JP2013170586A - ベルト式無段変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベルトとプーリとの接触面における摩擦係数を維持することができ、しかもベルトとプーリとなどを効果的に冷却することができるベルト式無段変速機を提供する。
【解決手段】プーリ4,5に形成されたベルト溝4c,5cにベルト3を巻き掛けてベルト3とプーリ4,5とを摩擦接触させることにより、その摩擦力を利用してプーリ4,5とベルト3との間で動力を伝達するベルト式無段変速機1において、プーリ4,5とベルト3との少なくとも一方に接触してそのプーリ4,5もしくはベルト3から熱を奪って冷却を行うシリコーンオイルを備えていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、駆動プーリと従動プーリとに巻き掛けられたベルトを介して動力を伝達すると共に、ベルトの巻き掛かり半径を連続的に変化させることにより変速比を連続的に変更するように構成されたベルト式無段変速機に関し、特に乾式と称されるベルト式無段変速機に関するものである。
この種のベルト式無段変速機は、ベルトと駆動プーリとの接触面、および、ベルトと従動プーリとの接触面に生じる摩擦力によってトルクを伝達するように構成されている。そのベルトは、一般的に、エレメントもしくはブロックなどと称される多数の金属製の板状の小片をスチールバンドなどにより環状に結束して構成した金属製ベルトと、例えばゴムや樹脂などの弾性材料を主体に構成した非金属製ベルトとに大別することができる。一方、駆動プーリおよび従動プーリは、一般的に、鋼や鋳鉄あるいはアルミ合金などの金属性材料によって形成されている。
湿式のベルト式無段変速機は、ベルトが金属を主体にして構成されていることによる金属同士の接触やそれに伴う摩耗や焼き付きなどを抑制するために、ベルトとプーリとの間にオイルを供給している。そのため、湿式のベルト式無段変速機においては、ベルトとプーリとの間がオイルによって潤滑され、これらの間における摩擦係数は小さくなっている。これに対して、乾式のベルト式無段変速機では、ベルトに合成樹脂などを使用し、ベルトとプーリとが直接接触することに特には問題がないので、湿式のベルト式無段変速機におけるようなオイルを供給することは行われていない。そのため、乾式のベルト式無段変速機においては、ベルトとプーリとの間の摩擦係数は大きくなっている。しかしながら、乾式ベルト式無段変速機においても、トルクの伝達はベルトとプーリとの間の摩擦によって行われるから、動力の伝達に伴って両者の間で不可避的に熱が生じる。湿式ベルト式無段変速機ではオイルが供給されるので、動力伝達に伴って発生した熱はオイルによって運び去られ、オイルによる冷却が可能であるが、乾式のベルト式無段変速機でオイルが供給されていないので、これに替わる冷却のための手段を用いる必要がある。
そこで、例えば特許文献1には、乾式のベルト式無段変速機において、ベルトに対して積極的に空気を供給し、いわゆる空冷を行うことが記載されている。また、特許文献2には、結晶化するトラクションドライブ用オイルを供給するように構成されたベルト式無段変速機が記載されている。すなわち、特許文献2に記載された無段変速機では、ベルトとしてゴム製ベルトに樹脂製のブロックを取り付けた高負荷伝動ベルトが使用され、そのベルトが巻き掛けられるプーリの表面には微細な凹凸が形成されている。その凹部にトラクションドライブ用オイルが入り込み、その状態でベルトが巻き掛かってオイルが加圧されるためにオイルが結晶化し、そのように結晶化したオイルによってベルトとプーリとの間の摩擦係数を必要十分に増大させるようになっている。そのオイルは、圧力を受けていない状態では液状であるから、オイルと同様に流動し、したがってベルトやプーリの熱がそのオイルによって運び去られるので、トラクションドライブ用オイルは摩擦係数の確保と併せて冷却作用を奏することになる。
なお、特許文献3には、金属製ベルトを用いたベルト式無段変速機であって、金属製ベルトと駆動プーリとの接触面、および、金属製ベルトと従動プーリとの接触面を潤滑するオイルの添加剤としてシリコーンオイルを用いることが記載されている。
特開2000−104801号公報 特開2009−115209号公報 特開2011−190401号公報
特許文献1に記載されているように、乾式ベルト式無段変速機の冷却を空気によって行うように構成した場合、空気は熱容量が小さいので、多量の空気を供給する必要がある。しかしながら、多量の空気を供給させるために、動力を使用して空気を流通させると、車両の燃費が悪化したり、空気を強制的に流通させることに伴う騒音が生じるなどの可能性がある。また、冷却のための空気は車両の外部から取り入れることになるため、空気とともに塵埃がベルト式無段変速機の内部に混入した場合には、ベルトやプーリの表面に塵埃が付着したり、それが原因で摩耗が進行したりする可能性がある。そのような不具合を未然に防止するためには、フィルタを使用して十分な除塵を行う必要がある。しかしながら、フィルタを使用した場合、部品点数やフィルタの交換などの工数が増大する可能性がある。これに加えて、フィルタの圧力損失により冷却のための空気の流通が阻害されて冷却効果が低下する可能性がある。
また、特許文献2に記載されているようにトラクションドライブ用オイルを使用すれば、冷却作用を得ることができる。しかしながら、そのオイルを結晶化させるために、プーリの表面に微細な凹凸を形成する必要があり、その結果、プーリの製造コストが嵩む可能性がある。これに加えて、トラクションドライブ用オイル自体が高価であるから、結局は、ベルト式無段変速機が全体として高価なものになる可能性がある。なお、特許文献3に記載されているようにシリコーンオイルを添加したオイルを使用した場合には、ベルトとプーリとの間の摩擦係数が低下してしまい、ベルトを挟み付ける挟圧力を低下することができ、またそれに伴って発熱を抑えることができるなどの乾式ベルト式無段変速機における利点が損なわれる可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、ベルトとプーリとの接触面における摩擦係数を維持することができ、しかもベルトとプーリとなどを効果的に冷却することができるベルト式無段変速機を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、プーリに形成されたベルト溝にベルトを巻き掛けてベルトとプーリとを摩擦接触させることにより、その摩擦力を利用してプーリとベルトとの間で動力を伝達するベルト式無段変速機において、前記プーリとベルトとの少なくとも一方に接触してそのプーリもしくはベルトから熱を奪って冷却を行うシリコーンオイルを備えていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記プーリとベルトとは液密状態に封止されたケースの内部に収容され、かつそのケースの内部に前記プーリもしくはベルトに掻き上げられるよう前記シリコーンオイルが封入されていることを特徴とするベルト式無段変速機である。
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイルとメチルフェニルシリコーンオイルとのいずれか一つを含むことを特徴とするベルト式無段変速機である。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記プーリと前記ブロックとが高硬度部材によって形成され、あるいは、前記プーリのベルト溝に接触する前記ブロックの表面が前記高硬度部材によって被覆されており、かつ、前記ブロックと前記プーリとが接触した場合におけるこれらの間の摩擦係数が0.2以上であることを特徴とするベルト式無段変速機である。
請求項1の発明によれば、摩擦熱により温められるベルトやプーリをシリコーンオイルによって冷却することができる。そしてこれにより、熱によるベルトの耐久性の低下を抑制することができる。また、シリコーンオイルを用いることにより空冷に比較して効果的にベルトを冷却することができる。これに加えて、シリコーンオイルは一般的に圧縮性が強くまた油膜強度が低いために、ベルトとプーリとが摩擦接触する面における摩擦係数を維持することができ、伝達トルク容量を維持することができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明による効果と同様の効果に加えて、ベルトとプーリとがケース内に密閉して収容されることにより、ケースの内部に塵埃が侵入することを未然に防止することができる。そしてこれにより塵埃が原因となってベルトとプーリとなどの摩耗が進行したりすることを防止もしくは抑制することができる。また、ケースは密閉されているためにその内部で生じた音がケースの外部に漏れ出て騒音となることを抑制することができる。さらに、シリコーンオイルは掻き上げられてプーリやベルトに供給されるために、ベルトやプーリなどの被供給部に対してシリコーンオイルを供給するためのポンプなどの装置を必要としない。
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明による効果と同様の効果に加えて、いずれのシリコーンオイルを使用したとしても、ベルトの温度上昇を抑制することができるとともに、ベルトとプーリとが摩擦接触する面における摩擦係数を維持することができる。
請求項4の発明によれば、プーリとブロック表面とが高強度部材によって形成されることにより、ベルト溝とブロックとの間においてシリコーンオイルを十分に圧縮することができる。そのため、乾式のベルト式無段変速機におけるベルトとプーリとの接触面における摩擦係数を高くすることができる。そしてこれにより、プーリにおいてベルトを挟み付ける挟圧力を小さくすることができる。すなわち、小さな挟圧力によって相対的に大きなトルクを伝達することが可能となるため、エネルギ効率を向上することができる。これに加えて、プーリの変形を抑制できる。
シリコーンオイルを使用した実施例1およびベースオイルを使用した比較例1ならびにCVTFを使用した比較例2における摩擦係数の測定結果を示す図である。 シリコーンオイルを使用した実施例2およびベースオイルを使用した比較例3ならびにCVTFを使用した比較例4における摩擦係数の測定結果を示す図である。 シリコーンオイルを使用した実施例3およびベースオイルを使用した比較例5ならびにCVTFを使用した比較例6における摩擦係数の測定結果を示す図である。 シリコーンオイルを使用した実施例4およびベースオイルを使用した比較例7ならびにCVTFを使用した比較例8における摩擦係数の測定結果を示す図である。 シリコーンオイルを使用した実施例5およびベースオイルを使用した比較例9ならびにCVTFを使用した比較例10における摩擦係数の測定結果を示す図である。 この発明に係るベルト式無段変速機の一例を模式的に示す図である。 ベルトの一例を模式的に示す図である。 ストライベック線図である。 ジメチルシリコーンオイルの動粘度と揮発性との相関を模式的に示す図である。 ブロックオンリング型摩擦摩耗試験機の主要部の構成を模式的に示す図である。
この発明に係るベルト式無段変速機は、駆動プーリと従動プーリとにベルトを巻き掛けるとともに、その巻き掛かり半径を連続的に変化させて変速比を変化させるように構成された変速機である。その巻き掛かり半径の変更は、各プーリに形成されたいわゆるV字形状の溝(以下、ベルト溝と記す)の幅を変化させて行うように構成されている。また、このベルト式無段変速機は、ベルトと駆動プーリとの接触面、および、ベルトと従動プーリとの接触面に生じる摩擦力によってトルクを伝達するように構成されている。各プーリは、互いに対向する面をテーパ面とした一対のシーブによって構成されている。それら一対のシーブのうち一方のシーブは回転軸に固定され(これを固定シーブと記す)、他方のシーブは回転軸上を固定シーブに対して接近・離隔するように構成されている(これを可動シーブと記す)。その可動シーブと固定シーブとの間にベルトを挟み付けるように、可動シーブの背面側、すなわちベルトが接触させられているテーパ面とは反対側の面側に押圧機構が設けられている。その押圧機構は、油圧によって推力を発生する構成が一般的であるが、これに限らず、電動アクチュエータや弾性体あるいはカム機構などであってもよい。
より具体的に説明すると、図6に、この発明に係るベルト式無段変速機の一例を模式的に示してある。そのベルト式無段変速機1は、駆動力源(図示せず)の出力側に設けられている。駆動力源としては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関、あるいは、電気モータ、あるいは、電気モータと内燃機関とを併用したハイブリッドタイプの駆動力源などを使用することができる。ベルト式無段変速機1は、図6に示す例では、液密状に封止されたケース2を備え、その内部にベルト3が巻き掛けられる駆動プーリ4と従動プーリ5とが収容されている。詳細は図示しないが、ケース2の底部がオイル溜まり部となっており、そのオイル溜まり部にシリコーンオイルが貯留され、そのシリコーンオイルをプーリ4,5もしくはベルト3が掻き上げるようになっている。したがって、駆動プーリ4と従動プーリ5との少なくとも一部がシリコーンオイルに浸漬されている。ケース2は熱伝導性を有する部材によって構成することが好ましい。シリコーンオイルについては後述する。
駆動プーリ4はプーリ軸6と一体化された固定シーブ4aと、そのプーリ軸6に、固定シーブ4aに対して接近・離隔するように取り付けられた可動シーブ4bとを備えている。固定シーブ4aと可動シーブ4bとの互いに対向する面がテーパ面となっており、固定シーブ4aのテーパ面と、可動シーブ4bのテーパ面とによってベルト溝4cが形成されている。プーリ軸6は上述した駆動力源に動力伝達可能に連結されている。また、プーリ軸6は軸受7,8を介してケース2に支持されている。プーリ軸6における軸受7,8よりもケース2側に、ケース2を液密状態に封止するシールリング9,10が設けられている。詳細は図示しないが、可動シーブ4bの背面側、言い換えれば、ベルト3が接触させられる可動シーブ4bのテーパ面とは反対側の面側に、可動シーブ4bを固定シーブ4aに向けて押圧する押圧機構が設けられている。押圧機構は、例えば、電動アクチュエータや油圧アクチュエータであってよい。押圧機構は、要は、可動シーブ4bを固定シーブ4aに対して接近させるための推力を発生させ、また、それによって固定シーブ4aと可動シーブ4bとの間にベルト3を挟み付けるように構成されていればよい。
従動プーリ5はプーリ軸11と一体化された固定シーブ5aと、そのプーリ軸11に、固定シーブ5aに対して接近・離隔するように取り付けられた可動シーブ5bとを備えている。固定シーブ5aと可動シーブ5bとの互いに対向する面がテーパ面となっており、固定シーブ5aのテーパ面と可動シーブ5bのテーパ面との間に従動プーリ5におけるベルト溝5cが形成されている。プーリ軸11は、詳細は図示しないが、プロペラシャフトおよびデファレンシャルならびにドライブシャフトなどを介して駆動輪に動力伝達可能に連結されている。また、プーリ軸11は軸受12,13を介してケース2に支持されている。プーリ軸11における軸受12,13よりもケース2側に、ケース2を液密状態に封止するシールリング14,15が設けられている。なお、詳細は図示しないが、上述した駆動プーリ4と同様に、従動プーリ5における可動シーブ5bの背面側に、可動シーブ5bを固定シーブ5aに向けて押圧する押圧機構が設けられている。押圧機構は、例えば、電動アクチュエータや油圧アクチュエータであってよい。押圧機構は、要は、可動シーブ5bを固定シーブ5aに対して接近させるための推力を発生させ、また、それによって固定シーブ5aと可動シーブ5bとの間にベルト3を挟み付けるように構成されていればよい。
そして、上述したように構成される駆動プーリ4におけるベルト溝4cの幅、および、従動プーリ5におけるベルト溝5cの幅が変更されることにより、駆動プーリ4におけるベルト3の巻き掛かり半径、および、従動プーリ5におけるベルト3の巻き掛かり半径がそれぞれ変更されるようになっている。また、後述するように、駆動プーリ4や従動プーリ5の回転によってシリコーンオイルが掻き上げられてベルト3やプーリ4,5に供給されるようになっている。
図7に、ベルト3の一例を模式的に示してある。ベルト3は、例えばベルト溝4cの表面、すなわちシーブ4a,4bの表面に接触するとともに、これらの表面から受ける圧力に対抗する多数のブロック16を備えている。また、ベルト3は、多数のブロック16を環状に結束するための2本のバンド17,18を備えている。ブロック16は、高硬度部材により形成されている。具体的には、ブロック16は、例えば鋼や鋳鉄あるいはアルミ合金などの高硬度部材である金属製の板状の小片により形成されている。すなわちブロック16の表面に高硬度部材を露出させることにより、ベルト溝とブロック16との間においてシリコーンオイルを十分に圧縮することができるようになっている。そしてその結果、ベルト溝とブロックとの間に形成されるシリコーンオイルの油膜の厚さを薄くすることができ、ベルト溝とブロック16との間の高い摩擦係数を維持することができるようになっている。このようにベルト溝とブロック16との間の高い摩擦係数を維持できることによりベルト挟圧力を小さくすることができる。すなわち、面圧の増大を抑制することができる。また、シリコーンオイルを使用することによってベルト3やプーリ4,5の冷却が向上することによりベルト3やプーリ4,5の焼き付きを回避することができる。
ブロック16のベルト幅方向(図7での左右方向)における左右の側面19,20が、テーパー状に傾斜した傾斜面として形成されている。その左右の傾斜面19,20が、駆動プーリ4におけるベルト溝4cの表面、および、従動プーリ5におけるベルト溝5cの表面に接触するようになっている。
ベルト3の幅方向でブロック16の両側面には、開口溝21,22がそれぞれ形成されている。そして、開口溝21にバンド17が圧入され、開口溝22にバンド18が圧入されている。ブロック16の開口溝21,22にバンド17,18が挿入されていることにより、多数のブロック16が姿勢を揃えて環状に配列した状態で保持されてベルト3が構成されている。このように、各ブロック16は環状に配列されるので、各ブロック16が平行にならずにいわゆる扇状(放射状)に開いた状態に配列される箇所が生じる。そこで、各ブロック16が扇状に開いた状態で配列されることを可能にするために、各ブロック16は、例えばベルト3の進行方向でブロック16の前面における図7での下側の部分(環状に配列した状態での中心側の部分)が削り落とされて薄肉化されている。
なお、図示していないが、ブロック16とバンド17,18との間の嵌合部分に、例えば、ほぞとほぞ溝などのような位置決め構造を設けてベルト周方向におけるブロック16とバンド17,18との相対移動を規制するように構成してもよい。そのような位置決め構造を設けることにより、多数のブロック16をベルト周方向で等間隔に配置することができ、その結果、ベルト2の走行もしくは進行を安定させることができる。
上述したバンド17,18は、例えばゴムや樹脂などによって形成される環状の帯状体であって、その内部に心線と称される芯材23が埋設させられている。心線23としては例えばアラミド繊維などの高強度高弾性率の繊維によって構成された組紐や、金属ワイヤなどを使用することが好ましい。バンド17,18は、要は、ベルト3に要求される強度を達成するために必要な強度と、駆動プーリ4および従動プーリ5に滑らかに巻き掛かるために必要な柔軟性あるいは可撓性とを有する部材により構成されていればよい。
また、バンド17,18におけるベルト溝4cおよびベルト溝5cに対向する側の側面には、テーパー状の傾斜した傾斜面が形成されている。これらのテーパー状の側面は駆動プーリ4および従動プーリ5の表面に接触するようになっている。そのため、上述した構成のベルト3が駆動プーリ4および従動プーリ5に巻き掛けられ、また挟み付けられた場合、ブロック16の側面19,20およびバンド17,18の側面が実質的に同一面となって駆動プーリ4および従動プーリ5の表面に接触する。
ベルト式無段変速機1は、上述したように、ブロック16の側面19,20と駆動プーリ4における各シーブ4a,4bとの接触面、および、ブロック16の側面19,20と従動プーリ5の各シーブ5a,5bとの接触面に生じる摩擦力によってトルクを伝達する。そのため、これらの接触面では摩擦により摩擦熱が生じる。これに加えて、プーリ3,4に巻き掛けられたベルト3には、駆動プーリ4や従動プーリ5に巻き掛かっていて曲線形状になっている部分と、駆動プーリ4と従動プーリ5との間に架け渡されていて直線形状になっている部分とが生じる。すなわち、ベルト3が進行した場合、バンド17,18が伸縮を繰り返す。そのため、バンド17,18の内部やバンド17,18とブロック16との接触部分などにおいても摩擦熱が発生する。そこで、この発明では、上述した接触面やベルト3にシリコーンオイルを供給することにより、接触面おける摩擦係数を低下させずに接触面やベルト3を冷却して、摩擦熱によってベルト3が劣化することを防止もしくは抑制するように構成されている。
シリコーンオイルについて説明する。シリコーンオイルは圧縮率が高く、油膜の強度が小さいことが一般的に知られている。これに加えて、極圧と称されるような高い圧力の条件下での使用には適さないことが知られている。そのため、例えばブロック16の側面19,20と駆動プーリ4の表面との間にシリコーンオイルを供給したとしても、これらの間の潤滑状態を流体潤滑の状態に維持することができず、ブロック16の側面19,20と駆動プーリ4の表面との直接接触が発生して混合潤滑、さらには境界潤滑にシフトしてしまう、と考えられる。そのため、ブロック16の側面19,20と駆動プーリ4の表面との間の摩擦係数が高い状態に維持される。なお、ブロック16の側面19,20と従動プーリ5の表面との間にシリコーンオイルを供給した場合においても、これらの間の摩擦係数は混合潤滑や境界潤滑に近い摩擦係数に維持される。
上述した潤滑状態はストライベック線図によって説明される。図8に、ストライベック線図を示してあり、縦軸は摩擦係数を示し、横軸は軸受定数(軸受定数に替えて、ゾンマーフェルト数を使用してもよい)を示している。その軸受定数は、
オイルの粘度×滑り速度/面圧
によって表される。
図8において、「境界潤滑」は例えばブロック16の側面19,20に吸着しているシリコーンオイルの厚さが単分子膜あるいは数分子膜程度の厚さであり、ブロック16の側面19,20が一応はシリコーンオイルによって保護されている状態である。そのため、「境界潤滑」は油膜の形成が十分ではないので摩擦係数が大きくなる。「流体潤滑」は、例えばブロック16の側面19,20と駆動プーリ4の表面とがシリコーンオイルの油膜によって完全に隔てられている状態であり、2面間の直接接触がない状態である。この「流体潤滑」の状態での摩擦抵抗はシリコーンオイルの粘性抵抗に一致する。したがって、摩擦係数は「境界潤滑」の状態より小さくなる。これら「境界潤滑」と「流体潤滑」との中間の状態が「混合潤滑」であり、「流体潤滑」に近い状態になるほど、摩擦係数は小さくなる。また、上述した潤滑状態はシリコーンオイルの粘度、ブロック16に対する駆動プーリ4の滑り速度、ベルト挟圧力などによって異なる。
シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルと称される一群のシリコーンオイルを使用することができる。ストレートシリコーンオイルについて具体的に説明すると、その構造は下記式によって表される。
Figure 2013170586
上記の化学式において、Rは置換基を示している。ストレートシリコーンオイルとしては、例えば置換基Rの全てがメチル基に置換されたジメチルシリコーンと称されるシリコーンオイルが挙げられる。この他、置換基Rの一部がフェニル基に置換されたメチルフェニルシリコーンオイルと称されるシリコーンオイルが挙げられる。
ストレートシリコーンオイルは、一般的に、主鎖であるポリシロキサンの重合度が大きいほど動粘度が大きくなることが知られており、これは、上述したいずれのシリコーンオイルであっても同様である。また、ストレートシリコーンオイルの動粘度と揮発性との間には相関が見られる。その一例として、図9に、ジメチルシリコーンオイルの動粘度と揮発性との相関を模式的に示してある。縦軸は、予め定めた量のジメチルシリコーンオイルを150℃で24時間、加熱した場合における初期の量に対する揮発分の割合(%)を示している。横軸は揮発分の測定に使用したジメチルシリコーンオイルの25℃における動粘度(mm/s)を示している。図9に示すように、動粘度が20mm/s以上のジメチルシリコーンオイルはほとんど揮発しないことが認められる。すなわち、揮発分を無視することができる。なお、従来一般的に使用されているCVTFの25℃における動粘度は20mm/s以上であることが知られている。そのため、25℃における動粘度が20mm/s以上であるジメチルシリコーンオイルを、ベルト溝とブロックとの間やベルト3の冷却のために使用することは、実用的であると言うことができる。
次に、上述した構成のベルト式無段変速機1の作用について説明する。駆動プーリ4および従動プーリ5の押圧機構が発生させた推力により、それぞれの可動シーブ4b、5bが固定シーブ4a,5a側に移動させられ、固定シーブ4aと可動シーブ4bとの間、および固定シーブ5aと可動シーブ5bとの間にベルト3が挟み付けられる。そして、例えば駆動プーリ4における可動シーブ4bに作用させる推力を増大させて可動シーブ4bを固定シーブ4aに更に接近させれば、駆動プーリ4におけるベルト溝4cの幅が狭くなってベルト3が半径方向で外側に移動させられる。その結果、駆動プーリ4におけるベルト3の巻き掛かり半径が増大する。これと併せて従動プーリ5では、ベルト3が固定シーブ5aと可動シーブ5bとの間隔すなわちベルト溝5cの幅を押し広げ、ベルト3の巻き掛かり半径が減少させられる。すなわち、変速比が小さくなるアップシフトが生じる。
これとは反対に、例えば駆動プーリ4における可動シーブ4bに作用させる推力を減少させて可動シーブ4bを固定シーブ4aから離隔させれば、駆動プーリ4におけるベルト溝4cの幅が拡がってベルト3が半径方向で内側に移動させられる。その結果、駆動プーリ4におけるベルト3の巻き掛かり半径が減少する。これと併せて従動プーリ5では、固定シーブ5aと可動シーブ5bとの間隔すなわちベルト溝5cの幅が狭くなってベルト3の巻き掛かり半径が増大させられる。すなわち、変速比が大きくなるダウンシフトが生じる。
なお、必要とする伝達トルク容量を設定するために、例えば従動プーリ5において、各シーブ5a,5bが伝達トルク容量に応じた荷重でベルト3を挟み付け、駆動プーリ4においては各シーブ4a,4bが従動プーリ5におけるベルト挟圧力およびそれに伴うベルト張力によってベルト3の巻き掛かり半径が変化しないようにベルト3を挟み付ける。
駆動プーリ4および従動プーリ5の少なくとも一部は、上述したように、オイル溜まり部に貯留されたシリコーンオイルに浸漬されているため、各プーリ4,5が回転することによりシリコーンオイルが掻き上げられる。その掻き上げられたシリコーンオイルは例えばケース2の内壁面や各シーブ4a,4b,5a,5bのテーパ面に沿って流れてベルト3や上述した接触面に供給される。接触面にシリコーンオイルが供給された場合、その接触面の潤滑状態は、上述したシリコーンオイルの性質のために、混合潤滑よりも境界潤滑に近い潤滑状態になる。その結果、接触面の摩擦係数が高い状態に維持される。また、接触面に生じた摩擦熱は、シリコーンオイルに熱伝達されることにより、接触面は冷却される。駆動プーリ4および従動プーリ5の回転により掻き上げられたシリコーンオイルは重力によってオイル溜まり部に戻される。そして、シリコーンオイルの潜熱の形で輸送された摩擦熱はオイル溜まり部に熱伝達され、そのオイル溜まり部を介して大気中に放熱される。このようにしてシリコーンオイルが冷却される。
したがって、この発明によれば、ベルト3と各プーリ4,5との接触面をシリコーンオイルによって冷却できるため、これらの箇所を空冷する場合に比較して冷却効率を向上することができる。その結果、ベルト3の温度が過大になることによってベルト3の耐久性が低下することを防止もしくは抑制することができる。また、シリコーンオイルは上述した性質により接触面を潤滑し難いために、接触面における摩擦係数を高い状態に維持することができ、伝達トルク容量を維持することができる。これらに加えて、ベルト3や接触面を外気によって冷却しないために、トランスミッションケースやケース2を密閉構造とすることができ、その結果、ケース2の内部に塵埃が侵入することを未然に防ぐことができる。更に、ケース2を密閉構造にできることにより、ケース2の内部で生じた音が外部に漏れ出て騒音となることを未然に防ぐことができる。
ベルト3と各プーリ4,5との間の摩擦係数を評価するために、Falex社製のブロックオンリング型摩擦摩耗試験機(LFW−1試験機と称されることがある)を使用して摩擦接触する2面間の摩擦係数を測定した。図10に、LFW−1試験機24の主要部の構成を模式的に示してある。LFW−1試験機24の主軸にリング25が取り付けられている。そのリング25は図示しない試験油ケース内に配置され、かつ、その試験油ケース内に貯留された試験油に浸漬されるようになっている。またリング25にはブロック26と称される試験片が接触させられるようになっている。そして、予め定めた荷重でブロック26をリング25に接触させ、かつリング25を回転させることによってリング25とブロック26との間の摩擦係数を測定するように構成されている。
この実施例1では、鉄製のリング(SAE4620)と、鉄製のブロック(SCM420)とを使用した。ブロック26には5lbs(約2.27Kg)の荷重を作用させてリング25に接触させた。その荷重は乾式のベルト式無段変速機の通常の使用条件下において、ベルト3のブロックに作用する面圧を考慮して設定した。また、リング25とブロック26との回転速度差、すなわち滑り速度は、乾式のベルト式無段変速機の通常の使用条件や状態を含む条件も考慮して設定した。滑り速度は0.06ないし1.1m/s(35ないし600rpm)の広い範囲に設定した。具体的には、ベルト3とプーリとの間に小さな滑りが生じた場合におけるこれらの部材同士の間の滑り速度などを想定している。試験油としては25℃における動粘度が20cstのジメチルシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製のKF−96−20cs)を使用した。75℃±5℃に温めた50mlのジメチルシリコーンオイルを上述した試験油ケースに充填した。なお、摩擦係数の測定は、75℃に温めたジメチルシリコーンオイルにリング25およびブロック26を約10分間、接触させた後に行った。
比較例1
上述した実施例1において使用したシリコーンオイルに替えて、米国石油協会(API)が定めるグループ3に分類される飽和ハイドロカーボンを90%以上含むベースオイルを使用した以外は、上述した実施例1と同様の条件下で摩擦係数を測定した。
比較例2
上述した実施例1において使用したシリコーンオイルに替えて、トヨタ自動車株式会社指定のCVTF JWS3320を使用した以外は、上述した実施例1と同様の条件下で摩擦係数を測定した。
シリコーンオイルを使用した実施例1およびベースオイルを使用した比較例1ならびにCVTFを使用した比較例2における摩擦係数の測定結果を図1に示してある。また、乾式のベルト式無段変速機についての通常の使用条件の範囲を図1にクロスハッチングを付した領域として記載してある。乾式のベルト式無段変速機においては、通常、ベルトとプーリとの間の摩擦係数が0.2以上となっている。図1に示す測定結果から明らかなように、通常の使用条件の範囲内においては、リング25とブロック26との間にジメチルシリコーンオイルを供給したとしても、摩擦係数は低下しにくいことが認められた。すなわち、ジメチルシリコーンオイルを供給したとしても、ベルトとプーリとの間の伝達トルク容量を維持できることが示唆される。これに対して、比較例1および比較例2における摩擦係数は、リング25とブロック26との間がベースオイルやCVTFによって潤滑されるために、実施例1における摩擦係数に比較して小さいことが認められた。なお、比較例1および比較例2における摩擦係数が同程度であることから、ベースオイルおよびCVTFは、リング25とブロック26との間を同程度に潤滑することが認められた。
上述した実施例1において使用した鉄製のリングに替えて、銅製のリングを使用した以外は、上述した実施例1と同様の条件下で摩擦係数を測定した。
比較例3
上述した実施例2において使用したシリコーンオイルに替えて、米国石油協会(API)が定めるグループ3に分類される飽和ハイドロカーボンを90%以上含むベースオイルを使用した以外は、上述した実施例2と同様の条件下で摩擦係数を測定した。
比較例4
上述した実施例2において使用したシリコーンオイルに替えて、トヨタ自動車株式会社指定のCVTF JWS3320を使用した以外は、上述した実施例2と同様の条件下で摩擦係数を測定した。
シリコーンオイルを使用した実施例2およびベースオイルを使用した比較例3ならびにCVTFを使用した比較例4における摩擦係数の測定結果を図2に示してある。図2においても、上述した通常の使用条件の範囲をクロスハッチングを付した領域として記載してある。図2に示すように、ジメチルシリコーンオイルは銅製のリング25と鉄製のブロック26との間の摩擦係数を低下させにくいことが認められた。これに対して、ベースオイルやCVTFは銅製のリング25と鉄製のブロック26との間を潤滑してこれらの間の摩擦係数を低下させることが認められた。
上述した実施例1において使用した鉄製のブロックに替えて、フェノール(PF)樹脂製のブロックを使用した以外は、上述した実施例1と同様の条件下で摩擦係数を測定した。
比較例5
上述した実施例3において使用したシリコーンオイルに替えて、米国石油協会(API)が定めるグループ3に分類される飽和ハイドロカーボンを90%以上含むベースオイルを使用した以外は、上述した実施例3と同様の条件下で摩擦係数を測定した。
比較例6
上述した実施例3において使用したシリコーンオイルに替えて、トヨタ自動車株式会社指定のCVTF JWS3320を使用した以外は、上述した実施例3と同様の条件下で摩擦係数を測定した。
シリコーンオイルを使用した実施例3およびベースオイルを使用した比較例5ならびにCVTFを使用した比較例6における摩擦係数の測定結果を図3に示してある。図3に示すように、いずれのオイルを使用したとしても、PF樹脂製のブロックと鉄製のリングとの間の摩擦係数は、上述した実施例1における摩擦係数に比較して小さいことが認められた。
上述した実施例1において使用した鉄製のブロックに替えて、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂製のブロックを使用した以外は、上述した実施例1と同様の条件下で摩擦係数を測定した。
比較例7
上述した実施例4において使用したシリコーンオイルに替えて、米国石油協会(API)が定めるグループ3に分類される飽和ハイドロカーボンを90%以上含むベースオイルを使用した以外は、上述した実施例4と同様の条件下で摩擦係数を測定した。
比較例8
上述した実施例4において使用したシリコーンオイルに替えて、トヨタ自動車株式会社指定のCVTF JWS3320を使用した以外は、上述した実施例4と同様の条件下で摩擦係数を測定した。
シリコーンオイルを使用した実施例4およびベースオイルを使用した比較例7ならびにCVTFを使用した比較例8における摩擦係数の測定結果を図4に示してある。図4に示すように、いずれのオイルを使用したとしても、PEEK樹脂製のブロックと鉄製のリングとの間の摩擦係数は、上述した実施例1における摩擦係数に比較して小さいことが認められた。
上述した実施例1において使用した鉄製のブロックに替えて、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂製のブロックを使用した以外は、上述した実施例1と同様の条件下で摩擦係数を測定した。
比較例9
上述した実施例5において使用したシリコーンオイルに替えて、米国石油協会(API)が定めるグループ3に分類される飽和ハイドロカーボンを90%以上含むベースオイルを使用した以外は、上述した実施例5と同様の条件下で摩擦係数を測定した。
比較例10
上述した実施例5において使用したシリコーンオイルに替えて、トヨタ自動車株式会社指定のCVTF JWS3320を使用した以外は、上述した実施例5と同様の条件下で摩擦係数を測定した。
シリコーンオイルを使用した実施例5およびベースオイルを使用した比較例9ならびにCVTFを使用した比較例10における摩擦係数の測定結果を図5に示してある。図5に示すように、いずれのオイルを使用したとしても、PTFE樹脂製のブロックと鉄製のリングとの間の摩擦係数は、上述した実施例1における摩擦係数に比較して小さいことが認められた。
上述した図3ないし図5に示す測定結果は、ベルト式無段変速機1におけるベルト3のブロック16の表面と、プーリ4,5の表面とのいずれか一方を樹脂によってコーティングした場合、ベルト3およびプーリ4,5にシリコーンオイルを供給したとしても、ベルト3とプーリ4,5との間の摩擦係数が低下することを示唆している。言い換えれば、上述した構成のベルト式無段変速機1におけるベルト3とプーリ4,5とにシリコーンオイルを供給した場合に、これらの間の摩擦係数を低下させないためには、ベルト3および各プーリ4,5の表面を上述した金属などの高硬度部材によって形成する必要があることを示唆している。
詳細は図示しないが、この発明は、ベルト内部滑り損失の小さなチェーンを使用したチェーン式の無段変速機に適用することもできる。チェーン式無段変速機の構成について簡単に説明すると、チェーンはリンクと称される金属製の小片を、金属製のピンを介して連結して無端状に構成されている。そのピンの端部がプーリの表面に接触し、ピンの端部とプーリの表面との間に生じる摩擦力によってトルクを伝達するようになっている。そのため、ピンの端部とプーリの表面との間には、金属同士が接触することによる摩耗や焼き付きなどを低減するために、一般的に上述したようなCVTFなどのオイルが供給されている。上述したリンクおよびピンは、例えば鋼や鋳鉄あるいはアルミ合金などの高硬度部材により形成されている。
このような構成のチェーン式無段変速機に対してこの発明を適用する場合、ピンの端部とプーリの表面との間には上述したオイルに替えてシリコーンオイルが供給される。シリコーンオイルは、上述した図3に示す測定結果から明らかなように、高硬度部材である金属などによってベルトとプーリとが形成されている場合、ベルトとプーリの表面との間を潤滑しにくい。そのため、チェーン式無段変速機にこの発明を適用すれば、ピンの端部とプーリの表面との間における摩擦係数を低下させずに、動力を伝達することによってピンの端部とプーリの表面とに生じる摩擦熱をシリコーンオイルによって奪い去ることができる。また、チェーンの内部滑りに起因してチェーンに生じる摩擦熱をシリコーンオイルによって奪い去ることができる。すなわち、この発明をチェーン式無段変速機に適用した場合、チェーン式無段変速機におけるピンの端部とプーリの表面との間の摩擦係数を、乾式のベルト式無段変速機におけるベルトとプーリの表面との間の摩擦係数と同等程度まで向上させることができる。その結果、チェーン式無段変速機の各プーリにおいてチェーンを挟み付けている挟圧力を減少させることができる。延いてはチェーン式無段変速機を搭載した車両の燃費を向上させることができる。
1…ベルト式無段変速機、 3…ベルト、 4…駆動プーリ、4c…駆動プーリのベルト溝、 5…従動プーリ、 5c…従動プーリのベルト溝、 16…ブロック、 17,18…バンド。

Claims (4)

  1. プーリに形成されたベルト溝にベルトを巻き掛けてベルトとプーリとを摩擦接触させることにより、その摩擦力を利用してプーリとベルトとの間で動力を伝達するベルト式無段変速機において、
    前記プーリとベルトとの少なくとも一方に接触してそのプーリもしくはベルトから熱を奪って冷却を行うシリコーンオイルを備えていることを特徴とするベルト式無段変速機。
  2. 前記プーリとベルトとは液密状態に封止されたケースの内部に収容され、かつそのケースの内部に前記プーリもしくはベルトに掻き上げられるよう前記シリコーンオイルが封入されていることを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
  3. 前記シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイルとメチルフェニルシリコーンオイルとのいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のベルト式無段変速機。
  4. 前記プーリと前記ブロックとが高硬度部材によって形成され、あるいは、前記プーリのベルト溝に接触する前記ブロックの表面が前記高硬度部材によって被覆されており、かつ、
    前記ブロックと前記プーリとが接触した場合におけるこれらの間の摩擦係数が0.2以上である
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のベルト式無段変速機。
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