JP2013181218A - 傾斜機能材料の製造法 - Google Patents
傾斜機能材料の製造法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013181218A JP2013181218A JP2012046112A JP2012046112A JP2013181218A JP 2013181218 A JP2013181218 A JP 2013181218A JP 2012046112 A JP2012046112 A JP 2012046112A JP 2012046112 A JP2012046112 A JP 2012046112A JP 2013181218 A JP2013181218 A JP 2013181218A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- particles
- composition
- particle size
- mixed powder
- sedimentation
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Powder Metallurgy (AREA)
Abstract
【課題】重力下あるいは遠心力下での沈降現象とその後の焼結法とを併用することにより、組成が連続的におよび/又は幅広い組成傾斜を有する傾斜機能材料の製造方法を提供する。
【解決手段】密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子および密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子を混合してこれらの混合粉末を作製し、粉砕した溶融可能な固体を底部に配した入れ物の上部に該混合粉末を投入し、加熱することにより固体の溶融を生じせしめて溶媒帯を形成させ,重力下あるいは遠心力下で該溶媒帯中において該混合粉末の沈降を生じせしめる。その後に十分に液体を除去することにより組成が連続的に傾斜したグリン体を製造し、当該組成傾斜を有するグリン体を焼結することにより傾斜機能材料を製造する。
【選択図】図5
【解決手段】密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子および密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子を混合してこれらの混合粉末を作製し、粉砕した溶融可能な固体を底部に配した入れ物の上部に該混合粉末を投入し、加熱することにより固体の溶融を生じせしめて溶媒帯を形成させ,重力下あるいは遠心力下で該溶媒帯中において該混合粉末の沈降を生じせしめる。その後に十分に液体を除去することにより組成が連続的に傾斜したグリン体を製造し、当該組成傾斜を有するグリン体を焼結することにより傾斜機能材料を製造する。
【選択図】図5
Description
本発明は、重力下あるいは遠心力下での沈降現象とその後の焼結法とを併用することにより、組成が連続的におよび/又は幅広い組成傾斜を有する傾斜機能材料の製造方法に関するものである。
傾斜機能材料とは、組成や組織が異なる複数の素材が材料中に傾斜分散することにより、位置によって材料の有する機能が変化する材料のことである。傾斜機能材料の製造技術は、素材と製造する製品の大きさの組み合わせにより多種多岐にわたる。
一例として粉末冶金を応用した手法があり、非特許文献1に示されているその具体的な製造例を図1に示す。図1(a)に示す金属粒子1とセラミックス粒子2とをラボミル等により所定の割合で混合する。次に、図1(b)に示すようにその混合粉末をあらかじめ定められた組成分布に従って組成を変えながら積層充填する。それを図1(c)に示す放電プラズマ焼結装置3等により焼結し、組成傾斜を有する傾斜機能材料の製造を行う。ここで、放電プラズマ焼結とはSPS法とも呼ばれ、カーボン製のダイとパンチの間に粉体を配置し、加圧しながら直流パルス電流を流し、粉体を焼結させる方法である。直流パルス電流によって生じる高温プラズマの局所的な高温度と放電衝撃力を利用し焼結を行う。しかし、この手法では原理的に組成傾斜が段階的になり、連続的に組成が傾斜した材料の製造は困難である。この欠点を解決した技術として非特許文献2に示されているスラリー法がある。この製造方法では、図2に示す液体8の中の高速沈降粒子6と低速沈降粒子7の沈降速度差を利用して組成傾斜を得るものである。ここで、液体8中における粒子の沈降速度は次のストークスの式によって支配される。
ここで、dx/dt、rp、rm、g、Dp およびh はそれぞれ粒子の沈降速度、粒子の密度、液体の密度、重力加速度、粒子径および見かけの粘性である。この式から分かるように、粒子の沈降速度は液相と粒子の密度差および粒子径の二乗に比例する。したがって、密度および/又は粒子径の大きな粒子は高速沈降粒子、密度および/又は粒子径の小さな粒子は低速沈降粒子となる。この現象は遠心力を印加しても原理的に等しい。この手法により図3に示すように組成が連続的に傾斜した傾斜機能材料の製造が可能である。この図において、横軸は規格化した位置を示し、使用した高速沈降粒子はTi粒子、低速沈降粒子はZrO2粒子である。しかしながら、規格化した位置が1付近においてもTi粒子の体積分率は100%にはならない。これは、沈降開始前においてもでは、図3下部のように高速沈降粒子と低速沈降粒子とが存在するためである。材料内部において組成傾斜が0%から100%である傾斜機能材料の作製を可能にするために発明された製造方法が特許文献1に示されたスラリー投入法であり、図4に示すように高速沈降粒子9と低速沈降粒子10とを含む液体11からなるスラリー12を用い、これを溶融が可能な固体の溶媒帯13の上に注ぎ込み、その後その固体を溶融させた後に遠心力あるいは重力を作用させ、粒子の液体中の移動速度差を利用して傾斜機能材料を製造する。これにより、連続的かつ幅広い組成傾斜形成が可能となっている。
しかしながら上記発明では、液体を含むスラリー12の投入により溶融が可能な固体の溶媒帯13の一部が溶融してしまう。加えて、バルクの固体溶媒帯を利用するため溶融に時間がかかってしまうという欠点を有していた。これらは、沈降開始時間の不均一を生じさせ、結果として位置による組成傾斜の不均一が発生したり、組成傾斜制御に困難を伴ったりしていた。
渡辺義見;第7章複合材料の将来,第2節金属系複合材料,2.2.3傾斜機能法, p.720−721,「新版 複合材料・技術総覧」,産業技術サービスセンター, (2011).
渡辺義見,三浦永理,佐藤 尚;粉体および粉末冶金, 57, 321−326(2010).
本発明は上記点に鑑みて、重力下あるいは遠心力下での沈降現象と焼結法とを併用した傾斜機能材料製造プロセスにおいて、図4におけるスラリー12が溶融可能な固体の溶媒帯13を部分的に溶解してしまうことにより生じる沈降開始時間の不均一性の発生、かつこれに伴う位置による組成傾斜の不均一性の発生、加えて組成傾斜制御が困難である点を解決することにある。さらに、重力下あるいは遠心力下での沈降現象と焼結法とを併用した傾斜機能材料製造プロセスにおいて、図4における溶融可能な固体の溶媒帯13の溶融に時間がかかるために発生する組成傾斜の不均一性の発生と組成傾斜制御の困難性を解決することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1および請求項2に記載の発明では、重力下あるいは遠心力下での沈降現象とその後の焼結法とを併用することにより、組成が連続的におよび/又は幅広い組成傾斜を有する傾斜機能材料を製造する。
請求項1に記載の発明における製造方法では、密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子14および密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子15を混合してこれらの混合粉末16を作製し、粉砕した溶融可能な固体17を底部に配した入れ物の上部に該混合粉末を投入し、加熱することにより固体の溶融を生じせしめて溶媒帯18を形成させ,重力下あるいは遠心力下で該溶媒帯18中において該混合粉末16の沈降を生じせしめる(図5)。その後に十分に液体を除去することにより組成が連続的に傾斜したグリン体を製造し、当該組成傾斜を有するグリン体を焼結することにより傾斜機能材料を製造する。該製造工程(図6)を特徴とする重力下での沈降現象とその後の焼結法と鋳造法とを併用した傾斜機能材料の製造方法、すなわち混合粉末投入法を本発明の技術的手段とする。
請求項2に記載の発明における製造方法では、回転可能な金型19の底部に粉砕した溶融可能な固体20を配し、その内面に密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子および密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子を混合して製造した混合粉末21を配し、加熱することにより該混合粉末の遠心力方向への沈降を生じせしめた後に十分に液体を除去することにより組成が連続的に傾斜したリング又はパイプ形状のグリン体を製造し、当該組成傾斜を有するリング又はパイプ形状のグリン体を焼結することによりリング又はパイプ形状の傾斜機能材料を製造する(図7)。該製造工程(図6)を特徴とする重力下での沈降現象とその後の焼結法と鋳造法とを併用したリング又はパイプ形状の傾斜機能材料の製造方法、すなわち遠心力混合粉末投入法を本発明の技術的手段とする。
請求項3に記載の発明における製造方法では、請求項1および請求項2における密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子としてTi粒子、密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子としてZrO2粒子とし、これらを混合してこれらの混合粉末を作製し、請求項1および請求項2における溶融可能な固体をH2Oとした粉砕氷を底部に配した入れ物に該混合粉末を投入し、重力下あるいは遠心力下で加熱することにより該混合粉末の沈降を生じせしめた後に十分に水分を除去することにより組成が連続的に傾斜したグリン体を製造し、当該組成傾斜を有するグリン体を焼結することにより傾斜機能材料の製造方法を技術的手段とする。
請求項4に記載の発明における製造方法では、請求項1および請求項2における密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子としてZrO2粒子、密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子としてTi粒子とし、これらを混合してこれらの混合粉末を作製し、請求項1および請求項2における溶融可能な固体をH2Oとした粉砕氷を底部に配した入れ物に該混合粉末を投入し、重力下あるいは遠心力下で加熱することにより該混合粉末の沈降を生じせしめた後に十分に水分を除去することにより組成が連続的に傾斜したグリン体を製造し、当該組成傾斜を有するグリン体を焼結することにより傾斜機能材料の製造方法を技術的手段とする。
請求項1および請求項2において記述されている混合粉末は密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子および密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子の2種類の粒子である必要は無く、3種類以上の粒子の組み合わせで形成されていても適用可能である。
また請求項2において記述されている遠心力混合粉末投入法によって製造された傾斜機能材料は、例えば高速沈降粒子を砥粒粒子、低速沈降粒子をセラミックス粒子とすることで、断面円の外周部に砥粒粒子が分散したビトリファイド傾斜機能砥石等として産業への応用が期待できる。
さらに請求項1および請求項2において記述されている混合粉末投入法および遠心力混合粉末投入法によって製造された傾斜機能材料は、例えば混合粉末を生体用金属粒子と生体用セラミックス粒子からなることで、位置によって組成が変化する傾斜機能生体材料として医療分野への応用が期待できる。
さらに請求項1および請求項2において記述されている混合粉末投入法および遠心力混合粉末投入法によって製造された傾斜機能材料は、例えば混合粉末を生体用金属粒子と生体用セラミックス粒子からなることで、位置によって組成が変化する傾斜機能生体材料として医療分野への応用が期待できる。
(第1実施形態)
密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子として図8aに示した密度6.05g/cm3粒子径75−106μmのZrO2粒子を、密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子として図8bに示した密度4.5g/cm3粒子径63−90μmのTi粒子を選択した。そして、ZrO2粒子9.51gおよびTi粒子7.071gからなる混合粉末を製造した。また、溶融可能な固体としてH2Oを選択し、市販のかき氷製造器により粉砕し,粉砕氷78.5×10−6m3を製造した。
これらを図9に示すように、放電プラズマ焼結装置用グラファイトダイ22の下部にグラファイトパンチ23を装着し、グラファイトダイの上部に長さ220mm,内径19mmの中空管24を装着し、上記粉砕氷25を中空管に挿入した。ここで、中空管には水漏れを避けるため、シール26によりに密封がなされている。その後、上記ZrO2粒子とTi粒子とからなる混合粉末27を中空管に投入した。続いて、これらを40℃に設定した乾燥機に入れ、粉砕氷の溶融を開始させた。このとき、溶融して液体となった水中を混合粉末中の高速沈降粒子であるZrO2粒子と低速沈降粒子であるTi粒子が重力によって沈降することによって、連続的かつ幅広い組成傾斜が形成される。沈降が完全に終了した後、水分を十分に蒸発させ、乾燥させ組成傾斜を有するグリン体を得た。
次に、中空管をはずした後、パンチをダイに設置し、グラファイトダイの中の組成傾斜を有するグリン体を、油圧プレスを使用して圧縮し、組成傾斜を有する圧粉体を作製した。得られた組成傾斜を有する圧粉体を放電プラズマ焼結法(SPS法)により焼結した。ここでSPS法とは、カーボン製のダイとパンチの間に粉体を詰め込み、加圧しながら直流パルス電流を流して粉体を焼結させる方法である。直流パルス電流によって生じる高温プラズマの局所的な高温度と放電衝撃力を利用し焼結を行う。本発明では、SPSシンテックス(株)製のSPS−515Sを使用した。
得られた材料の微細組織写真を図10に示す。図10aは規格化した位置が0.2から0.3の位置の、図10bは規格化した位置が0.8から0.9の位置の組織である。ここで、規格化した位置とは試料を組成傾斜形成時の重力方向に規格化した位置のことであり、重力方向最底部を1.0、最上部を0.0とする。図の様に規格化した位置が0.2から0.3の位置においてはTiが多く観察され、規格化した位置が0.8から0.9の位置においてはZrO2が多く観察され、組成傾斜が形成していることがわかる。
図11は、製造したTi−ZrO2傾斜機能材料における組成傾斜をあらわしている。重力方向最底部を1.0、最上部を0.0とした規格化した位置を横軸としている。規格化した位置が0.0においてはTiが100%となっており、規格化した位置が1.0においてはZrO2が100%となっており、その間を連続的に組成が傾斜しており、本発明により、連続的にかつ幅広い組成傾斜を有する傾斜機能材料の製造が可能となった。
得られた傾斜機能材料の硬さ分布を図12に示す。図のように連続的に硬さが変化しており、機械的性質が連続的に変化する傾斜機能材料の製造が可能となった。
密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子として図8aに示した密度6.05g/cm3粒子径75−106μmのZrO2粒子を、密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子として図8bに示した密度4.5g/cm3粒子径63−90μmのTi粒子を選択した。そして、ZrO2粒子9.51gおよびTi粒子7.071gからなる混合粉末を製造した。また、溶融可能な固体としてH2Oを選択し、市販のかき氷製造器により粉砕し,粉砕氷78.5×10−6m3を製造した。
これらを図9に示すように、放電プラズマ焼結装置用グラファイトダイ22の下部にグラファイトパンチ23を装着し、グラファイトダイの上部に長さ220mm,内径19mmの中空管24を装着し、上記粉砕氷25を中空管に挿入した。ここで、中空管には水漏れを避けるため、シール26によりに密封がなされている。その後、上記ZrO2粒子とTi粒子とからなる混合粉末27を中空管に投入した。続いて、これらを40℃に設定した乾燥機に入れ、粉砕氷の溶融を開始させた。このとき、溶融して液体となった水中を混合粉末中の高速沈降粒子であるZrO2粒子と低速沈降粒子であるTi粒子が重力によって沈降することによって、連続的かつ幅広い組成傾斜が形成される。沈降が完全に終了した後、水分を十分に蒸発させ、乾燥させ組成傾斜を有するグリン体を得た。
次に、中空管をはずした後、パンチをダイに設置し、グラファイトダイの中の組成傾斜を有するグリン体を、油圧プレスを使用して圧縮し、組成傾斜を有する圧粉体を作製した。得られた組成傾斜を有する圧粉体を放電プラズマ焼結法(SPS法)により焼結した。ここでSPS法とは、カーボン製のダイとパンチの間に粉体を詰め込み、加圧しながら直流パルス電流を流して粉体を焼結させる方法である。直流パルス電流によって生じる高温プラズマの局所的な高温度と放電衝撃力を利用し焼結を行う。本発明では、SPSシンテックス(株)製のSPS−515Sを使用した。
得られた材料の微細組織写真を図10に示す。図10aは規格化した位置が0.2から0.3の位置の、図10bは規格化した位置が0.8から0.9の位置の組織である。ここで、規格化した位置とは試料を組成傾斜形成時の重力方向に規格化した位置のことであり、重力方向最底部を1.0、最上部を0.0とする。図の様に規格化した位置が0.2から0.3の位置においてはTiが多く観察され、規格化した位置が0.8から0.9の位置においてはZrO2が多く観察され、組成傾斜が形成していることがわかる。
図11は、製造したTi−ZrO2傾斜機能材料における組成傾斜をあらわしている。重力方向最底部を1.0、最上部を0.0とした規格化した位置を横軸としている。規格化した位置が0.0においてはTiが100%となっており、規格化した位置が1.0においてはZrO2が100%となっており、その間を連続的に組成が傾斜しており、本発明により、連続的にかつ幅広い組成傾斜を有する傾斜機能材料の製造が可能となった。
得られた傾斜機能材料の硬さ分布を図12に示す。図のように連続的に硬さが変化しており、機械的性質が連続的に変化する傾斜機能材料の製造が可能となった。
(第2実施形態)
粒子径の大きな高速沈降粒子として密度4.5g/cm3粒子径90−150μmのTi粒子を、粒子径の小さな低速沈降粒子として密度6.05g/cm3粒子径38−75μmのZrO2粒子を選択した。そして、ZrO2粒子9.51gおよびTi粒子7.071gからなる混合粉末を製造し、溶融可能な固体としてH2Oを78.5×10−6m3を選択し、第1実施形態と同様に沈降を生じせしめた。このとき、溶融して液体となった水中を混合粉末中の高速沈降粒子であるZrO2粒子と低速沈降粒子であるTi粒子が重力によって沈降することによって、連続的かつ幅広い組成傾斜が形成される。このとき得られる組成傾斜をコンピュータシミュレーションにより得た結果が図13である。第2実施形態では、高速沈降粒子がTi粒子、低速沈降粒子がZrO2粒子となるため、第1実施形態とは逆の組成傾斜を示すようになる。
粒子径の大きな高速沈降粒子として密度4.5g/cm3粒子径90−150μmのTi粒子を、粒子径の小さな低速沈降粒子として密度6.05g/cm3粒子径38−75μmのZrO2粒子を選択した。そして、ZrO2粒子9.51gおよびTi粒子7.071gからなる混合粉末を製造し、溶融可能な固体としてH2Oを78.5×10−6m3を選択し、第1実施形態と同様に沈降を生じせしめた。このとき、溶融して液体となった水中を混合粉末中の高速沈降粒子であるZrO2粒子と低速沈降粒子であるTi粒子が重力によって沈降することによって、連続的かつ幅広い組成傾斜が形成される。このとき得られる組成傾斜をコンピュータシミュレーションにより得た結果が図13である。第2実施形態では、高速沈降粒子がTi粒子、低速沈降粒子がZrO2粒子となるため、第1実施形態とは逆の組成傾斜を示すようになる。
(第3実施形態)
密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子として密度6.05g/cm3粒子径75−106μmのZrO2粒子を、密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子として密度4.5g/cm3粒子径63−90μmのTi粒子を選択し、ZrO2粒子9.51gおよびTi粒子7.071gからなる混合粉末を製造した。これを、粉砕したH2Oが図7のごとく配置された金型19内に投入し、金型を回転させ遠心力を印加した。その後、この遠心力印加のもと、金型ごと40℃に加熱し、粉砕したH2Oの溶融を生じさせ、溶媒帯を形成させ、溶媒帯内の高速沈降ZrO2粒子および低速沈降Ti粒子の沈降を生じせしめた。沈降が完全に終了した後、水分を十分に蒸発させ、組成傾斜を有するリング形状のグリン体を得た。このとき得られる組成傾斜をコンピュータシミュレーションにより得た結果が図14である。この図における横軸の規格化した位置とは、製造したリングのリング肉厚により位置を規格化したものであり、0.0がリング最内周部を1.0がリング最外周部を示す。図に示すように、リング肉厚方向に連続的にかつ幅広い組成傾斜を有するリング又はパイプ形状の傾斜機能材料の製造が可能となった。
密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子として密度6.05g/cm3粒子径75−106μmのZrO2粒子を、密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子として密度4.5g/cm3粒子径63−90μmのTi粒子を選択し、ZrO2粒子9.51gおよびTi粒子7.071gからなる混合粉末を製造した。これを、粉砕したH2Oが図7のごとく配置された金型19内に投入し、金型を回転させ遠心力を印加した。その後、この遠心力印加のもと、金型ごと40℃に加熱し、粉砕したH2Oの溶融を生じさせ、溶媒帯を形成させ、溶媒帯内の高速沈降ZrO2粒子および低速沈降Ti粒子の沈降を生じせしめた。沈降が完全に終了した後、水分を十分に蒸発させ、組成傾斜を有するリング形状のグリン体を得た。このとき得られる組成傾斜をコンピュータシミュレーションにより得た結果が図14である。この図における横軸の規格化した位置とは、製造したリングのリング肉厚により位置を規格化したものであり、0.0がリング最内周部を1.0がリング最外周部を示す。図に示すように、リング肉厚方向に連続的にかつ幅広い組成傾斜を有するリング又はパイプ形状の傾斜機能材料の製造が可能となった。
(他の実施形態)
前記実施形態における高速沈降粒子および低速沈降粒子は、上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用可能である。例えば、純鉄及び鉄鋼粒子、アルミニウム合金粒子、銅合金粒子、ニッケル及びニッケル合金粒子、チタン合金粒子、マグネシウム及びマグネシウム合金粒子、コバルト及びコバルト合金粒子、その他の金属及び合金粒子に対して適用可能であり、また、アルミナ、チタニア、ボロンナイトライド、シリコンカーバイド、タングステンカーバイドなどのセラミックス粒子や有機材料粒子、半金属粒子など全ての粒子に対して適用可能である。また、前記実施形態における溶融可能な固体としては、上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用可能である。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、これらの水溶液などである。
前記実施形態における高速沈降粒子および低速沈降粒子は、上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用可能である。例えば、純鉄及び鉄鋼粒子、アルミニウム合金粒子、銅合金粒子、ニッケル及びニッケル合金粒子、チタン合金粒子、マグネシウム及びマグネシウム合金粒子、コバルト及びコバルト合金粒子、その他の金属及び合金粒子に対して適用可能であり、また、アルミナ、チタニア、ボロンナイトライド、シリコンカーバイド、タングステンカーバイドなどのセラミックス粒子や有機材料粒子、半金属粒子など全ての粒子に対して適用可能である。また、前記実施形態における溶融可能な固体としては、上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用可能である。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、これらの水溶液などである。
1 粒子状に製造された金属である。
2 粒子状に製造されたセラミックスである。
3 金属粒子とセラミックス粒子を混合し、混合粉末を製造するためのラボミルである。
4 金属粒子とセラミックス粒子を混合することにより作製された混合粉末である。
5 異なる組成の混合粉末が積層充填されたグリン体を焼結するための放電プラズマ焼結装置である。
6 密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子である。
7 密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子である。
8 高速沈降粒子および低速沈降粒子を沈降させるための液体である。
9 密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子である。
10 密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子である。
11 高速沈降粒子および低速沈降粒子を沈降させるための液体である。
12 高速沈降粒子、低速沈降粒子および沈降させるための液体からなるスラリーである。
13 溶融が可能な固体からなる溶媒帯である。
14 密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子である。
15 密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子である。
16 高速沈降粒子および低速沈降粒子からなる混合粉末である。
17 溶融可能な固体を粉砕したものからなる溶媒帯である。
18 粉砕した溶融が可能な固体17の溶融により形成した溶媒帯である。
19 回転可能な金型である。
20 粉砕した溶融可能な固体からなる溶媒帯である。
21 密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子と密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子からなる混合粉末である。
22 放電プラズマ焼結装置用グラファイトダイである。
23 グラファイトパンチである。
24 長さ250mmの中空管である。
25 市販のかき氷製造器で製造した粉砕した氷である。
26 水漏れを避けるための密封用シールである。
10 密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子である。
11 高速沈降粒子および低速沈降粒子を沈降させるための液体である。
12 高速沈降粒子、低速沈降粒子および沈降させるための液体からなるスラリーである。
13 溶融が可能な固体からなる溶媒帯である。
14 密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子である。
15 密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子である。
16 高速沈降粒子および低速沈降粒子からなる混合粉末である。
17 溶融可能な固体を粉砕したものからなる溶媒帯である。
18 粉砕した溶融が可能な固体17の溶融により形成した溶媒帯である。
19 回転可能な金型である。
20 粉砕した溶融可能な固体からなる溶媒帯である。
21 密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子と密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子からなる混合粉末である。
22 放電プラズマ焼結装置用グラファイトダイである。
23 グラファイトパンチである。
24 長さ250mmの中空管である。
25 市販のかき氷製造器で製造した粉砕した氷である。
26 水漏れを避けるための密封用シールである。
Claims (4)
- 密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子および密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子を混合してこれらの混合粉末を作製し、粉砕した溶融可能な固体を底部に配した入れ物に該混合粉末を投入し、加熱することにより該混合粉末の沈降を生じせしめた後に十分に液体を除去することにより組成が連続的に傾斜したグリン体を製造し、当該組成傾斜を有するグリン体を焼結することにより傾斜機能材料を製造する方法。
- 粉砕した溶融可能な固体を回転可能な金型底部に配し、その内面に密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子および密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子を混合して製造した混合粉末を配し、加熱することにより該混合粉末の遠心力方向への沈降を生じせしめた後に十分に液体を除去することにより組成が連続的に傾斜したリング又はパイプ形状のグリン体を製造し、当該組成傾斜を有するリング又はパイプ形状のグリン体を焼結することによりリング又はパイプ形状の傾斜機能材料を製造する方法。
- 密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子としてTi粒子、密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子としてZrO2粒子を混合してこれらの混合粉末を作製し、粉砕した氷を底部に配した入れ物に該混合粉末を投入し、重力下あるいは遠心力下で加熱することにより該混合粉末の沈降を生じせしめた後に十分に水分を除去することにより組成が連続的に傾斜したグリン体を製造し、当該組成傾斜を有するグリン体を焼結することにより傾斜機能材料を製造する方法。
- 密度および/又は粒子径の大きな高速沈降粒子としてZrO2粒子、密度および/又は粒子径の小さな低速沈降粒子としてTi粒子を混合してこれらの混合粉末を作製し、粉砕した氷を底部に配した入れ物に該混合粉末を投入し、重力下あるいは遠心力下で加熱することにより該混合粉末の沈降を生じせしめた後に十分に水分を除去することにより組成が連続的に傾斜したグリン体を製造し、当該組成傾斜を有するグリン体を焼結することにより傾斜機能材料を製造する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012046112A JP2013181218A (ja) | 2012-03-02 | 2012-03-02 | 傾斜機能材料の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012046112A JP2013181218A (ja) | 2012-03-02 | 2012-03-02 | 傾斜機能材料の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013181218A true JP2013181218A (ja) | 2013-09-12 |
Family
ID=49272093
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012046112A Pending JP2013181218A (ja) | 2012-03-02 | 2012-03-02 | 傾斜機能材料の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013181218A (ja) |
-
2012
- 2012-03-02 JP JP2012046112A patent/JP2013181218A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2013166982A (ja) | 焼結法と鋳造法とを併用した傾斜機能材料製造法 | |
Cheng et al. | Fabrication of W–20 wt.% Cu alloys by powder injection molding | |
JP6122016B2 (ja) | 粉末の電解製造 | |
CN1649688A (zh) | 掺合粉末的固相-超固相线液相烧结 | |
JP6373955B2 (ja) | 顆粒を利用した耐熱部品の製造方法 | |
JP2017528591A (ja) | 部品の製造方法 | |
US9828481B2 (en) | Method of manufacturing porous ceramic body and composition for porous ceramic body | |
CN110042295A (zh) | 一种纳米高熵合金块体材料的制备方法 | |
WO2016013496A1 (ja) | 合金構造体及び合金構造体の製造方法に関する。 | |
WO2011052160A1 (ja) | Ito焼結体の製造方法及びitoスパッタリングターゲットの製造方法 | |
JP2013198928A (ja) | 母相金属と固相微細粒子が複合化した複合材料の製造方法及び当該方法により製造されるメタルボンド砥石 | |
RU2681022C1 (ru) | Способ получения узкофракционных сферических порошков из жаропрочных сплавов на основе алюминида никеля | |
CN109071357B (zh) | 将基于石墨烯的添加剂添加至应用激光烧蚀的涂层中使用的靶材的方法 | |
Datta | Powder metallurgy: an advanced technique of processing engineering materials | |
JP4227084B2 (ja) | 回転ディスク法による球状微小銅粉製造装置および回転ディスク法による球状微小銅粉の製造方法 | |
JP2013181218A (ja) | 傾斜機能材料の製造法 | |
KR20160112149A (ko) | 철-구리 합금의 제조 방법 | |
Raghunandan et al. | Processing of primary silicon and Mg2Si reinforced hybrid functionally graded aluminum composites by centrifugal casting | |
Ogunbiyi et al. | Influence of Nickel powder particle size on the microstructure and densification of spark plasma sintered Nickel-based superalloy | |
Jayalakshmi et al. | Synthesis of light metal nanocomposites: challenges and opportunities | |
CN101490290A (zh) | 制造溅射靶的方法和所制造的靶产品 | |
Mulllis et al. | High-Frame-Rate Analysis of Spray Cone Geometry during Close-Coupled Gas Atomization | |
RU2569288C1 (ru) | Способ изготовления наноразмерного твердого сплава | |
JP2013119663A (ja) | 回転ディスク、遠心噴霧法による銀粉末の製造方法及び遠心噴霧装置 | |
Park et al. | Effect of compact structure on phase transformation kinetics from anatase phase to rutile phase and microstructure evolution during sintering of ultrafine titania powder compacts |