JP2013170991A - 傾斜角度検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】より正確な傾斜角度の検出が可能で、車両の上下方向軸の傾斜角度を検出することも可能な傾斜角度検出装置を提供する。
【解決手段】加速度センサで検出された加速度のうちの重力加速度の成分から車両の傾斜角度を予め設定された所定の周期で算出するにあたり、ローパスフィルタによって重力加速度の成分の誤差成分を低減し、有効範囲フィルタによって重力加速度の成分が有効範囲内にある場合に当該重力加速度の成分をローパスフィルタに入力し、当該重力加速度の成分が有効範囲内にない場合にローパスフィルタからの前回出力値と同じ出力値を出力する。重力加速度の成分が有効範囲内にあった場合にはローパスフィルタ前回出力値に有効範囲変化量を加算及び減算して有効範囲を設定し、重力加速度の成分が有効範囲内にない場合には、有効範囲の上下限値の夫々に有効範囲変化量を加減して有効範囲を広くする。
【選択図】図4

Description

本発明は、車両の傾斜角度検出装置に関し、特に車両に作用する加速度の重力加速度成分から車両の傾斜角度を所定の周期で算出する傾斜角度検出装置に好適なものである。
このような傾斜角度検出装置としては、例えば下記特許文献1に記載されるものがある。この傾斜角度検出装置は、車両の前後方向加速度を前後方向加速度センサで検出し、検出された車両の前後方向加速度と路面に対する車両の加速度の差から路面の車両前後方向への傾斜角度、つまり車両前後方向軸の路面傾斜角度を推定する。その際、車両の走行速度に応じた路面傾斜角度変化率の制限値を設定し、前回の路面傾斜角度の推定値に対する今回の路面傾斜角度の推定値の傾斜角度変化率が路面傾斜角度変化率制限値より大きい場合には、その変化率を制限値で制限して補正するようにしている。
特開2009−25081号公報
車両に作用する加速度から例えば車両の傾斜角度を算出する場合には、前記特許文献1にも記載されるように、検出された加速度の重力加速度の成分を用いる。走行中に段差を乗り越えた場合などの急峻な傾斜角度変化は、目的とする用途に必要な性能としては過度な応答となり得るため、取り除く必要がある。また、重力加速度以外の加速度成分を取り除く際、対地スリップなどによる推定できない加速度分の成分が取り除けないという問題が生じる。これらの過度な応答や推定できない加速度分といった要因によって生じる加速度成分を誤差成分とする。この誤差成分はローパスフィルタによって取り除くことが一般的である。しかし、加速度変化が大きく、生じる時間が長い成分は、ローパスフィルタ処理しても、十分に誤差を低減できない場合もあり、正確な傾斜角度の検出が困難である。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、より正確な傾斜角度の検出が可能で、車両の上下方向軸の傾斜角度を検出することも可能な傾斜角度検出装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、車両に作用する加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサで検出された加速度のうちの重力加速度の成分から車両の傾斜角度を予め設定された所定の周期で算出する傾斜角度算出部とを備えた傾斜角度検出装置において、前記傾斜角度算出部は、前記加速度センサで検出された加速度のうちの誤差を内に有する重力加速度(以下、誤差有重力加速度とする)の成分の誤差成分を低減して車両の傾斜角度算出用に出力するローパスフィルタと、前記加速度センサで検出された加速度のうちの誤差有重力加速度の成分が有効範囲内にある場合に当該重力加速度の成分を前記ローパスフィルタに入力し、当該重力加速度の成分が有効範囲内にない場合に前記ローパスフィルタからの前回出力値と同じ出力値を車両の傾斜角度算出用に出力する有効範囲フィルタとを備えたことを特徴とする傾斜角度検出装置である。
また、前記有効範囲フィルタは、前回の車両の傾斜角度算出時に前記加速度センサで検出された加速度のうちの誤差有重力加速度の成分が有効範囲内にあった場合に当該重力加速度の成分のローパスフィルタ出力値に有効範囲変化量を加算及び減算して有効範囲を設定する有効範囲設定部を備えたことを特徴とする傾斜角度検出装置である。
また、前記有効範囲設定部は、前回の車両の傾斜角度算出時に前記加速度センサで検出された加速度のうちの誤差有重力加速度の成分が有効範囲内になかった場合に当該有効範囲の上限値に有効範囲変化量を加算し且つ当該有効範囲の下限値から有効範囲変化量を減算して有効範囲を設定することを特徴とする傾斜角度検出装置である。
また、前記加速度センサで検出される加速度が車両の前後方向軸の加速度である場合、前記有効範囲フィルタは、車両の走行速度に応じて前記有効範囲変化量を設定する有効範囲変化量設定部を備えたことを特徴とする傾斜角度検出装置である。
また、前記加速度センサで検出される加速度が車両の左右方向軸の加速度である場合、前記有効範囲フィルタは、車両の走行速度及び操舵角度に応じて前記有効範囲変化量を設定する有効範囲変化量設定部を備えたことを特徴とする傾斜角度検出装置である。
また、前記加速度センサは車両の前後方向軸の加速度及び左右方向軸の加速度を検出し、前記傾斜角度算出部は、前記加速度センサで検出された車両の前後方向軸の加速度及び左右方向軸の加速度の夫々の重力加速度の成分から車両の上下方向軸の傾斜角度を算出することを特徴とする傾斜角度検出装置である。
而して、本発明の一態様によれば、加速度センサで検出された加速度のうちの重力加速度の成分から車両の傾斜角度を予め設定された所定の周期で算出するにあたり、有効範囲フィルタによって加速度センサで検出された加速度のうちの誤差有重力加速度の成分が有効範囲内にある場合に当該重力加速度の成分をローパスフィルタに入力し、その出力値を車両の傾斜角度算出用に出力する。また、当該重力加速度の成分が有効範囲内にない場合にローパスフィルタからの前回出力値と同じ出力値を車両の傾斜角度算出用に出力する構成としたため、より正確な傾斜角度の算出が可能となる。
また、有効範囲フィルタの有効範囲設定部は、前回の車両の傾斜角度算出時に加速度センサで検出された加速度のうちの誤差有重力加速度の成分が有効範囲内にあった場合に当該重力加速度の成分のローパスフィルタ出力値に有効範囲変化量を加算及び減算して有効範囲を設定する構成としたため、より正確な傾斜角度の算出が可能となる。
また、有効範囲設定部は、前回の車両の傾斜角度算出時に加速度センサで検出された加速度のうちの誤差有重力加速度の成分が有効範囲内になかった場合に当該有効範囲の上限値に有効範囲変化量を加算し且つ当該有効範囲の下限値から有効範囲変化量を減算して有効範囲を設定する構成としたため、より正確な傾斜角度の算出が可能となる。
また、加速度センサで検出される加速度が車両の前後方向軸の加速度である場合、有効範囲フィルタの有効範囲変化量設定部は、車両の走行速度に応じて有効範囲変化量を設定する構成としたため、より正確な傾斜角度の算出が可能となる。
また、加速度センサで検出される加速度が車両の左右方向軸の加速度である場合、有効範囲フィルタの有効範囲変化量設定部は、車両の走行速度及び操舵角度に応じて有効範囲変化量を設定する構成としたため、より正確な傾斜角度の算出が可能となる。
また、傾斜角度算出部は、加速度センサで検出された車両の前後方向軸の加速度及び左右方向軸の加速度の夫々の重力加速度の成分から車両の上下方向軸の傾斜角度を算出する構成としたため、車両の上下方向軸の傾斜角度を検出することができる。
本発明の傾斜角度検出装置の第1実施形態の概略構成を示すブロック図である。 図1のx軸重力加速度算出部の一例を示すブロック図である。 図1のy軸重力加速度算出部の一例を示すブロック図である。 図2のx軸有効範囲フィルタ及びローパスフィルタで行われる演算処理のフローチャートである。 図3のy軸有効範囲フィルタ及びローパスフィルタで行われる演算処理のフローチャートである。 x軸、y軸、z軸、及び傾斜角度の説明図である。 傾斜角度算出の説明図である。 x軸有効範囲変化量の説明図である。 x軸有効範囲変化量の説明図である。 y軸有効範囲変化量の説明図である。 検出された加速度から傾斜角度を算出した場合の説明図である。 検出された加速度の重力加速度成分から傾斜角度を算出した場合の説明図である。 検出された加速度の重力加速度成分にローパスフィルタ処理を施して傾斜角度を算出した場合の説明図である。 有効範囲フィルタの一例を示す説明図である。 有効範囲フィルタの他の例を示す説明図である。 検出された加速度の重力加速度成分の有効範囲フィルタ及びローパスフィルタ処理を施して傾斜角度を算出した場合の説明図である。 本発明の傾斜角度検出装置の第2実施形態を示す図2のx軸有効範囲フィルタ及びローパスフィルタで行われる演算処理のフローチャートである。 本発明の傾斜角度検出装置の第2実施形態を示す図3のy軸有効範囲フィルタ及びローパスフィルタで行われる演算処理のフローチャートである。
次に、本発明の傾斜角度検出装置の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の傾斜角度検出装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態の傾斜角度検出装置は、例えば図6に示す小型電動車両、所謂電動車いすのように、低速走行する車両、車輪外径の小さい車両、サスペンションストロークの短い車両、ホイールベースやトレッドの小さい車両に好適に用いることができる。この傾斜角度検出装置は、車両に作用する左右方向の加速度の重力加速度成分及び前後方向の加速度の重力加速度成分から上下方向軸の傾斜角度を算出するものである。以下、車両の左右方向軸をx軸、前後方向軸をy軸、上下方向軸をz軸として用いる。
この傾斜角度検出装置1は、車両の左右方向軸加速度、即ちx軸加速度Gxを検出するx軸加速度センサ2、車両の前後方向軸加速度、即ちy軸加速度Gyを検出するy軸加速度センサ3、擬似的な車両の走行速度として車輪の回転速度(以下、車輪速度とも記す)Vwを検出する車輪速度センサ4、ステアリングホイールの操作角度であるステアリング角度(操舵角度)θsを検出するステアリング角度(操舵角度)センサ5を備えている。ステアリング角度センサ5に代えて、車両の角速度ωを検出する角速度センサ6を備えていてもよい。
傾斜角度検出装置1は、x軸加速度センサ2で検出されたx軸加速度Gxからx軸重力加速度gxを算出するx軸重力加速度算出部7、y軸加速度センサ3で検出されたy軸加速度Gyからy軸重力加速度gyを算出するy軸重力加速度算出部8、x軸重力加速度算出部7で算出されたx軸加速度gx及びy軸重力加速度算出部8で算出されたy軸加速度gyからz軸傾斜角度θzを算出するz軸傾斜角度算出部9を備えており、夫々の算出部は、車輪速度センサ4で検出された車輪速度Vw、ステアリング角度(操舵角度)センサ5で検出されたステアリング角度(操舵角度)θs、或いは角速度センサ6で検出された角速度ωを用いる。この傾斜角度検出装置1は、例えばマイクロコンピュータなどの演算処理装置及びROM、RAMなどの記憶装置で構成される。なお、x軸重力加速度gxやy軸重力加速度gyは、後述するように、例えば車両が傾斜することによって重力加速度gがx軸或いはy軸に作用している重力加速度gの成分を意味する。つまり、x軸重力加速度gx及びy軸重力加速度gyは、x軸加速度センサ2及びy軸加速度センサ3で検出される重力加速度gの成分である。
図2(a)には、ステアリング角度(操舵角度)センサ5で検出されたステアリング角度(操舵角度)θs及び車輪速度センサ4で検出された車輪速度Vwを用いたx軸(左右方向軸)重力加速度算出部7の構成の一例を示す。車両の走行速度vとして車輪速度Vwを擬似的に用いる。このx軸重力加速度算出部7では、ステアリング角度(操舵角度)θsから旋回半径算出部10で旋回半径Rを算出する。この旋回半径算出部10は、例えば図8に示すように、ホイールベースLをステアリング角度(操舵角度)θsの正弦値sinθsで除して旋回半径Rを得る。次いで、旋回半径Rと車輪速度Vwとからx軸車両加速度算出部11でx軸車両加速度gxvを算出する。x軸車両加速度算出部11は、擬似的な車両の走行速度Vである車輪速度Vwの2乗値Vw2を旋回半径Rで除してx軸車両加速度gxvを得る。次いで、x軸加速度センサ2で検出されたx軸加速度Gxからx軸車両加速度gxvを加減算器12で減じて誤差有x軸重力加速度gxeを得る。この誤差有x軸重力加速度gxeは、x軸方向に作用するx軸重力加速度gxとx軸方向へのx軸加速度誤差Exを含んでいる。この誤差有x軸重力加速度gxeに対し、後述する図4の演算処理で構成されるx軸有効範囲フィルタ13及びx軸ローパスフィルタ14の演算処理を施してx軸重力加速度gxを算出する。
図2(b)には、角速度センサ6で検出された角速度ω及び車輪速度センサ4で検出された車輪速度Vwを用いたx軸(左右方向軸)重力加速度算出部7の構成の一例を示す。車輪速度Vwは擬似的な車両の走行速度として用いる。このx軸重力加速度算出部7では、角速度ωと車輪速度Vwとからx軸車両加速度算出部11でx軸車両加速度gxvを算出する。x軸車両加速度算出部11は、擬似的な車両の走行速度である車輪速度Vwに角速度ωを乗じてx軸車両加速度gxvを得る。次いで、x軸加速度センサ2で検出されたx軸加速度Gxからx軸車両加速度gxvを加減算器12で減じて誤差有x軸重力加速度gxeを得る。この誤差有x軸重力加速度gxeは、x軸方向に作用するx軸重力加速度gxとx軸方向へのx軸加速度誤差Exを含んでいる。この誤差有x軸重力加速度gxeに対し、後述する図4の演算処理で構成されるx軸有効範囲フィルタ13及びx軸ローパスフィルタ14の演算処理を施してx軸重力加速度gxを算出する。
なお、図2(a)と図2(b)とでは、用いるセンサ出力がステアリング角度(操舵角度)センサ5のステアリング角度(操舵角度)θsと角速度センサ6の角速度ωは、ω=Vw/R=Vw・sinθs/Lとはならないため、x軸車両加速度算出部11で算出されるx軸車両加速度gxvは互いに異なるものであり、従って誤差有x軸重力加速度gxeに含まれるx軸加速度誤差Exも異なるものである。
図3には、車輪速度センサ4で検出された車輪速度Vwを用いたy軸(前後方向軸)重力加速度算出部8の構成の一例を示す。車両の走行速度vとして車輪速度Vwを擬似的に用いる。このy軸重力加速度算出部8では、車輪速度Vwからy軸車両加速度算出部15でy軸車両加速度gyvを算出する。y軸車両加速度算出部15は、擬似的な車両の走行速度である車輪速度Vwの時間微分値からy軸車両加速度gyvを得る。次いで、y軸加速度センサ3で検出されたy軸加速度Gyからy軸車両加速度gyvを加減算器16で減じて誤差有y軸重力加速度gyeを得る。この誤差有y軸重力加速度gyeは、y軸方向に作用するy軸重力加速度gyと例えば車輪の対地スリップなどに起因するy軸方向へのy軸加速度誤差Eyを含んでいる。この誤差有y軸重力加速度gyeに対し、後述する図5の演算処理で構成されるy軸有効範囲フィルタ17及びy軸ローパスフィルタ18の演算処理を施してy軸重力加速度gyを算出する。
x軸重力加速度算出部7でx軸方向へのx軸重力加速度gxが、y軸重力加速度算出部8でy軸方向へのx軸重力加速度gyが算出されたら、z軸(上下方向軸)傾斜角度算出部9では、x軸重力加速度gx及びy軸重力加速度gyを用いて、下記1式に従ってz軸傾斜角度θzを算出する。
Figure 2013170991
以下に、前記1式の算出根拠を説明する。前述した図6のように車両のx軸(左右方向)、y軸(前後方向軸)、z軸(上下方向軸)を設定し、例えば路面の傾斜に伴ってそれらの軸が図6に示すように傾斜した場合、x軸の傾斜角度θx及びy軸の傾斜角度θyは、夫々、水平面に対するx軸の傾斜角度θx及びy軸の傾斜角度θyとなる。従って、図7に示すように、x軸加速度センサ2で検出されるx軸加速度Gxから求めたx軸重力加速度gxは−g・sinθx、y軸加速度センサ3で検出されるy軸加速度Gyから求めたy軸重力加速度gyは−g・sinθyと表れる。一方、z軸の傾斜角度θzは鉛直軸に対するz軸の傾斜角度θzであるので、仮にz軸加速度センサでz軸重力加速度gzを検出したとすると、z軸加速度gzはg・cosθzと表れる。x軸加速度gx、y軸加速度gy、z軸加速度gzには下記2式が成立するので、gz=g・cosθzを代入し、z軸傾斜角度θzについて解けば前記1式が導出される。
Figure 2013170991
次に、図2のx軸有効範囲フィルタ13及びx軸ローパスフィルタ14として実行される図4の演算処理について説明する。この演算処理は、予め設定された所定の演算周期Tで実行され、まずステップS11で、今回の誤差有x軸重力加速度gxeを読込む。
次にステップS12に移行して、後述する手法を用いてx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・Tを設定する。
次にステップS13に移行して、前回のx軸有効範囲Fxoの上限値と下限値の夫々にx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・Tを加減して今回のx軸有効範囲Fxを設定する。具体的には、前回のx軸有効範囲Fxoの上限値にx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・Tを加算した値を今回のx軸有効範囲Fxの上限値とし、前回のx軸有効範囲Fxoの下限値からx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・Tを減じた値を今回のx軸有効範囲Fxの下限値とする。なお、後述のステップS17のように前回のx軸有効範囲Fxoが前回演算時のx軸重力加速度gxである場合には、当該前回演算時のx軸重力加速度gxにx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・Tを加算した値を今回のx軸有効範囲Fxの上限値とし、前回演算時のx軸重力加速度gxからx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・Tを減じた値を今回のx軸有効範囲Fxの下限値とする。
次にステップS14に移行して、今回の誤差有x軸重力加速度gxeは今回のx軸有効範囲Fx内に入っているか否かを判定し、今回の誤差有x軸重力加速度gxeが今回のx軸有効範囲Fx内に入っている場合にはステップS15に移行し、そうでない場合にはステップS18に移行する。
ステップS15では、今回の誤差有x軸重力加速度gxeをそのまま使用するものとしてステップS16に移行する。
ステップS16では、今回の誤差有x軸重力加速度gxeをx軸ローパスフィルタ処理してx軸重力加速度gxを算出してからステップS17に移行する。コンピュータなどの離散系のx軸ローパスフィルタ処理には、例えば周知の移動平均などを用いることができる。今回の走行データではRemez法のローパスフィルタを用いている。又、ローパスフィルタは、何れも移動平均のように過去の複数回にわたる値を用いてフィルタ処理を行う。
ステップS17では、ステップS16で算出されたx軸重力加速度gxを前回のx軸有効範囲Fxoとして更新記憶してから復帰する。
一方、前記ステップS18では、前回演算時のx軸重力加速度gxoを今回のx軸重力加速度gxとして出力してからステップS20に移行する。
ステップS20では、ステップS13で設定された今回のX軸有効範囲Fxを前回のx軸有効範囲Fxoとして更新記憶してから復帰する。
次に、図2のy軸有効範囲フィルタ17及びy軸ローパスフィルタ18として実行される図5の演算処理について説明する。この演算処理は、予め設定された所定の演算周期Tで実行され、まずステップS21で、今回の誤差有y軸重力加速度gyeを読込む。
次にステップS22に移行して、後述する手法を用いてy軸有効範囲変化量ΔFy(v,t)/Δt・Tを設定する。
次にステップS23に移行して、前回のy軸有効範囲Fyoの上限値と下限値の夫々にy軸有効範囲変化量ΔFy(v,t)/Δt・Tを加減して今回のy軸有効範囲Fyを設定する。具体的には、前回のy軸有効範囲Fyoの上限値にy軸有効範囲変化量ΔFy(v,t)/Δt・Tを加算した値を今回のy軸有効範囲Fyの上限値とし、前回のy軸有効範囲Fyoの下限値からy軸有効範囲変化量ΔFy(v,t)/Δt・Tを減じた値を今回のy軸有効範囲Fyの下限値とする。なお、後述のステップS27のように前回のy軸有効範囲Fyoが前回演算時のy軸重力加速度gyである場合には、当該前回演算時のy軸重力加速度gyにy軸有効範囲変化量ΔFy(v,t)/Δt・Tを加算した値を今回のy軸有効範囲Fyの上限値とし、前回演算時のy軸重力加速度gyからy軸有効範囲変化量ΔFy(v,t)/Δt・Tを減じた値を今回のy軸有効範囲Fyの下限値とする。
次にステップS24に移行して、今回の誤差有y軸重力加速度gyeは今回のy軸有効範囲Fy内に入っているか否かを判定し、今回の誤差有y軸重力加速度gyeが今回のy軸有効範囲Fy内に入っている場合にはステップS25に移行し、そうでない場合にはステップS28に移行する。
ステップS25では、今回の誤差有y軸重力加速度gyeをそのまま使用するものとしてステップS26に移行する。
ステップS26では、今回の誤差有y軸重力加速度gyeをy軸ローパスフィルタ処理してy軸重力加速度gyを算出してからステップS27に移行する。コンピュータなどの離散系のy軸ローパスフィルタ処理には、例えば周知の移動平均などを用いることができる。
ステップS27では、ステップS26で算出されたy軸重力加速度gyを前回のy軸有効範囲Fyoとして更新記憶してから復帰する。
一方、前記ステップS28では、前回演算時のy軸重力加速度gyoを今回のy軸重力加速度gyとして出力してからステップS30に移行する。
ステップS30では、ステップS23で設定された今回のy軸有効範囲Fyを前回のy軸有効範囲Fyoとして更新記憶してから復帰する。
次に、x軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・Tの設定手法について説明する。有効範囲フィルタは、実走行では考えにくい傾斜角度の例えば路面を走行した際の重力加速度を上下限値とするバンドパスフィルタであり、x軸有効範囲フィルタFxは、車両左右方向軸に作用する重力加速度のバンドパスフィルタである。このx軸有効範囲フィルタFxの上限値を増加方向に演算周期T毎に補正し、下限値を減少方向に演算周期T毎に補正するのがx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・Tである。
例えば図8に示すように、旋回中の車両の進行方向がステアリング角度(操舵角度)θsにほぼ等しいとすると、前述のように旋回半径RはホイールベースLをステアリング角度(操舵角度)θsの正弦値sinθsで除した値となる。また、旋回中の車両の角速度ωは車両の走行速度Vを旋回半径Rで除した値となる。本実施形態では、車両の走行速度vには車輪速度Vwを擬似的に用いるので、ω=Vw/Rとなる。図9に示すように、車両の走行速度v、ステアリング角度(操舵角度)θs、時間tに依存する車両の旋回角度α(v,θs,t)は角速度ωと時間tの積値であるから、角速度ω及び旋回半径Rを代入すると下記3式が得られる。
Figure 2013170991
図9に示すように、x軸の傾斜角度θxの斜面を車両が旋回角度α(v,θs,t)で旋回したときのx軸重力加速度gxであるg・sinθxのx軸成分をx軸有効範囲Fx(v,θs,t)とすると、x軸有効範囲Fx(v,θs,t)は下記4式で表れる。演算周期T毎のx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・Tはx軸有効範囲Fx(v,θs,t)の時間微分値に演算周期Tを乗じたものであるから、結果的にx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・Tは下記5式で表れる。
Figure 2013170991
但し、電動車いすのように低速走行する車両で、且つステアリング角度(操舵角度)も走行可能なx軸傾斜角度も限られた車両の場合にはx軸有効範囲Fx(v,θs,t)も限られ、x軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・Tも限られるので、実験などによりx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・Tを一定値βxとしてもよい。そして、そのようにx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・Tを一定値βxとすることにより演算負荷が軽減される。
次に、y軸有効範囲変化量ΔFy(v,t)/Δt・Tの設定手法について説明する。y軸有効範囲フィルタFyは、車両前後方向軸に作用する重力加速度のバンドパスフィルタである。このy軸有効範囲フィルタFyの上限値を増加方向に演算周期T毎に補正し、下限値を減少方向に演算周期T毎に補正するのがy軸有効範囲変化量ΔFy(v,t)/Δt・Tである。
例えば図10に示すように、平坦路を走行していた車両がy軸傾斜角度θyの登坂路にさしかかり、時間t秒後に登った高さhは、t秒後の車両y軸の傾斜角度γ(v,t)、走行距離lを用い、車両の走行速度vには車輪速度Vwを擬似的に用いて下記6式で表れる。
Figure 2013170991
y軸傾斜角度θyは車両の使用として許容される最大値があるので、y軸傾斜角度θyを最大値とし、走行速度v、時間tで登坂したときのy軸重力加速度g・sinγ(v,t)をy軸重力加速度gyのy軸有効範囲Fy(v,t)とすればy軸有効範囲Fy(v,t)として下記7式が得られる。また、演算周期T毎のy軸有効範囲変化量ΔFy(v,t)/Δt・Tはy軸有効範囲Fy(v,t)の時間微分値に演算周期Tを乗じたものであるから、結果的にy軸有効範囲変化量ΔFy(v,t)/Δt・Tは下記8式で表れる。
Figure 2013170991
なお、このy軸有効範囲変化量ΔFy(v,t)/Δt・Tも、実験などにより一定値βyとしてもよい。そして、そのようにy軸有効範囲変化量ΔFy(v,t)/Δt・Tを一定値βyとすることにより演算負荷が軽減される。
次に、本実施形態の傾斜角度検出装置の作用について説明する。図11は、車両が走行した路面の実際の傾斜角度、車輪速度から求めた走行速度、及びx軸加速度Gx及びy軸加速度Gyから算出したz軸傾斜角度θzを示す。同図から明らかなように、x軸加速度Gx及びy軸加速度Gyには、夫々、x軸車両加速度gxv及びy軸車両加速度gyvが含まれており、計算で求めたこれらのx軸車両加速度gxv及びy軸車両加速度gyvに本当の加速度が含まれているため、x軸加速度Gx及びy軸加速度Gyをそのまま用いても正確なz軸傾斜角度θzは得られない。
これに対し、x軸加速度Gx及びy軸加速度Gyの夫々からx軸車両加速度gxv及びy軸車両加速度gyvを減じた誤差有x軸重力加速度gxe及び誤差有y軸重力加速度gyeを用いてz軸傾斜角度θzを算出すると、図12に示すように、実際の傾斜角度に近づくものの、やはり誤差がある。図13には、x軸加速度Gx及びy軸加速度Gyに含まれる車輪の対地スリップなどの誤差が急峻で且つ振幅が大きい場合に誤差有x軸重力加速度gxe及び誤差有y軸重力加速度gyeから算出したz軸傾斜角度θz、及び誤差有x軸重力加速度gxe及び誤差有y軸重力加速度gyeにローパスフィルタ処理を施してから算出したz軸傾斜角度θzを示す。x軸加速度Gx及びy軸加速度Gyに含まれる車輪の対地スリップなどの誤差が急峻で且つ振幅が大きい場合には、誤差有x軸重力加速度gxe及び誤差有y軸重力加速度gyeからz軸傾斜角度θzを算出しても実際の傾斜角度に近い値は得られないし、誤差有x軸重力加速度gxe及び誤差有y軸重力加速度gyeの生じる時間が長い成分で振幅の大きな誤差成分をローパスフィルタ処理で除去しにくい。除去するためには時定数を大きくしなければならないので位相遅れが大きくなってしまう。
図14、図15には、本実施形態の有効範囲フィルタの作用を示す。図14は、x軸有効範囲Fx(v,θs,t)の変化量がx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・T(又はy軸有効範囲Fy(v,t)の変化量がy軸有効範囲変化量ΔFy(v,t)/Δt・T、何れも変数を示す( )以下を省略)、図15は、x軸有効範囲Fx(v,θs,t)の変化量が一定値βx(又はy軸有効範囲Fy(v,t)の変化量が一定値βy、変数を示す( )を省略)の場合を示している。また、図中のドットが誤差有x軸重力加速度gxe(又は誤差有y軸重力加速度gye)を示している。
ここでは、x軸重力加速度gxについて代表して説明する。何れも、図中の二点鎖線の直線がx軸重力加速度gxの真値であるとして、前記図4(y軸重力加速度gyについては図5)の演算処理では、誤差有x軸重力加速度gxeがx軸有効範囲Fx内に入っている場合には、今回の誤差有x軸重力加速度gxeをx軸ローパスフィルタ処理してx軸重力加速度gxを算出し、次の演算周期で、前回演算時のx軸重力加速度gxにx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・T又は一定値βxを加算した値を今回のx軸有効範囲Fxの上限値とし、前回演算時のx軸重力加速度gxからx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・T又は一定値βxを減じた値を今回のx軸有効範囲Fxの下限値とする。一方、誤差有x軸重力加速度gxeがx軸有効範囲Fx内に入っていない場合には、前回のx軸有効範囲Fxoの上限値にx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・Tを加算した値を今回のx軸有効範囲Fxの上限値とし、前回のx軸有効範囲Fxoの下限値からx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・Tを減じた値を今回のx軸有効範囲Fxの下限値とする。
図14、図15の場合には、時刻t0でx軸重力加速度gxが算出された後、時刻t4まで誤差有x軸重力加速度gxeがx軸有効範囲Fx内に入っていないので、その間、x軸有効範囲Fxの上限値は演算周期T毎にx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・T又は一定値βxずつ増加し、下限値は演算周期T毎にx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・T又は一定値βxずつ減少して、x軸有効範囲Fxが図の上下方向に広がる。
一方、時刻t4では誤差有x軸重力加速度gxeがx軸有効範囲Fx内に入ったので、その誤差有x軸重力加速度gxeをローパスフィルタ処理してx軸重力加速度gxが算出され、次の演算周期である時刻t5では時刻t4のx軸重力加速度gxにx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・T又は一定値βxを加算した値がx軸有効範囲Fxの上限値に設定され、当該時刻t4の軸重力加速度gxからx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・T又は一定値βxを減じた値がx軸有効範囲Fxの下限値に設定された。
また、時刻t5でも誤差有x軸重力加速度gxeがx軸有効範囲Fx内に入ったので、その誤差有x軸重力加速度gxeをローパスフィルタ処理してx軸重力加速度gxが算出され、次の演算周期である時刻t6では時刻t5のx軸重力加速度gxにx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・T又は一定値βxを加算した値がx軸有効範囲Fxの上限値に設定され、当該時刻t5の軸重力加速度gxからx軸有効範囲変化量ΔFx(v,θs,t)/Δt・T又は一定値βxを減じた値がx軸有効範囲Fxの下限値に設定された。
その結果、有効範囲フィルタは、図14、図15の網がけ部分のように設定される。本実施形態では、例えば図14、図15の時刻t1、t2、t3のように、誤差有x軸重力加速度gxe(又は誤差有y軸重力加速度gye)がx軸有効範囲Fx(又はy軸有効範囲Fy)に入っていない場合、前回演算時と同じx軸重力加速度gx(又はy軸重力加速度gy)が出力されるので、前回演算時のx軸重力加速度gx(又はy軸重力加速度gy)に対して誤差による変動の大きな誤差有x軸重力加速度gxe(又は誤差有y軸重力加速度gye)は除去され、前回演算時のx軸重力加速度gx(又はy軸重力加速度gy)が保持される。
図16には、x軸加速度Gx及びy軸加速度Gyに含まれる車輪の対地スリップなどの誤差が急峻で且つ振幅が大きい場合に誤差有x軸重力加速度gxe及び誤差有y軸重力加速度gyeから算出したz軸傾斜角度θz、誤差有x軸重力加速度gxe及び誤差有y軸重力加速度gyeにローパスフィルタ処理を施してから算出したz軸傾斜角度θz、及び誤差有x軸重力加速度gxe及び誤差有y軸重力加速度gyeに有効範囲フィルタ処理を施してから算出したz軸傾斜角度θzを示す。同図から明らかなように、本実施形態の有効範囲フィルタ処理を施してから算出したz軸傾斜角度θzでは、x軸加速度Gx及びy軸加速度Gyに含まれる車輪の対地スリップなどの誤差が急峻で且つ振幅が大きい場合であっても、真値に対する誤差が小さい。
このように本実施形態の傾斜角度検出装置では、x軸加速度センサ2、y軸加速度センサ3で検出されたx軸加速度Gx、y軸加速度Gyのうちの重力加速度の成分から車両の傾斜角度θzを予め設定された所定の周期Tで算出するにあたり、x軸ローパスフィルタ14、y軸ローパスフィルタ18によって加速度センサ2、3で検出された加速度Gx、Gyのうちの誤差有重力加速度の成分の誤差成分を低減して車両の傾斜角度算出用に出力する。その際、x軸有効範囲フィルタ13、y軸有効範囲フィルタ17によって加速度センサ2、3で検出された加速度Gx、Gyのうちの誤差有重力加速度の成分が有効範囲Fx、Fy内にある場合に当該重力加速度の成分をx軸ローパスフィルタ14、y軸ローパスフィルタ18に入力する。一方、当該重力加速度の成分が有効範囲Fx、Fy内にない場合にはx軸ローパスフィルタ14、y軸ローパスフィルタ18からの前回出力値と同じ出力値を車両の傾斜角度算出用に出力することとしたため、より正確な傾斜角度の算出が可能となる。また、有効範囲フィルタ13、17の有効範囲Fx、Fy内に誤差有重力加速度の成分がある場合のみ、誤差有重力加速度の成分の誤差成分を十分に減衰できる。そのため、減衰率、時間遅れの小さいローパスフィルタ14、18を有効に活用できる。また、有効範囲フィルタ13、17の有効範囲Fx、Fy内に重力加速度の成分がない場合には、その重力加速度の成分を傾斜角度に反映させないので、重力加速度の成分の誤差成分が残存することによる悪影響を極めて小さくできる。例えば、車両が加速から減速に転じた場合のように走行状態の変化による影響を小さくでき、傾斜角度の精度を向上することができる。例えば段差を乗り越えたりするときの、目的とする用途に必要な性能としては不必要となる急峻な傾斜角度変化を取り除くことができる。
また、x軸有効範囲フィルタ13、y軸有効範囲フィルタ17の有効範囲Fx、Fyを設定するステップは、前回の車両の傾斜角度θzの算出時にx軸加速度センサ2、y軸加速度センサ3で検出されたx軸加速度Gx、y軸加速度Gyのうちの誤差有重力加速度の成分が有効範囲Fx、Fy内にあった場合に当該重力加速度の成分のローパスフィルタ出力値に有効範囲変化量ΔFx(ΔFx(v,θs,t)/Δt・T、変数を示す( )を省略)、ΔFyを加算及び減算して有効範囲Fx、Fyを設定することとしたため、より正確な傾斜角度の算出が可能となる。
また、有効範囲Fx、Fyを設定するステップは、前回の車両の傾斜角度θzの算出時にx軸加速度センサ2、y軸加速度センサ3で検出されたx軸加速度Gx、y軸加速度Gyのうちの誤差有重力加速度の成分が有効範囲Fx、Fy内になかった場合に当該有効範囲Fx、Fyの上限値に有効範囲変化量ΔFx、ΔFyを加算し且つ当該有効範囲Fx、Fyの下限値から有効範囲変化量を減算して有効範囲Fx、Fyを設定することとしたため、より正確な傾斜角度の算出が可能となる。
また、これらの構成により、適正な有効範囲を設定することができ、傾斜角度の算出精度を高く保つことができる。また、正確な重力加速度成分を除去してしまうといった不都合をなくすることができる。
また、y軸加速度センサ3で検出されるy軸加速度Gyが車両の前後方向軸の加速度である場合、y軸有効範囲フィルタ17のy軸有効範囲変化量ΔFyを設定するステップは、車両の走行速度vとして用いる車輪速度Vwに応じてy軸有効範囲変化量ΔFyを設定することとしたため、より正確な傾斜角度の算出が可能となる。
また、x軸加速度センサ2で検出されるx軸加速度Gxが車両の左右方向軸の加速度である場合、x軸有効範囲フィルタ13のx軸有効範囲変化量ΔFxを設定するステップは、車両の走行速度vとして用いる車輪速度Vw及びステアリング角度(操舵角度)θs又は車両の角加速度ωに応じてx軸有効範囲変化量ΔFxを設定することとしたため、より正確な傾斜角度の算出が可能となる。
また、これらの構成により、車両の走行状態、操作状態に応じた適正な有効範囲を設定することができ、傾斜角度の算出精度を高く保つことができる。
次に、本発明の傾斜角度検出装置の第2実施形態について説明する。本実施形態の装置の構成は前記第1実施形態と同等である。また、本実施形態の傾斜角度検出の原理も前記第1実施形態と同様である。本実施形態では、図2のx軸有効範囲フィルタ13及びx軸ローパスフィルタ14として実行される演算処理が図4から図17に、図2のy軸有効範囲フィルタ17及びy軸ローパスフィルタ18として実行される演算処理が図5から図18に変更されている。
図4の演算処理と図17の演算処理は類似しており、同等のステップも多数存在する。そこで、同等のステップには同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。図17の演算処理では、図4の演算処理のステップS18がステップS18’及びステップS19’に変更されている。ステップS18’では、前回の誤差有x軸重力加速度gxeoを今回の誤差有x軸重力加速度gxeとして使用するものとしてステップS19’に移行する。
ステップS19’では、今回の誤差有x軸重力加速度gxeをx軸ローパスフィルタ処理してx軸重力加速度gxを算出してからステップS20に移行する。ここでもx軸ローパスフィルタ処理には、例えば周知の移動平均などを用いることができる。
ステップS18’及びステップS19’では、前記図4の演算処理のステップS18と同様に、結果的に前回演算時のx軸重力加速度gxoが算出される。
また、図5の演算処理と図18の演算処理は類似しており、同等のステップも多数存在する。そこで、同等のステップには同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。図18の演算処理では、図5の演算処理のステップS28がステップS28’及びステップS29’に変更されている。
ステップS28’では、前回の誤差有y軸重力加速度gyeoを今回の誤差有y軸重力加速度gyeとして使用するものとしてステップS29’に移行する。
ステップS29’では、今回の誤差有y軸重力加速度gyeをy軸ローパスフィルタ処理してy軸重力加速度gyを算出してからステップS30に移行する。ここでもy軸ローパスフィルタ処理には、例えば周知の移動平均などを用いることができる。
ステップS28’及びステップS29’では、前記図5の演算処理のステップS28と同様に、結果的に前回演算時のy軸重力加速度gyoが算出される。
また、本発明の主旨から外れない範囲で、応用改変が可能である。例えば、前述した実施形態の図4等に示す制御フローチャートにおいて、ステップS13の設定処理とステップS14の判断処理との間に追加して「今回の誤差有x軸重力加速度gxeにx軸ローパスフィルタ処理を行う」処理を行う一方、図5等に示す制御フローチャートにおいて、ステップS23の設定処理とステップS24の判断処理との間に追加して「今回の誤差有y軸重力加速度gyeにy軸ローパスフィルタ処理を行う」処理を行うことが可能である。これらにより、高周波数の成分が多く含まれている場合に、先にローパスフィルタ処理を行うことによって含まれる誤差を予め低減させておき、精度を高めることができる。
1は傾斜角度検出装置
2はx軸加速度センサ
3はy軸加速度センサ
4は車輪速度(走行速度)センサ
5はステアリング角度(操舵角度)センサ
6は角速度センサ
7はx軸重力加速度算出部
8はy軸重力加速度算出部
9はz軸傾斜角度算出部
10は旋回半径算出部
11はx軸車両加速度算出部
12は加減算器
13はx軸有効範囲フィルタ
14はx軸ローパスフィルタ
15はy軸車両加速度算出部
16は加減算器
17はy軸有効範囲フィルタ
18はy軸ローパスフィルタ

Claims (6)

  1. 車両に作用する加速度を検出する加速度センサと、
    前記加速度センサで検出された加速度のうちの重力加速度の成分から車両の傾斜角度を予め設定された所定の周期で算出する傾斜角度算出部とを備えた傾斜角度検出装置において、
    前記傾斜角度算出部は、
    前記加速度センサで検出された加速度のうちの誤差有重力加速度の成分の誤差成分を低減して車両の傾斜角度算出用に出力するローパスフィルタと、
    前記加速度センサで検出された加速度のうちの誤差有重力加速度の成分が有効範囲内にある場合に当該誤差有重力加速度の成分を前記ローパスフィルタに入力し、当該誤差有重力加速度の成分が有効範囲内にない場合に前記ローパスフィルタからの前回出力値と同じ出力値を車両の傾斜角度算出用に出力する有効範囲フィルタとを備えたことを特徴とする傾斜角度検出装置。
  2. 前記有効範囲フィルタは、前回の車両の傾斜角度算出時に前記加速度センサで検出された加速度のうちの誤差有重力加速度の成分が有効範囲内にあった場合に当該重力加速度の成分のローパスフィルタ出力値に有効範囲変化量を加算及び減算して有効範囲を設定する有効範囲設定部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の傾斜角度検出装置。
  3. 前記有効範囲設定部は、前回の車両の傾斜角度算出時に前記加速度センサで検出された加速度のうちの誤差有重力加速度の成分が有効範囲内になかった場合に当該有効範囲の上限値に有効範囲変化量を加算し且つ当該有効範囲の下限値から有効範囲変化量を減算して有効範囲を設定することを特徴とする請求項2に記載の傾斜角度検出装置。
  4. 前記加速度センサで検出される加速度が車両の前後方向軸の加速度である場合、
    前記有効範囲フィルタは、車両の走行速度に応じて前記有効範囲変化量を設定する有効範囲変化量設定部を備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の傾斜角度検出装置。
  5. 前記加速度センサで検出される加速度が車両の左右方向軸の加速度である場合、
    前記有効範囲フィルタは、車両の走行速度及び操舵角度に応じて前記有効範囲変化量を設定する、または車両の走行速度及び角速度に応じて前記有効範囲変化量を設定する有効範囲変化量設定部を備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の傾斜角度検出装置。
  6. 前記加速度センサは車両の前後方向軸の加速度及び左右方向軸の加速度を検出し、
    前記傾斜角度算出部は、前記加速度センサで検出された車両の前後方向軸の加速度及び左右方向軸の加速度の夫々の重力加速度の成分から車両の上下方向軸の傾斜角度を算出することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の傾斜角度検出装置。
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