JP2013178497A - 光ファイバ、及びレーザ加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 加工精度の低下を抑制可能な光ファイバ、及びレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】 光ファイバ4のコア40は順に配置された第1の領域41、第2の領域42及び第3の領域43を含む。第2の領域42の屈折率は、第1の領域41及び第3の領域43の屈折率よりも小さい。光ファイバ4よれば、入射端4aから入射したレーザ光Lのうちの主に第1の領域41を導波する成分と、第3の領域43を導波する成分とによって、出射されるレーザ光Lの出力に分布を生じさせることが可能となる。よって、光ファイバ4によれば、加工対象物6の加工に際して複数のレーザ光を重畳させる必要がないので、加工精度の低下を抑制することが可能となる。
【選択図】図2
【解決手段】 光ファイバ4のコア40は順に配置された第1の領域41、第2の領域42及び第3の領域43を含む。第2の領域42の屈折率は、第1の領域41及び第3の領域43の屈折率よりも小さい。光ファイバ4よれば、入射端4aから入射したレーザ光Lのうちの主に第1の領域41を導波する成分と、第3の領域43を導波する成分とによって、出射されるレーザ光Lの出力に分布を生じさせることが可能となる。よって、光ファイバ4によれば、加工対象物6の加工に際して複数のレーザ光を重畳させる必要がないので、加工精度の低下を抑制することが可能となる。
【選択図】図2
Description
本発明は、光ファイバ、及びレーザ加工装置に関する。
特許文献1には、低エネルギー密度のレーザ光と高エネルギー密度のレーザ光とを用いて被加工物の加工を行うレーザスポット溶接方法が記載されている。このレーザスポット溶接方法においては、まず、低エネルギー密度のレーザ光を被加工物に照射している間に、高エネルギー密度のレーザ光を被加工物に照射することによって被加工物に穴を形成する。このとき、2つのレーザ光は互いに重畳されている。続いて、このレーザスポット溶接方法においては、穴が形成された被加工物に対して低エネルギー密度のレーザ光を単独で照射することにより、当該穴の内部でそのレーザ光を多重散乱させて、被加工物を溶融させている。
特許文献1に記載の方法は、上述したように、低エネルギー密度のレーザと高エネルギー密度のレーザとを重畳して照射する工程と、低エネルギー密度のレーザ光のみを照射する工程とを順に実施することによって、純銅や純アルミ等の高反射率材料に対する加工品質の安定化を図っている。しかしながら、複数のレーザ光の重畳を高精度に行うことは一般に困難であるため、特許文献1に記載の方法では、加工精度が低下するおそれがある。
本発明は、そのような事情に鑑みてなされたものであり、加工精度の低下を抑制可能な光ファイバ、及びレーザ加工装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る光ファイバは、入射端に入射したレーザ光を導波して出射端から出射する光ファイバであって、入射端から出射端に向かう所定の方向に沿って延びるコアと、コアを覆うクラッドと、を備え、コアは、所定の方向に沿って延びる第1の領域と、第1の領域を覆う第2の領域と、第2の領域を覆う第3の領域とを含み、第2の領域の屈折率は、第1の領域の屈折率、及び第3の領域の屈折率よりも小さい、ことを特徴とする。
この光ファイバはコアとクラッドとを備え、コアは第1〜3の領域を含む。そして、第1の領域と第3の領域との間に位置する第2の領域の屈折率が、第1及び第3の領域の屈折率よりも小さい。このため、この光ファイバよれば、入射端から入射したレーザ光のうち、第1の領域を導波した成分の出力と、第3の領域を含む領域を導波した成分の出力とを互いに異ならせることが可能となる。その結果、例えば、出射端から出射したレーザ光のうちの相対的に高出力の成分によって加工対象物に加工開始点を形成し、相対的に低出力の成分によって加工対象物の本加工を行うといった加工が可能となるので、加工対象物が加工レーザ光に対して高反射率の材料であっても、安定した加工を行うことが可能となる。よって、この光ファイバによれば、加工対象物の加工に際して複数のレーザ光を重畳させる必要がないので、加工精度の低下を抑制することが可能となる。
本発明に係る光ファイバにおいては、所定の方向に直交する方向についての第2の領域の幅を、5μm以上50μm以下とすることができる。この場合、第2の領域の幅が5μm以上であるので、第1の領域と第3の領域との間の光学的な分離が必要十分に行える。また、第2の領域の幅が50μm以下であるので、第1の領域を導波した光と第3の領域を含む領域を導波した光との間の境界が出射端において顕在化することを避けることができる。
本発明に係る光ファイバにおいては、第1の領域及び/又は第3の領域は、塩素を0.2wt%以上含む純シリカからなるものとすることができる。
本発明に係る光ファイバにおいては、第1の領域の開口数を、第3の領域の開口数以下にすることができる。この場合、第3の領域から出射される光の強度を確保することができる。
本発明に係る光ファイバにおいては、第1の領域は、純シリカからなり、第2の領域は、フッ素を含むシリカからなり、第3の領域は、純シリカ又はフッ素を含むシリカからなり、クラッドは、フッ素を含むシリカからなるものとすることができる。この場合、所望の屈折率プロファイルを正確に形成することが可能となると共に、低ロス且つ割れにくくコアを構成することができる。なお、ここでの純シリカは、塩素を微量に含有する場合を含む。
本発明に係る光ファイバにおいては、第1の領域の断面形状は、楕円、正方形、及び長方形のいずれかであり、第2の領域の断面形状は、楕円、正方形、及び長方形のいずれかであり、第3の領域の断面形状は、楕円、正方形、及び長方形のいずれかであるものとすることができる。
本発明に係る光ファイバにおいては、第1の領域の断面形状は、円、楕円、正方形、及び長方形のいずれかであり、第2の領域の断面形状は、円、楕円、正方形、及び長方形のいずれかであり、第3の領域の断面形状は、円、楕円、正方形、及び長方形のいずれかであり、第1の領域の断面形状と前記第2の領域の断面形状とは、互いに同一であり、第3の領域の断面形状は、第1の領域の断面形状及び第2の領域の断面形状と異なるものとすることができる。
ここで、上記課題を解決するために、本発明に係るレーザ加工装置は、レーザ光の照射により加工対象物の加工を行うためのレーザ加工装置であって、上記の光ファイバと、レーザ光を出力するレーザ光源と、レーザ光源から出力されたレーザ光を光ファイバの入射端から光ファイバに入射させるための入射側光学系と、光ファイバの出射端から出射されたレーザ光を加工対象物に照射するための出射側光学系と、を備えることを特徴とする。このレーザ加工装置は、上述した光ファイバを備えている。したがって、このレーザ加工装置によれば、加工精度の低下を抑制することができる。
本発明に係るレーザ加工装置においては、入射側光学系は、入射端におけるレーザ光の開口数が、第1の領域の開口数と第3の領域の開口数との間の値となるようにレーザ光を第1の領域に集光しつつ、レーザ光を光ファイバに入射させることができる。この場合、光ファイバの第1の領域に入射したレーザ光の一部を第3の領域に漏出させることにより、第3の領域から出射される光の強度を確保することができる。
本発明に係るレーザ加工装置においては、入射側光学系は、入射端におけるレーザ光のビームスポットを第1の領域と第3の領域とにまたがるように位置させつつ、レーザ光を光ファイバに入射させることができる。この場合、例えばレーザ光を第1の領域に集光する場合に比べて、加工に必要な出力を維持しつつ光ファイバの入射端に照射するレーザ光の密度を相対的に低くすることが可能となる。したがって、光ファイバの入射端の損傷を抑制することが可能となる。
上記のレーザ加工装置は、入射端におけるレーザ光のビームスポットを第3の領域の外径以下の範囲において変化させることにより、第1の領域から出射するレーザ光の強度と第3の領域から出射するレーザ光の強度との比率を調整するビームスポット調整ユニットをさらに備えることができる。このような構成とすれば、加工用途に応じたビームプロファイルの調整が容易である。
本発明に係るレーザ加工装置においては、ビームスポット調整ユニットは、ビームエキスパンダの挿抜機構を備えることができる。
本発明によれば、加工精度の低下を抑制可能な光ファイバ、及びレーザ加工装置を提供することができる。
以下、本発明に係る光ファイバ、及びレーザ加工装置の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の図面においては、同一又は相当する要素には、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面中の寸法比率は、実際のものと異なる場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係るレーザ加工装置の概略構成を示す図である。図1に示されるように、本実施形態に係るレーザ加工装置1は、レーザ光源2、入射側レンズ(入射側光学系)3、光ファイバ4、及び出射側レンズ(出射側光学系)5を備えている。入射側レンズ3、光ファイバ4、及びレンズ5は、レーザ光源2から出力されるレーザ光Lの光軸に沿ってこの順で配置されている。
レーザ光源2は、加工対象物6を加工するためのレーザ光Lを出力する。入射側レンズ3は、レーザ光源2から出力されたレーザ光Lを光ファイバ4の入射端4aから光ファイバ4に入射させる。光ファイバ4は、入射端4aから入射した光を導波して出射端4bから出射する。出射側レンズ5は、光ファイバ4の出射端4bから出射されたレーザ光Lを加工対象物6の所定の加工位置に結像して照射する。なお、光ファイバ4は、レーザ加工用の光ファイバであって、入射端4a及び出射端4bのそれぞれにコネクタ(不図示)が取り付けられた状態で保持されている。
図2を参照して光ファイバ4の詳細について説明する。図2の(a)部は、光ファイバ4の入射端4aから出射端4bに向かう方向(レーザ光Lの光軸の方向:所定の方向)に直交する面に沿っての光ファイバ4の断面図である。図2の(a)部に示されるように、光ファイバ4は、入射端4aから出射端4bに向かう方向に沿って延びる断面略円形状のコア40と、コア40を覆う断面略円環状のクラッド50とを有している。なお、図2の(a)部においては、クラッド50の外側に設けられる被覆材が省略されている。
コア40は、光ファイバ4の径方向内側から外側に向かって順に配置された第1の領域41、第2の領域42、及び第3の領域43を含む。第1の領域41、第2の領域42、及び第3の領域43は、それぞれ、入射端4aから出射端4bに向かう方向に沿って延びている。第1の領域41は、断面略円形状を呈している。第2の領域42は、断面略円環状を呈しており、第1の領域41を覆っている。第3の領域43は、断面略円環状を呈しており、第2の領域42を覆っている。
第1の領域41は、例えば純シリカ(純シリカガラス)からなる。第1の領域41の直径D1は、例えば150μm程度である。第2の領域42は、例えば、フッ素を含むシリカ(シリカガラス)からなる。第2の領域42の外径D2は、例えば210μm程度である。したがって、入射端4aから出射端4bに向かう方向に直交する方向(光ファイバ4の径方向)についての第2の領域42の幅W2は、例えば30μm程度である。
第3の領域43は、例えば純シリカ(純シリカガラス)(又はフッ素含むシリカ(シリカガラス))からなる。第3の領域43の外径D3は、例えば600μm程度である。したがって、第3の領域43の断面積は、第1の領域41の断面積よりも大きい。なお、ここでの「純シリカ」は、塩素を微量(例えば0.5wt%(フッ素を含まない純シリカの屈折率を基準(0.0%)としたときの比屈折率差にして0.08%)程度)を含有する場合を含む。なお、クラッド50は、フッ素を含むシリカ(シリカガラス)からなり、その外径D5は、例えば1000μm程度である。
図2の(b)部は、入射端4aから出射端4bに向かう方向に直交する断面における光ファイバ4の屈折率プロファイルを示すグラフである。図2の(b)部においては、塩素を含まない純シリカの屈折率を基準(0.0%)としたときの比屈折率差△nによって、光ファイバ4の屈折率プロファイルを示している。図2の(b)部に示されるように、第1の領域41の比屈折率差△nは、例えば0.03%程度(塩素含有量にして0.2wt%)である。なお、第1の領域41の屈折率は、図2の(a)部に示される断面内において略一定である。
第2の領域42の比屈折率差△nは、例えば−0.2%程度である。第3の領域43の比屈折率差△nは、第1の領域41の比屈折率差△nと略同一であり、例えば0.03%程度である。したがって、第2の領域42の屈折率は、第1の領域41の屈折率及び第3の領域43の屈折率よりも小さい。なお、第3の領域43の屈折率は、図2の(a)部に示される断面内において略一定である。また、ここでは、第1の領域41及び第3の領域43の屈折率は、第1の領域41及び第3の領域43を構成する純シリカが微量の塩素を含むことに起因して、塩素を含まない純シリカに比べて若干大きくなっている。
クラッド50の比屈折率差△nは、例えば−0.7%程度である。したがって、第2の領域42の屈折率はクラッド50の屈折率よりも大きい。また、ここでは、図2の(c)部に示されるように、第2の領域42及びクラッド50のシリカにフッ素を添加して屈折率を相対的に小さくすることにより、上記のような屈折率プロファイルを形成している。
このように、第2の領域42及びクラッド50にフッ素を添加することにより屈折率を相対的に小さくして上記の屈折率プロファイルを形成すれば、例えばゲルマニウムを第1の領域41及び第3の領域43に添加することにより第1の領域41及び第3の領域43の屈折率を相対的に大きくして上記の屈折率プロファイルを形成する場合と比較して、正確な屈折率プロファイルを形成することができる。特に、この場合には、レーザ光Lが主に導波する第1の領域41及び第3の領域43を純シリカにより構成することが可能となるので、ロスを低減することが可能となる。
また、このように第1の領域41や第3の領域43に微量(例えば0.2wt%以上0.5wt%以下程度)の塩素を添加することで、塩素を添加しない場合に比べて高屈折率部の最大屈折率を大きくできるので、第2の領域42及びクラッド50にフッ素を添加して形成する低屈折率部と組み合わせる場合に、実現できる最大開口数NAを大きくできる。
さらに、本実施形態においては、第2の領域42の幅W2を5μm以上とすることで、第1の領域41と第3の領域43との光学的な分離を実現できるが、この場合、入射端4aにおいてはフッ素が添加された一定以上の断面積を有する第2の領域42にも比較的パワー密度の高いレーザ光を照射することになる。このとき、フッ素の添加量に応じて第2の領域42、又は第2の領域42とその隣接領域との両側界面において損傷が発生することがある。これに対して、上記のように、第1の領域41や第3の領域43に微量の塩素を添加して屈折率を大きくすることで、第2の領域42のフッ素の添加量を減らすことが可能となる。よって、高出力レーザ光をファイバ端部に入射する場合、ファイバ全体として耐損傷性が向上する。
ここで、第1の領域41の開口数NA(第1の領域41と第2の領域42とで規定される開口数NA)は、0.05〜0.15の範囲とすることができ、例えば0.10程度である。また、第3の領域43の開口数NA(第3の領域43とクラッド50とで規定される開口数NA)は、0.15〜0.25の範囲とすることができ、例えば0.18程度である。したがって、第1の領域41の開口数NAは、第3の領域43の開口数NA以下である。
以上のように構成される光ファイバ4に対して、レーザ加工装置1においては、次のようにレーザ光Lを入射させる。すなわち、図3の(a)部に示されるように、レーザ加工装置1の入射側レンズ3は、レーザ光源2から出力されたレーザ光Lを、光ファイバ4の入射端4aにおいて第1の領域41に集光しつつ光ファイバ4に入射させる。光ファイバ4の入射端4aにおけるレーザ光Lの開口数NAは、例えば、0.06程度といったように第1の領域41の開口数NA及び第3の領域43の開口数NAよりも小さくしてもよいし、0.12程度といったように第1の領域41の開口数NAと第3の領域43の開口数NAとの間の値としてもよい。
以上のようなレーザ加工装置1においては、第1の領域41に入射したレーザ光Lの一部を第3の領域43に漏出させつつ、レーザ光Lが光ファイバ4を導波することとなるので、光ファイバ4の出射端4bにおいて図3の(b)部に示されるようなプロファイルを有するレーザ光Lを得ることができる。より具体的には、第1の領域41に入射したレーザ光Lのうち、断面積が相対的に小さい第1の領域41を導波した成分P1の出力が相対的に高くなり、断面積が相対的に大きい第3の領域43を含む領域を導波した成分P2の出力が相対的に低くなる。
その結果、光ファイバ4の出射端4bから出射したレーザ光Lのうちの相対的に高出力の成分P1によって加工対象物6に加工開始点を形成し、相対的に低出力の成分P2によって加工対象物6の本加工を行うといった加工が可能となる。よって、レーザ加工装置1(光ファイバ4)によれば、加工対象物6の加工に際して複数のレーザ光を重畳させる必要がないので、加工精度の低下を抑制することが可能となる。また、加工対象物が加工レーザ光(レーザ光L)に対して高反射率の材料であっても、安定した加工を行うことが可能となる。
また、光ファイバ4のコア40が、第1の領域41の屈折率、及び第3の領域43の屈折率よりも小さい屈折率を有する第2の領域42を含むので、第3の領域43とその外周のクラッド50、及び、第1の領域41と第2の領域42の双方に十分な屈折率差を付与することができる。そのため、光ファイバ4に曲げが加わったとしてもレーザ光Lが漏れることを防止でき、安全性の高いレーザ加工装置の提供に資することができる。
さらに、第2の領域42の屈折率を相対的に低下させることにより、第1の領域41及び第3の領域43の屈折率が相対的に大きい屈折率プロファイルを形成するので、屈折率プロファイル全体における最大屈折率と最小屈折率との差を抑えながら、第1の領域41及び第3の領域43がより広い範囲の開口数NAを持つ光ファイバを製造できる。これにより、純シリカへ添加物を過剰に加えることなく、製造上の純シリカへの添加物量の制約範囲内において、より広い屈折率分布を実現できる。
なお、図3の(b)部に示されるプロファイルは、光ファイバ4に入射するレーザ光Lの波長を1064nmとし、光ファイバ4の入射端4aにおけるレーザ光Lの開口数NAを0.06とし、光ファイバ4の入射端4aにおけるレーザ光Lのビーム径を40μmとしたときに得られたものである。
ここで、一般に、複数のレーザ光を重畳する場合には、装置構成が複雑で大掛かりなものとなる。これに対して、レーザ加工装置1(光ファイバ4)によれば、加工対象物6の加工に際して複数のレーザ光を重畳する必要がないので、装置構成が複雑で大掛かりなものとなることを避けることが可能となる。
以上の実施形態は、本発明に係る光ファイバ及びレーザ加工装置の一実施形態を説明したものである。したがって、本発明に係る光ファイバ及びレーザ加工装置は、上述した光ファイバ4及びレーザ加工装置1に限定されない。本発明に係る光ファイバ及びレーザ加工装置は、特許請求の範囲に記された各請求項の要旨を変更しない範囲において、上述した光ファイバ4及びレーザ加工装置1を任意に変形したものとすることができる。
例えば、レーザ加工装置1におけるレーザ光Lの光ファイバ4への入射の態様は上述したものに限定されない。すなわち、レーザ加工装置1においては、図4の(a)部に示されるようにレーザ光Lを光ファイバ4へ入射させることができる。この場合には、入射側レンズ3は、レーザ光源2から出力されたレーザ光Lのビームスポットを光ファイバ4の入射端4aにおいて第1の領域41と第3の領域43とにまたがるように位置させつつ、レーザ光Lを光ファイバ4に入射させる。特に、この場合には、入射側レンズ3によりレーザ光Lのディフォーカスを行うことによって、レーザ光Lのビームスポットを、光ファイバ4の入射端4aにおいて第1の領域41の全体を含みつつ第3の領域43にまたがるように位置させる。
このようにレーザ光Lを光ファイバ4に入射させることにより、例えば図3の(a)部に示される態様によってレーザ光Lを光ファイバ4に入射させる場合と比較して、第3の領域43を導波するレーザ光Lの成分が増加する。それにより、図4の(b)部に示されるように、低出力の成分P2の出力が増大されたプロファイルを有するレーザ光Lを得ることができる。
このため、例えば図3の(a)部に示される態様によってレーザ光Lを光ファイバ4に入射させる場合と比較して、加工対象物6の加工に必要なレーザ光Lの出力を維持しつつ光ファイバ4の入射端4aに照射するレーザ光Lの密度を相対的に低くすることが可能となる。したがって、この場合には、光ファイバ4の入射端4aの損傷を抑制することが可能となる。
なお、図4の(b)部に示されるプロファイルは、光ファイバ4に入射するレーザ光Lの波長を1064nmとし、光ファイバ4の入射端4aにおけるレーザ光Lの開口数NAを0.06とし、光ファイバ4の入射端4aにおけるレーザ光Lのビーム径を500μmとしたときに得られたものである。
ここで、このようなレーザ加工装置1は、光ファイバ4の入射端4aにおけるレーザ光Lのビームスポットを、第2の領域42の外径D2より大きく、且つ、第3の領域43の外径以下の範囲において変化させることにより、第1の領域41から出射するレーザ光の出力強度と第3の領域43から出射するレーザ光の出力強度の比率を調整するビームスポット調整ユニットをさらに備えることができる。
ビームスポット調整ユニットは、入射端4aにおけるレーザ光Lのビームスポット径を変化させるものであり、例えば、入射側光学系が含む集光レンズ等の集光光学系(ここでは入射側レンズ3)と光ファイバ4の入射端4aとの距離を調整することによって、入射端4aにおけるレーザ光Lのビームスポットの大きさを変化させる制御部7(図5の(a)部参照)や、ビームエキスパンダ8(図5の(b)部参照)等である。
図5の(a)部に示されるように、制御部7は、光ファイバ4の入射端4aにおけるレーザ光Lのビームスポット径を変化させるように、入射側光学系を調整する。より具体的には、制御部7は、例えば、光ファイバ4の入射端4aに対する入射側レンズ3の位置を、レーザ光Lの光軸に沿って(すなわち図中の矢印Aの方向に沿って)調整する。
これにより、光ファイバ4の入射端4aにおいて、第1の領域41に入射するレーザ光の強度と第3の領域43に入射するレーザ光の強度との比率を調整することができ、出射端4bにおいて第1の領域41から出射するレーザ光の出力強度と、第3の領域43から出射するレーザ光の出力強度の比率を調整することができる。
その結果、第1の領域41から出射するレーザ光の出力強度と第3の領域43から出射するレーザ光の出力強度との所望の比率、及び、それに対応する入射側光学系の設定条件(例えば、入射側レンズ3と入射端4aとの距離)を示す情報を事前に取得して記憶部に格納しておけば、その格納された情報に基づいて加工用途に応じた当該比率の設定を行うことが容易となる。
図5の(b)部に示されるビームエキスパンダ8は、例えば、図6に示されるようなレンズ系である。より具体的には、ビームエキスパンダ8としては、図6の(a)部に示されるように、入射したレーザ光Lを拡大する凹レンズを採用してもよいし、図6の(b)部に示されるように、入射したレーザ光Lの開口数NAを大きく変換し、結像させた後に拡大するレンズ系を採用してもよい。ここで、ビームスポット調整ユニットは、このようなビームエキスパンダ8をレーザ光Lの光路に対して挿抜する挿抜機構をさらに備えることができる。
以上のようにすれば、入射側光学系の設定を変更することなく、光ファイバ4の入射端4aにおけるレーザ光Lのビームスポット径を変化させることができので、加工用途に応じたビームプロファイルの調整が容易である。
レーザ加工装置1におけるレーザ光Lの光ファイバ4への入射の態様は、上記の態様に限定されない。例えば、レーザ加工装置1においては、レーザ光Lのビームスポットを、光ファイバ4の入射端4aにおいて第1の領域41の一部のみを含みつつ第1の領域41と第3の領域43とにまたがるように位置させてレーザ光Lを光ファイバ4に入射させることができる。このように、レーザ加工装置1においては、所望するレーザ光Lの出力のプロファイルに応じて、任意の態様によってレーザ光Lを光ファイバ4に入射させることができる。
また、光ファイバ4の屈折率プロファイルとして、図2の(b)部に示される態様を例示したが、光ファイバ4の屈折率プロファイルはこれに限定されない。例えば、図2の(b)部においては、第1の領域41の比屈折率差△nと第3の領域43の比屈折率差△nとを略同一であるものとしたが、第1の領域41の比屈折率差△nを第3の領域43の比屈折率差△nよりも小さくしてもよいし、第3の領域43の比屈折率差△nを第1の領域41の比屈折率差△nよりも小さくしてもよい。
また、光ファイバ4の各部の寸法は、上述したものに限定されない。例えば、図2の(a)部に示される断面において、第1の領域41の直径D1を50μm程度とし、第2の領域42の外径D2を80μm程度とし、第3の領域43の外径D3を200μm程度とすることができる。この場合には、入射端4aから出射端4bに向かう方向に直交する方向についての第2の領域42の幅W2は、例えば15μm程度となる。このように、光ファイバ4の各部の寸法は、レーザ加工に適した範囲において任意に設定することが可能であるが、第2の領域42の幅W2は、5μm以上50μm以下の範囲であることが好ましい。
また、光ファイバ4の第3の領域43から外側に漏れた光によって被覆材に損傷が生じることを防止する目的から、例えば、クラッド50の屈折率よりも小さい屈折率の領域(例えば断面環状の低屈折率領域(トレンチ)や、物理的な穴等)をクラッド50の中に設けたり、或いは、クラッド50の外側にさらに別のクラッドを形成したりすることができる。
さらに、光ファイバ4のコア40の断面形状は、円形状に限定されず、例えば、楕円形状や矩形状とすることができる。その場合には、第1の領域41の断面形状は楕円形状や矩形状となり、第2の領域42及び第3の領域43の断面形状は楕円環状や矩形環状となる。図7にコア40の断面形状の例を示す。図7の(a)は、コア40の断面形状が楕円形状である例であり、図7の(b)は、コア40の断面形状が矩形状である場合の例である。図7の(a)の例では、第1の領域41の断面形状は楕円であり、第2の領域42及び第3の領域の断面形状も楕円(楕円環状)である。また、図7の(b)の例では、第1の領域41の断面形状は長方形であり、第2の領域42及び第3の領域43の断面形状も長方形(長方形環状)である。なお、図7の(b)の例において、長軸と短軸の長さの比は任意とすることができる。つまり、コア40の断面形状は正方形であってもよい。
図8にコア40の断面形状の他の例を示す。図8に示されるように、コア40においては、第1の領域41の断面形状(第2の領域42の断面形状)と第3の領域43の断面形状とが互い異なっていてもよい。図8の(a)の例では、第1の領域41の断面形状及び第2の領域42の断面形状が円形(円環状)であり、第3の領域43の断面形状(断面の外形)が矩形(正方形)である。また、図8の(b)の例では、第1の領域41の断面形状及び第2の領域42の断面形状が正方形(正方形環状)であり、第3の領域43の断面形状(断面の外形)が円形である。
図7及び図8に示した各領域41〜43の断面形状及びその組み合わせは一例であり、加工対象物6の形状や加工目的に応じて適宜選択することができる。例えば、コア40においては、第1の領域41の断面形状は、円、楕円、正方形、及び長方形のいずれかから選択され、第2の領域42の断面形状は、円、楕円、正方形、及び長方形のいずれかから選択され、第3の領域43の断面形状は、円、楕円、正方形、及び長方形のいずれかから選択され得る。そして、第1の領域41の断面形状と第2の領域42の断面形状とは、互いに同一とすることができ、第3の領域43の断面形状は、第1の領域41の断面形状及び第2の領域42の断面形状と異ならせることができる。
特に、第1の領域41の断面形状と第3の領域43の断面形状が異なる場合、第2の領域42の断面形状は、第1の領域41の断面形状と同様の形状であることが好ましく、第2の領域42の幅W2は、5μm以上50μm以下であることが好ましい。このようにすることで、第1の領域41と第3の領域43との間の光学的な分離を必要十分に行いつつ、出射端4bにおいて第2の領域42による境界の顕在化を避けることができる。このようなコア断面形状とすることで、出射されるビームの断面強度プロファイルもコア断面形状に応じた形状が得られる。したがって、加工対象物6に応じたコア断面形状とすることにより、より精度の高い効率的な加工が実現される。
1…レーザ加工装置、2…レーザ光源、3…入射側レンズ、4…光ファイバ、4a…入射端、4b…出射端、5…出射側レンズ、6…加工対象物、41…第1の領域、42…第2の領域、43…第3の領域、50…クラッド、L…レーザ光。
Claims (12)
- 入射端に入射したレーザ光を導波して出射端から出射する光ファイバであって、
前記入射端から前記出射端に向かう所定の方向に沿って延びるコアと、
前記コアを覆うクラッドと、を備え、
前記コアは、前記所定の方向に沿って延びる第1の領域と、前記第1の領域を覆う第2の領域と、前記第2の領域を覆う第3の領域とを含み、
前記第2の領域の屈折率は、前記第1の領域の屈折率、及び前記第3の領域の屈折率よりも小さい、ことを特徴とする光ファイバ。 - 前記所定の方向に直交する方向についての前記第2の領域の幅は、5μm以上50μm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
- 前記第1の領域及び/又は第3の領域は、塩素を0.2wt%以上含む純シリカからなる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバ。
- 前記第1の領域の開口数は、前記第3の領域の開口数以下である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ファイバ。
- 前記第1の領域は、純シリカからなり、
前記第2の領域は、フッ素を含むシリカからなり、
前記第3の領域は、純シリカ又はフッ素を含むシリカからなり、
前記クラッドは、フッ素を含むシリカからなる、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光ファイバ。 - 前記第1の領域の断面形状は、楕円、正方形、及び長方形のいずれかであり、
前記第2の領域の断面形状は、楕円、正方形、及び長方形のいずれかであり、
前記第3の領域の断面形状は、楕円、正方形、及び長方形のいずれかである、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光ファイバ。 - 前記第1の領域の断面形状は、円、楕円、正方形、及び長方形のいずれかであり、
前記第2の領域の断面形状は、円、楕円、正方形、及び長方形のいずれかであり、
前記第3の領域の断面形状は、円、楕円、正方形、及び長方形のいずれかであり、
前記第1の領域の断面形状と前記第2の領域の断面形状とは、互いに同一であり、
前記第3の領域の断面形状は、前記第1の領域の断面形状及び前記第2の領域の断面形状と異なる、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光ファイバ。 - レーザ光の照射により加工対象物の加工を行うためのレーザ加工装置であって、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の光ファイバと、
前記レーザ光を出力するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出力された前記レーザ光を前記光ファイバの前記入射端から前記光ファイバに入射させるための入射側光学系と、
前記光ファイバの前記出射端から出射された前記レーザ光を前記加工対象物に照射するための出射側光学系と、
を備えることを特徴とするレーザ加工装置。 - 前記入射側光学系は、前記入射端における前記レーザ光の開口数が、前記第1の領域の開口数と前記第3の領域の開口数との間の値となるように前記レーザ光を前記第1の領域に集光しつつ、前記レーザ光を前記光ファイバに入射させる、ことを特徴とする請求項8に記載のレーザ加工装置。
- 前記入射側光学系は、前記入射端における前記レーザ光のビームスポットを前記第1の領域と前記第3の領域とにまたがるように位置させつつ、前記レーザ光を前記光ファイバに入射させる、ことを特徴とする請求項8に記載のレーザ加工装置。
- 前記入射端における前記レーザ光のビームスポットを前記第3の領域の外径以下の範囲において変化させることにより、前記第1の領域から出射するレーザ光の強度と前記第3の領域から出射するレーザ光の強度との比率を調整するビームスポット調整ユニットをさらに備える、ことを特徴とする請求項10に記載のレーザ加工装置。
- 前記ビームスポット調整ユニットは、ビームエキスパンダの挿抜機構を備える、ことを特徴とする請求項11に記載のレーザ加工装置。
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