JP2013173996A - 可塑性を有する原料の成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下部ダイス30および下部ダイス30側の下パンチ32,60の上端面と、上部ダイス20および上部ダイス20側の上パンチ50の上端面とを揃え、金型内にキャビティが形成されない状態とし、この状態から、上パンチ50を駆動して上部ダイス20内のゲート28を開き、さらに、下パンチ32,60を下降させてキャビティ11を形成しながら、上部ダイス20内の原料貯留部26の原料Pをプランジャ40によってキャビティ11内に充填していく。キャビティ11内が負圧になることで原料Pを円滑、かつ速やかに充填することができるとともに、キャビティ11内に空気を残留させない。
【選択図】図2
Description
[1]第1実施形態
図1は、第1実施形態の成形方法によって成形した成形体を焼結して得られる微小部品である微小歯車を示している。この歯車1は、外周面に多数の歯2からなる歯列3が形成された平歯車部4の中心から両側に同じ長さの円柱状の軸部5,6が直交して延びている形状を有するものである。この歯車1は、例えば平歯車部4の外径D1が数百μm〜数mm、軸部5,6の直径D2が数十〜数百μmといった寸法例が挙げられる。
図2(a)〜(e)、図3(a)〜(d)は、第1実施形態の成形方法によって上記歯車1の成形体を成形する工程を示している。まず、図2により第1実施形態の成形方法を好適に実施する成形金型装置101の構成を説明する。同図で符号10は押し型であり、この押し型10は、上部ダイス20と下部ダイス30とから構成されている。これらダイス20,30は、いずれも上下方向に移動可能に設けられ、上下方向に互いに離接可能に配設されている。
次に、図2および図3により、上記成形金型装置101を用いて歯車1の成形体を成形する方法を説明する。はじめに、図2(a)に示すように、上部ダイス20側の下端面と下部ダイス30側の上端面を一定の高さに揃え、押し型10の内部にキャビティが形成されない状態とする。すなわち、上部ダイス20の下端面20aと下部ダイス30の上端面30aとを当接させるとともに、外側下パンチ32の上端面32aを上部ダイス20の下端面20aに当接させ、上パンチ50の下端面50aと内側下パンチ60の上端面60aとを、上下のダイス20,30の当接面と同じ高さで当接させる。上部ダイス20内のゲート28は、上パンチ50が上パンチ孔27に挿入されるため閉じられる。そして、上部ダイス20内の原料貯留部26に原料Pをほぼ充満させて、プランジャ40の先端を原料貯留部26に挿入する。
上記第1実施形態の成形方法によれば、上パンチ50を上昇させてゲート28を開けた状態で、原料貯留部26に貯留した原料Pをプランジャ40でキャビティ11に注入し、次いで上パンチ50を押し込んでゲート28を閉じ、引き続き上パンチ50でキャビティ11内の原料Pを圧縮してから型開きすることにより、成形体1Aが得られる。そしてこの動作を繰り返すことにより、成形体1Aを連続的に得ることができる。上パンチ50を抜き出すことなくプランジャ40の押し込み操作で少量の原料Pをキャビティ11内に容易に供給することができるため、1回の成形に要する原料Pの量が少なくても成形体1Aを効率的に製造することができる。
図5は、上記第1実施形態の充填工程の変形例を示している。ここでは、図5(c)〜(d)に示す下部ダイス30側のキャビティ11を、図2の場合よりも外側下パンチ32をさらに下降させることにより平歯車部4の成形部分を厚く形成しておき、図5(e)に示す圧縮成形の段階で、外側下パンチ32を上昇させ、平歯車部4を軸方向に直接圧縮している。この形態によれば、平歯車部4をより高い圧力で圧縮成形することができる。
第2実施形態は、上記第1実施形態で示した上記歯車1の成形体を得る別の成形方法である。
図6(a)〜(e)、図7(a)〜(d)は、第2実施形態の成形方法によって上記歯車1の成形体を成形する工程を示している。まず、図6により第2実施形態の成形方法を好適に実施する成形金型装置102の構成を説明する。
次に、図6および図7により、上記成形金型装置102を用いて歯車1の成形体を成形する方法を説明する。はじめに、図6(a)に示すように、上部ダイス20側の下端面と下部ダイス30側の上端面を一定の高さに揃え、押し型10の内部にキャビティが形成されない状態とする。すなわち、上部ダイス20の下端面20aと下部ダイス30の上端面30aとを当接させるとともに、外側上パンチ25の下端面25aを下部ダイス30の上端面30aに当接させ、内側上パンチ50の下端面50aと下パンチ60の上端面60aとを、上下のダイス20,30の当接面と同じ高さで当接させる。上部ダイス20内のゲート28は、内側上パンチ50が軸部パンチ孔29に挿入されるため閉じられる。そして、外側上パンチ25内の原料貯留部26に原料Pをほぼ充満させて、プランジャ40の先端を原料貯留部26に挿入する。
上記第2実施形態の成形方法によっても第1実施形態と同様に押し型10内に形成されるキャビティ11内への原料Pの供給が容易となって効率的に成形体を得ることができるとともに、原料充填後のキャビティ11内に空気が残留することに起因する成形不良の発生を抑えることができるといった作用効果を得ることができる。
図9は、第3実施形態の成形方法によって成形した成形体を焼結して得られる微小部品である微小歯車を示している。この歯車7は、大径側の平歯車部4の片側(図9で上側)に、外周面に多数の歯2からなる歯列3が形成された小径側の平歯車部8が積層された2段歯車であり、小径の平歯車部8から軸部5が突出し、大径の平歯車部4から軸部6が突出している。この歯車7は、例えば大径側の平歯車部4の外径D1が数百μm〜数mm、軸部5,6の直径D2が数十〜数百μmといった寸法例が挙げられる。
図10(a)〜(e)、図11(a)〜(d)は、第3実施形態の成形方法によって上記歯車7の成形体を成形する工程を示している。図10に示すように、第3実施形態の成形方法で用いる成形金型装置103は、押し型10の上部ダイス20側は同様の構成、すなわち、上部ダイス20、内部に原料貯留部26を有する外側上パンチ25、内側上パンチ50およびプランジャ40から構成されている。図12に示すように、上部ダイス20の歯車部パンチ孔22の下端部の内周面には、歯車7の大径側の平歯車部4の歯列3を造形する内歯列22aが形成されている。そして、外側上パンチ25の外周面には、歯車部パンチ孔22の内周面の内歯列22aに摺動自在に嵌合する外歯列25dが形成されている。
次に、図10および図11により第3実施形態の成形方法を説明する。はじめに、図10(a)に示すように、上部ダイス20側の下端面と下部ダイス30側の上端面を一定の高さに揃え、押し型10の内部にキャビティが形成されない状態とする。すなわち、上部ダイス20の下端面20aと下部ダイス30の上端面30aとを当接させるとともに、外側上パンチ25の下端面25aを下部ダイス30の上端面30aに当接させ、外側下パンチ32の上端面32aを外側上パンチ25の下端面25aに当接させ、内側上パンチ50の下端面50aと内側下パンチ60の上端面60aとを、上下のダイス20,30の当接面と同じ高さで当接させる。上部ダイス20内のゲート28は、内側上パンチ50が軸部パンチ孔29に挿入されるため閉じられる。そして、外側上パンチ25内の原料貯留部26に原料Pをほぼ充満させて、プランジャ40の先端を原料貯留部26に挿入する。
第4実施形態は、第3実施形態で示した上記歯車7の成形体を得る別の成形方法である。
図13(a)〜(e)、図14(a)〜(d)は、第4実施形態の成形方法によって上記歯車7の成形体を成形する工程を示している。図13に示すように、第4実施形態の成形方法で用いる成形金型装置104は、上記第3実施形態の成形金型装置103と同様に、上部ダイス20側と下部ダイス30側にそれぞれ2組のパンチ(外側と内側の上パンチ25,50、外側と内側の下パンチ32,60)が挿入され、外側上パンチ25内に原料貯留部26が形成されているとともにプランジャ40が挿入される構成であるが、次の点で異なっている。
次に、図13および図14により第4実施形態の成形方法を説明する。はじめに、図13(a)に示すように、上部ダイス20側の下端面と下部ダイス30側の上端面を一定の高さに揃え、押し型10の内部にキャビティが形成されない状態とする。すなわち、上部ダイス20の下端面20aと下部ダイス30の上端面30aとを当接させるとともに、外側下パンチ32の上端面32aを上部ダイス20の下端面20aに当接させ、外側上パンチ25の上端面25aを外側下パンチ32の上端面32aに当接させ、内側上パンチ50の下端面50aと内側下パンチ60の上端面60aとを、上下のダイス20,30の当接面と同じ高さで当接させる。上部ダイス20内のゲート28は、内側上パンチ50が軸部パンチ孔29に挿入されるため閉じられる。そして、外側上パンチ25内の原料貯留部26に原料Pをほぼ充満させて、プランジャ40の先端を原料貯留部26に挿入する。
上記第3実施形態および第4実施形態によれば、大径と小径の平歯車部4,8を同軸的に有する2段構成の軸付き歯車7の成形体7Aを得ることができる。そしてこれら実施形態でも、第2実施形態と同様に、押し型10内への原料Pの供給を容易として効率的に成形体を得られることや、原料充填後のキャビティ11内に空気が残留することに起因する成形不良の発生の抑制、ならびにプランジャ40と内側上パンチ50が挿入される外側上パンチ25を複数セット用意することによるメンテナンスおよび原料Pの補給の効率化といった効果を、同様に得ることができる。
Claims (3)
- 型孔を有する下部ダイスと、
下端面が前記下部ダイスの上端面と当接可能で、パンチ孔を有する上部ダイスと、
前記下部ダイスの前記型孔に摺動自在に嵌合する下パンチと、
前記上部ダイスの前記パンチ孔に摺動自在に嵌合する上パンチと、
金属粉末に熱可塑性樹脂とワックスからなるバインダを30〜60体積%添加して、加熱混練した可塑性を有する原料を貯留する原料貯留部と
前記原料貯留部に摺動自在に挿入され、該原料貯留部に貯留されている可塑性を有する原料を前記パンチ孔を経て前記下部ダイス、前記上部ダイスおよび前記下パンチから形成されるキャビティに注入するプランジャと、を備え、
前記上パンチが、前記プランジャ内に、該プランジャの摺動方向に沿って摺動自在に貫通され、往復摺動することにより、前記原料貯留部と前記パンチ孔との間に形成されるゲートを開閉し、前記キャビティ方向に摺動した時に、該ゲートを閉じるとともにキャビティ内の可塑性を有する原料を成形体に圧縮するよう設けられた成形金型装置を用い、
前記下部ダイスの上端面と、前記上部ダイスの下端面と、前記上パンチの下端面と、前記下パンチの上端面とを揃えた状態で、
前記上パンチを駆動して前記ゲートを開くとともに、前記プランジャを駆動して可塑性を有する原料を前記ゲートから前記パンチ孔に注入し、次いで、前記上パンチおよび前記下パンチの少なくとも一方を駆動してキャビティを形成しながら、さらに前記プランジャを駆動して、可塑性を有する原料を前記ゲートを経て前記キャビティ内に充填する充填工程と、
前記キャビティへの可塑性を有する原料の充填が完了した後、前記上パンチを駆動して前記ゲートを閉じるとともに可塑性を有する原料を押圧して、キャビティ内の可塑性を有する原料を成形体に圧縮する成形工程と、
前記成形体を前記型孔から抜き出す抜き出し工程と、
を有することを特徴とする可塑性を有する原料の成形方法。 - 前記成形工程において、前記上パンチとともに前記下パンチを駆動して前記キャビティ内の可塑性を有する原料を成形体に圧縮することを特徴とする請求項1に記載の可塑性を有する原料の成形方法。
- 前記上パンチおよび前記下パンチの少なくとも一方が複数のパンチで構成され、前記充填工程において、全てのパンチの端面を揃えた状態から充填工程を開始することを特徴とする請求項1または2に記載の可塑性を有する原料の成形方法。
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