JP2013178303A - テラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子及びその作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】物理的に安定し、製造が容易で低コストで、高精度なテラヘルツ領域のワイヤーグリッド偏光子を提供する。
【解決手段】ワイヤーグリッドが形成されたポーラスシリコン膜を偏光子として用いる。P型シリコン基板表面に対して陽極化成法によってポーラスシリコン膜を作製する。ポーラスシリコン膜に対してインプリント加工を行い、ミクロンオーダーのラインアンドスペース構造を形成する。ラインアンドスペース構造のエッジ部分に対して斜め蒸着により、銀などの金属もしくは金属化合物を堆積させてワイヤーグリッドを形成する。上記の手順によって、ポーラスシリコン膜にワイヤーグリッドが形成されたテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子を作製する。
【選択図】図3
【解決手段】ワイヤーグリッドが形成されたポーラスシリコン膜を偏光子として用いる。P型シリコン基板表面に対して陽極化成法によってポーラスシリコン膜を作製する。ポーラスシリコン膜に対してインプリント加工を行い、ミクロンオーダーのラインアンドスペース構造を形成する。ラインアンドスペース構造のエッジ部分に対して斜め蒸着により、銀などの金属もしくは金属化合物を堆積させてワイヤーグリッドを形成する。上記の手順によって、ポーラスシリコン膜にワイヤーグリッドが形成されたテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子を作製する。
【選択図】図3
Description
本発明は、テラヘルツ領域で動作する偏光子及びその作製方法に関するものである。
近年、テラヘルツ技術の発展に伴って、テラヘルツ波を制御するデバイスの開発が求められている。
従来から、テラヘルツ領域で動作する偏光子としてはワイヤーグリッド偏光子が知られている。ワイヤーグリッド偏光子は、金属ワイヤーの長手方向に垂直な偏光の光を透過し、金属ワイヤーの長手方向に平行な偏光の光を反射する素子であり、ビームスプリッター等に用いられている。従来のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子は、金属ワイヤーを周期的に巻きつけた構造であり、物理的に脆く、高価であり、また精度が低いといった問題がある。
従来から、テラヘルツ領域で動作する偏光子としてはワイヤーグリッド偏光子が知られている。ワイヤーグリッド偏光子は、金属ワイヤーの長手方向に垂直な偏光の光を透過し、金属ワイヤーの長手方向に平行な偏光の光を反射する素子であり、ビームスプリッター等に用いられている。従来のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子は、金属ワイヤーを周期的に巻きつけた構造であり、物理的に脆く、高価であり、また精度が低いといった問題がある。
また、通常、テラヘルツ帯で動作するためには、金属ワイヤーの直径は10〜300μm程度、ピッチは30μm〜1mm程度が必要であるため、張力によって金属ワイヤーが切れたり、金属ワイヤーの間隔が不揃いとなりやすく、製造が困難で製造コストが高いといった問題がある。
上記状況に鑑みて、本発明は、物理的に安定し、製造が容易で低コストで、高精度なテラヘルツ領域のワイヤーグリッド偏光子を提供することを目的とする。
本発明のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子は、ポーラスシリコン膜にワイヤーグリッドが形成されたことを特徴とする。これにより、物理的に安定し、製造が容易で低コストで、高精度なテラヘルツ領域のワイヤーグリッド偏光子を提供できる。
上記のポーラスシリコン膜は、サブマイクロメートルオーダーあるいはマイクロメートルオーダーのラインアンドスペース構造を有する。ラインアンドスペース構造は、凸部あるいは凹部の形状が、直方体型もしくは三角柱型など様々な形状がある。
上記のポーラスシリコン膜は、サブマイクロメートルオーダーあるいはマイクロメートルオーダーのラインアンドスペース構造を有する。ラインアンドスペース構造は、凸部あるいは凹部の形状が、直方体型もしくは三角柱型など様々な形状がある。
上記のラインアンドスペース構造は、インプリント加工により形成されたことが好ましい。ポーラスシリコン膜のインプリント加工は、大気中、室温で行うことが可能である。このため、作製コスト面において非常に優れている。また、インプリント加工を用いることにより、所望のサイズのラインアンドスペース構造を容易かつ精度よく形成することができ、目的とする偏光子を容易に作製することができる。
ここで、上記のポーラスシリコン膜の厚さは2〜50μmである。ポーラスシリコン膜の厚さが2μm未満の場合、インプリントの深さの制御が難しい。また、ポーラスシリコン膜の厚さが50μmより厚くなれば、均一なポーラスシリコン膜を作製するのが困難になる。膜剥離が生じ易くなる。ポーラスシリコン膜の厚さは、より好ましくは、5〜35μmであり、さらに好ましくは10〜20μmである。
また、ポーラスシリコン膜のポロシティは40〜85%である。ポーラスシリコン膜のポロシティが40%未満の場合、強度が高くシリコン基板と同様にインプリント加工が難しい。また、ポーラスシリコン膜のポロシティが85%より大きくなれば、膜が所々でボロボロになり均一な膜を作製するのが困難になる。すなわち、均一な膜を作製でき、かつ、インプリント加工が可能な強度を有するポーラスシリコン膜は、所定範囲のポロシティであることが必要なのである。このポーラスシリコン膜のポロシティは、ポーラスシリコン膜を陽極化成法により作製する際のエッチング電流密度により制御できる。エッチング電流密度が大きいとポロシティも大きくなり、エッチング電流密度が小さいとポロシティも小さくなる。ここで、ポロシティは、より好ましくは50〜80%であり、さらに好ましくは、60〜75%である。
また、ポーラスシリコン膜のポアサイズ(直径)が、1μm未満である。ポーラスシリコン膜のポアサイズ(直径)は数ナノ〜数100ナノであり、1μm以上になると、テラヘルツ波の散乱が生じ易くなり、テラヘルツ帯の透過率が低下する。
また、ポーラスシリコン膜において、アルミニウム(Al)またはボロン(B)の少なくとも1つが添加されており、ポーラスシリコン膜中のアルミニウム濃度とボロン濃度の和は、1019/cm3以下であることが好ましい。アルミニウムまたはボロンを添加することにより、均一なポーラスシリコン膜の作製が容易になる。但し、ポーラスシリコン膜中のアルミニウム濃度とボロン濃度の和は、1019/cm3以下に制御する。ポーラスシリコン膜中のアルミニウム濃度とボロン濃度の和が1019/cm3より大きい場合、テラヘルツ波の透過率が減少するからである。ポーラスシリコン膜中のアルミニウム濃度とボロン濃度の和はより好ましくは1017/cm3以下、さらに好ましくは1015/cm3以下である。
また、ポーラスシリコン膜がシリコン基板上に形成され、該シリコン基板は、基板抵抗値5Ωcm以上、基板厚み800μm以下であることが好ましい。シリコン基板は、抵抗値が5Ωcm以上の場合、テラヘルツ波の透過性に優れる。ポーラスシリコン膜は、膜中のアルミニウム濃度とボロン濃度の和が1019/cm3以下である場合、テラヘルツ領域において透明であるが、ポーラスシリコン膜はシリコン基板上に作製されることから、テラヘルツ波の透過性に優れたシリコン基板を用いる必要がある。そのため、抵抗値が5Ωcm以上のシリコン基板を用いることにし、透過性を向上すべくシリコン基板の厚みを800μm以下にする。基板の厚みはより好ましくは400μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。
次に、本発明のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子の作製方法について説明する。
本発明の偏光子の作製方法は、以下の1)〜3)のステップを少なくとも備える。
1)P型シリコン基板表面に対して陽極化成法によってポーラスシリコン膜を作製する。
2)ポーラスシリコン膜に対してインプリント加工を行い、サブマイクロメートルオーダーあるいはマイクロメートルオーダーのラインアンドスペース構造を形成する。
3)ラインアンドスペース構造のエッジ部分に対して斜め蒸着により金属もしくは金属化合物を堆積させてワイヤーグリッドを形成する。
本発明の偏光子の作製方法は、以下の1)〜3)のステップを少なくとも備える。
1)P型シリコン基板表面に対して陽極化成法によってポーラスシリコン膜を作製する。
2)ポーラスシリコン膜に対してインプリント加工を行い、サブマイクロメートルオーダーあるいはマイクロメートルオーダーのラインアンドスペース構造を形成する。
3)ラインアンドスペース構造のエッジ部分に対して斜め蒸着により金属もしくは金属化合物を堆積させてワイヤーグリッドを形成する。
ここで、上記2)のラインアンドスペース構造を形成するステップにおいて、インプリント加工のプレス圧、ポーラスシリコン膜のポロシティ、ポーラスシリコン膜の厚みのうち1以上を制御することにより、インプリント加工されたポーラスシリコン膜の表面形状を制御する。なお、ポーラスシリコン膜のポロシティは、ポーラスシリコン膜とシリコン基板の間の屈折率差による干渉スペクトルから算定できる。
また、上記3)のワイヤーグリッドを形成するステップにおいて、斜め蒸着の蒸着角度、蒸着時間、蒸着時の電流値のうち1以上を制御することにより、ワイヤーグリッドの形状を制御する。斜め蒸着角度、蒸着時間、蒸着時の電流値のいずれか若しくは全てを制御し、ワイヤーグリッド形状の最適化を行う。
また、本発明の偏光子の作製方法において、ポーラスシリコン膜に、アルミニウム濃度とボロン濃度の和が1019/cm3以下に制御されていることが好ましい。アルミニウムまたはボロンを添加することにより、均一なポーラスシリコン膜の製造が容易になる。但し、テラヘルツ波の透過率の減少を防ぐために、ポーラスシリコン膜中のアルミニウム濃度とボロン濃度の和は、1019/cm3以下に制御する。ポーラスシリコン膜中のアルミニウム濃度とボロン濃度の和はより好ましくは1017/cm3以下、さらに好ましくは1015/cm3以下である。
本発明のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子によれば、物理的に安定し、従来よりも製造が容易で安価であり、消光比が高いといった効果を有する。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
図1は、実施例1のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子の構造説明図である。
本発明のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子1の構造は、シリコン基板2にポーラスシリコン膜3が形成されたものである。ポーラスシリコン膜3表面にラインアンドスペース構造があり、ラインの一方のエッジ部分に銀5のワイヤーが設けられている。ラインの一方のエッジ部分に設けられた複数本の銀5のワイヤーがワイヤーグリッドを形成している。
本発明のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子1の構造は、シリコン基板2にポーラスシリコン膜3が形成されたものである。ポーラスシリコン膜3表面にラインアンドスペース構造があり、ラインの一方のエッジ部分に銀5のワイヤーが設けられている。ラインの一方のエッジ部分に設けられた複数本の銀5のワイヤーがワイヤーグリッドを形成している。
ここで、ワイヤーグリッド偏光子の原理について、図2を参照して説明する。図2に示すように、ワイヤーグリッド偏光子1は、特定波長の光に対して透明な透明基板10上に形成されたワイヤーグリッド4で構成される。特定波長の光がワイヤーグリッド偏光子1を通過する際、ワイヤーグリッド4の長手方向に対して垂直方向から入射する特定波長の光は透過光11となる。一方、ワイヤーグリッド4の長手方向に対して並行方向から入射する特定波長の光は反射光12となる。
次に、本発明のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子の作製方法について、図3のフローチャートを参照して説明する。
先ず、所定厚さのP型シリコン基板を準備する(ステップS01)。P型シリコン基板表面を陽極化成することにより、P型シリコン基板表面にポーラスシリコン膜を作製する。具体的には、フッ酸(HF)とエタノールの混合溶液中で電流を流しながらP型シリコン基板をエッチング加工する(ステップS02)。
先ず、所定厚さのP型シリコン基板を準備する(ステップS01)。P型シリコン基板表面を陽極化成することにより、P型シリコン基板表面にポーラスシリコン膜を作製する。具体的には、フッ酸(HF)とエタノールの混合溶液中で電流を流しながらP型シリコン基板をエッチング加工する(ステップS02)。
所定の電流密度で所定時間だけエッチングし(ステップS03)、シリコン基板表面にポーラスシリコン膜を作製する(ステップS04)。エッチング時間やエッチング電流密度などエッチング条件を制御することにより、ポーラスシリコン膜の厚さを制御できる。本実施例では、エッチング電流密度は80(mA/cm2)とし、エッチング時間を変えて、1,10,40,50,60(μm)の5種類の厚さのポーラスシリコン膜を作製した。
エッチング電流密度が80(mA/cm2)の場合、ポーラスシリコン膜のポロシティは、74.21%であった。参考までに、エッチング電流密度が60(mA/cm2)の場合、71.92%であり、エッチング電流密度が100(mA/cm2)の場合、ポロシティの測定が困難な程、ポーラスシリコン膜がボロボロになった。
なお、P型シリコン基板を用いるのは陽極化成法に適しているためである。N型シリコン基板を用いて、他の方法によってポーラスシリコン膜を作製しても構わない。
エッチング電流密度が80(mA/cm2)の場合、ポーラスシリコン膜のポロシティは、74.21%であった。参考までに、エッチング電流密度が60(mA/cm2)の場合、71.92%であり、エッチング電流密度が100(mA/cm2)の場合、ポロシティの測定が困難な程、ポーラスシリコン膜がボロボロになった。
なお、P型シリコン基板を用いるのは陽極化成法に適しているためである。N型シリコン基板を用いて、他の方法によってポーラスシリコン膜を作製しても構わない。
次に、ポーラスシリコン膜に対してインプリント加工する(ステップS05)。
上記5種類の厚さの各ポーラスシリコン膜に対して、インプリント加工を用いて、ラインアンドスペース構造を形成した。なお、ポーラスシリコン膜のインプリント加工は、ミクロな物理破壊によって型が形成されるため、ポーラスシリコン膜のインプリント加工は室温大気中で行うことが可能である。
インプリント加工は、ポーラスシリコン膜をインプリント加工の金型に入れて行った。具体的には、インプリントの金型には石英モールドを用いて、油圧ハンドプレスによってポーラスシリコン膜のインプリント加工を行った。図4(1)に示すように、シリコン基板2上に形成したポーラスシリコン膜3に対して、インプリント用スタンプ6を矢印Aの方向にプレスし、ラインアンドスペース構造を形成した。油圧ハンドプレスの代替として、サーボプレス機を用いて、プレス圧、プレス時間等の精密な制御を行ってインプリント加工をしてもよい。
上記5種類の厚さの各ポーラスシリコン膜に対して、インプリント加工を用いて、ラインアンドスペース構造を形成した。なお、ポーラスシリコン膜のインプリント加工は、ミクロな物理破壊によって型が形成されるため、ポーラスシリコン膜のインプリント加工は室温大気中で行うことが可能である。
インプリント加工は、ポーラスシリコン膜をインプリント加工の金型に入れて行った。具体的には、インプリントの金型には石英モールドを用いて、油圧ハンドプレスによってポーラスシリコン膜のインプリント加工を行った。図4(1)に示すように、シリコン基板2上に形成したポーラスシリコン膜3に対して、インプリント用スタンプ6を矢印Aの方向にプレスし、ラインアンドスペース構造を形成した。油圧ハンドプレスの代替として、サーボプレス機を用いて、プレス圧、プレス時間等の精密な制御を行ってインプリント加工をしてもよい。
上記ステップS05のインプリント加工により、ポーラスシリコン膜表面にラインアンドスペース構造を形成する(ステップS06)。ライン深さとライン幅の比に特に限定はないが、好ましくは、ライン深さ/ライン幅比が0.5以上になるようにする。これはラインのエッジ部分に選択的に金属を蒸着させやすくするためである。
ここで、ポーラスシリコン膜を作製し、インプリント加工を行った一例の結果を図5に示す。図5(a)はポーラスシリコン膜を上面から観察したSEM画像、図5(b)は断面のSEM画像である。ライン幅10μm、スペース幅10μmのラインアンドスペース構造を比較的精度よくインプリント加工できていることが観察できる。
インプリント加工によって、ポーラスシリコン膜表面にラインアンドスペース構造を形成した後、ラインアンドスペース構造のエッジ部分に対して銀を斜め蒸着する(ステップS07)。具体的には、図4(2)に示すように、ラインアンドスペース構造が形成されたポーラスシリコン膜3を、蒸着源である銀に対して斜めになるように、サンプルホルダーにセットして斜め方向(図4(2)中の矢印B方向)から銀を蒸着することにより、ラインアンドスペース構造のエッジ部分にのみ銀5を堆積させた。
図6に示すように、ポーラスシリコン膜3表面にラインアンドスペース構造が形成され、そのエッジ部分に銀5が蒸着してワイヤーグリッドを形成する。図6中のaがワイヤーの幅となり、bがワイヤー間隔となる。cはラインアンドスペース構造のライン間隔である。
所定時間、銀を斜め蒸着すると(ステップS08)、銀5が堆積した部分がワイヤーグリッドになり、ポーラスシリコン膜表面にワイヤーグリッドが形成される(ステップS09)。
図6に示すように、ポーラスシリコン膜3表面にラインアンドスペース構造が形成され、そのエッジ部分に銀5が蒸着してワイヤーグリッドを形成する。図6中のaがワイヤーの幅となり、bがワイヤー間隔となる。cはラインアンドスペース構造のライン間隔である。
所定時間、銀を斜め蒸着すると(ステップS08)、銀5が堆積した部分がワイヤーグリッドになり、ポーラスシリコン膜表面にワイヤーグリッドが形成される(ステップS09)。
上述のステップを経て、テラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子が完成する(ステップS10)。
ポーラスシリコン膜の膜表面に作製したワイヤーグリッドを用いて、テラヘルツ波の偏光子特性を評価した。具体的には、図7に示すように、ワイヤーに対して偏光方向が垂直な場合(θ=0°)の透過率(Tmax)と、平行な場合(θ=90°)の透過率(Tmin)の比(消光比)の測定を行って評価を行った。消光比の測定は、フーリエ変換型赤外分光を用いて行った。
ポーラスシリコン膜の膜表面に作製したワイヤーグリッドを用いて、テラヘルツ波の偏光子特性を評価した。具体的には、図7に示すように、ワイヤーに対して偏光方向が垂直な場合(θ=0°)の透過率(Tmax)と、平行な場合(θ=90°)の透過率(Tmin)の比(消光比)の測定を行って評価を行った。消光比の測定は、フーリエ変換型赤外分光を用いて行った。
図8は、基板厚み600(μm)のシリコン基板の場合の2.5〜12.5THzのテラヘルツ波の透過率の測定グラフである。図8には、シリコン基板の基板抵抗値が10.7〜15(Ωcm)の測定グラフと、基板抵抗値が0.02(Ωcm)の測定グラフがあり、基板抵抗値10.7〜15(Ωcm)の場合、2.5〜12.5THzのテラヘルツ領域全てに対して、透過率が50(%)程度であることが判る。一方で、基板抵抗値0.02(Ωcm)の場合、2.5〜12.5THzのテラヘルツ領域全てに対して、透過率が0(%)程度であることが判る。図8から、シリコン基板の基板抵抗値が10.7〜15(Ωcm)の場合が、基板抵抗値が0.02(Ωcm)の場合よりも、テラヘルツ波の透過率が格段に優れていることが判る。
また、インプリント加工した際のプレス圧とポーラスシリコン膜の膜厚との関係について、下表1に示す。インプリント加工のプレス圧は1,2,3(KN/cm2)の3種類、ポーラスシリコン膜の膜厚は1,10,40,50,60(μm)の5種類に対して、それぞれ1μmの深さのインプリント加工を施した後、ポーラスシリコン膜に実際に形成された深さ(μm)を測定した。
表1から、ポーラスシリコン膜の膜厚が1μmではインプリントの深さの制御が難しいことが判る。また、ポーラスシリコン膜の厚さが60μmでは、シリコン基板から膜剥離が生じることが判る。また、ポーラスシリコン膜の厚さが40μmや50μmでは、プレス圧に関わらず、均一なポーラスシリコン膜を作製できている。
表1から、ポーラスシリコン膜の膜厚が1μmではインプリントの深さの制御が難しいことが判る。また、ポーラスシリコン膜の厚さが60μmでは、シリコン基板から膜剥離が生じることが判る。また、ポーラスシリコン膜の厚さが40μmや50μmでは、プレス圧に関わらず、均一なポーラスシリコン膜を作製できている。
図9は、表1の内容をプロットしたもので、インプリントのプレス圧に対するポーラスシリコン膜に形成された深さを示すグラフである。横軸はインプリント加工した際のプレス圧(N)、縦軸はポーラスシリコン膜に形成された深さ(μm)を表している。インプリント加工のプレス圧1K,2K,3Kに対して、ポーラスシリコン膜の膜厚1,10,40,50,60(μm)それぞれに形成された深さ(μm)が示されている。
下表2に、ワイヤーに対して偏光方向が垂直な場合の透過率(Tmax)、平行な場合の透過率(Tmin)、消光比の評価結果を示す。ここで、消光比(dB)は、下記数式1により定義される。
シリコン基板には抵抗値10.7〜15(Ωcm)、厚み600μmのシリコンを用いた。プレス圧は2kN/cm2、ポーラスシリコン膜の厚みは30μmである。抵抗値の高いシリコン基板を使用しているため、5THzから10THzの周波数域において、Tmaxの値が50%程度もあり非常に高いことがわかる。基板の抵抗値を高くする、あるいは基板の厚みを薄くすることにより、Tmaxの値は更に向上させることができる。現状の消光比は10〜20db程度であり、市販品と同程度である。プレス等の条件を改善すれば、消光比はさらに向上することが期待される。
シリコン基板には抵抗値10.7〜15(Ωcm)、厚み600μmのシリコンを用いた。プレス圧は2kN/cm2、ポーラスシリコン膜の厚みは30μmである。抵抗値の高いシリコン基板を使用しているため、5THzから10THzの周波数域において、Tmaxの値が50%程度もあり非常に高いことがわかる。基板の抵抗値を高くする、あるいは基板の厚みを薄くすることにより、Tmaxの値は更に向上させることができる。現状の消光比は10〜20db程度であり、市販品と同程度である。プレス等の条件を改善すれば、消光比はさらに向上することが期待される。
(数1)
10×log10(Tmax/Tmin) ・・・ (数式1)
10×log10(Tmax/Tmin) ・・・ (数式1)
(その他の実施例)
(1)上記実施例1では、銀(Ag)を蒸着させてワイヤーグリッドを形成したが、銀の化合物を用いても、また銀以外の金属を用いて、ワイヤーグリッドを形成しても構わない。
(2)上記実施例1では、直方体型のラインアンドスペース構造を用いたが、三角柱型のラインアンドスペース構造を用いても構わない。
(3)上記実施例1では、ボロンが添加されたP型シリコン基板を用いたが、ボロンの替わりに、アルミニウムなど他の3価の元素が添加されたP型シリコン基板を用いても構わない。また、リンやヒ素などの5価の元素が添加されたN型シリコン基板を用いても構わない。
(4)上記実施例1では、陽極酸化法により、ポーラスシリコンを作製したが、ポーラスシリコンを作製する方法は、陽極酸化法には限定されず、公知の他の作製方法を用いてもよい。
(1)上記実施例1では、銀(Ag)を蒸着させてワイヤーグリッドを形成したが、銀の化合物を用いても、また銀以外の金属を用いて、ワイヤーグリッドを形成しても構わない。
(2)上記実施例1では、直方体型のラインアンドスペース構造を用いたが、三角柱型のラインアンドスペース構造を用いても構わない。
(3)上記実施例1では、ボロンが添加されたP型シリコン基板を用いたが、ボロンの替わりに、アルミニウムなど他の3価の元素が添加されたP型シリコン基板を用いても構わない。また、リンやヒ素などの5価の元素が添加されたN型シリコン基板を用いても構わない。
(4)上記実施例1では、陽極酸化法により、ポーラスシリコンを作製したが、ポーラスシリコンを作製する方法は、陽極酸化法には限定されず、公知の他の作製方法を用いてもよい。
本発明は、テラヘルツ領域で動作する偏光子として有用であり、テラヘルツ領域で動作する導波路、検出器、位相制御器に利用できる可能性がある。
1 ワイヤーグリッド偏光子
2 シリコン基板
3 ポーラスシリコン膜
4 ワイヤーグリッド
5 銀(Ag)
6 インプリント用スタンプ
10 透明基板
11 透過光
12 反射光
2 シリコン基板
3 ポーラスシリコン膜
4 ワイヤーグリッド
5 銀(Ag)
6 インプリント用スタンプ
10 透明基板
11 透過光
12 反射光
Claims (12)
- ポーラスシリコン膜にワイヤーグリッドが形成されたことを特徴とするテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子。
- 前記ポーラスシリコン膜が、サブマイクロメートルオーダーあるいはマイクロメートルオーダーのラインアンドスペース構造を有することを特徴とする請求項1に記載のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子。
- 前記ラインアンドスペース構造が、インプリント加工により形成されたことを特徴とする請求項2に記載のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子。
- 前記ポーラスシリコン膜の厚さが、2〜50μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子。
- 前記ポーラスシリコン膜のポロシティが、40〜85%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子。
- 前記ポーラスシリコン膜のポアサイズ(直径)が、1μm未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子。
- 前記ポーラスシリコン膜において、アルミニウム(Al)またはボロン(B)の少なくとも1つが添加されており、前記ポーラスシリコン膜中のアルミニウム(Al)濃度とボロン(B)濃度の和が、1019/cm3以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子。
- 前記ポーラスシリコン膜がシリコン基板上に形成され、該シリコン基板は、基板抵抗値5Ωcm以上、基板厚み800μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子。
- ポーラスシリコン膜にワイヤーグリッドが形成された偏光子の作製方法であって、
P型シリコン基板表面に対して陽極化成法によってポーラスシリコン膜を作製するステップと、
ポーラスシリコン膜に対してインプリント加工を行い、サブマイクロメートルオーダーあるいはマイクロメートルオーダーのラインアンドスペース構造を形成するステップと、
ラインアンドスペース構造のエッジ部分に対して斜め蒸着により金属もしくは金属化合物を堆積させてワイヤーグリッドを形成するステップと、
を少なくとも備えたことを特徴とするテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子の作製方法。 - 上記のラインアンドスペース構造を形成するステップにおいて、
インプリント加工のプレス圧、ポーラスシリコン膜のポロシティ、ポーラスシリコン膜の厚み、
の1以上を制御することにより、インプリント加工されたポーラスシリコン膜の表面形状を制御することを特徴とする請求項9に記載のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子の作製方法。 - 上記のワイヤーグリッドを形成するステップにおいて、
斜め蒸着の蒸着角度、蒸着時間、蒸着時の電流値、
の1以上を制御することにより、ワイヤーグリッドの形状を制御することを特徴とする請求項9に記載のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子の作製方法。 - 前記ポーラスシリコン膜において、アルミニウム(Al)濃度とボロン(B)濃度の和が1019/cm3以下に制御されていることを特徴とする請求項9に記載のテラヘルツ波用ワイヤーグリッド偏光子の作製方法。
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