JP2013167758A - 光ファイバの移動規制構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度の光が漏れる光ファイバの移動を規制するのに適する光ファイバの移動規制構造を提供する。
【解決手段】光ファイバの移動を規制する構造であって、融着接続された光ファイバ6及び7を載置する放熱体21と、前記放熱体に載置された光ファイバの周囲を覆い、該光ファイバと前記放熱体との間に介在する熱伝導性部材22と、前記光ファイバの融着接続点8aからの漏れ光を透過し、前記光ファイバ上を局所的に横断するように前記放熱板上に固定される透明部材23と、を備える光ファイバの移動規制構造。
【選択図】図2

Description

本発明は、光ファイバの移動を規制する構造に関するものである。
従来、光ファイバの融着接続部分の補強する構造や、光ファイバを巻回したものを固定する構造が開示されている(特許文献1〜4参照)。特許文献1〜4では、光ファイバを接着剤等の樹脂で固定することによって、光ファイバの移動を規制している。
特開平7−209542号公報 特開2007−271786号公報 特許第3909119号公報 特許第4401540号公報
しかしながら、従来の光ファイバの移動を規制する構造は、光ファイバから外部に高強度の光が漏れる場合に、漏れ光によって悪影響を受ける場合があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高強度の光が漏れる光ファイバの移動を規制するのに適する光ファイバの移動規制構造を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光ファイバの移動規制構造は、光ファイバの移動を規制する構造であって、光ファイバを載置する放熱体と、前記放熱体に載置された光ファイバの周囲を覆い、該光ファイバと前記放熱体との間に介在する熱伝導性部材と、前記光ファイバからの漏れ光を透過し、前記光ファイバ上を局所的に横断するように前記放熱板上に固定される透明部材と、を備えることを特徴する。
また、本発明に係る光ファイバの移動規制構造は、上記の発明において、前記透明部材は、前記光ファイバのクラッドの屈折率以上の屈折率を有することを特徴とする。
また、本発明に係る光ファイバの移動規制構造は、上記の発明において、前記透明部材は、ガラスからなることを特徴とする。
また、本発明に係る光ファイバの移動規制構造は、上記の発明において、前記放熱体は、アルミニウム、銅、鉄、およびニッケルの少なくとも一つを含む金属部材を用いて形成されることを特徴とする。
また、本発明に係る光ファイバの移動規制構造は、上記の発明において、前記透明部材は、900nm〜1200nmの波長範囲で透明であることを特徴とする。
本発明によれば、光ファイバの漏れ光に悪影響を受けない光ファイバの移動規制構造を実現できるという効果を奏する。
図1は、実施の形態1に係る光ファイバの移動規制構造を適用できる光ファイバレーザの模式的な構成図である。 図2は、実施の形態1に係る光ファイバの移動規制構造の模式図である。 図3は、図2のA−A線断面図である。 図4は、実施の形態1の変形例に係る光ファイバの移動規制構造の模式図である。 図5は、実施の形態2に係る光ファイバの移動規制構造の模式図である。 図6は、図5のB−B線断面図である。 図7は、実施の形態2の変形例を示す図である。 図8は、実施の形態3に係る光ファイバの移動規制構造の模式図である。 図9は、実施の形態4に係る光ファイバの移動規制構造の模式図である。
以下に、図面を参照して本発明に係る光ファイバの移動規制構造の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る光ファイバの移動規制構造を適用できる光ファイバレーザの模式的な構成図である。図1に示すように、この光ファイバレーザ1は、複数の励起光源2と、複数の励起光源2から出力された複数の励起光を合波するTFB(Tapered Fiber Bundle)3と、FBG(Fiber Bragg Grating)4aを形成したダブルクラッド光ファイバ4と、コアに希土類元素が添加され増幅媒体として機能するダブルクラッド光ファイバである希土類添加光ファイバ5と、FBG6aを形成したダブルクラッド光ファイバ6と、シングルモード光ファイバ7とを有する。ダブルクラッド光ファイバ6とシングルモード光ファイバ7とは融着接続部8で融着接続されている。シングルモード光ファイバ7の一端には出力端9が設けてある。FBG4a、6aは光共振器を構成する。
この光ファイバレーザ1は、いわゆるダブルクラッド励起構造を有する。そして、たとえば915nmの波長の励起光を、希土類元素としとてイッテルビウム(Yb)がコアに添加された希土類添加光ファイバ5に供給することで、出力端9からたとえば300W〜500Wの強度を有する1.1μm波長帯のレーザ光を出力できるものである。このように、レーザ光の強度が非常に高いため、たとえば融着接続部8でわずかに0.1dB(約2%)の光損失があったとしても、そこで失われるエネルギーは非常に高いものである。
以下に説明する実施の形態1に係る光ファイバの移動規制構造は、融着接続部8の近傍において適用されるものである。
図2は、実施の形態1に係る光ファイバの移動規制構造の模式図である。図3は、図2のA−A線断面図である。図2、図3に示すように、光ファイバの移動規制構造(以下、移動規制構造と略記する)20は、放熱体である放熱板21と、熱伝導性部材である熱伝導性シリコーン樹脂22と、透明部材23と、シリコーン接着剤24とを備えている。
ダブルクラッド光ファイバ6は、コア6aと、コア6aを覆い、内側クラッドとして機能するクラッド6bと、クラッド6bを覆い、外側クラッドとしても機能する樹脂製の被覆6cとを備えている。シングルモード光ファイバは、コア7aと、コア7aを覆うクラッド7bと、クラッド7bを覆う樹脂製の被覆7cとを備えている。
移動規制構造20において、V溝21aを形成した放熱板21は、ダブルクラッド光ファイバ6とシングルモード光ファイバ7との各被覆6c、7cの長手方向の一部を除去して融着接続した融着接続部8を載置している。ここで、融着接続部8とは、被覆6c、7cが除去され、融着接続点8aを含む部分を示している。また、各光ファイバのクラッド6b、7bの屈折率よりも高い屈折率を有する熱伝導性シリコーン樹脂22が融着接続部8を覆っている。熱伝導性シリコーン樹脂22は各光ファイバ6、7と放熱板21との間に介在している。
さらに、透明部材23が、融着接続部8上を局所的に横断するように配置されている。透明部材23は、両端が放熱板21上にシリコーン接着剤24で固定されている。ダブルクラッド光ファイバ6は、被覆6cにシリコーン接着剤24を直接塗布することで放熱板21に固定されている。透明部材23は、融着接続部8を局所的に横断することで、融着接続部8の浮き上がりを防止し、図3のY軸方向への光ファイバ6、7の移動の移動を規制している。
融着接続部8のクラッド6b、7b内を伝搬する光と融着接続点8aでコア6aからクラッド7bに漏れた光は、融着接続部8を覆いクラッド6b、7bの屈折率よりも高い屈折率をもつ熱伝導性シリコーン樹脂22により、クラッド6b、7bの外に放出され、漏れ光L2となる。漏れ光L2は、一部は熱伝導性シリコーン樹脂22に吸収され熱に変換され放熱板21に伝導するが、多くは熱伝導性シリコーン樹脂22を透過し、放熱板21に吸収されるか空間に放出される。放熱板21は、吸収した光を熱に変換し外部に放熱する。放熱板21は、熱伝導性の高いものが好ましく、たとえば、アルミニウム、銅、鉄、およびニッケルの少なくとも一つを含む金属部材である。
熱伝導性シリコーン樹脂22を透過した漏れ光L2の一部は、透明部材23を透過し、さらに一部は透明部材23と空気の境界面で反射するが、透明部材23が融着接続部8を局所的に横断する構成のため、境界面の反射光量は低減される。このため、融着接続部8からの漏れ光L2が、反射して被覆7cやその他の部品に入射しないので、融着接続部8を含む部分の劣化を抑制することができる。
透明部材23は、例えば光ファイバやガラス板などのガラスからなるものであり、融着接続部8からの漏れ光L2を透過する部材である。
透明部材23は、たとえば外径が125〜200μmの1〜6本の光ファイバを並列に並べたものや、これと同じ幅のガラス板で構成することができる。これによって、透明部材23は、融着接続部8を局所的に横断するものとなる。
透明部材23は、クラッド6b、7bの屈折率以上の屈折率を有するものであれば、漏れ光L2が透明部材23に漏れやすくなるので好ましい。これによって、透明部材23を融着接続部8に横断して配置しても、横断部分に漏れ光L2が留まりにくくなるので、外部に放出されやすくなる。
なお、透明部材23および熱伝導性シリコーン樹脂22は、クラッド6b、7bの屈折率と同等以上であれば、クラッド6b、7bの屈折率と比べてわずかに低いものであっても、漏れ光L2の要因となる、融着ロスに起因するクラッド6b、7bの外周面への入射角が小さい成分や、クラッドモードを放出する効果を得ることができる。すなわち、透明部材23および熱伝導性シリコーン樹脂22の屈折率を選択することで、漏れ光L2の放散度合いを調節し、漏れ光L2の急激な放散を回避してもよい。
(変形例)
図4は、実施の形態1の変形例に係る光ファイバの移動規制構造の模式図である。図4に示すように、移動規制構造20Aは、図2に示す移動規制構造20において、さらに光検出器25Aを、放熱板21上に設けた構成を有している。
この移動規制構造20Aでは、漏れ光L2のさらに一部の漏れ光L3を光検出器25Aで検出するようにしている。このように、光検出器25Aを、放熱板21上に設けることによって、光検出器25Aへの温度影響を抑制できるので、安定して漏れ光L3を検出することができる。
(実施の形態2)
以下に説明する実施の形態2に係る光ファイバの移動規制構造は、図1に示す光ファイバレーザ1の希土類添加光ファイバ5に対して適用されるものである。
図5は、実施の形態2に係る光ファイバの移動規制構造の模式図である。図6は、図5のB−B線断面図である。図5、図6に示すように、移動規制構造30は、放熱板31と、熱伝導性シリコーン樹脂32と、透明部材33と、シリコーン接着剤34と、両面テープ35とを備えている。
希土類添加光ファイバ5は、コア5aと、コア5aを覆い、内側クラッドとして機能するクラッド5bと、クラッド5bを覆い、外側クラッドとしても機能する樹脂製の被覆5cとを備えている。移動規制構造30において、放熱板31は、巻回した状態の希土類添加光ファイバ5を載置している。厚さが薄い両面テープ35が希土類添加光ファイバ5を放熱板31に貼着している。熱伝導性シリコーン樹脂32は希土類添加光ファイバ5を覆っている。熱伝導性シリコーン樹脂32は希土類添加光ファイバ5と放熱板31との間に介在している。
さらに、複数本(たとえば4本)の透明部材33が、希土類添加光ファイバ5上を局所的に横断するように配置されている。透明部材33は、両端が放熱板31上にシリコーン接着剤34で固定されている。透明部材33は、希土類添加光ファイバ5を局所的に横断することで、巻回した希土類添加光ファイバ5の浮き上がりや位置のずれを防止し、図6のX軸方向およびY軸方向の一方または両方への希土類添加光ファイバ5の移動を規制している。
希土類添加光ファイバ5の被覆5cに入射した光は、クラッド5bの屈折率よりも高い屈折率をもつ熱伝導性シリコーン樹脂32により、被覆5cの外に放出され、漏れ光L4となる。漏れ光L4は、一部は熱伝導性シリコーン樹脂32に吸収され熱に変換され放熱板31に伝導するが、多くは熱伝導性シリコーン樹脂32および両面テープ35を透過し、放熱板31に吸収されるか空間に放出される。放熱板31は、吸収した光を熱に変換し外部に放熱する。なお、放熱板31は、放熱板21と同様に熱伝導性の高いものが好ましく、たとえば、アルミニウム、銅、鉄、およびニッケルの少なくとも一つを含む金属部材である。
熱伝導性シリコーン樹脂32を、希土類添加光ファイバ5と両面テープ35および放熱板31との間に介在させることで、希土類添加光ファイバ5で発生した熱が熱伝導性シリコーン樹脂32および両面テープ35を介して放熱板31に伝わりやすくなる。これによって、効率的な放熱を行うことができる。
熱伝導性シリコーン樹脂32を透過した漏れ光L4の一部は、透明部材33を透過し、さらに一部は透明部材33と空気の境界面で反射するが、透明部材33が希土類添加光ファイバ5を局所的に横断する構成のため、境界面の反射光量は低減される。このため、希土類添加光ファイバ5からの漏れ光L4が、反射して被覆5cやその他の部品に入射しないので、希土類添加光ファイバ5の劣化を抑制することができる。
透明部材33も、透明部材23と同様に、例えば光ファイバやガラス板などのガラスからなるものであり、希土類添加光ファイバ5からの漏れ光L3を透過する部材である。透明部材33は、たとえば外径が125〜200μmの1〜6本の光ファイバを並列に並べたものや、これと同じ幅のガラス板で構成することができる。これによって、透明部材33は、希土類添加光ファイバ5を局所的に横断するものとなる。
透明部材33は、透明部材23と同様に、クラッド5bの屈折率以上の屈折率を有するものであれば、漏れ光L3が透明部材33に漏れやすくなるので好ましい。これによって、透明部材33を希土類添加光ファイバ5に横断して配置しても、横断部分に漏れ光L4が留まりにくくなるので、外部に放出されやすくなる。
なお、透明部材33および熱伝導性シリコーン樹脂32は、クラッド5bの屈折率と同等以上であれば、クラッド5bの屈折率と比べてわずかに低いものであっても、漏れ光L4の要因となるクラッドモードを放出する効果を得ることができる。すなわち、透明部材33および熱伝導性シリコーン樹脂32の屈折率を選択することで、漏れ光L4の放散度合いを調節し、漏れ光L4の急激な放散を回避してもよい。
(変形例)
図7は、実施の形態2の変形例を示す図である。図5、6に示す実施の形態2では、希土類添加光ファイバ5は、互いに間隔をあけた状態で巻回されているが、図7に示すように、希土類添加光ファイバ5が密着した状態となるように巻回してもよい。巻回の形状は、円板状、円錐状、楕円板状、渦巻き状、円環状、トーラス状、柱状、又は、これらの形状の全部又は一部の組み合わせからなる形状とすることができる。
(実施の形態3)
以下に説明する実施の形態3に係る光ファイバの移動規制構造は、図1に示す光ファイバレーザ1の希土類添加光ファイバ5の後段側(出力端9側)のいずれかの位置に適用されるものである。本実施の形態3では、一例としてダブルクラッド光ファイバ6の一部分に適用する場合について説明する。
図8は、実施の形態3に係る光ファイバの移動規制構造の模式図である。図8に示すように、移動規制構造40は、実施の形態1に係る移動規制構造20と同様に、放熱板21と、熱伝導性シリコーン樹脂22と、透明部材23と、シリコーン接着剤24とを備えている。
移動規制構造40において、V溝21aを形成した放熱板21は、ダブルクラッド光ファイバ6の被覆6cを除去した被覆除去部6dを載置している。また、ダブルクラッド光ファイバ6のクラッド6bの屈折率よりも高い屈折率を有する熱伝導性シリコーン樹脂22が被覆除去部6dを覆っている。熱伝導性シリコーン樹脂22はダブルクラッド光ファイバ6と放熱板21との間に介在している。
さらに、透明部材23が、被覆除去部6d上を局所的に横断するように配置されている。透明部材23は、両端が放熱板21上にシリコーン接着剤24で固定されている。ダブルクラッド光ファイバ6は、被覆6cにシリコーン接着剤24を直接塗布することで放熱板21に固定されている。透明部材23は、被覆除去部6dを局所的に横断することで、被覆除去部6dの浮き上がりを防止し、紙面に垂直な方向へのダブルクラッド光ファイバ6の移動の移動を規制している。
ここで、励起光源2から出力された励起光のうち、希土類添加光ファイバ5において光増幅に使用されなかった励起光は、残留励起光として希土類添加光ファイバ5から出力され、その後ダブルクラッド光ファイバ6を伝搬する。この残留励起光は、ダブルクラッド光ファイバ6において外側クラッドとして機能する被覆6cによって閉じ込められている。したがって、被覆6cが除去された被覆除去部6dでは、被覆除去部6dを覆いクラッド6bの屈折率よりも高い屈折率をもつ熱伝導性シリコーン樹脂22により、クラッド6bの外に放出され、漏れ光L5となる。漏れ光L5は、一部は熱伝導性シリコーン樹脂22に吸収され熱に変換されて放熱板21に伝導するが、多くは熱伝導性シリコーン樹脂22を透過し、放熱板21に吸収されるか空間に放出される。このように、移動規制構造40は、残留励起光が出力端9から出力されないように、残留励起光を処理することができる。
なお、透明部材23および熱伝導性シリコーン樹脂22は、クラッド6bの屈折率と同等以上であれば、クラッド6bの屈折率と比べてわずかに低いものであっても、漏れ光L5の要因となるクラッドモードを放出する効果を得ることができる。すなわち、透明部材23および熱伝導性シリコーン樹脂22の屈折率を選択することで、漏れ光L5の放散度合いを調節し、漏れ光L5が急激な放散を回避してもよい。
熱伝導性シリコーン樹脂22を透過した漏れ光L5の一部は、透明部材23を透過し、さらに一部は透明部材23と空気の境界面で反射するが、透明部材23が被覆除去部6dを局所的に横断する構成のため、境界面の反射光量は低減される。このため、被覆除去部6dからの漏れ光L5が、反射して被覆6cやその他の部品に入射しないので、被覆除去部6dを含む部分の劣化を抑制することができる。
(実施の形態4)
以下に説明する実施の形態4に係る光ファイバの移動規制構造は、図1に示す光ファイバレーザ1の出力端9近傍に適用されるものである。
図9は、実施の形態4に係る光ファイバの移動規制構造の模式図である。図9に示すように、移動規制構造50は、実施の形態1に係る移動規制構造20と同様に、放熱板21と、熱伝導性シリコーン樹脂22と、透明部材23と、シリコーン接着剤24とを備えている。
移動規制構造50において、V溝21aを形成した放熱板21は、シングルモード光ファイバ7の被覆7cを除去した被覆除去部7dを載置している。また、シングルモード光ファイバ7のクラッド7bの屈折率よりも高い屈折率を有する熱伝導性シリコーン樹脂22が被覆除去部7dの一部を覆っている。熱伝導性シリコーン樹脂22はシングルモード光ファイバ7と放熱板21との間に介在している。出力端9はシングルモード光ファイバ7の被覆除去部7dの先端を斜めにカットしたものである。
さらに、透明部材23が、被覆除去部7d上を局所的に横断するように配置されている。透明部材23は、両端が放熱板21上にシリコーン接着剤24で固定されている。シングルモード光ファイバ7は、被覆7cにシリコーン接着剤24を直接塗布することで放熱板21に固定されている。透明部材23は、被覆除去部6dを局所的に横断することで、被覆除去部7dの浮き上がりを防止し、紙面に垂直な方向へのシングルモード光ファイバ7の移動の移動を規制している。
ここで、レーザ光L1が出力端9から出力されるときに、その一部が出力端9によって反射されて、反射光としてクラッド7bに閉じ込められて紙面左側へ伝搬する。この反射光は、被覆除去部7dを覆いクラッド7bの屈折率よりも高い屈折率をもつ熱伝導性シリコーン樹脂22により、クラッド7bの外に放出され、漏れ光L6となる。漏れ光L6は、一部は熱伝導性シリコーン樹脂22に吸収され熱に変換され放熱板21に伝導するが、多くは熱伝導性シリコーン樹脂22を透過し、放熱板21に吸収されるか空間に放出される。このように、移動規制構造50は、出力端9からの反射光が被覆7cに到達することを防止する。これによって、被覆7cが反射光のエネルギーによって焼損することが防止される。
なお、透明部材23および熱伝導性シリコーン樹脂22は、クラッド7bの屈折率と同等以上であれば、クラッド7bの屈折率と比べてわずかに低いものであっても、漏れ光L6の要因となるクラッドモードを放出する効果を得ることができる。すなわち、透明部材23および熱伝導性シリコーン樹脂22の屈折率を選択することで、漏れ光L6の放散度合いを調節し、漏れ光L6の急激な放散を回避してもよい。
熱伝導性シリコーン樹脂22を透過した漏れ光L6の一部は、透明部材23を透過し、さらに一部は透明部材23と空気の境界面で反射するが、透明部材23が被覆除去部6dを局所的に横断する構成のため、境界面の反射光量は低減される。このため、被覆除去部6dからの漏れ光L5が、反射して被覆7cやその他の部品に入射しないので、被覆除去部7dを含む部分の劣化を抑制することができる。
以上説明したように、本発明の各実施の形態に係る移動規制構造は、光ファイバから外部に高強度の光が漏れる場合でも、漏れ光による悪影響を防止できる。また、簡易な構造であり、かつ光ファイバに応力を与えて光ファイバの損失を増加させるような構成ではないので、高強度の光が漏れる光ファイバの移動を規制するのに適するものである。
なお、熱伝導性シリコーン樹脂22、32の代わりに、他の熱伝導性樹脂や、熱伝導性グリスなどの他の熱伝導性部材を使用してもよい。熱伝導性グリスを使用することで、放熱効果がより高くなるとともに、各光ファイバ5、6、7への応力をさらに抑制することができる。また、透明部材23、33は、ネオセラム(登録商標)などの結晶化ガラスからなるものでもよい。透明部材23、33は、漏れ光の波長において透明であればよく、たとえば900nm〜1200nmの波長範囲で透明であることが好ましい。
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
1 光ファイバレーザ
2 励起光源
3 TFB
4、6 ダブルクラッド光ファイバ
4a、6a FBG
5 希土類添加光ファイバ
5a、6a、7a コア
5b、6b、7b クラッド
5c、6c、7c 被覆
6d、7d 被覆除去部
7 シングルモード光ファイバ
8 融着接続部
8a 融着接続点
9 出力端
20、20A、30、40、50 移動規制構造
21、31 放熱板
21a V溝
22、32 熱伝導性シリコーン樹脂
23、33 透明部材
24、34 シリコーン接着剤
25A 光検出器
35 両面テープ
L1 レーザ光
L2、L3、L4、L5、L6 漏れ光

Claims (5)

  1. 光ファイバの移動を規制する構造であって、
    光ファイバを載置する放熱体と、
    前記放熱体に載置された光ファイバの周囲を覆い、該光ファイバと前記放熱体との間に介在する熱伝導性部材と、
    前記光ファイバからの漏れ光を透過し、前記光ファイバ上を局所的に横断するように前記放熱板上に固定される透明部材と、
    を備えることを特徴する光ファイバの移動規制構造。
  2. 前記透明部材は、前記光ファイバのクラッドの屈折率以上の屈折率を有することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバの移動規制構造。
  3. 前記透明部材は、ガラスからなることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバの移動規制構造。
  4. 前記放熱体は、アルミニウム、銅、鉄、およびニッケルの少なくとも一つを含む金属部材を用いて形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光ファイバ移動規制構造。
  5. 前記透明部材は、900nm〜1200nmの波長範囲で透明であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光ファイバ移動規制構造。
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