JP2013181053A - ポリアミック酸、ポリイミド及び新規ジアミン - Google Patents

ポリアミック酸、ポリイミド及び新規ジアミン Download PDF

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Abstract

【課題】溶解性の高いポリイミドの製造に有用な新規ジアミン化合物の提供
【解決手段】ジアミン成分が下記式(1)で表されるジアミンを含有するポリアミック酸、又は、ポリイミド。
Figure 2013181053

(式(1)中、Rは単結合、−O−、−COO等であり、Rは炭素数1から炭素数20のアルキレンを表し、ここでアルキレンの任意の−CH−は−CF等で置き換えられていてもよく、Rは炭素数1から炭素数20のアルキル基を表し、ここでアルキル基中の任意の−CH−は1,2−エテニレン等で置き換えられていてもよく、Rの任意の水素原子はフッ素原子等に置き換えられてもよい。)
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリアミック酸、ポリイミド及び新規なジアミン化合物に関する。
ポリアミド、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどの縮合系ポリマーは、種々の電子材料へ利用されており、例えば、液晶配向膜、光学フィルム、半導体用接着フィルム、半導体層間絶縁膜など、その用途は多岐にわたっている。
このようなポリマーに機能性を持たせるために、側鎖にメタクリロイル基のような重合性官能基を導入する方法が知られている。このようなポリマーを液晶配向膜として用いると、ポリマー被膜をレーヨンなどを素材とする布によって圧力をかけて擦る、いわゆるラビング処理の際に問題となる、被膜の一部の剥離や、傷の発生を抑制できることが知られている(特許文献1)。また、光学フィルムを形成するための重合性液晶を配向させる配向膜として用いると、光学フィルムの重要な特性のひとつである光学的異方層と配向層との間の密着性を向上できることが知られている(特許文献2,3)。さらに、このようなポリマーと光重合性化合物、及び、光重合開始剤からなる組成物において、厚膜で解像度良く現像可能な感光性樹脂となることが知られている(特許文献4)。
一方、ポリアミック酸からポリイミド膜を製造する方法としては次の2種がある。一つはポリアミック酸の溶液の塗膜を形成し焼成を行いイミド化してポリイミド膜とする方法である。もう一つは、あらかじめポリアミック酸を溶液中でイミド化してポリイミド溶液とし、この塗膜を形成する方法である。だたし、一般的にポリイミドは各種溶媒への溶解性が低く、後者の方法が適用できるポリイミドの分子構造は限られている。
特開2008−203332号公報 特開2010−66630号公報 特開2008−203709号公報 特開2009−251451号公報
本発明が解決しようとする課題は、側鎖に加熱によりメタクリル基を生成する官能基を持つポリイミドを提供することである。また、このポリイミドの原料として有用な新規なジアミンを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
1.ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリアミック酸、または、該ポリアミック酸を脱水閉環させて得られるポリイミドであり、上記ジアミン成分が下記式(1)で表されるジアミンを含有することを特徴とするポリアミック酸、又は、ポリイミド。
Figure 2013181053
(式(1)中、Rは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、又は、−N(CH)CO−であり、Rは炭素数1から炭素数20のアルキレンを表し、ここでアルキレンの任意の−CH−は−CF−、1,2−エテニレン、エチニレン、炭素環、又は、複素環で置き換えられていてもよく、次に挙げるいずれかの基が互いに隣り合わず、且つ、−RO−中のR、及び、O原子と隣り合わない場合において、これらの基に置き換えられてもよい;−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、−N(CH)CO−。Rは炭素数1から炭素数20のアルキル基を表し、ここでアルキル基中の任意の−CH−は1,2−エテニレン、エチニレン、又は、炭素環で置き換えられていてもよく、Rの任意の水素原子はフッ素原子、塩素原子、又は、ニトロ基に置き換えられてもよい。)
2.式(1)において、Rが−COO−である上記1に記載のポリアミック酸、又は、ポリイミド。
3.式(1)において、Rがエチル基である上記1、又は、上記2に記載のポリアミック酸、又は、ポリイミド。
4.式(1)において、Rがエチレン基である上記1から上記3のいずれかに記載のポリアミック酸、又は、ポリイミド。
5.前記テトラカルボン酸二無水物が、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物およびビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種または2種である上記1から上記4のいずれかに記載のポリアミック酸、又は、ポリイミド
6.式(1)で表されるジアミン化合物がジアミン成分中の5〜80モル%である上記1から上記5に記載のポリアミック酸、又は、ポリイミド。
7.式(1)で表されるジアミン化合物。
Figure 2013181053
(式(1)中、Rは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、又は、−N(CH)CO−であり、Rは炭素数1から炭素数20のアルキレンを表し、ここでアルキレンの任意の−CH−は−CF−、1,2−エテニレン、エチニレン、炭素環、又は、複素環で置き換えられていてもよく、次に挙げるいずれかの基が互いに隣り合わず、且つ、−RO−中のR、及び、O原子と隣り合わない場合において、これらの基に置き換えられてもよい;−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、−N(CH)CO−。Rは炭素数1から炭素数20のアルキル基を表し、ここでアルキル基中の任意の−CH−は1,2−エテニレン、エチニレン、又は、炭素環で置き換えられていてもよく、Rの任意の水素原子はフッ素原子、塩素原子、又は、ニトロ基に置き換えられてもよい。)
8.式(1)において、Rが−COO−である上記7に記載のジアミン化合物。
9.式(1)において、Rがエチル基である上記7または上記8に記載のジアミン化合物。
10.式(1)において、Rがエチレン基である上記7から上記9のいずれかに記載のジアミン化合物。
11.式(2)、又は、式(3)で表されるジニトロ化合物。
Figure 2013181053
Figure 2013181053
(式(2)、又は、式(3)中、Rは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、又は、−N(CH)CO−であり、Rは炭素数1から炭素数20のアルキレンを表し、ここでアルキレンの任意の−CH−は−CF−、1,2−エテニレン、エチニレン、炭素環、又は、複素環で置き換えられていてもよく、次に挙げるいずれかの基が互いに隣り合わず、且つ、−RO−中のR、及び、O原子と隣り合わない場合において、これらの基に置き換えられてもよい;−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、−N(CH)CO−。Rは炭素数1から炭素数20のアルキル基を表し、ここでアルキル基中の任意の−CH−は1,2−エテニレン、エチニレン、又は、炭素環で置き換えられていてもよく、Rの任意の水素原子はフッ素原子、塩素原子、又は、ニトロ基に置き換えられてもよい。)
12.式(2)、又は、式(3)において、Rが−COO−である上記11に記載のジニトロ化合物。
13.式(2)、又は、式(3)において、Rがエチル基である上記11または上記12に記載のジニトロ化合物。
14.式(2)、又は、式(3)において、Rがエチレン基である上記11から上記13のいずれかに記載のジニトロ化合物。
本発明のポリイミドは、高い溶解性を示し、かつ、加熱によりメタクリロイル基を生成することができる。本発明のジアミン化合物は、テトラカルボン酸二無水物と反応させることにより、加熱によりメタクリロイル基を生成する官能基を持ち、かつ、溶解性の高いポリイミドを与える。
本願明細書の実施例5で得られた3,5−ジアセトアミド安息香酸2−(2−エトキシカルボニルオキシ−2−メチルプロパノイルオキシ)エチルのTG−DTAチャートである。なお、図1中、ジアセチルアミンは、3,5−ジアセトアミド安息香酸2−(2−エトキシカルボニルオキシ−2−メチルプロパノイルオキシ)エチルを示す、温度は、TG−DTA測定において、当該ジアセチルアミンを加熱した際の温度の推移を表す。
[特定ジアミン化合物]
本発明のポリイミド前駆体ならびにポリイミドは、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリアミック酸、または、該ポリアミック酸を脱水閉環させて得られるポリイミドであり、上記ジアミン成分が下記式(1)で表されるジアミンを含有することを特徴とするポリアミック酸、又は、ポリイミドである。
Figure 2013181053
(式(1)中、Rは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、又は、−N(CH)CO−であり、Rは炭素数1から炭素数20のアルキレンを表し、ここでアルキレンの任意の−CH−は−CF−、1,2−エテニレン、エチニレン、炭素環、又は、複素環で置き換えられていてもよく、次に挙げるいずれかの基が互いに隣り合わず、且つ、−RO−中のR、及び、O原子と隣り合わない場合において、これらの基に置き換えられてもよい;−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、−N(CH)CO−。Rは炭素数1から炭素数20のアルキル基を表し、ここでアルキル基中の任意の−CH−は1,2−エテニレン、エチニレン、又は、炭素環で置き換えられていてもよく、Rの任意の水素原子はフッ素原子、塩素原子、又は、ニトロ基に置き換えられてもよい。)
式(1)中、2つのアミノ基(−NH)の位置は特に限定されない。具体的には、側差の結合基に対して、ベンゼン環上の2,3の位置、2,4の位置、2,5の位置、2,6の位置、3,4の位置、3,5の位置が挙げられる。中でも、ポリアミック酸を合成する際の反応性の観点から、2,4の位置、2,5の位置、又は3,5の位置が好ましい。ジアミン化合物を合成する際の容易性も加味すると、2,4の位置、又は3,5の位置がより好ましい。
式(1)中のRは−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、−N(CH)CO−で表される結合基である。これらの結合基は通常の有機合成的手法で形成させることが出来るが、合成の容易性の観点から、単結合、−O−、−COO−が好ましい。
式(1)中のRは炭素数1から炭素数20のアルキレンを表し、ここでアルキレンの任意の−CH−は−CF−、1,2−エテニレン、エチニレン、炭素環、又は、複素環で置き換えられていてもよく、次に挙げるいずれかの基が互いに隣り合わず、且つ、−R2O−中のR、及び、O原子と隣り合わない場合において、これらの基に置き換えられてもよい;−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、−N(CH)CO−。
炭素環、複素環としては、具体的には以下のような構造が挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2013181053
Figure 2013181053
式(1)中のRは炭素数1から炭素数20のアルキル基を表し、ここでアルキル基中の任意の−CH−は1,2−エテニレン、エチニレン、又は、炭素環で置き換えられていてもよく、Rの任意の水素原子はフッ素原子、塩素原子、又は、ニトロ基に置き換えられてもよい。炭素環の具体例は、Rで示した具体例と同じである。ポリマーの溶解性を高める観点から炭素数1から20のアルキル基が好ましく、さらに、加熱してメタクリロイル基を生成後に脱離する成分が揮発してポリマー中に残存しないことや合成上の容易性を加味すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基およびtert−ブチル基が特に好ましい。
下記式(4)のジアミン化合物は、上記式(1)で表されるジアミン化合物の中でも、最も多く用いられている下記式(5)のメタクリロイル基を持つジアミンと同等の構造を、加熱により生成することから特に好ましい化合物である。
Figure 2013181053
Figure 2013181053

[特定ジアミンの合成方法]
前記式(1)で表されるジアミン化合物を合成する方法は特に限定されないが、例えば下記式(2)で表されるジニトロ化合物を合成し、さらにニトロ基を還元してアミノ基に変換することで得ることができる。
Figure 2013181053
(式(2)中のR、R、及び、Rは式(1)のR、R、及び、Rの定義と同じである)
ニトロ基を還元する方法には、特に制限はないが、例えば、パラジウム−炭素、酸化白金、ラネーニッケル、白金黒、ロジウム−アルミナ、硫化白金炭素、還元鉄、塩化鉄、スズ、塩化スズ、亜鉛などを触媒として用い、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アルコール系溶剤、水などの溶媒中、水素ガス、ヒドラジン、塩化水素、塩化アンモニウムなどによって行う方法がある。
また、式(2)中のR、又は、Rに非芳香族不飽和結合を含む場合には、非芳香族不飽和結合が水素化されない還元反応を用いることができる。非芳香族不飽和結合が水素化されなければ、その方法に特に制限はないが、例えば、還元鉄、塩化鉄、スズ、塩化スズ、亜鉛などを触媒として用い、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アルコール系溶剤、水などの溶媒中、ヒドラジン、塩化水素、塩化アンモニウムなどによって行う方法がある。
式(2)のジニトロ化合物を合成する方法は特に限定されないが、例えば下記式(3)で表されるジニトロ化合物と対応するクロロギ酸アルキル、または、二炭酸ジアルキルを反応させる方法がある。
Figure 2013181053

(式(3)中のR、Rは式(1)のR、Rの定義と同じである)
上記式(3)で表されるジニトロ化合物とクロロギ酸アルキル、又は、二炭酸ジアルキルを反応させる方法は特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンなどの有機アミン、又は、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジドなどの金属アミド、又は、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert-ブチルリチウムなどのアルキルリチウム、又は、水素化ナトリウム、又は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどの無機塩等から選ばれる塩基の存在下、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、アセトニトリル、水などを単独、若しくは、2種以上組み合わせた溶媒中で行う方法がある。
上記式(3)で表されるジニトロ化合物は、下記式(6)で表されるアルコール化合物と、2−ヒドロキシイソ酪酸とを縮合させることにより得られる。
Figure 2013181053
上記縮合の方法としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒中で、酸触媒存在下、生成する水を共沸脱水で除きながら行う方法、DCC(N,N‘−ジシクロヘキシルカルボジイミド)やEDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)のような縮合剤を用いて反応させる方法、式(6)で表されるアルコール化合物と2−ヒドロキシイソ酪酸クロリドを塩基存在下で反応させる方法などが挙げられる。
上記式(6)で表されるアルコール化合物は、通常の有機合成的手法を用いて得ることが出来る。
上記通常の有機合成的手法としては、例えば、ジニトロ安息香酸クロリド化合物とアミノ化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法、アミノ基を有するジニトロベンゼンと酸クロリド等とをアルカリ存在下で反応させる方法、ジニトロ安息香酸クロリド化合物とアルコール化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法、ヒドロキシ基を有するジニトロベンゼンと酸クロリドとをアルカリ存在下で反応させる方法、ハロゲン基を有するジニトロベンゼンとアルコール化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法、ハロゲン基を有するジニトロベンゼンとアミノ化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法、ジニトロフェニルアルキルハライドをアルコールやアミンと反応させる方法、ハロゲン基を有するジニトロベンゼンと、末端がエチレンまたはエチニレンである化合物とのヘック反応や薗頭クロスカップリング反応を利用する方法などが挙げられる。
上記のジニトロ安息香酸クロリド化合物としては、3,5−ジニトロ安息香酸クロリド、2,4−ジニトロ安息香酸クロリドなどが挙げられる。アミノ基を有するニトロベンゼンとしては、2,4−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリンなどが挙げられる。ヒドロキシ基を有するニトロベンゼンとしては、2,4−ジニトロフェノール、3,5−ジニトロフェノール、2,6−ジニトロフェノールなどが挙げられる。ハロゲン基を有するジニトロベンゼンとしては、2,4−ジニトロフルオロベンゼン、3,5−ジニトロフルオロベンゼン、2,6−ジニトロフルオロベンゼン、2,4−ジニトロヨードベンゼン、3,5−ジニトロヨードベンゼン、2,6−ジニトロヨードベンゼンなどが挙げられる。ジニトロフェニルアルキルハライドとしては、3,5−ジニトロベンジルクロリド、2,4−ジニトロベンジルクロリドなどが挙げられる。
[その他のジアミン化合物]
本発明においては、特定ジアミン化合物以外の下記式(7)で表されるその他のジアミン化合物を、ジアミン成分として併用することができる。
Figure 2013181053
式(7)中、Yは2価の有機基であり、特に限定されるものではない。敢えてYの構造の具体例を示すならば、Y−1〜Y−97の構造が挙げられる。
Figure 2013181053
Figure 2013181053
Figure 2013181053
Figure 2013181053
Figure 2013181053
Figure 2013181053
Figure 2013181053
Figure 2013181053
Figure 2013181053
Figure 2013181053
Figure 2013181053
Figure 2013181053
[テトラカルボン酸二無水物]
テトラカルボン酸二無水物は下記式(8)の一般式で表される。
Figure 2013181053


式(8)中、Xは4価の有機基であり、特に限定されるものではない。敢えてXの具体例を示すならば以下に示すX−1〜X−46の構造が挙げられる。
Figure 2013181053
Figure 2013181053
Figure 2013181053
Figure 2013181053
[ポリアミック酸の合成]
本発明のポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物から合成することができる。
Figure 2013181053
具体的には、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを有機溶媒存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜12時間反応させることによって合成することができる。
上記の反応に用いる溶媒は、モノマーおよびポリマーの溶解性からN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。合成時の濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
上記のようにして得られたポリアミック酸は、反応溶液をよく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させて回収することができる。また、析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥することで精製されたポリアミック酸の粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられる。
[分子量]
ポリイミド前駆体の分子量は、ワニスの粘度や、ポリイミド膜の物理的な強度に影響を与える。ワニスの良好な塗布作業性や塗膜の良好な均一性を得るという観点からは重量平均分子量で500,000以下が好ましく、十分な強度のポリイミド膜を得るという観点からは2,000以上が好ましい。同様の観点で、より好ましくは2,000〜300,000であり、さらに好ましくは、5,000〜100,000である。ポリイミド前駆体の分子量は、前記重合反応に用いるジアミン成分とテトラカルボン酸誘導体の比率を調整することで制御できる。この比率としてはモル比で1:0.7〜1.2を例示することができる。このモル比が1:1に近いほど得られるポリイミド前駆体の分子量は大きくなる。
[ポリイミドの合成]
本発明のポリイミドは、前記ポリアミック酸をイミド化することにより合成することができる。ポリアミック酸からポリイミドを合成する方法として簡便なものは、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応で得られた前記ポリアミック酸の溶液に触媒を添加する化学的イミド化であり、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の過程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
化学的イミド化は、イミド化させたい重合体を、有機溶媒中において塩基性触媒と酸無水物の存在下で攪拌することにより行うことができる。有機溶媒としては前述した重合反応時に用いる溶媒を使用することができる。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。また、酸無水物としては無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等を挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。
イミド化反応を行うときの温度は−20〜200℃、好ましくは0〜180℃であり、反応時間は1〜100時間で行うことができる。塩基性触媒の量はアミック酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量はアミック酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。得られる重合体のイミド化率は、触媒量、温度、反応時間を調節することで制御することができる。イミド化反応後の溶液には、添加した触媒等が残存しているので、以下に述べる手段により、得られたイミド化重合体を回収することが好ましい。
上記の方法で得られるポリイミドの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥することで、精製されたポリイミドの粉末を得ることができる。貧溶媒は、ポリマーを析出させるものであれば特に限定されないが、メタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。
[実施例]
以下本発明の実施例によりさらに具体的に説明するが、これらに限定して解釈されるものではない。
以下に本実施例で行った分子量の各測定方法を示す。
H NMR]
装置:フーリエ変換型超伝導核磁気共鳴装置(FT−NMR)INOVA−400(Varian製)400MHz
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d)、又は、重水素化クロロホルム(CDCl
標準物質:テトラメチルシラン(TMS)
積算回数:8、又は、32
[分子量]
ポリマーの分子量はGPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド換算値として数平均分子量を算出した。
GPC装置:昭和電工社製(GPC−101)
カラム:昭和電工社製(KD803、KD805の直列)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・HO)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフランが10mL/L)
流速:1.0mL/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(重量平均分子量(Mw) 約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(ピークトップ分子量(Mp) 約12,000、4,000、1,000)。測定は、ピークが重なるのを避けるため、900,000、100,000、12,000、1,000の4種類を混合したサンプル、および150,000、30,000、4,000の3種類を混合したサンプルの2サンプルを別々に測定。
[イミド化率の測定]
ポリイミド粉末20mgを重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d、0.05%TMS(テトラメチルシラン)混合品)1gに溶解し、HNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するピークを基準とし、9.5−10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するピークの積算値を用い、以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
上記式において、xはアミド酸のNH基に由来するピークの積算値、yは基準とするピークの積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基に由来するピークの積算値に対する基準とするピークの積算値の割合である。
以下に使用した化合物の略号を示した。
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BCS:エチレングリコールモノブチルエーテル
LiHMDS:リチウムヘキサメチルジシラジド
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
BODA:ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物
DDM:ビス(4−アミノフェニル)メタン
BEM−S:3,5−ジアミノ安息香酸 2−メタクリロイルオキシエチル
[ジアミン化合物の合成]
<実施例1> ジアミン化合物(4):3,5−ジアミノ安息香酸 2−(2−エトキシカルボニルオキシ−2−メチルプロパノイルオキシ)エチルの合成
Figure 2013181053
以下に示す3ステップの経路でジアミン化合物(4)を合成した。
Figure 2013181053
エチレングリコール(405g, 6.52mmol)とトリエチルアミン(34.6g, 342mmol)の混合溶液に、3,5−ジニトロベンゾイルクロリド(75.1g, 326mmol)をテトラヒドロフラン(150g)に溶解させた溶液を、3℃で1時間で滴下した。その後、20℃で14時間撹拌後、反応混合物を水(2.20kg)に注ぎ、析出した固体をろ過し、水(75g)で3回、2−プロパノール(75g)で1回洗浄し、乾燥することで3,5−ジニトロ安息香酸2−ヒドロキシエチルを白色固体として得た(収量73.1g, 収率88%)。
H NMR (DMSO−d):δ 9.06 (d, J = 2.4 Hz, 1H, C(NO), 8.99 (d, J = 2.4 Hz, 2H, C(NO), 5.11 (t, J = 6.0 Hz, 1H, OH), 4.42−4.40 (m, 2H, COCH), 3.78−3.74 (m, 2H, CHOH).
Figure 2013181053
3,5−ジニトロ安息香酸2−ヒドロキシエチル(70.6g, 276mmol)をトルエン(706g)に懸濁させ、2−ヒドロキシイソ酪酸(40.2g, 386mmol)、および、ホウ酸(0.853g, 13.8mmol)を加え、114℃で共沸される水をディーンスタークを用いて除きながら21時間撹拌した。その後、5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液(212g)を加え、有機相を分離し、さらに水相を酢酸エチル(71g)で抽出し、有機相と合わせ、濃縮、乾燥することで3,5−ジニトロ安息香酸2−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイルオキシ)エチルを茶色油状物として得た(収量107g、粗収率114%)
H NMR (CDCl):δ 9.26−9,25 (m, 1H, C(NO), 9.16−9.15 (m, 2H, C(NO), 4.72−4.70 (m,2H, CH), 4.60−4.58 (m, 2H, CH), 1.46 (s, 6H, 2CH).
Figure 2013181053
3,5−ジニトロ安息香酸2−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイルオキシ)エチル(108g, 391mmol)をテトラヒドロフラン(330g)に溶解し、−67℃に冷却して1.26mol/LのリチウムヘキサメチルジシラジドTHF溶液(434mL, 547mmol)を30分間で滴下し、10分間撹拌後、クロロギ酸エチル(50.9g、46.9mmol)をテトラヒドロフラン(51.0g)に溶解させた溶液を−53℃で30分間で滴下した。その後、10℃で19時間撹拌し、16重量%の塩化アンモニウム水溶液(258g)を加えて、さらに、酢酸エチル(1.30kg)を加え、有機相を分離し、水(330g)で2回洗浄し、有機相を濃縮、乾燥した。得られた粗物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/2(v/v)、Rf=0.25)で精製し、さらに、酢酸エチル/ヘキサン(1/2、wt/wt)の混合液から再結晶することで3,5−ジニトロ安息香酸2−(2−エトキシカルボニルオキシ−2−メチルプロパノイルオキシ)エチルを得た(収量50.7g, 収率31%)。
H NMR (CDCl):δ 9,24 (5, J = 2.0 Hz, 1H, C(NO), 9.19 (m, J = 2.0 Hz, 2H, C(NO), 4.66−4.64 (m,2H, CH), 4.61−4.59 (m, 2H, CH), 4.10 (q, J = 7.2 Hz, 2H, CHCH), 1.27 (t, J = 7.2 Hz, 3H, CH CH ).
Figure 2013181053
3,5−ジニトロ安息香酸2−(2−エトキシカルボニルオキシ−2−メチルプロパノイルオキシ)エチル(16.8g, 40.9mmol)をテトラヒドロフラン(135g)に溶解させ、5%パラジウム担持カーボン(55%含水品、1.68g)を加え、系内を水素に置換して20℃で3時間撹拌した。その後、反応混合物をろ過し、固体をテトラヒドロフラン(5g)で3回洗浄し、ろ液を濃縮、乾燥することで3,5−ジニトロ安息香酸2−(2−エトキシカルボニルオキシ−2−メチルプロパノイルオキシ)エチルを黄色油状物として得た(収量14.2g, 収率98%)。
H NMR (CDCl):δ 6.78 (t, J = 1.2 Hz, 2H, C (NH), 6.19 (t, J = 2.2 Hz, 1H, C (NH), 4.50−4.45 (m, 4H, OCHCHO), 4.11 (q, J = 5.3 Hz, OCH CH), 3.70 (br, 4H, 2NH), 1.61 (s, 6H, C(CH), 1.25 (t, J = 5.3 Hz, OCH CH ). 13C{H} NMR (CDCl):δ 172.1, 166.5, 153.5, 147.5, 131.6, 106.9, 105.7, 80.0, 64.2, 63.0, 62.3, 24.5, 14.1 (each s).
[ポリアミック酸PAAの合成]
<実施例2>ポリアミック酸PAA−A[CBDA(50)BODA(50)/ジアミン(4)(50)、DDM(50)]の合成
ジアミン化合物(4)(2.2g、6.1mmol)、DDM(1.2g、6.1mol)をNMP(11.4g)に溶解し、BODA(1.5g、6.1mmol)とNMP(1.60g)を加え、80℃に加熱して5時間撹拌し、その後、25℃で16時間撹拌後、CBDA(1.2g、6.0mmol)とNMP(8.01g)の懸濁液と洗浄用にNMP(1.83g)を加え、40℃で3時間
撹拌し、ポリアミック酸Aを合成した。ポリマーの数平均分子量は17,020であった。
<比較例1>ポリアミック酸PAA−B[CBDA(50)BODA(50)/BEM−S(50)、DDM(50)]の合成
BEM−S(1.5g、5.0mmol)、DDM(0.99g、5.0mmol)をNMP(4.39g)に溶解し、BODA(1.3g、5.0mmol)とNMP(1.23g)を加え、80℃に加熱して5時間撹拌し、その後、25℃で16時間撹拌後、CBDA(0.97g、4.9mmol)とNMP(6.14g)の懸濁液と洗浄用にNMP(1.40g)を加え、40℃で3時間撹拌し、ポリアミック酸Bを合成した。ポリマーの数平均分子量は7、353であった。
[ポリイミドPIの合成]
<実施例3>ポリイミドPI−A1の合成
実施例2のポリアミック酸溶液(5.0g)に固形分濃度6重量%になるようにNMPを加え、無水酢酸(0.54g)、ピリジン(0.42g)を加え、室温で30分間撹拌した後、80℃で3時間撹拌した。この溶液を66gのメタノールに注いで、ポリマーを析出させ、吸引ろ過によりポリマーをろ取し、再度メタノール(28g×2回)で洗浄し、100℃で減圧乾燥することで、ポリイミド粉末PI−A1を得た。得られたポリイミドの数平均分子量は20、712であった。また、HNMRから算出したイミド化率は67%であった。
<実施例4>ポリイミドPI−A2の合成
実施例2のポリアミック酸溶液(5.0g)に固形分濃度6重量%になるようにNMPを加え、無水酢酸(1.1g)、ピリジン(0.42g)を加え、室温で30分間撹拌した後、100℃で3時間撹拌した。この溶液を67gのメタノールに注いで、ポリマーを析出させ、吸引ろ過によりポリマーをろ取し、再度メタノール(67g×2回)で洗浄し、100℃で減圧乾燥することで、ポリイミド粉末PI−A2を得た。得られたポリイミドの数平均分子量は18、031であった。また、HNMRから算出したイミド化率は78%であった。
<比較例2>ポリイミドPI−B1の合成
比較例1のポリアミック酸溶液(5.0g)に固形分濃度6重量%になるようにNMPを加え、無水酢酸(0.66g)、ピリジン(0.52g)を加え、室温で30分間撹拌した後、80℃で3時間撹拌した。この溶液を75gのメタノールに注いで、ポリマーを析出させ、吸引ろ過によりポリマーをろ取し、再度メタノール(32g×2回)で洗浄し、100℃で減圧乾燥することで、ポリイミド粉末PI−B1を得た。得られたポリイミドの数平均分子量は7、600であった。また、HNMRから算出したイミド化率は66%であった。
<比較例3>ポリイミドPI−B2の合成
比較例1のポリアミック酸溶液(5.0g)に固形分濃度6重量%になるようにNMPを加え、無水酢酸(1.3g)、ピリジン(0.52g)を加え、室温で30分間撹拌した後、100℃で撹拌した。撹拌開始後、2時間で反応液がゲル化し撹拌不能となった。

実施例2〜4、比較例1〜3の結果を下の表1にまとめた。
Figure 2013181053
80℃でのイミド化率がほぼ同じであることから、PAA−AとPAA−Bは同様のイミド化条件ではイミド化率も同様になることを示している。また、100℃でのイミド化時にPAA−A溶液状態を保ち、PAA−Bはゲル化した。このことから、PAA−AがPAA−Bよりも溶解性が高いことを示している。
<実施例5>モデル化合物:ジアセチルジアミンの合成
Figure 2013181053
3,5−ジアミノ安息香酸2−(2−エトキシカルボニルオキシ−2−メチルプロパノイルオキシ)エチル(0.81g、2.1mmol)をTHF(3.7g)に溶解させ、トリエチルアミン(0.42g、4.1mmol)を加え、0℃に冷却し、塩化アセチル(0.36g、4.1mmol)を加え、30分撹拌した。その後、反応混合物に、水(40g)、及び、酢酸エチル(10g)を加え、有機相を分離し、水(10g×2回)で有機相を洗浄し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮乾燥することで3,5−ジアセトアミド安息香酸2−(2−エトキシカルボニルオキシ−2−メチルプロパノイルオキシ)エチルを白色固体として得た(収量0.81g, 収率90%)。
H NMR (CDCl):δ 8.16 (br, 2H, C (NHAc)), 7.99(s、2H、2NHAc), 7.81 (d, J=2.0Hz, 2H, C (NHAc)), 4.50(s, 4H, OCHCHO), 4.16 (q, J = 7.2 Hz, OCH CH), 2.18 (s, 6H, C(CH), 1.25 (t, J = 7.2 Hz, OCH CH ).
<実施例6>ジアセチルジアミンのTG−DTA測定
実施例5の3,5−ジアセトアミド安息香酸2−(2−エトキシカルボニルオキシ−2−メチルプロパノイルオキシ)エチルのTG−DTA測定を行った。その結果、200℃付近から重量減少が確認された。その後、250℃で60分停滞させ、残渣を取り出してH NMRを測定した結果、エトキシカルボニルオキシ基のピークは消失し、メタクリロイル基の二重結合に帰属されるピークが確認できた。このことから、エトキシカルボニルオキシ基が脱離してメタクリロイル基が生成したことが示された。図1にTG−DTAの測定結果を示した。
本発明のジアミンは溶解性が高く、メタクリロイル基を持つ機能性ポリイミドの原料として有用である。

Claims (14)

  1. ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリアミック酸、または、該ポリアミック酸を脱水閉環させて得られるポリイミドであり、上記ジアミン成分が下記式(1)で表されるジアミンを含有することを特徴とするポリアミック酸、又は、ポリイミド。
    Figure 2013181053

    (式(1)中、Rは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、又は、−N(CH)CO−であり、Rは炭素数1から炭素数20のアルキレンを表し、ここでアルキレンの任意の−CH−は−CF−、1,2−エテニレン、エチニレン、炭素環、又は、複素環で置き換えられていてもよく、次に挙げるいずれかの基が互いに隣り合わず、且つ、−RO−中のR、及び、O原子と隣り合わない場合において、これらの基に置き換えられてもよい;−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、−N(CH)CO−。Rは炭素数1から炭素数20のアルキル基を表し、ここでアルキル基中の任意の−CH−は1,2−エテニレン、エチニレン、又は、炭素環で置き換えられていてもよく、Rの任意の水素原子はフッ素原子、塩素原子、又は、ニトロ基に置き換えられてもよい。)
  2. 式(1)において、Rが−COO−である請求項1に記載のポリアミック酸、又は、ポリイミド。
  3. 式(1)において、Rがエチル基である請求項1、又は、請求項2に記載のポリアミック酸、又は、ポリイミド。
  4. 式(1)において、Rがエチレン基である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポリアミック酸、又は、ポリイミド。
  5. 前記テトラカルボン酸二無水物が、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物およびビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種または2種である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のポリアミック酸、又は、ポリイミド。
  6. 式(1)で表されるジアミン化合物がジアミン成分中の5〜80モル%である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のポリアミック酸、又は、ポリイミド。
  7. 式(1)で表されるジアミン化合物。
    Figure 2013181053

    (式(1)中、Rは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、又は、−N(CH)CO−であり、Rは炭素数1から炭素数20のアルキレンを表し、ここでアルキレンの任意の−CH−は−CF−、1,2−エテニレン、エチニレン、炭素環、又は、複素環で置き換えられていてもよく、次に挙げるいずれかの基が互いに隣り合わず、且つ、−RO−中のR、及び、O原子と隣り合わない場合において、これらの基に置き換えられてもよい;−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、−N(CH)CO−。Rは炭素数1から炭素数20のアルキル基を表し、ここでアルキル基中の任意の−CH−は1,2−エテニレン、エチニレン、又は、炭素環で置き換えられていてもよく、Rの任意の水素原子はフッ素原子、塩素原子、又は、ニトロ基に置き換えられてもよい。)
  8. 式(1)において、Rが−COO−である請求項7に記載のジアミン化合物。
  9. 式(1)において、Rがエチル基である請求項7または8に記載のジアミン化合物。
  10. 式(1)において、Rがエチレン基である請求項7から9のいずれか一項に記載のジアミン化合物。
  11. 式(2)、又は、式(3)で表されるジニトロ化合物。
    Figure 2013181053

    Figure 2013181053

    (式(2),又は、式(3)中、Rは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、又は、−N(CH)CO−であり、Rは炭素数1から炭素数20のアルキレンを表し、ここでアルキレンの任意の−CH−は−CF−、1,2−エテニレン、エチニレン、炭素環、又は、複素環で置き換えられていてもよく、次に挙げるいずれかの基が互いに隣り合わず、且つ、−RO−中のR、及び、O原子と隣り合わない場合において、これらの基に置き換えられてもよい;−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、−N(CH)CO−。Rは炭素数1から炭素数20のアルキル基を表し、ここでアルキル基中の任意の−CH−は1,2−エテニレン、エチニレン、又は、炭素環で置き換えられていてもよく、Rの任意の水素原子はフッ素原子、塩素原子、又は、ニトロ基に置き換えられてもよい。)
  12. 式(2)、又は、式(3)において、Rが−COO−である請求項11に記載のジニトロ化合物。
  13. 式(2)、又は、式(3)において、Rがエチル基である請求項11または12に記載のジニトロ化合物。
  14. 式(2)、又は、式(3)において、Rがエチレン基である請求項11から13のいずれか一項に記載のジニトロ化合物。
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