JP2013178498A - プラズモンチップ - Google Patents

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Abstract

【課題】1つのチップでプラズモン共鳴波長を変更できるプラズモンチップを提供する。
【解決手段】複数本の金属梁11(11a、11b)からなるグレーチング部10と、一端が金属梁11の先端に接続されたサスペンション梁21と、サスペンション梁21の他端を固定するアンカー部22と、一対の電極23、24とを備えており、グレーチング部10は、一方の電極23に接続された金属梁11aと、他方の電極24に接続された金属梁11bとが、交互に所定間隔を開けて平行に配列されて構成されている。一対の電極23、24間に電圧を印加すれば、その金属梁11の間に働く静電引力により、金属梁11同士を接近させることができる。グレーチング部10のギャップを変化させることができ、1つのチップでプラズモン共鳴波長を変更できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズモンチップに関する。さらに詳しくは、金属中の自由電子の集団的振動であるプラズモンを利用した、光学フィルタやセンサなどとして用いられるプラズモンチップに関する。
光の波長程度またはそれ以下の金属微細構造物に光を照射すると局在プラズモン共鳴が生じ、特定の波長の光が透過または反射されることが知られている。また、金属微細構造物の寸法や形状、構造に依存して、透過または反射される光の波長が異なることも知られている。例えば、非特許文献1には、金属微小球対において、様々な微小球間距離における光吸収効率を求めており、微小球間距離が小さくなるにしたがってプラズモン共鳴波長が長波長側にシフトしていくことが記載されている。
一方、近年の微細加工技術の発達に伴い、金属微細構造を高精度で加工することが可能となっており、所望のプラズモン共鳴波長を有するチップを得ることが可能となっている。
しかし、従来のチップは、その金属微細構造が固定されており、1つのチップは特定のプラズモン共鳴波長しか有しないものであった(例えば、特許文献1)。すなわち、1つのチップが透過または反射する光の波長は固定されていた。そのため、透過または反射させる光の波長を変更するためには、チップを交換する必要があった。
特開2010−8990号公報
岡本隆之、梶川浩太郎著、「プラズモニクス‐基礎と応用」講談社、2010年10月1日発行、p.100〜101
本発明は上記事情に鑑み、1つのチップでプラズモン共鳴波長を変更できるプラズモンチップを提供することを目的とする。
第1発明のプラズモンチップは、所定間隔を開けて平行に配列された複数本の金属梁からなるグレーチング部と、前記金属梁同士を接近および/または離間させるアクチュエータと、を備えることを特徴とする。
第2発明のプラズモンチップは、第1発明において、前記アクチュエータは、隣り合う前記金属梁にそれぞれ逆符号および/または同符号の電荷を帯電させ、該金属梁の間に働く静電引力および/または静電斥力により、該金属梁同士を接近および/または離間させるものであることを特徴とする。
第3発明のプラズモンチップは、第2発明において、前記アクチュエータは、一対の電極を備えており、前記グレーチング部は、一方の前記電極に接続された金属梁と、他方の前記電極に接続された金属梁とが、交互に所定間隔を開けて平行に配列されて構成されていることを特徴とする。
第4発明のプラズモンチップは、第3発明において、前記アクチュエータは、一端が前記金属梁の先端に接続されたサスペンション梁と、該サスペンション梁の他端を固定するアンカー部と、を備えていることを特徴とする。
第5発明のプラズモンチップは、第4発明において、前記サスペンション梁は、隣り合う組となる金属梁間のギャップ側に偏って該金属梁の先端に接続されていることを特徴とする。
第1発明によれば、アクチュエータにより金属梁同士を接近および/または離間させるので、グレーチング部のギャップを変化させることができ、1つのチップでプラズモン共鳴波長を変更できる。
第2発明によれば、隣り合う金属梁の間に働く静電引力および/または静電斥力により、金属梁同士を接近および/または離間させるので、アクチュエータを簡易な構造とすることができる。
第3発明によれば、一対の電極間に電圧を印加すれば、隣り合う金属梁にそれぞれ逆符号および/または同符号の電荷を帯電させることができるので、その金属梁の間に働く静電引力および/または静電斥力により、金属梁同士を接近させることができる。
第4発明によれば、金属梁は、その先端に接続されたサスペンション梁で固定されているので、サスペンション梁の弾性力により、隣り合う金属梁の間に働く静電引力の大きさを変化させることで金属梁間のギャップを調整できる。
第5発明によれば、サスペンション梁は、隣り合う組となる金属梁間のギャップ側に偏って金属梁の先端に接続されているので、組となる金属梁の間は、そのうちの一の金属梁と隣の組に属する一の金属梁との間に比べて、サスペンション梁の長さ寸法分だけ接近して対向する部分の長さが長くなる。そのため、組となる金属梁の間に働く静電引力は、そのうちの一の金属梁と隣の組に属する一の金属梁との間に働く静電引力に比べて大きくなり、組となる金属梁同士を接近させることができる。
本発明の一実施形態に係るプラズモンチップの斜視図である。 (a)図1におけるIIa-IIa線矢視断面図、(b)図1におけるIIb-IIb線矢視断面図である。 同プラズモンチップの平面図であって、(a)は電圧を印加していない状態、(b)は電圧を印加した状態を示す図である。 同プラズモンチップの斜視図であって、光が反射または透過した状態を示す図である。 他の実施形態に係るプラズモンチップの平面図である。 さらに他の実施形態に係るプラズモンチップの平面図である。 試料の走査型電子顕微鏡写真であり、(a)は遠景写真、(b)はグレーチング部の拡大写真、(c)はグレーチング部のさらなる拡大写真、(d)サスペンション梁の拡大写真である。 透過型顕微分光光学系の説明図である。 試料の透過光のスペクトルを示すグラフである。 数値計算1、2におけるプラズモンチップの構造の説明図である。 数値計算1により算出されたプラズモンチップの(a)透過光および(b)反射光の、波長400nm〜700nmの領域のスペクトルを示すグラフである。なお、(Gv、Gf)の単位はnmである。 プラズモンチップに(a)共鳴波長の光を入射した場合、および(b)非共鳴波長の光を入射した場合における電界強度分布である。 数値計算2により算出されたプラズモンチップの(a)透過光および(b)反射光の、波長1,100nm〜2,000nmの領域のスペクトルを示すグラフである。なお、(Gv、Gf)の単位はnmである。 数値計算3におけるプラズモンチップの構造の説明図である。 数値計算3により算出されたプラズモンチップの(a)透過光および(b)反射光の、波長400nm〜2,400nmの領域のスペクトルを示すグラフである。なお、(Gv、Gf)の単位はnmである。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の一実施形態に係るプラズモンチップ1は、基板B上に厚さ数十nm〜数百nmの金属薄膜Mを成膜したチップを、集束イオンビームなどにより図1および図2に示す構造に形成した、いわゆるNEMS(Nano Electro Mechanical System)である。ここで、金属薄膜Mとしては、金、銀、アルミニウム、白金、銅、ナトリウムなどが用いられる。
図1に示すように、プラズモンチップ1は、所定間隔を開けて平行に配列された複数本の金属梁11(11a、11b)からなるグレーチング部10と、一端が金属梁11の先端に接続されたサスペンション梁21と、サスペンション梁21の他端を固定するアンカー部22と、一対の電極23、24とから構成されている。なお、サスペンション梁21、アンカー部22、および電極23、24が、特許請求の範囲に記載のアクチュエータに相当する。
金属梁11は、金属薄膜Mで棒状に形成された微細金属梁である。その幅寸法は数百nmであり、光の波長程度またはそれ以下(以下、サブ波長という。)である。また、長さ寸法は数μm〜数十μmである。
この金属梁11が数本〜数百本、所定間隔を開けて平行に配列されてグレーチング部10が構成されている。ここで、隣り合う金属梁11間のギャップは数百nmであり、サブ波長である。
サスペンション梁21は、金属薄膜Mで金属梁11より幅狭の棒状に形成されている。また、サスペンション梁21と金属梁11とは、少なくとも金属薄膜Mが繋がっており、互いに電気的に接続されている。
図2に示すように、基板Bは、金属梁11およびサスペンション梁21の部分が、他の部分例えば電極23、24の部分より薄く形成されている。基板Bは基層b1および表層b2からなる2層構造であり、金属梁11およびサスペンション梁21の部分の基層b1をエッチングにより除去した後、表層b2上に金属薄膜Mを成膜してパターニングすることで、このような形状に形成される。
ここで、基層b1は厚さ100μm程度のシリコンウエハなどが用いられる。また、表層b2は窒化珪素(Si3N4)、炭化珪素(SiC)、二酸化珪素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)などの絶縁体により厚さ100nm程度に形成されている。
アンカー部22は、基板Bによりサスペンション梁21の先端を固定し、かつ隣り合うサスペンション梁21、21同士を絶縁している。また、一本の金属梁11につき、その両端に一対のサスペンション梁21、21が接続されており、そのうちの一方のサスペンション梁21は電極23または電極24に接続され、他方のサスペンション梁21は電極23、24と絶縁されている。すなわち、金属梁11は、サスペンション梁21を介して電極23または電極24の一方に電気的に接続されている。また、一方の電極23に接続された金属梁11aと、他方の電極24に接続された金属梁11bとが、一本ずつ交互に所定間隔を開けて平行に配列されている。そして、隣り合う金属梁11および隣り合うサスペンション梁21は互いに離間しており、それぞれ電極23、24間に掛け渡されている。
電極23、24は、グレーチング部10を挟んで対向した位置に配置されており、それぞれ数十μm〜数百μm四方の矩形である。もちろん、電極23と電極24の間は金属薄膜Mが削られており絶縁されている。この電極23、24には、図示しない電源が接続され、電極23、24間に電圧を印加できるようになっている。
図3(a)に示すように、サスペンション梁21は、その中心軸が金属梁11(11a、11a'、11a''、11b、11b'、11b'')の中心軸とは一致しておらず、幅方向のどちらか一方に偏って金属梁11に接続されている。
より詳細には、電極23に接続された金属梁11a、11a'、11a''と、電極24に接続された金属梁11b、11b'、11b''のうち、隣り合う金属梁11a、11b(11a'、11b')(11a''、11b'')を組とすると、サスペンション梁21はその組となる金属梁11a、11b(11a'、11b')(11a''、11b'')の間のギャップ側に偏って金属梁11の先端に接続されている。図3(a)においては、金属梁11a、11a'、11a''に接続されたサスペンション梁21は右側に偏っており、金属梁11b、11b'、11b''に接続されたサスペンション梁21は左側に偏っている。
そのため、組となる金属梁11a、11bの間は、そのうちの一の金属梁11a(11b)と隣の組に属する一の金属梁11b'(11a'')との間に比べて、サスペンション梁21の長さ寸法分だけ接近して対向する部分の長さが長くなっている。
そこで、例えば図3(b)に示すように、電極23を正極とし、電極24を負極として、電極23、24間に電圧を印加すると、正極23に接続された金属梁11aおよびサスペンション梁21には正電荷が帯電し、負極24に接続された金属梁11bおよびサスペンション梁21には負電荷が帯電する。そうすると、隣り合う金属梁11a、11bにそれぞれ逆符号の電荷を帯電させることができ、その金属梁11a、11bの間に働く静電引力により、金属梁11a、11b同士を接近させることができる。
ここで、属する組が異なる金属梁11a、11b'(11b、11a'')の間にも静電引力が働く。しかし、組となる金属梁11a、11bの間の方が接近して対向する部分の長さが長くなっているため、組となる金属梁11a、11bの間に働く静電引力の方が大きくなる。そのため、組となる金属梁11a、11b同士を接近させることができる。
また、金属梁11は、その先端に接続されたサスペンション梁21で固定されているので、サスペンション梁21の弾性力により、隣り合う金属梁11a、11bの間に働く静電引力の大きさを変化させることで金属梁11a、11b間のギャップを調整できる。すなわち、印加する電圧を調整することにより、金属梁11a、11b間のギャップを調整できる。そして、印加電圧を0にすれば、金属梁11a、11b間のギャップを元に戻すことができる。
前述のごとく、金属梁11の幅寸法はサブ波長であり、隣り合う金属梁11間のギャップもサブ波長である。このように、グレーチング部10は微細な周期構造を有するので、光を照射すると局在プラズモン共鳴が生じ、図4に示すように特定の波長の光Lが透過または反射される。
また、プラズモンチップ1は、隣り合う金属梁11間のギャップを自在に変化させることができるので、グレーチング部10の周期構造を変化させることができ、1つのチップでプラズモン共鳴波長を自在に変更できる。
また、プラズモンチップ1は、隣り合う金属梁11の間に働く静電引力により、金属梁11間のギャップを変化させるので、アクチュエータを簡易な構造とすることができる。
しかも、アクチュエータを含めたチップ全体をNEMSとして形成しているので、スケーリングメリットを活かした低電圧駆動や高速応答、高いフィルファクタが実現可能である。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、サスペンション梁21が幅方向のどちらか一方に偏って金属梁11の先端に接続しているが、図5に示すように、サスペンション梁21の中心軸を金属梁11の中心軸と一致させて金属梁11の先端に接続してもよい。このような構造でも、組となる金属梁11a、11b間のギャップを、そのうちの一の金属梁11a(11b)と隣の組に属する一の金属梁11b'(11a'')との間のギャップに比べて狭く形成すれば、組となる金属梁11a、11bの間に働く静電引力が大きくなるので、組となる金属梁11a、11b同士を接近させることができる。
また、図6に示すように、一方の電極23に接続された金属梁11a(11b’、11b'')と、他方の電極24に接続された金属梁11b(11a’、11a'')とが、2本ずつ交互に配列された構造としてもよい。このような構造にすれば、組となる金属梁11a、11bには、それぞれ逆符号の電荷が帯電し静電引力が働く。一方、一の金属梁11a(11b)と隣の組に属する一の金属梁11b'(11a'')には、それぞれ同符号の電荷が帯電し静電斥力が働く。そのため、金属梁11を等間隔に配列したとしても、一の金属梁11a(11b)と隣の組に属する一の金属梁11b'(11a'')とを離間させるとともに、組となる金属梁11a、11bを接近させることができる。
また、金属梁11a、11b同士を接近離間させるアクチュエータとしては、隣り合う金属梁11間に働く静電引力や静電斥力を利用したもの以外にも、グレーチング部10を圧縮および/または伸長させる外力を働かせ、金属梁11a、11b同士を接近および/または離間させるアクチュエータを採用してもよい。
また、上記実施形態では、金属梁11の両端にサスペンション梁21が接続されているが、サスペンション梁21を設けず、金属梁11の両端を直接アンカー部22に固定してもよい。このような構成でも金属梁11の弾性力により、金属梁11a、11b間のギャップを調整できる。ただし、サスペンション梁21を設けたほうが、より金属梁11a、11bの間隔が変化しやすく、可変領域も広くなるので好ましい。
つぎに、実施例について説明する。
(試料試験)
まず、図1に示すプラズモンチップ1に相当する試料を作成した。
始めに、イオンビームスパッタを用いて、10-5Paの真空条件下で、基層として厚さ100μmのシリコンウエハおよび表層として厚さ100nmの窒化珪素(Si3N4)からなる基板上に厚さ300nmの金薄膜を成膜した。つぎに、集束イオンビームを用いて、図1に示すプラズモンチップ1の構造を作製した。ここで、金属梁11の幅寸法、および隣り合う金属梁11間のギャップを、それぞれ400nmとした。また組となる金属梁11a、11bを22組形成した。また、電極23、24を100μm四方の矩形に形成した。
図7に、作成した試料を走査型電子顕微鏡で確認した結果を示す。
図7に示すように、所望の構造、寸法を有するプラズモンチップを得ることができた。
つぎに、図8に示す透過型顕微分光光学系を用いて、作成した試料に光を照射し、その透過光を観側した。
より詳細には、顕微鏡下に試料を配置し、TM偏光保持したハロゲン光を明視野系において照射した。そして、試料の透過光を紫外可視マルチチャンネル分光器により観測した。ここで、試料の電極23、24間には、ファンクションジェネレータを用いて1V刻みで1V〜10Vの電圧を印加した。
図9に、上記透過型顕微分光光学系を用いて観測した試料の透過光のスペクトルを示す。
図9に示すように、波長420nmから510nmの領域において共鳴ピークが得られることが分かった。この共鳴ピークは、印加電圧が大きくなる(金属梁間のギャップが小さくなる)に従い長波長側へ最大100nm程度シフトすることが分かった。
(数値計算1)
つぎに、2次元有限差分時間領域法を用いた数値計算によりプラズモンチップの光学特性を評価した。
図10に示すように、数値計算におけるプラズモンチップの構造を、厚さ100nmの窒化珪素(Si3N4)の基板上に厚さ300nmの金薄膜が形成された構造とした。ここで、金の誘電率として、A.D.Rakicらの実験データ(Rakic, A. D., Djurisic, A.
B., Elazar, J. M. & Majewski, M. L. Optical Properties of Metallic Films
for Vertical-Cavity Optoelectronic Devices. Appl. Opt. 37, 5271-5283 (1998))をドルーデ・ローレンツモデルで表現したものを用いた。また、波長619.9nmのときの窒化珪素(Si3N4)の誘電率を、実部4.08、虚部0.00とした。また、金属梁の幅寸法Mwを400nmとし、組となる金属梁を22組とした。また、金属梁間のギャップ幅として、組となる金属梁間のギャップ幅を可変ギャップGvとし、組と組の間のギャップ幅を固定ギャップGfとした。
プラズモンチップの金薄膜側からTM偏光させた光を入射させた。入射光の偏光方向は金属梁の幅方向(x方向)とした。この入射光のスポット径(半値幅)は、金属梁の幅方向(x方向)に11.6μm、金属梁の長手方向(y方向)に無限とした。
そして、可変ギャップGvを400nm〜0nmの間で40nm間隔で変化させるとともに、固定ギャップGfを800nm-Gvとして、それぞれの条件におけるプラズモンチップの透過光および反射光のスペクトルを遠方解により算出した。
なお、2次元有限差分時間領域法におけるメッシュ間隔は、金属梁の幅方向(x方向)および金属梁の厚み方向(z方向)にそれぞれ10nmとした。
図11に、数値計算により算出したプラズモンチップの透過光および反射光のスペクトルを示す。
図11(a)に示すように、波長500nmから650nmの領域の透過光スペクトルにおいて共鳴ピークが得られた。この共鳴ピークは、可変ギャップGvが小さくなる(印加電圧が大きくなることに相当する)に従い長波長側へシフトすることが分かった(図11(b)参照)。
以上のように、試料試験と数値計算の双方において、共鳴ピークのレッドシフトが確認された。
つぎに、可変ギャップGvが200nm、固定ギャップGfが600nmの場合において、共鳴波長583.10nmの光(図11(b)におけるα)を入射した場合、および非共鳴波長482.56nmの光(図11(b)におけるβ)を入射した場合における電界強度分布を数値計算により求めた。
図12(a)に共鳴波長の光を入射した場合の電界強度分布、図12(b)に非共鳴波長の光を入射した場合の電界強度分布を示す。なお、スケールバーは電界強度を示し、黒色はその最小値を、白色はその最大値を表す。また、電界強度分布内で示す白矢印は、ある瞬間における電気力線の方向を示す。
図12(a)に示すように、共鳴波長の光を入射した場合には、金属端、固定ギャップGf側の側面、および金属-基板界面に大きな電界増強が見られた。また、電気力線が金属表面へ垂直に生じていることから、金属表面において電荷の粗密波が形成され、表面プラズモンが励起されていることが分かる。また、金属界面にて、電気力線が密になることから、金属端において強い電場増強を形成したことが裏付けられる。
一方、図12(b)に示すように、非共鳴波長の光を入射した場合には、金属界面に大きな電界増強は見られなかった。しかし、電気力線が金属表面へ垂直に生じており、共鳴波長から外れても弱い光共鳴を持ったと考えられる。ただし、金属内への光吸収が少しでもあれば、非共鳴波長でも光共鳴を有することは想像される。
以上より、試料試験および数値計算において確認された共鳴ピークはプラズモン共鳴ピークであることが確認された。これにより、プラズモン共鳴ピークのレッドシフトが確認された。そして、本発明に係るプラズモンチップが1つのチップでプラズモン共鳴波長を変更できることが明らかとなった。
なお、試料試験と数値計算において、透過光スペクトルに若干の違いが見られるが、これは、試料における金属梁の角の削れや、金属梁やギャップの若干のばらつきに起因すると考えられる。
(数値計算2)
上記2次元有限差分時間領域法を用いた数値計算1において、可変ギャップGvを400nm〜0nmの間で40nm間隔で変化させるとともに、固定ギャップGfを800nm-Gvとして、それぞれの条件におけるプラズモンチップの透過光スペクトルおよび反射光スペクトルの赤外領域(波長1,100nm〜2,000nm)を算出した。その余の条件は、数値計算1と同様である。
その結果、図13に示すように、透過光スペクトルおよび反射光スペクトル共に、波長1,700nm〜1,900nmの領域において、Q値の高い共鳴ピークが現れることが分かった。しかも、この共鳴ピークは可変ギャップGvが小さくなるに従い短波長側へシフトすることが分かった。なお、この共鳴ピークはWood’s anomalyという異常回折であることが考えられる。
以上より、本発明に係るプラズモンチップは、異常回折による共鳴ピークも変更できることが明らかとなった。
(数値計算3)
図14に示すように、上記2次元有限差分時間領域法を用いた数値計算1において、入射光の偏光方向を金属梁の長手方向(y方向)とし、可変ギャップGvを400nm〜0nmの間で40nm間隔で変化させるとともに、固定ギャップGfを800nm-Gvとして、それぞれの条件におけるプラズモンチップの透過光スペクトルおよび反射光スペクトルを算出した。その余の条件は、数値計算1と同様である。
その結果、図15(a)に示すように、透過光スペクトルにおいては、可変ギャップGvが小さくなるに従い波長1,600nm付近の領域にピークが表れ、透過率が約0%から約65%まで上昇することが確認された。また、図15(b)に示すように、反射光スペクトルにおいては、可変ギャップGvが大きくなるに従い波長1,000nm〜1,600nmの領域の反射率が約10%から約90%まで上昇することが確認された。
以上より、本発明に係るプラズモンチップは、特定波長の光の透過および反射のオン・オフを制御可能であり、光シャッタとして利用できることが確認された。なお、数値計算3における構造のプラズモンチップ(図14参照)では、光ファイバーなどで用いられる光通信波長帯である1,260〜1,625nmの領域の光の制御が可能である。構造条件や金属の種類を選択することで、その他の波長領域の光を制御可能にすることもできる。
本発明に係るプラズモンチップは、光学フィルタ、光波数変調器、レーザー、センサ、光シャッタ、ナノ光集積回路中のフィルタや、導波路、スイッチなどに利用される。
本プラズモンチップは、光学フィルタとして利用した場合、1つのチップで透過光または反射光の色を変更できる。また、構造条件と金属の種類を適切に選択することで、紫外可視光領域から赤外光領域まで幅広い波長帯域においてフィルタが可能となる。
また、光波数変調器として利用した場合、1つのチップで任意の変調を行うことができる。
また、センサとして利用した場合、金属梁のギャップ間隔に依存する電場増強効果を利用することができる。
また、光シャッタとして利用した場合、特定波長の光の透過および反射のオン・オフを制御可能である。
また、ナノ光集積回路に用いた場合、エレクトロニクスと同等またはそれ以上の高速周波数応答が予想される。特に、赤外領域のQ値の高い共鳴ピークはスイッチに利用することができる。なお、表面プラズモンは、光の回折限界以下の領域に光エネルギーを閉じ込めることから、光デバイスをCMOS回路と同サイズに小型化する要素技術として利用でき、また単一試料での共鳴ピーク波長の可変が可能であることから更なる高集積・高性能化が可能となる。
1 プラズモンチップ
10 グレーチング部
11(11a、11b) 金属梁
21 サスペンション梁
22 アンカー部
23、24 電極

Claims (5)

  1. 所定間隔を開けて平行に配列された複数本の金属梁からなるグレーチング部と、
    前記金属梁同士を接近および/または離間させるアクチュエータと、を備える
    ことを特徴とするプラズモンチップ。
  2. 前記アクチュエータは、隣り合う前記金属梁にそれぞれ逆符号および/または同符号の電荷を帯電させ、該金属梁の間に働く静電引力および/または静電斥力により、該金属梁同士を接近および/または離間させるものである
    ことを特徴とする請求項1記載のプラズモンチップ。
  3. 前記アクチュエータは、一対の電極を備えており、
    前記グレーチング部は、一方の前記電極に接続された金属梁と、他方の前記電極に接続された金属梁とが、交互に所定間隔を開けて平行に配列されて構成されている
    ことを特徴とする請求項2記載のプラズモンチップ。
  4. 前記アクチュエータは、
    一端が前記金属梁の先端に接続されたサスペンション梁と、
    該サスペンション梁の他端を固定するアンカー部と、を備えている
    ことを特徴とする請求項3記載のプラズモンチップ。
  5. 前記サスペンション梁は、隣り合う組となる金属梁間のギャップ側に偏って該金属梁の先端に接続されている
    ことを特徴とする請求項4記載のプラズモンチップ。
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