤を必要とします。続行しますか?」のように、警告文とともに算出した造影剤量をディスプレイ151に表示させ、操作者に注意を促すようにすることが好ましい。このように造影剤量を表示させることは、患者の症状を考慮する場合に限らず、テスト注入における最大CT値およびX線管の管電圧値から造影剤量を算出する場合(詳細後述)に適用してもよい。
(心拍出量など)
弁膜症患者など通常よりも心拍出量が多い患者に造影剤を注入すると、目的とする撮像部位に造影剤が到達する間に血中造影剤濃度が低下してしまい、所望の画像が得られない場合がある。このような場合も、通常よりも多いヨード量が投与されるように造影剤を注入することが好ましい。
そこで、通常よりも心拍出量が多い患者に対しても所望の画像が得られるようにするために、薬液注入装置は、薬液の注入条件の決定に先立って患者の心拍出量を測定することができるように、患者の心拍出量を測定する心拍出量計をさらに備えていてもよい。一例として、薬液注入装置100のコンソール150が、心拍出量計からのデータを読み、そのデータを利用して、造影剤注入条件を補正するように構成することができる。
一例で、コンソール150により造影剤の注入量を補正することにより、それに伴って、造影剤の注入速度なども変更される。より具体的には、患者の心拍出量の測定値を考慮した本注入での造影剤の注入量の補正では、測定された心拍出量が通常よりも多い場合は、その心拍出量の測定値に応じて、必要なヨード量Iの値を大きく設定する。逆に、測定された心拍出量が通常よりも低い場合は、その心拍出量の測定値に応じて、必要なヨード量Iの値を小さく設定する。
上記計算に必要なヨード量Iの値を、心拍出量の測定値に応じて操作者が手動で設定できるようにしてもよく、このためにはGUIにヨード量Iを変更するアイコンが表示されてもよい。あるいは、心拍出量計が薬液注入装置に対してデータ送信できるように薬液注入装置と接続されていれば、心拍出量計から送信されたデータに基づいて、コンソールの演算部が、必要なヨード量Iの値を増減するように構成することもできる。
(患者年齢情報など)
例えば高齢の患者においては、高い注入速度で造影剤を注入すると、血管を損傷させてしまう可能性もある。そこで、このような場合に、制限された注入速度での造影剤注入が行われるようになっていることが好ましいことがある。
そこで、本発明の一形態では、薬液注入装置のコンソールがネットワーク上の電子カルテ情報にアクセスし、患者の年齢情報を読み込み、その情報をディスプレイ上に表示するように構成されていてもよい。
特には、例えば、コンソールは、患者の年齢が所定の基準年齢を超えているか否かの判定を行い、基準年齢を超えていた場合には、ある所定値以上の速度での薬液注入を禁止するように構成されていてもよい。一例として、
−患者年齢が所定の基準年齢を超えていた場合にその旨の警告を表示する、
−所定値以上の速度の注入プロトコルが設定されていないか否かを判定し、所定値以上の場合には、その旨の警告を表示する、または、そのような速度での注入プロトコルを禁止するように構成されていてもよい。
以上をまとめると、本発明の一形態の注入プロトコル作成装置は次のように表現することができる:
本注入のための注入プロトコルを作成するための装置であって、
a1:テスト注入を行って得られた時間濃度曲線(「テスト注入TDC」)に対応する本番検査での推定時間濃度曲線(「本注入推定TDC」)を得るための複数の推奨注入プロトコルのデータを用意する手段(153、155)と、
a2:操作者による、前記複数の推奨注入プロトコルのうち1つを選択する入力を受け付ける手段(153、155)と、
a3:選択された前記注入プロトコルの調整を行うために、(i)患者の生体情報、(ii)撮像装置の動作条件、および(iii)薬液注入装置の動作条件の少なくとも1つに関する調整項目を含むグラフィカル・ユーザ・インターフェース(以下、GUIという)を、ディスプレイに表示させる手段(153、155)と、
a4:操作者による前記調整項目の入力を受け付ける手段(153、155)と、
a5:その後、入力された前記調整項目に応じて前記注入プロトコルを変更する手段(155)と、
を有する、注入プロトコル設定装置(153、155)。
注入プロトコル設定装置とは、一例で、a1:奨注入プロトコルデータ用意部、a2:選択入力受付部と、a3:GUI表示部、a4:調整項目入力受付け部、a5:注入プロトコル変更部を有するコンピュータとして構成可能である。各部は、コンピュータプログラムにより実現される機能であってもよい。上記の例では、「注入プロトコル設定装置」が注入器コンソール内に設けられた態様を説明したが、本発明の他の態様では、「注入プロトコル設定装置」は撮像装置を構成する任意のコンピュータ、薬液注入装置を構成する任意のコンピュータ(注入器コンソール以外)、または、そのほかのコンピュータや端末として構成できる。
以上のように構成された本実施形態の注入プロトコル設定装置によれば、複数の推奨注入プロトコルのデータが用意された後、GUIとして表示された、(i)患者の生体情報、(ii)撮像装置の動作条件、および(iii)薬液注入装置の動作条件の少なくとも1つに関する調整項目を入力することでその変更を行うことができる。したがって、患者に対してより好適な注入プロトコルを設定することが可能となる。
(付記)
本明細書は以下の発明を開示する:
A1.患者に少なくとも造影剤を注入するための注入プロトコルを設定する方法であって、
a1:テスト注入を行って得られた時間濃度曲線(以下、「テスト注入TDC」という)に対応する本番検査での推定時間濃度曲線(以下、「本注入推定TDC」という)を得るための複数の推奨注入プロトコルのデータを用意するステップと、
a2:操作者による、前記複数の推奨注入プロトコルのうち1つを選択する入力を受け付けるステップと、
a3:選択された前記注入プロトコルの調整を行うために、
(i)患者の生体情報(例えば、腎機能、心機能、年齢等。それらのうち1つ、任意の2つの組合せ、または3つの組合せ)、
(ii)造影剤に関する情報(例えば、ヨード量等。)、
(iii)撮像装置の動作条件(例えば、管電圧値等。)、および、
(iv)薬液注入装置の動作条件(例えば、希釈注入等。)、
の少なくとも1つに関する調整項目を含むグラフィカル・ユーザ・インターフェース(以下、GUIという)を、ディスプレイに表示させるステップと、
a4:操作者による前記調整項目の入力を受け付けるステップと、
a5:その後、入力された前記調整項目に応じて、前記注入プロトコルを変更するステップと、を有する、注入プロトコル設定方法。
a1のステップは、コンピュータが、自ら演算を行って複数の推奨注入プロトコルのデータを作成してもよいし、他の機器で作成されたデータを読み込んでもよい。a2のステップは通常必要であるが、本発明の一形態では省略してもよい。
A2.前記複数の推奨注入プロトコルのうち少なくとも2つを、造影剤の注入速度、注入量、または注入時間のいずれかの数値の大きい順または小さい順に並べて前記ディスプレイに表示させるステップを有する、
上記に記載の注入プロトコル設定方法。
A2−1.用意された前記複数の推奨注入プロトコルが多数の場合(例えば15個以上)、コンピュータが、所定の数(例えば、操作者が選択を行い易い2〜10個、好ましくは2〜6個、さらに好ましくは3〜5個)のプロトコルを選び、それをディスプレイに表示させるステップを有する、方法。
A2−2.所定の数のプロトコルを選ぶために、コンピュータが、推奨注入プロトコルに含まれる注入速度、注入量、注入時間の少なくとも1つに関し、その数値が基準範囲内かどうかを判定し、基準範囲外(例えば、許容される速度ではない)の注入プロトコルはディスプレイに表示しないステップを有する、方法。
A3.選択された前記推奨注入プロトコルに対応する本注入推定TDCを前記ディスプレイに表示させるステップを有する、
上記に記載の注入プロトコル設定方法。
A4.前記調整項目が造影剤の濃度であり、
さらに、
前記造影剤の濃度が変更された場合に、変更後の造影剤濃度に基いて、前記注入プロトコルを再設定するステップを有する、
上記に記載の注入プロトコル設定方法。
A5.前記GUIが、造影剤の濃度を変更するための画像(例えば画面上の数値入力用のアイコンまたはボックス)を含む、上記記載の造影剤注入プロトコル設定方法。
A6.前記調整項目が、患者の腎機能または心機能に関する情報である、
上記記載の注入プロトコル設定方法。
A7.前記GUIが、患者の腎機能または心機能を示す画像および/または文字を含む、上記記載の造影剤注入プロトコル設定方法。
A8.前記調整項目が、撮像装置の管電圧値に関する情報である、
上記記載の注入プロトコル設定方法。
A9.前記GUIが、撮像装置の管電圧値に関する情報を示す画像および/または文字を含む、上記記載の造影剤注入プロトコル設定方法。
A9−1.GUIの一画面内に、下記から選ばれる2つまたは3つ以上の内容が表示される、方法:
−推奨注入プロトコルの情報、
−本注入推定TDC、
−造影剤の濃度を変更するための画像、
−患者の腎機能または心機能を示す画像および/または文字、
−撮像装置の管電圧値に関する情報を示す画像および/または文字。
A9−2.さらには、操作者による、注入パターンの変更の入力を受け付けるステップを有する、方法。変更としては、具体的には、以下のようなものであってもよい:
・「二相注入」または「三相注入」への変更
・「可変注入」への変更
・「同時注入(希釈注入)」への変更
・「クロス注入」への変更、等。
B1.患者に少なくとも造影剤を注入するための注入プロトコルを作成するための装置であって、
a1:テスト注入を行って得られた時間濃度曲線(以下、「テスト注入TDC」という)に対応する本番検査での推定時間濃度曲線(以下、「本注入推定TDC」という)を得るための複数の推奨注入プロトコルのデータを用意する手段と、
a2:操作者による、前記複数の推奨注入プロトコルのうち1つを選択する入力を受け付ける手段と、
a3:選択された前記注入プロトコルの調整を行うために、(i)患者の生体情報、(ii)造影剤に関する情報、(iii)撮像装置の動作条件、および(iv)薬液注入装置の動作条件の少なくとも1つに関する調整項目を含むグラフィカル・ユーザ・インターフェース(以下、GUIという)を、ディスプレイに表示させる手段と、
a4:操作者による前記調整項目の入力を受け付ける手段と、
a5:その後、入力された前記調整項目に応じて前記注入プロトコルを変更する手段と、
を有する、注入プロトコル設定装置。
C1.患者の透視画像を撮像する撮像装置と、
患者に少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置と、
を備える医療システムであって、
前記撮像装置または前記薬液注入装置に請求項10に記載の注入プロトコル設定装置が設けられている、医療システム。
D1.患者に少なくとも造影剤を注入するための注入プロトコルを設定するための注入プロトコル設定用のコンピュータプログラムであって、
コンピュータ(例えば、注入器コンソール、撮像装置、または他のコンピュータ装置)に、
a1:テスト注入を行って得られた時間濃度曲線(以下、「テスト注入TDC」という)に対応する本番検査での推定時間濃度曲線(以下、「本注入推定TDC」という)を得るための複数の推奨注入プロトコルのデータを用意するステップと、
a2:操作者による、前記複数の推奨注入プロトコルのうち1つを選択する入力を受け付けるステップと、
a3:選択された前記注入プロトコルの調整を行うために、(i)患者の生体情報、(ii)造影剤に関する情報、(iii)撮像装置の動作条件、および(iv)薬液注入装置の動作条件の少なくとも1つに関する調整項目を含むグラフィカル・ユーザ・インターフェースを、ディスプレイに表示させるステップと、
a4:操作者による前記調整項目の入力を受け付けるステップと、
a5:その後、入力された前記調整項目に応じて、前記注入プロトコルを変更するステップと、
を行わせる、注入プロトコル設定用コンピュータプログラム。
なお、上記方法として説明した本発明の各態様は、当然ながら、装置、システム、プログラムをカテゴリーとする本発明としても表現可能である。
3.注入プロトコルの作成および/または調整手順の例
B1.撮像装置の管電圧を考慮した注入プロトコル設定
この手順は、テスト注入で測定されたTDCの最大CT値、撮像装置の管電圧値、および目標CT値に基いて、本注入での造影剤量を予測するというものである。これにより、患者の個体差に応じた適切な注入プロトコル(特には造影剤量)を簡便に求めることができる。この手順としては、例えば特許第5416761号に開示されたものを利用可能である。本発明の一形態では、当該手順を併用して注入プロトコルの作成および/または調整を行ってもよい。
この手順では、基本的に次の工程を実施する:
−テスト注入、
−モニタリングスキャン(注入TDCの作成)、
−注入量の計算。
(装置構成の概要)
撮像装置(X線CT装置)は、少なくとも操作者の入力を受け付ける入力デバイス、所定の情報を表示する表示デバイス、外部機器と接続するための接続インターフェース、各部の動作を制御するメインコントローラ(制御部)等を有するものであってもよい。これらの構成要素は、一例で撮像装置の動作を制御するコンソール内に組み込まれていてもよい(以下、これを「撮像装置コンソール」ともいう)。
撮像装置コンソールは、CT装置本体を動作させて取得した透過X線データを取得する。撮像装置コンソールは、そして、そのデータに基づいて、画像を再構成して透視画像を表示デバイスに表示させる。撮像装置コンソールは、次の情報の表示デバイスに表示させる:
−テスト注入のTDCの最大CT値(HU)、
−造影剤が注入されてから最大CT値に達するまでの時間(最大CT値到達時間、sec)
−管電圧値(kV)、等。
撮像装置のX線管に印加される電圧(管電圧)は、通常は120kVで、操作者による調整、あるいはインターフェース(不図示)を介しての外部機器(一例で薬液注入装置)からの入力に対応して、変更されてもよい。
(薬液注入装置の構成の概要)
薬液注入装置のコンソールは、「注入量演算部」を有していてもよい。この注入量演算部は、例えばコンピュータプログラムによって実現される注入量算出機能であってもよい。
この注入量演算部は、例えば、テスト注入で測定された最大CT値および本注入時にX線CT装置のX線管に印加する電圧値(管電圧値)に基づいて、本注入において目標とするCT値である目標CT値が本注入で測定される最大CT値として得られるような造影剤量を算出する。
テスト注入TDCの「最大CT値」を薬液注入装置のコンソールに入力する方式は次のようなものとすることができる:
−操作者が、テスト注入によってX線CT装置で得られた値を入力デバイス経由で手動入力する、
−薬液注入装置とX線CT装置が双方向でデータのやり取りを行なえる構成となっている場合には、X線CT装置から自動的にコンソールにデータ入力する。
「管電圧値」および「目標CT値」は、操作者によって入力デバイス経由で手動入力されてもよい。
ところで、テスト注入の結果と本注入の注入条件との間には次のような関係がある。すなわち、造影剤の注入時間が同じであれば、注入される造影剤量と、最大CT値の上昇分との間には、概ね比例の関係がある。よって、この比例の関係を用いて、テスト注入で注入された造影剤量および最大CT値、および目標CT値から、本注入で注入される造影剤量を簡単に求めることができる。
一方、X線管の管電圧は、管電圧が低いほど発生するX線の波長が長くなり透過力が弱くなり、CT画像のコントラストが高くなる。つまり、管電圧と最大CT値との間には相関関係があり、管電圧を下げると最大CT値は高くなる。よって、管電圧を下げることによって、より少ない造影剤量で所望の最大CT値を得ることができる。ただし、管電圧を下げると、得られるCT画像の品位が低下する傾向が見られるため、管電圧は撮像の目的に応じて設定する。
以下に、テスト注入TDCの最大CT値等を用いて本注入の造影剤量を算出する手順の一例を説明する。
(テスト注入)
まず、薬液注入装置を動作させてテスト注入を行う。テスト注入の開始と同時または任意のタイミングで、テスト注入開始信号が、注入器コンソールからX線CT装置に送信され、X線CT装置は、テスト注入開始から所定時間経過後にモニタリングスキャンを実行する。
モニタリングスキャンの間、X線CT装置は、例えば一定時間間隔でCT値を測定し、その結果を、グラフ、数値あるいは画像等で、一例で所定の表示デバイスに表示させる。
モニタリングスキャンが終了すると、一例で、X線CT装置がモニタリングスキャン終了信号を薬液注入装置に送信する。モニタリングスキャン終了信号を受信した注入器コンソールは、本注入で注入される造影剤量を注入量演算部で算出させるのに必要な条件等を入力するための、本注入設定画面(GUI)を注入器コンソールの表示デバイスに表示させる。
前述したように、本注入で注入される造影剤量を求めるためには、テスト注入で得られた「最大CT値」、X線管の「管電圧値」および「目標CT値」を用いる。
本注入設定画面は、操作者によるこれらのデータの入力を受け付ける画面(GUI)とされる。ただし、テスト注入においてX線CT装置で測定された最大CT値がインターフェースを介してX線CT装置から取得できるように構成されている場合は、最大CT値はX線CT装置から自動的にインターフェースを介して注入量演算部に入力され、操作者による入力は省略される。また、目標CT値は、具体的な数値を入力するようにすることもできるし、撮像目的等に応じて予め制御部に設定された幾つかのモードの中から操作者が選択するようにしてもよい。
GUIとしての「本注入設定画面」は、例えば、
−テスト注入における最大CT値を操作者が手入力するためのボックス(表示部)、
−X線管の管電圧値を入力するボックス、および
−本注入のモードを設定するための複数のボタン、等
を有するものであってもよい。
本注入は、「標準モード」、「減量モード」および「予想モード」の3つのモードを有
していてもよい。例えば操作者が、適宜、各アイコンをタッチすることにより、そのモードが選択されてもよい。ここで、
「標準モード」は、細部まで十分な鮮明さで画像を取得するためのモードである。
「減量モード」は、細部まで鮮明である必要はなく概要が把握できる程度の画像を取得するためのモードである。
「予想モード」は、最大CT値を具体的に指定して画像を取得するためのモードである。
(心臓冠動脈の診断について)
例えば心臓の冠動脈の診断においては、「標準モード」は、冠動脈狭窄およびプラークの診断を行なう場合に適するように、一例で最大CT値は350HU程度に設定される。
「減量モード」では、他方、冠動脈狭窄の判定に適するように、最大CT値は250HU程度に設定される。
最大CT値は撮像部位およびモードに応じて任意の機器の記憶デバイスに格納されたテーブル等に設定されていてもよい。操作者によるモードの選択が行なわれると、注入器コンソールの制御部は、モードに応じた最大CT値のデータを読み込み、それを注入量演算部へ送る。
管電圧値は、GUI上で、例えば80kV、100kV、120kVの中から操作者が選択できるようなっていてもよい。
本注入設定画面(GUI)の所定のアイコンを選択することにより、注入器コンソールが、「最大CT値」、「管電圧値」、および「目標CT値」に基いて本注入で注入される造影剤量を算出する。
以上説明したような注入プロトコル設定手順によれば、テスト注入で測定された最大CT値、X線管の管電圧値および目標CT値から、本注入での造影剤量を予測することで個体差に応じた最適な造影剤量を簡便に求めることができる。しかも、X線管に印加する管電圧値を診断目的に応じて通常よりも低い値に変更し、その変更した管電圧値に基づいて、目標CT値が得られるように本注入において注入する造影剤の量を決定することで、診断に必要な情報を有する画像をより少ない造影剤量で取得することができる。テスト注入は、造影剤が撮像部位へ到達する時間を測定するために本注入に先立って通常行なっている工程であるので、テスト注入を実施することによって新たに工程が増えることはない。
B2.テスト注入TDCの結果を利用した本注入の造影剤注入量推定
この手順は、テスト注入で測定されたTDCの最大CT値等を利用して、本注入での造影剤量を予測するというものである。これにより、患者の個体差に応じた適切な注入プロトコル(特には造影剤量)を求めることができる。例えば特許第5394371号に開示されたものを利用可能である。
この手順を実現するために、薬液注入装置は、テスト注入の終了後、本注入用の設定画面(GUI)、具体的には、テスト注入のCT値、目標CT値、テスト注入の注入量、本注入の注入量、ピーク時間、撮像開始時間等の情報を表示および/または入力するためのGUIを表示してもよい。
(注入量推定のための理論)
ところで、造影剤の注入時間が同じであれば、造影剤の注入量と、最大CT値の上昇分との間には、概ね比例の関係があると近似してよい。
よって、次の比例式が成立する:
:C=I:I
ここで、
は、テスト注入による最大CT値の上昇分、
は、本注入による最大CT値の上昇分、
は、テスト注入時の造影剤注入量、
は、注入時の造影剤注入量。
ただし、実際には、撮像部位は造影剤が注入されなくてもある程度のCT値を持っており、また、CT装置で測定されるCT値は、造影剤が注入される前のこのCT値を含んだ値である。よって、
=C−C
=C−C
となる。ここで、
は、テスト注入においてCT装置で得られた最大CT値、
は、本注入による最大CT値においてCT装置で得ようとする目標最大CT値、
は、造影剤の注入前のCT値。
よって上述の比例式は次のように表すことができる:
(C−C):(C−C)=I:I
目標最大CT値Cは、最良の造影効果を得ることのできる最大CT値であり、この値は統計的なデータ等に基づいて予め設定することができる。
このように、造影剤の注入量と最大CTとの間の比例関係を利用することで、テスト注
入において造影剤の注入量およびそのときにCT装置で得られた最大CT値が分かっているので、本注入において目標最大CT値Caが得られるような造影剤の注入量を極めて簡単に求めることができる。
具体的には、注入器コンソールの注入量演算部は、
−テスト注入の最大CT値C
−本注入においてCT装置で得ようとする目標最大CT値C
−造影剤注入前のCT値C
−テスト注入時の造影剤注入量I、および、
−式:Ia=It×(Ca−C0)/(Ct−C0
に基づいて本注入時の造影剤注入量Iaを算出する。
本注入時の造影剤注入量を算出するのに必要なデータのうち、本注入時の目標最大CT
値Cおよび算出されたテスト注入時の造影剤注入量Iは、データとして所定の記憶領域に格納されている。また、造影剤注入前のCT値は、統計的なデータに基づいて、撮像部位に応じた適宜値を、データとして所定の記憶領域に予め格納しておくことができる。したがってこの場合、操作者が、例えば、タッチパネルに入力するのはテスト注入で得られた最大CT値Cのみでよい。
一例で、本注入用の設定画面(GUI)では、テスト注入時の最大CT値の他に、テスト注入で最大CT値に達したときのテスト注入開始からの経過時間をピーク時間として入力するようになっていてもよい。ピーク時間が入力されると、コンソールは、本注入に
対応してCT装置が実行する本スキャンの撮像開始時間を設定画面に表示させてもよい。この撮像開始時間は、例えば、CT値のピーク時間の2秒前とすることができる。これ
によって、CT値のピーク時間を含む期間で撮像を行なうことができるので、良好な造影効果が得られる。撮像をCT値のピーク時間の何秒前に開始するかは、予め決められていてもよいが、必要に応じて操作者が変更できるようにすることもできる。
一般に、造影剤の注入量が増えると、最大CT値に達する時間も遅くなる傾向がある。よって、テスト注入と本注入で造影剤の注入量が異なるにもかかわらず、造影剤の注入開始からの撮像タイミングが一定であると、本注入に対応してCT装置が実行する撮像時間が、目標最大CT値に達するタイミングとずれてしまうことがある。そこでコンソールは、テスト注入で得られたCT値のピーク時間を、本注入用注入量演算部で算出された本注入での造影剤注入量等に基づいて補正してもよい。その場合、制御部は、補正されたピーク時間を基に撮像開始時間を設定することができる。
撮像開始時間が設定されると、コンソールは、そのデータを、インターフェースを通じてCT装置へ送信し、CT装置は、これに応じて、この撮像開始時間から例えば4秒間、本スキャンを実行する。
なお、本注入後の撮像開始時間は、造影剤の注入を開始してから最大CT値に達するまでの時間がテスト注入と本注入とでずれることを考慮して予め決めておくこともできる。その場合は、テスト注入でのピーク時間の入力は不要である。
本形態では、本注入は、所定の注入時間中に一定の注入速度で造影剤を注入する、テスト注入と同じプロトコルで実施する。ここで、造影剤の注入量がテスト注入と本注入とで異なっているので、本注入では、注入時間はテスト注入での注入時間と同じであるが、注入速度がテスト注入と異なる。通常は、本注入での造影剤の注入量はテスト注入でのそれよりも多いので、本注入ではテスト注入よりも高い注入速度で造影剤が注入される。また、本形態では、造影剤の注入後、予め設定された注入速度で所定量の生理食塩水の注入を実施する。
操作者は、本注入確認画面を確認後、タッチパネル上に表示されている本注入開始ボタンをタッチする。本注入開始ボタンがタッチされると、コンソールは、上述したプロトコルで造影剤および生理食塩水が患者に注入されるように2つのピストン駆動機構113を制御し、これによって本注入が実施される。
本注入の開始と例えば同時に、本注入開始信号が、制御部からインターフェースを介してCT装置に送信される。CT装置は、本注入開始から、テスト注入の結果に基づいて薬液注入装置で設定された撮像開始時間経過後に、本スキャンを実行する。本スキャンによって、目的とする撮像部位での患者のCT画像が撮像される。
以上説明したような注入プロトコル設定手順によれば、テスト注入で測定された最大CT値を利用して本注入における造影剤の注入量を決定する。テスト注入で得られた最大CT値は、患者の循環血液量、心拍出量および血管抵抗等の個体差を反映した値であるので、これら循環血液量等を実際に測定することなく、患者の個体差に応じた造影剤の最適な注入量を極めて容易に設定することができる。しかも、テスト注入は、造影剤が撮像部位へ到達する時間を測定するために本注入に先立って通常行なっている工程であるので、テスト注入を実施することによって新たに工程が増えることはない。
B3.テスト注入TDCの結果を利用しフーリエ変換を用いたTDC解析
(背景)
造影剤注入において、造影剤の注入速度や注入量に基づいて設定される注入パラメータが適切でない場合、画像の濃度値の差が小さいために診断の役に立たなかったり、逆に濃度値が高すぎることによりコントラストがつかない画像となったりすることがある。
他方、造影剤注入による時間濃度変化(画像濃度の時間変化)は、患者の体重や抱えている疾患などによって大きく異なる。そのため、濃度値のばらつきや、造影剤の注入開始から注目領域に造影剤が現れるまでの遅延時間のばらつきが大きくなることがある。この点、コンピュータによる支援により時間濃度曲線(TDC)を推定できれば、使用する造影剤量を適切に設定でき、過剰に投与することがなくなると期待できる。これにより患者の身体的、経済的負担も軽減できると考えられる。
TDCを解析する従来研究としては、従来、Fleischmannらの手法(下記参照)が挙げられる:
Dominik Fleischmann and Karl Hittmair: “Mathematical Analysis of Arterial Enhancement and Optimization of Bolus Geometry for CT Angiography Using the Discrete Fourier Transform”, Journal of Computer Assisted Tomography 23(3):474−484, 1999
この手法では、まず、テスト注入パラメータとそれによる時間濃度曲線(TDC)とに対してフーリエ変換を適用し、その患者の注入に対する時間濃度変化の関係を「伝達関数」として導出する。そしてその伝達関数を用いることで、任意の注入パラメータに対する時間濃度曲線を推定でき、また、逆に、CTにおいて要求される時間濃度曲線を設定することで、それを得るための最適な注入パラメータを推定することができるというものである。
本発明の一形態においては、この理論を利用可能である。この理論に基づいて、所望の造影結果(TDC)を得るために必要な注入プロトコルが、例えば、注入速度が時間に伴って非線形に変化する複雑な形状の関数によって表されるようなものである場合、薬液注入装置で現実的に実施しうる形状の注入プロトコル(一例で二相注入)にフィッティング処理してもよい。
(フーリエ変換を用いた時間濃度曲線の解析)
まず、本注入に先だってテスト注入を行い、テスト注入TDCをデータとして得る。そのデータを元に、関心領域への造影剤の到達時間を調べ、適切なCTスキャンの撮像開始時間を決定する。この実施態様では、
−テスト時間濃度曲線、
−テスト注入パラメータ
の2つのデータを用いることで、患者ごとの時間濃度曲線の特徴を解析して本注入における時間濃度曲線のデータを推定する。
解析を行う上での基礎的な理論は以下のとおりである。すなわち、この解析では、人体という複雑系をブラックボックスとみなして、入力と出力のみの分析、つまり、機器の造影剤注入関数とそれによって得られる時間濃度曲線との2つのデータのみを用いて分析を行う。
「造影剤注入関数(inj)」は、テスト注入の「注入速度」および「注入量」との2つの値から求められる時系列データに対応し、これを系への入力と考える。
「伝達関数G」は、造影剤注入関数(テスト注入関数)と、それによる時間濃度曲線(テスト時間濃度曲線)の値とを用いて導出される。伝達関数Gを用いることで、当該患者について、任意の造影剤注入関数に対応する時間濃度曲線の推定が可能となる。また、逆に、理想的な時間濃度曲線を得るための造影剤注入関数の推定が可能となる。時間濃度曲線(enh)は、系への入力となる造影剤注入関数(inj)と、当該系を表すシステム関数gを畳み込み積分して求めることができ、フーリエ変換を用いて解析することが可能となる。
(フーリエ変換を用いた解析と推定)
伝達関数Gは、造影剤のテスト注入関数Injtestと、それによって得られるテスト時間濃度曲線Enhtestとをあらかじめ測定し、下記式を用いてで求められる。伝達関数Gが求まれば、造影剤注入関数から時間濃度曲線を推定できる:
G=Enhtest/injtest
本注入関数Injstdを入力として与えたときに得られる本番時間濃度曲線EnhStdは、下記式を用いて求められる:
Enhtest=G・Injtest
こうして求めたEnhtestに逆フーリエ変換を適用することにより、時間領域の時間濃度曲線(TDC)が得られる。フーリエ変換の特性により、理想的な時間濃度曲線Enhidealを得るための理想的な注入関数Injidealを計算することもできる。
一例として、台形状のTDCを得たいような場合、このTDCをフーリエ変換して得たEnhidealおよび伝達関数Gを用いて理想的な注入関数Injidealを計算するとともに、それを逆フーリエ変換することで理想の注入条件を導出することもできる。
注入器コンソールは、次の構成を有するものであってもよい:テスト時間濃度曲線作成部、推定時間濃度曲線作成部、最大濃度値演算部、注入速度演算部、注入プロトコル作成部、注入プロトコル選択部。
「テスト時間濃度曲線作成部」は、テスト注入時に撮像で得られた複数枚の断面画像中の関心領域に注目し、当該関心領域における時間濃度曲線のデータを作成する。作成されたデータは所定の記憶領域に格納される。
「推定時間濃度曲線作成部」は、記憶領域からその時間濃度曲線を読み出し、このテスト時間濃度曲線に基づいて、本番検査の際に想定される複数の造影剤注入時間(注入時間候補)に対応する推定時間濃度曲線を作成する。この推定時間濃度曲線は、一例としては、造影剤の注入速度をテスト注入時と等しい値として、様々な注入時間で造影剤を被検体に注入したときにおいて、関心領域において観測されると予測される時間濃度曲線である。こうして作成された複数の推定時間濃度曲線は、所定の記憶領域に格納される。
「最大濃度値演算部」は、記憶領域から前記複数の推定時間濃度曲線を読み出し、各推定時間濃度曲線において、所定の濃度維持時間Tを満たすことができる最大濃度値hを求める。
濃度維持時間Tは、操作者によって設定することができるようになっていてもよい。この濃度維持時間Tは、CTA撮影時において、関心領域の画像濃度が所定の所要濃度値H(濃度増強値)以上に保持されるべき時間である。各推定時間濃度曲線について求められた最大濃度値hは、所定の記憶領域に格納されるようになっている。
「注入速度演算部」は、各推定時間濃度曲線について求められた最大濃度値hを記憶領域から読み出し、各最大濃度値hを前記所要濃度値Hと比較する。この比較結果に基づき、注入速度演算部は、各推定時間濃度曲線に対して(すなわち、各注入時間に対して)、前記所要濃度値Hを達成することができる造影剤注入速度vを演算する。この演算された複数の造影剤注入速度vは、それぞれの注入時間と対応付けられて、所定の記憶領域に格納される。
「注入プロトコル作成部」は、記憶領域から前記演算された複数の注入速度vを読み出し、それらに対応する注入速度を乗じることによって、造影剤注入量(=注入速度×注入時間)を求める。こうして、造影剤注入量および注入速度vの組からなる複数の造影剤注入プロトコルが作成され、所定の記憶領域に格納される。
「注入プロトコル選択部」は、操作者の入力によって設定される造影剤注入条件に基づき、記憶部8に格納された前記複数の造影剤注入プロトコルの中から、適切な造影剤注入プロトコルを選択し、これを本注入プロトコル(本番検査に使用すべき注入プロトコル)として所定の記憶領域に格納する。一例で、この本注入プロトコルが、注入制御部により、自動注入器の制御ユニットへと受け渡される。
4−2.造影剤注入パラメータの推定
操作者は、予め、所定の入力デバイスを介して、テスト注入プロトコルを入力する。
テスト注入プロトコルは、例えば、注入速度、注入時間および注入量の情報を含む。一例で、速度が5.0ml/sec(一定速度)、注入時間が2.0sec、注入量が10mlであってもよい。必要に応じて生理食塩水の後押し注入が行われる。一例で、5.0ml/sec(一定速度)で20mlの生理食塩水を注入する。
自動注入器(具体的にはピストン駆動機構)は、テスト注入プロトコルに従って、テスト注入を行う。
このときの自動注入器の動作情報は、撮像装置に送られ、撮像装置はこの動作情報に基づき、スキャナの動作を制御する。こうして、造影剤のテスト注入に合わせて、テスト検査のためのスキャンが行われる。
CTスキャナによって収集された透過X線データは、所定の記憶領域に格納される。この透過X線データに基づき、影像を表す画像データが作成される(ステップS4)。
また、この複数枚の画像データに基づき、テスト時間濃度曲線作成部により、テスト時間濃度曲線が作成される。
次に、操作者は、所定の入力デバイスを介して、次の情報の入力を行う:
(1)本番検査の際に獲得したい濃度増強値HU[ΔHU](一例で200HU)
(2)維持時間T(秒)(一例で10sec)
そして、推定時間濃度曲線作成部は、一例として、テスト時間濃度曲線の重ね合わせ処理によって、注入速度をテスト注入速度と等しい値で一定とし、注入時間をテスト注入時間の自然数倍とした場合に得られるべき時間濃度曲線の推定値(推定時間濃度曲線)を作成する。
こうして作成された推定時間濃度曲線は、所定の記憶領域に格納される。
推定時間濃度曲線作成部が、異なる複数の注入時間に関して、上記と同様の処理を行うことで、複数の推定時間濃度曲線を作成することができる。
最大濃度値演算部は、作成された複数(例えば6つ)の推定時間濃度曲線(最初の1つはテスト時間濃度曲線)において、前記維持時間Tを確保できる最大濃度値を求める。維持時間Tは、CTスキャナにおける本番検査時の撮像に要する時間である。
次に、注入速度演算部は、各推定時間濃度曲線に対して得られた最大濃度値に対する濃度増強値Hの比H/hi(ただし、i=1,2,3,……)を求める。そして、これにテスト注入速度を乗じることによって、各注入時間に対応する注入速度(=Vtest・H/hi)を求める。
なお、上記のような計算の理由は、注入関数Inj(t)と濃度曲線Enh(t)とが線形関係にあると仮定しているからである。
そして、注入プロトコル作成部は、注入速度viと、これに対応する注入時間tiとを乗じることによって、造影剤注入量を演算する。
こうして、造影剤注入量および注入速度の組で表される6通り(一例)の注入プロトコルが得られ、これらの注入プロトコルを表すデータが記憶部に格納される。
なお、この注入プロトコルは、注入時間tiに渡って一定の注入速度viが保持される一相注入に対応した矩形の注入関数を表す。
こうして6通りの注入プロトコルが求まると、注入プロトコル選択部741は、操作者からの入力によって指定する注入条件に適合する1つの注入プロトコルを本番検査のための注入プロトコル(本注入プロトコル)として選択する。
注入条件としては、たとえば造影剤注入量が最少であること、造影剤の注入速度が所定値以下であること、造影剤の注入速度が最低であること、その他、注目したいパラメータに応じて、適切な条件を設定することができる。
このようにして本注入プロトコルが定まると、この本注入プロトコルに従って自動注入器による造影剤の注入が行われることとなり、それに同期して、本番検査のための撮像がCTスキャナによって実行される。
なお、本発明は上記に説明した特定の態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。また、本明細書中に示した数式はあくまで一例であり、他の数式や理論を利用して所定の計算対象の導出を行ってもよい。
本発明の他の形態においては、次のような変更がなされてもよい:
(m1)上記では、プロトコルを設定するための設定画面(グラフィカル・ユーザ・インターフェース)が注入Iコンソールのディスプレイに表示される構成について説明したが、注入ヘッドがサブディスプレイを有し、そこにプロトコルを設定するための上記のような設定画面が表示されるようになっていてもよい。
(m2)あるいは、撮像装置が有するディスプレイに、プロトコルを設定するための上記のような設定画面が表示されてもよい。すなわち、この場合、撮像装置が、グラフィカル・ユーザ・インターフェースを提供することとなり、操作者はこのインターフェース経由で条件の設定を行うことができる。そして、このようにして撮像装置側で設定された条件のデータが、薬液注入装置に対して有線または無線でデータ送信され、撮像装置側から設定が行われるようになっていることも好ましい。
(m3)上記のような構成を実現するためにシステム内の任意の機器(例えば、薬液注入装置、撮像装置、データベースサーバ、またはその他のコンピュータシステム)にプロトコルを設定するための上記のような設定画面(グラフィカル・ユーザ・インターフェース)のデータを保有することができる。
(m4)上記では、例えば図1に示すように、注入ヘッドとコンソールとが別体に構成された薬液注入装置を示した。しかしながら、下記のような薬液注入装置としてもよい:
−注入ヘッドとコンソールとが一体となったような薬液注入装置、換言すれば、1つの装置で、注入プロトコルの設定、薬液注入中の各種状態の表示、およびピストン駆動機構の動作制御等を行うことができるような薬液注入装置。
−注入ヘッドとコンソールとが1つの筐体として一体となったような上記薬液注入装置において、さらに、別体のバッテリーユニットを備える薬液注入装置。このようなバッテリーユニットはAC電源であってもよく、また、検査室の任意の個所に据え置かれてもよいし、可動式スタンドの一部に保持されるものでもよい。
−コンソールを小型化したようなコントロールユニット(例えば1つまたは複数のボタンおよび/またはディスプレイを有するようなものであってもよい)が、注入ヘッドの近傍に配置された薬液注入装置。例えばこのようなコントロールユニットは、注入ヘッドと一緒に可動式スタンド上に保持される。または、例えばこのようなコントロールユニットは、注入ヘッドと一緒に天井懸垂式のアームに保持される。または、注入ヘッドにと一体化される。
(m5)上記では、シリンジ200P内の薬液を生理食塩水としたが、他の希釈剤を用いてもよい。
本注入TDCを推測するために「加算法」や「伝達関数法」を用いることを例示したが、Baeらによる動態モデル等を利用してもよい。Baeらは、造影剤反応の薬物動態(PK)および動態をモデルを開発し、最も均一な動脈の増強を引き起こす機能を見つけることを提案している。こうしたモデル化と上述したような注入条件調整により、適切な注入プロトコルの設定を行い得る。また、Baeらによって述べられた、単純化された仕切りモデルの1セットの微分方程式の逆解法は、造影剤の流速を指数関数的に減少させることにより、CTイメージング手順で最適な/一定の増強をもたらすことを示している(例えば、米国特許6055985(日本特許4650855)等)。また、動態モデル等を利用して本番注入のTDCを推測することに関する文献としては、例えば日本特許3553968号、米国特許5687208号等もある。こうしたTDCの推測やそれを利用した注入プロトコル設定と、上述したような注入条件調整により、適切な注入プロトコルの設定を行い得る。
また、他にも、Jacobsの“薬物動態のモデルに駆動される薬剤配送へ適用される最適な線形モデルに基づいた制御用アルゴリズム”、WadaおよびWardの“混合型:コンピュータ制御された注入ポンプのための新しい薬物動態のモデル”等のモデル化やシミュレーションをも利用しうる。
100 薬液注入装置
102 ケーブル
110 注入ヘッド
120a 凹部
111 可動式スタンド
130 ピストン駆動機構
144 制御部
145 リーダ/ライタ
146 記憶部
150 コンソール(注入制御ユニット)
151 ディスプレイ(表示デバイス)
153 制御部
154 記憶部
155 注入処理部
157 入力装置(ハンドユニット)
159 操作パネル
200 シリンジ
221 シリンダ部材
222 ピストン部材
225 ICタグ
230 延長チューブ
231a〜231c チューブ
300 撮像装置
303a 制御部
300b 撮像部
304 ベッド

Claims (13)

  1. 患者に少なくとも造影剤を注入するための注入プロトコルを設定する方法であって、
    a1:テスト注入を行って得られた時間濃度曲線であるテスト注入タイムデンシティカーブに対応する本番検査での推定時間濃度曲線である本注入推定タイムデンシティカーブを得るための複数の推奨注入プロトコルのデータを制御部が用意するステップと、
    a2:操作者による、前記複数の推奨注入プロトコルのうち1つを選択する入力を制御部が受け付けるステップと、
    a3:選択された前記注入プロトコルの調整を行うために、
    (i)患者の生体情報、
    (ii)造影剤に関する情報、
    (iii)撮像装置の動作条件、および、
    (iv)薬液注入装置の動作条件、
    の少なくとも1つに関する調整項目を含むグラフィカル・ユーザ・インターフェースを制御部がディスプレイに表示させるステップと、
    a4:操作者による前記調整項目の入力を制御部が受け付けるステップと、
    a5:その後、入力された前記調整項目に応じて、制御部が前記注入プロトコルを変更するステップと、
    を有し、さらに、
    選択された前記推奨注入プロトコルに対応する本注入推定タイムデンシティカーブを制御部が前記ディスプレイに表示させるステップを有し、
    前記本注入推定タイムデンシティカーブには、
    そのタイムデンシティカーブでどれくらいの造影強度が得られるかの情報、
    当該造影強度に到達する時間の情報、および、
    その造影強度がどれくらいの時間継続するかの情報
    の少なくとも一つが示されている、
    注入プロトコル設定方法。
  2. 前記複数の推奨注入プロトコルのうち少なくとも2つを、造影剤の注入速度、注入量、または注入時間のいずれかの数値の大きい順または小さい順に並べて制御部が前記ディスプレイに表示させるステップを有する、
    請求項1に記載の注入プロトコル設定方法。
  3. 前記調整項目が造影剤の濃度であり、
    さらに、
    前記造影剤の濃度が変更された場合に、変更後の造影剤濃度に基いて、制御部が前記注入プロトコルを再設定するステップを有する、
    請求項1または2に記載の注入プロトコル設定方法。
  4. 前記グラフィカル・ユーザ・インターフェースが、造影剤の濃度を変更するための画像を含む、請求項3に記載の造影剤注入プロトコル設定方法。
  5. 前記調整項目が、患者の腎機能または心機能に関する情報である、請求項1または2に記載の注入プロトコル設定方法。
  6. 前記グラフィカル・ユーザ・インターフェースが、患者の腎機能または心機能を示す画像および/または文字を含む、請求項5に記載の造影剤注入プロトコル設定方法。
  7. 前記調整項目が、撮像装置の管電圧値に関する情報である、請求項1または2に記載の注入プロトコル設定方法。
  8. 前記グラフィカル・ユーザ・インターフェースが、撮像装置の管電圧値に関する情報を示す画像および/または文字を含む、請求項7に記載の造影剤注入プロトコル設定方法。
  9. 患者に少なくとも造影剤を注入するための注入プロトコルを作成するための装置であって、
    a1:テスト注入を行って得られた時間濃度曲線であるテスト注入タイムデンシティカーブに対応する本番検査での推定時間濃度曲線である本注入推定タイムデンシティカーブを得るための複数の推奨注入プロトコルのデータを用意する手段と、
    a2:操作者による、前記複数の推奨注入プロトコルのうち1つを選択する入力を受け付ける手段と、
    a3:選択された前記注入プロトコルの調整を行うために、(i)患者の生体情報、(ii)造影剤に関する情報、(iii)撮像装置の動作条件、および(iv)薬液注入装置の動作条件の少なくとも1つに関する調整項目を含むグラフィカル・ユーザ・インターフェースを、ディスプレイに表示させる手段と、
    a4:操作者による前記調整項目の入力を受け付ける手段と、
    a5:その後、入力された前記調整項目に応じて前記注入プロトコルを変更する手段と、
    を有し、さらに、
    選択された前記推奨注入プロトコルに対応する本注入推定タイムデンシティカーブを前記ディスプレイに表示させる手段を有し、
    前記本注入推定タイムデンシティカーブには、
    そのタイムデンシティカーブでどれくらいの造影強度が得られるかの情報、
    当該造影強度に到達する時間の情報、および、
    その造影強度がどれくらいの時間継続するかの情報
    の少なくとも一つが示されている、
    注入プロトコル設定装置。
  10. シリンジのピストン部材を移動させるピストン駆動機構と、
    そのピストン駆動機構の動作を制御する制御部と、
    請求項9の注入プロトコル設定装置と、
    を備える、薬液注入装置。
  11. 少なくとも1本のシリンジが装着される注入ヘッドと、
    前記注入ヘッドに動作可能に接続されたコンソールと、を備え、
    前記ピストン駆動機構が前記注入ヘッドに設けられ、
    前記制御部および注入プロトコル設定装置が前記コンソールに設けられている、
    請求項10に記載の薬液注入装置。
  12. 患者の透視画像を撮像する撮像装置と、
    患者に少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置と、
    を備える医療システムであって、
    前記撮像装置または前記薬液注入装置に請求項9に記載の注入プロトコル設定装置が設けられている、医療システム。
  13. 患者に少なくとも造影剤を注入するための注入プロトコルを設定するための注入プロトコル設定用のコンピュータプログラムであって、
    コンピュータに、
    a1:テスト注入を行って得られた時間濃度曲線であるテスト注入タイムデンシティカーブに対応する本番検査での推定時間濃度曲線である本注入推定タイムデンシティカーブを得るための複数の推奨注入プロトコルのデータを用意するステップと、
    a2:操作者による、前記複数の推奨注入プロトコルのうち1つを選択する入力を受け付けるステップと、
    a3:選択された前記注入プロトコルの調整を行うために、(i)患者の生体情報、(ii)造影剤に関する情報、(iii)撮像装置の動作条件、および(iv)薬液注入装置の動作条件の少なくとも1つに関する調整項目を含むグラフィカル・ユーザ・インターフェースを、ディスプレイに表示させるステップと、
    a4:操作者による前記調整項目の入力を受け付けるステップと、
    a5:その後、入力された前記調整項目に応じて、前記注入プロトコルを変更するステップと、
    を行わせ、さらに、
    選択された前記推奨注入プロトコルに対応する本注入推定タイムデンシティカーブを前記ディスプレイに表示させるステップを行わせ、
    前記本注入推定タイムデンシティカーブには、
    そのタイムデンシティカーブでどれくらいの造影強度が得られるかの情報、
    当該造影強度に到達する時間の情報、および、
    その造影強度がどれくらいの時間継続するかの情報
    の少なくとも一つが示されている、
    注入プロトコル設定用コンピュータプログラム。
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