JP2013171630A - X線発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 10MeV以下のエネルギーを持つ電子線を用いて逆コンプトン散乱によりX線を発生させるX線発生装置において、従来よりも高いエネルギーのX線を発生することが可能なX線発生装置を提供すること。
【解決手段】 X線発生装置100は、光11を出射する光源6と電子線5を出射する電子線源1とを備え、光11と電子線5とを交差させることによりX線を発生させる。電子線源は10MeV以下のエネルギーを有する電子線を出射し、光と電子線との交差時において、光の有するスペクトルのピーク波長は100nm未満である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、X線発生装置に関する。
X線を発生させる方法の一つとして、逆コンプトン散乱を利用した方法がある。逆コンプトン散乱とは、加速された高エネルギーを持つ電子線に光を交差させて電子が散乱したときにX線やγ線が発生する現象であり、単色性が高く、エネルギーが高いX線を発生させることができる。逆コンプトン散乱により発生するX線のエネルギーは、光のエネルギーと、電子のエネルギーと、光と電子線とが交差する角度とによって決まる。また、逆コンプトン散乱により発生するX線の拡がる角度は電子のエネルギーにより決まっている。非特許文献1には、レーザーと電子線を交差させて逆コンプトン散乱を起こすことでX線を発生させるX線発生装置について記載されている。尚、本明細書においてX線とはエネルギーが2keV以上100keV以下の電磁波を指す。
Katsuhiro DOBASHI,et al."Design of Compact Monochromatic Tunable Hard X−Ray Source Based on X−band Linac"Japanese Journal of Applied Physics Vol.44,No.4A,2005,pp.1999-2005
上述のように、逆コンプトン散乱により発生するX線のエネルギーは、光のエネルギーと、電子線のエネルギーと、光と電子線とを交差する角度とによって決まる。
非特許文献1に記載のX線発生装置のようにレーザーを用いてエネルギーが高いX線を得ようとすると、電子線のエネルギーを高くすることが必要である。そのため、発生するX線の発散角が狭くなるのに加え、電子線源の大きさが大きくなる。例えば、非特許文献1に記載されているように1064nmのレーザー光源を用いて30keV以上のX線を発生するためには、50MeV以上のエネルギーを持つ電子が必要である。50MeVのエネルギーを持つ電子を用いた場合、発生するX線の広がり角はおおよそ6mradであり、50MeVのエネルギーを持つ電子を発生させるためには、一般的におおよそ5m程度の加速器が必要である。
そのため、例えば医療用のX線撮像装置に用いられるX線発生装置として用いる場合、X撮像装置の大型化を招くという課題があった。また、X線の広がり角が狭いため、X線を照射できる範囲が小さく、撮像範囲が限られてしまう可能性もあった。一方で、10MeV以下の電子線を用いることで、加速器の小型化が可能であるが、発生するX線のエネルギーが低下する問題がある。
そこで本発明は、10MeV以下のエネルギーを持つ電子線を用いて逆コンプトン散乱によりX線を発生させるX線発生装置において、従来よりも高いエネルギーのX線を発生することが可能なX線発生装置を提供することを目的とする。
その目的を達成するために、本発明の一側面としてのX線発生装置は、光を出射する光源と、電子線を出射する電子線源と、を備え、前記光と前記電子線とを交差させることによりX線を発生させるX線発生装置であって、前記電子線源は10MeV以下のエネルギーを有する前記電子線を出射し、前記光と前記電子線との交差時における前記光の波長のピークは100nm未満であることを特徴とする。
本発明のその他の側面については、以下で説明する実施の形態で明らかにする。
10MeV以下のエネルギーを持つ電子線を用いて逆コンプトン散乱によりX線を発生させるX線発生装置において、従来よりも高いエネルギーのX線を発生することが可能なX線発生装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るX線発生装置の模式図。 本発明の第1実施形態の反射鏡に係る多層膜の模式図。 本発明の第2実施形態に係るX線発生装置の模式図。 本発明の第2実施形態に係る反射鏡の模式図。 本発明の第3実施形態に係るX線発生装置の模式図。 本発明の第3実施形態に係る反射鏡の模式図。 本発明の第4実施形態に係るX線撮像装置の模式図。 逆コンプトン散乱を用いたX線発生装置における35keVのX線発生に必要な電子線のエネルギーと光の波長の関係を表わす図。
以下に、本発明の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
〔第1実施形態〕
本実施形態のX線発生装置100は10MeV以下のエネルギーを有する電子線と波長が100nm未満の光を交差させることにより15keV以上のエネルギーを有するX線を発生させるX線発生装置である。
図1は本発明の第1実施形態のX線発生装置100の図である。
本実施形態のX線発生装置は、電子線を出射する電子線源1と、電子線源からの電子線の進行方向を変更する電子光学素子として偏向磁石2(2a,2b)を備える。また、光を出射する光源6と、光源からの光の進行方向を変更する光学素子として反射鏡9も備える。偏向磁石2によって偏向された電子線5と反射鏡9からの光11が交点12で交差すると、その交点12において電子と光子が衝突してX線13が発生する。以下、本実施形態のX線発生装置の構成についてより詳細に説明をする。
電子線源1は、10MeV以下のエネルギーを持つ電子線を発生させて電子線源1の外へ出射する。10MeV以下の電子線であれば、大型加速管を用いなくても発生させることができるため、電子線源1の小型化を図ることができる。また、高いエネルギーを持つ電子線が固体と衝突するとガンマ線に起因してその固体が放射化するため、X線発生装置内が放射化されることがあるが、10MeV以下のエネルギーを持つ電子線を用いればこの放射化を部分的なものに抑えることが可能となる。装置内の放射化を部分的なものに抑えることができれば、中性子を遮蔽する、コンクリートや水といった遮蔽設備によって装置全体を囲わずにすむ。
また、電子線源1から出射する電子線5の持つエネルギーは6MeV以下であることが望ましい。6MeV以下のエネルギーを持つ電子線から発生するガンマ線では放射性物質が発生しないとみなすことができるため、X線発生装置内の放射化を考慮した管理が不要となる。
一方、1MeV未満のエネルギーを持つ電子線は、電子線の中の電子間の散乱によって電子線を所望のサイズに絞り難い場合がある。また、光11と交差する電子のエネルギーが1MeV未満だと、X線を発生するために必要な光は波長が短く、扱いが難しくなる。特に、1MeV未満のエネルギーを持つ電子線を用いて30keV以上のX線を発生させたい場合、必要な光の波長はおおよそ1.2nm以下になり、扱いが難しい。そのため、交点12において光11と交差する際のエネルギーが1MeV以上になるようなエネルギーを持つ電子線を出射することがより望ましい。
尚、X線発生装置が電子線の加速器を備え、電子線源1から出射した電子線が加速器で加速されてから光と交差する場合、本明細書ではその加速器も電子源の一部とみなす。また、電子線源1は電子線を定常的に出射しても良いし、パルス的に出射しても良い。
本実施形態のX線発生装置は電子光学素子として、電子線5を偏向することで電子線の軌道を変更する第1偏向磁石2aと第2偏向磁石2bを備える。また、第1偏向磁石2aと第2偏向磁石2bの間には、電子線5の軌道上に電子線集束素子4が配置され、電子線5の直径を小さくすることができる。第1の偏向磁石2aは電子源1から出射した電子線5を偏向することで、電子線5を光11との交点12へ導く。また、第2の偏向磁石2bは光11と交差した電子線を偏向して、電子線5を電子線減衰器3へ導く。電子線減衰器3は、電子線5による固体の溶融を避けるために水槽を用いてもよいし、エネルギーを回収し再利用するため加速空洞を用いてもよい。
電子線5は空気との衝突により減衰してしまうため、電子線5は真空容器14内を進行することが望ましい。電子源1と第1偏向磁石2aと第2偏向磁石2bと電子線減衰器3とは、真空容器14の内部に配置してもよいし、外部に配置してもよい。電子線源1と第1偏向磁石2aと第2偏向磁石2bと電子線減衰器3とを真空容器14の外部に配置すると、真空容器14の容積を小さくすることができる。電子線源1と電子線減衰器3を真空容器14の外部に配置する場合は、電子線5の空気による減衰を抑制するため、電子線源1と電子線減衰器3を真空容器14に接するように配置することが望ましい。
光源6は波長λが100nm未満の光11を発生させて出射する。尚、光源からの光の有するスペクトルのピーク波長が100nm未満であれば良い。光源6としては、例えば放電プラズマ若しくはレーザープラズマを用いた半導体リソグラフィ用EUV光源又はレーザープラズマから誘導放射により発生する軟X線レーザーなどを用いることができる。
波長が短くなるほどその光の取り扱いが難しくなるため、光の波長は10nm以上であることが望ましい。一方、光子の波長が長くなるほど、同じエネルギーのX線を発生させるときに必要な電子のエネルギーが大きくなる。よって、特に30keV以上のX線を発生させる場合は50nm以下の波長を持つ光を用いることが望ましい。もちろん、30keV未満のX線を発生させる場合も、電子線のエネルギーを低く抑えるために50nm以下の波長の光を用いても良い。また、光源6は電子線源1同様に、光11を定常的に出射しても良いし、パルス的に出射しても良い。但し、パルス的に出射する場合は電子線源1による電子線の出射と同期させて光を出射する必要がある。
光源6の下流には、光学素子として、集光素子7と反射鏡9とが配置されている。
集光素子7は湾曲した基板とその基板上に形成された反射層部を有する。反射層部は光11を反射するように構成されており、反射層部に入射した光が反射することで集光素子7は光11を集光する。この集光素子7は光源6と反射鏡9の間に配置され、集光素子7により集光された光11が反射鏡9に入射する。例えば、光源6として半導体リソグラフィ用EUV光源を用いた場合、光は4π方向へ放射されるため、集光素子7としてSchwarzschild対物鏡を用いるとよい。 反射鏡9は基板とその基板上に形成された反射層部9dを有する。反射層部9dは光11を反射するように構成されており、集光素子7により集光された光11は反射層部9dで反射して、電子線との交点12へ導かれる。そのため、反射鏡9は、集光素子7により集光された光11が入射し、反射層部9dによって反射された光11が光入射窓15を通して真空容器14内に入る位置に配置される。
また、電子線5と光11が交差することにより生じるX線が反射鏡9に入射しないように、第1偏向磁石と第2偏向磁石との間における電子線5の軌道を延長した直線と交わらない位置に反射鏡9は配置される。これにより、光11は交点12において電子線5に対して斜めに交差する。また、第1偏向磁石と第2偏向磁石との間における電子線5の軌道を延長した直線上に、発生したX線が真空容器14の外へ出射する際に透過するX線窓17(以下、第1のX線窓と呼ぶことがある。)と、真空容器14から出射したX線がX線発生装置の外へ出射する際に透過するX線窓117(以下、第2のX線窓と呼ぶことがある。)が配置されており、X線13は、反射鏡9による減衰を受けずにX線発生装置の外へ出射することが可能となる。尚、発生したX線がX線発生装置の外へ出射する際には第1のX線窓と第2のX線窓とを透過するが、本明細書において、X線発生装置の外へ出射する際に透過する窓とは、特に断りがない限り第2のX線窓のことを指すものとする。
尚、本実施形態のX線発生装置は、光学素子として集光素子7と反射鏡9を備えるが、反射鏡が集光の機能を有する場合は集光素子7を備えなくともよい。また、X線発生装置は、集光素子7と反射鏡9を夫々2つ以上備えていてもよい。複数の反射鏡を用いると設計の自由度が向上する。
光源6から発生する光11の波長λが100nm未満の場合、反射層部として通常の金属などの平坦面を用いると反射率が低い。そのため、本実施形態のX線発生装置が備える集光素子7および反射鏡9の少なくとも一方の反射層部は、複数の反射層を積層した、いわゆる多層膜を有することが望ましい。より効率的に光11を電子線5に交差させるには集光素子7と反射鏡9の両方の反射層部が多層膜を有することがより望ましい。
図2に反射層部9dが多層膜からなる反射鏡9の断面図を示す。反射鏡9は基板9c上に多層膜9dからなる構造を有する。
基板9c上に形成された多層膜は重元素9a(例えば、モリブデン、タングステン、ニッケル、クロム夫々の単体)と軽元素9b(例えば、シリコン、炭素、チタン、ホウ素夫々の単体)とから構成され、それぞれの膜が繰り返された構造を持つ。多層膜の表面から深さ方向に繰り返される構造の最小厚さをd、多層膜に入射する光11の入射方向11aと多層膜のなす角度をθ、波長をλとすると、多層膜は2d×sinθ=nλで表わされるBragg条件を満たすように構成されている。ここで、nは正の整数である。このように多層膜がBragg条件を満たすように構成されているため、反射鏡9は100nm未満の波長の光であっても65%以上反射することができる。図2では基板9cは平坦であるが、曲がっていてもよい。湾曲した基板面に多層膜を形成することで、100nm未満の光を集光可能な集光素子も実現できる。尚、図2では、多層膜の有する反射層数が8層であるが、多層膜の反射層数はこれに限らない。
真空容器14の内部において、電子線5と交差した光11は光出射窓16を通して真空容器14の外部へと取り出され、光減衰器10により減衰される。
真空容器14には光入射窓15と光出射窓16の他に、第1のX線窓17が設けられており、電子線5と光11が交差することにより発生したX線13は、第1のX線窓17から真空容器の外へ出射する。第1のX線窓は、例えばプラスチック、ガラス、アルミのような、X線の透過率が高い材料で形成される。
また、X線発生装置100の筐体には第2のX線窓117が設けられており、第1のX線窓17から出射したX線が第2のX線窓からX線発生装置の外へ出射する。第2のX線窓も第1のX線窓と同様に、例えばプラスチック、ガラス、アルミのような、X線の透過率が高い材料で形成される。
上述した本実施形態のX線発生装置によるX線発生の動作について説明する。
本X線発生装置を動作させると、第1偏向磁石2aと第2偏向磁石2bとの間にある交点12において、光11が電子線5に対して斜めに交差することで、電子と光子が衝突する。電子線5との交差により散乱された光11は、X線13へと変換される。X線13は、光との交差時における電子線の進行方向を中心に所定の発散角を有するように発生する。つまり、本実施形態では、第1偏向磁石2aと第2偏向磁石2bの間における電子線5の進行方向を中心とする方向へX線13が放射される。放射されたX線13は、X線窓17から真空容器14の外部へと出射する。上述した通り、真空容器14の外部へ出射したX線13は集光素子7にも反射鏡9にも入射しない。これにより、X線13は、集光素子7と反射鏡9による減衰も進行方向の変更も受けずにX線発生装置の外へ出射することが可能となる。
本実施形態のX線発生装置により発生するX線のエネルギーと発散角について説明をする。電子の速度と光速cの比をβ、光のエネルギーをE、電子線5と光11の交差角度(衝突角度)をθ、プランク定数をh、電子の質量をm、発生するX線の取り出し角度をθとすると、X線のエネルギーEは、
=E×(1−βcosθ)/{1−βcosθ+E/mγc2×(1−cos(θ−θ))…式(1)
となる。ここでγ=1/(1−β1/2である。
図8に、35keVのエネルギーを有するX線の発生に必要な、電子線のエネルギーと光の波長の関係を表わす図を示す。但し、交差角度θ=π、取り出し角度θ=0である。尚、交差角度θ=πのとき、電子線の電子と光の光子は正面衝突し、取り出し角度θ=0のとき、電子線と光の交差時(電子と光子の衝突時)における電子線の進行方向とX線の取り出し方向は一致する。
100nm未満の波長をもつ光11を用いることで、10MeV以下のエネルギーを持つ電子線を用いても、15keV以上のEを得ることができる。また、本実施形態のX線発生装置は逆コンプトン散乱によりX線を発生させているため、単色性の高いX線を発生することができる。
従来、医療用又は工業用等に一般的に用いられるX線発生装置は、重金属でできたターゲットに電子線を衝突させてX線を発生させているが、この方法だと、25keV以上の単色X線を発生させることが困難である。しかし、本実施形態では逆コンプトン散乱を用いているため、25keV以上の単色X線を発生させることができ、且つ、10MeV以下の電子線を用いているため従来の逆コンプトン散乱を用いたX線発生装置よりも装置のサイズを小さくすることができる。つまり、本実施形態のX線発生装置は、25keV以上の単色X線を限られたスペース内で発生させるための有効な解決策となることができる。
また、発生するX線13の広がり角Θは、tanΘ〜1/γで表わされる。この式より、例えば、6MeVのエネルギーを持つ電子線を用いると、発生するX線の広がり角は80mradであり、より低エネルギーの電子線5を用いると、発生するX線の広がり角を80mrad以上にすることができる。広い角度でX線を取り出すことができる方が、X線の照射面積を広くしやすい。そのため、例えばX線撮像装置のX線源として用いるときには、低エネルギーの電子線を用いた方が、一般的に撮像範囲を広くしやすい。
つまり、本実施形態のX線発生装置は、従来の逆コンプトン散乱を用いたX線発生装置と同じエネルギーのX線を発生させる場合、より低いエネルギーの電子線を用いることができる。そのため装置のサイズを小さくでき、且つ、X線の取り出す角度を広くすることができる。
発生するX線13の光数は、電子線5と光11が交差する回数により決定される。尚、電子集束素子4の調整により交点12における電子線5の半径を小さくしたり、集光素子7の調整素子により交点12における光11の半径を小さくしたりすることで、より小さな面積から、多くのX線13を発生することが可能となる。
〔第2実施形態〕
次に、図3に基づいて本発明の第2実施形態のX線発生装置101について説明する。
本実施形態のX線発生装置101は、図3に示すように電子線5と光11が交点12において正面交差することが第1実施形態と異なる。尚、本明細書において電子線と光が正面交差するとは、電子線軸と光軸が重なり、電子線軸上における電子の進行方向と光軸上における光の進行方向とが180°異なる状態で電子線と光が交差することを指す。尚、電子線と光が正面交差すると、電子と光子が正面衝突する。
電子線電子線5と光11が正面交差すると、電子線5と光の交差角度θ=0となる。このとき、上記式(1)より他の条件が同じ場合、発生するX線のエネルギーEは最大となる。そのため、所望のエネルギーのX線を発生させる場合、電子線5と光11は斜めに交差するよりも正面交差するほうが電子線5のエネルギーを低く抑える、もしくは、光11の波長を長くすることができる。さらに、電子線5と光11を正面交差させることにより、電子線5と光11との交差する体積、つまり電子と光子が衝突する体積を実効的に大きくすることができる。その結果、より多くの光をX線113へと変換することが可能となる。第1実施形態同様に、X線113は第1偏向磁石2aと第2偏向磁石2bの間における電子線5の進行方向を中心とする方向へ放射される。放射されたX線113は光入射窓15を介して真空容器14の外部へ取り出す。
このように電子線5と光11を正面交差させ、電子と光を正面衝突させるためには、交点12を含む第1偏向磁石2aと第2偏向磁石2bの間における電子線5の軌道を延長した直線上に反射鏡19を配置すればよい。しかし、このように反射鏡19を配置すると、X線113は反射鏡19に入射し、それによって減衰する。
このようなX線113の減衰を軽減するために、本実施形態の反射鏡19の有する基板には孔が設けられている。図4(a)、(b)に基づいて本実施形態に係る反射鏡19について詳細に説明する。図4(a)、(b)は本実施形態の反射鏡19の断面図を示した図である。図4(a)、(b)に示すように、反射鏡19は基板19eと反射層部19dを有する。実施形態1と同様に、反射層部19dは多層膜で構成されている。本実施形態では、基板19eの一部に孔19f、19hが設けられている。反射層部19dは孔の上にも作製する。交点と第2のX線窓の外縁を結んでできる領域と、基板に設けられた孔が重なるように反射鏡19を配置する。
このように反射鏡19を配置することで、本実施形態のX線発生装置を動作させたときに、X線113の一部または全部が基板に設けられた孔を通過して第2のX線窓からX線発生部の外へ出射する。これにより、反射鏡19によるX線113の減衰を軽減することができる。一般的な多層膜は、総厚さが1μmに満たないうえ、半分は軽元素で構成されている。そのため、多層膜によるX線113の減衰は小さい。そのため、多層膜には貫通孔が設けられていなくても良い。尚、発生したX線113は光11と比較して波長が短いため、反射鏡19の反射層部19dに入射しても進行方向はほとんど変化しない。基板19eに形成される孔は図4(a)に示すように基板の法線に平行な孔19fでもよいし、図4(b)に示すような基板の法線に対して斜めの孔19hでもよい。反射鏡19は、X線113の放射方向に対して傾けて配置する場合がある。斜めの孔19hの軸をX線113の放射方向と合わせることで、孔の大きさが小さくても効率よくX線113を透過させることができる。反射層部19dを支持する基板に設けられた孔を小さくすることで、反射層部19dの歪みを抑えることができる。また、図4(c)に示すように孔の代わりに凹部19iを基板19eに設けても良い。凹部19iを設けると、孔を設けるよりもX線113の減衰を軽減する効果は減少するが、孔を設けるよりも反射層部19dの歪みを抑えることができる。
〔第3実施形態〕
次に、図5に基づいて本発明の第3実施形態のX線発生装置102について説明する。図5は本発明の第3実施形態のX線発生装置102を示した図である。本実施形態のX線発生装置は、図5に示すように反射鏡29が電子線5と交わることが第2実施形態と異なる。
電子線5と光11は、交点12において最も集束されていることが望ましい。集束に必要な距離は、電子の場合、電子線5のエネルギーと電子線集束素子4の仕様で決まる。また光の場合、光のエネルギーと集光素子7の仕様で決まる。
電子線5と光11を交点12で最も集束させる場合、電子線と光の夫々の集束に必要な距離によっては、電子線5の軌道上に反射鏡29を設置せざるを得ない場合がある。例えば、第2偏向磁石2bと電子線5の焦点までの距離が反射鏡29から光11の焦点までの距離より長い場合である。電子線5の軌道に反射鏡29が存在する場合、電子線5が入射することにより反射鏡29が加熱され、反射鏡29が損傷を被ることが考えられる。そのため、本実施形態における反射鏡29には、電子線5が透過可能な貫通孔が設けられている。図6((a)、(b))に基づいて本実施形態の反射鏡29について説明する。図6に示すように、反射鏡29は基板29eおよび反射層部29dとして多層膜を有し、基板29eと多層膜の夫々の一部に貫通孔(29k、29m)が設けられている。また、電子線5が貫通孔を通過するように反射鏡29を配置する。本実施形態のX線発生装置を動作させた場合、電子線5の一部または全部は、貫通孔を通過する。これにより、電子線5による反射鏡29の損傷を軽減することができる。反射鏡29の損傷をより効果的に軽減するためには、電子線5の全部が反射鏡29に設けられた貫通孔を通過することが望ましい。そのためには電子線軸と垂直且つ反射鏡29を有する平面において、電子線軸と貫通孔の中心が一致し、貫通孔の断面が電子線の断面を内包するように貫通孔が反射鏡29に設けられていることが望ましい。
また、交点12で発生するX線213の一部または全部も貫通孔を通過するため、反射鏡29によるX線213の減衰を軽減することができる。貫通孔は、図6(a)に示すような基板の法線に平行な貫通孔29kでも良いし、図6(b)に示すような基板の法線に対して斜めの貫通孔29mでもよい。第2実施形態同様に反射鏡29は、電子線5の軌道に対して傾けて配置する場合がある。斜めの貫通孔29mの軸を電子線5の軌道と合わせることで、最小の貫通孔の大きさで効率よく電子線5を通過させ、またX線213を透過させることができる。
〔第4実施形態〕
次に、図7に基づいて本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態のX線発生装置を用いたX線撮像装置である。本実施形態のX線撮像装置は、X線の位相を利用して被検体を撮像する、X線トールボット干渉法を行う撮像装置である。
撮像装置1000は、第1実施形態のX線発生装置100と、X線を回折する回折格子200、X線の遮蔽部と透過部が配列された遮蔽格子300、X線を検出する検出器400を備えている。X線発生装置100は空間的可干渉性を有するX線を出射し、このX線発生装置からのX線を回折格子200が回折することにより干渉パターンが形成される。遮蔽格子300はこの干渉パターンを形成するX線の一部を遮蔽する。
X線発生装置100と回折格子200の間に被検体500を配置すると、被検体500によるX線の位相シフト情報を有する干渉パターンが形成される。この干渉パターンと遮蔽格子300によりモアレが形成され、このモアレの情報を検出器400により検出する。
つまりこの撮像装置1000は被検体500の位相情報を持つモアレを撮像することで被検体500を撮像している。尚、回折格子が形成する干渉パターンを直接検出できる分解能を有する検出器を用いる場合は遮蔽格子を用いずに干渉パターンを直接検出しても良い。その場合は、撮像装置は被検体の位相情報を持つ干渉パターンを撮像することで被検体を撮像しているといえる。尚、被検体500は回折格子200と遮蔽格子300の間に配置しても良く、遮蔽格子を用いない場合は回折格子200と検出器400の間に配置しても良い。
検出器400による検出結果に基づいてフーリエ変換法や位相シフト法等を用いての位相回復処理を行うと、被検体の位相像を得ることができる。
尚、本実施形態ではX線撮像装置としてX線トールボット干渉法を行う撮像装置について説明をしたが、被検体を透過したX線を検出する検出器を備えたX線撮像装置であれば、その他の撮像方法を行うX線撮像装置に用いることができる。撮像方法は被検体によるX線の位相変化を利用した位相イメージングに関するものに限定されず、被検体によるX線の吸収を利用した吸収イメージングに関するものでも良い。また、第1実施形態のX線発生装置の代わりに、第2実施形態又は第3実施形態のX線発生装置を用いることもできる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
1 電子線源
2a 第1偏向磁石
2b 第2偏向磁石
3 電子線減衰器
4 電子線集束素子
5 電子線
6 光源
7 集光素子
9 反射鏡
10 光減衰器
11 光
12 交点
13 X線
14 真空容器
15 光入射窓
16 光射出窓
17 X線窓

Claims (11)

  1. 光を出射する光源と、電子線を出射する電子線源と、を備え、
    前記光と前記電子線とを交差させることによりX線を発生させるX線発生装置であって、
    前記電子線源は10MeV以下のエネルギーを有する前記電子線を出射し、
    前記光と前記電子線との交差時における前記光の有するスペクトルのピーク波長は100nm未満であることを特徴とするX線発生装置。
  2. 前記光を反射する反射層部を有する光学素子を備え、
    前記光学素子の前記反射層部により反射した前記光が前記電子線を交差することを特徴とする請求項1に記載のX線発生装置。
  3. 前記反射層部は多層膜を有することを特徴とする請求項2に記載のX線発生装置。
  4. 前記光学素子は前記反射層部を支持する基板を有し、
    前記基板は凹部又は孔を持ち、
    前記光と前記電子線とが交差する位置と前記X線がX線発生装置の外へ出射する際に透過するX線窓の外縁とを結んでできる領域とが、前記凹部又は前記孔と重なるように前記光学素子が配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のX線発生装置。
  5. 前記光学素子は前記反射層部を支持する基板を有し、
    前記反射層部及び前記基板の夫々には孔が設けられており、
    前記光と交差した前記電子線が、前記反射層部に設けられた孔と前記基板に設けられた孔を透過するように前記光学素子が配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のX線発生装置。
  6. 前記光学素子は、前記X線の進行方向を変化させないことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載のX線発生装置。
  7. 前記光と前記電子線とが交差することにより発生するX線のエネルギーは15keV以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のX線発生装置。
  8. 前記光と前記電子線とが交差することにより発生するX線の広がり角は80mrad以上であることを特徴とする請求項7に記載のX線発生装置。
  9. 被検体を透過したX線を検出する検出器を備えるX線撮像装置に用いられ、前記X線を出射することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のX線発生装置。
  10. X線発生装置からのX線を回折して干渉パターンを形成する回折格子と、
    前記干渉パターンを検出する検出器と、
    被検体を前記X線発生装置と前記回折格子の間又は前記回折格子と前記検出器の間に配置することで前記被検体の撮像を行うX線撮像装置において、
    前記X線発生装置として用いられることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のX線発生装置。
  11. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載のX線発生装置と、
    前記X線発生装置から出射して被検体を透過したX線を検出する検出器とを備えることを特徴とするX線撮像装置。
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