JP2013183407A - 音叉型水晶振動片と当該音叉型水晶振動片を用いた音叉型水晶振動子および当該音叉型水晶振動子の製造方法 - Google Patents

音叉型水晶振動片と当該音叉型水晶振動片を用いた音叉型水晶振動子および当該音叉型水晶振動子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 外部衝撃による音叉型水晶振動片の欠損を防止しつつ、安定した周波数調整を行うことができる音叉型水晶振動片と当該音叉型水晶振動片を用いた音叉型水晶振動子および当該音叉型水晶振動子の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 音叉型水晶振動片4は、基部40と振動腕41,41と突出部400とを備えている。そして振動腕41の対向する一組の主面には、振動腕の先端側に周波数調整に寄与しない腕先保護領域43aが設けられるとともに、腕先保護領域43aに対して振動腕の根元側に周波数調整領域43bが設けられている。周波数調整領域43bは質量削減によって周波数が調整される周波数調整用の金属膜であり、腕先保護領域43aは、水晶素地が露出した露出部432aと、露出部432aよりも高く形成され、金属からなる断面視凸状の緩衝部431aとで構成されている。
【選択図】 図3

Description

本発明は各種電子機器のクロック源として用いられる音叉型水晶振動片と当該音叉型水晶振動片を用いた音叉型水晶振動子および当該音叉型水晶振動子の製造方法に関する。
音叉型水晶振動子等の水晶振動デバイスは、実装される各種機器の小型化および薄型化に伴い、超小型で薄型のものが求められるようになっている(例えば平面視の外形寸法が2.0mm×1.2mm)。例えば直方体状の容器内に音叉型水晶振動片の一端側を片持ち接合し、平板状の蓋を前記容器に接合することによって音叉型水晶振動片を気密に封止した表面実装型の音叉型水晶振動子が広く用いられている。
前述の音叉型水晶振動片は例えば図12に示すような形状となっている。図12において音叉型水晶振動片9は基部90と基部90の一端側から一方向に突出した一対の振動腕91,91を備えている。基部90や一対の振動腕91,91には所定形状の電極(図示省略。振動腕の先端領域のみ符号Mで表示)が形成される。そして図13に示すように一対の振動腕91,91の先端領域は対向する一組の主面91A,91Bと対向する一組の側面91C,91Dの計4つの面で構成されている。図13は図12のC−C線における断面図となっており、振動腕91の先端領域には振動腕の全周に電極Mが形成されている。そして電極Mの上層には金属膜Wが周状に形成されており、この金属膜Wが音叉型水晶振動片の周波数を調整するための調整用金属膜となっている(以下、調整用金属膜Wと略記)。
音叉型水晶振動片の周波数調整は、調整用金属膜Wに対して、例えばレーザー光(図12に示すL)を照射して調整用金属膜の質量を削減して周波数を上昇させることによって行われる(レーザートリミング)。調整用金属膜Wの質量を削減したときの周波数の上昇量は振動腕91の先端に近づくにつれて大きくなり、振動腕の先端が最大となる。このことからレーザー光の照射は最も周波数上昇量(周波数変化量)の大きい振動腕の先端側から開始され、振動腕の幅方向に横断するようにレーザー光が走査される。そして当該レーザー光の走査は、振動腕の先端側から振動腕の根元方向へ順次移動させながら所望の周波数範囲に到達するまで行われる。このような方法で周波数の調整を行う音叉型水晶振動子は例えば特許文献1乃至3に開示されている。
特開昭59−202720号 特開2003−332871号 特開2003−332872号
しかしながら振動腕の先端側からレーザー光の照射を開始して、振動腕の根元方向へ順次移動させながらレーザー光を走査させて周波数調整を行う際、振動腕の先端部分の調整用金属膜Wおよびその下層の電極Mがレーザー光によって除去されてしまうことがある。つまり振動腕の先端部分の水晶素地がレーザー光の照射によって露出した状態となってしまう。レーザー光の焦点深度や出力等を調整しても振動腕の先端部分の水晶素地が露出しないように調整用金属膜Wおよび電極Mだけを除去することは困難である。この音叉型水晶振動片を基部側で片持ち支持した音叉型水晶振動子が、落下等によって外部衝撃を受けると、自由端である振動腕の先端側が撓んで、振動腕先端の露出した水晶素地部分が容器や蓋と接触することがある。前記接触によって水晶振動片の一部が欠損することがあり、発振停止等の不具合に至ってしまう。特に音叉型水晶振動子が超小型になってくると、容器内に収容された水晶振動片と容器との隙間あるいは水晶振動片と蓋との隙間が微小となるため前記接触の可能性が増大する。
そこで、レーザー光の照射による振動腕の先端部分の水晶素地の露出を防止するために、例えば図14に示すように振動腕の主面の先端部分に近接する領域に平面視矩形状の調整用金属膜W’を形成しておき、当該金属膜の振動腕の先端部分から根元方向にずらした領域(図14において点線枠で示す領域)にレーザー光を照射する方法がある。当該方法によれば、調整用金属膜W’のうち先端側の領域は図15に示すようにレーザー光の照射後にも残存するため、外部衝撃を受けて振動腕の先端側が容器や蓋と接触したとしても前記残存した金属膜が緩衝材として機能し、音叉型水晶振動片の欠損を防止することができる。
しかし、調整用金属膜の先端部分を避けてレーザー光を照射する上記方法では、振動腕の幅方向へのレーザー光の1回の走査に対する周波数変化量が最も大きくなる振動腕の先端部分が周波数調整に寄与しないことになる。そのため、振動腕の先端部分の調整用金属膜にレーザー光を照射する場合に比べて、レーザー光の1回の走査に対する周波数の上昇量が少なくなる。つまり、より多くの周波数調整量が必要となる。その結果、想定した周波数調整量と実際の周波数調整量との差が拡大し、安定した周波数調整を行うのが困難となってしまう。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、外部衝撃による音叉型水晶振動片の欠損を防止しつつ、安定した周波数調整を行うことができる音叉型水晶振動片と当該音叉型水晶振動片を用いた音叉型水晶振動子および当該音叉型水晶振動子の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、基部と、当該基部の一端側から突出した一対の振動腕とを備えた音叉型水晶振動片であって、前記振動腕の少なくとも一主面には、振動腕の先端側に周波数調整に寄与しない腕先保護領域が設けられるとともに、当該腕先保護領域に対して振動腕の根元側に周波数調整領域が設けられ、前記周波数調整領域は、質量削減によって周波数が調整される周波数調整用の金属膜からなり、前記腕先保護領域は、前記一主面の水晶素地が露出した露出部と、当該露出部よりも高く形成され、金属からなる断面視凸状の緩衝部とで構成された音叉型水晶振動片となっている。
上記発明によれば、周波数調整に寄与しない金属からなる断面視凸状の緩衝部が振動腕の先端側に設けられている。このため、本発明の音叉型水晶振動片が容器内に基部側で片持ち支持された音叉型水晶振動子が、外部衝撃を受けて振動腕の先端側が容器や蓋と接触したとしても前記緩衝部が緩衝材として機能し、音叉型水晶振動片の欠損を防止することができる。
さらに上記発明によれば、想定した周波数調整量と実際の周波数調整量との差の拡大を防止して、安定した周波数調整を行うことができる。これをレーザー光などのビームを用いて周波数調整を行った場合について説明する。まず一般的な音叉型水晶振動片の周波数調整工程の概要について説明した上で、本発明の上記効果を説明する。
音叉型水晶振動片は、通常、製造工程において多数個の音叉型水晶振動片が格子状に整列した集合基板状態で取り扱われる。当該集合基板内の成形された多数個の音叉型水晶振動片は成形精度により周波数のばらつきを有している。そして音叉型水晶振動片の周波数調整工程の前に、まず各音叉型水晶振動片の基部および一対の振動腕に所定形状の電極が形成される。当該電極の形成によって集合基板内の多数個の音叉型水晶振動片の周波数ばらつきは電極形成前の周波数ばらつきよりも拡大することになる。
次に、振動腕の先端側の電極上に周波数調整用の金属膜を電解メッキ法等の成膜手段によって形成する。周波数調整用の金属膜を振動腕の電極上に付加することによって、周波数ばらつきは周波数調整用の金属膜付加前の周波数ばらつきよりも拡大することになる。つまり振動腕に付加される金属膜の質量に比例して周波数ばらつきは拡大する。一方、発振周波数については音叉型水晶振動片の特性により、振動腕に付加される金属膜の質量に反比例して低下する。
次に、周波数調整工程では周波数調整用の金属膜に対してビームを照射し、当該金属膜の質量を削減することによって周波数を上昇させる。周波数調整工程では周波数調整用の金属膜付加後の周波数よりも高い周波数範囲に設定された周波数規格に到達するまで、ビームを振動腕の先端側から根元方向に順次移動させながら照射して周波数調整が行われる。以上がビームを用いた一般的な周波数調整方法の概要である。
これに対し、本発明の音叉型水晶振動片は振動腕の少なくとも一主面の先端側に腕先保護領域が形成されている。当該腕先保護領域は、水晶素地が露出した露出部と、当該露出部よりも高く(露出部を基準面として厚肉に)形成され、金属からなる断面視凸状の緩衝部とで構成されている。つまり、本発明において振動腕の先端側に付加される金属膜の質量は、前記露出部の領域にも金属膜が形成されている構成と比べると減少する。当該減少によって金属膜付加後の周波数のばらつきが抑制されることになる。
一方、周波数調整領域については振動腕の先端側に付加される金属膜の内、腕先保護領域を除いた領域となっている。つまり、腕先保護領域に露出部が存在するか否かに関わらず、周波数調整領域の金属膜の質量削減によって上昇させることができる最大周波数調整量(最大周波数変化量)は一定となる。
したがって、最大周波数調整量が一定であれば、露出部が存在することによって金属膜付加後の周波数のばらつきが抑制されるため、周波数調整後の良品率が向上する。その結果、想定した周波数調整量(金属膜の全領域の周波数上昇量)と実際の周波数調整量(腕先保護領域を除いた周波数調整領域の最大周波数変化量)との差の拡大を防止することができる。これにより、安定した周波数調整を行うことができる。
上記目的を達成するために請求項2に記載の発明によれば、前記緩衝部が平面視で振動腕の先端近傍の角部または稜部を含む領域に形成されていてもよい。
上記発明によれば、前記緩衝部は平面視で振動腕の先端近傍の角部または稜部を含む領域に形成されている。このような領域に緩衝部が配されることにより、製造ばらつきによって音叉型水晶振動片が容器内に傾いて搭載された場合であっても、振動腕の先端近傍の角部または稜部を含む領域を保護することができる。音叉型水晶振動子の容器内に傾いて搭載された音叉型水晶振動片が外部衝撃を受けた場合、振動腕の先端部分の主面よりも先に振動腕の先端近傍の角部または稜部を含む領域が容器や蓋と接触することがあるが、上記構成であれば振動腕の先端近傍の角部または稜部を含む領域に緩衝部が配されているため、振動腕の先端部分をより確実に保護することができる。
上記目的を達成するために請求項3に記載の発明によれば、基部と、当該基部の一端側から突出した一対の振動腕とを備えた音叉型水晶振動片であって、前記振動腕の少なくとも一主面には、振動腕の先端側に周波数調整に寄与しない腕先保護領域が設けられるとともに、当該腕先保護領域に対して振動腕の根元側に周波数調整領域が設けられ、前記周波数調整領域は、質量削減によって周波数が調整される周波数調整用の金属膜からなり、前記腕先保護領域は、前記振動腕の先端近傍の幅方向中央部分の主面の水晶素地が露出した露出部と、振動腕の先端近傍の、外側の角部または稜部を含む領域と、内側の角部または稜部を含む領域のいずれか一方または両方に、前記露出部よりも高く形成され、金属膜または導電部材からなる断面視凸状の緩衝部とで構成された音叉型水晶振動片となっている。
上記発明によれば、前記腕先保護領域は、振動腕の先端近傍の幅方向中央部分の主面の水晶素地が露出した露出部と、振動腕の先端近傍の、外側の角部または稜部を含む領域と、内側の角部または稜部を含む領域のいずれか一方または両方に、前記露出部よりも高く形成され、金属膜または導電部材からなる断面視凸状の緩衝部とで構成されている。このような領域に緩衝部が配されることにより、製造ばらつきによって音叉型水晶振動片が容器内に傾いて搭載された場合であっても、振動腕の先端近傍の外側の角部または稜部を含む領域と、内側の角部または稜部を含む領域のいずれか一方または両方を保護することができる。
音叉型水晶振動子の容器内に傾いて搭載された音叉型水晶振動片が外部衝撃を受けた場合、振動腕の先端部分の主面よりも先に振動腕の先端近傍の外側の角部または稜部を含む領域や、振動腕の先端近傍の内側の角部または稜部を含む領域が容器や蓋と接触することがあるが、上記構成であれば振動腕の先端近傍の外側の角部または稜部を含む領域と、内側の角部または稜部を含む領域のいずれか一方または両方を含む領域に緩衝部が配されているため、振動腕の先端部分をより確実に保護することができる。
上記発明において、一対の振動腕の各々の先端近傍の,外側の角部または稜部を含む領域と、内側の角部または稜部を含む領域の両方に前記緩衝部を配する場合、振動腕の幅方向にバランス良く緩衝部が配置されることになる。
また上記発明において、一対の振動腕の各々の先端近傍の外側の角部または稜部を含む領域にのみ前記緩衝部を配する場合、緩衝部の高さ(厚み)を高く(厚く)することによって、外部衝撃等によって振動腕の先端側が撓んだときでも振動腕の先端近傍の内側の角部または稜部と、容器または蓋との接触を回避することができる。
さらに一対の振動腕の各々の先端近傍の外側の角部または稜部を含む領域にのみ前記緩衝部を配する場合、振動腕の先端近傍の内側の角部または稜部へは緩衝部が配されないため、前記露出部に金属膜が形成されていないことに加え、金属膜の付加による周波数の低下量をさらに減少させることになる(金属膜付加後の周波数がさらに高くなる)。これにより、振動腕に形成された電極上に付加される腕先保護領域の金属膜の質量は、振動腕の先端近傍の外側と内側の両角部または両方の稜部に緩衝部を配する構成に比べて、周波数調整用の金属膜付加後の周波数ばらつきをさらに抑制することができる。
金属膜付加後の周波数がさらに高くなる結果、周波数調整後の周波数規格までの周波数の差(調整量)もさらに縮小するため、想定した周波数調整量と実際の周波数調整量との差の拡大防止効果をさらに高めることができる。これにより、より安定した周波数調整を行うことができる。
また上記目的を達成するために請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3に記載の発明において前記周波数調整領域の前記振動腕の先端側に、単位面積あたりの質量が他の領域よりも小さい少調整領域が形成された音叉型水晶振動片となっている。これは例えば少調整領域の平面視形状を略櫛状、すなわち所定間隔で断続的に切り欠かれ、「櫛」の“歯”に相当する部分が振動腕の伸長方向と略平行で、かつ振動腕の先端方向に突出した形状とすることによって、周波数調整領域の先端側に他の調整領域よりも単位面積あたりの質量が小さい少調整領域を形成することができる。そして「櫛」の“歯”の本数あるいは間隔を増減させることによって少調整領域の金属膜の削減量、つまり周波数上昇量をコントロールすることができる。
前述のように少調整領域の金属膜の質量を削減したときの周波数の上昇量は、振動腕の先端から振動腕の根元方向に離間するにつれて減少する。本特性と少調整領域の金属膜の質量を考慮し、少調整領域の形状をコントロールすることによって、1回のレーザー光の走査による周波数の上昇量を一定に近づけることができる。例えばレーザー光を振動腕の幅方向に横断するように走査させることによって少調整領域の金属膜の質量を削減する場合、1回のレーザー光の走査による周波数の上昇量を一定に近づけることができる。これによって、より安定した周波数調整を行うことができる。
前記少調整領域は同一幅または同一長で除去された形状に限定されるものではなく、異なる幅または長さで部分的に除去された形状であってもよい。また前記少調整領域の全体の質量を削減するようにトリミングするだけでなく、少調整領域の一部だけの質量を削減するようにトリミングすることによって周波数調整を行ってもよい。なお、少調整領域の平面視形状は略櫛状のものに限定されるものではなく、振動腕の先端に近づくにつれて連続的に幅狭となるテーパー形状や、振動腕の先端に近づくにつれて断続的に幅狭となる多段形状であってもよい。
前記周波数調整領域は腕先保護領域と一体的または分離した状態で形成されていてもよい。例えば周波数調整領域が腕先保護領域と分離した状態の場合、腕先保護領域は金属膜に代えて金属バンプのような導電部材を用いることも可能である。
また、上記目的を達成するために請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の音叉型水晶振動片を容器の内部に収容し、当該容器に蓋を接合することによって音叉型水晶振動片を気密に封止した音叉型水晶振動子であって、前記周波数調整領域の金属膜の質量が削減されることによって周波数調整が行われた音叉型水晶振動子となっている。上記発明によれば、前述した音叉型水晶振動片の各構成における効果と同様の効果を奏する。
また、上記目的を達成するために請求項6に記載の発明は、基部と、当該基部の一端側から突出した一対の振動腕とを備えた音叉型水晶振動片を、容器の内部に収容し、当該容器に蓋を接合することによって音叉型水晶振動片を気密に封止した音叉型水晶振動子の製造方法であって、前記基部および前記一対の振動腕の主面および側面に電極を形成する電極形成工程と、前記振動腕の少なくとも一主面において、振動腕の先端側に前記一主面の水晶素地が露出した露出部と、当該露出部よりも高く形成され、金属からなる断面視凸状の緩衝部とで構成される腕先保護領域を設ける保護領域形成工程と、前記腕先保護領域に対して振動腕の根元側に、ビームによる質量削減によって周波数が調整される周波数調整用の金属膜からなる周波数調整領域を設ける調整領域形成工程と、ビームを前記振動腕の幅方向に横断するように走査させるとともに、ビームを前記周波数調整領域の振動腕の先端側から根元側に向かって移動させながら走査して、前記周波数調整用の金属膜の質量を削減して周波数調整を行う周波数調整工程と、を有する音叉型水晶振動子の製造方法となっている。
上記製造方法によれば、保護領域形成工程において、周波数調整に寄与しない金属からなる断面視凸状の緩衝部が振動腕の先端側に設けられている。このため、上記製造方法によって製造された音叉型水晶振動片が容器内に基部側で片持ち支持された音叉型水晶振動子が、外部衝撃を受けて振動腕の先端側が容器や蓋と接触したとしても前記緩衝部が緩衝材として機能し、音叉型水晶振動片の欠損を防止することができる。
さらに上記発明によれば、想定した周波数調整量と実際の周波数調整量との差の拡大を防止して、安定した周波数調整を行うことができる。
以上のように本発明によれば、外部衝撃による音叉型水晶振動片の欠損を防止しつつ、安定した周波数調整を行うことができる音叉型水晶振動片と当該音叉型水晶振動片を用いた音叉型水晶振動子および当該音叉型水晶振動子の製造方法を提供することができる。
本発明の第1の実施形態を示す音叉型水晶振動子の断面模式図 本発明の第1の実施形態を示す音叉型水晶振動片の平面図 図2のA部拡大図 図3のB−B線における断面拡大図 本発明の第1の実施形態を示す音叉型水晶振動片の部分拡大図 本発明の第2の実施形態を示す音叉型水晶振動片の部分拡大図 本発明の第2の実施形態を示す音叉型水晶振動片の部分拡大図 本発明の第2の実施形態の変形例を示す音叉型水晶振動片の部分拡大図 本発明の第3の実施形態を示す音叉型水晶振動片の部分拡大図 本発明の第4の実施形態を示す音叉型水晶振動片の部分拡大図 本発明の第4の実施形態の変形例を示す音叉型水晶振動片の部分拡大図 従来の音叉型水晶振動片の平面図 図12のC−C線における断面拡大図 従来の周波数調整前の音叉型水晶振動片の部分拡大図 従来の周波数調整後の音叉型水晶振動片の部分拡大図
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面を参照しながら説明する。本実施形態における音叉型水晶振動子の断面模式図を図1に示す。音叉型水晶振動子1は、容器2の段部8上面に形成された金属膜からなる搭載パッド7の上に、音叉型水晶振動片4が接合部材6を介して接合されている。そして、蓋3がロウ材5を介して容器2に接合されることにより、音叉型水晶振動片4が容器2の内部に気密に封止された構造となっている。音叉型水晶振動子1は略直方体状であり、平面視の外形寸法は2.0mm×1.2mmとなっている。なお図1では容器底面に形成される外部接続端子や容器の内部配線や音叉型水晶振動片の表裏側面に形成される各種電極の記載を省略している。
図1において容器2はセラミック材料からなる平面視略矩形状の箱状体であり、蓋3は金属からなる平面視略矩形状の平板となっている。ロウ材5にはAuSn合金が使用されており、蓋3と容器2との接合は雰囲気加熱によるロウ材の溶融(金属溶融)によってなされる。なお蓋3と容器2との接合方法は金属ロウ材の溶融に限定されるものではなく、その他の接合方法も適用可能である。例えばレーザー光や電子ビームなどのビームを用いた局所加熱溶融による封止方法等も適用可能である。また本発明の実施形態において、音叉型水晶振動子の構成部材の材料として蓋3に金属が、容器2にセラミックがそれぞれ用いられているが、本発明の適用は前記組合せに限定されるものではなく、その他の材料を蓋または容器に使用してもよい。一例としてガラスや水晶を蓋あるいは容器の材料として使用することも可能である。
本実施形態では接合部材7にAuからなるメッキバンプが使用されており、FCB(Flip Chip Bonding)法によって音叉型水晶振動片4と搭載パッド7とが接合されている。なお接合部材7としてメッキバンプの他に、スタッドバンプや導電性樹脂接合材あるいは合金を用いることも可能である。
次に本発明の音叉型水晶振動片について図2を用いて説明する。なお図2においては後述する基部および振動腕に形成された電極パターンや金属膜の記載は省略している。音叉型水晶振動片1は、基部40と、基部40の一端側から突出した一対の振動腕41,41と、基部の一部であり,基部の他端側に近接する側面から突出した突出部400とからなっている。さらに一対の振動腕41,41は直線状に伸長する直線部410と、直線部410よりも幅広に形成された幅広部420と、直線部410と幅広部420との間のテーパー状の拡幅部Tとで構成されている。前記一対の振動腕41,41は対向する一組の主面と対向する一組の側面とをそれぞれ有している。なお本発明の適用は本実施形態における音叉型水晶振動片の形状に限定されるものではない。例えば直線部は振動腕の先端に近づくにつれてテーパー状に縮幅する形状や、直線部の途中に曲線部分が形成された形状等にも適用可能である。また、先端部分まで一定幅の振動腕を備えた音叉型水晶振動片にも本発明は適用可能である。さらに本実施形態では図2に示すように突出部400は振動腕と略直交する方向にのみ突出した形状となっているが、突出部の形状は本形状に限定されるものではない。例えば基部から一方向に突出した後、先端が振動腕の伸長方向と略平行となるように屈曲した平面視形状(アルファベットの「L」字状)の突出部であっても本発明は適用可能である。また前述した構成に加え、基部と接続し、基部と一対の振動腕を包囲する枠体が一体で成形された水晶振動片にも本発明は適用可能である。
図2において音叉型水晶振動片4の基部40および振動腕41の表裏側面には所定形状の電極パターン(図示省略)がフォトリソグラフィ技術によって形成されている。幅広部420および拡幅部Tには全周に腕先電極M(図示省略)が形成されている。本実施形態では腕先電極MにはAuが使用されており、下地層としてCrが使用されている。この腕先電極Mと前記電極パターンとは同一の膜構成となっており、真空蒸着法によって同時に形成されている。腕先電極Mおよび電極パターンを形成する工程は本発明の実施形態において電極形成工程と呼ばれる工程となっている。なお、前述した下地層および腕先電極MはそれぞれCrおよびAuに限定されるものではなく、これら以外の金属を使用してもよい。また腕先電極Mおよび電極パターンは真空蒸着法以外にスパッタリングによって成膜してもよい。
図2において幅広部420および拡幅部Tの全周に形成された腕先電極M(図示省略)のうち、対向する二つの主面上にはAuからなる腕先金属膜43が電解メッキ法によって形成されている。腕先金属膜43は図3に示すように腕先保護領域43aと周波数調整領域43bの2つの領域で構成されている。腕先保護領域43aはさらに緩衝部431aと露出部432aとからなっている。露出部432aは振動腕の先端近傍の幅方向中央部分の主面の水晶素地が露出した領域となっている。一方、緩衝部431aは振動腕41の先端の外側の角部(図3において符号Coで示す)と、内側の角部(図3において符号Ciで示す)に近接する振動腕の先端領域に、露出部432aよりも高く(厚く)形成されている。腕先保護領域43aを形成する工程は本発明の実施形態において保護領域形成工程と呼ばれる工程となっている。
図3において周波数調整領域43bは、腕先保護領域43aに対して振動腕の根元側に隣接するように腕先保護領域43aと一体で電解メッキ法によって形成されている。なお前記腕先金属膜43の材料はAuに限定されるものではなく、これら以外の金属も使用可能である。また腕先金属膜43は電解メッキ法以外に無電解メッキ法も使用可能である。なお、周波数調整領域用の金属膜からなる周波数調整領域43bを、幅広部420および拡幅部Tの全周に形成された腕先電極Mの上に形成する工程は本発明の実施形態において調整領域形成工程と呼ばれる工程となっている。
図4に示すように緩衝部431aは、振動腕の一方の主面の腕先電極Mの上に一対で形成されており、前記一方の主面に対向する他方の主面の腕先電極M上にも一対で形成されている。そしてこれら両主面に形成された緩衝部431aは、いずれも振動腕の両角部(CoとCi)に近接する位置に形成されている。なお、一つの主面に形成された一対の緩衝部431a,431aの間の領域には腕先電極Mは形成されておらず、水晶素地が露出した状態となっている(露出部432a)。さらに一対の緩衝部431a,431aの間の領域だけでなく、緩衝部431の先端から振動腕の先端縁部までの領域も水晶素地が露出した状態となっている(図3参照)。
周波数調整領域43bは、腕先保護領域43aに対して振動腕の根元側に隣接し、金属膜の質量が削減されることによって周波数調整が行われる領域である。本実施形態において周波数調整領域43bの金属膜は、幅広部420および拡幅部Tの主面全体には形成されておらず、幅広部420および拡幅部Tの外側と内側の各稜部を覆わないよう、稜部から内側に僅かに離間して形成されている。そして幅広部420および拡幅部Tの側面には周波数調整領域の金属膜は形成されていない。なお周波数調整領域の金属膜は少なくとも振動腕41の一組の対向する主面の両方あるいはいずれか一方の主面に形成されていればよく、前記主面のみならず振動腕の一組の対向する側面にも形成されていてもよい。
従来の周波数調整用の金属膜の場合、振動腕の先端部分に周状に形成されることがある。このような形態の金属膜に対して、例えばレーザー光を振動腕の幅方向に照射すると、レーザー光の焦点深度の関係から振動腕の側面部分の金属膜が完全に除去されず、部分的に剥がれたような不安定な状態で残存してしまうことがある。このような状態で残存した金属膜は後に剥離して脱落するおそれがあり、各種不具合の原因となる。これに対して本実施形態における周波数調整領域43bの金属膜は振動腕41の側面には形成されていないため、レーザー光の焦点深度の関係から完全に除去されない金属膜の発生を防止することができる。これにより残存金属膜の剥離に起因する各種不具合を防止することができる。なお、振動腕の主面だけでなく振動腕の側面にも周波数調整用の金属膜を形成する場合は、側面にはレーザー光を照射せず、主面上の調整用の金属膜のうち振動腕の稜部から内側に僅かに離間した領域にのみレーザー光を照射することによって上記残存金属膜の発生を防止することができる。
本実施形態において音叉型水晶振動子の周波数調整は、レーザー光(本実施形態ではグリーンレーザーを使用)を振動腕41の幅方向に横断するように走査させるとともに、レーザー光を周波数調整領域43bの振動腕の先端側から根元側に向かって移動させながら走査して、周波数調整領域43bの金属膜の質量を削減することによって行われる(本発明における周波数調整工程)。すなわち、図3において引出線で領域を表示した腕先保護領域43aと周波数調整領域43bとの境界付近をレーザー光の走査の開始位置とし、振動腕の根元側に向かって順次移動させながら走査を行う(本発明における調整工程)。なおグリーンレーザー以外の波長のレーザーを使用することも可能である。例えばYAGレーザーや炭酸ガスレーザーも使用可能である。
このようにして周波数調整された後の水晶振動片を図5に示す。図5では周波数調整領域43bのうち、先端側の一部がレーザー光によって除去され、水晶素地が露出した状態となっている。そして周波数調整に寄与しない腕先保護領域43aは、周波数調整後においても周波数調整前の腕先保護領域を維持したまま残存している。
上記発明によれば、腕先保護領域43aは、振動腕41の先端近傍の幅方向中央部分の主面の水晶素地が露出した露出部432aと、振動腕41の先端近傍の、外側の角部Coまたは稜部を含む領域と、内側の角部Ciまたは稜部を含む領域の両方に、露出部432aよりも高く形成され、金属膜からなる断面視凸状の緩衝部431a,431aとで構成されている。このような領域に緩衝部が配されることにより、製造ばらつきによって音叉型水晶振動片4が容器内に傾いて搭載された場合であっても、振動腕41の先端近傍の外側の角部Coまたは稜部を含む領域と、内側の角部Ciまたは稜部を含む領域の両方を保護することができる。なお腕先保護領域43aの金属材料としてAu等の軟質金属を用いることが衝撃吸収の点から好ましい。
音叉型水晶振動子の容器内に傾いて搭載された音叉型水晶振動片が外部衝撃を受けた場合、振動腕の先端部分の主面よりも先に振動腕の先端近傍の外側の角部または稜部を含む領域や、振動腕の先端近傍の内側の角部または稜部を含む領域が容器や蓋と接触することがあるが、上記構成であれば振動腕41の先端近傍の外側の角部Coまたは稜部を含む領域と、内側の角部Ciまたは稜部を含む領域の両方を含む領域に緩衝部432a,432aが配されているため、振動腕の先端部分をより確実に保護することができる。また、本発明の実施形態では一対の振動腕41,41の各々の先端近傍の,外側の角部Coまたは稜部を含む領域と、内側の角部Ciまたは稜部を含む領域の両方に緩衝部432a,432aが配されているため、振動腕41の幅方向にバランス良く緩衝部が配置されることになる。
さらに上記発明によれば、想定した周波数調整量と実際の周波数調整量との差の拡大を防止して、安定した周波数調整を行うことができる。これをレーザー光などのビームを用いて周波数調整を行った場合について説明する。まず一般的な音叉型水晶振動片の周波数調整工程の概要について説明した上で、本発明の上記効果を説明する。
音叉型水晶振動片は、通常、製造工程において多数個の音叉型水晶振動片が格子状に整列した集合基板状態で取り扱われる。音叉型水晶振動片の外形が成形された後、音叉型水晶振動片の周波数調整工程の前に、まず音叉型水晶振動片の基部および一対の振動腕に所定形状の電極が成膜される。このとき成膜ばらつきによって電極形成後の集合基板内の音叉型水晶振動片の周波数にばらつきが発生する。次に、振動腕の先端側の電極上に周波数調整用の金属膜が電解メッキ法等の成膜手段によって形成される。前記周波数調整用の金属膜は平面視では略矩形状が一般的である。このとき音叉型水晶振動片の発振周波数は周波数調整用の金属膜が振動腕の電極上に付加されることによって低下するとともに、周波数調整用の金属膜付加後の周波数ばらつきは、前記電極形成後の周波数ばらつきよりも拡大することになる。
そして次に、周波数調整工程では周波数調整用の金属膜に対してビームを照射し、前記金属膜の質量を削減することによって周波数を上昇させる。周波数調整工程では周波数調整用の金属膜付加後の周波数よりも高い周波数範囲に設定された周波数規格に到達するまで、ビームを振動腕の先端側から根元方向に順次移動させながら照射して周波数調整が行われる。以上がビームを用いた一般的な周波数調整方法の概要である。
これに対し、本発明の音叉型水晶振動片は振動腕の少なくとも一主面に、水晶素地が露出した露出部と、当該露出部よりも高く形成され、金属からなる断面視凸状の緩衝部とからなる腕先保護領域と周波数調整領域とが設けられている。これら2つの領域は前述した一対の振動腕に最初に形成された電極上に付加されている。つまり、振動腕の先端部分に付加される金属膜の質量は、前記露出部に金属膜が形成されていない分だけ小さくなり、金属膜の付加による周波数の低下量は減少することになる(金属膜付加後の周波数は高くなる)。したがって振動腕に形成された電極上に付加される腕先保護領域の金属膜の質量が減少する分だけ、周波数調整用の金属膜付加後の周波数ばらつきは、前述した一般的な構成の周波数調整用の金属膜付加後の周波数ばらつきよりも抑制される。
そして前記金属膜の付加による周波数の低下量が減少した結果、周波数調整後の周波数規格までの周波数の差(調整量)が従来よりも縮小する。そして調整量が縮小することによって周波数調整に要する時間も短縮されて調整ばらつきが抑制されるため、想定した周波数調整量と実際の周波数調整量との差の拡大を防止することができる。これにより、安定した周波数調整を行うことができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を図6に示す。本発明の第2の実施形態において第1の実施形態と同様の構成については同番号を付して説明の一部を割愛するとともに、第1の実施形態と同一の作用効果を有する。以下、本発明の第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
図6に示すように本発明の第2の実施形態において、腕先金属膜44は腕先保護領域44aと周波数調整領域44bの2つの領域で構成されており、腕先保護領域44aはさらに露出部442aと緩衝部441aからなっている。緩衝部441aは平面視で振動腕の先端部分である幅広部420の外側の角部Coおよび内側の角部Ciを含む領域に分離して設けられている(本発明における保護領域形成工程)。本実施形態において緩衝部441aはAuからなり、電解メッキ法によって形成されている。なお緩衝部441aは幅広部420の主面上の外側の角部Coおよび内側の角部Ciだけでなく、これらの角部を含む幅広部の稜部に及んで形成されていてもよい。腕先保護領域の金属膜が前記稜部に及んで形成されている場合、製造ばらつきによって音叉型水晶振動片が容器内に傾いて搭載された場合であっても、振動腕の先端の角部に加え当該角部に近接する振動腕の先端付近の稜部も保護することができる。
周波数調整領域44bは、腕先保護領域44aに対して振動腕の根元側に隣接するとともに、腕先保護領域44aとの間に一定の間隔を隔てて設けられている。前記一定の間隔に相当する領域には腕先保護領域44aと周波数調整領域44bとを電気的に接続する接続用金属膜44cが形成されている。本実施形態において電解メッキ法によって腕先金属膜44を形成するための下地層である腕先電極M(図示省略)のうち、幅広部420の外側面と内側面については、周波数調整領域44bの先端側の端部に相当する位置から振動腕の先端までの領域には腕先電極Mは形成されていない。そして幅広部420の対向する二つの主面上に、腕先保護領域44aおよび接続用金属膜44cの形状に対応した腕先電極M(図示省略)がフォトリソグラフィ技術によって成形されている。つまり腕先保護領域44aの下層の腕先電極Mまでの導通は、幅広部420の側面を経由せず、幅広部420の主面上の接続用電極44cを経由して行っている。
本発明の実施形態において音叉型水晶振動片の周波数調整は、レーザー光を振動腕41の幅方向に横断するように走査させるとともに、レーザー光を周波数調整領域44bの先端側、すなわち接続用金属膜44cと周波数調整領域44bの境界付近から振動腕の根元側に向かって移動させながら走査させることによって行われる。このようにしてレーザー光によって周波数調整領域44bの一部の金属膜が除去された後の状態を図7に示す(本発明における調整工程)。
本発明の第2の実施形態では、腕先保護領域44aは接続用金属膜44cによって周波数調整領域44bと電気的に接続されていたが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば図8に示すように、接続用金属膜を幅広部420の主面上に形成せず、幅広部の外側面と内側面の腕先電極Mを幅広部の先端部分(振動腕の先端部)まで及ぶように形成し、外側面および内側面の腕先電極Mを介して幅広部の主面上の外側角部および内側角部を含む領域まで電気的に接続されるようにしてもよい。
上記発明によれば、周波数調整に寄与しない金属からなる断面視凸状の緩衝部441aが振動腕の先端側に設けられている。このため、本実施形態の音叉型水晶振動片が容器内に基部側で片持ち支持された音叉型水晶振動子が、外部衝撃を受けて振動腕の先端側が容器や蓋と接触したとしても緩衝部441aが緩衝材として機能し、音叉型水晶振動片4の欠損を防止することができる。
さらに上記発明によれば、想定した周波数調整量と実際の周波数調整量との差の拡大を防止して、安定した周波数調整を行うことができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態においても第1の実施形態と同様の構成については同番号を付して説明の一部を割愛するとともに、第1の実施形態と同一の作用効果を有する。以下、本発明の第1および第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
図9に示すように本発明の第3の実施形態では、腕先保護領域46aは露出部462aと緩衝部461aとで構成されている。なお、図9において幅広部420および拡幅部Tに形成される下地層である腕先電極の記載は省略している。緩衝部461aは導電部材からなり、平面視で振動腕の先端の外側および内側の各角部(Co,Ci)に近接する領域に各々分離して設けられている。
本実施形態では緩衝部461aはAuからなるメッキバンプとなっている。なお前記導電部材はAuからなるメッキバンプに限定されるものではなく、Au以外の金属を用いたメッキバンプであってもよい。また前記導電部材はメッキバンプだけでなく、スタッドバンプや導電性樹脂接着材も使用可能である。衝撃吸収効果の点からは導電部材はAuのような延性・展性に富んだ軟質の金属を用いることが望ましい。
なお、導電部材からなる緩衝部は、一対の振動腕の先端側の主面中央部分に各々1つづつ設けてもよい。
上記構成であっても、緩衝部461aを金属膜で形成したときと同様の効果を得ることができる。つまり、緩衝部がAuからなるメッキバンプで構成されていることによって、音叉型水晶振動子が外部衝撃を受けて、振動腕の先端側が容器や蓋と接触したとしても前記メッキバンプが潰れることによって衝撃を緩和することができる。これにより音叉型水晶振動片の欠損を防止することができる。なお前記バンプの平面視形状は図9においては円形となっているが、円以外の形状、例えば楕円状であってもよい。また前記メッキバンプは単層で形成されているが、積層構成のメッキバンプであってもよい。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態を図10を用いて説明する。なお第1の実施形態と同様の構成については同番号を付して説明の一部を割愛するとともに、第1の実施形態と同一の作用効果を有する。
図10において腕先金属膜47は腕先保護領域47aと周波数調整領域47で構成されており、腕先保護領域47aはさらに露出部472aと緩衝部471aからなっている。本実施形態において緩衝部471aは本発明の第2の実施形態の変形例と同様の位置および構成で形成されている。
図10において周波数調整領域47bは2つの周波数調整のための領域を有している。すなわち周波数調整領域の先端側に単位面積あたりの質量が他の領域よりも小さい少調整領域471bを有しており、少調整領域471bよりも振動腕の根元側に他の調整領域472bを有している。なお図10乃至11において幅広部420および拡幅部Tに形成される下地層である腕先電極の記載は省略している。
少調整領域471bは図10に示すように平面視の形状が略櫛状となっている。つまり所定間隔で断続的に切り欠かれ、「櫛」の“歯”に相当する部分が振動腕の伸長方向と略平行で、かつ振動腕の先端方向に突出した形状とすることによって、振動腕の先端側に他の調整領域よりも単位面積あたりの質量が小さくなっている。そして「櫛」の“歯”の本数あるいは間隔を増減させることによって周波数調整領域の金属膜の削減量、つまり周波数上昇量をコントロールすることができる。
前述したように周波数調整領域の金属膜の質量を削減したときの周波数の上昇量は、振動腕の先端から振動腕の根元方向に離間するにつれて減少する。本特性と少調整領域の金属膜の質量を考慮し、少調整領域の形状をコントロールすることによって、1回のレーザー光の走査による周波数の上昇量を一定に近づけることができる。例えばレーザー光を振動腕の幅方向に横断するように走査させることによって少調整領域の金属膜の質量を削減する場合、1回のレーザー光の走査による周波数の上昇量を一定に近づけることができる。これによって、より安定した周波数調整を行うことができる。
少調整領域471bは同一幅または同一長で除去された形状に限定されるものではなく、異なる幅または長さで部分的に除去された形状であってもよい。また少調整領域の全体の質量を削減するようにトリミングするだけでなく、少調整領域の一部だけの質量を削減するようにトリミングすることによって周波数調整を行ってもよい。なお、少調整領域の平面視形状は略櫛状のものに限定されるものではなく、例えば図11に示すような振動腕の先端に近づくにつれて連続的に幅狭となるテーパー形状であってもよい。また、振動腕の先端に近づくにつれて断続的に幅狭となる多段形状であってもよい。
さらに、前述のように少調整領域の平面視の形状を可変させることによって、少調整領域内の任意の位置から振動腕の幅方向に横断するようにレーザー光を走査させても周波数の上昇量が略一定となるようにしておき、他の調整領域では振動腕の根元に近づくにつれて1回のレーザー光の走査による周波数の上昇量が漸次減少するように設定してもよい。つまり、周波数調整領域47bを、1回のレーザー光の走査による周波数の上昇量が略一定の領域(少調整領域)と、1回のレーザー光の走査による周波数の上昇量が変化する領域(他の調整領域)の2つの領域としてもよい。このような構成とすることによって、より効率的で安定した周波数調整を行うことができる。
本発明の実施形態において、緩衝部は平面視で振動腕の先端部分である幅広部の外側の角部および内側の角部の両方を含む領域に分離して設けられているが、本構成に限定されるものではなく、いずれか一方の角部を含む領域のみに形成されていてもよい。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
音叉型水晶振動子の量産に適用できる。
1 音叉型水晶振動子
2 容器
3 蓋
4 音叉型水晶振動片
40 基部
41 振動腕
43 腕先金属膜
43a、44a、45a、46a、47a、48a 腕先保護領域
43b、44b、45b、46b、47b、48b 周波数調整領域
431a、441a、451a、461a、471a、481a 緩衝部
432a、442a、452a、462a、472a、482a 露出部
44c 接続用電極
471b、481b 少調整領域
472b、482b 他の調整領域
M 腕先電極

Claims (6)

  1. 基部と、当該基部の一端側から突出した一対の振動腕とを備えた音叉型水晶振動片であって、
    前記振動腕の少なくとも一主面には、振動腕の先端側に周波数調整に寄与しない腕先保護領域が設けられるとともに、当該腕先保護領域に対して振動腕の根元側に周波数調整領域が設けられ、
    前記周波数調整領域は、質量削減によって周波数が調整される周波数調整用の金属膜からなり、
    前記腕先保護領域は、
    前記一主面の水晶素地が露出した露出部と、
    当該露出部よりも高く形成され、金属からなる断面視凸状の緩衝部とで構成されていることを特徴とする音叉型水晶振動片。
  2. 前記緩衝部が、平面視で振動腕の先端近傍の角部または稜部を含む領域に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の音叉型水晶振動片。
  3. 基部と、当該基部の一端側から突出した一対の振動腕とを備えた音叉型水晶振動片であって、
    前記振動腕の少なくとも一主面には、振動腕の先端側に周波数調整に寄与しない腕先保護領域が設けられるとともに、当該腕先保護領域に対して振動腕の根元側に周波数調整領域が設けられ、
    前記周波数調整領域は、質量削減によって周波数が調整される周波数調整用の金属膜からなり、
    前記腕先保護領域は、
    前記振動腕の先端近傍の幅方向中央部分の主面の水晶素地が露出した露出部と、
    振動腕の先端近傍の、外側の角部または稜部を含む領域と、内側の角部または稜部を含む領域のいずれか一方または両方に、前記露出部よりも高く形成され、金属膜または導電部材からなる断面視凸状の緩衝部とで構成されていることを特徴とする音叉型水晶振動片。
  4. 前記周波数調整領域の振動腕の先端側に、単位面積あたりの質量が他の領域よりも小さい少調整領域が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3に記載の音叉型水晶振動片。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一つに記載の音叉型水晶振動片を容器の内部に収容し、当該容器に蓋を接合することによって音叉型水晶振動片を気密に封止した音叉型水晶振動子であって、前記周波数調整領域の金属膜の質量削減によって周波数調整が行われたことを特徴とする音叉型水晶振動子。
  6. 基部と、当該基部の一端側から突出した一対の振動腕とを備えた音叉型水晶振動片を、容器の内部に収容し、当該容器に蓋を接合することによって音叉型水晶振動片を気密に封止した音叉型水晶振動子の製造方法であって、
    前記基部および前記一対の振動腕の主面および側面に電極を形成する電極形成工程と、
    前記振動腕の少なくとも一主面において、
    振動腕の先端側に前記一主面の水晶素地が露出した露出部と、当該露出部よりも高く形成され、金属からなる断面視凸状の緩衝部とで構成される腕先保護領域を設ける保護領域形成工程と、
    前記腕先保護領域に対して振動腕の根元側に、ビームによる質量削減によって周波数が調整される周波数調整用の金属膜からなる周波数調整領域を設ける調整領域形成工程と、
    ビームを前記振動腕の幅方向に横断するように走査させるとともに、ビームを前記周波数調整領域の振動腕の先端側から根元側に向かって移動させながら走査して、前記周波数調整用の金属膜の質量を削減して周波数調整を行う周波数調整工程と、
    を有する音叉型水晶振動子の製造方法。
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