JP2013175491A - 高圧放電ランプ点灯装置、それを用いた高圧放電ランプ装置、その高圧放電ランプ装置を用いたプロジェクタ、および高圧放電ランプの点灯方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
略矩形波の交流電流において、デューティ比が50[%]を超え100[%]未満である期間をA期間とし、デューティ比が0[%]を超え50[%]未満である期間をB期間とし、デューティ比が50[%]である期間をC期間とする。C期間における交流1周期はA期間およびB期間のいずれの交流1周期よりも小さく、A期間に含まれる各周期のデューティ比の平均とB期間に含まれる各周期のデューティ比の平均との和は100[%]に等しく、A期間の長さとB期間の長さとが等しい。定常点灯状態において、A,C,B,Cの順に期間を遷移させ、かつ、これを繰り返す。
【選択図】図6
Description
このようなプロジェクタは、光源からの射出光を画像情報に応じて変調し、その光学像を拡大投射するものであって、その光源として点光源により近く、高輝度で高演色な例えば高圧水銀ランプ(以下、単に「ランプ」という)が使用されている。
ここで言う「デューティ比」とは、交流電流において、どちらか一方の電流方向を正方向とし、交流1周期に占める正方向電流の持続時間の比率を表す。
つまり、特許文献1のように、極性反転動作をパルス幅変調のみで点灯させた場合は、基本的には適正な突起部が形成され、かつそれが維持されるものの、ランプの寿命全般やあらゆる使用形態を考慮すると、適正な突起部が得られず、アークジャンプの発生を抑制するという効果が十分に発揮できない場合があることを見出した。
すなわち、(1)寿命の初期段階では、ハロゲンサイクルが十分に作用しているが故に、ちょうど累積点灯時間が20時間以上500時間以内あたりでタングステンの堆積が最も過剰になり、突起部の太径化が進行しすぎて平坦化を引き起こしたと考えられる。一方、(2)調光点灯による低電力点灯の場合、電極の温度が定格電力点灯時に比して低くなるために、電極先端部におけるタングステンの堆積範囲が広がり、それが突起部の太径化を進行させ、平坦化を引き起こしたと考えられる。
本発明に係る高圧放電ランプ点灯装置は、内部に、ハロゲン物質が封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧放電ランプに対して、略矩形波の交流電流を供給して点灯させる高圧放電ランプ点灯装置であって、前記高圧放電ランプに供給される略矩形波の交流電流を生成する交流電流生成回路と、前記交流電流生成回路を制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、前記交流電流において、どちらか一方の電流方向を正方向とし、交流1周期に占める正方向電流の持続時間の比率をデューティ比で表したとき、前記デューティ比が50[%]を超え100[%]未満である期間をA期間とし、前記デューティ比が0[%]を超え50[%]未満である期間をB期間とし、前記デューティ比が50[%]である期間をC期間とした場合、前記C期間における交流1周期は、前記A期間および前記B期間のいずれの交流1周期よりも小さく、前記A期間に含まれる各周期のデューティ比の平均と前記B期間に含まれる各周期のデューティ比の平均との和は100[%]に等しく、前記A期間の長さと前記B期間の長さとが等しく設定されており、定常点灯状態において、前記A期間、前記C期間、前記B期間、前記C期間の順に期間を遷移させ、かつ、これを繰り返すように前記交流電流生成回路を制御する。
また、「前記制御回路」による「前記A期間、前記C期間、前記B期間、前記C期間の順に期間を遷移させ、かつ、これを繰り返す」制御は、必ず前記A期間から始まることを意味するものではなく、繰り返しにおいてこの順序に従うことを意味するので、前記B期間や、前記C期間から始まることも含むものとする。
また、本発明に係るプロジェクタは、上述の高圧放電ランプ装置を備える。
また、本発明に係る高圧放電ランプの点灯方法は、内部に、ハロゲン物質が封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧放電ランプに対して、略矩形波の交流電流を供給して点灯させる点灯方法であって、前記交流電流において、どちらか一方の電流方向を正方向とし、交流1周期に占める正方向電流の持続時間の比率をデューティ比で表したとき、前記デューティ比が50[%]を超え100[%]未満である期間をA期間とし、前記デューティ比が0[%]を超え50[%]未満である期間をB期間とし、前記デューティ比が50[%]である期間をC期間とした場合、前記C期間における交流1周期は、前記A期間および前記B期間のいずれの交流1周期よりも小さく、前記A期間に含まれる各周期のデューティ比の平均と前記B期間に含まれる各周期のデューティ比の平均との和は100[%]に等しく、前記A期間の長さと前記B期間の長さとが等しく設定されており、定常点灯状態において、前記A期間、前記C期間、前記B期間、前記C期間の順に期間を遷移させ、かつ、これを繰り返す。
そこで、A期間とB期間との間にデューティ比が50[%]であり、かつその1周期がA期間およびB期間のいずれの1周期よりも小さいC期間を存在させることにより、つまり一定期間、高周波の交流電流で点灯させることにより、突起部の先端部の平坦化を抑えることができる。すなわち、このC期間では、電極の温度変化が小さくなるためタングステンの堆積が突起部の先端部だけに制限され、その結果、細径でしかも先の尖った突起部を形成する消極的な作用を奏する。
また、前記C期間の交流1周期は1[ms]以上4[ms]以下の範囲内にあり、かつ前記C期間の挿入1回当たりの繰り返し周期は5周期以上200周期以下の範囲内に設定されていることとしてもよい。かかる構成によれば、細径で、かつ先の尖った突起部を形成する消極的作用がより効果的に加わり、結果として突起部全体として、先端が丸みを帯びた略円錐体状になる。
ここで、「検出された前記ランプ電圧が、前記第一の値と前記第二の値の間にあるとき、前記第二の値を通って前記ランプ電圧に低下した場合は、前記第二の値以上である場合と同じ制御を行い、前記第一の値を通って前記ランプ電圧に上昇した場合は、前記第一の値以下である場合と同じ制御を行う」とし、制御の切り替えが高圧放電ランプのランプ電圧の変化の仕方に対して、いわゆるヒステリシス的な切り替えにしている理由は次のとおりである。
また、さらに、前記高圧放電ランプのランプ電圧を検出するランプ電圧検出部を備え、前記制御回路は、前記交流電流において、前記デューティ比が50[%]であり、かつ交流1周期が前記C期間の交流1周期よりも短く、かつその交流1周期が1[ms]以上3[ms]以下の範囲内である期間をD期間とした場合、定常点灯状態において、検出された前記ランプ電圧が予め設定された第一の値よりも高い第二の値以上である場合、前記A期間、前記C期間、前記B期間、前記C期間の順に期間を遷移させ、かつ、これを繰り返す制御を行い、検出された前記ランプ電圧が予め設定された第一の値以下である場合、前記制御を行わずに前記D期間を維持する制御を行い、検出された前記ランプ電圧が前記第一の値と前記第二の値との間にあるとき、前記第二の値を通って前記ランプ電圧に低下した場合は、前記第二の値以上である場合と同じ制御を行い、前記第一の値を通って前記ランプ電圧に上昇した場合は、前記第一の値以下である場合と同じ制御を行うこととしてもよい。かかる構成によれば、ランプの点灯中に、何らかの原因によって電極の突起部が伸び過ぎ、電極間距離が短縮し過ぎるのを一層効果的に抑制することができる。すなわち、デューティ比が50[%]であり、かつ交流1周期がC期間の1周期よりも短く、かつその交流1周期が1[ms]以上3[ms]以下の範囲内であるD期間を採用することにより、その期間中、一層速いサイクルで交流点灯をさせることになり、突起部の形成作用をより一層消極的に傾けることができ、電極間の過剰な短縮を確実に解消することができる。
また、ここでもいわゆるヒステリシス的な動作にしている理由は前述と同様の理由によるものである。
また、上記プロジェクタの構成によれば、スクリーン等への投射映像のちらつきを防止することができる高品質なプロジェクタを実現することができる。
また、上記高圧放電ランプの点灯方法の構成によれば、上記高圧放電ランプ点灯装置と同様の効果を得ることができる。
以下、本発明の最良な実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
<構成>
図1は、本発明の第1の実施形態である高圧放電ランプ装置1のブロック図を示す。
DC電源回路2は、例えば整流回路(図示せず)を有しており、家庭用の交流電圧(100[V])から一定の直流電圧を生成し、高圧放電ランプ点灯装置3に供給する。
DC/DCコンバータ5は、制御回路10からのPWM(Pulse Width Modulation)制御信号を受けて所定の大きさの直流電流をDC/ACインバータ6に供給する。すなわち、安定点灯時(定常点灯時)において高圧水銀ランプ4の光出力を一定に保つべくランプ電力を一定にする制御(定電力制御)を行う必要があるが、制御回路10はそのためにランプ電流検出部8で検出したランプ電流、およびランプ電圧検出部9で検出したランプ電圧にそれぞれ基づいてマイコン11によってランプ電力を演算し、それを一定にするようなPWM制御信号をPWM制御回路12からDC/DCコンバータ5に送る。DC/DCコンバータ5は、それを受けてDC電源回路2からの直流電圧を所定の大きさの直流電流に変換する。ただし、制御回路10は、ランプの始動動作後からランプが立ち上がるまでのランプ電圧が低い状態、言い換えればランプ電流が高い状態においては定電流制御するようにPWM制御信号をDC/DCコンバータ5に送る。
高電圧発生部7は、例えばトランス(図示せず)を有しており、高圧水銀ランプ4の電極19間での絶縁破壊を促し、高圧水銀ランプ4を始動させるべく高電圧を発生させて高圧水銀ランプ4に印加する。
ランプ電圧検出部9は、DC/DCコンバータ5の出力電圧を検出し、ランプ電圧のレベルを示す信号を出力する。ここでDC/DCコンバータ5の出力電圧は、ランプ電圧以外にDC/ACインバータ6や高電圧発生部7や回路配線などで生じる電圧降下を含むため正確にはランプ電圧と等価ではないが、前記ランプ電圧以外の電圧降下分を差し引く補正をすることにより、DC/DCコンバータ5の出力電圧を制御処理上ランプ電圧として扱うことができる。
図2に示すように、高圧水銀ランプ4の発光管は、その容囲器の構成材料が例えば石英ガラスからなり、管中央部の略回転楕円体形状の発光部16と、この両側からそれぞれ外方向に延在するように連接された略円柱体形状の封止部17とを有する。
電極19は、図3に示すように、電極棒20とその一端部に取り付けられた電極コイル21とからなる。特に電極19の先端部22(一端部)は、電極棒20の一部と電極コイル21の一部とがそれぞれ一体的に溶融されて例えば略半球状、略球状または略円錐状等の形状に加工されている。また、この電極19の先端部22には、点灯中のハロゲンサイクル作用によって、電極19の構成材料であるタングステンが蒸発した後、ハロゲンによって再び電極19、特にその先端部22の頂点部に戻って堆積し、その堆積物からなる突起部23が機械的加工を行うことなく自己形成される。ここで示す突起部23は製造工程の点灯工程中に形成させたもので、製品完成時には既に形成された状態にある。前記電極19間の距離Lは、具体的にはこれら突起部23間の距離を示す。
図2に戻り、電極19の他端部は、封止部17に気密に封着されたモリブデン製の金属箔24を介して外部リード線25の一端部に接続されている。外部リード線25の他端部は封止部17の端面から外部に突出し、図示していない電力供給線または口金等に接続される。
すなわち、ランプユニット27は、図4に示すように、上記した高圧水銀ランプ4と、内面が凹面の反射面28を有する基体がガラスまたは金属からなる反射鏡26とを備えており、この反射鏡26内に高圧水銀ランプ4がその長手方向の中心軸Xと反射鏡26の光軸Yとが略一致するように組み込まれ、高圧水銀ランプ4からの射出光が反射面28により反射されるように構成されている。
そして、この高圧水銀ランプ4は、口金30が反射鏡26のネック部32内に挿入され、かつ接着剤33を介して固着されている。このとき、電力供給線31は、反射鏡26に設けられた貫通孔34に挿通される。
<動作>
次に、本実施形態に係る高圧放電ランプ点灯装置3の動作例について図1、図2および図5のフローチャートを参照して説明する。図5は、高圧放電ランプ点灯装置3における交流電流の変調制御を示すフローチャートである。ただし、図5のフローチャートにおいて後述する始動動作は省略している(以下、後述するその他のフローチャートについても同じである)。
(1)まず、高圧水銀ランプ4を放電開始させるための点灯スイッチ(図示せず)がオンされると、制御回路10は、高電圧発生部7に例えば3[kV]、100[kHz]の高周波電圧を発生させる。発生された高周波電圧は高圧水銀ランプ4に印加される。
(2)高圧水銀ランプ4における電極19間において絶縁破壊が起こると電極19間に高周波のアーク放電電流が通電し始める。すなわち、高圧水銀ランプ4は放電を開始する。放電開始後も一定期間、高周波電圧が高圧水銀ランプ4に印加され続ける。
なお、上記始動動作において、高圧水銀ランプ4を放電開始させるための高電圧発生部7からの出力は高周波の高電圧に限定されるものでなく、これに代えて公知の間欠発振型の高電圧パルスを用いてもよい。また、放電開始後のアーク放電を安定させる方法についても当該高周波動作に限るものでなく、これに代えて公知の直流動作または20[Hz]未満の低周波電流による定電流制御の動作を用いてもよい。
(3)始動動作後、略矩形波の交流電流による定電流制御(例えば3[A]一定)の点灯に移行する。
(4)制御回路10は、水銀の蒸発に伴ってランプ電圧が上昇して所定の電圧(例えば60[V])に到達するまで定電流制御で高圧水銀ランプ4を点灯させる。その一方で、制御回路10は、ランプ電流検出部8の出力信号に基づき点灯開始したか否かを判別する。そして、図5に示すように点灯開始すれば、制御回路10は、タイマー14のカウントを開始させ(S11)、DC/ACインバータ6に制御信号Eを入力する(S12)。制御信号Eは、E期間における略矩形波の特性を特定するための信号である。DC/ACインバータ6は、制御信号Eから略矩形波の特性(1周期の長さおよびデューティ比)を特定し、当該特性に応じた交流電流の極性反転動作を実行する。これにより、制御信号Eにより特定される略矩形波の交流電流がDC/ACインバータ6から出力され、高圧水銀ランプ4に供給される。なお、E期間における交流電流の1周期は、5[ms]以上20[ms]以下の範囲内から選択され(例えば、10[ms])、1周期のデューティ比は50[%]である。
(5)タイマー14の設定時間は、60[s]以上300[s]以下の範囲内から選択されており、本実施形態では100[s]が選択されている。制御回路10は、点灯開始から100[s]を経過するまで、DC/ACインバータ6への制御信号Eの入力を維持する(S13:NO)。点灯開始から100[s]を経過すれば、制御回路10は、略矩形波の交流電流の変調制御を実行する(S13:YES)。
(6)制御回路10は、点灯開始から100[s]を経過すれば、DC/ACインバータ6に制御信号Aを入力する(S14)。制御信号Aは、A期間における略矩形波の特性を特定するための信号である。これにより、制御信号Aにより特定される略矩形波の交流電流がDC/ACインバータ6から出力され、高圧水銀ランプ4に供給される。
(7)制御回路10は、所定時間Aが経過するまでDC/ACインバータ6への制御信号Aの入力を維持し(S15:NO)、所定時間Aを経過すれば(S15:YES)、制御信号Aから制御信号Cに切り替える(S16)。制御信号Cは、C期間における略矩形波の特性を特定するための信号である。これにより制御信号Cにより特定される略矩形波の交流電流がDC/ACインバータ6から出力され、高圧水銀ランプ4に供給される。
(8)制御回路10は、所定時間Cが経過するまでDC/ACインバータ6への制御信号Cの入力を維持し(S17:NO)、所定時間Cが経過すれば(S17:YES)、制御信号Cから制御信号Bに切り替える(S18)。制御信号Bは、B期間における略矩形波の特性を特定するための信号である。これにより制御信号Bにより特定される略矩形波の交流電流がDC/ACインバータ6から出力され、高圧水銀ランプ4に供給される。
(9)制御回路10は、所定時間Bが経過するまでDC/ACインバータ6への制御信号Bの入力を維持し(S19:NO)、所定時間Bが経過すれば(S19:YES)、制御信号Bから制御信号Cに切り替える(S20)。これにより制御信号Cにより特定される略矩形波の交流電流がDC/ACインバータ6から出力され、高圧水銀ランプ4に供給される。
(10)制御回路10は、所定時間Cが経過するまでDC/ACインバータ6への制御信号Cの入力を維持し(S21:NO)、所定時間Cが経過すれば(S21:YES)、制御信号Cから制御信号Aに切り替える(S14)。これにより制御信号Aにより特定される略矩形波の交流電流がDC/ACインバータ6から出力され、高圧水銀ランプ4に供給される。
(11)制御回路10は、以降、点灯スイッチがオフされるまで、S14〜S21の一連のステップを繰り返す。
A期間では、略矩形波の1周期の長さが2[ms]以上20[ms]以下の範囲内から選択され、1周期のデューティ比が50[%]を超え100[%]未満の範囲内から選択され、繰り返し周期が2周期以上200周期以下の範囲内から選択される。
A、Bの両期間における1周期の長さ、1周期のデューティ比および繰り返し周期は、A期間における各周期のデューティ比の平均とB期間における各周期のデューティ比の平均との和が100[%]となり、かつA期間の長さとB期間の長さとが等しくなるように選択される。
図6の例では、A期間における1周期の長さとして7[ms]が選択され、1周期のデューティ比として80[%]が選択され、繰り返し周期として10周期が選択されている。さらに、A期間に含まれる何れの周期も1周期の長さが7[ms]で等しく、デューティ比が80[%]で等しい。
また、C期間における1周期の長さとして2.8[ms]が選択され、繰り返し周期として20周期が選択されている。
そこで、A期間とB期間との間にデューティ比が50[%]であり、かつその1周期がA期間およびB期間のいずれの1周期よりも小さいC期間を挿入することにより、突起部の先端部の平坦化を抑えることとしている。C期間では、電極の温度変化が小さくなり、細径でしかも先の尖った突起部を形成する消極的な作用が働く。そのため、A期間とB期間とが交互に現れる間にC期間を挿入することで、太径化を促す積極的な形成作用と細径化を促す消極的な形成作用とがバランスし、その相互作用の結果としてランプの寿命中に亘って適正な突起部の形成、維持を図ることができる(図7(a)参照)。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、定常点灯状態において、ランプ電圧が高ければ第1の実施形態と同様の制御を行い、ランプ電圧が低ければ単一周波数の交流電流を供給する制御を行う。これ以外の点については、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
<構成>
図8は、本発明の第2の実施形態である高圧放電ランプ装置1のブロック図を示す。
シュミットトリガ回路15は、ランプ電圧検出部9の出力信号に応じて、ランプ電圧が第二の値以上であればHレベルを出力し、ランプ電圧が第二の値よりも低い第一の値以下であればLレベルを出力する。また、ランプ電圧が第一の値と第二の値との中間の場合、第二の値を超えてその値になったときにはHレベルを出力し、第一の値を超えてその値になったときにはLレベルを出力する。第一の値と第二の値との差は2[V]以上10[V]以下の範囲内から選択され、本実施形態では、5[V]が設定されているものとする。
<動作>
次に、本実施形態に係る高圧放電ランプ点灯装置3の動作例について説明する。図9は、高圧放電ランプ点灯装置3における交流電流の変調制御を示すフローチャートである。
制御回路10は、点灯開始から100[s]を経過すれば、シュミットトリガ回路15の出力信号を確認する。
一方、シュミットトリガ回路15の出力信号がHレベルであれば(S34:YES)、制御回路10は、シュミットトリガ回路15の出力信号がLレベルになるまでDC/ACインバータ6に制御信号A,C,B,Cの順に切り替え、かつこれを繰り返すように入力する(S36〜S43)。第2の実施形態におけるステップS36〜S43は、第1の実施形態におけるステップS14〜S21と同様である。すなわち、第1の実施形態と同様の制御により得られる交流電流が高圧水銀ランプ4に供給される。
ランプの点灯中に、何らかの原因により電極の突起部が伸び過ぎた場合、電極間距離が短縮するのでランプ電圧が低下する。そこで、高圧水銀ランプ4に供給する交流電流の周波数が高いほど電極の突起部を細らせる作用があることを利用し、ランプ電圧が第一の値よりも低い場合に高周波の交流電流を供給することとしている。そうすることで、電極の突起部を適正な大きさまで減退させて、適正に維持させることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態であるプロジェクタについて、図12および図13を参照して説明する。
なお、図12は、後述する筐体36の天板を取り除いた状態を示している。
以上、第1〜第3の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られない。例えば、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、A,B期間の何れの期間においても、ひとつの期間中に含まれる各周期のデューティ比は一定である。しかしながら、本発明では、A期間に含まれる各周期のデューティ比の平均とB期間に含まれる各周期のデューティ比の平均との和が100[%]であり、かつA期間の長さとB期間の長さとが等しければ、ひとつの期間中に含まれる各周期のデューティ比が変化しても構わない。
(2)上記実施形態では、制御の切り替えを安定させるため、シュミットトリガ回路を用いているが、ヒステリシス特性をもたせることができれば、本発明はこれに限らない。例えば、マイコンにランプ電圧の推移を記憶させておき、検出されたランプ電圧が第一の値と第二の値との間にある場合に、ランプ電圧の推移を見て判断させることとしてもよい。
(3)上記第3の実施形態では、高圧放電ランプ装置として第1の実施形態の高圧放電ランプ装置1を用いた場合について説明したが、もちろん第2の実施形態の高圧放電ランプ装置1を用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができる。
(4)上記各実施形態では、高圧水銀ランプとして定格電力180[W]の高圧水銀ランプ4を用いた場合について説明したが、これに限らず定格電力が例えば80[W]以上1000[W]以下の範囲内の高圧水銀ランプを用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができる。その場合、定電流制御時のランプ電流の値は3[A]に限定されるものではなく、高圧水銀ランプの設計の応じて種々に決定される。また定電力制御に移行するときのランプ電圧は上記したように60[V]ではなく、その種々の定電流制御時のランプ電流と定電力の値に応じて決定される。
(5)上記各実施形態では、高圧放電ランプとして具体的に高圧水銀ランプ4を用いた場合について説明したが、これに限らず公知のシュートアーク型のメタルハライドランプ等を用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができる。
(6)近時、この種の高圧放電ランプ装置1には、使用する空間の大きさ等に応じて段階的にランプ電力を切り替える調光機能が付与されているものがある。つまり、通常モードではランプ電力を定格電力(例えば180[W])に一定にして定電力制御を行うが、調光モードではランプ電力を切り替えて例えば100[W]に一定にして定電力制御を行うというものである。各実施形態にかかる高圧放電ランプ装置1がこのように調光機能を有する場合、上記した「定電力」とは通常モードに設定されているときはその通常モードの定電力を、調光モードに設定されているときはその調光モードの定電力をそれぞれ示す。
(7)上記実施形態では、A期間とB期間の1周期の長さ(7[ms])、デューティ比の平均(A期間では80[%]、B期間では20[%])、期間の長さ(70[ms])、C期間の1周期の長さ(2.8[ms])、期間の長さ(56[ms])の設定が固定されているが、本発明はこれに限られない。例えば、ランプの累積点灯時間の増加に伴う特性パラメータ(ランプ電圧やランプ電流など)の変化に応じて、これらのうちの少なくとも1つの設定を変化させることとしてもよい。高圧放電ランプにおいては累積点灯時間の増加に伴いランプ電圧等の特性パラメータが変化することが知られている。この変化に応じて適宜上記設定を変化させることにより、突起部形状の維持に貢献することができる。
2 DC電源回路
3 高圧放電ランプ点灯装置
4 高圧水銀ランプ
5 DC/DCコンバータ
6 DC/ACインバータ
7 高電圧発生部
8 ランプ電流検出部
9 ランプ電圧検出部
10 制御回路
11 マイコン
12 PWM制御回路
13 点灯判別回路
14 タイマー
15 シュミットトリガ回路
16 発光部
17 封止部
18 放電空間
19 電極
20 電極棒
21 電極コイル
22 先端部
23 突起部
24 金属箔
25 外部リード線
26 反射鏡
27 ランプユニット
28 反射面
29 電源接続用端子
30 口金
31 電力供給線
32 ネック部
33 接着剤
34 貫通孔
35 フロントプロジェクタ
36 筐体
37 光学ユニット
38 制御ユニット
39 投射レンズ
40 冷却ファンユニット
41 電源ユニット
42 リアプロジェクタ
43 筐体
44 透過式スクリーン
Claims (18)
- 内部に、ハロゲン物質が封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧放電ランプに対して、略矩形波の交流電流を供給して点灯させる高圧放電ランプ点灯装置であって、
前記高圧放電ランプに供給される略矩形波の交流電流を生成する交流電流生成回路と、
前記交流電流生成回路を制御する制御回路と、
前記高圧放電ランプのランプ電圧を検出するランプ電圧検出部とを備え、
前記制御回路は、
前記交流電流において、どちらか一方の電流方向を正方向とし、交流1周期に占める正方向電流の持続時間の比率をデューティ比で表したとき、前記デューティ比が50[%]を超え100[%]未満である期間をA期間とし、前記デューティ比が0[%]を超え50[%]未満である期間をB期間とし、前記デューティ比が50[%]である期間をC期間とし、前記デューティ比が50[%]であり、かつ交流1周期が前記C期間の交流1周期よりも短く、かつその交流1周期が1[ms]以上3[ms]以下の範囲内である期間をD期間とした場合、
前記C期間の交流1周期は、前記A期間および前記B期間のいずれの交流1周期よりも小さく、前記A期間に含まれる各周期のデューティ比の平均と前記B期間に含まれる各周期のデューティ比の平均との和は100[%]に等しく、前記A期間の長さと前記B期間の長さとが等しく設定されており、
定常点灯状態において、
検出された前記ランプ電圧が予め設定された第一の値よりも高い第二の値以上である場合、前記A期間、前記C期間、前記B期間、前記C期間の順に期間を遷移させ、かつ、これを繰り返す制御を行い、
検出された前記ランプ電圧が予め設定された第一の値以下である場合、前記制御を行わずに前記D期間を維持する制御を行い、
検出された前記ランプ電圧が前記第一の値と前記第二の値との間にあるとき、前記第二の値を通って前記ランプ電圧に低下した場合は、前記第二の値以上である場合と同じ制御を行い、前記第一の値を通って前記ランプ電圧に上昇した場合は、前記第一の値以下である場合と同じ制御を行うように、
前記交流電流生成回路を制御すること
を特徴とする高圧放電ランプ点灯装置。 - 前記A期間の交流1周期の繰り返し周期が2周期以上200周期以下の範囲内に設定され、
前記B期間の交流1周期の繰り返し周期が2周期以上200周期以下の範囲内に設定されていること
を特徴とする請求項1に記載の高圧放電ランプ点灯装置。 - 前記C期間の交流1周期は1[ms]以上4[ms]以下の範囲内にあり、
かつ前記C期間の挿入1回当たりの繰り返し周期は5周期以上200周期以下の範囲内に設定されていること
を特徴とする請求項1または2に記載の高圧放電ランプ点灯装置。 - 前記A期間と前記B期間の各々の交流1周期は一定で等しく、
かつ各々に含まれる各周期のデューティ比は一定に設定されていること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高圧放電ランプ点灯装置。 - 前記A期間の交流1周期内の負方向電流の持続時間と、前記B期間の交流1周期内の正方向電流の持続時間と、前記C期間の交流1周期の半周期とが互いに等しく設定されていること
を特徴とする請求項4に記載の高圧放電ランプ点灯装置。 - 前記点灯電圧の第一の値と第二の値との差は2[V]以上10[V]以下の範囲内に設定されていること
を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高圧放電ランプ点灯装置。 - 前記制御回路は、
前記交流電流において、前記デューティ比が50[%]であり、かつ交流1周期が5[ms]以上20[ms]以下の範囲内である期間をE期間とした場合、
前記高圧放電ランプの始動動作後から60[s]以上300[s]以下の範囲内から選択される所定時間までの間は、前記制御を行わずに前記E期間を維持する制御を行うこと
を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の高圧放電ランプ点灯装置。 - 前記ランプの累積点灯時間の増加に伴う特性パラメータの変化に応じて、前記A期間と前記B期間の1周期の長さ、デューティ比の平均、期間の長さ、前記C期間の1周期の長さ、期間の長さの、少なくともどれか1つの設定を変化させること
を特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の高圧放電ランプ点灯装置。 - 内部に、ハロゲン物質が封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧放電ランプと、
前記高圧放電ランプを点灯させる請求項1〜8のいずれか1項に記載された高圧放電ランプ点灯装置と、を備えたことを特徴とする高圧放電ランプ装置。 - 請求項9に記載された高圧放電ランプ装置を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
- 内部に、ハロゲン物質が封入され、かつ先端部に突起部が形成されている一対の電極が配置されている発光管を有する高圧放電ランプに対して、略矩形波の交流電流を供給して点灯させる点灯方法であって、
前記交流電流において、どちらか一方の電流方向を正方向とし、交流1周期に占める正方向電流の持続時間の比率をデューティ比で表したとき、前記デューティ比が50[%]を超え100[%]未満である期間をA期間とし、前記デューティ比が0[%]を超え50[%]未満である期間をB期間とし、前記デューティ比が50[%]である期間をC期間とし、前記デューティ比が50[%]であり、かつ交流1周期が前記C期間の交流1周期よりも短く、かつその交流1周期が1[ms]以上3[ms]以下の範囲内である期間をD期間とした場合、
前記C期間の交流1周期は、前記A期間および前記B期間のいずれの交流1周期よりも小さく、前記A期間に含まれる各周期のデューティ比の平均と前記B期間に含まれる各周期のデューティ比の平均との和は100[%]に等しく、前記A期間の長さと前記B期間の長さとが等しく設定されており、
定常点灯状態において、
前記高圧放電ランプのランプ電圧を検出し、
検出された前記ランプ電圧が予め設定された第一の値よりも高い第二の値以上である場合、前記A期間、前記C期間、前記B期間、前記C期間の順に期間を遷移させ、かつ、これを繰り返す制御を行い、
検出された前記ランプ電圧が予め設定された第一の値以下である場合、前記制御を行わずに前記D期間を維持する制御を行い、
検出された前記ランプ電圧が前記第一の値と前記第二の値との間にあるとき、前記第二の値を通って前記ランプ電圧に低下した場合は、前記第二の値以上である場合と同じ制御を行い、前記第一の値を通って前記ランプ電圧に上昇した場合は、前記第一の値以下である場合と同じ制御を行うこと
を特徴とする高圧放電ランプの点灯方法。 - 前記A期間の交流1周期の繰り返し周期が2周期以上200周期以下の範囲内に設定され、
前記B期間の交流1周期の繰り返し周期が2周期以上200周期以下の範囲内に設定されていること
を特徴とする請求項11に記載の高圧放電ランプの点灯方法。 - 前記C期間の交流1周期は1[ms]以上4[ms]以下の範囲内にあり、
かつ前記C期間の挿入1回当たりの繰り返し周期は5周期以上200周期以下の範囲内に設定されていること
を特徴とする請求項11または12に記載の高圧放電ランプの点灯方法。 - 前記A期間と前記B期間の各々の交流1周期は一定で等しく、
かつ各々に含まれる各周期のデューティ比は一定に設定されていること
を特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の高圧放電ランプの点灯方法。 - 前記A期間の交流1周期内の負方向電流の持続時間と、前記B期間の交流1周期内の正方向電流の持続時間と、前記C期間の交流1周期の半周期とが互いに等しく設定されていること
を特徴とする請求項14に記載の高圧放電ランプの点灯方法。 - 前記点灯電圧の第一の値と第二の値との差は2[V]以上10[V]以下の範囲内に設定されていること
を特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載の高圧放電ランプの点灯方法。 - 前記交流電流において、前記デューティ比が50[%]であり、かつ交流1周期が5[ms]以上20[ms]以下の範囲内である期間をE期間とした場合、
前記高圧放電ランプの始動動作後から60[s]以上300[s]以下の範囲内から選択される所定時間までの間は、前記制御を行わずに前記E期間を維持する制御を行うこと
を特徴とする請求項11〜16のいずれか1項に記載の高圧放電ランプの点灯方法。 - 前記ランプの累積点灯時間の増加に伴う特性パラメータの変化に応じて、前記A期間と前記B期間の1周期の長さ、デューティ比の平均、期間の長さ、前記C期間の1周期の長さ、期間の長さの、少なくともどれか1つの設定を変化させること
を特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載の高圧放電ランプの点灯方法。
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