JP2013181205A - 金ナノ粒子分散液及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】常温で乾燥させるだけで、高い導電率を有する薄膜を形成し得る金ナノ粒子分散液、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】非常に薄い親水性有機単分子膜(厚さ0.5nm程度)で覆われた金ナノ粒子を合成し、水中に分散させた状態で金ナノ粒子分散液に長時間超音波を照射することにより、金ナノ粒子表面の親水性有機分子の一部を剥がす。本発明の金属ナノ粒子分散液は、金ナノ粒子の平均粒子径が10nm以上20nm以下であり、メルカプトコハク酸又は2-メルカプトプロピオニルグリシンの専有面積が25Å2以上50Å2以下であることを特徴とする。本発明の金ナノ粒子分散液は、乾燥後、金属光沢を呈する導電性薄膜を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】非常に薄い親水性有機単分子膜(厚さ0.5nm程度)で覆われた金ナノ粒子を合成し、水中に分散させた状態で金ナノ粒子分散液に長時間超音波を照射することにより、金ナノ粒子表面の親水性有機分子の一部を剥がす。本発明の金属ナノ粒子分散液は、金ナノ粒子の平均粒子径が10nm以上20nm以下であり、メルカプトコハク酸又は2-メルカプトプロピオニルグリシンの専有面積が25Å2以上50Å2以下であることを特徴とする。本発明の金ナノ粒子分散液は、乾燥後、金属光沢を呈する導電性薄膜を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、金ナノ粒子を均一に分散させた分散液であって、乾燥後に金属光沢を呈する導電性の薄膜となることを特徴とする、導電性インクとして有用な分散液、及びその製造方法に関する。
近年、プラスチックフィルム、金属箔又は紙等の上にインクジェット印刷又はスクリーン印刷によって電子回路を描くプリンテッド・エレクトロニクスと呼ばれる技術が注目されている。電子回路をインクジェット印刷又はスクリーン印刷によって作製するためには、電極及び配線を描くための導電性インクが必要となる。プリンテッド・エレクトロニクス用の導電性インクとしては、金属ナノ粒子を溶媒内に分散させた金属ナノ粒子インクが注目されている。
これまでに、金、銀、銅、及びこれらの合金からなるナノ粒子がインク材料として開発されてきた。これらのナノ粒子の表面は、溶媒内での金属ナノ粒子同士の凝集を防ぐために、有機分子層で覆われるが、この有機分子層は、金属ナノ粒子間の電気伝導を妨げてしまう。そのため、従来の金属ナノ粒子インクは、導電性を高めるために、印刷後100〜300℃で焼成されることにより、内部の金属核同士を融合させる必要があった(非特許文献1)。
銀ナノ粒子を化学的に融合させることができる導電性発現剤も市販されている(非特許文献2)。この導電性発現剤は、焼成不要であり、導電性発現剤を含む印刷専用基材を用いれば、印刷するだけでバルク銀の5倍以下の比抵抗を有する導電性パターンを容易に形成することができる。また、一般市販品のインクジェットプリンターを試作に用いることができるとされている。
特許文献1は、金属ナノ粒子20〜30重量%と、カルボン酸系化合物、チオール系化合物、フェノール系化合物又はアミン系化合物からなる群より選ばれる分散剤1〜25重量%と、アルケニルコハク酸無水物0.1〜10重量%と、ホットメルト接着剤用炭化水素樹脂0.1〜10重量%と、非水系有機溶媒10〜50重量%とを含有する、インクジェット用金属インク組成物を開示している。
一方、金属ナノ粒子分散液を製造する際に、分散剤を分散液に共存させ、超音波照射することによって、金粒子を微細化する技術が知られている。特許文献2は、金属塊を溶媒中に配置し、溶媒を媒質として用いて金属塊に超音波を照射することで、超音波の照射によって生じる超音波キャビテーションにより金属塊を破砕して金属微細粒子を得る方法を開示している。
特許文献3は、窒素原子又は硫黄分子を含む化合物を共存させた状態で、金属微粒子液に超音波を照射して分散させる工程を有する金属微粒子分散液の製造方法を開示している。
特許文献4は、ナノ粒子前駆体とナノ粒子安定化剤とを含有する液状混合系からソノケミストリーによりナノメーターサイズの粒子を形成させる反応場に、低沸点の有機溶媒を共存せしめ、該有機溶媒存在下に超音波照射を加えて該ナノメーターサイズの粒子形成を行うことを特徴とするナノメーターサイズの粒子の製造方法を開示している。
菅沼克昭、金属ナノ粒子インクの配線技術−インクジェット技術を中心に−、シーエムシー出版、2006年
http://www.k-mpm.com/agnano/index.html
非特許文献1及び特許文献1に開示されているインクは、印刷後に導電性を阻害する有機分子(分散剤)を加熱処理によって分解する必要があるために、生体材料のように熱に弱い材料を電子回路に組み込むことは不可能である。
非特許文献2に開示されているインクは、加熱処理が不要であるが、印刷後に無機塩を含有する水溶液に浸す必要があり、その後、この無機塩を洗浄しなければならない。このため、加熱処理が不要といえども、生体材料のような外部環境の変化に弱い物質を電子回路に組み込むことは、やはり困難である。また、組み込もうとする物質が、微細な凹凸を有する構造であれば、洗浄によって無機塩を完全に洗い流すことができないという問題もある。
また、強力な短波長光を照射することによって、塗布後のインクに導電性を発現させる方式も開発されているが、このようなフォトリソグラフィー技術においても、電子回路に組み込もうとする物質に損傷を与えてしまう問題点は同じである。例えば、電子線又は紫外線によるパターン露光、レジスト塗布及び除去液による洗浄、又は加熱処理(プリベーク、ポストベーク)は、電子回路に組み込む物質を損傷する可能性がある。
本発明は、塗布後、熱処理、化学処理又は光学的処理のような後処理を必要とせず、常温で乾燥させるだけで、高い導電率を有する薄膜を形成し得る金ナノ粒子分散液、及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するべく、鋭意検討した。その結果、非常に薄い親水性有機単分子膜(厚さ0.5nm程度)で覆われた金ナノ粒子を合成した後、水中に分散させた状態で金ナノ粒子分散液に長時間超音波を照射することにより、金ナノ粒子表面の親水性有機分子の一部が剥がされることを見出した。その結果、本発明者等は、金ナノ粒子同士の凝集を防止して分散性を確保しつつ、乾燥後は金ナノ粒子の金属核同士が接触した状態となり、高い導電性を有する薄膜が形成されることをさらに見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的に、本発明は、
塩化金酸(HAuCl4)と、メルカプトコハク酸(MSA)又は2-メルカプトプロピオニルグリシン(MPG)とを親水性溶媒に分散させ、冷却しながら水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)水溶液を添加することによって塩化金酸を還元し、メルカプトコハク酸又は2-メルカプトプロピオニルグリシンによって表面が覆われた金ナノ粒子を調整する工程Aと、
親水性溶媒を用いて前記金ナノ粒子を洗浄する工程Bと、
メルカプトコハク酸又は2-メルカプトプロピオニルグリシンの共存下、前記金ナノ粒子を水中に分散させ、超音波を0.6kWh以上10kWh以下照射する工程Cと、
前記工程Cの後、親水性溶媒を用いて前記金ナノ粒子を洗浄する工程Dと、
前記工程Dの後、前記金ナノ粒子を水又は親水性溶媒中に分散させる工程Eと、
を有する金ナノ粒子分散液の製造方法に関する。
塩化金酸(HAuCl4)と、メルカプトコハク酸(MSA)又は2-メルカプトプロピオニルグリシン(MPG)とを親水性溶媒に分散させ、冷却しながら水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)水溶液を添加することによって塩化金酸を還元し、メルカプトコハク酸又は2-メルカプトプロピオニルグリシンによって表面が覆われた金ナノ粒子を調整する工程Aと、
親水性溶媒を用いて前記金ナノ粒子を洗浄する工程Bと、
メルカプトコハク酸又は2-メルカプトプロピオニルグリシンの共存下、前記金ナノ粒子を水中に分散させ、超音波を0.6kWh以上10kWh以下照射する工程Cと、
前記工程Cの後、親水性溶媒を用いて前記金ナノ粒子を洗浄する工程Dと、
前記工程Dの後、前記金ナノ粒子を水又は親水性溶媒中に分散させる工程Eと、
を有する金ナノ粒子分散液の製造方法に関する。
本発明の金ナノ粒子分散液の製造方法は、分散剤であるMSA又はMPGの単分子膜で覆われた金ナノ粒子を水中に分散させ、金ナノ粒子分散液に長時間超音波を照射することにより、金ナノ粒子表面のMSA又はMPG膜の一部を剥がすことを特徴としている。金ナノ粒子表面のMSA又はMPG膜の一部を剥がすことにより、分散液中の金ナノ粒子同士の凝集防止効果を維持しつつ、乾燥後は、金ナノ粒子同士が凝集しやすくなるという、従来の金属ナノ粒子分散体では得られない画期的効果を有する金ナノ粒子分散体を製造することが初めて可能となった。
前記親水性溶媒は、炭素数3以下のアルコール又はアセトンであることが好ましい。
これらの親水性溶媒は、水と任意に混合することが可能であり、入手容易で、かつ、安価なためである。これら親水性溶媒は、単独で使用されてもよく、複数種類を混合してもよく、水との混合溶媒として使用されてもよい。また、工程A、工程B、工程D及び工程Eにおいて、すべて同じ親水性溶媒が使用されてもよく、異なる親水性溶媒が使用されてもよい。
また、本発明は、
金ナノ粒子を、水又は親水性溶媒を含有する溶媒中に分散させた金属ナノ粒子分散液であって、
前記金ナノ粒子は、
平均粒子径が10nm以上20nm以下であり、
メルカプトコハク酸又は2-メルカプトプロピオニルグリシンの専有面積が25Å2以上50Å2以下であることを特徴とする金ナノ粒子分散液に関する。
金ナノ粒子を、水又は親水性溶媒を含有する溶媒中に分散させた金属ナノ粒子分散液であって、
前記金ナノ粒子は、
平均粒子径が10nm以上20nm以下であり、
メルカプトコハク酸又は2-メルカプトプロピオニルグリシンの専有面積が25Å2以上50Å2以下であることを特徴とする金ナノ粒子分散液に関する。
本発明の金ナノ粒子分散液は、平均粒径10nm以上20nm以下の金ナノ粒子表面を覆うMSA又はMPGの単分子層が、長時間の超音波照射によって一部剥がされており、表面の一部が単分子層によって覆われている。その結果、乾燥時には金ナノ粒子同士が凝集し、導電性の金薄膜が形成される。このとき、形成される金薄膜は、金属光沢を呈し、高い導電性を示すことを特徴とする。
本発明において、専有面積とは、金ナノ粒子表面を覆うMSA又はMPG分子1個が金ナノ粒子表面上で占める平均的な面積を意味する。具体的な算出方法について説明する。まず、全ての金ナノ粒子の大きさが平均粒子径に等しいと仮定し、その金ナノ粒子1個の表面積を算出する。次に、定量分析により得られた金と硫黄の原子数比から金ナノ粒子1個あたりの硫黄原子数を算出し、この原子数で金ナノ粒子1個の表面積を割ることで占有面積とする。
前記金ナノ粒子の濃度は、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
0.1質量%未満では乾燥時に一様な膜にならないためであり、10質量%超では分散液として保存中に金ナノ粒子が凝集沈殿しやすくなるためである。
本発明の金ナノ粒子分散液によれば、常温で乾燥させるだけで高い導電性を有する金属膜を形成させることができるため、従来の金属インク組成物とは異なり、生体材料のような外部環境の変化に弱い物質を電子回路に組み込むことが可能となる。また、本発明の製造方法によれば、そのような金ナノ粒子分散液を容易に製造することが可能である。
本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の記載に限定されない。
(工程A)
図1は、本発明の金ナノ粒子分散液の製造方法の工程図を示す。なお、図1では、分散剤としてMSAを用いる場合について説明されているが、MPGを用いる場合についても同様である。
図1は、本発明の金ナノ粒子分散液の製造方法の工程図を示す。なお、図1では、分散剤としてMSAを用いる場合について説明されているが、MPGを用いる場合についても同様である。
まず、HAuCl4と、MSA又はMPGとを親水性溶媒に分散させ、冷却しながらNaBH4水溶液を添加する。NaBH4によってHAuCl4はAu(金ナノ粒子)に還元される(ステップS1)。この金ナノ粒子の平均粒子径は、約1〜10nmである。このとき、金ナノ粒子の表面は、分散剤であるMSAの単分子層によって表面が覆われている。
(工程B)
次に、ステップS1で得られた金ナノ粒子を、親水性溶媒を用いて洗浄する(ステップS2)。例えば、ステップS1の後、反応液を遠心分離して上清を捨て、親水性溶媒を加えて攪拌し、再度遠心分離することにより、金ナノ粒子を洗浄することが可能である。ステップS2によって、過剰なHAuCl4、MSA及びNaBH4が除去される。洗浄に用いる親水性溶媒は、ステップS1で用いられた親水性溶媒と同じであってもよく、異なっていてもよい。
次に、ステップS1で得られた金ナノ粒子を、親水性溶媒を用いて洗浄する(ステップS2)。例えば、ステップS1の後、反応液を遠心分離して上清を捨て、親水性溶媒を加えて攪拌し、再度遠心分離することにより、金ナノ粒子を洗浄することが可能である。ステップS2によって、過剰なHAuCl4、MSA及びNaBH4が除去される。洗浄に用いる親水性溶媒は、ステップS1で用いられた親水性溶媒と同じであってもよく、異なっていてもよい。
洗浄後の金ナノ粒子は、溶媒を水に置換することにより、ステップS3へとそのまま移行させてもよく、乾燥させて保存されてもよい。
(工程C)
次に、MSAの共存下、金ナノ粒子を水中に分散させ、超音波を0.6kWh以上10kWh以下となるように照射する(ステップS3)。超音波照射は、例えば、出力120Wの場合には5時間以上83時間以下照射することが好ましい。
次に、MSAの共存下、金ナノ粒子を水中に分散させ、超音波を0.6kWh以上10kWh以下となるように照射する(ステップS3)。超音波照射は、例えば、出力120Wの場合には5時間以上83時間以下照射することが好ましい。
ステップS3の超音波照射によって、金ナノ粒子表面のMSA単分子膜の約30〜65%が剥離され、金ナノ粒子表面の一部にのみMSA単分子膜が形成された状態となる。
ステップS3の超音波処理は、金ナノ粒子同士の融合も生じさせる。このため、ステップS3以降の金ナノ粒子の平均粒子は、ステップS1の平均粒子径よりも大きくなる。ステップS3以降に得られる金ナノ粒子は、平均粒子径が10nm以上20nm以下に調整されることが好ましい。平均粒子径が10 nm未満であれば、乾燥後に形成される薄膜の電気伝導性が悪くなり、20nm超であれば、金ナノ粒子の水中での分散性が悪くなるためである。
図2は、表面がMSAによって覆われた金ナノ粒子の水中における反発力を説明する概念図を示す。なお、図2及び後述する図3中のnc-Auは、金ナノ粒子を示す。水中ではMSA分子同士の反発力によって、金ナノ粒子同士の凝集が防止され、分散性が維持される。金ナノ粒子表面のMSA単分子膜の30〜65%が剥離されても、こうした反発力は維持されるため、水中における金ナノ粒子表面の分散性は良好である。
(工程D)
次に、親水性溶媒を用いて金ナノ粒子を洗浄する(ステップS4)。ステップS4によって、金ナノ粒子表面から剥離したMSAが除去される。洗浄に用いる親水性溶媒は、ステップS1及びS2で用いられた親水性溶媒と同じであってもよく、異なっていてもよい。
次に、親水性溶媒を用いて金ナノ粒子を洗浄する(ステップS4)。ステップS4によって、金ナノ粒子表面から剥離したMSAが除去される。洗浄に用いる親水性溶媒は、ステップS1及びS2で用いられた親水性溶媒と同じであってもよく、異なっていてもよい。
(工程E)
次に、金ナノ粒子を水又は親水性溶媒中に分散させる(ステップS5)。ステップS5において、金ナノ粒子表面の一部には、MSA単分子膜が存在しているため、金ナノ粒子分散液の分散性は良好である。分散液の金ナノ粒子濃度は、0.1質量%以上10質量%以下に調整されることが好ましい。このとき、金ナノ粒子分散液は、藍色〜黒色の外観を呈している。
次に、金ナノ粒子を水又は親水性溶媒中に分散させる(ステップS5)。ステップS5において、金ナノ粒子表面の一部には、MSA単分子膜が存在しているため、金ナノ粒子分散液の分散性は良好である。分散液の金ナノ粒子濃度は、0.1質量%以上10質量%以下に調整されることが好ましい。このとき、金ナノ粒子分散液は、藍色〜黒色の外観を呈している。
ステップS5で得られた金ナノ粒子分散液は、基板のような対象物の表面に塗布される(ステップS6)。
常温で金ナノ粒子分散液を乾燥させると、基板上に金属光沢(金色)を呈する導電性薄膜が形成される(ステップS7)。
図3は、表面がMSAによって覆われた金ナノ粒子が、基板上で乾燥された場合における凝集状態を説明する概念図を示す。本発明の金ナノ粒子分散液では、金ナノ粒子表面のMSA単分子膜が一部剥がれているため、金ナノ粒子分散液が乾燥されると、金ナノ粒子同士が直接接触することになり、その結果、導電性に優れた薄膜が形成される。
[実施例1]
(1) MSA単分子層で保護された金ナノ粒子の作製
0.5mmolのHAuCl4と0.5mmolのMSAとをメタノール360mLに溶解させ、30分間攪拌した。その後、この液を0℃に冷却し、5mmolのNaBH4水溶液を25mL滴下することにより、HAuCl4を還元し、MSA単分子層で表面保護された金ナノ粒子(以下、Au-MSAと記す)を作製した。
(1) MSA単分子層で保護された金ナノ粒子の作製
0.5mmolのHAuCl4と0.5mmolのMSAとをメタノール360mLに溶解させ、30分間攪拌した。その後、この液を0℃に冷却し、5mmolのNaBH4水溶液を25mL滴下することにより、HAuCl4を還元し、MSA単分子層で表面保護された金ナノ粒子(以下、Au-MSAと記す)を作製した。
未反応の分子や不純物を除去するために、次の方法でAu-MSAを洗浄した。まず、メタノール20mLを加え、溶媒をメタノール(90容量%)及び水(10容量%)の混合液とした。次に、Au-MSAを含有する混合液を遠心分離(12000rpm、10分間)にかけ、Au-MSAを沈殿させた。未反応分子及び不純物は、上澄み液に含有されているので、この上澄み液を除去した。
Au-MSAに再び同じ混合割合のメタノール及び水の混合液を20mL加え、超音波照射(28kHz, 100W)によってAu-MSAを混合液中に再分散させた。この遠心分離及び超音波照射を2回繰り返した後、溶媒をメタノールのみに変え、同様の洗浄作業を2回繰り返した。その後、Au-MSAを含有するメタノールを凍結乾燥し、Au-MSA粉末(中間体粉末)を得た。
(2) 金ナノ粒子分散液の作製
Au-MSA粉末を蒸留水300mLに分散させ、さらに2.5mmolのMSAを添加した。この分散液を0℃に冷却し、300rpmで攪拌しながら超音波照射(40kHz, 120W)を10時間継続した。その後、Au-MSAの作製における洗浄法と同じ方法で、Au-MSAをメタノール及び水の混合液を用いて洗浄した。溶媒を水のみとした後、Au-MSAは1質量%となるように水中に分散させた。この分散液を、実施例1の金ナノ粒子分散液とした。
Au-MSA粉末を蒸留水300mLに分散させ、さらに2.5mmolのMSAを添加した。この分散液を0℃に冷却し、300rpmで攪拌しながら超音波照射(40kHz, 120W)を10時間継続した。その後、Au-MSAの作製における洗浄法と同じ方法で、Au-MSAをメタノール及び水の混合液を用いて洗浄した。溶媒を水のみとした後、Au-MSAは1質量%となるように水中に分散させた。この分散液を、実施例1の金ナノ粒子分散液とした。
実施例1の分散液は、図4に示されるように、濃い藍色の外観を呈した。室温で放置しても、沈殿は析出しなかった。水を用いて1/200に希釈した分散液は、薄い藍色の外観を呈し、室温で放置してもやはり沈殿は析出しなかった。Au-MSAにおけるAu核の平均直径は、X線回折測定によれば約12nmであった。
[比較例]
実施例1の中間体粉末であるAu-MSA粉末を、4質量%となるように水に分散させた分散液を、比較例の金ナノ粒子分散液とした。
実施例1の中間体粉末であるAu-MSA粉末を、4質量%となるように水に分散させた分散液を、比較例の金ナノ粒子分散液とした。
<乾燥後の外観及び導電性>
実施例1及び比較例の金ナノ粒子分散体をカバーグラス(1辺22mm)状に滴下し、室温で放置することによって乾燥させた。図5は、実施例1の金ナノ粒子分散体の外観写真を示す。図6は、比較例の金ナノ粒子分散体の外観写真を示す。
実施例1及び比較例の金ナノ粒子分散体をカバーグラス(1辺22mm)状に滴下し、室温で放置することによって乾燥させた。図5は、実施例1の金ナノ粒子分散体の外観写真を示す。図6は、比較例の金ナノ粒子分散体の外観写真を示す。
実施例1の金ナノ粒子分散液は、乾燥するにつれて金色の金属光沢を呈した。乾燥後、金色の薄膜の導電率を測定したところ、103S/cmであった。一方、比較例の金ナノ粒子分散液は、乾燥後、やや金色がかった藍色〜黒色の薄膜となり、この薄膜の導電率は1S/cmであった。
このように、実施例1の金ナノ粒子分散液は、比較例の金ナノ粒子分散液と比較して、乾燥後の薄膜の外観が異なる以外に、導電性に非常に優れていることが確認された。また、分散液中の金ナノ粒子の分散性にも優れていることが確認された。
[実施例2]
MSAの変わりにMPGを用いること以外、すべて実施例1と同様にして金ナノ粒子分散液を調製した。この金ナノ粒子分散液も、カバーグラス上に滴下し、室温で放置して乾燥させると、金属光沢を呈する薄膜を形成した。薄膜の導電率は、103S/cmであった。
MSAの変わりにMPGを用いること以外、すべて実施例1と同様にして金ナノ粒子分散液を調製した。この金ナノ粒子分散液も、カバーグラス上に滴下し、室温で放置して乾燥させると、金属光沢を呈する薄膜を形成した。薄膜の導電率は、103S/cmであった。
<超音波照射時間とMSA専有面積との関係>
実施例1では、Au-MSA粉末を蒸留水300mLに分散させ、MSAを添加した後、10時間超音波照射した。図7は、超音波照射時間とMSA専有面積との関係を表すグラフを示す。MSA専有面積は、X線回折による粒子径測定とエネルギー分散型X線分析(EDX)による定量分析によって算出された。
実施例1では、Au-MSA粉末を蒸留水300mLに分散させ、MSAを添加した後、10時間超音波照射した。図7は、超音波照射時間とMSA専有面積との関係を表すグラフを示す。MSA専有面積は、X線回折による粒子径測定とエネルギー分散型X線分析(EDX)による定量分析によって算出された。
中間体粉末のMSA専有面積は、15.2Å2であったが、超音波照射時間が増大するにつれてMSA専有面積は減少した。このことから、超音波照射によって金ナノ粒子表面のMSA単分子膜の一部が剥がされることが推察された。MSA専有面積が約25Å2、好ましくは約30Å2以上になると、乾燥後の薄膜に金属光沢が現れ、電導率が向上することが確認された。
本発明の金ナノ粒子分散液及びその製造方法は、半導体分野又は電子機器分野において有用である。
Claims (4)
- 塩化金酸と、メルカプトコハク酸又は2-メルカプトプロピオニルグリシンとを親水性溶媒に分散させ、冷却しながら水素化ホウ素ナトリウム水溶液を添加することによって塩化金酸を還元し、メルカプトコハク酸又は2-メルカプトプロピオニルグリシンによって表面が覆われた金ナノ粒子を調整する工程Aと、
親水性溶媒を用いて前記金ナノ粒子を洗浄する工程Bと、
メルカプトコハク酸又は2-メルカプトプロピオニルグリシンの共存下、前記金ナノ粒子を水中に分散させ、超音波を0.6kWh以上10kWh以下照射する工程Cと、
前記工程Cの後、親水性溶媒を用いて前記金ナノ粒子を洗浄する工程Dと、
前記工程Dの後、前記金ナノ粒子を水又は親水性溶媒中に分散させる工程Eと、
を有する金ナノ粒子分散液の製造方法。 - 前記親水性溶媒が炭素数3以下のアルコール又はアセトンである、請求項1に記載の金ナノ粒子分散液の製造方法。
- 金ナノ粒子を、水又は親水性溶媒を含有する溶媒中に分散させた金属ナノ粒子分散液であって、
前記金ナノ粒子は、
平均粒子径が10nm以上20nm以下であり、
メルカプトコハク酸又は2-メルカプトプロピオニルグリシンの専有面積が25Å2以上50Å2以下であることを特徴とする金ナノ粒子分散液。 - 前記金ナノ粒子の濃度が0.1質量%以上10質量%以下である、請求項3に記載の金ナノ粒子分散液。
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JP2017501015A (ja) * | 2013-09-24 | 2017-01-12 | ヘレウス ドイチェラント ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー | 低温にて光沢のある積層構造を生成するためのプロセス |
CN105014092A (zh) * | 2014-04-29 | 2015-11-04 | 尤静 | 一种水相和有机相可分散的金纳米颗粒的制备方法 |
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