JP2013174680A - 感光性樹脂組成物、平版印刷版原版及び平版印刷版の製造方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、平版印刷版原版及び平版印刷版の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】印刷性能に優れた平版印刷版の提供。
【解決手段】感光層に、(A)重合開始剤、(B)重合性モノマー、(C)エチレン性不飽和結合を側鎖に有するポリウレタンを有する感光性樹脂組成物であって、前記(C)ポリウレタンが、ジイソシアナート化合物とジオール化合物を主成分とする重付加体であって、少なくとも1種の第一のジイソシアナート化合物と少なくとも1種の第一のジオール化合物を反応させて得られる反応生成物(c−1)に、第二のジイソシアナート化合物及び第二のジオール化合物から選択される少なくとも1種を加えてさらに反応させて得られるポリウレタンであり、前記第一のジイソシアナート化合物の少なくとも1種と前記第二のジイソシアナート化合物の少なくとも1種は異なる化合物であり、前記第一のジオール化合物の少なくとも1種と、前記第二のジオール化合物の少なくとも1種は異なることを特徴とする感光性樹脂組成物を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、それを用いたコンピューター等のデジタル信号から各種レーザーを用いて直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能な平版印刷版原版及び平版印刷版の作製方法、特に簡易処理に適した平版印刷版原版及び平版印刷版の作製方法に関する。
波長300nm〜1200nmの紫外光、可視光、赤外光を放射する固体レーザー、半導体レーザー、ガスレーザーは高出力かつ小型のものが容易に入手できるようになっており、これらのレーザーはコンピューター等のデジタルデータから直接製版する際の記録光源として、非常に有用である。これら各種レーザー光に感応する記録材料については種々研究されており、代表的なものとして、第一に、画像記録波長760nm以上の赤外線レーザーで記録可能な材料として、ポジ型記録材料や酸触媒架橋型のネガ型記録材料等がある。第二に、300nm〜700nmの紫外光または可視光レーザー対応型の記録材料として、ラジカル重合型のネガ型記録材料等がある。
また、従来の平版印刷版原版(以下、PS版ともいう)では、画像露光の後、強アルカリ性水溶液を用いて非画像部を溶解除去する工程(現像処理)が不可欠であり、現像処理された印刷版を水洗したり、界面活性剤を含有するリンス液で処理したり、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で処理する後処理工程も必要であった。これらの付加的な湿式の処理が不可欠であるという点は、従来のPS版の大きな検討課題となっている。前記のデジタル処理によって製版工程の前半(画像露光)が簡素化されても、後半(現像処理)が煩雑な湿式処理では、簡素化による効果が不充分である。
特に近年は、地球環境への配慮が産業界全体の大きな関心事となっており、環境への配慮からも、より中性域に近い現像液での処理や廃液の低減が課題として挙げられている。特に湿式の後処理は、簡素化するか、乾式処理に変更することが望ましい。
このような観点から、環境課題に対して、現像あるいは製版の簡易化や無処理化が指向されている。簡易な製版方法の一つとしては、「機上現像」と呼ばれる方法が行われている。すなわち、平版印刷版原版を露光後、従来の現像は行わず、そのまま印刷機に装着して、画像記録層の不要部分の除去を通常の印刷工程の初期段階で行う方法である。
また、簡易現像の方法としては、画像記録層の不要部分の除去を、従来の高アルカリ性現像液ではなく、pHが中性に近いフィニッシャーまたはガム液によって行う「ガム現像」と呼ばれる方法も行われている。
上述のような製版作業の簡易化においては、作業のしやすさの点から明室または黄色灯下で取り扱い可能な平版印刷版原版および光源を用いるシステムが好ましいので、光源としては、波長760〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザーおよびYAGレーザー等の固体レーザーが用いられる。また、UVレーザーを用いることができる。
機上現像可能な平版印刷版原版としては、例えば特許文献1には、支持体上に、赤外線吸収剤とラジカル重合開始剤と重合性化合物とを含有する画像記録層(感光層)を設けた平版印刷版原版が記載されている。また、ガム現像可能な平版印刷版原版としては、例えば、特許文献2、3のような、pHが中性に近いフィニッシャーまたはガム液によって現像を行う方式の平版印刷版原版が知られている。
しかしながら、このような機上現像可能な平版印刷版原版やガム現像可能な平版印刷版原版においては、従来、低pHの現像液や印刷機上の湿し水(通常はほぼ中性)による現像を可能にするため、強アルカリ性の現像液を使用する平版印刷版原版に比べて、強度の弱い画像記録層(感光層)を使用している。その結果、印刷中にダメージを受けてしまい十分な耐刷性が得られなかった。また、強度の弱い画像記録層を使用して、露光部の強度のみを高めるために露光部の反応性を高めるようとすると、画像記録層自体の保存安定性が低下してしまい、経時後の現像性が低下する。逆に、画像記録層の強度を強くすると、機上現像やガム現像性が低下する。このように、機上現像性やガム現像性と耐刷性の両立は極めて難しく、さらなる改良が望まれている。
特許文献4には、平版印刷版の耐刷性を高める画像記録層として、ポリウレタンバインダーを使用することが記載されている。
特許文献5には、アルコールとイソシアナートを段階的に反応させて製造したポリウレタンを感光性樹脂組成物に使用している。
特開2002−287334号公報 欧州特許出願公開第1751625号明細書 欧州特許出願公開第1868036号明細書 特開2005−250438号公報 特開2002−196485号公報
ここで、上記特許文献4、特許文献5について、本発明者が検討を行ったところ、現像性と耐刷性の両立ができないことが分かった。
すなわち、従来のポリウレタンでは、現像性と高い耐刷性の両立を実現することは実質的に不可能であった。
従って、本発明の目的は、紫外光、可視光、赤外光を放射する固体レーザーおよび半導体レーザー光など各種レーザーを用いて記録することによりコンピューター等のデジタルデータから直接製版可能、特に、印刷機上現像やpH11以下の水溶液による現像が可能であり、高耐刷な平版印刷版を提供できる平版印刷版原版を提供することである。
かかる状況のもと、本願発明者が鋭意検討を行った結果、ラジカル重合性基を側鎖に有しブロック構造を有するポリウレタンをバインダーポリマーとして使用することで、上記課題を解決しうることを見出した。具体的には、以下の<1>により、上記課題は解決された。好ましくは、下記<2>〜<18>の手段により達成された。
<1>(A)重合開始剤、(B)重合性モノマー、(C)エチレン性不飽和結合を側鎖に有するポリウレタンを有する感光性樹脂組成物であって、前記(C)ポリウレタンが、ジイソシアナート化合物とジオール化合物を主成分とする重付加体であって、少なくとも1種の第一のジイソシアナート化合物と少なくとも1種の第一のジオール化合物を反応させて得られる反応生成物(c−1)に、第二のジイソシアナート化合物及び第二のジオール化合物から選択される少なくとも1種を加えてさらに反応させて得られるポリウレタンであり、前記第一のジイソシアナート化合物の少なくとも1種と前記第二のジイソシアナート化合物の少なくとも1種は異なる化合物であり、前記第一のジオール化合物の少なくとも1種と、前記第二のジオール化合物の少なくとも1種は異なることを特徴とする感光性樹脂組成物。
<2>(A)重合開始剤、(B)重合性モノマー、(C)エチレン性不飽和結合を側鎖に有するポリウレタンを有する感光性樹脂組成物であって、前記(C)ポリウレタンが、下記いずれかの構造を有する、感光性樹脂組成物。
一般式(A)
Figure 2013174680
一般式(B)
Figure 2013174680
一般式(C)
Figure 2013174680
一般式(D)
Figure 2013174680
(一般式(A)〜(D)中、A1、A2、B1およびB2は、それぞれ、2価の連結基を表し、A1とA2、B1とB2は互いに異なる連結基である。nは、2以上の整数であり、mおよびlは、ぞれぞれ、1以上の数値である。A1、A2、B1およびB2は、それぞれの繰り返し毎に異なる連結基であってもよい。)
<3>(A)重合開始剤、(B)重合性モノマー、(C)エチレン性不飽和結合を側鎖に有するポリウレタンを有する感光性樹脂組成物であって、前記(C)ポリウレタンが、少なくとも1種のジイソシアナート化合物と少なくとも2種のジオール化合物、または、少なくとも2種のジイソシアナート化合物と少なくとも1種のジオール化合物のブロック重合体であり、かつ、少なくとも1種のジイソシアナート化合物と少なくとも1種のジオール化合物が交互に結合した部分構造を有する、感光性樹脂組成物。
<4>前記(C)ポリウレタンが、3種類以下のジイソシアナート化合物と3種以下のジオール化合物から形成される、<1>〜<3>のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
<5>前記ジオール化合物の少なくとも1種が、少なくとも一つのエチレン性不飽和基を有するジオール化合物であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
<6>前記ジオール化合物の少なくとも1種が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする、<1>〜<4>のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
一般式(1)
Figure 2013174680
(一般式(1)中、R1〜R3は、それぞれ、水素原子または1価の有機基を表し、Aは2価の有機残基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、または−N(R12)−を表し、R12は、水素原子、または1価の有機基を表す。)
<7>第一のジオール化合物が2級アルコール構造を少なくとも1つ有し、第二のジオール化合物が、1級アルコール構造のみを有するジオール化合物である、<1>、<4>〜<6>のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
<8>第一のジオール化合物の少なくとも1種がエチレン性不飽和基を有するジオール化合物である、<1>、<4>〜<7>のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
<9>第一のジオール化合物が、エチレン性不飽和基を有するおよびカルボン酸基構造を有するジオール化合物である、<1>、<4>〜<7>のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
<10>前記ポリウレタンが、下記一般式(A)または(B)で表される<1>〜<8>のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
一般式(A)
Figure 2013174680
一般式(B)
Figure 2013174680
(一般式(A)、(B)中、A1およびA2は、それぞれ、炭素数1〜30の2価の炭化水素基であり、B1は、エチレン性不飽和基を有する2価の基であり、B2は、カルボン酸基を有する2価の基である。)
<11>支持体上に<1>〜<10>のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる画像記録層を有する平版印刷版原版。
<12>前記平版印刷版原版の画像記録層が、pH2〜14の水溶液により除去可能であることを特徴とする<11>に記載の平版印刷版原版。
<13>前記平版印刷版原版の画像記録層が、印刷インキおよび湿し水の少なくともいずれかにより除去可能であることを特徴とする<11>に記載の平版印刷版原版。
<14><11>〜<13>のいずれかに記載の平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、露光した前記平版印刷版原版を、pHが2〜14の現像液の存在下で、非露光部の前記画像記録層を除去する工程を含むことを特徴とする平版印刷版の製造方法。
<15>前記露光工程で、露光後に前駆体を予備加熱装置内で80℃以上の温度で加熱することを特徴とする、<14>に記載の平版印刷版の製造方法。
<16>前記現像工程において、さらに界面活性剤を含有する前記現像液の存在下、非露光部の画像記録層と前記保護層とを同時に除去する工程を含む(但し、水洗工程を含まない)、ことを特徴とする<14>または<15>に記載の平版印刷版の製造方法。
<17>前記現像液のpHを、2.0〜10.0に制御する工程を含むことを特徴とする、<14>〜<16>のいずれかに記載の平版印刷版の製造方法。
<18><11>〜<13>のいずれかに記載の平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、印刷機上で印刷インキと湿し水を供給して非露光部の前記画像記録層を除去する工程とを含むことを特徴とする平版印刷版の製造方法。
<19>下記一般式(A)または(B)で表されるポリマー。
一般式(A)
Figure 2013174680
一般式(B)
Figure 2013174680
(一般式(A)、(B)中、A1およびA2は、それぞれ、炭素数1〜30の2価の炭化水素基であり、B1は、エチレン性不飽和基を有する2価の基であり、B2は、カルボン酸基を有する2価の基である。)
本発明により、耐刷性および現像性に優れた平版印刷版原版および平板印刷版の製造方法を提供することが可能になった。
自動現像処理機の構造の一例を示す説明図である。 自動現像処理機の構造の他の一例を示す説明図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書中、一般式で表される化合物における基の表記に関して、置換あるいは無置換を記していない場合、当該基が更に置換基を有することが可能な場合には、他に特に規定がない限り、無置換の基のみならず置換基を有する基も包含する。例えば、一般式において、「Rはアルキル基、アリール基または複素環基を表す」との記載があれば、「Rは無置換アルキル基、置換アルキル基、無置換アリール基、置換アリール基、無置換複素環基または置換複素環基を表す」ことを意味する。
[感光性樹脂組成物]
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)重合開始剤、(B)重合性モノマー、(C)エチレン性不飽和結合を側鎖に有するポリウレタンを有する感光性樹脂組成物であって、前記ポリウレタンが、以下のいずれか1以上の態様を満たすものである。
<(C)エチレン性不飽和結合を側鎖に有するポリウレタン>
本発明で用いる第一の態様のポリウレタンは、ジイソシアナート化合物とジオール化合物を主成分とする重付加体であって、少なくとも1種の第一のジイソシアナート化合物と少なくとも1種の第一のジオール化合物を反応させて得られる反応生成物(c−1)に、第二のジイソシアナート化合物及び第二のジオール化合物から選択される少なくとも1種を加えてさらに反応させて得られるポリウレタンであり、前記第一のジイソシアナート化合物の少なくとも1種と前記第二のジイソシアナート化合物の少なくとも1種は異なる化合物であり、前記第一のジオール化合物の少なくとも1種と、前記第二のジオール化合物の少なくとも1種は異なるものである。
ここで、主成分とするとは、ポリウレタンを構成する原料モノマーのうち、最も配合量が多い成分と次に配合量が多い成分が、ジイソシアナート化合物とジオール化合物であることをいい、本発明では、ジイゾシアナートが最も配合量が多い成分であることが好ましい。通常は、ポリウレタンを構成する原料モノマーの95重量%以上が、ジイソシアナート化合物とジオール化合物で構成される。
第一のジイソシアナート化合物および第一のジオール化合物は、それぞれ、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を用いてもよく、それぞれ、1〜3種類が好ましく、それぞれ、1種類または2種類がより好ましく、第一のジイソシアナート化合物および第一のジオール化合物の一方が、1種類で、他方が2種類であることがさらに好ましい。
第二のジイソシアナート化合物及び第二のジオール化合物は、第二のジイソシアナート化合物と第二のジオール化合物の合計で1〜3種を用いるのが好ましく、1種または2種を用いるのががさらに好ましい。2種類選択されるときは、ジイソシアナート化合物とジオール化合物が1種ずつ選択されることが好ましい。
本発明では、前記第一のジイソシアナート化合物の少なくとも1種と前記第二のジイソシアナート化合物の少なくとも1種は異なる化合物であり、前記第一のジオール化合物の少なくとも1種と、前記第二のジオール化合物の少なくとも1種は異なるものである。すなわち、第一のジイソシアナート化合物を2種類含む場合、そのうち1種が第二のジイソシアナート化合物と異なっていればよく、すべてが異なっていることを必須とするものではない。しかしながら、すべてが異なっていることがより好ましい。第一のジオールと第二のジオールについても同様である。
本発明で用いる第二の態様のポリウレタンは、下記いずれかの構造を有するポリウレタンである。
一般式(A)
Figure 2013174680
一般式(B)
Figure 2013174680
一般式(C)
Figure 2013174680
一般式(D)
Figure 2013174680
(一般式(A)〜(D)中、A1、A2、B1およびB2は、それぞれ、2価の連結基を表し、A1とA2、B1とB2は互いに異なる連結基である。nは、2以上の整数であり、mおよびlは、ぞれぞれ、1以上の数値である。A1、A2、B1およびB2は、それぞれの繰り返し毎に異なる連結基であってもよい。)
一般式(A)〜(D)の中でも、一般式(A)、(B)がより好ましい。さらに、A1およびA2は、それぞれ、炭素数1〜30の2価の炭化水素基であり、B1は、エチレン性不飽和基を有する2価の基であり、B2は、カルボン酸基を有する2価の基であることが好ましい。
1、A2、B1およびB2は、それぞれ、後述するジイソシアナート化合物及びジオール化合物を使用することで適宜選択することができる。
1、およびB1は、それぞれの繰り返し毎に異なる連結基であってもよい。すなわち、上記第一の実施形態の反応生成物(c−1)を合成するために、2種以上のジイソシアナート化合物及び/又は2種以上のジオール化合物を併用した場合は、A1、B1は各々が使用した化合物に対応して異なる連結基を表す。同様に、A2およびB2も、それぞれの繰り返し単位毎に異なっていてもよい。すなわち、上記第一の実施形態の反応生成物(c−1)を合成した後、2種以上のジイソシアナート化合物及び/又は2種以上のジオール化合物を併用して反応させた場合は、A2、B2は各々が使用した化合物に対応して異なる連結基を表す。しかしながら、本発明で用いるウレタンポリマーは、3種類以下のジイソシアナート化合物と3種以下のジオール化合物から形成されることが好ましい。
nは2以上の整数を表す。m、lはそれぞれ独立に1以上の整数を表す。反応生成物(c−1)構造由来である繰り返し単位数nは、2〜200であることが好ましく、10〜200であることがより好ましい。m、nは1〜100であることが好ましく、5〜100であることがより好ましい。
1及び/又はB2で表される連結基は、前記一般式(1)の部分構造である下記一般式(1’)であることが好ましい。
Figure 2013174680
(一般式(1’)中、R1〜R3は、それぞれ、水素原子または1価の有機基を表し、Aは2価の有機残基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、または−N(R12)−を表し、R12は、水素原子、または1価の有機基を表す。*は、酸素原子との連結部位を表す。)
なお、この一般式(1’)におけるR1〜R3及びXは、後述する一般式(1)におけるR1〜R3及びXと同義であり、好ましい態様もまた同様である。
本発明で用いる第三の態様のポリウレタンは、少なくとも1種のジイソシアナート化合物と少なくとも2種のジオール化合物、または、少なくとも2種のジイソシアナート化合物と少なくとも1種のジオール化合物のブロック重合体であり、かつ、少なくとも1種のジイソシアナート化合物と少なくとも1種のジオール化合物が交互に結合した部分構造を有する。
本態様のポリウレタンは、3種類以下のジイソシアナート化合物と3種以下のジオール化合物から形成されることが好ましく、1または2種類のジイゾシアナート化合物と、1または2種類のジオール化合物のブロック重合体であることが好ましく、また、1または2種類のジイゾシアナート化合物と、1または2種類のジオール化合物が交互に結合した部分構造を有することが好ましい。
本発明の効果は、以下の理由により発現できていると推測している。本発明の感光性樹脂組成物に使用されるポリウレタンは、ジイソシアナート化合物とジオール化合物を反応させて得られる反応生成物(c−1)で表されるブロック構造を有する。このブロック構造を有することで、レーザー露光部はより強固に硬化し、レーザー未露光部は現像液の浸透性が高まる。また、本発明の手法により製造されるポリウレタンは、1級アルコール構造、2級アルコール構造のような反応性の異なるジオール成分とジイソシアナートを一括に反応させて製造されるポリウレタンと比べて、高分子構造を自由に設計でき、ポリウレタンのハードセグメント部位とソフトセグメント部位の緻密な制御が可能となる。これらの結果、画像記録層の強度と現像性の両立を達成できる。
本発明で用いるポリウレタンは、バインダーポリマーとして働くものであり、耐刷性および現像性を発現するために、エチレン性不飽和結合を側鎖に有するポリウレタンであって、前記ポリウレタンが、ジイソシアナート化合物とジオール化合物からなる重付加体である。
本発明のポリウレタンの合成反応例を以下に示す。
反応生成物(c−1)は、第一のジオール化合物又は第一のジイソシアナート化合物の量を適宜調節して合成することができる両末端ジオール化合物又は両末端ジイソシアナート化合物である。本発明では、反応生成物(c−1)を得るために使用する第一のジイソシアナート化合物、第一のジオール化合物は、各々2種以上使用してもよい。上限は特に定めるものではないが、3種類以下が好ましく、2種類以下がより好ましい。また、連続して使用する第二のジイソシアナート化合物、第二のジオール化合物は、反応生成物(c−1)に使用した、第一のジイソシアナート化合物及び第一のジオール化合物と、少なくとも1種は異なったものを使用し、より好ましくは、いずれも異なったものを使用する。また、第二のジイソシアナート化合物、第二のジオール化合物は、各々2種以上使用してもよい。
(1)反応性生物(c−1)が両末端ジイソシアナート化合物であり、連続してジイソシアナート化合物及びジオール化合物と反応させる場合
Figure 2013174680
(2)反応性生物(c−1)が両末端ジイソシアナート化合物であり、連続してジオール化合物と反応させる場合
Figure 2013174680
(3)反応性生物(c−1)が両末端ジオール化合物であり、連続してジイソシアナート化合物及びジオール化合物と反応させる場合
Figure 2013174680
(4)反応性生物(c−1)が両末端ジオール化合物であり、連続してジイソシアナート化合物と反応させる場合
Figure 2013174680
1、A2、B1およびB2は、上記一般式(A)〜(D)の定義と同義であり、好ましい範囲も同義である。
本発明では、特に、以下の合成法が好ましい。
<好ましい合成方法1>
第一のジオール化合物が2級アルコール構造を少なくとも1つ有し、第二のジオール化合物が、1級アルコール構造のみを有するジオール化合物であることが好ましい。ここで、1級アルコール構造のみを有するとは、2級アルコール構造や3級アルコール構造を有さないことをいう。通常の1級アルコール構造と2級アルコール構造が混在した状態でポリウレタンを合成した場合は各々のアルコール構造によりジイソシアナート化合物との反応性が異なるため、高分子構造を制御しにくいが、この方法によりポリウレタンのブロック構造を緻密に制御することができる。
<好ましい合成方法2>
第一のジオール化合物がエチレン性不飽和基を有するジオール化合物を少なくとも有することも好ましい。反応生成物(c−1)がエチレン性不飽和基を有することで、高耐刷性を実現することができる。さらに先に反応させるジオール化合物として、カルボン酸基構造を有するジオール化合物を併用することもより好ましい。これにより、高耐刷性と高現像性を両立することができる。なお、先に反応させるエチレン性不飽和基を有するジオール化合物としては、上記一般式(1)で現される化合物であることが特に好ましい
以下、本発明のポリウレタンの合成に使用できる、ジオール化合物、及びジイソシアナート化合物について詳細に説明する。
<ジオール化合物>
本発明のポリウレタンを製造するために使用できるジオール化合物としては、広くは、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物等が挙げられる。
また、本発明のポリウレタンはポリマー側鎖にエチレン性不飽和結合を有するが、ポリウレタンの側鎖に不飽和基を導入する方法としては、ポリウレタンの原料として、側鎖に不飽和基を含有するジオール化合物を用いる方法が好適である。側鎖に不飽和基を含有するジオール化合物は、上記第一のジオールであることが好ましい。そのようなジオール化合物は、例えば、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルのように市販されているものでもよいし、ハロゲン化ジオール化合物、トリオール化合物、アミノジオール化合物と、不飽和基を含有するカルボン酸、酸塩化物、イソシアネート、アルコール、アミン、チオール、ハロゲン化アルキル化合物との反応により容易に製造される化合物であってもよい。これら化合物の具体的な例として、下記に示す化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2013174680
Figure 2013174680
また、本発明におけるより好ましいポリウレタンバインダーとして、ポリウレタンの合成に際して、エチレン性不飽和結合基を有するジオール化合物の少なくとも1つとして、下記一般式(1)で表されるジオール化合物を用いて得られたポリウレタンを挙げることができる。
一般式(1)
Figure 2013174680
(一般式(1)中、R1〜R3は、それぞれ、水素原子又は1価の有機基を表し、Aは2価の有機残基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、または−N(R12)−を表し、R12は、水素原子、または1価の有機基を表す。)
l〜R3はそれぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表すが、R1としては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。また、R2、R3は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
Aは、2価の有機残基を表し、置換基を有していてもよいアルキレン基、アリーレン基、−O−、−NH−、−C(=O)−及びこれらの組み合わせからなる基であることが好ましい。
Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表し、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。ここで、R12は、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
このようなジオール化合物に由来するポリウレタン樹脂を用いることにより、立体障害の大きい2級アルコールに起因するポリマー主鎖の過剰な分子運動を抑制効果により、層の被膜強度の向上が達成できるものと考えられる。
一般式(1)で表されるジオールの分子量は、100〜1000であることが好ましく、100〜500であることがさらに好ましい。
以下、特定ポリウレタンの合成に好適に用いられる一般式(1)で表されるジオール化合物の具体例を示す。
Figure 2013174680
本発明で使用される特定ポリウレタン樹脂は、例えば、重合性組成物中の他の成分との相溶性を向上させ、保存安定性を向上させるといった観点から、上述の不飽和基を含有するジオール化合物以外のジオール化合物を共重合させることができる。
そのようなジオール化合物としては、例えば、上述したポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物を挙げることできる。
ポリエーテルジオール化合物としては、下記一般式(2)〜(6)で表される化合物、及び、末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム共重合体が挙げられる。
Figure 2013174680
式(2)〜(6)中、R11は水素原子又はメチル基を表し、X1は、以下の基を表す。また、a、b、c、d、e、f、gはそれぞれ2以上の整数を表し、好ましくは2〜100の整数である。
Figure 2013174680
上記一般式(2)、(3)で表されるポリエーテルジオール化合物としては具体的には以下に示すものが挙げられる。
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ジ−1,2−プロピレングリコール、トリ−1,2−プロピレングリコール、テトラ−1,2−プロピレングリコール、ヘキサ−1,2−プロピレングリコール、ジ−1,3−プロピレングリコール、トリ−1,3−プロピレングリコール、テトラ−1,3−プロピレングリコール、ジ−1,3−ブチレングリコール、トリ−1,3−ブチレングリコール、ヘキサ−1,3−ブチレングリコール、重量平均分子量1000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1500のポリエチレングリコール、重量平均分子量2000のポリエチレングリコール、重量平均分子量3000のポリエチレングリコール、重量平均分子量7500のポリエチレングリコール、重量平均分子量400のポリプロピレングリコール、重量平均分子量700のポリプロピレングリコール、重量平均分子量1200のポリプロピレングリコール、重量平均分子量2000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量3000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量4000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量5000のポリプロピレングリコール、等である。
上記一般式(4)で表されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
三洋化成工業(株)製、(商品名)PTMG650、PTMG1000、PTMG2000、PTMG3000等である。
上記一般式(5)で表されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポールPE−61、ニューポールPE−62、ニューポールPE−64、ニューポールPE−68、ニューポールPE−71、ニューポールPE−74、ニューポールPE−75、ニューポールPE−78、ニューポールPE−108、ニューポールPE−128、ニューポールPE−61等である。
上記一般式(6)で表されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポールBPE−20、ニューポールBPE−20F、ニューポールBPE−20NK、ニューポールBPE−20T、ニューポールBPE−20G、ニューポールBPE−40、ニューポールBPE−60、ニューポールBPE−100、ニューポールBPE−180、ニューポールBPE−2P、ニューポールBPE−23P、ニューポールBPE−3P、ニューポールBPE−5P等である。
末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム共重合体としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
すなわち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポール50HB−100、ニューポール50HB−260、ニューポール50HB−400、ニューポール50HB−660、ニューポール50HB−2000、ニューポール50HB−5100等である。
ポリエステルジオール化合物としては、一般式(7)、(8)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2013174680
一般式(7)、(8)中、L2、L3及びL4ではそれぞれ同一でも異なっていてもよく2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、L5は2価の脂肪族炭化水素基を表す。好ましくは、L2〜L4は、それぞれアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基を表し、L5はアルキレン基を表す。またL2〜L5中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエーテル基、カルボニル基、エステル記、シアノ基、オレフィン基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基又はハロゲン原子等が存在していてもよい。n1、n2はそれぞれ2以上の整数であり、好ましくは2〜100の整数を表す。
ポリカーボネートジオール化合物としては、一般式(9)で表される化合物がある。
Figure 2013174680
式(9)中、L6はそれぞれ同一でも異なっていてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表す。好ましくは、L6はアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基を表す。またL6中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエーテル、カルボニル基、エステル基、シアノ基、オレフィン基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基又はハロゲン原子等が存在していてもよい。n3は2以上の整数であり、好ましくは2〜l00の整数を表す。
上記一般式(7)、(8)又は(9)で表されるジオール化合物としては具体的には以下に示す(例示化合物No.1)〜(例示化合物No.18)が含まれる。具体例中のnは2以上の整数を表す。
Figure 2013174680
Figure 2013174680
Figure 2013174680
また、特定ポリウレタン樹脂の合成には、上記ジオール化合物の他に、イソシアネート基と反応しない置換基を有するジオール化合物を併用することもできる。このようなジオール化合物としては、例えば、以下に示すものが含まれる。
一般式(10)
HO−L7−O−CO−L8−CO−O−L7−OH
一般式(11)
HO−L8−CO−O−L7−OH
一般式(10)、(11)中、L7、L8はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、置換基(例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、−F、−Cl、−Br、−I等のハロゲン原子などの各基が含まれる。)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。必要に応じ、L7、L8中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、カルボニル基、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基などを有していてもよい。なおL7とL8が互いに結合して環を形成してもよい。
更に、特定ポリウレタン樹脂の合成には、上記ジオール化合物の他に、カルボン酸基構造を有するジオール化合物も好ましく用いられる。カルボン酸基構造を有するジオールは上記第二のジオール化合物としてより好ましく用いられる。
このようなジオール化合物としては、例えば、以下の一般式(12)〜(14)に示すものが含まれる。
一般式(12)
Figure 2013174680
一般式(13)
Figure 2013174680
一般式(14)
Figure 2013174680
一般式(12)〜(14)中、R15は水素原子、置換基(例えば、シアノ基、ニトロ基、−F、−Cl、−Br、−I等のハロゲン原子、−CONH2、−COOR16、−OR16、−NHCONHR16、−NHCOOR16、−NHCOR16、−OCONHR16(ここで、R16は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜15のアラルキル基を表す。)などの各基が含まれる。)を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基を表し、好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数6〜15個のアリール基を表す。L9、L10、L11はそれぞれ同一でも相違していてもよく、単結合、置換基(例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲノ基の各基が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、好ましくは炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリーレン基、さらに好ましくは炭素数1〜8個のアルキレン基を表す。また必要に応じ、L9〜L11中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル基、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基、エーテル基を有していてもよい。なおR15、L7、L8およびL9のうちの2又は3個で環を形成してもよい。
Arは置換基を有していてもよい3価の芳香族炭化水素基を表し、好ましくは炭素数6〜15個の芳香族基を表す。
上記一般式(12)〜(14)で表されるカルボキシル基を有するジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N―ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド等である。
このようなカルボキシル基の存在により、ポリウレタン樹脂に水素結合性とアルカリ可溶性といった特性を付与できるため好ましい。
また、特定ポリウレタン樹脂の合成には、上記ジオールの他に、下記の一般式(15)〜(17)で表されるテトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させた化合物を併用することもできる。
一般式(15)
Figure 2013174680
一般式(16)
Figure 2013174680
一般式(17)
Figure 2013174680
一般式(15)〜(17)中、L12は、単結合、置換基(例えばアルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノ、エステル、アミドの各基が好ましい。)を有していてもよい二価の脂肪族又は芳香族炭化水素基、−CO−、−SO−、−SO2−、−O−又はS−を表し、好ましくは単結合、炭素数1〜15個の二価の脂肪族炭化水素基、−CO−、−SO2−、−O−又はS−を表す。R17、R18は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はハロゲノ基を表し、好ましくは、水素原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数6〜15個のアリール基、炭素数1〜8個のアルコキシ基又はハロゲノ基を表す。またL12、R17、R18のうちの2つが結合して環を形成してもよい。
19、R20は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基又はハロゲノ基を表し、好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、又は炭素数6〜15個のアリール基を表す。またL12、R19、R20のうちの2つが結合して環を形成してもよい。L13、L14は同一でも異なっていてもよく、単結合、二重結合、又は二価の脂肪族炭化水素基を表し、好ましくは単結合、二重結合、又はメチレン基を表す。Aは単核又は多核の芳香環を表す。好ましくは炭素数6〜18個の芳香環を表す。
上記一般式(15)、(16)又は(17)で表される化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−べンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−スルホニルジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−[3,3’−(アルキルホスホリルジフェニレン)−ビス(イミノカルボニル)]ジフタル酸二無水物、
ヒドロキノンジアセテートとトリメット酸無水物の付加体、ジアセチルジアミンとトリメット酸無水物の付加体などの芳香族テトラカルボン酸二無水物;5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセシ−1,2−ジカルボン酸無水物(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンB−4400)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物などの脂環族テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
これらのテトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環された化合物をポリウレタン樹脂中に導入する方法としては、例えば以下の方法がある。
a)テトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させて得られたアルコール末端の化合物と、ジイソシアネート化合物とを反応させる方法。
b)ジイソシアネート化合物をジオール化合物過剰の条件下で反応させ得られたアルコール末端のウレタン化合物と、テトラカルボン酸二無水物とを反応させる方法。
またこのとき開環反応に使用されるジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−トリレン−ビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート等が挙げられる。
<ジイソシアナート化合物>
本発明のポリウレタンを製造するために使用できるジイソシアナート化合物としては、下記のものを挙げることできる。好ましいものは、下記一般式(18)で表されるジイソシアネート化合物である。
OCN−L1−NCO (18)
一般式(18)中、L1は置換基を有していてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表す。必要に応じ、L1中はイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基を有していてもよい。しかしながら、これらの官能基を有さない方が好ましい。
上記一般式(18)で表されるジイソシアネート化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のような脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のような脂環族ジイソシアネート化合物;
1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のようなジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物;等が挙げられる。また、特開2005−250438号公報に記載のエチレン性不飽和基を含有するジイソシアネート化合物を使用することもできる。
好ましくは芳香族ジイソシアネート化合物及び脂環族ジイソシアネート化合物であり、最も好ましくは芳香族ジイソシアネート化合物である。
本発明に用い得る特定ポリウレタン樹脂は、上記ジイソシアネート化合物及びジオール化合物を、非プロトン性溶媒中、それぞれの反応性に応じた活性の公知の触媒を添加し、加熱することにより合成される。反応生成物(c−1)の両末端がジイソシアナート基の場合は、反応生成物(c−1)の合成に使用するジイソシアナート化合物及びジオール化合物のモル比(Ma1:Mb1)は、1.1:1〜2:1が好ましく、1.1:1〜1.5:1がより好ましく、1.1:1〜1.3:1が最も好ましい。反応性生物(c−1)にさらに反応させるジイソシアナート化合物およびジオール化合物は、反応生成物(c−1)の合成に使用したジイソシアナート化合物とジオール化合物を加算して、ポリウレタンの合成に使用した全量のジイソシアナート化合物及び全量のジオール化合物のモル比(Ma1+Ma2:Mb1+Mb2)が1:1〜1.2:1が好ましい。反応生成物(c−1)がジオール化合物の場合は、反応生成物(c−1)の合成に使用するジイソシアナート化合物及びジオール化合物のモル比(Ma1:Mb1)は、1:1.1〜1:2が好ましく、1:1.1〜1:1.5がより好ましく、1:1.1〜1:1.3がさらに好ましい。反応性生物(c−1)にさらに反応させるジイソシアナート化合物およびジオール化合物は、反応生成物(c−1)の合成に使用したジイソシアナート化合物とジオール化合物を加算して、ポリウレタンの合成に使用した全量のジイソシアナート化合物及び全量のジオール化合物のモル比(Ma1+Ma2:Mb1+Mb2)が1:1〜1.2:1が好ましい。
最終的に、アルコール類又はアミン類等で処理することにより、分子量あるいは粘度といった所望の物性の生成物が、最終的にイソシアネート基が残存しない形で合成される。特に、本発明の重合性組成物を平版印刷版原版の記録層に用いた場合には、重量平均分子量がこの範囲内において画像部の強度に優れ、非画像部の現像性に優れる。
本発明のポリウレタンは水素結合性とアルカリ可溶性といった特性を付与できるため、カルボキシル基を側鎖に有することが好ましい。側鎖に有するカルボキシル基は、0.4〜3.0meq/g有することが好ましく、0.5〜2.0meq/g有することがより好ましい。より具体的には、前記側鎖にエチレン性不飽和結合基を有するポリウレタン樹脂が、さらに側鎖にカルボキシル基を有する樹脂であり、より具体的には、側鎖にエチレン性不飽和結合基を0.3meq〜3.0/g有し、且つ、側鎖にカルボキシル基を0.4〜3.0meq/g有するポリウレタン樹脂が好ましく、側鎖にエチレン性不飽和結合基を0.3meq〜2.5/g有し、且つ、側鎖にカルボキシル基を0.5〜2.0meq/g有するポリウレタン樹脂が、本発明のバインダーポリマーとして特に好ましく用いられる。
本発明のポリウレタンは、上述したジイソシアナート化合物とジオール化合物を適宜使用して合成することができる重付加物であり、反応生成物(c−1)を得た後に、反応生成物(c−1)とは別のジイソシアナート化合物とジオール化合物とを反応させて合成することを特徴とする。
本発明の耐刷と現像性の効果を発揮するためには、反応生成物(c−1)を合成するジイソシアナート化合物ジオール化合物、及び続いて反応させるジイソシアナート化合物及びジオール化合物の組み合わせとして、以下の2つの方法が特に好ましい。
本発明に使用できるポリウレタンバインダーとして、例えば、下記一般式(A)〜(D)で表すことができる。
Figure 2013174680
Figure 2013174680
Figure 2013174680
Figure 2013174680
(一般式(A)、(B)中、A1およびA2は、それぞれ、炭素数1〜30の2価の炭化水素基であり、B1は、エチレン性不飽和基を有する2価の基であり、B2は、カルボン酸基を有する2価の基である。)
本発明で好ましく使用できるポリウレタンの具体例を以下に示す。
Figure 2013174680
Figure 2013174680
Figure 2013174680
Figure 2013174680
Figure 2013174680
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Figure 2013174680
Figure 2013174680
Figure 2013174680
Figure 2013174680
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Figure 2013174680
Figure 2013174680
Figure 2013174680
Figure 2013174680
本発明で用いるポリウレタンの重量平均分子量は、5,000以上であることが好ましく、10,000〜100,000であることがさらに好ましい。また、数平均分子量は、2,000以上であることが好ましく、3,000〜40,000であることがさらに好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物中における、(C)ポリウレタンは、全固形分の5〜95質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに(A)重合開始剤、(B)重合性モノマー、を有することを特徴とする。以下、好ましく使用できる(A)重合開始剤、(B)重合成モノマーの好ましい態様について詳細に説明する。
(A)重合開始剤
本発明の感光性樹脂組成物は重合開始剤(以下、開始剤化合物とも称する)を含有する。本発明においては、ラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。
前記開始剤化合物としては、当業者間で公知のものを制限なく使用でき、具体的には、例えば、トリハロメチル化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩、鉄アレーン錯体が挙げられる。なかでも、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オニウム塩、トリハロメチル化合物およびメタロセン化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、特にヘキサアリールビイミダゾール化合物、オニウム塩が好ましい。重合開始剤は、2種以上を適宜併用することもできる。
前記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、欧州特許24629号、欧州特許107792号、米国特許4、410、621号に記載のロフィンダイマー類、例えば2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリフルオロメチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。ヘキサアリールビイミダゾール化合物は、300〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素と併用して用いられることが特に好ましい。
前記オニウム塩として、特開2012−031400号公報の段落番号0049の記載を参酌できる。
上記の中でもより好ましいものとして、ヨードニウム塩、スルホニウム塩及びアジニウム塩が挙げられる。以下に、これらの化合物の具体例を示すが、これに限定されない。
前記ヨードニウム塩の例としては、ジフェニルヨードニウム塩が好ましく、特に電子供与性基、例えばアルキル基またはアルコキシル基で置換されたジフェニルヨードニウム塩が好ましく、さらに好ましくは非対称のジフェニルヨードニウム塩が好ましい。具体例としては、ジフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−メトキシフェニル−4−(2−メチルプロピル)フェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−(2−メチルプロピル)フェニル−p−トリルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−ヘキシルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−ヘキシルオキシフェニル−2,4−ジエトキシフェニルヨードニウム=テトラフルオロボラート、4−オクチルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=1−ペルフルオロブタンスルホナート、4−オクチルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム=テトラフェニルボラートが挙げられる。
前記スルホニウム塩の例としては、トリフェニルスルホニウム=ヘキサフルオロホスファート、トリフェニルスルホニウム=ベンゾイルホルマート、ビス(4−クロロフェニル)フェニルスルホニウム=ベンゾイルホルマート、ビス(4−クロロフェニル)−4−メチルフェニルスルホニウム=テトラフルオロボラート、トリス(4−クロロフェニル)スルホニウム=3,5−ビス(メトキシカルボニル)ベンゼンスルホナート、トリス(4−クロロフェニル)スルホニウム=ヘキサフルオロホスファートが挙げられる。
前記アジニウム塩の例としては、1−シクロヘキシルメチルオキシピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−シクロヘキシルオキシ−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−エトキシ−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−クロロ−1−シクロヘキシルメチルオキシピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−エトキシ−4−シアノピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、3,4−ジクロロ−1−(2−エチルヘキシルオキシ)ピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−ベンジルオキシ−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−フェネチルオキシ−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=p−トルエンスルホナート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=ペルフルオロブタンスルホナート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=ブロミド、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=テトラフルオロボラートが挙げられる。
オニウム塩は、750〜1400nmの波長域に極大吸収を有する赤外線吸収剤と併用して用いられることが特に好ましい。
その他、特開2007−206217号の段落番号〔0071〕〜〔0129〕に記載の重合開始剤も好ましく用いることができる。
前記重合開始剤は単独もしくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
本発明の感光性樹脂組成物中の重合開始剤の含有量は、感光性組成物(または、画像記録層)の全固形分に対し、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは1.0〜10質量%である。
(B)重合性モノマー
前記感光性樹脂組成物に用いる重合性化合物は、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物などの化学的形態をもつ。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と多価アルコール化合物とのエステル類、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類或いはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、および単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類或いはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類或いはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、上記の不飽和カルボン酸を、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。これらは、特表2006−508380号公報、特開2002−287344号公報、特開2008−256850号公報、特開2001−342222号公報、特開平9−179296号公報、特開平9−179297号公報、特開平9−179298号公報、特開2004−294935号公報、特開2006−243493号公報、特開2002−275129号公報、特開2003−64130号公報、特開2003−280187号公報、特開平10−333321号公報等に記載されている。その他、特開2012−031400号公報の段落番号0083〜0088に記載の化合物も好ましく採用できる。
上記の中でも、機上現像を適用する平版印刷版原版の場合は、機上現像性に関与する親水性と耐刷性に関与する重合能のバランスに優れる点から、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ビス(アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどのイソシアヌル酸エチレンオキシド変性アクリレート類が特に好ましい。低pH現像に適用する平版印刷版原版の場合は、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物が特に好ましい。
前記(C)重合性化合物の構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な平版印刷版原版の性能設計にあわせて任意に設定できる。
前記(C)重合性化合物は、感光性樹脂組成物(または画像記録層)の全固形分に対して、好ましくは5〜75質量%、更に好ましくは25〜70質量%、特に好ましくは30〜60質量%の範囲で使用される。
本発明の感光性樹脂組成物は、平版印刷版原版の画像記録層として好ましく用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)重合開始剤および(B)重合性化合物、(C)ポリウレタンバインダーに加えて、(E)増感色素を含有することがさらに好ましい。さらに、他のバインダーを含んていてもよい。
(D)他のバインダー
本発明の感光性樹脂組成物には、上記(C)ポリウレタン以外のバインダーを含んでいてもよい。本発明では、他のバインダーポリマーは実質的に含んでいない方が好ましいが、現像性と耐刷性の両方をバランスよく、より向上させるために、添加してもよい。このようなバインダーとしては、例えば、画像記録層にも散る場合、前記画像記録層成分を支持体上に担持可能であり、現像液により除去可能であるものが広く用いられる。前記(D)バインダーポリマーとしては、(メタ)アクリル系重合体、上記以外のポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂(好ましくは、ポリビニルブチラール樹脂)、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが用いられる。特に、(メタ)アクリル系重合体、上記以外のポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が好ましく用いられる。
本発明において、「(メタ)アクリル系重合体」とは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル(アルキルエステル、アリールエステル、アリルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体を重合成分として有する共重合体のことをいう。「ポリウレタン樹脂」とは、イソシアネート基を2つ以上有する化合物とヒドロキシル基を2つ以上有する化合物の縮合反応により生成されるポリマーのことをいう。「ポリビニルブチラール樹脂」とは、ポリ酢酸ビニルを一部又は全て鹸化して得られるポリビニルアルコールとブチルアルデヒドを酸性条件下で反応(アセタール化反応)させて合成されるポリマーのことをいい、さらに、残存したヒドロキシ基と酸基等有する化合物を反応させる方法等により酸基等を導入したポリマーも含まれる。
(メタ)アクリル系重合体の全重合成分に占めるカルボン酸基を有する重合成分の割合(モル%)は、現像性の観点から、1〜70%が好ましい。現像性と耐刷性の両立を考慮すると、1〜50%がより好ましく、1〜30%が特に好ましい。
本発明に用いられる(メタ)アクリル系重合体はさらに架橋性基を有することが好ましい。ここで架橋性基とは、平版印刷版原版を露光した際に画像記録層中で起こるラジカル重合反応の過程で前記(D)バインダーを架橋させる基のことである。このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性基としては、例えば、チオール基、ハロゲン基等が挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和結合基が好ましい。エチレン性不飽和結合基としては、スチリル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基が好ましい。
前記(D)バインダーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接にまたは重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。または、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
(メタ)アクリル系重合体中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、前記(D)バインダー1g当たり、好ましくは0.01〜10.0mmol、より好ましくは0.05〜9.0mmol、特に好ましくは0.1〜8.0mmolである。
本発明に用いられる(メタ)アクリル系重合体は、上記酸基を有する重合単位、架橋性基を有する重合単位の他に、(メタ)アクリル酸アルキルまたはアラルキルエステルの重合単位、(メタ)アクリルアミドまたはその誘導体の重合単位、α−ヒドロキシメチルアクリレートの重合単位、スチレン誘導体の重合単位を有していてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の好ましい例としては、特開2011−221522号公報の段落番号0070に記載のものが例示される。
また、機上現像を適用する平版印刷版原版の場合、前記(D)他のバインダーは親水性基を有することが好ましい。親水性基は前記画像記録層に機上現像性を付与するのに寄与する。特に、架橋性基と親水性基を共存させることにより、耐刷性と機上現像性の両立が可能になる。
前記(D)他のバインダーポリマーが有していてもよい前記親水性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アルキレンオキシド構造、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、スルホ基、リン酸基等などがあり、なかでも、炭素数2または3のアルキレンオキシド単位を1〜9個有するアルキレンオキシド構造が好ましい。バインダーに親水性基を付与するには、例えば、親水性基を有するモノマーを共重合することにより行われる。
上記以外のポリウレタン樹脂の好適な一例としては、特開2007−187836号の段落番号〔0099〕〜〔0210〕、特開2008−276155号の段落番号〔0019〕〜〔0100〕、特開2005−250438号の段落番号〔0018〕〜〔0107〕、特開2005−250158号の段落番号〔0021〕〜〔0083〕に記載のポリウレタン樹脂を挙げることが出来る。
ポリビニルブチラール樹脂としては、ポリ酢酸ビニルを一部又は全てを鹸化して得られるポリビニルアルコールとブチルアルデヒドを酸性条件下で反応(アセタール化反応)させて合成されるポリマーのことを言いその際に少なくとも1つの水酸基が残存している。さらに、残存した水酸基と酸基等有する化合物を反応させ方法等により、酸基等を導入したポリマーも含まれる。
前記ポリビニルブチラール樹脂の好適な一例としては、特開2001−75279号の段落番号〔0006〕〜〔0013〕に記載のポリビニルブチラール樹脂を挙げることができる。
本発明におけるポリビニルアセタールバインダーの好適な一例としては、具体的には、酸基を含有する繰り返し単位を有する共重合体が挙げられる。酸基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、スルホンアミド基等が挙げられるが、特にカルボン酸基が好ましく、(メタ)アクリル酸由来の繰り返し単位や下記一般式(I)で表される少なくとも1つの水酸基を有するポリビニルブチラールバインダーが好ましく用いられる。
例えば、下記(II)のような酸基を導入したポリビニルブチラール樹脂も好ましく用いられる。
Figure 2013174680
一般式(II)において、各繰り返し単位の好ましい比率は、p/q/r/s=50−78mol%/1−5mol%/5−28mol%/5−20mol%の範囲である。Ra,Rb,Rc,Rd,Re,Rfはそれぞれ独立に置換基を有してもよい一価の置換基あるいは単結合であり、mは0〜1の整数である。
a,Rb,Rc,Rd,Re,Rfの好ましい置換基としては、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアリール基が挙げられる。さらに好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基などの直鎖アルキル基、カルボン酸が置換したアルキル基、ハロゲン原子、フェニル基、カルボン酸が置換したフェニル基が挙げられる。RcおよびRd、ReおよびRfはそれぞれ環構造を形成することができる。Rc,とReの結合する炭素原子およびRdとRfの結合する炭素原子間の結合は、単結合または二重結合または芳香族性二重結合であり、二重結合または芳香族性二重結合の場合、Rc‐RdまたはRe−RfまたはRc−RfまたはRe−Rdはそれぞれ結合して単結合を形成する。
上記カルボン酸基含有単位の好ましい具体例としては、下記の例が挙げられる。
Figure 2013174680
また、バインダーポリマーとしては、変性されたポリビニルブチラール、又はトリメリット酸で変性されたポリビニルブチラールであることが好ましい。このようはポリビニルブチラール樹脂を用いることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される傾向にある。
前記(D)他のバインダーポリマー中の酸基の一部が、塩基性化合物で中和されていてもよい。塩基性化合物としては、塩基性窒素を含有する化合物やアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属の4級アンモニウム塩などが挙げられる。
前記(D)他のバインダーポリマーは、重量平均分子量5000以上が好ましく、1万〜30万がより好ましく、また、数平均分子量1000以上が好ましく、2000〜25万がより好ましい。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10が好ましい。
前記(D)他のバインダーポリマーは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
前記(D)他のバインダーポリマーの含有量は、良好な画像部の強度と画像形成性の観点から、前記感光性樹脂組成物(画像記録層)の全固形分に対して、0〜30質量%が好ましく、0〜20質量%がより好ましく、0〜10質量%が更に好ましい。本発明の感光性樹脂組成物では、(C)ポリウレタン樹脂と(D)他のバインダーポリマーの質量比が、100:0〜50:50であることが好ましく、100:0〜80:20であることがより好ましい。
また、前記(B)重合性化合物、(C)ポリウレタン樹脂、および(D)バインダーの合計含有量は、前記感光性樹脂組成物(画像記録層)の全固形分に対して、90質量%以下が好ましい。90質量%を超えると、感度の低下、現像性の低下を引き起こす場合がある。より好ましくは35〜80質量%である。
(E)増感色素
前記感光性樹脂組成物は、(E)増感色素を含むことが好ましい。前記色素は、増感色素であることがより好ましい。
本発明の平版印刷版原版の前記画像記録層に用いられる増感色素は、画像露光時の光を吸収して励起状態となり、前記重合開始剤に電子移動、エネルギー移動又は発熱などでエネルギーを供与し、重合開始機能を向上させるものであれば特に限定せず用いることができる。特に、300〜450nm又は750〜1400nmの波長域に極大吸収を有する増感色素が好ましく用いられる。
前記350〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素としては、メロシアニン類、ベンゾピラン類、クマリン類、芳香族ケトン類、アントラセン類、スチリル類、オキサゾール類等の色素を挙げることができる。
前記350〜450nmの波長域に吸収極大を持つ増感色素のうち、高感度の観点からより好ましい色素は下記一般式(IX)で表される色素である。
Figure 2013174680
一般式(IX)中、A221は置換基を有してもよいアリール基またはヘテロアリール基
を表し、X221は酸素原子、硫黄原子または=N(R223)を表す。R221、R222およびR223は、それぞれ、1価の非金属原子団を表し、A221とR221またはR222とR223は、そ
れぞれ互いに結合して、脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。
一般式(IX)について更に詳しく説明する。R221、R222またはR223で表される1
価の非金属原子団は、好ましくは、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルチオ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子を表す。
221で表される置換基を有してもよいアリール基およびヘテロアリール基は、各々R221、R222およびR223で記載した置換もしくは非置換のアリール基および置換もしくは非置換のヘテロアリール基と同様である。
このような増感色素の具体例としては、特開2007−58170号の段落番号〔0047〕〜〔0053〕、特開2007−93866号の段落番号〔0036〕〜〔0037〕、特開2007−72816号の段落番号〔0042〕〜〔0047〕に記載の化合物が好ましく用いられる。
また、特開2006−189604号、特開2007−171406号、特開2007−206216号、特開2007−206217号、特開2007−225701号、特開2007−225702号、特開2007−316582号、特開2007−328243号に記載の増感色素も好ましく用いることができる。
続いて、前記750〜1400nmの波長域に極大吸収を有する増感色素(以降、赤外線吸収剤と称することもある)について記載する。赤外線吸収剤は染料又は顔料が好ましく用いられる。
前記染料としては、市販の染料および例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい例として下記一般式(a)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2013174680
一般式(a)中、X131は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、−X132−L131または以下に示す基を表す。なお、Phはフェニル基を表す。
Figure 2013174680
ここで、X132は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を示し、L131は炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子(N、S、O、ハロゲン原子、Se)を有するアリール基、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。Xa -は後述するZa -と同義である。R141は、水素原子またはアルキル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基
、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
131およびR132は、それぞれ、炭素数1〜12の炭化水素基を示す。画像記録層塗布液の保存安定性から、R131およびR132は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましい。またR131およびR132は互いに連結し環を形成してもよく、環を形成する際は5員環または6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar131、Ar132は、それぞれ同じでも異なってもよく、置換基を有していてもよいアリール基を示す。好ましいアリール基としては、ベンゼン環基およびナフタレン環基が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素数12以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数12以下のアルコキシ基が挙げられる。Y131、Y132は、それぞれ同じでも異なってもよく、硫黄原子または炭素数12以下のジアルキルメチレン基を示す。R133、R134は、それぞれ同じでも異なってもよく、置換基を有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R135、R136、R137およびR138は、それぞれ同じでも異なってもよく、水素原子または炭素数12以下の炭化水素基を示す。原料の入手容易性から、好ましくは水素原子である。また、Za -は、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa -は必要ない。好ましいZa -は、画像記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオンおよびスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオンおよびアリールスルホン酸イオンである。
前記一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号の段落番号〔0017〕〜〔0019〕に記載の化合物、特開2002−023360号の段落番号〔0016〕〜〔0021〕、特開2002−040638号の段落番号〔0012〕〜〔0037〕に記載の化合物、好ましくは特開2002−278057号の段落番号〔0034〕〜〔0041〕、特開2008−195018号の段落番号〔0080〕〜〔0086〕に記載の化合物、特に好ましくは特開2007−90850号の段落番号〔0035〕〜〔0043〕に記載の化合物が挙げられる。
また特開平5−5005号の段落番号〔0008〕〜〔0009〕、特開2001−222101号の段落番号〔0022〕〜〔0025〕に記載の化合物も好ましく使用することが出来る。
前記赤外線吸収染料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、顔料等の赤外線吸収染料以外の赤外線吸収剤を併用してもよい。顔料としては、特開2008−195018号公報の段落番号〔0072〕〜〔0076〕に記載の化合物が好ましい。
前記(E)増感色素の含有量は、前記感光性樹脂組成物(画像記録層)の全固形分100質量部に対し、好ましくは0.05〜30質量部、更に好ましくは0.1〜20質量部、特に好ましくは0.2〜10質量部である
(F)低分子親水性化合物
前記感光性樹脂組成物(画像記録層)は、耐刷性を低下させることなく機上現像性を向上させるために、低分子親水性化合物を含有してもよい。
前記低分子親水性化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテルまたはエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のポリオール類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、アルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、アルキルスルファミン酸等の有機スルファミン酸類及びその塩、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸等の有機硫酸類及びその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩、ベタイン類等が挙げられる。
本発明においてはこれらの中でも、ポリオール類、有機硫酸塩類、有機スルホン酸塩類、ベタイン類から選ばれる少なくとも一つを含有させることが好ましい。
前記有機スルホン酸塩の具体的な化合物としては、n−ブチルスルホン酸ナトリウム、n−ヘキシルスルホン酸ナトリウム、2−エチルヘキシルスルホン酸ナトリウム、シクロヘキシルスルホン酸ナトリウム、n−オクチルスルホン酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸塩;5,8,11−トリオキサペンタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、5,8,11−トリオキサヘプタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、13−エチル−5,8,11−トリオキサヘプタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、5,8,11,14−テトラオキサテトラデコサン−1−スルホン酸ナトリウムなどのエチレンオキシド鎖を含むアルキルスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム、1−ナフチルスルホン酸ナトリウム、4−ヒドロキシナフチルスルホン酸ナトリウム、1,5−ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸トリナトリウムなどのアリールスルホン酸塩、特開2007−276454号の段落番号〔0026〕〜〔0031〕、特開2009−154525号の段落番号〔0020〕〜〔0047〕に記載の化合物などが挙げられる。塩は、カリウム塩、リチウム塩でもよい。
前記有機硫酸塩としては、ポリエチレンオキシドのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたは複素環モノエーテルの硫酸塩が挙げられる。エチレンオキシド単位は1〜4であるのが好ましく、塩は、ナトリウム塩、カリウム塩またはリチウム塩が好ましい。これらの具体例としては、特開2007−276454号の段落番号〔0034〕〜〔0038〕に記載の化合物が挙げられる。
前記ベタイン類としては、窒素原子への炭化水素置換基の炭素原子数が1〜5である化合物が好ましく、具体例としては、トリメチルアンモニウムアセタート、ジメチルプロピルアンモニウムアセタート、3−ヒドロキシ−4−トリメチルアンモニオブチラート、4−(1−ピリジニオ)ブチラート、1−ヒドロキシエチル−1−イミダゾリオアセタート、トリメチルアンモニウムメタンスルホナート、ジメチルプロピルアンモニウムメタンスルホナート、3−トリメチルアンモニオ−1−プロパンスルホナート、3−(1−ピリジニオ)−1−プロパンスルホナートなどが挙げられる。
前記低分子親水性化合物は、疎水性部分の構造が小さくて界面活性作用がほとんどないため、湿し水が画像記録層露光部(画像部)へ浸透して画像部の疎水性や皮膜強度を低下させることがなく、画像記録層のインキ受容性や耐刷性を良好に維持できる。
前記低分子親水性化合物の、前記感光性樹脂組成物(画像記録層)中の含有量は、前記感光性樹脂組成物(画像記録層)全固形分に対して0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、2〜10質量%がさらに好ましい。この範囲で良好な機上現像性と耐刷性が得られる。低分子親水性化合物は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(G)感脂化剤
前記感光性樹脂組成物には、着肉性を向上させるために、ホスホニウム化合物、含窒素低分子化合物、アンモニウム基含有ポリマーなどの感脂化剤を含有させることができる。特に、保護層が無機質の層状化合物を含有する場合、感脂化剤は、無機質の層状化合物の表面被覆剤として機能し、無機質の層状化合物による印刷途中の着肉性低下を防止する。
好適なホスホニウム化合物としては、特開2006−297907号公報及び特開2007−50660号公報に記載のホスホニウム化合物を挙げることができる。具体例としては、テトラブチルホスホニウムヨージド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、1,4−ビス(トリフェニルホスホニオ)ブタン=ジ(ヘキサフルオロホスファート)、1,7−ビス(トリフェニルホスホニオ)ヘプタン=スルファート、1,9−ビス(トリフェニルホスホニオ)ノナン=ナフタレン−2,7−ジスルホナートなどが挙げられる。
前記含窒素低分子化合物としては、アミン塩類、第4級アンモニウム塩類が挙げられる。またイミダゾリニウム塩類、ベンゾイミダゾリニウム塩類、ピリジニウム塩類、キノリニウム塩類も挙げられる。なかでも、第4級アンモニウム塩類及びピリジニウム塩類が好ましい。具体例としては、テトラメチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、テトラブチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ドデシルトリメチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、ベンジルトリエチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ベンジルジメチルオクチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、特開2008−284858号の段落番号〔0021〕〜〔0037〕、特開2009−90645号の段落番号〔0030〕〜〔0057〕に記載の化合物などが挙げられる。
前記アンモニウム基含有ポリマーとしては、その構造中にアンモニウム基を有すれば如何なるものでもよいが、側鎖にアンモニウム基を有する(メタ)アクリレートを共重合成分として5〜80モル%含有するポリマーが好ましい。具体例としては、特開2009−208458号の段落番号〔0089〕〜〔0105〕に記載のポリマーが挙げられる。
前記アンモニウム塩含有ポリマーは、下記の測定方法で求められる還元比粘度(単位:ml/g)の値が、5〜120の範囲のものが好ましく、10〜110の範囲のものがより好ましく、15〜100の範囲のものが特に好ましい。上記還元比粘度を重量平均分子量に換算すると、10000〜150000が好ましく、17000〜140000がより好ましく、20000〜130000が特に好ましい。
<<還元比粘度の測定方法>>
30%ポリマー溶液3.33g(固形分として1g)を、20mlのメスフラスコに秤量し、N−メチルピロリドンでメスアップする。この溶液を30℃の恒温槽で30分間静置し、ウベローデ還元粘度管(粘度計定数=0.010cSt/s)に入れて30℃にて流れ落ちる時間を測定する。なお測定は同一サンプルで2回測定し、その平均値を算出する。同様にブランク(N−メチルピロリドンのみ)の場合も測定し、下記式から還元比粘度(ml/g)を算出する。
Figure 2013174680
以下に、アンモニウム基含有ポリマーの具体例としては、特開2011−251431号公報の段落番号0177に記載のものを採用できる。
前記感脂化剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して0.01〜30.0質量%が好ましく、0.1〜15.0質量%がより好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。
(H)疎水化前駆体
前記感光性樹脂組成物には、機上現像性を向上させるため、疎水化前駆体を含有させることができる。疎水化前駆体とは、熱が加えられたときに前記感光性樹脂組成物を疎水性に変換できる微粒子を意味する。微粒子としては、疎水性熱可塑性ポリマー微粒子、熱反応性ポリマー微粒子、重合性基を有するポリマー微粒子、疎水性化合物を内包しているマイクロカプセル及びミクロゲル(架橋ポリマー微粒子)から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。なかでも、重合性基を有するポリマー微粒子及びミクロゲルが好ましい。
前記疎水性熱可塑性ポリマー微粒子としては、1992年1月のResearch Disclosure、No.333003、特開平9−123387号公報、特開平9−131850号公報、特開平9−171249号公報、特開平9−171250号公報及び欧州特許第931647号明細書などに記載の疎水性熱可塑性ポリマー微粒子を好適なものとして挙げることができる。
このようなポリマー微粒子を構成するポリマーの具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール、ポリアルキレン構造を有するアクリレートまたはメタクリレートなどのモノマーのホモポリマーもしくはコポリマーまたはそれらの混合物を挙げることができる。その中で、より好適なものとして、ポリスチレン、スチレンおよびアクリロニトリルを含む共重合体、ポリメタクリル酸メチルを挙げることができる。
本発明に用いられる疎水性熱可塑性ポリマー微粒子の平均粒径は0.01〜2.0μmが好ましい。
本発明に用いられる熱反応性ポリマー微粒子としては、熱反応性基を有するポリマー微粒子が挙げられ、これらは、熱反応による架橋及びその際の官能基変化により疎水化領域を形成する。
本発明に用いる熱反応性基を有するポリマー微粒子における熱反応性基としては、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でもよいが、重合性基であることが好ましく、その例として、ラジカル重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、カチオン重合性基(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、エポキシ基、オキセタニル基など)、付加反応を行うイソシアナト基またはそのブロック体、エポキシ基、ビニルオキシ基及びこれらの反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基など)、縮合反応を行うカルボキシ基及び反応相手であるヒドロキシ基またはアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物及び反応相手であるアミノ基またはヒドロキシ基などを好適なものとして挙げることができる。
本発明に用いられるマイクロカプセルとしては、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、画像記録層の構成成分の全てまたは一部をマイクロカプセルに内包させたものである。なお、画像記録層の構成成分は、マイクロカプセル外にも含有させることもできる。さらに、マイクロカプセルを含有する画像記録層は、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包し、親水性の構成成分をマイクロカプセル外に含有することが好ましい態様である。
本発明に用いられるミクロゲルは、その中または表面の少なくとも一方に、画像記録層の構成成分の一部を含有することができる。特に、ラジカル重合性基をその表面に有することによって反応性ミクロゲルとした態様が、画像形成感度や耐刷性の観点から特に好ましい。
前記画像記録層の構成成分をマイクロカプセル化もしくはミクロゲル化するには、公知の方法が適用できる。
マイクロカプセルあるいはミクロゲルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましく、0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
前記疎水化前駆体の含有量は、前記感光性樹脂組成物(画像記録層)全固形分の5〜90質量%が好ましい。
(I)その他の感光性樹脂組成物(画像記録層)成分
前記感光性樹脂組成物は、連鎖移動剤を含有することが好ましい。連鎖移動剤は、例えば高分子辞典第三版(高分子学会編、2005年)683−684頁に定義されている。連鎖移動剤としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。前記感光性樹脂組成物には、特に、チオール化合物(例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類、2−メルカプトベンズチアゾール類、2−メルカプトベンズオキサゾール類、3−メルカプトトリアゾール類、5−メルカプトテトラゾール類等)を好ましく用いることができる。
連鎖移動剤の好ましい含有量は、前記感光性樹脂組成物の全固形分100質量部に対し、好ましくは0.01〜20質量部、更に好ましくは1〜10質量部、特に好ましくは1〜5質量部である。
前記感光性樹脂組成物には、さらに、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、特開2011-158667号公報の段落番号0170の記載を参酌できる。
(画像記録層の形成)
本発明の平版印刷版原版における前記画像記録層は、本発明の感光性樹脂組成物を用いる。
本発明の平版印刷版原版における前記画像記録層は、形成方法に特に制限はなく、公知の方法で形成されることができる。前記画像記録層は、必要な上記各画像記録層成分を溶剤に分散または溶解して塗布液を調製し、塗布して形成される。使用する溶剤としては、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、γ−ブチルラクトン等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。溶剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
前記画像記録層の塗布量(固形分)は、0.3〜3.0g/m2が好ましい。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等が挙げられる。
前記(A)共重合体を画像記録層又は下塗り層に含有させるには、前記(A)共重合体を画像記録層用塗布液又は下塗り層用塗布液に添加することにより行うことができる。前記(A)共重合体が前記画像記録層に含まれる場合、前記(A)共重合体の含有量(固形分)は、0.1〜100mg/m2が好ましく、1〜30mg/m2がより好ましく、5〜24mg/m2がさらに好ましい。
以下、本発明の感光性樹脂組成物を好ましく使用できる平版印刷版原版の好ましい態様について詳細に説明する。
本発明の感光性樹脂組成物を使用した平版印刷版原版は、支持体上に、下塗り層と、感光性樹脂組成物からなる画像記録層とをこの順に有する。さらに、前記支持体と前記画像記録層との間にその他の層が任意に設けられてもよい。
また、前記画像記録層の前記支持体とは反対側の表面上に、保護層を含むことが好ましい。
また、必要に応じて、支持体の裏面にバックコート層を設けることができる。
本発明の平版印刷版原版は、コンピューター等のデジタル信号から各種レーザーを用いて直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能であることが好ましい。また、好ましくは、pHが3.5〜13であり、さらに好ましくは、6〜13であり、最も好ましくは7〜10の水溶液や印刷機上においても現像可能であることが好ましい。
以下、本発明の平版印刷版原版を構成する構成層について順に説明し、本発明の平版印刷版原版を形成する方法を説明する。
<下塗り層>
本発明の平版印刷版原版においては、非画像部領域の親水性を向上させ印刷汚れを防止するために、支持体表面の親水化処理を行ったり、支持体と画像記録層との間に下塗り層を設けることも好適である。
支持体表面の親水化処理としては、支持体をケイ酸ナトリウム等の水溶液に浸漬処理または電解処理するアルカリ金属シリケート処理、フッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、ポリビニルホスホン酸で処理する方法等が挙げられるが、ポリビニルホスホン酸水溶液に浸漬処理する方法が好ましく用いられる。
下塗り層としては、ホスホン酸、リン酸、スルホン酸などの酸基を有する化合物を有する下塗り層が好ましく用いられる。これらの化合物は、画像記録層との密着性を向上させる為に、さらに重合性基を含有することが好ましい。さらにエチレンオキシド基などの親水性付与基を有する化合物も好適な化合物として挙げることができる。
これらの化合物は低分子でも高分子ポリマーであってもよい。特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物などが好適に挙げられる。特開2005−238816、特開2005−125749、特開2006−239867、特開2006−215263公報記載の架橋性基(好ましくは、エチレン性不飽和結合基)、支持体表面に相互作用する官能基、および親水性基を有する低分子又は高分子化合物を含有するものも好ましく用いられる。
[支持体]
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体は、特に限定されず、寸度的に安定な板状の親水性支持体であればよい。支持体としては、特に、アルミニウム板が好ましい。アルミニウム板を使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すことが好ましい。アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理( 電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理) 、化学的粗面化処理( 化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理) が挙げられる。これらの処理については、特開2007−206217号の段落番号〔0241〕〜〔0245〕に記載された方法を好ましく用いることができる。
前記支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであることが好ましい。この範囲で、前記画像記録層との良好な密着性、良好な耐刷性と良好な汚れ難さが得られる。
また、前記支持体の色濃度は、反射濃度値で0.15〜0.65が好ましい。この範囲で、画像露光時のハレーション防止による良好な画像形成性と現像後の良好な検版性が得られる。
前記支持体の厚さは0.1〜0.6mmであるのが好ましく、0.15〜0.4mmであるのがより好ましく、0.2〜0.3mmであるのが更に好ましい。
<親水化処理>
本発明の平版印刷版原版においては、非画像部領域の親水性を向上させ印刷汚れを防止するために、支持体表面の親水化処理を行うことも好適である。
支持体表面の親水化処理としては、支持体をケイ酸ナトリウム等の水溶液に浸漬処理又は電解処理するアルカリ金属シリケート処理、フッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、ポリビニルホスホン酸で処理する方法等が挙げられるが、ポリビニルホスホン酸水溶液に浸漬処理する方法が好ましく用いられる。
[保護層]
本発明の平版印刷版原版には、露光時の重合反応を妨害する酸素の拡散侵入を遮断するため、前記画像記録層上に保護層(酸素遮断層)を設けることが好ましい。前記保護層の材料としては、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマーのいずれをも適宜選択して使用することができ、必要に応じて2種類以上を混合して使用することもできる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらの中で、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましい。具体的には、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的に特に良好な結果を与える。
前記保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するために必要な未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテルあるいはアセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の共重合成分を有していてもよい。ポリビニルアルコールはポリ酢酸ビニルを加水分解することにより得られる。ポリビニルアルコールの具体例としては加水分解度が69.0〜100モル%、重合繰り返し単位数が300から2400の範囲のものを挙げることができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−102、PVA−103、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−235、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−403、PVA−405、PVA−420、PVA−424H、PVA−505、PVA−617、PVA−613、PVA−706、L−8等が挙げられる。ポリビニルアルコールは単独または混合して使用できる。ポリビニルアルコールの保護層中の含有量は、好ましくは20〜95質量%、より好ましくは30〜90質量%である。
また、変性ポリビニルアルコールも好ましく用いることができる。特に、カルボン酸基又はスルホン酸基を有する酸変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。具体的には、特開2005−250216号、特開2006−259137号に記載のポリビニルアルコールが好適に挙げられる。
ポリビニルアルコールと他の材料を混合して使用する場合、混合する成分としては、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはその変性物が、酸素遮断性、現像除去性といった観点から好ましく、保護層中その含有率は3.5〜80質量%、好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは15〜30質量%である。
前記保護層には、グリセリン、ジプロピレングリコール等を上記ポリマーに対して数質量%相当量添加して可撓性を付与することができる。また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤、アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を上記ポリマーに対して数質量%相当量添加することができる。
さらに、前記保護層には、酸素遮断性や画像記録層表面保護性を向上させる目的で、無機質の層状化合物を含有させることも好ましい。無機質の層状化合物の中でも、合成の無機質の層状化合物であるフッ素系の膨潤性合成雲母が特に有用である。具体的には、特開2005−119273号に記載の無機質の層状化合物が好適に挙げられる。
前記保護層の塗布量は、0.05〜10g/m2が好ましく、無機質の層状化合物を含有する場合には、0.1〜5g/m2がさらに好ましく、無機質の層状化合物を含有しない場合には、0.5〜5g/m2がさらに好ましい。
[バックコート層]
本発明の平版印刷版原版は、必要に応じて、前記支持体の裏面にバックコート層を設けることができる。前記バックコート層としては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH34、Si(OC254、Si(OC374、Si(OC494等のケイ素のアルコキシ化合物を用いることが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
[平版印刷版の製造方法]
本発明の平版印刷版原版を画像露光して現像処理を行うことで平版印刷版を製造することができる。
本発明の平版印刷版の製造方法は、本発明の平版印刷版原版を、画像様に露光する露光工程と;露光した前記平版印刷版原版を、pHが2〜14の現像液で現像する現像工程を含み;前記現像工程において、前記現像液の存在下、前記画像記録層の非露光部と前記保護層とを同時に除去する工程を含むことを特徴とする。
本発明の平版印刷版の製造方法は、前記画像記録層の前記支持体とは反対側の表面上に、保護層を形成する工程を含み;前記現像工程において、さらに界面活性剤を含有する前記現像液の存在下、非露光部の画像記録層と前記保護層とを同時に除去する工程を含む(但し、水洗工程を含まない)、ことが好ましい
本発明の平版印刷版の製造方法の第二の態様は、本発明の平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、印刷機上で印刷インキと湿し水を供給して非露光部の前記画像記録層を除去する工程とを含むことを特徴とする。
以下、本発明の平版印刷版の製造方法について、各工程の好ましい態様を順に説明する。なお、本発明の平版印刷版の製造方法によれば、本発明の平版印刷版原版は前記現像工程において水洗工程を含む場合も平板印刷版を製造することができる。
<露光工程>
本発明の平版印刷版の製造方法は、本発明の平版印刷版原版を、画像様に露光する露光工程を含む。本発明の平版印刷版原版は、線画像、網点画像等を有する透明原画を通してレーザー露光するかデジタルデータによるレーザー光走査等で画像様に露光される。
光源の波長は300〜450nm又は750〜1400nmが好ましく用いられる。300〜450nmの光源の場合は、この波長領域に吸収極大を有する増感色素を画像記録層に有する平版印刷版原版が好ましく用いられ、750〜1400nmの光源の場合は、この波長領域に吸収を有する増感色素である赤外線吸収剤を画像記録層に含有する平版印刷版原版が好ましく用いられる。300〜450nmの光源としては、半導体レーザーが好適である。750〜1400nmの光源としては、赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーが好適である。赤外線レーザーに関しては、出力は100mW以上であることが好ましく、1画素当たりの露光時間は20マイクロ秒以内であるのが好ましく、また照射エネルギー量は10〜300mJ/cm2であるのが好ましい。また、露光時間を短縮するためマルチビームレーザーデバイスを用いることが好ましい。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。
画像露光は、プレートセッターなどを用いて常法により行うことができる。機上現像の場合には、平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で画像露光を行ってもよい。
<現像工程>
現像処理は、pHが2〜14の現像液にて現像する方法(現像液処理方式)、又は(2)印刷機上で、湿し水及び/又はインキを加えながら現像する方法(機上現像方式)で行うことができる。
(現像液処理方式)
現像液処理方式においては、画像露光された平版印刷版原版は、pHが2〜14の現像液により処理され、非露光部の画像記録層が除去されて平版印刷版が作製される。
高アルカリ性現像液(pH12以上)を用いる現像処理においては、通常、前水洗工程により保護層を除去し、次いでアルカリ現像を行い、後水洗工程でアルカリを水洗除去し、ガム液処理を行い、乾燥工程で乾燥して平版印刷版が作製される。
本発明の第一の好ましい態様によれば、pHが2〜12の現像液が使用され、好ましくは、pHが3.5〜13であり、さらに好ましくは、6〜13であり、最も好ましくは7〜10が使用される。
この態様においては、現像液中に界面活性剤又は水溶性高分子化合物を含有させることが好ましく、これにより現像とガム液処理を同時に行うことが可能となる。よって後水洗工程は特に必要とせず、1液で現像−ガム液処理を行うことができる。
さらに、前水洗工程も特に必要とせず、保護層の除去も現像−ガム液処理と同時に行うことができる。本発明の平板印刷版の製造方法では、現像−ガム処理の後に、例えば、スクイズローラーを用いて余剰の現像液を除去した後、乾燥を行うことが好ましい。
本発明における平版印刷版原版の現像液処理は、常法に従って、0〜60℃、好ましくは15〜40℃程度の温度で、例えば、露光処理した平版印刷版原版を現像液に浸漬してブラシで擦る方法、スプレーにより現像液を吹き付けてブラシで擦る方法等により行うことができる。
前記現像液による現像処理は、現像液の供給手段および擦り部材を備えた自動現像処理機により好適に実施することができる。擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動現像処理機が特に好ましい。また、自動現像処理機は現像処理手段の後に、スクイズローラー等の余剰の現像液を除去する手段や、温風装置等の乾燥手段を備えていることが好ましい。さらに、自動現像処理機は現像処理手段の前に、画像露光後の平版印刷版原版を加熱処理するための前加熱手段を備えていてもよい。
本発明の平版印刷版の作製方法に使用される自動現像処理機の1例をとしては、図1に記載のもが挙げられる。図1の自動現像処理機は、基本的に現像部6と乾燥部10からなり、平版印刷版原版4は、現像槽20で現像処理され、乾燥部10で乾燥される。
図2に示す自動現像処理機100は、機枠202により外形が形成されたチャンバーからなり、平版印刷版原版の搬送路11の搬送方向(矢印A)に沿って連続して形成された前加熱(プレヒート)部200、現像部300及び乾燥部400を有している。
前加熱部200は、搬入口212及び搬出口218を有する加熱室208を有し、その内部には串型ローラー210とヒーター214と循環ファン216とが配置されている。
現像部300は、外板パネル310により前加熱部200と仕切られており、外板パネル310にはスリット状挿入口312が設けられている。
現像部300の内部には、現像液で満たされている現像槽308を有する処理タンク306と、平版印刷版原版を処理タンク306内部へ案内する挿入ローラー対304が設けられている。現像槽308の上部は遮蔽蓋324で覆われている。
現像槽308の内部には、搬送方向上流側から順に、ガイドローラー344及びガイド部材342、液中ローラー対316、ブラシローラー対322、ブラシローラー対326、搬出ローラー対318が並設されている。現像槽308内部に搬送された平版印刷版原版は、現像液中に浸漬され、回転するブラシローラー対322、326の間を通過することにより非画像部が除去される。
ブラシローラー対322、326の下部には、スプレーパイプ330が設けられている。スプレーパイプ330はポンプ(不図示)が接続されており、ポンプによって吸引された現像槽308内の現像液がスプレーパイプ330から現像槽308内へ噴出するようになっている。
現像槽308側壁には、第1の循環用配管C1の上端部に形成されたオーバーフロー口51が設けられており、超過分の現像液がオーバーフロー口51に流入し、第1の循環用配管C1を通って現像部300の外部に設けられた外部タンク50に排出される。
外部タンク50は第2の循環用配管C2が接続され、第2の循環用配管C2中には、フィルター部54及び現像液供給ポンプ55が設けられている。現像液供給ポンプ55によって、現像液が外部タンク50から現像槽308へ供給される。また、外部タンク50内には上限液レベル計52、下限液レベル計53が設けられている。
現像槽308は、第3の循環用配管C3を介して補充用水タンク71に接続されている。第3の循環用配管C3中には水補充ポンプ72が設けられており、この水補充ポンプ72によって補充用水タンク71中に貯留される水が現像槽308へ供給される。
液中ローラー対316の上流側には液温センサ336が設置されており、搬出ローラー対318の上流側には液面レベル計338が設置されている。
現像300と乾燥部400との間に配置された仕切り板332にはスリット状挿通口334が設けられている。また、現像部300と乾燥部400との間の通路にはシャッター(不図示)が設けられ、平版印刷版原版11が通路を通過していないとき、通路はシャッターにより閉じられている。
乾燥部400は、支持ローラー402、ダクト410、412、搬送ローラー対406、ダクト410、412、搬送ローラー対408がこの順に設けられている。ダクト410、412の先端にはスリット孔414が設けられている。また、乾燥部400には図示しない温風供給手段、発熱手段等の乾燥手段が設けられている。乾燥部400には排出口404が設けられ、乾燥手段により乾燥された平版印刷版は排出口404から排出される。
本発明において現像液処理に用いられる現像液は、pHが2〜14の水溶液、または界面活性剤を含む。前記現像液は、水を主成分(水を60質量%以上含有)とする水溶液が好ましく、特に、界面活性剤(アニオン系、ノニオン系、カチオン系、両性イオン系等)を含有する水溶液や、水溶性高分子化合物を含有する水溶液が好ましい。界面活性剤と水溶性高分子化合物の両方を含有する水溶液も好ましい。現像液のpHは、より好ましくは2.0〜13.0、さらに好ましくは2.0〜12.0、特に好ましくは2〜10.0である。特に、pH2.0〜10.0の現像液を使用する方式において、耐汚れ性、耐刷性、経時での耐汚れ性低下の抑制を共に満足させることは極めて難しい。この理由は以下のように説明できる。すなわち、同一の平版印刷版原版用素材を用いて現像液の種類を変更する場合、pH2.0〜10.0の現像液では、従来用いられてきたpH12〜13のアルカリ現像液に比べ、現像性が低下する。そこでpH2.0〜10.0の現像液で現像性を良化させようとしてバインダーの強度を下げると、耐刷性が悪化する傾向にあるためである。本発明の平版印刷版原版を用いることで、このようなpH2.0〜10.0の現像液を好ましく用いることができる。
本発明において前記現像液に用いられるアニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテル(ジ)スルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンアルキルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−アルキル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。この中で、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテル(ジ)スルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
本発明において前記現像液に用いられるカチオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、アルキルイミダゾリニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明において前記現像液に用いられるノニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリエチレングリコール型の高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、アルキルナフトールエチレンオキサイド付加物、フェノールエチレンオキサイド付加物、ナフトールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。この中で、芳香環とエチレンオキサイド鎖を有するものが好ましく、アルキル置換又は無置換のフェノールエチレンオキサイド付加物又はアルキル置換又は無置換のナフトールエチレンオキサイド付加物がより好ましい。
本発明において前記現像液に用いられる両性イオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、アルキルジメチルアミンオキシドなどのアミンオキシド系、アルキルベタインなどのベタイン系、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウムなどのアミノ酸系が挙げられる。特に、置換基を有してもよいアルキルジメチルアミンオキシド、置換基を有してもよいアルキルカルボキシベタイン、置換基を有してもよいアルキルスルホベタインが好ましく用いられる。具体的には、特開2008−203359号の段落番号〔0256〕の式(2)で示される化合物、特開2008−276166号の段落番号〔0028〕の式(I)、式(II)、式(VI)で示される化合物、特開2009−47927号の段落番号〔0022〕〜〔0029〕で示される化合物を用いることができる。
前記界面活性剤は現像液中に2種以上用いてもよい。前記現像液中に含有される前記界面活性剤の量は、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
本発明において前記現像液に用いられる水溶性高分子化合物としては、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)およびその変性体、プルラン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミド共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリスチレンスルホン酸およびその塩などが挙げられる。
前記大豆多糖類は、公知のものが使用でき、例えば市販品として商品名ソヤファイブ(不二製油(株)製)があり、各種グレードのものを使用することができる。好ましく使用できるものは、10質量%水溶液の粘度が10〜100mPa/secの範囲にあるものである。
前記変性澱粉も、公知のものが使用でき、例えば、トウモロコシ、じゃがいも、タピオカ、米、小麦等の澱粉を酸または酵素等で1分子当たりグルコース残基数5〜30の範囲で分解し、更にアルカリ中でオキシプロピレンを付加する方法等で作ることができる。
前記水溶性高分子化合物は前記現像液中に2種以上併用することもできる。前記水溶性高分子化合物の前記現像液中における含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、0.5
〜10質量%がより好ましい。
本発明で使用する現像液には、pH緩衝剤を含ませることができる。本発明の現像液には、pH2〜14に緩衝作用を発揮する緩衝剤であれば特に限定なく用いることができる。本発明においては弱アルカリ性の緩衝剤が好ましく用いられ、例えば(a)炭酸イオン及び炭酸水素イオン、(b)ホウ酸イオン、(c)水溶性のアミン化合物及びそのアミン化合物のイオン、及びそれらの併用などが挙げられる。すなわち、例えば(a)炭酸イオン−炭酸水素イオンの組み合わせ、(b)ホウ酸イオン、又は(c)水溶性のアミン化合
物−そのアミン化合物のイオンの組み合わせなどが現像液においてpH緩衝作用を発揮し
、現像液を長期間使用してもpHの変動を抑制でき、従ってpHの変動による現像性低下、現像カス発生等を抑制できる。本発明の平版印刷版の製造方法では、特に好ましくは、炭酸イオン及び炭酸水素イオンの組み合わせである。
炭酸イオン及び炭酸水素イオンを現像液中に存在させるには、炭酸塩と炭酸水素塩を現像液に加えてもよいし、炭酸塩又は炭酸水素塩を加えた後にpHを調整することで、炭酸イオンと炭酸水素イオンを発生させてもよい。炭酸塩及び炭酸水素塩は、特に限定されないが、アルカリ金属塩であることが好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられ、ナトリウムが特に好ましい。アルカリ金属は単独でも、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
炭酸イオン及び炭酸水素イオンの総量は、現像液に対して0.05〜5mol/Lが好ましく、0.07〜2mol/Lがより好ましく、0.1〜1mol/Lが特に好ましい。
本発明において現像液は、有機溶剤を含有してもよい。含有可能な有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、アイソパーE、H、G(エッソ化学(株)製)等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)、極性溶剤が挙げられる。極性溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類が挙げられ、これらの好ましい例は、特開2012−031400号公報の段落番号0182に記載のものを採用できる。
前記現像液に含有される前記有機溶剤は、2種以上を併用することもできる。前記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能である。現像液が有機溶剤を含有する場合、安全性、引火性の観点から、有機溶剤の濃度は40質量%未満が望ましい。
本発明において前記現像液には上記成分の他に、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、無機酸、無機塩などを含有させることができる。具体的には、特開2007−206217号の段落番号〔0266〕〜〔0270〕に記載の化合物を好ましく用いることができる。
本発明において前記現像液は、露光された平版印刷版原版の現像液および現像補充液として用いることができる。また、前述のような自動現像処理機に好ましく適用することができる。自動現像処理機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液または新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。
<機上現像方式>
機上現像方式においては、画像露光された平版印刷版原版は、印刷機上で油性インキと水性成分とを供給し、非画像部の画像記録層が除去されて平版印刷版が作製される。
すなわち、平版印刷版原版を画像露光後、なんらの現像処理を施すことなくそのまま印刷機に装着するか、あるいは、平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で画像露光し、ついで、油性インキと水性成分とを供給して印刷すると、印刷途上の初期の段階で、非画像部においては、供給された油性インキ及び/または水性成分によって、未硬化の画像記録層が溶解または分散して除去され、その部分に親水性の表面が露出する。一方、露光部においては、露光により硬化した画像記録層が、親油性表面を有する油性インキ受容部を形成する。最初に版面に供給されるのは、油性インキでもよく、水性成分でもよいが、水性成分が除去された画像記録層成分によって汚染されることを防止する点で、最初に油性インキを供給することが好ましい。このようにして、平版印刷版原版は印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。油性インキ及び水性成分としては、通常の平版印刷用の印刷インキと湿し水が好適に用いられる。
本発明の平版印刷版原版からの平版印刷版の製造方法においては、現像方式を問わず、必要に応じて、露光前、露光中、露光から現像までの間に、平版印刷版原版の全面を加熱してもよい。この様な加熱により、画像記録層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や感度の安定化等の利点が生じ得る。また、現像液処理方式の場合、画像強度や耐刷性の向上を目的として、現像処理後の画像に対し、全面後加熱もしくは全面露光を行うことも有効である。通常、現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行う事が好ましい。温度が高すぎると、非画像部が硬化してしまう等の問題を生じることがある。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は100〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じることがある。
以下、実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(A)ポリウレタンの合成
<合成例1:ポリウレタンの合成(例示化合物(1)の合成>
塩化カルシウム管を装着したコンデンサー、攪拌器を取り付けた500mlの3口フラスコに、脱水MEK(和光純薬製)153gを入れ、ユニオールD−1200(日油(株)製)24.0g(20.0mmol)、ブレンマーGLM(日油(株)製)22.4g(140.0mmol)、ベンゾキノン20.4mgを加えた。その後、室温でミリオネートMT(日本ポリウレタン(株)製)50.1g(200mmol)、を加えて、5分間攪拌させた後に、ネオスタンU−600(日東化成(株)製)0.320gを加えて10分間攪拌した。発熱が治まった後に、65℃に昇温し、65℃に到達後1時間攪拌した。続いて、65℃を保持したまま2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(東京化成(株)製)5.37g(40.0mmol)を加えて、65℃でさらに3時間攪拌し、メタノール5.0gを加えて反応を停止し、ポリウレタン(例示化合物(1))のMEK溶液40wt%を得た。得られたポリウレタン(例示化合物(1))を、ポリスチレンを標準物質としたゲルバミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均モル質量(Mw)を測定した結果、32,000であった。
<合成例2:ポリウレタンの合成(例示化合物(46)の合成>
塩化カルシウム管を装着したコンデンサー、攪拌器を取り付けた500mlの3口フラスコに、脱水MEK(和光純薬製)150.0gを入れ、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(東京化成(株)製)13.41g(100.0mmol)、ブレンマーGLM(日油(株)製)12.81g(80.0mmol)、p−ベンゾキノン20.1mgを加えた。その後、室温でミリオネートMT(日本ポリウレタン(株)製)50.05g(200.0mmol)を加えて、5分間攪拌させた後に、ネオスタンU−600(日東化成(株)製)0.31gを加えて10分間攪拌した。発熱が治まった後に、65℃に昇温し、65℃に到達後1時間攪拌した。続いて、65℃を保持したまま、ユニオールD−1200(日油(株)製)24.0g(20.0mmol)を加えて、65℃でさらに5時間攪拌し、メタノール5.0gを加えて反応を停止し、ポリウレタン(例示化合物(46))のMEK溶液40wt%を得た。得られたポリウレタン(例示化合物(46))を、ポリスチレンを標準物質としたゲルバミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均モル質量(Mw)を測定した結果、52,000であった。
なお、以下の実施例に用いたポリウレタンは、上記合成例1又は2に記載の方法に従って合成した。
(B)平版印刷版
平版印刷版原版の作成
〔アルミニウム支持体1の作製〕
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質:JIS A1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ナトリウム水溶液を用いて50℃で30秒間脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸水溶液に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dm2の条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。この板を15質量%硫酸水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dm2で2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥し、アルミニウム支持体1を作製した。このようにして得られた支持体の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
〔アルミニウム支持体2の作製〕
アルミニウム支持体1を、珪酸ナトリウム1質量%水溶液にて20℃で10秒処理し、アルミニウム支持体2を作製した。その表面粗さを測定したところ、0.54μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
〔アルミニウム支持体3の作製〕
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を65℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、1分間の脱脂処理を行った後、水洗した。このアルミニウム板を、25℃に保たれた10%塩酸水溶液中に1分間浸漬して中和した後、水洗した。次いで、このアルミニウム板を、0.3質量%の塩酸水溶液中で、25℃、電流密度100A/dm2の条件下に交流電流により60秒間電解粗面化を行った後、60℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液中で10秒間デスマット処理を行った。このアルミニウム板を、15%硫酸水溶液溶液中で、25℃、電流密度10A/dm2、電圧15Vの条件下に1分間陽極酸化処理を行い、アルミニウム支持体を作製した。その表面粗さを測定したところ、0.44μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
〔下塗り層の形成〕
以下の組成を有する下塗り層塗布液をバーコーターで塗布し、100℃にて1分間乾燥して下塗り層を形成した。下塗り層の乾燥塗布量は12mg/m2であった。
<下塗り層塗布液>
・下記下塗り層用化合物 0.50g
・メタノール 90.0g
・純水 10.0g
Figure 2013174680
〔画像記録層1の形成〕
下記組成の画像記録層塗布液1をバー塗布した後、90℃で60秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の画像記録層1を形成した。
<画像記録層塗布液1>
・下記表記載のバインダーポリマー 0.34g
・下記重合性化合物(1) 0.68g
(PLEX6661−O、デグサジャパン製)
・下記増感色素(1) 0.06g
・下記重合開始剤(1) 0.18g
・下記連鎖移動剤(1) 0.02g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤(アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(重量平均分子量:6万、共重合モル比:83/17)):10質量部、シクロヘキサノン:15質量部)
・熱重合禁止剤(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
0.01g
・下記フッ素系界面活性剤(1) (重量平均分子量:10,000)
0.001g
・ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物 0.02g
((株)ADEKA製、プルロニックL44)
・黄色顔料の分散物 0.04g
(黄色顔料Novoperm Yellow H2G(クラリアント製):15質量部、分散剤(アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 (重量平均分子量:6万、共重合モル比83/17)):10質量部、シクロヘキサノン:15質量部)
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
Figure 2013174680
Figure 2013174680
〔画像記録層2の形成〕
下記組成の画像記録層塗布液2をバー塗布した後、90℃で60秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の画像記録層を形成した。
<画像記録層塗布液2>
・下記表記載のバインダーポリマー 0.24g
・下記バインダーポリマー(2)(重量平均分子量:8万) 0.10g
・上記重合性化合物(1) 0.17g
(PLEX6661−O、デグサジャパン製)
・下記重合性化合物(2) 0.51g
・下記増感色素(2) 0.03g
・下記増感色素(3) 0.015g
・下記増感色素(4) 0.015g
・上記重合開始剤(1) 0.13g
・連鎖移動剤:メルカプトベンゾチアゾール 0.01g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤(アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(重量平均分子量:6万、共重合モル比:83/17)):10質量部、シクロヘキサノン:15質量部)
・熱重合禁止剤(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
0.01g
・上記フッ素系界面活性剤(1)(重量平均分子量:1万) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
Figure 2013174680
Figure 2013174680
Figure 2013174680
Figure 2013174680
Figure 2013174680
〔画像記録層3の形成〕
下記組成の画像記録層塗布液3をバー塗布した後、100℃で60秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の画像記録層を形成した。画像記録層塗布液3は下記感光液(1)および疎水化前駆体液(1)を塗布直前に混合し攪拌することにより調製した。
<感光液(1)>
・下記表記載のバインダーポリマー 0.162g
・下記赤外線吸収剤(1) 0.030g
・下記重合開始剤(3) 0.162g
・重合性化合物(アロニックスM215、東亞合成(株)製)0.385g
・パイオニンA−20(竹本油脂(株)製) 0.055g
・下記感脂化剤(1) 0.044g
・上記フッ素系界面活性剤(1) 0.008g
・メチルエチルケトン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
<疎水化前駆体液(1)>
・下記疎水化前駆体水分散液(1) 2.640g
・蒸留水 2.425g
Figure 2013174680
Figure 2013174680
Figure 2013174680
(疎水化前駆体水分散液(1)の製造)
1000mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入して脱酸素を行いつつ蒸留水(350mL)を加えて内温が80℃となるまで加熱した。分散剤としてドデシル硫酸ナトリウム(1.5g)を添加し、さらに開始剤として過硫化アンモニウム(0.45g)を添加し、次いでグリシジルメタクリレート(45.0g)とスチレン(45.0g)との混合物を滴下ロートから約1時間かけて滴下した。滴下終了後5時間そのまま反応を続けた後、水蒸気蒸留で未反応単量体を除去した。その後冷却しアンモニア水でpH6に調整し、最後に不揮発分が15質量%となるように純水を添加してポリマー微粒子からなる疎水化前駆体水分散液(1)を得た。このポリマー微粒子の粒子サイズ分布は、粒子サイズ60nmに極大値を有していた。
粒子サイズ分布は、ポリマー微粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、写真上で微粒子の粒子サイズを総計で5000個測定し、得られた粒子サイズ測定値の最大値から0の間を対数目盛で50分割して各粒子サイズの出現頻度をプロットして求めた。なお非球形粒子については写真上の粒子面積と同一の粒子面積を持つ球形粒子の粒子サイズ値を粒子サイズとした。
粒子サイズ分布は、ポリマー微粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、写真上で微粒子の粒子サイズを総計で5000個測定し、得られた粒子サイズ測定値の最大値から0の間を対数目盛で50分割して各粒子サイズの出現頻度をプロットして求めた。なお非球形粒子については写真上の粒子面積と同一の粒子面積を持つ球形粒子の粒子サイズ値を粒子サイズとした。
〔保護層1の形成〕
以下の組成を有する保護層塗布液1を乾燥塗布量が0.75g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃で70秒間乾燥して保護層を形成した。
〔保護層塗布液1〕
・ポリビニルアルコール(ケン化度:98モル%、重合度:500) 40g
・ポリビニルピロリドン(分子量:5万) 5g
・ポリ〔ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1)〕(分子量:7万)0.5g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.5g
・水 950g
〔保護層2の形成〕
以下の組成を有する保護層塗布液2を乾燥塗布量が0.75g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃で70秒間乾燥して保護層を形成した。
〔保護層塗布液2〕
・下記の無機質層状化合物分散液(1) 1.5g
・スルホン酸変性ポリビニルアルコールの6質量%水溶液 0.55g
(日本合成化学工業(株)製CKS50、ケン化度99モル%以上、重合度300)
・ポリビニルアルコール6質量%水溶液 0.03g
((株)クラレ製PVA−405、ケン化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液
・界面活性剤の1質量%水溶液
(日本エマルジョン(株)製エマレックス710) 0.86g
・イオン交換水 6.0g
(無機質層状化合物分散液(1)の調製)
イオン交換水193.6gに合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、混合物をホモジナイザーを用いて平均粒子サイズ(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散し、無機質層状化合物分散液(1)を調製した。得られた分散粒子のアスペクト比は100以上であった。
アルミニウム支持体、下塗り層、画像記録層、保護層を下記表に示すように組み合わせて、実施例及び比較例の平版印刷版原版を作製した。尚、比較例に用いた重合体は以下の方法で合成した。
<比較例用ポリウレタン(R−1)の合成−ランダム重合体>
塩化カルシウム管を装着したコンデンサー、攪拌器を取り付けた500mlの3口フラスコに、脱水MEK(和光純薬製)153gを入れ、ユニオールD−1200(日油(株)製)24.0g(20.0mmol)、ブレンマーGLM(日油(株)製)22.4g(140.0mmol)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(東京化成(株)製)5.37g(40.0mmol)、ベンゾキノン20.4mgを加えた。その後、室温でミリオネートMT(日本ポリウレタン(株)製)50.1 g(200mmol)、を加えて、5分間攪拌させた後に、ネオスタンU−600(日東化成(株)製)0.320gを加えて10分間攪拌した。発熱が治まった後に、65℃に昇温し、65℃に到達後4.5時間攪拌した。メタノール5.0gを加えて反応を停止し、ポリウレタン(比較例用ポリウレタン(R−1))のMEK溶液40wt%を得た。得られたポリウレタンを、ポリスチレンを標準物質としたゲルバミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均モル質量(Mw)を測定した結果、32,000であった。
<比較例用ポリウレタン(R−2)の合成−エチレン性不飽和基のないウレタンポリマー>
塩化カルシウム管を装着したコンデンサー、攪拌器を取り付けた500mlの3口フラスコに、脱水MEK(和光純薬製)154gを入れ、ユニオールD−1200(日油(株)製)72.0g(60.0mmol)を加えた。その後、室温でミリオネートMT(日本ポリウレタン(株)製)25.0g(100mmol)、を加えて、5分間攪拌させた後に、ネオスタンU−600(日東化成(株)製)0.322gを加えて10分間攪拌した。発熱が治まった後に、65℃に昇温し、65℃に到達後1.0時間攪拌した。続いて、65℃を保持したまま2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(東京化成(株)製)5.37g(40.0mmol)を加えて、65℃でさらに3時間攪拌し、メタノール5.0gを加えて反応を停止し、ポリウレタン(比較例用ポリウレタン(R−2))のMEK溶液40wt%を得た。得られたポリウレタンを、ポリスチレンを標準物質としたゲルバミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均モル質量(Mw)を測定した結果、36,000であった。
<比較例用ポリウレタン(R−3)の合成−エチレン性不飽和基を主鎖末端に導入したウレタンポリマー>
塩化カルシウム管を装着したコンデンサー、攪拌器を取り付けた500mlの3口フラスコに、脱水MEK(和光純薬製)138gを入れ、ユニオールD−1200(日油(株)製)60.0g(50.0mmol)を加えた。その後、室温でミリオネートMT(日本ポリウレタン(株)製)25.0g(100mmol)、を加えて、5分間攪拌させた後に、ネオスタンU−600(日東化成(株)製)0.288gを加えて10分間攪拌した。発熱が治まった後に、65℃に昇温し、65℃に到達後1.0時間攪拌した。続いて、65℃を保持したまま2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(東京化成(株)製)5.37g(40.0mmol)を加えて、65℃でさらに3時間攪拌し、2−ヒドロキシエチルメタクリラート1.301g(10.0mmmol)を加え、65℃でさらに3時間攪拌した。メタノール5.0gを加えて反応を停止し、ポリウレタン(比較例用ポリウレタン(R−3))のMEK溶液40wt%を得た。得られたポリウレタンを、ポリスチレンを標準物質としたゲルバミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均モル質量(Mw)を測定した結果、25,000であった。
(2)平版印刷版原版の評価
(実施例1〜77、比較例1〜6)
〔露光、現像および印刷〕
下記表に示す各平版印刷版原版を、FUJIFILM Electronic Imaging Ltd.(FFEI社)製、Violet半導体レーザープレートセッターVx9600(InGaN系半導体レーザー(発光波長405nm±10nm/出力30mW)を搭載)により画像露光した。画像露光は、解像度2、438dpiで、富士フイルム(株)製FMスクリーン(TAFFETA 20)を用い、網点面積率が50%となるように、版面露光量0.05mJ/cm2で行った。
次いで、100℃、30秒間のプレヒートを行った後、下記の各現像液を用い、図1に示すような構造の自動現像処理機にて現像処理を実施した。自動現像処理機は、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径50mmのブラシロールを1本有し、搬送方向と同一方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.52m/sec)させた。現像液の温度は30℃であった。平版印刷版原版の搬送は、搬送速度100cm/minで行った。現像処理後、乾燥部にて乾燥を行った。乾燥温度は80℃であった。但し、現像液2を用いた際は、現像後乾燥工程を行う前に、水洗を行った。
以下に、現像液1〜5の組成を示す。下記組成においてニューコールB13(日本乳化剤(株)製)は、ポリオキシエチレン β−ナフチルエーテル(オキシエチレン平均数n=13)であり、アラビアガムは、重量平均分子量が20万のものである。
<現像液1>
・炭酸ナトリウム 13.0g
・炭酸水素ナトリウム 7.0g
・ニューコールB13 50.0g
・第一リン酸アンモニウム 2.0g
・2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール 0.01g
・2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.01g
・クエン酸三ナトリウム 15.0g
・蒸留水 913.98g
(pH:9.8)
<現像液2>
・水酸化カリウム 0.15g
・ニューコールB13 5.0g
・キレスト400(キレート剤) 0.1g
・蒸留水 94.75g
(pH:12.05)
<現像液3>
・アラビアガム 25.0g
・酵素変性馬鈴薯澱粉 70.0g
・ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 5.0g
・第一リン酸アンモニウム 1.0g
・クエン酸 1.0g
・2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール 0.01g
・2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.01g
・下記両性界面活性剤(W−1) 70.0g
・下記アニオン性界面活性剤(AN−1) 3.0g
・蒸留水 824.98g
(リン酸および水酸化ナトリウムを添加し、pHを4.5に調整)
Figure 2013174680
<現像液4>
・水 937.2g
・下記アニオン系界面活性剤(W−2) 23.8g
・リン酸 3g
・フェノキシプロパノール 5g
・トリエタノールアミン 6g
・ポテトデキストリン 25g
Figure 2013174680
<現像液5>
・水 88.6g
・下記ノニオン系界面活性剤(W−3) 2.4g
・下記ノニオン系界面活性剤(W−4) 2.4g
・ノニオン系界面活性剤 1.0g
(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
・フェノキシプロパノール 1.0g
・オクタノール 0.6g
・N−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン 1.0g
・トリエタノールアミン 0.5g
・グルコン酸ナトリウム 1.0g
・クエン酸3ナトリウム 0.5g
・エチレンジアミンテトラアセテート4ナトリウム 0.05g
・ポリスチレンスルホン酸 1.0g
(Versa TL77(30%溶液)、Alco Chemical社製)
(リン酸を添加し、pHを7.0に調整)
Figure 2013174680
Figure 2013174680
得られた平版印刷版を、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mに取り付け、湿し水(EU−3(富士フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行った。
〔評価〕
各平版印刷版原版について耐刷性、現像性、経時後の現像性を下記のように評価した。結果を下記表に示す。
<耐刷性>
印刷枚数の増加にともない、徐々に画像記録層が磨耗しインキ受容性が低下するため、印刷用紙におけるインキ濃度が低下した。同一露光量で露光した印刷版において、インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により、耐刷性を評価した。印刷枚数が大きいほど耐刷性が高いことを表す。
<現像性>
種々の搬送速度に変更して上記現像処理を行い、得られた平版印刷版の非画像部のシアン濃度をマクベス濃度計により測定した。非画像部のシアン濃度がアルミニウム支持体のシアン濃度と同等になった搬送速度を求め、現像性とした。現像性評価は、実施例1〜54および比較例1〜3については比較例1を、実施例55〜77よび比較例4〜6については比較例4を基準(1.0)として、以下のように定義した相対現像性で表した。相対現像性の数値が小さい程、高現像性であり、性能が良好であることを表す。
相対現像性=(対象平版印刷版原版の搬送速度)/(基準平版印刷版原版の搬送速度)
Figure 2013174680
Figure 2013174680
上記結果から明らかなとおり、本発明の感光性組成物を用いた場合、耐刷性および現像性に優れた感光性組成物が得られた。これに対し、比較例の感光性組成物では、耐刷性が著しく劣るものであった。
[実施例78〜100、比較例7〜9]
〔露光、現像および印刷〕
下記表に示す各平版印刷版原版を、赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製、Luxel PLATESETTER T−6000IIIにて、外面ドラム回転数1000rpm、レーザー出力70%、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像にはベタ画像および20μmドットFMスクリーンの50%網点チャートを含むようにした。露光済み平版印刷版原版を現像処理することなく、(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の版胴に取り付けた。Ecolity−2(富士フイルム(株)製)/水道水=2/98(容量比)の湿し水とValues−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、LITHRONE26の標準自動印刷スタート方法で湿し水とインキとを供給して機上現像した後、毎時10000枚の印刷速度で、特菱アート(76.5kg)紙に印刷を100枚行った。
〔評価〕
各平版印刷版原版について、機上現像性を下記のように評価した。耐刷性については実施例1と同様にして評価した。結果を下記表に示す。
<機上現像性>
画像記録層の非画像部の印刷機上での機上現像が完了し、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として計測した。
Figure 2013174680
上記結果から明らかなとおり、本発明の感光性組成物を用いた場合、耐刷性および現像性に優れた感光性組成物が得られた。これに対し、比較例の感光性組成物では、耐刷性が著しく劣るものであった。

Claims (19)

  1. (A)重合開始剤、(B)重合性モノマー、(C)エチレン性不飽和結合を側鎖に有するポリウレタンを有する感光性樹脂組成物であって、前記(C)ポリウレタンが、ジイソシアナート化合物とジオール化合物を主成分とする重付加体であって、少なくとも1種の第一のジイソシアナート化合物と少なくとも1種の第一のジオール化合物を反応させて得られる反応生成物(c−1)に、第二のジイソシアナート化合物及び第二のジオール化合物から選択される少なくとも1種を加えてさらに反応させて得られるポリウレタンであり、前記第一のジイソシアナート化合物の少なくとも1種と前記第二のジイソシアナート化合物の少なくとも1種は異なる化合物であり、前記第一のジオール化合物の少なくとも1種と、前記第二のジオール化合物の少なくとも1種は異なることを特徴とする感光性樹脂組成物。
  2. (A)重合開始剤、(B)重合性モノマー、(C)エチレン性不飽和結合を側鎖に有するポリウレタンを有する感光性樹脂組成物であって、前記(C)ポリウレタンが、下記いずれかの構造を有する、感光性樹脂組成物。
    一般式(A)
    Figure 2013174680
    一般式(B)
    Figure 2013174680
    一般式(C)
    Figure 2013174680
    一般式(D)
    Figure 2013174680
    (一般式(A)〜(D)中、A1、A2、B1およびB2は、それぞれ、2価の連結基を表し、A1とA2、B1とB2は互いに異なる連結基である。nは、2以上の整数であり、mおよびlは、ぞれぞれ、1以上の数値である。A1、A2、B1およびB2は、それぞれの繰り返し毎に異なる連結基であってもよい。)
  3. (A)重合開始剤、(B)重合性モノマー、(C)エチレン性不飽和結合を側鎖に有するポリウレタンを有する感光性樹脂組成物であって、前記(C)ポリウレタンが、少なくとも1種のジイソシアナート化合物と少なくとも2種のジオール化合物、または、少なくとも2種のジイソシアナート化合物と少なくとも1種のジオール化合物のブロック重合体であり、かつ、少なくとも1種のジイソシアナート化合物と少なくとも1種のジオール化合物が交互に結合した部分構造を有する、感光性樹脂組成物。
  4. 前記(C)ポリウレタンが、3種類以下のジイソシアナート化合物と3種以下のジオール化合物から形成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記ジオール化合物の少なくとも1種が、少なくとも一つのエチレン性不飽和基を有するジオール化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記ジオール化合物の少なくとも1種が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
    一般式(1)
    Figure 2013174680
    (一般式(1)中、R1〜R3は、それぞれ、水素原子または1価の有機基を表し、Aは2価の有機残基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、または−N(R12)−を表し、R12は、水素原子、または1価の有機基を表す。)
  7. 第一のジオール化合物が2級アルコール構造を少なくとも1つ有し、第二のジオール化合物が、1級アルコール構造のみを有するジオール化合物である、請求項1、4〜6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  8. 第一のジオール化合物の少なくとも1種がエチレン性不飽和基を有するジオール化合物である、請求項1、4〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  9. 第一のジオール化合物が、エチレン性不飽和基を有するおよびカルボン酸基構造を有するジオール化合物である、請求項1、4〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  10. 前記ポリウレタンが、下記一般式(A)または(B)で表される請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
    一般式(A)
    Figure 2013174680
    一般式(B)
    Figure 2013174680
    (一般式(A)、(B)中、A1およびA2は、それぞれ、炭素数1〜30の2価の炭化水素基であり、B1は、エチレン性不飽和基を有する2価の基であり、B2は、カルボン酸基を有する2価の基である。)
  11. 支持体上に請求項1〜10のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物からなる画像記録層を有する平版印刷版原版。
  12. 前記平版印刷版原版の画像記録層が、pH2〜14の水溶液により除去可能であることを特徴とする請求項11に記載の平版印刷版原版。
  13. 前記平版印刷版原版の画像記録層が、印刷インキおよび湿し水の少なくともいずれかにより除去可能であることを特徴とする請求項11に記載の平版印刷版原版。
  14. 請求項11〜13のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、露光した前記平版印刷版原版を、pHが2〜14の現像液の存在下で、非露光部の前記画像記録層を除去する工程を含むことを特徴とする平版印刷版の製造方法。
  15. 前記露光工程で、露光後に前駆体を予備加熱装置内で80℃以上の温度で加熱することを特徴とする、請求項14に記載の平版印刷版の製造方法。
  16. 前記現像工程において、さらに界面活性剤を含有する前記現像液の存在下、非露光部の画像記録層と前記保護層とを同時に除去する工程を含む(但し、水洗工程を含まない)、ことを特徴とする請求項14または15に記載の平版印刷版の製造方法。
  17. 前記現像液のpHを、2.0〜10.0に制御する工程を含むことを特徴とする、請求項14〜16のいずれか1項に記載の平版印刷版の製造方法。
  18. 請求項11〜13のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、印刷機上で印刷インキと湿し水を供給して非露光部の前記画像記録層を除去する工程とを含むことを特徴とする平版印刷版の製造方法。
  19. 下記一般式(A)または(B)で表されるポリマー。
    一般式(A)
    Figure 2013174680
    一般式(B)
    Figure 2013174680
    (一般式(A)、(B)中、A1およびA2は、それぞれ、炭素数1〜30の2価の炭化水素基であり、B1は、エチレン性不飽和基を有する2価の基であり、B2は、カルボン酸基を有する2価の基である。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016212341A (ja) * 2015-05-13 2016-12-15 Jsr株式会社 感光性樹脂組成物およびその用途

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JP2016212341A (ja) * 2015-05-13 2016-12-15 Jsr株式会社 感光性樹脂組成物およびその用途

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