JP2013176907A - 印刷装置、濃度検出方法、及び、濃度検出プログラム - Google Patents

印刷装置、濃度検出方法、及び、濃度検出プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】テストパターンを印刷する媒体の影響を排除したテストパターンの濃度を検出すること。
【解決手段】第1デジタル値の入力により光量を調整可能な発光部と受光量に応じた第2デジタル値を出力する受光部とを備え、第2デジタル値の基準値に基づいて設定した第1デジタル値が入力された発光部が空白領域に向けて光を照射したときの第2デジタル値に基づいて第1デジタル値と第2デジタル値の関係を表す第1近似式を求め、第2デジタル値が基準値となる第1デジタル値の類推値を第1近似式から求め、設定した第1デジタル値が入力された発光部がテストパターンに向けて光を照射したときの第2デジタル値に基づいて第2近似式を求め、第1デジタル値として類推値が発光部に入力されたときの第2デジタル値を第2近似式から求めることにより、テストパターンの濃度を検出する印刷装置。
【選択図】図7

Description

本発明は、印刷装置、濃度検出方法、及び、濃度検出プログラムに関する。
複数の色を表現可能なプリンター(印刷装置)が多く使用されている。このようなカラープリンターでは、色の再現性を向上させるために、濃度キャリブレーション処理が行われる。濃度キャリブレーション処理とは、プリンターが用紙にテストパターンを印刷し、そのテストパターンの濃度測定結果と目標濃度とのずれに基づいて、プリンターに目標濃度の画像を印刷させるように補正する処理である。
例えば、LEDを光源としてテストパターンに光を照射し、その反射光の量に基づいて、テストパターンの濃度を測定するプリンターがある。ただし、LEDの駆動電流によって発光波長の分布が変動してしまう。そのため、LEDの駆動電流を複数変化させて、用紙の空白領域とテストパターンからの反射光量をそれぞれ検出し、その検出結果から補正係数を算出する。そして、その補正係数をテストパターンからの反射光量に掛け合わせることで、LEDの波長変動による影響を補正する方法が提案されている(特許文献1を参照)。
特開2010−120219号公報
また、同じプリンター1によって印刷されたテストパターンに対して発光部(例えばLED)から一定の光量を照射したとしても、テストパターンが印刷された用紙の種類や製造ロットが異なると、テストパターンからの反射光量が変動し、テストパターンの濃度測定結果が変動してしまう場合がある。そこで、テストパターンを印刷する用紙の違いによる影響を排除するため、用紙の空白領域からの反射光量が所望の量となるように発光部の光量を調整した状態で、テストパターンの濃度を測定したい。
しかし、発光部の光量を細かく制御できない場合、用紙の空白領域からの反射光量を所望の量に調整できず、用紙の違いによる影響を排除することができない。
そこで、本発明では、テストパターンを印刷する媒体(例えば用紙)の影響を排除したテストパターンの濃度を検出することを目的とする。
前記課題を解決する為の主たる発明は、(A)媒体に画像を印刷する印刷部と、(B)第1デジタル値の入力により光量を調整可能な発光部と、(C)前記発光部が照射した光の反射光を受光し、その受光量に応じた第2デジタル値を出力する受光部と、(D)前記印刷部により前記媒体に印刷されたテストパターンの濃度を検出する制御部であって、前記テストパターンが印刷された前記媒体の空白領域に向けて前記発光部が光を照射したときの前記第2デジタル値の基準値に基づいて、複数の前記第1デジタル値を設定し、設定した各前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記空白領域に向けて光を照射したときの前記第2デジタル値を複数取得し、当該複数の第2デジタル値に基づいて、前記第1デジタル値と前記第2デジタル値の関係を表す第1近似式を求め、前記第2デジタル値が前記基準値となる第1デジタル値の類推値を前記第1近似式から求め、設定した各前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記テストパターンに向けて光を照射したときの前記第2デジタル値を複数取得し、当該複数の第2デジタル値に基づいて、前記第1デジタル値と前記第2デジタル値の関係を表す第2近似式を求め、前記第1デジタル値として前記類推値が前記発光部に入力されたときの前記第2デジタル値を前記第2近似式から求めることにより、前記テストパターンの濃度を検出する制御部と、(E)を備えることを特徴とする印刷装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
印刷システムの全体構成を示すブロック図である。 プリンターの概略斜視図である。 光学センサーを説明する図である。 光量調整値に対する空白領域からの反射光量値の変化を示すグラフである。 プリンターが実行する処理を示すフローである。 図6A及び図6Bはテストパターンを説明する図である。 図7Aは光量調整値を複数変化させてテストパターンを読み取った結果を示すグラフであり、図7Bは光量調整値と反射光量値の関係を示す近似式を説明する図である。 コンピューターが実行する処理を示すフローである。 指令階調値jに対する補正値を算出する様子を示す図である。
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
即ち、(A)媒体に画像を印刷する印刷部と、(B)第1デジタル値の入力により光量を調整可能な発光部と、(C)前記発光部が照射した光の反射光を受光し、その受光量に応じた第2デジタル値を出力する受光部と、(D)前記印刷部により前記媒体に印刷されたテストパターンの濃度を検出する制御部であって、前記テストパターンが印刷された前記媒体の空白領域に向けて前記発光部が光を照射したときの前記第2デジタル値の基準値に基づいて、複数の前記第1デジタル値を設定し、設定した各前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記空白領域に向けて光を照射したときの前記第2デジタル値を複数取得し、当該複数の第2デジタル値に基づいて、前記第1デジタル値と前記第2デジタル値の関係を表す第1近似式を求め、前記第2デジタル値が前記基準値となる第1デジタル値の類推値を前記第1近似式から求め、設定した各前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記テストパターンに向けて光を照射したときの前記第2デジタル値を複数取得し、当該複数の第2デジタル値に基づいて、前記第1デジタル値と前記第2デジタル値の関係を表す第2近似式を求め、前記第1デジタル値として前記類推値が前記発光部に入力されたときの前記第2デジタル値を前記第2近似式から求めることにより、前記テストパターンの濃度を検出する制御部と、(E)を備えることを特徴とする印刷装置である。
このような印刷装置によれば、テストパターンを印刷する媒体の影響を排除したテストパターンの濃度を検出することができる。
かかる印刷装置であって、前記第1近似式は多項式であること。
このような印刷装置によれば、より精度よく第1デジタル値の類推値を求めることができ、より精度よくテストパターンの濃度を検出することができる。
かかる印刷装置であって、前記基準値に基づいて設定された複数の前記第1デジタル値のうち、一の値が入力された前記発光部が前記空白領域に向けて光を照射したときの前記第2デジタル値は前記基準値よりも大きく、他の値が入力された前記発光部が前記空白領域に向けて光を照射したときの前記第2デジタル値は前記基準値よりも小さいこと。
このような印刷装置によれば、より精度よく第1デジタル値の類推値を求めることができ、より精度よくテストパターンの濃度を検出することができる。
かかる印刷装置であって、前記第2近似式は多項式であること。
このような印刷装置によれば、より精度よくテストパターンの濃度を検出することができる。
かかる印刷装置であって、或る前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記空白領域に向けて光を照射したときの前記第2デジタル値が前記基準値である場合、前記制御部は、当該第1デジタル値が入力された前記発光部が前記テストパターンに向けて光を照射したときの前記第2デジタル値に基づいて前記テストパターンの濃度を検出すること。
このような印刷装置によれば、テストパターンの濃度を検出する処理を簡略化でき、処理時間を短縮することができる。
かかる印刷装置であって、前記発光部及び前記受光部と前記媒体とを所定方向に相対移動させる移動機構を備え、前記制御部は、前記基準値に基づいて設定した各前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記空白領域に向けて光を照射したときの前記第2デジタル値を複数取得した後に、前記移動機構により前記発光部及び前記受光部と前記媒体とを前記所定方向に相対移動させ、前記基準値に基づいて設定した各前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記テストパターンに向けて光を照射したときの前記第2デジタル値を複数取得すること。
このような印刷装置によれば、発光部及び受光部が毎回テストパターンの同じ位置を読み取ることができ、第1デジタル値以外の差がテストパターンの読取結果(第2デジタル値)に影響してしまうことを抑制することができる。
また、(A)第1デジタル値の入力により光量を調整可能な発光部、及び、前記発光部が照射した光の反射光を受光し、その受光量に応じた第2デジタル値を出力する受光部からの測定結果に基づいて、媒体に印刷されたテストパターンの濃度を検出する濃度検出方法であって、(B)前記テストパターンが印刷された前記媒体の空白領域に向けて前記発光部が光を照射したときの前記第2デジタル値の基準値に基づいて、複数の前記第1デジタル値を設定することと、(C)設定した各前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記空白領域に向けて光を照射したときの前記第2デジタル値を複数取得し、当該複数の第2デジタル値に基づいて、前記第1デジタル値と前記第2デジタル値の関係を表す第1近似式を求めることと、(D)前記第2デジタル値が前記基準値となる第1デジタル値の類推値を前記第1近似式から求めることと、(E)設定した各前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記テストパターンに向けて光を照射したときの前記第2デジタル値を複数取得し、当該複数の第2デジタル値に基づいて、前記第1デジタル値と前記第2デジタル値の関係を表す第2近似式を求めることと、(F)前記第1デジタル値として前記類推値が前記発光部に入力されたときの前記第2デジタル値を前記第2近似式から求めることにより、前記テストパターンの濃度を検出することと、(G)を有することを特徴とする濃度検出方法である。
このような濃度検出方法によれば、テストパターンを印刷する媒体の影響を排除したテストパターンの濃度を検出することができる。
また、(A)第1デジタル値の入力により光量を調整可能な発光部、及び、前記発光部が照射した光の反射光を受光し、その受光量に応じた第2デジタル値を出力する受光部からの測定結果に基づいて、媒体に印刷されたテストパターンの濃度をコンピューターに検出させるための濃度検出プログラムであって、(B)前記テストパターンが印刷された前記媒体の空白領域に向けて前記発光部が光を照射したときの前記第2デジタル値の基準値に基づいて、複数の前記第1デジタル値を設定する機能と、(C)設定した各前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記空白領域に向けて光を照射したときの前記第2デジタル値を複数取得し、当該複数の第2デジタル値に基づいて、前記第1デジタル値と前記第2デジタル値の関係を表す第1近似式を求める機能と、(D)前記第2デジタル値が前記基準値となる第1デジタル値の類推値を前記第1近似式から求める機能と、(E)設定した各前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記テストパターンに向けて光を照射したときの前記第2デジタル値を複数取得し、当該複数の第2デジタル値に基づいて、前記第1デジタル値と前記第2デジタル値の関係を表す第2近似式を求める機能と、(F)前記第1デジタル値として前記類推値が前記発光部に入力されたときの前記第2デジタル値を前記第2近似式から求めることにより、前記テストパターンの濃度を検出する機能と、(G)をコンピューターに実現させるための濃度検出プログラムである。
このような濃度検出プログラムによれば、テストパターンを印刷する媒体の影響を排除したテストパターンの濃度を検出することができる。
===印刷システム===
「印刷装置」をインクジェットプリンター(以下、プリンターと呼ぶ)とし、プリンターとコンピューターが接続された印刷システムを例に挙げて、実施形態を説明する。
図1は、印刷システムの全体構成を示すブロック図である。図2は、プリンター1の概略斜視図である。プリンター1は、コントローラー10と、搬送ユニット20と、キャリッジユニット30と、ヘッドユニット40と、検出器群50と、を有する。プリンター1はコンピューター60と通信可能に接続されており、コンピューター60内にインストールされているプリンタードライバーが、プリンター1に画像を印刷させるための印刷データを作成し、プリンター1に出力する。
プリンター1内のコントローラー10は、プリンター1における全体的な制御を行うためのものである。インターフェース部11は、外部装置であるコンピューター60との間でデータの送受信を行う。CPU12は、プリンター1の全体的な制御を行うための演算処理装置であり、ユニット制御回路14を介して各ユニットを制御する。メモリー13は、CPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。
搬送ユニット20(移動機構に相当)は、用紙S(媒体に相当)を印刷可能な位置に給紙し、用紙を搬送方向(所定方向に相当)に搬送するためのものである。なお、プリンター1が画像を印刷する媒体は、用紙に限らず、例えば、布やフィルム等でもよい。
キャリッジユニット30は、キャリッジ31に搭載されたヘッド41を、用紙Sの搬送方向と交差する方向である移動方向に移動するためのものである。なお、交差する方向とは一般的には直交する方向である。
ヘッドユニット40は、用紙Sにインクを吐出して画像を印刷するためのものであり、ヘッド41(印刷部に相当)を有する。ヘッド41の下面(不図示)には、インクを吐出するノズルが多数設けられ、吐出するインクの色ごとにノズル列が形成されている。例えば、ブラックインクKを吐出するブラックノズル列や、シアンインクCを吐出するシアンノズル列、マゼンタインクMを吐出するマゼンタノズル列、イエローインクYを吐出するイエローノズル列等が、ヘッド41の下面に形成されている。各ノズル列では、多数のノズルが搬送方向に所定の間隔で並んでいる。なお、ノズルからのインク吐出方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけてインク室を膨張・収縮させることによりノズルからインクを吐出させるピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によってノズルからインクを吐出させるサーマル方式でもよい。
検出器群50は、プリンター1内の状況を監視し、その検出結果をコントローラー10に出力するためのものである。例えば、検出器群50は、光学センサー51を有する。光学センサー51は、ヘッド41のノズル面から用紙Sまでの距離や用紙Sの幅を検出したり、用紙Sに印刷されたテストパターンの濃度を検出したりする(詳細は後述)。
このような構成のプリンター1において、コントローラー10は、キャリッジ31によりヘッド41を移動方向に移動させつつノズルからインクを吐出させる吐出動作と、搬送ユニット20により用紙Sを搬送方向の下流側に搬送する搬送動作と、を交互に繰り返す。その結果、先の吐出動作で形成されたドットの位置とは異なる位置に、後の吐出動作でドットが形成されるため、用紙S上に2次元の画像が印刷される。
===光学センサー51===
図3は、光学センサー51を説明する図である。光学センサー51は、キャリッジ31に取り付けられており、移動方向に移動可能である。また、光学センサー51は、後述の図6Aに示すように、ヘッド41よりも搬送方向の下流側の位置に取り付けられており、ヘッド41により印刷された画像の上を移動することができる。光学センサー51は発光部52と受光部53を有し、発光部52は発光素子52aと駆動回路52bを有し、受光部53は受光素子53aと増幅回路53bとAD変換回路53cを有する。
発光素子52aは、用紙Sに向けて光を照射するためのものであり、例えば、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード、白熱電球等が挙げられる。なお、発光素子52aからの照射光の焦点が用紙Sの表面に合わせられたときの照射領域をスポットといい、スポットの直径をスポット径という。
駆動回路52bは、コントローラー10から受信した制御信号である「光量調整値(デジタル値)」に従って、発光素子52aの駆動電流を制御し、発光素子52aの発光量を調整する。
つまり、発光部52は、光量調整値(第1デジタル値に相当)の入力により発光量を調整することが可能である。
受光素子53aは、発光素子52aから用紙Sに向けて照射された光のうち用紙Sで反射された光を受光し、受光した光量に応じて電流を生成する光電変換素子である。受光素子53aとして、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタ等が挙げられる。
増幅回路53bは、受光素子53aからの出力電流を電圧に変換して増幅するためのものである。AD変換回路53cは、増幅回路53bからの出力電圧をAD変換し、用紙Sからの反射光量に応じたデジタル値である「反射光量値」をコントローラー10に出力する。
つまり、受光部53は、発光部52が照射した光の反射光を受光し、その受光量に応じた反射光量値(第2デジタル値に相当)を出力する。
受光部53が受光する反射光の量(反射光の強度)は、用紙Sの反射位置における色の濃度によって変動する。従って、用紙Sに印刷された画像に向けて発光部52が光を照射し、その画像からの反射光を受光部53が受光した結果に基づいて、画像の濃度を検出することができる。つまり、光学センサー51を濃度検出器として機能させることができる。
===濃度キャリブレーション処理の課題===
<濃度キャリブレーション処理の概略>
ヘッド41からのインク吐出量の誤差などにより、プリンター1の個体間で色の出力特性が異なってしまう。また、同一のプリンターであっても、経時変化により色の出力特性が変わってしまうこともある。この色の出力特性差を補正し、プリンター1の色再現性を向上させるために、濃度キャリブレーション処理(濃度補正処理)が行われる。
濃度キャリブレーション処理とは、プリンター1が用紙Sにテストパターンを印刷し、そのテストパターンの濃度を読み取った結果と目標濃度とのずれに基づいて、プリンター1が印刷する画像濃度が目標濃度に近付くように補正する処理である。例えば、テストパターンの読取濃度が目標濃度よりも淡い場合、ヘッド41からのインク吐出量が増えるように印刷データを補正し、逆にテストパターンの読取濃度が目標濃度よりも濃い場合、ヘッド41からのインク吐出量が減るように印刷データを補正する。そうすることで、プリンター1が印刷する画像濃度を目標濃度に近付けることができ、プリンター1の色再現性を向上させることができる。
<用紙Sの違いによる誤差>
図4は、発光部52に入力する「光量調整値」に対する用紙Sの空白領域Pwからの「反射光量値」の変化を示すグラフである。用紙Sの空白領域Pw(紙白領域)とは、用紙Sに何も画像が印刷されていない領域(即ち、インクが打ち込まれていない領域)であり、用紙Sの地色(例えば白色)が露出した領域である。グラフの横軸は、コントローラー10が発光部52に入力する光量調整値を示す、即ち、発光部52が空白領域Pwに向けて照射する光量を示す。グラフの縦軸は、受光部53がコントローラー10に出力する反射光量値を示す、即ち、空白領域Pwで反射された光量であり受光部53が受光した光量を示す。なお、光量調整値が大きくなるほど発光部52が照射する光量が増え、反射光量値が大きくなるほど受光部53が受光する光量が増えるとする。
本実施形態では、濃度キャリブレーション処理の際に、光学センサー51(図3)がテストパターンの濃度を読み取る。ただし、同じプリンター1によって印刷されたテストパターンに対して、光学センサー51内の発光部52が一定の光量を照射したとしても、テストパターンが印刷された用紙Sの種類が異なったり、同じ種類の用紙Sでも製造時のロットが異なったりすると、テストパターンからの反射光量、即ち、光学センサー51内の受光部53が受光する光量が変動してしまう場合がある。これは、用紙Sの種類や製造時のロットが異なると、用紙Sの地色(例えば白さの度合い)が異なることが原因と考えられる。特に、濃度の淡いテストパターンは用紙Sの地色の影響を受け易く、用紙Sの違いによりテストパターンからの反射光量が変動し易い。そうすると、同じプリンター1によって印刷されたテストパターンであっても、テストパターンの読取濃度が変動し、濃度キャリブレーション処理を正しく行うことが出来ない。
そこで、各用紙Sの空白領域Pwからの反射光量が一定となるように、用紙Sに応じて発光部52の光量を調整した状態で、光学センサー51にテストパターンを読み取らせる。そうすることで、テストパターンを印刷する用紙Sの違いによる影響を排除することができる。
なお、図4に示すように、光量調整値が小さい領域では、光量調整値が大きくなるに従って空白領域Pwからの反射光量値も直線状に比例して大きくなる。しかし、反射光量値がある程度大きくなると、光量調整値を大きくしても反射光量値は大きくならずに収束してしまう。本実施形態では、反射光量値が収束する前の値であり、また、反射光量値が小さ過ぎない値を「基準値ADs」とする。つまり、空白領域Pwからの反射光量値が基準値ADsとなるように発光部52の光量を調整した状態で、光学センサー51にテストパターンを読み取らせる。
しかし、発光部52の光量(発光部52の駆動電流)を細かく制御することが出来ず、用紙Sの空白領域Pwからの反射光量値が基準値ADsとなるように発光部52の光量を調整できない場合がある。例えば、図4に示すように、発光部52に光量調整値「DA−1」を入力すると、反射光量値AD−1が基準値ADsよりも小さくなるが、光量調整値を1段階上げて「DA0」にすると、反射光量値AD0が基準値ADsよりも大きくなってしまう場合がある。この場合、用紙Sの違いによる影響を排除することができない。
また、発光部52に同じ光量調整値を入力したとしても、発光部52の個体差により、発光部52が照射する光量に誤差が生じてしまう場合がある。そのため、用紙Sの種類ごとに、各用紙Sの空白領域Pwからの反射光量値が基準値ADsとなるような光量調整値を予め設定しておいたとしても、光学センサー51によっては空白領域Pwからの反射光量値が基準値ADsとならない場合がある。この場合も、用紙Sの違いによる影響を排除することができない。
そこで、本実施形態では、濃度キャリブレーション処理の際に、テストパターンを印刷する用紙Sの違いによる影響を排除したテストパターンの濃度を検出することを目的とする。具体的には、テストパターンを印刷する用紙Sの空白領域Pwからの反射光量値が基準値ADsとなるように発光部52の光量が調整された状態で読み取られるテストパターンの濃度を検出する。
===濃度キャリブレーション処理(濃度検出方法)の手順===
本実施形態では、プリンター1及びそのプリンター1に接続されたコンピューターにインストールされた補正値算出プログラム(濃度検出プログラムに相当)が、プリンター1及びコンピューターに、以下で説明する濃度キャリブレーション処理の各処理(各機能)を実行させる。なお、補正値算出プログラムは、コンピューターが読取可能な記録媒体(例えばCD−ROMなど)に記録されていたり、インターネットを介してダウンロード可能であったりする。
<<プリンター1側の処理>>
図5は、プリンター1が実行する処理を示すフローであり、図6A及び図6Bは、テストパターンPkを説明する図である。なお、濃度キャリブレーション処理では、プリンター1が吐出可能なインクの色(YMCK)ごとに補正値Hが算出されるが、色に関係なく処理の方法は同じであるため、以下ではブラックインクKを例に挙げて説明する。
まず、プリンター1内のコントローラー10(制御部に相当)は、補正値算出プログラムに従って、用紙SにテストパターンPkを印刷させる(S001)。コントローラー10は、印刷データに基づいて、図6Aに示すように用紙S内に空白領域Pwを確保しつつ、ヘッド41を移動方向に移動させながらインクを吐出させる吐出動作と用紙Sの搬送動作を繰り返すことによって、用紙SにテストパターンPkを印刷させる。なお、紙白領域Pwと搬送方向に並ぶ位置にテストパターンPkが印刷されるとする。
また、テストパターンPkは、図6に示すように、連続的に指令階調値が変化するグラデーション形式のパターンとする。指令階調値とは、用紙S上に仮想的に定められる画素の濃度を表す多段階の階調値(例えば0〜255)である。本実施形態では、指令階調値が大きい(255)ほど、対応する画素の濃度が濃く、指令階調値が小さい(0)ほど、対応する画素の濃度が淡いとする。テストパターンPkは、指令階調値が0から1段階ずつ255まで上がった256個の矩形パッチが移動方向に並ぶことによって構成される。従って、用紙Sの単位面積当たりに吐出されるインク量が最小量から最大量まで徐々に増えるテストパターン、即ち、徐々に濃度が濃くなるテストパターンが印刷される。
なお、矩形パッチの搬送方向の幅を光学センサー51のスポット径よりも大きくする。また、余白の影響を受けないように、移動方向の両端に位置する矩形パッチ(指令階調値0と255のパッチ)では、移動方向の幅も光学センサー51のスポット径よりも大きくする。一方、中間の矩形パッチでは、テストパターンPk全体の移動方向の幅が小さくなるように、光学センサー51のスポット径よりも移動方向の幅を小さくする。
次に、コントローラー10は、キャリッジ31に設けられた光学センサー51と用紙Sの紙白領域Pwとを対向させる。その後、コントローラー10は、一番小さい光量調整値DAn(初期値)を発光部52に入力し、紙白領域Pwからの反射光を受光した受光部53から反射光量値ADn(測定結果)を取得する。そして、コントローラー10は、その反射光量値ADnが基準値ADs以上であるか否かを判断する(S003)。なお、紙白領域Pwの濃度(白さ)は一定であるため、キャリッジ31により光学センサー51を移動方向に移動させることなく、光学センサー51の位置を固定した状態で、紙白領域Pwからの反射光量値ADnを測定するとよい。
紙白領域Pwからの反射光量値ADnが基準値ADs未満である場合(S003→No)、コントローラー10は、光量調整値DAnを1段階上げ(S002)、その光量調整値DAnを発光部52に入力し、紙白領域Pwからの反射光量値ADnを取得する。紙白領域Pwからの反射光量値ADnが基準値ADs以上になるまで、コントローラー10はこの処理を繰り返す。
ある光量調整値DAnを発光部52に入力したときの紙白領域Pwからの反射光量値ADnが基準値ADs以上になった場合(S003→Yes)、コントローラー10は、その反射光量値ADnが基準値ADsと等しいか否かを判断する(S004)。反射光量値ADnが基準値ADsと等しい場合(S004→Yes)、コントローラー10は、反射光量値がその値ADn(基準値ADs)となるときに発光部52に入力される光量調整値DAnを、テストパターンPkを読み取る際にも発光部52に入力する。つまり、コントローラー10は、紙白領域Pwからの反射光量値ADnが基準値ADsとなるように発光部52の光量を調整した状態で、光学センサー51にテストパターンPkを読み取らせる(S005)。
そのために、コントローラー10は、用紙Sを搬送方向の下流側に搬送し、テストパターンPkと光学センサー51の搬送方向の位置を揃える。そして、光学センサー51がテストパターンPk上を移動するように、コントローラー10は、キャリッジ31により光学センサー51を移動方向に移動させる。テストパターンPkでは移動方向に濃度が変化する。そのため、光学センサー51がテストパターンPk上を移動する間、受光部53が受光する光量(反射光量値)は時間と共に変化する。つまり、コントローラー10は、各指令階調値(0〜255)に応じた反射光量値から構成されるデータを光学センサー51から取得する。
これに対して、ある光量調整値DA0を発光部52に入力したときの紙白領域Pwからの反射光量値AD0が基準値ADsよりも大きい場合(S004→No)、コントローラー10は、その光量調整値「DA0」と、その光量調整値DA0よりも1段階大きい光量調整値「DA1」と、1〜2段階小さい光量調整値「DA−1,DA−2」とを、光量調整値の測定点に設定する(S006)。つまり、コントローラー10は、反射光量値の基準値ADsに基づいて、測定点となる複数の光量調整値(DA−2〜DA1)を設定する。
そして、コントローラー10は、測定点として設定した4個の光量調整値(DA−2〜DA1)をそれぞれ発光部52に入力したときの紙白領域Pwからの反射光量値(ADw−2〜ADw1)を、受光部53から取得する(S007)。なお、光量調整値DA0を発光部52に入力したときの紙白領域Pwからの反射光量値ADw0は前の処理で取得済みであるので、ここでは測定しなくてもよい。
次に、コントローラー10は、用紙Sを搬送方向の下流側に搬送し(S008)、テストパターンPkと光学センサー51の搬送方向の位置を揃える。そして、コントローラー10は、測定点として設定した4個の光量調整値(DA−2〜DA1)の何れかを発光部52に入力した後に、光学センサー51を移動方向に移動させてテストパターンPkを読み取らせる。その後、コントローラー10は、別の光量調整値を発光部52に入力した後に、再び、光学センサー51を移動方向に移動させてテストパターンPkを読み取らせる。そうして、コントローラー10は、各光量調整値(DA−2〜DA1)を発光部52に入力したときのテストパターンPkからの反射光量値(ADk−2〜ADk1)を光学センサー51から取得する。なお、各光量調整値(DA−2〜DA1)で測定した反射光量値は、後述の図7Aに示すように、各指令階調値(0〜255)に応じた反射光量値から構成されるデータである。
こうして取得した紙白領域PwやテストパターンPkからの反射光量値を、コントローラー10は、プリンター1に接続されたコンピューターに送信する(S010)。
以上のように、コントローラー10は、光量調整値(DA−2〜DA1)を複数変化させて空白領域Pwからの反射光量値(ADw−2〜ADw1)を取得した後に、用紙Sを搬送方向に搬送し、再び光量調整値(DA−2〜DA1)を複数変化させてテストパターンPkからの反射光量値(ADk−2〜ADk1)を取得する。つまり、テストパターンPkからの反射光量値を取得する間は搬送動作を含めない。
そうすることで、本実施形態では光学センサー51が複数回に亘ってテストパターンPk上を移動しテストパターンPkの濃度を読み取るが、光学センサー51はテストパターンPkの同じ位置を毎回読み取ることができる。従って、テストパターンPkの読取位置の差が読取結果(反射光量値)に影響してしまうことを抑制することができる。その結果、より精度よくテストパターンPkの濃度を検出することができる。
<<コンピューター側の処理>>
図7Aは、発光部52に入力する光量調整値(DA−2〜DA1)を複数変化させてテストパターンPkを読み取った結果を示すグラフであり、図7Bは、光量調整値と反射光量値の関係を示す近似式yw,ykを説明する図であり、図8は、プリンター1に接続されたコンピューターが実行する処理を示すフローである。なお、図7Aの横軸は指令階調値を示し、縦軸は反射光量値を示す。図7Bの横軸は光量調整値を示し、縦軸は反射光量値を示す。
コンピューター内のコントローラー(不図示,制御部に相当)は、プリンター1から反射光量値のデータを取得すると(S101)、補正値算出プログラムに従って、まず、紙白領域Pwの反射光量値のデータの有無を判断する(S102)。紙白領域Pwのデータが無いという事は(S102→No)、紙白領域Pwからの反射光量値が基準値ADsとなるように発光部52の光量が調整された状態でテストパターンPkが読み取られたという事である。そのため、コントローラーは、プリンター1から取得したデータ、即ち、テストパターンPkの反射光量値のデータを、そのまま用いて補正値Hを算出する(S109,後述)。
このように、或る光量調整値DAnが入力された発光部52が空白領域Pwに向けて光を照射したときの反射光量値ADnが基準値ADsとなる場合、コントローラーは、その光量調整値DAnが入力された発光部52がテストパターンPkに向けて光を照射したときの反射光量値に基づいて、テストパターンPkの濃度を検出し、補正値Hを算出する。そうすることで、濃度キャリブレーション処理(テストパターンPkの濃度検出処理)を簡略化でき、処理時間を短縮することができる。
一方、紙白領域Pwのデータが有る場合(S102→Yes)、紙白領域Pwからの反射光量値が基準値ADsとなるように発光部52の光量を調整できなかったという事である。よって、コントローラーは、プリンター1から取得したデータに基づき、空白領域Pwからの反射光量値が基準値ADsとなるように発光部52の光量が調整された状態で読み取られるテストパターンの濃度(反射光量値)を類推する。
そのために、まず、コントローラーは、図7Bに示すように、測定点となる各光量調整値(DA−2〜DA1)が入力された発光部52が空白領域Pwに向けて光を照射したときの反射光量値(ADw−2〜ADw1)に基づいて、光量調整値と反射光量値の関係を表す紙白領域Pwの多項近似式yw(第1近似式に相当)を求める(S103)。
コントローラーは、4個の光量調整値(DA−2〜DA1)を発光部52に入力したときの紙白領域Pwからの4個の反射光量値(ADw−2〜ADw1)に基づき、最小二乗法により、下記の式(1)に示す2次の多項近似式(2次の近似曲線)を求める。xが光量調整値であり、ywが紙白領域Pwからの反射光量値であり、aw,bw,cwが多項近似式(1)の係数である。
次に、コントローラーは、紙白領域Pwの多項近似式(1)の「yw」に反射光量値の基準値「ADs」を代入し(yw=ADs)、以下の式(2)から解xを求める。この解xが、図7Bに示すように、紙白領域Pwからの反射光量値が基準値ADsとなるように発光部52に入力すべき光量調整値DAs(類推値)である(S104)。
このように、紙白領域Pwの近似式(1)に基づいて、紙白領域Pwからの反射光量値が基準値ADsとなる光量調整値DAsを算出する。そのため、紙白領域Pwの近似式(1)を多項式にすることで、より精度よく光量調整値の類推値DAsを求めることができ、その結果、より精度よくテストパターンPkの濃度を検出することができる。特に、紙白領域Pwからの反射光量値は、図4に示すように高い値まで上昇する。そのため、反射光量値の基準値ADs付近では、反射光量値は収束し始め、光量調整値に対して反射光量値が曲線状に変化する。よって、紙白領域Pwの近似式(1)を多項式にすることが好ましい。
また、紙白領域Pwの近似式(1)を算出するためのデータを測定する測定点、即ち、光量調整値(DA−2〜DA1)のうち、一の値(DA0,DA1)が入力された発光部52が空白領域Pwに向けて光を照射したときの反射光量値(AD0,AD1)は基準値ADsよりも大きく、他の値(DA−2,DA−1)が入力された発光部52が空白領域Pwに向けて光を照射したときの反射光量値(AD−2,AD−1)は基準値ADsよりも小さくなるようにするとよい。そうすることで、より精度よく光量調整値の類推値DAsを求めることができ、その結果、より精度よくテストパターンPkの濃度を検出することができる。
次に、コントローラーは、指令階調値j(=0〜255)ごとに、光量調整値として「DAs(類推値)」を発光部52に入力した場合のテストパターンPkからの反射光量値AD(j)を求める。そのために、コントローラーは、まず、対象となる指令階調値jを設定する(S105)。図7Aに示すように、コントローラーは、4個の光量調整値(DA−2〜DA1)を発光部52に入力したときの指令階調値jのパッチ(テストパターンPkを構成する1つのパッチ)からの4個の反射光量値(ADk−2(j)〜ADk1(j))を取得している。コントローラーは、このデータに基づき、図7Bに示すように、最小二乗法により下記の式(3)に示す2次の多項近似式を求める(S106)。式(3)が、光量調整値と反射光量値の関係を表す指令階調値jの多項近似式(第2近似式に相当)である。xが光量調整値であり、ykjが指令階調値jのパッチからの反射光量値であり、akj,bkj,ckjが多項近似式(3)の係数である。
このように、指令階調値jの近似式(3)を多項式にすることで、より精度よくテストパターンPkの濃度を検出することができる。
そして、コントローラー10は、図7Bに示すように、紙白領域Pwからの反射光量値が基準値ADsとなる光量調整値「DAs(類推値)」を、指令階調値jの多項近似式(3)の「x」に代入し(x=DAs)、反射光量値AD(j)(=ykj)を求める。この反射光量値AD(j)が、紙白領域Pwからの反射光量値が基準値ADsとなるように発光部52の光量を調整した状態で、即ち、類推値DAsを発光部52に入力した状態で、指令階調値jのパッチを光学センサー51が読み取った場合の反射光量値に相当する(S107)。コントローラーは、こうして算出した反射光量値AD(j)を指令階調値jのパッチの濃度として検出し、この反射光量値AD(j)を用いて補正値Hを算出する。
コントローラーは、対象となる指令階調値jが無くなるまで(S108→Yes)、この処理を繰り返し、全指令階調値0〜255のパッチからの反射光量値AD(0)〜AD(255)を求める。
次に、コントローラーは、取得した反射光量値AD(0)〜AD(255)に基づいて、指令階調値ごとに補正値Hを求める(S109)。まず、コントローラーは、下記の式(4)を用いて、反射光量値のデータAD(0)〜AD(255)を正規化する。「R(j)」が正規化された値(指令階調値jの濃度を表す濃度値)であり、「AD(j)」が指令階調値jの反射光量値であり、「AD(0)」が指令階調値0の反射光量値であり、「AD(255)」が指令階調値255の反射光量値である。
なお、最も淡い指令階調値0に対応する濃度値R(0)が「1」となり、最も濃い指令階調値255に対応する濃度値R(255)が「0」となる。また、本実施形態では、パッチの濃度が高いときに光学センサー51が低い値(反射光量値)を出力する。よって、濃度値R(j)の値が小さいほど濃度が濃いということになる。
図9は、指令階調値jに対する補正値Hを算出する様子を示す図である。グラフの横軸は指令階調値を示し、グラフの縦軸は前述の式(4)から求められる濃度値を示す。グラフ内の「R」はテストパターンPkの読取結果に基づきコントローラーが式(4)から求めた濃度値R(0)〜R(255)を示し、グラフ中の「T」は目標の濃度値T(0)〜T(255)を示す。
例えば、印刷データの中の指令階調値jに基づいて補正対象のプリンター1が画像を印刷すると、指令階調値jに対応する画像部位の濃度値R(j)は、目標濃度値T(j)よりも淡くなってしまう。図9のグラフによると、補正対象のプリンター1は、指令階調値が「j’(=j+H)」であるときに、目標濃度値T(j)の画像を印刷することができる。そこで、コントローラーは、目標濃度値T(j)でプリンター1が印刷する指令階調値「j’」と指令階調値「j」との差を「補正値H(=j’−j)」として算出する。このようにコントローラーは全指令階調値0〜255の補正値Hを算出する。
最後に、コンピューター側のコントローラーは、算出した補正値Hをプリンター1に送信する(S110)。補正値Hを受信したプリンター1側のコントローラー10は、メモリー13に補正値Hを記憶する。以上で濃度キャリブレーション処理が終了する。なお、実際の印刷時には、例えば、プリンター1に接続されたコンピューター60内のプリンタードライバーが印刷データを作成する際に、プリンター1のメモリー13から補正値Hを取得し、元データの指令階調値が「j」である場合には指令階調値を「j’(=j+H)」に補正する。こうして補正された印刷データに基づきプリンター1が画像を印刷することで、所望の濃度である画像が印刷される。
以上のように、本実施形態の濃度キャリブレーション処理によれば、紙白領域Pwからの反射光量値が基準値ADsとなるように発光部52の光量が調整された状態で読み取られるテストパターンの濃度を検出することができる。つまり、用紙Sの違いの影響を排除したテストパターンPkの濃度を検出することができ、その濃度に基づいて補正値Hを算出することができる。従って、プリンター1の色再現性をより一層向上させることができる。
===変形例===
<変形例1>
上記の実施形態では、紙白領域Pwの近似式(1)と指令階調値jの近似式(3)を2次の多項式としているが、これに限らない。例えば、3次以上の多項式にしてもよい。その場合、より精度よくテストパターンPkの濃度を検出することができる。また、例えば、1次の近似式(直線近似)にしてもよい。その場合、測定するデータ数が減るため、処理時間を短縮することができる。なお、紙白領域Pwの近似式を1次の近似式にする場合、光量調整値に対して反射光量値が直線状に比例する領域の反射光量値を基準値ADsに設定するとよい。
また、上記の実施形態では、2次の多項近似式を求めるために、光量調整値の測定点を4点(DA−2〜DA1)としているが、これに限らず、測定点を3点にしてもよいし5点以上にしてもよい。また、最小二乗法により近似式を求めるに限らず、その他の方法で近似式を求めてもよい。
<変形例2>
上記の実施形態では、図4に示すように、紙白領域Pwからの反射光量値が、基準値ADsよりも大きくなる光量調整値(DA0,DA1)と、基準値ADsよりも小さくなる光量調整値(DA−2,DA−1)を、測定点としているが、これに限らない。例えば、紙白領域Pwからの反射光量値が、基準値ADsよりも大きくなる光量調整値だけを測定点としてもよいし、基準値ADsよりも小さくなる光量調整値だけを測定点としてもよい。また、紙白領域Pwからの反射光量値が、基準値ADsよりも大きくなる光量調整値の方を多くしてもよいし、基準値ADsよりも小さくなる光量調整値の方を多くしてもよい。
<変形例3>
上記の実施形態では、発光部52に入力する光量調整値を複数変化させて紙白領域Pwからの反射光量値を取得した後に、用紙Sを搬送し、再び発光部52に入力する光量調整値を複数変化させてテストパターンPkからの反射光量値を取得しているが、これに限らない。例えば、ある光量調整値を発光部52に入力した状態で紙白領域Pwからの反射光量値を取得した後に、用紙Sを搬送してテストパターンPwからの反射光量値を取得し、その後、別の光量調整値を発光部52に入力して、紙白領域PwとテストパターンPwからの反射光量値を取得するようにしてもよい。そうすることで、発光部52からの光量を安定させた状態で、紙白領域PwやテストパターンPkからの反射光量値を取得することができる。
<変形例4>
上記の実施形態では、プリンター1側のコントローラー10とコンピューター側のコントローラーが制御部に相当し、プリンター1とコンピューターが接続された印刷システムが印刷装置に相当する。但し、これに限らず、コンピューター側の処理をプリンター1側のコントローラー10が実施してもよく、この場合、プリンター1単体が印刷装置に相当する。また、紙白領域Pwからの反射光量値を基準値ADsに設定できた場合には(図5のS004→Yes)、プリンター1側のコントローラー10が補正値Hを求めるようにしてもよい。
また、上記の実施形態では補正値Hまで算出しているが、これに限らず、テストパターンを印刷する用紙Sの影響を排除したテストパターンの濃度を検出するまで(図8のS108まで)を実施する方法やプログラムであってもよい。
<変形例5>
上記の実施形態では、図6に示すように、連続的に指令階調値が変化するグラデーション形式のテストパターンを印刷しているが、これに限らない。例えば、一定の指令階調値で印刷された少数のパッチが並んだテストパターン、即ち、指令階調値(0〜255)の中の一部の指令階調値のパッチだけを印刷するテストパターンでもよい。
<変形例6>
上記の実施形態では、ヘッド41が移動方向に移動しながらインクを吐出する動作と、用紙Sが搬送方向に搬送される動作とが繰り返されるプリンター1を例に挙げているが、これに限らない。例えば、用紙Sの幅方向にノズルが並んだ固定されたヘッドの下を、幅方向と交差する方向に用紙Sが通過する際に、ヘッドから用紙Sに向けてインクを吐出するプリンターでもよい。このようなプリンターにおいて光学センサー51もヘッドと同様に用紙と対向する位置に設けられている場合、テストパターンPkの指令階調値を搬送方向に沿って変化させるとよい。また、例えば、印刷領域に搬送された用紙Sに対して、ヘッドをX方向に移動しながら画像を印刷する動作と、ヘッドをY方向に移動する動作と、を繰り返して画像を印刷し、その後、未だ画像が印刷されていない用紙Sの部位を印刷領域に搬送するプリンターでもよい。また、プリンター1内に光学センサー51を組み込むに限らず、プリンターと光学センサーを別体のものにしてもよい。
以上、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
1 プリンター、10 コントローラー、11 インターフェース部、
12 CPU、13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、51 光学センサー、52 発光部、52a 発光素子、
52b 駆動回路、53 受光部、53a 受光素子、53b 増幅回路、
53c AD変換回路、60 コンピューター

Claims (8)

  1. (A)媒体に画像を印刷する印刷部と、
    (B)第1デジタル値の入力により光量を調整可能な発光部と、
    (C)前記発光部が照射した光の反射光を受光し、その受光量に応じた第2デジタル値を出力する受光部と、
    (D)前記印刷部により前記媒体に印刷されたテストパターンの濃度を検出する制御部であって、
    前記テストパターンが印刷された前記媒体の空白領域に向けて前記発光部が光を照射したときの前記第2デジタル値の基準値に基づいて、複数の前記第1デジタル値を設定し、
    設定した各前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記空白領域に向けて光を照射したときの前記第2デジタル値を複数取得し、当該複数の第2デジタル値に基づいて、前記第1デジタル値と前記第2デジタル値の関係を表す第1近似式を求め、
    前記第2デジタル値が前記基準値となる第1デジタル値の類推値を前記第1近似式から求め、
    設定した各前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記テストパターンに向けて光を照射したときの前記第2デジタル値を複数取得し、当該複数の第2デジタル値に基づいて、前記第1デジタル値と前記第2デジタル値の関係を表す第2近似式を求め、
    前記第1デジタル値として前記類推値が前記発光部に入力されたときの前記第2デジタル値を前記第2近似式から求めることにより、前記テストパターンの濃度を検出する制御部と、
    (E)を備えることを特徴とする印刷装置。
  2. 請求項1に記載の印刷装置であって、
    前記第1近似式は多項式であることを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の印刷装置であって、
    前記基準値に基づいて設定された複数の前記第1デジタル値のうち、一の値が入力された前記発光部が前記空白領域に向けて光を照射したときの前記第2デジタル値は前記基準値よりも大きく、他の値が入力された前記発光部が前記空白領域に向けて光を照射したときの前記第2デジタル値は前記基準値よりも小さい、
    ことを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の印刷装置であって、
    前記第2近似式は多項式であることを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項1から請求項4の何れか1項に記載の印刷装置であって、
    或る前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記空白領域に向けて光を照射したときの前記第2デジタル値が前記基準値である場合、
    前記制御部は、当該第1デジタル値が入力された前記発光部が前記テストパターンに向けて光を照射したときの前記第2デジタル値に基づいて前記テストパターンの濃度を検出する、
    ことを特徴とする印刷装置。
  6. 請求項1から請求項5の何れか1項に記載の印刷装置であって、
    前記発光部及び前記受光部と前記媒体とを所定方向に相対移動させる移動機構を備え、
    前記制御部は、前記基準値に基づいて設定した各前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記空白領域に向けて光を照射したときの前記第2デジタル値を複数取得した後に、前記移動機構により前記発光部及び前記受光部と前記媒体とを前記所定方向に相対移動させ、前記基準値に基づいて設定した各前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記テストパターンに向けて光を照射したときの前記第2デジタル値を複数取得する、
    ことを特徴とする印刷装置。
  7. (A)第1デジタル値の入力により光量を調整可能な発光部が照射した光の反射光を受光し、その受光量に応じた第2デジタル値を出力する受光部からの測定結果に基づいて、媒体に印刷されたテストパターンの濃度を検出する濃度検出方法であって、
    (B)前記テストパターンが印刷された前記媒体の空白領域に向けて前記発光部が光を照射したときの前記第2デジタル値の基準値に基づいて、複数の前記第1デジタル値を設定することと、
    (C)設定した各前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記空白領域に向けて光を照射したときの前記第2デジタル値を複数取得し、当該複数の第2デジタル値に基づいて、前記第1デジタル値と前記第2デジタル値の関係を表す第1近似式を求めることと、
    (D)前記第2デジタル値が前記基準値となる第1デジタル値の類推値を前記第1近似式から求めることと、
    (E)設定した各前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記テストパターンに向けて光を照射したときの前記第2デジタル値を複数取得し、当該複数の第2デジタル値に基づいて、前記第1デジタル値と前記第2デジタル値の関係を表す第2近似式を求めることと、
    (F)前記第1デジタル値として前記類推値が前記発光部に入力されたときの前記第2デジタル値を前記第2近似式から求めることにより、前記テストパターンの濃度を検出することと、
    (G)を有することを特徴とする濃度検出方法。
  8. (A)第1デジタル値の入力により光量を調整可能な発光部が照射した光の反射光を受光し、その受光量に応じた第2デジタル値を出力する受光部からの測定結果に基づいて、媒体に印刷されたテストパターンの濃度をコンピューターに検出させるための濃度検出プログラムであって、
    (B)前記テストパターンが印刷された前記媒体の空白領域に向けて前記発光部が光を照射したときの前記第2デジタル値の基準値に基づいて、複数の前記第1デジタル値を設定する機能と、
    (C)設定した各前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記空白領域に向けて光を照射したときの前記第2デジタル値を複数取得し、当該複数の第2デジタル値に基づいて、前記第1デジタル値と前記第2デジタル値の関係を表す第1近似式を求める機能と、
    (D)前記第2デジタル値が前記基準値となる第1デジタル値の類推値を前記第1近似式から求める機能と、
    (E)設定した各前記第1デジタル値が入力された前記発光部が前記テストパターンに向けて光を照射したときの前記第2デジタル値を複数取得し、当該複数の第2デジタル値に基づいて、前記第1デジタル値と前記第2デジタル値の関係を表す第2近似式を求める機能と、
    (F)前記第1デジタル値として前記類推値が前記発光部に入力されたときの前記第2デジタル値を前記第2近似式から求めることにより、前記テストパターンの濃度を検出する機能と、
    (G)をコンピューターに実現させるための濃度検出プログラム。
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