JP2013170264A - シリコーン系接着剤組成物およびその硬化体 - Google Patents
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Abstract
【課題】保存安定性と取り扱いやすさを向上させ、硬化後の強度が高いシリコーン系接着剤組成物およびその硬化体を提供する。
【解決手段】2種以上のアルキルトリアルコキシシランと、触媒としてのヒドロキシアセトンと、水と、を含むシリコーン系接着剤組成物。前記アルキルトリアルコキシシランは、メチルトリメトキシシランを主成分として含むと共に、フェニルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシランおよびヘキシルトリメトキシシランの内のいずれか1つを副成分として含むことを特徴とするシリコーン系接着剤組成物。
【選択図】図1
【解決手段】2種以上のアルキルトリアルコキシシランと、触媒としてのヒドロキシアセトンと、水と、を含むシリコーン系接着剤組成物。前記アルキルトリアルコキシシランは、メチルトリメトキシシランを主成分として含むと共に、フェニルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシランおよびヘキシルトリメトキシシランの内のいずれか1つを副成分として含むことを特徴とするシリコーン系接着剤組成物。
【選択図】図1
Description
本発明は、シリコーン系接着剤組成物およびその硬化体に関する。
透明性の高いシリコーン系接着剤として、一般的に、変性シリコーン樹脂系の接着剤が知られている(例えば、特許文献1を参照)。しかし、その主鎖であるポリエーテルの影響を受け、高い耐熱性を期待できない。そのため、耐熱性を求める加熱硬化型のシリコーン系接着剤の多くは、ビニル基含有オルガノシロキサンオリゴマーを主剤とし、ハイドロジェンオルガノシロキサンを架橋剤とし、白金化合物を触媒として付加反応により製造されている(例えば、特許文献2を参照)。
しかし、上記従来のシリコーン系接着剤組成物の場合、ハイドロジェンオルガノシロキサンの反応性が非常に高いため、金属やアルコールと反応して可燃性の水素を発生しやすいことに加え、該組成物がヒトの目に入った場合に健康被害を起こすといった懸念があり、その取り扱いには多くの注意を要する。さらに、保存安定性が低いことから、基本的には二液タイプの形態をとらざるを得ない。また、シリコーン樹脂の多くは低反応性であるため、硬化させるにあたり相応の時間を要する。そのため、硬化過程で樹脂が流れ出しやすい。それを防止すべく、主剤である前駆体にオリゴマーを用いて粘性を高めている。しかし、その場合には、硬化したときに被着材との界面強度が十分ではない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、保存安定性と取り扱いやすさを向上させ、硬化後の強度が高いシリコーン系接着剤組成物およびその硬化体を得ることを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の一形態に係るシリコーン系接着剤組成物は、2以上のアルキルトリアルコキシシランと、触媒としてのヒドロキシアセトンと、水とを含むシリコーン系接着剤組成物である。
本発明の別の形態に係るシリコーン系接着剤組成物は、好ましくは、アルキルトリアルコキシシランがメチルトリメトキシシランを主成分として含むと共に、フェニルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシランおよびヘキシルトリメトキシシランの内のいずれか1つを副成分として含む。
本発明の別の形態に係るシリコーン系接着剤組成物は、好ましくは、アルキルトリアルコキシシランがフェニルトリメトキシシランを主成分として含むと共に、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシランおよびヘキシルトリメトキシシランおよびデシルトリメトキシシランの内のいずれか1つを副成分として含む。
本発明の別の形態に係るシリコーン系接着剤組成物は、さらに好ましくは、アルキルトリアルコキシシランの主成分が2以上のアルキルトリアルコキシシランに対して、モル比にて0.7〜0.95の割合を占める。
本発明の別の形態に係るシリコーン系接着剤組成物は、さらに好ましくは、水を、アルキルトリアルコキシシランに対して、モル比にて2.5〜5.0の範囲で含む。
本発明の別の形態に係るシリコーン系接着剤組成物は、さらに好ましくは、ヒドロキシアセトンを、アルキルトリアルコキシシランに対して、モル比にて0.4以下の範囲で含む。
本発明の一形態に係る硬化体は、上記いずれかのシリコーン系接着剤組成物を硬化して成る。
本発明によれば、保存安定性と取り扱いやすさを向上させ、硬化後の強度が高いシリコーン系接着剤組成物、およびその硬化体を得ることができる。
次に、本発明に係るシリコーン系接着剤組成物およびその硬化体の各実施の形態について説明する。
「1.シリコーン系接着剤組成物の実施の形態」
1.1 シリコーン系接着剤組成物に含まれる構成要素
この実施の形態に係るシリコーン系接着剤組成物は、(A)2以上のアルキルトリアルコキシシランと、(B)ヒドロキシアセトンと、(C)水と、を含む。
1.1 シリコーン系接着剤組成物に含まれる構成要素
この実施の形態に係るシリコーン系接着剤組成物は、(A)2以上のアルキルトリアルコキシシランと、(B)ヒドロキシアセトンと、(C)水と、を含む。
(A)2以上のアルキルアルコキシシラン
アルキルアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリプロポキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン等を例示できる。
アルキルアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリプロポキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン等を例示できる。
上記例示のアルキルアルコキシシランの中で、特に、アルキルトリメトキシシランを2以上、より好ましくは2種類を組み合わせるのが好ましい。さらに、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランおよびフェニルトリメトキシシランの内の2以上、より好ましくは2種類を組み合わせるのが好ましく、(a)メチルトリメトキシシランと、(b)ヘキシルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシランおよびフェニルトリメトキシシランの内のいずれか1つとを組み合わせる、あるいは、(c)フェニルトリメトキシシランと、(d)メチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシランおよびイソブチルトリメトキシシランの内のいずれか1つとを組み合わせる、のがより好ましい。
2種類のアルキルアルコキシシランからなるシリコーン系接着剤組成物の前駆体(以後、単に、「前駆体」ともいう)の場合には、1種類のアルキルアルコキシシランともう1種類のアルキルアルコキシシランとのモル比を、19〜2.3:1、さらには9〜4:1とするのが好ましい。
(B)ヒドロキシアセトン
ヒドロキシアセトンは、主剤としてのアルキルアルコキシシランを架橋させる触媒として機能する。ヒドロキシアセトンは、前駆体に対して、モル比にて0.4以下、好ましくは0.01〜0.4、より好ましくは0.01〜0.3、さらに好ましくは0.02〜0.2の範囲にて、シリコーン系接着剤組成物の製造時に含まれる。
ヒドロキシアセトンは、主剤としてのアルキルアルコキシシランを架橋させる触媒として機能する。ヒドロキシアセトンは、前駆体に対して、モル比にて0.4以下、好ましくは0.01〜0.4、より好ましくは0.01〜0.3、さらに好ましくは0.02〜0.2の範囲にて、シリコーン系接着剤組成物の製造時に含まれる。
(C)水
水は、前駆体に対して、モル比にて2.5〜5、さらには2.5〜4、とりわけ3〜4の範囲にて、シリコーン系接着剤組成物に含まれるのが好ましい。
水は、前駆体に対して、モル比にて2.5〜5、さらには2.5〜4、とりわけ3〜4の範囲にて、シリコーン系接着剤組成物に含まれるのが好ましい。
1.2 シリコーン系接着剤組成物の製造方法
図1に、この実施の形態に係るシリコーン系接着剤組成物の例示的な製造方法のフローを示す。
図1に、この実施の形態に係るシリコーン系接着剤組成物の例示的な製造方法のフローを示す。
まず、2種以上のアルキルアルコキシシランを混合する(ステップ1)。これと併行して、ヒドロキシアセトンと水とを混合する(ステップ2)。ステップ1およびステップ2の各混合工程では、如何なる混合手段を用いても良く、例えば超音波洗浄器を使った超音波分散によって行っても良い。次に、ステップ1にて混合した内容物とステップ2にて混合した内容物を1つにして混合する(ステップ3)。ステップ3の混合工程でも、如何なる混合手段を用いても良いが、ステップ1およびステップ2に比べて高粘度の内容物を混合することになるため、例えば攪拌羽根や攪拌子を用いた攪拌によって行うのが好ましい。ステップ3では、室温(15〜35℃、好ましくは20〜25℃)にて0.1〜5時間程度、攪拌を実行するのが好ましい。攪拌速度は、内容物に応じて適宜変更でき、例えば、300〜800rpm、より好ましくは400〜500rpmに設定するのが好ましい。
次に、ステップ3の後の内容物を攪拌しながら加温する(ステップ4)。ステップ4では、50〜70℃、好ましくは55〜65℃にて加温しながら、ステップ3よりも長時間攪拌する。例えば、50〜70℃において、300〜800rpm、より好ましくは400〜500rpmにて攪拌する場合、100〜200時間、攪拌を継続するのが好ましい。ステップ4の後、攪拌した内容物をエバポレーター等に移し、エバポレーションを行う(ステップ5)。その際、例えば、35〜45℃にて加温しながら、エバポレーションを行うのが好ましい。
「2.硬化体の実施の形態」
硬化体は、シリコーン系接着剤組成物を加熱硬化して得られる。加熱温度は、100〜250℃、好ましくは110〜170℃、より好ましくは150〜170℃である。上記温度での加熱に先立ち、50〜90℃、好ましくは60〜80℃にて予備加熱するのが好ましい。さらに、予備加熱は、複数の被着物で接着剤を挟まないで、空気や空気中の水分に晒した状態で実行する方が、硬化体の強度向上の面で好ましい。
硬化体は、シリコーン系接着剤組成物を加熱硬化して得られる。加熱温度は、100〜250℃、好ましくは110〜170℃、より好ましくは150〜170℃である。上記温度での加熱に先立ち、50〜90℃、好ましくは60〜80℃にて予備加熱するのが好ましい。さらに、予備加熱は、複数の被着物で接着剤を挟まないで、空気や空気中の水分に晒した状態で実行する方が、硬化体の強度向上の面で好ましい。
次に、本発明の実施例について説明する。
1.シリコーン系接着剤組成物の構成材料
1.1 アルキルトリアルコキシシラン
アルキルトリアルコキシシランとしては、東京化成工業株式会社製のメチルトリメトキシシラン(MTMS)、東京化成工業株式会社製のフェニルトリメトキシシラン(PhTMS)、東レ・ダウコーニング株式会社製のイソブチルトリメトキシシラン(i−BTMS)および東京化成工業株式会社製のヘキシルトリメトキシシラン(HTMS)を用いた。
1.1 アルキルトリアルコキシシラン
アルキルトリアルコキシシランとしては、東京化成工業株式会社製のメチルトリメトキシシラン(MTMS)、東京化成工業株式会社製のフェニルトリメトキシシラン(PhTMS)、東レ・ダウコーニング株式会社製のイソブチルトリメトキシシラン(i−BTMS)および東京化成工業株式会社製のヘキシルトリメトキシシラン(HTMS)を用いた。
1.2 触媒
触媒としては、東京化成工業株式会社製のヒドロキシアセトン(HA)を用いた。
触媒としては、東京化成工業株式会社製のヒドロキシアセトン(HA)を用いた。
1.3 水
水には、蒸留水を用いた。
水には、蒸留水を用いた。
2.接着強度の評価方法
図2に、引張試験片の側面図を示す。幅25mm×長さ100mm×厚さ1.5mmのアルミニウム板を2枚用意し、それらの長さ方向端部12.5mmの領域を厚さ方向に重ねて、その重なった領域において、2枚のアルミニウム板の間に接着剤を供給して硬化した。接着剤には、予め、スペーサーとして平均直径約200μmのガラスビーズを用いて、接着層の厚さを約200μmに一定となるようにした。引張試験は、株式会社エー・アンド・ディ製の引張強度試験装置(型番: RTC1250A)を用いて行った。引張強度は、室温にて試験片の両端を把持して互いに反対方向に引張速度5mm/minにて引っ張ったときに破断したときの強度とした。
図2に、引張試験片の側面図を示す。幅25mm×長さ100mm×厚さ1.5mmのアルミニウム板を2枚用意し、それらの長さ方向端部12.5mmの領域を厚さ方向に重ねて、その重なった領域において、2枚のアルミニウム板の間に接着剤を供給して硬化した。接着剤には、予め、スペーサーとして平均直径約200μmのガラスビーズを用いて、接着層の厚さを約200μmに一定となるようにした。引張試験は、株式会社エー・アンド・ディ製の引張強度試験装置(型番: RTC1250A)を用いて行った。引張強度は、室温にて試験片の両端を把持して互いに反対方向に引張速度5mm/minにて引っ張ったときに破断したときの強度とした。
3.実験1A(アルキルトリアルコキシシランの組み合わせの検討)
MTMSを主要のアルキルトリアルコキシシランとし、MTMS+i−BTMS、MTMS+PhTMSおよびMTMS+HTMSの3種類の組み合わせにて各シリコーン系接着剤組成物を作製し、それを2枚のアルミニウム板の間に挟んで硬化させ、その接着強度を評価した。比較として、MTMS、i−BTMSおよびPhTMSの各種アルキルトリアルコキシシランを単体で用いた各シリコーン系接着剤組成物を作製し、同様に、その接着強度を評価した。
MTMSを主要のアルキルトリアルコキシシランとし、MTMS+i−BTMS、MTMS+PhTMSおよびMTMS+HTMSの3種類の組み合わせにて各シリコーン系接着剤組成物を作製し、それを2枚のアルミニウム板の間に挟んで硬化させ、その接着強度を評価した。比較として、MTMS、i−BTMSおよびPhTMSの各種アルキルトリアルコキシシランを単体で用いた各シリコーン系接着剤組成物を作製し、同様に、その接着強度を評価した。
3.1 シリコーン系接着剤組成物の作製条件
<実施例1〜3>
グローブボックス(アズワン株式会社製、型番: Galaxy)内に窒素をフロー状態とした雰囲気にて、42.5mmolのMTMSと7.5mmolのi−BTMSとを容器A内に入れ、続いて、該容器Aを超音波洗浄器(アズワン株式会社製、型番: USK−3R)に入れ、約10分間の超音波混合を行った。これと併行して、上記グローブボックス内において150mmolの水と5mmolのHAとを別の容器B内に入れて、上記と同じ条件にて超音波混合を行った。以後の作業も、シリコーン系接着剤組成物の作製終了まで、上記グローブボックス内で行った。次に、容器Aの内容物と容器B内の内容物とを混合して、温度と撹拌数を一定に保つことが出来る有機合成装置(柴田科学株式会社、型番: CP−160)内で25℃にて、回転数550rpm、1時間の攪拌を行った。次に、同じ有機合成装置の温度を60℃に上げて、攪拌を168時間継続した。次に、攪拌を停止し、ロータリーエバポレーター(柴田科学株式会社製、型番: RIIA)を用いて、40℃を保持して、200hPaにて10分間、150hPaにて10分間、100hPaにて10分間、80hPaにて30分間の順に圧力調整を行い、エバポレーションを行った。これらの一連の作業により、アルキルトリアルコキシシランとして、MTMSとi−BTMSとを組み合わせた系によるシリコーン系接着剤組成物を作製した(実施例1)。実施例1のi−BTMSをPhTMSに変えた以外、実施例1と同じ条件にてMTMSとPhTMSとを組み合わせた系によるシリコーン系接着剤組成物を作製した(実施例2)。また、実施例1のi−BTMSをHTMSに変えた以外、実施例1と同じ条件にてMTMSとHTMSとを組み合わせた系によるシリコーン系接着剤組成物を作製した(実施例3)。
<実施例1〜3>
グローブボックス(アズワン株式会社製、型番: Galaxy)内に窒素をフロー状態とした雰囲気にて、42.5mmolのMTMSと7.5mmolのi−BTMSとを容器A内に入れ、続いて、該容器Aを超音波洗浄器(アズワン株式会社製、型番: USK−3R)に入れ、約10分間の超音波混合を行った。これと併行して、上記グローブボックス内において150mmolの水と5mmolのHAとを別の容器B内に入れて、上記と同じ条件にて超音波混合を行った。以後の作業も、シリコーン系接着剤組成物の作製終了まで、上記グローブボックス内で行った。次に、容器Aの内容物と容器B内の内容物とを混合して、温度と撹拌数を一定に保つことが出来る有機合成装置(柴田科学株式会社、型番: CP−160)内で25℃にて、回転数550rpm、1時間の攪拌を行った。次に、同じ有機合成装置の温度を60℃に上げて、攪拌を168時間継続した。次に、攪拌を停止し、ロータリーエバポレーター(柴田科学株式会社製、型番: RIIA)を用いて、40℃を保持して、200hPaにて10分間、150hPaにて10分間、100hPaにて10分間、80hPaにて30分間の順に圧力調整を行い、エバポレーションを行った。これらの一連の作業により、アルキルトリアルコキシシランとして、MTMSとi−BTMSとを組み合わせた系によるシリコーン系接着剤組成物を作製した(実施例1)。実施例1のi−BTMSをPhTMSに変えた以外、実施例1と同じ条件にてMTMSとPhTMSとを組み合わせた系によるシリコーン系接着剤組成物を作製した(実施例2)。また、実施例1のi−BTMSをHTMSに変えた以外、実施例1と同じ条件にてMTMSとHTMSとを組み合わせた系によるシリコーン系接着剤組成物を作製した(実施例3)。
<比較例1〜3>
アルキルトリアルコキシシランとして50mmolのMTMSのみを用いた以外、実施例1と同じ条件にて、各種シリコーン系接着剤組成物を作製した(比較例1)。また、MTMSに代えて、i−BTMSおよびPhTMSをそれぞれ単独に用いた以外、比較例1と同じ条件にて、各種シリコーン系接着剤組成物を作製した(それぞれ、比較例2および比較例3)。
アルキルトリアルコキシシランとして50mmolのMTMSのみを用いた以外、実施例1と同じ条件にて、各種シリコーン系接着剤組成物を作製した(比較例1)。また、MTMSに代えて、i−BTMSおよびPhTMSをそれぞれ単独に用いた以外、比較例1と同じ条件にて、各種シリコーン系接着剤組成物を作製した(それぞれ、比較例2および比較例3)。
3.2 硬化体の作製
上記実施例1〜3、比較例1および比較例3の条件にて作製した各種接着剤を2枚の上記アルミニウム板の間に供した試験片を、ドライオーブン(アズワン株式会社製、型番: DOV−300)を用いて、80℃にて6時間加熱した後、温度を110℃まで上げて3時間加熱した。また、比較例2の条件にて作製した接着剤を2枚の上記アルミニウム板の間に供した試験片については、上記ドライオーブンにて80℃にて6時間加熱した後、110℃にて3時間加熱し、その後、180℃にて3時間加熱した。
上記実施例1〜3、比較例1および比較例3の条件にて作製した各種接着剤を2枚の上記アルミニウム板の間に供した試験片を、ドライオーブン(アズワン株式会社製、型番: DOV−300)を用いて、80℃にて6時間加熱した後、温度を110℃まで上げて3時間加熱した。また、比較例2の条件にて作製した接着剤を2枚の上記アルミニウム板の間に供した試験片については、上記ドライオーブンにて80℃にて6時間加熱した後、110℃にて3時間加熱し、その後、180℃にて3時間加熱した。
3.3 接着強度の評価
図3に、実施例1〜3の条件で作製した各試験片の引張強度を示す。図4に、比較例1〜3の条件で作製した各試験片の引張強度を示す。
図3に、実施例1〜3の条件で作製した各試験片の引張強度を示す。図4に、比較例1〜3の条件で作製した各試験片の引張強度を示す。
図4に示すように、アルキルトリアルコキシシランを単体で用いてシリコーン系接着剤組成物を作製した場合には、いずれのアルキルトリアルコキシシランを使用した場合でも、0.6MPa以下の引張強度しか認められなかった。一方、図3に示すように、2種類のアルキルトリアルコキシシランを組み合わせてシリコーン系接着剤組成物を作製した場合には、いずれの組み合わせでも前駆体がエマルジョン化し、硬化させたときに約2MPa以上の高い引張強度が認められた。特に、MTMS+HTMS系の場合(実施例3)には、3MPa以上の極めて高い引張強度が認められた。
4.実験1B(アルキルトリアルコキシシランの組み合わせの検討)
PhTMSを主要のアルキルトリアルコキシシランとし、PhTMS+MTMS、PhTMS+i−BTMS、PhTMS+HTMSおよびPhTMS+DTMSの4種類の組み合わせにて各シリコーン系接着剤組成物を作製し、それを2枚のアルミニウム板の間に挟んで硬化させ、その接着強度を評価した。
PhTMSを主要のアルキルトリアルコキシシランとし、PhTMS+MTMS、PhTMS+i−BTMS、PhTMS+HTMSおよびPhTMS+DTMSの4種類の組み合わせにて各シリコーン系接着剤組成物を作製し、それを2枚のアルミニウム板の間に挟んで硬化させ、その接着強度を評価した。
4.1 シリコーン系接着剤組成物の作製条件
<実施例4〜7>
グローブボックス(アズワン株式会社製、型番: Galaxy)内に窒素をフロー状態とした雰囲気にて、42.5mmolのPhTMSと7.5mmolのMTMSとを容器A内に入れ、続いて、該容器Aを超音波洗浄器(アズワン株式会社製、型番: USK−3R)に入れ、約10分間の超音波混合を行った。これと併行して、上記グローブボックス内において150mmolの水と5mmolのHAとを別の容器B内に入れて、上記と同じ条件にて超音波混合を行った。以後の工程は、実験1Aと同様の工程とし、PhTMSとMTMSとを組み合わせた系によるシリコーン系接着剤組成物を作製した(実施例4)。実施例4のMTMSをi−BTMSに変えた以外、実施例4と同じ条件にてPhTMSとi−BTMSとを組み合わせた系によるシリコーン系接着剤組成物を作製した(実施例5)。また、実施例4のMTMSをHTMSに変えた以外、実施例4と同じ条件にてPhTMSとHTMSとを組み合わせた系によるシリコーン系接着剤組成物を作製した(実施例6)。また、実施例4のMTMSをDTMSに変えた以外、実施例4と同じ条件にてPhTMSとDTMSとを組み合わせた系によるシリコーン系接着剤組成物を作製した(実施例7)。
<実施例4〜7>
グローブボックス(アズワン株式会社製、型番: Galaxy)内に窒素をフロー状態とした雰囲気にて、42.5mmolのPhTMSと7.5mmolのMTMSとを容器A内に入れ、続いて、該容器Aを超音波洗浄器(アズワン株式会社製、型番: USK−3R)に入れ、約10分間の超音波混合を行った。これと併行して、上記グローブボックス内において150mmolの水と5mmolのHAとを別の容器B内に入れて、上記と同じ条件にて超音波混合を行った。以後の工程は、実験1Aと同様の工程とし、PhTMSとMTMSとを組み合わせた系によるシリコーン系接着剤組成物を作製した(実施例4)。実施例4のMTMSをi−BTMSに変えた以外、実施例4と同じ条件にてPhTMSとi−BTMSとを組み合わせた系によるシリコーン系接着剤組成物を作製した(実施例5)。また、実施例4のMTMSをHTMSに変えた以外、実施例4と同じ条件にてPhTMSとHTMSとを組み合わせた系によるシリコーン系接着剤組成物を作製した(実施例6)。また、実施例4のMTMSをDTMSに変えた以外、実施例4と同じ条件にてPhTMSとDTMSとを組み合わせた系によるシリコーン系接着剤組成物を作製した(実施例7)。
4.2 硬化体の作製
上記実施例4の条件にて作製した接着剤を2枚の上記アルミニウム板の間に供した試験片を、ドライオーブン(アズワン株式会社製、型番: DOV−300)を用いて、80℃にて6時間加熱した後、温度を150℃まで上げて3時間加熱した。実施例5〜7の条件にて作製した各種接着剤を2枚の上記アルミニウム板の間に供した試験片については、実施例4の接着剤よりも硬化しにくいため、上記ドライオーブンを用いて80℃にて6時間加熱した後、250℃まで昇温して同温度にて3時間加熱した。
上記実施例4の条件にて作製した接着剤を2枚の上記アルミニウム板の間に供した試験片を、ドライオーブン(アズワン株式会社製、型番: DOV−300)を用いて、80℃にて6時間加熱した後、温度を150℃まで上げて3時間加熱した。実施例5〜7の条件にて作製した各種接着剤を2枚の上記アルミニウム板の間に供した試験片については、実施例4の接着剤よりも硬化しにくいため、上記ドライオーブンを用いて80℃にて6時間加熱した後、250℃まで昇温して同温度にて3時間加熱した。
4.3 接着強度の評価
図5に、実施例4〜7の条件で作製した各試験片の引張強度を示す。
図5に、実施例4〜7の条件で作製した各試験片の引張強度を示す。
図5に示すように、PhTMSを主要のアルキルトリアルコキシシランとしてシリコーン系接着剤組成物を作製した場合には、いずれの場合にも、前駆体がエマルジョン化し、硬化したときに約2MPa以上の高い引張強度が認められた。特に、PhTMS+MTMS系の場合(実施例4)には、他の系に比べ炭化水素基の鎖長が短いため、硬化温度を過度に高くする必要が無い。PhTMS+MTMS系は、他の3つの系よりも低温にて高硬度の接着硬化体が得られる点でより優れていると考えられる。
5.実験2(MTMSとi−BTMSの比率の検討)
MTMS+i−BTMS系のアルキルトリアルコキシシランにおいて、MTMS:i−BTMSを4水準に変化させたアルキルトリアルコキシシランを用意し、接着剤組成物の作製、硬化体の作製および引張強度評価を行った。
MTMS+i−BTMS系のアルキルトリアルコキシシランにおいて、MTMS:i−BTMSを4水準に変化させたアルキルトリアルコキシシランを用意し、接着剤組成物の作製、硬化体の作製および引張強度評価を行った。
5.1 シリコーン系接着剤組成物の作製条件
<実施例8〜10>
45mmolのMTMSと5mmolのi−BTMSを混合したアルキルトリアルコキシシラン(実施例8)、42.5mmolのMTMSと7.5mmolのi−BTMSを混合したアルキルトリアルコキシシラン(実施例9)、および40mmolのMTMSと10mmolのi−BTMSを混合したアルキルトリアルコキシシラン(実施例10)の合計3種類のアルキルトリアルコキシシランを用意し、それぞれを用いて実施例1と同じ条件にて各種シリコーン系接着剤組成物を作製した。
<実施例8〜10>
45mmolのMTMSと5mmolのi−BTMSを混合したアルキルトリアルコキシシラン(実施例8)、42.5mmolのMTMSと7.5mmolのi−BTMSを混合したアルキルトリアルコキシシラン(実施例9)、および40mmolのMTMSと10mmolのi−BTMSを混合したアルキルトリアルコキシシラン(実施例10)の合計3種類のアルキルトリアルコキシシランを用意し、それぞれを用いて実施例1と同じ条件にて各種シリコーン系接着剤組成物を作製した。
5.2 硬化体の作製
実施例8〜10および実験1Aで作製した比較例1の各種シリコーン系接着剤組成物を、実施例1と同じ条件にて硬化し、各種硬化体を挟む試験片を作製した。
実施例8〜10および実験1Aで作製した比較例1の各種シリコーン系接着剤組成物を、実施例1と同じ条件にて硬化し、各種硬化体を挟む試験片を作製した。
5.3 接着強度の評価
図6に、実施例8〜10および比較例1の条件で作製した各試験片の引張強度を示す。
図6に、実施例8〜10および比較例1の条件で作製した各試験片の引張強度を示す。
図6に示すように、実施例8〜10のいずれの試験片でも、2MPa以上の引張強度が認められ、比較例1の試験片の引張強度(約0.3MPa)と比べて極めて高かった。特に、実施例9では、強度のバラツキが比較的小さい結果となった。
6.実験3(水の比率の検討)
MTMS+i−BTMS系のアルキルトリアルコキシシランにおいて、アルキルトリアルコキシシラン:水を5水準に変化させ、接着剤組成物の作製、硬化体の作製および引張強度評価を行った。
MTMS+i−BTMS系のアルキルトリアルコキシシランにおいて、アルキルトリアルコキシシラン:水を5水準に変化させ、接着剤組成物の作製、硬化体の作製および引張強度評価を行った。
6.1 シリコーン系接着剤組成物の作製条件
<実施例11〜15>
42.5mmolのMTMSと7.5mmolのi−BTMSを混合したアルキルトリアルコキシシランと、100mmolの水と、5mmolのHAとを用意し、実施例1と同じ条件にてシリコーン系接着剤組成物を作製した(実施例11)。また、水を125mmol、150mmol、175mmolおよび200mmolとし、それ以外を実施例11と同じ条件にてシリコーン系接着剤組成物を作製した(それぞれ、実施例12、実施例13、実施例14および実施例15)。
<実施例11〜15>
42.5mmolのMTMSと7.5mmolのi−BTMSを混合したアルキルトリアルコキシシランと、100mmolの水と、5mmolのHAとを用意し、実施例1と同じ条件にてシリコーン系接着剤組成物を作製した(実施例11)。また、水を125mmol、150mmol、175mmolおよび200mmolとし、それ以外を実施例11と同じ条件にてシリコーン系接着剤組成物を作製した(それぞれ、実施例12、実施例13、実施例14および実施例15)。
6.2 硬化体の作製
実施例11〜15の各種シリコーン系接着剤組成物を、実施例1と同じ条件にて硬化し、各種硬化体を挟む試験片を作製した。
実施例11〜15の各種シリコーン系接着剤組成物を、実施例1と同じ条件にて硬化し、各種硬化体を挟む試験片を作製した。
6.3 接着強度の評価
図7に、実施例11〜15の条件で作製した各試験片の引張強度を示す。
図7に、実施例11〜15の条件で作製した各試験片の引張強度を示す。
図7に示すように、水/アルキルトリアルコキシシラン=2.0の実施例11の条件で作製した試験片は、1〜1.7MPaの引張強度を有するに留まったが、水/アルキルトリアルコキシシラン=2.5(実施例12)、3.0(実施例13)、3.5(実施例14)および4.0(実施例15)の各条件で作製した試験片は、約2MPa以上の比較的高い引張強度を有していた。特に、水/アルキルトリアルコキシシラン=3.0の条件で作製したシリコーン系接着剤組成物を硬化させた場合には、3MPaを超える引張強度が認められた。
7.実験4(HAの比率の検討)
MTMS+i−BTMS系のアルキルトリアルコキシシランにおいて、アルキルトリアルコキシシラン:HAを4水準に変化させ、接着剤組成物の作製、硬化体の作製および引張強度評価を行った。
MTMS+i−BTMS系のアルキルトリアルコキシシランにおいて、アルキルトリアルコキシシラン:HAを4水準に変化させ、接着剤組成物の作製、硬化体の作製および引張強度評価を行った。
7.1 シリコーン系接着剤組成物の作製条件
<実施例16〜19>
42.5mmolのMTMSと7.5mmolのi−BTMSを混合したアルキルトリアルコキシシランと、150mmolの水と、1mmolのHAとを用意し、実施例1と同じ条件にてシリコーン系接着剤組成物を作製した(実施例16)。また、HAを5mmol、10mmolおよび25mmolとし、それ以外を実施例16と同じ条件にてシリコーン系接着剤組成物を作製した(それぞれ、実施例17、実施例18および実施例19)。
<実施例16〜19>
42.5mmolのMTMSと7.5mmolのi−BTMSを混合したアルキルトリアルコキシシランと、150mmolの水と、1mmolのHAとを用意し、実施例1と同じ条件にてシリコーン系接着剤組成物を作製した(実施例16)。また、HAを5mmol、10mmolおよび25mmolとし、それ以外を実施例16と同じ条件にてシリコーン系接着剤組成物を作製した(それぞれ、実施例17、実施例18および実施例19)。
7.2 硬化体の作製
実施例16〜19の各種シリコーン系接着剤組成物を、実施例1と同じ条件にて硬化し、各種硬化体を挟む試験片を作製した。
実施例16〜19の各種シリコーン系接着剤組成物を、実施例1と同じ条件にて硬化し、各種硬化体を挟む試験片を作製した。
7.3 接着強度の評価
図8に、実施例16〜19の条件で作製した各試験片の引張強度を示す。
図8に、実施例16〜19の条件で作製した各試験片の引張強度を示す。
図8に示すように、アルキルトリアルコキシシラン(前駆体)に対してモル比0.1以下の条件で作製した試験片にて、より高い強度が得られた。HAのモル比が0.5のときでも、約1MPaの強度が得られるが、エバポレーション後に大量の水が残るという問題がある。このため、HAはモル比0.2以下とする方がより好ましいと考えられる。
8.実験5(加熱条件の検討)
MTMS+i−BTMS系のアルキルトリアルコキシシランにおいて、第一段階の低温加熱(予備加熱という)の際に、接着剤を2枚のアルミニウム板で挟んで加熱するクローズ状態と、1枚のアルミニウム板上に載せて加熱するオープン状態との2水準を設定し、予備加熱とそれに続いて行う第二段階の高温加熱(本加熱という)の温度・保持条件を変えたときの、硬化体の引張強度を調べた。
MTMS+i−BTMS系のアルキルトリアルコキシシランにおいて、第一段階の低温加熱(予備加熱という)の際に、接着剤を2枚のアルミニウム板で挟んで加熱するクローズ状態と、1枚のアルミニウム板上に載せて加熱するオープン状態との2水準を設定し、予備加熱とそれに続いて行う第二段階の高温加熱(本加熱という)の温度・保持条件を変えたときの、硬化体の引張強度を調べた。
8.1 シリコーン系接着剤組成物の作製条件
<実施例20〜26>
42.5mmolのMTMSと7.5mmolのi−BTMSを混合したアルキルトリアルコキシシランと、150mmolの水と、5mmolのHAとを用意し、実施例1と同じ条件にてシリコーン系接着剤組成物を作製した。
<実施例20〜26>
42.5mmolのMTMSと7.5mmolのi−BTMSを混合したアルキルトリアルコキシシランと、150mmolの水と、5mmolのHAとを用意し、実施例1と同じ条件にてシリコーン系接着剤組成物を作製した。
8.2 硬化体の作製
シリコーン系接着剤組成物をクローズド状態にて60℃で3時間保持する条件で予備加熱し、続いてクローズド状態のまま110℃に昇温して3時間保持する条件で本加熱して、硬化体を挟む試験片を作製した(実施例20)。
シリコーン系接着剤組成物をクローズド状態にて60℃で3時間保持する条件で予備加熱し、続いてクローズド状態のまま110℃に昇温して3時間保持する条件で本加熱して、硬化体を挟む試験片を作製した(実施例20)。
また、シリコーン系接着剤組成物をオープン状態にて60℃で3時間保持する条件で予備加熱し、続いて2枚のアルミニウム板の間に接着剤を挟んだクローズド状態にして110℃に昇温して3時間保持する条件で本加熱して、硬化体を挟む試験片を作製した(実施例21)。また、予備加熱の条件を60℃で1時間保持とすると共に本加熱の条件を150℃で3時間とする以外、実施例21と同様の加熱を行い、試験片を作製した(実施例22)。また、予備加熱の条件を60℃で2時間保持とすると共に本加熱の条件を150℃で3時間とする以外、実施例21と同様の加熱を行い、試験片を作製した(実施例23)。また、予備加熱の条件を60℃で3時間保持とすると共に本加熱の条件を150℃で3時間とする以外、実施例21と同様の加熱を行い、試験片を作製した(実施例24)。また、予備加熱の条件を60℃で3時間保持とすると共に本加熱の条件を150℃で2時間とする以外、実施例21と同様の加熱を行い、試験片を作製した(実施例25)。また、予備加熱の条件を80℃で3時間保持とすると共に本加熱の条件を150℃で3時間とする以外、実施例21と同様の加熱を行い、試験片を作製した(実施例26)。
8.3 接着強度の評価
表1に、実施例20〜26の条件で作製した各試験片の引張強度を示す。表1中、「C」はクローズド状態での予備加熱を意味し、「O」はオープン状態での予備加熱を意味する。
表1に、実施例20〜26の条件で作製した各試験片の引張強度を示す。表1中、「C」はクローズド状態での予備加熱を意味し、「O」はオープン状態での予備加熱を意味する。
実施例20、21に示すように、予備加熱をクローズド状態で行った場合に比べ、オープン状態で行うと接着強度が高まり、バラツキも小さくなることがわかった。また、実施例21と実施例24との比較から明らかなように、本加熱の温度を150℃にした方が110℃に比べて接着強度が大きくなることがわかる。更に、予備加熱または本加熱の保持時間を長くする方が接着強度のバラツキが小さくなることもわかった。一方、実施例24と実施例26との比較から明らかなように、予備加熱の温度を80℃にすると60℃の場合に比べ接着強度のバラツキが大きくなることがわかる。
9.実験6(耐熱性の評価)
実施例22の条件にて作製した試験片と、実施例22におけるMTMSをPhTMSに代えた点のみ異なる条件にて作製した試験片(実施例27)を、110℃以上の4水準の温度で加熱したときの引張強度を測定し、硬化体の耐熱性を調べた。具体的には、110℃、150℃、200℃および250℃の4水準の温度まで加熱して引張強度を測定した。
実施例22の条件にて作製した試験片と、実施例22におけるMTMSをPhTMSに代えた点のみ異なる条件にて作製した試験片(実施例27)を、110℃以上の4水準の温度で加熱したときの引張強度を測定し、硬化体の耐熱性を調べた。具体的には、110℃、150℃、200℃および250℃の4水準の温度まで加熱して引張強度を測定した。
図9および図10に、それぞれ、実施例22および実施例27の各試験片の耐熱性評価を示す。
実施例22の条件にて作製したシリコーン系接着剤組成物から成る硬化体は、200℃まで2MPa以上の高い引張強度を維持していたが、250℃になるとその強度を維持できなかった。したがって、実施例22の条件にて作製したMTMS−i−BTMS系接着剤組成物から成る硬化体は、200℃までの耐熱性を有することがわかった。これに対して、実施例27の条件にて作製したシリコーン系接着剤組成物から成る硬化体は、200℃まで低い強度であったが、250℃になると強度が上昇し、300℃になっても、250℃のときの強度より低くなるものの、約1.5MPaの強度を有していた。したがって、実施例27の条件にて作製したPhTMS−i−BTMS系接着剤組成物は、極めて耐熱性の高い接着硬化体を形成可能であると考えられる。
本発明は、接着剤、シール剤などに利用可能である。
Claims (7)
- 2種以上のアルキルトリアルコキシシランと、
触媒としてのヒドロキシアセトンと、
水と、
を含むシリコーン系接着剤組成物。 - 前記アルキルトリアルコキシシランは、メチルトリメトキシシランを主成分として含むと共に、フェニルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシランおよびヘキシルトリメトキシシランの内のいずれか1つを副成分として含むことを特徴とする請求項1に記載のシリコーン系接着剤組成物。
- 前記アルキルトリアルコキシシランは、フェニルトリメトキシシランを主成分として含むと共に、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシランおよびヘキシルトリメトキシシランおよびデシルトリメトキシシランの内のいずれか1つを副成分として含むことを特徴とする請求項1に記載のシリコーン系接着剤組成物。
- 前記主成分は、前記2以上のアルキルトリアルコキシシランに対して、モル比にて0.7〜0.95の割合を占めることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のシリコーン系接着剤組成物。
- 前記水は、前記アルキルトリアルコキシシランに対して、モル比にて2.5〜5.0の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシリコーン系接着剤組成物。
- 前記ヒドロキシアセトンは、前記アルキルトリアルコキシシランに対して、モル比にて0.4以下の範囲で含まれることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシリコーン系接着剤組成物。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のシリコーン系接着剤組成物を硬化して成る硬化体。
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