JP2013166529A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP2013166529A
JP2013166529A JP2012032588A JP2012032588A JP2013166529A JP 2013166529 A JP2013166529 A JP 2013166529A JP 2012032588 A JP2012032588 A JP 2012032588A JP 2012032588 A JP2012032588 A JP 2012032588A JP 2013166529 A JP2013166529 A JP 2013166529A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
inner liner
tire
styrene
shoulder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012032588A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5342662B2 (ja
Inventor
Tomomi Masui
友美 増井
Mutsuki Sugimoto
睦樹 杉本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2012032588A priority Critical patent/JP5342662B2/ja
Priority to PCT/JP2012/073212 priority patent/WO2013121613A1/ja
Publication of JP2013166529A publication Critical patent/JP2013166529A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5342662B2 publication Critical patent/JP5342662B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C1/00Tyres characterised by the chemical composition or the physical arrangement or mixture of the composition
    • B60C1/0008Compositions of the inner liner
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K5/00Use of organic ingredients
    • C08K5/0008Organic ingredients according to more than one of the "one dot" groups of C08K5/01 - C08K5/59
    • C08K5/005Stabilisers against oxidation, heat, light, ozone
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L53/00Compositions of block copolymers containing at least one sequence of a polymer obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L53/02Compositions of block copolymers containing at least one sequence of a polymer obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds; Compositions of derivatives of such polymers of vinyl-aromatic monomers and conjugated dienes
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C5/00Inflatable pneumatic tyres or inner tubes
    • B60C5/12Inflatable pneumatic tyres or inner tubes without separate inflatable inserts, e.g. tubeless tyres with transverse section open to the rim
    • B60C5/14Inflatable pneumatic tyres or inner tubes without separate inflatable inserts, e.g. tubeless tyres with transverse section open to the rim with impervious liner or coating on the inner wall of the tyre
    • B60C2005/145Inflatable pneumatic tyres or inner tubes without separate inflatable inserts, e.g. tubeless tyres with transverse section open to the rim with impervious liner or coating on the inner wall of the tyre made of laminated layers
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/80Technologies aiming to reduce greenhouse gasses emissions common to all road transportation technologies
    • Y02T10/86Optimisation of rolling resistance, e.g. weight reduction 

Abstract

【課題】軽量化を達成し、転がり抵抗を低減するとともに低温耐久性を改善した空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】一対のビード部4の間に装架されたカーカスプライ6のタイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤ1であって、前記インナーライナーは、(A)スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体と紫外線吸収剤と酸化防止剤少なくともいずれかを含んだエラストマー組成物よりなる第1層と、(B)スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体の少なくともいずれかと、紫外線吸収剤と酸化防止剤の少なくともいずれかを含んだエラストマー組成物よりなる第2層よりなるポリマー積層体で構成され、前記インナーライナーはクラウン中央位置Pcにおける厚さGcよりもショルダー位置Peの厚さGeが厚いことを特徴とする空気入りタイヤ。
【選択図】図1

Description

本発明はタイヤ内面のクラウン中央位置とショルダー部において異なった厚さを有するインナーライナーを備えた空気入りタイヤに関する。
インナーライナーはタイヤの内側に配置され、空気入りタイヤ内部から外部への空気の漏れを低減してタイヤ内圧を一定に維持する機能を有する。このような機能を有する材料として、従来からブチル系ゴムなどの気体透過性の低いゴム組成物が使用されている。一方、タイヤの軽量化を図るために、前記ゴム組成物にかえて熱可塑性樹脂を含む材料からなるフィルムが使用される場合がある。
しかしタイヤ輸送中や販売店の店頭での展示中に屋外にさらされ、太陽光の紫外線による劣化を受け、熱可塑性エラストマーが劣化して内観に亀裂が悪いという印象を与えてしまう。また空気入りタイヤは、使用時にはその内部空間に空気が充填されているため、空気中の酸素がタイヤ構成部材の内部に浸透して経時的に酸化が進行し空気入りタイヤの耐久性に悪影響を及ぼすことになる。特に、インナーライナーに亀裂が発生するとユーザーには内観が悪いという印象を与える。さらに部分的にガスバリア性が悪くなりタイヤ内圧が低下する。係る紫外線による劣化を抑制するため、熱可塑性樹脂に紫外線吸収剤または酸化防止剤が添加されることが提案されている。
また熱可塑性樹脂を含むインナーライナーは、耐空気透過性に優れ、インナーライナー層の厚みを薄くできることからタイヤの軽量化が可能である。しかし太陽光による劣化を生じるか、タイヤ内部の空気中に含まれる酸素がタイヤ構成部材の内部に浸透して経時的にタイヤ各部を酸化し空気入りタイヤの耐久性を低下させる。
特許文献1は、ショルダー部における厚さをタイヤクラウン部における厚さよりも大きく設計することにより低温耐久性の向上を実現している。しかしインナーライナーの紫外線吸収剤や酸化防止剤が十分でないと、紫外線によって熱可塑性樹脂が劣化するか、熱可塑性樹脂の酸化劣化によってラジカルが生成・蓄積されて微小な亀裂が発生する。低温下ではこうした微小亀裂を起点にタイヤの破壊が発生する問題がある。
特開2005−343379号公報
本発明は耐空気透過性および屈曲疲労性などのインナーライナーの基本特性に優れ、かつ軽量化を達成し、転がり抵抗を低減するとともに低温耐久性を改善した空気入りタイヤを提供する。
本発明は、一対のビード部の間に装架されたカーカスプライのタイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、前記インナーライナーは、
(A)スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体と、紫外線吸収剤と酸化防止剤の少なくともいずれかを含み、その合計の配合量が、エラストマー成分の0.5質量%〜40質量%の範囲であるエラストマー組成物よりなる第1層と、(B)スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体の少なくともいずれかと、紫外線吸収剤と酸化防止剤の少なくともいずれかを含み、その合計配合量がエラストマー成分の0.5質量%〜40質量%の範囲であるエラストマー組成物よりなる第2層よりなるポリマー積層体で構成され、前記第2層がカーカスプライのゴム層と接するように配置されており、かつ前記インナーライナーはクラウン中央位置Pcにおける厚さGcよりもショルダー位置Peの厚さGeが厚いことを特徴とする空気入りタイヤに関する。
前記第1層および前記第2層のいずれかのエラストマー組成物は、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体またはSIBS変性共重合体のいずれか、若しくは両者が含まれていることが好ましい。また前記第1層および第2層のいずれかのエラストマー組成物は、粘着付与剤またはポリイソブチレンが配合されていることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、タイヤ子午断面において、前記カーカスプライとインナーライナーの境界線に対してトレッド部の接地端Teからタイヤ内径方向に法線Lを引き前記境界線との交点をショルダー位置Peとし、前記カーカスプライとインナーライナーの境界線とタイヤ中心線CLとの交点をクラウン中心位置Pcとし、さらに前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pcまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をショルダー距離Wcとしたとき、前記インナーライナーの肉厚部は前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に前記ショルダー距離Wcの少なくとも10%の幅を有する領域(「wc」と記載する。)に形成されていることが好ましい。
前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、前記ショルダー幅Wcの50%以下の幅を有する領域に形成されていることが好ましい。
また本発明の空気入りタイヤは、前記インナーライナーの前記ショルダー位置Peからタイヤ最大幅位置Psまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をサイド距離Wsとしたとき、前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peから前記最大幅位置Ps側に、前記サイド距離Wsの少なくとも20%の幅を有する領域(「ws」と記載する。)に形成されていることが好ましい。
前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peから前記最大幅位置Ps側に、前記最大幅距離Wsの100%以下の幅を有する領域に形成されていることが好ましい。また前記インナーライナーは、クラウン中央位置Pcにおける厚さGcに対し、ショルダー位置Peの厚さGeは120%〜500%であることが好ましい。
本発明のタイヤは、インナーライナーに特定の熱可塑性エラストマー材料を用いることで、厚みを薄くして空気遮断性を維持しながら低温耐久性および転がり抵抗の軽減を図ることができる。ここで熱可塑性エラストマーは酸化や紫外線によってエラストマー内に微小な亀裂が発生する。低温条件ではこうした微小な亀裂を起点としてタイヤの破壊現象が進行する。そこで本発明ではインナーライナーのショルダー部における厚さ寸法をタイヤクラウン部における厚さ寸法よりも大きくすることで、タイヤの耐久性を飛躍的に向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤの右半分の概略断面図である。 図1のトレッド部の拡大概略断面図である。 本発明の空気入りタイヤのインナーライナーの概略断面図である。
<タイヤの構造>
本発明の空気入りタイヤの実施形態を図に基づき説明する。図1は、空気入りタイヤの右半分の概略断面図であり、図2は、そのトレッド部の拡大概略断面図である。図において空気入りタイヤ1は、トレッド部2と、該トレッド部両端からトロイド形状を形成するようにサイドウォール部3とビード部4とを有している。さらに、ビード部4にはビードコア5が埋設される。また、一方のビード部4から他方のビード部に亘って設けられ、両端をビードコア5のまわりに折り返して係止されるカーカスプライ6と、該カーカスプライ6のクラウン部外側には、少なくとも2枚のプライよりなるベルト層7とが配置されている。
前記ベルト層7は、通常、スチールコードまたはアラミド繊維等のコードよりなるプラ
イの2枚をタイヤ周方向に対して、コードが通常5〜30°の角度になるようにプライ間で相互に交差するように配置される。なおベルト層の両端外側には、トッピングゴム層を設け、ベルト層両端の剥離を軽減することができる。またカーカスプライはポリエステル、ナイロン、アラミド等の有機繊維コードがタイヤ周方向にほぼ90°に配列されており、カーカスプライとその折り返し部に囲まれる領域には、ビードコア5の上端からサイドウォール方向に延びるビードエーペックス8が配置される。また前記カーカスプライ6のタイヤ半径方向内側には一方のビード部4から他方のビード部4に亘るインナーライナー9が配置されている。
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記インナーライナーは、(A)スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体と紫外線吸収剤と酸化防止剤を含むエラストマー組成物よりなる第1層と、(B)スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体の少なくともいずれかと、紫外線吸収剤と酸化防止剤を含むエラストマー組成物よりなる第2層よりなるポリマー積層体で構成され、前記第2層がカーカスプライのゴム層と接するように配置されており、かつ前記インナーライナーはクラウン中央位置Pcにおける厚さGcよりもショルダー位置Peの厚さGeが厚いことを特徴とする。
ここで本発明においてインナーライナー9における位置、距離および幅を次のように定義する。
<ショルダー位置Pe>
タイヤ子午断面において、前記カーカスプライとインナーライナーの境界線に対してトレッド部の接地端Teからタイヤ内径方向に法線Lを引き前記境界線との交点をショルダー位置Peと定義する。ここでトレッド部の接地端Teは、トレッド部の外側輪郭線を延長した線と、ショルダー部の外側輪郭線を延長した交点として定義される。
<クラウン中心位置Pc>
カーカスプライとインナーライナーの境界線とタイヤ中心線CLとの交点をクラウン中心位置Pcとする。
<最大幅位置Ps>
タイヤに規定内圧を充填し標準リムを装着したときの外側輪郭線の最大幅位置Leをとおるタイヤ回転軸に平行な線とカーカスプライとインナーライナーの境界線との交点を最大幅位置Psとする。
<ショルダー距離Wc>
前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pcまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をショルダー距離Wcとする。
<サイド距離Ws>
前記ショルダー位置Peからタイヤ最大幅位置Psまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をサイド距離Wsとする。
<インナーライナー厚さ>
インナーライナーのクラウン中心位置Pcの厚さをGc、ショルダー位置Peにおける厚さをGe、最大幅位置Psにおける厚さをGsとする。
前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、前記ショルダー距離Wcの少なくとも10%の幅を有する領域に形成されていることが望ましい。一方、肉厚部は前記ショルダー距離Wcの50%以下の幅を有する領域(wc)に形成することが好ましい。
前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peから前記最大幅位置Ps側に、前記サイド距離Wsの少なくとも20%の幅を有し、100%以下の幅の領域(ws)に形成されていることが好ましい。肉厚部がショルダー位置Peからサイド距離Wsの20%〜100%の範囲に設定することで、タイヤ走行時に屈曲変形の激しいショルダー部の変形を抑制するとともに、この領域の応力緩和を効果的に達成することができる。さらに、前記肉厚部はショルダー位置Peからサイド距離Wsの20%〜80%の範囲がより好ましい。
本発明において前記インナーライナーは、クラウン中央位置Pcにおける厚さGcに対し、ショルダー位置Peの厚さGeは120%〜500%であり、最大幅位置Psの厚さGsに対し、ショルダー位置Peの厚さGeは120%〜500%であることが望ましい。ショルダー位置Peの厚さGeが120%未満の場合は、ショルダー部の屈曲変形およびせん断変形の抑制が十分でなく、また500%を超えるとインナーライナーの軽量化の効果は十分期待できない。クラウン中央位置Pcにおける厚さGcに対し、ショルダー位置Peの厚さGeは、より好ましくは150%〜500%である。
なお、肉厚部は、ショルダー位置Peを中心に、クラウン中央位置Pc方向と、最大幅位置Ps方向に厚さを漸減する構成とすることが好ましい。インナーライナーの肉厚部を上述のように形成することで、タイヤ走行時における、この領域での繰り返し変形に伴う屈曲変形およびせん断変形が生じても、その応力を緩和することができ、インナーライナーのクラックの発生を防止することができる。
<インナーライナー用エラストマー組成物>
本発明においてインナーライナーは、タイヤ内側に配置され、かつエラストマー組成物よりなる第1層と、前記カーカスプライのゴム層と接して配置されるエラストマー組成物よりなる第2層で構成されている。ここでエラストマー組成物とは、ポリマー成分として熱可塑性エラストマーまたはゴム成分を含む組成物を意味する。但し、添加剤として配合するゴム成分、例えば、ポリイソブチレンはエラストマー成分には含めないものとする。
<第1層>
前記第1層は、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(以下、「SIBS」ともいう。)含む熱可塑性エラストマー組成物で形成される。SIBSは、分子鎖中にイソブチレンブロックを含んでいるため、そのポリマーフィルムは優れた耐空気透過性を有する。SIBSは、その分子構造において、芳香族単位以外は飽和しているため、酸化劣化が抑制される。
SIBSの分子量は、流動性、成形化工程およびゴム弾性などの観点から、GPC測定による重量平均分子量が50,000〜400,000であることが好ましい。重量平均分子量が50,000未満であると引張強度、引張伸びが低下するおそれがあり、400,000を超えると押出加工性が悪くなるおそれがある。SIBSは耐空気透過性と耐久性をより良好にする観点から、SIBS中のスチレン成分の含有量は10〜30質量%が好ましい。
SIBSは、分子鎖中における各ブロックの重合度は、イソブチレン単位が10,000〜150,000程度、またスチレン単位が5,000〜30,000程度であることが好ましい。SIBSの製造は、一般的なビニル系化合物のリビングカチオン重合法により得ることができる。例えば特開昭62−48704号公報および特開昭64−62308号公報には、イソブチレンと他のビニル化合物とのリビングカチオン重合が開示されている。
(紫外線吸収剤)
本発明において、エラストマー組成物は、好ましくは紫外線吸収剤を含む。紫外線吸収剤は、波長290nm以上の紫外線領域の光を吸収し高分子化合物の分子鎖の劣化を防止する。例えば、ベンゾフェノン系、サリチレート系およびベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤は高分子化合物が最も劣化を受けやすい波長320nm〜350nm付近の紫外線光を吸収する。この波長域の光を振動エネルギーや熱エネルギーに変換することで高分子化合物への吸収を防止する機能を有する。特に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が幅広い紫外線光を吸収できる。ここで、紫外線吸収剤を例示すれば次のとおりである。
[ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤]
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、TINUVIN P/FL(BASF社製、分子量225、融点128〜132℃、最大吸収波長341nm)(2−(2−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール)、TINUVIN 234(BASF社製、分子量447.6、融点137〜141℃、最大吸収波長343nm)(2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α’ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール)、TINUVIN 326/FL(BASF社製、分子量315.8、融点138〜141℃、最大吸収波長353nm)、アデカスタブLA−36((株)ADEKA製)(2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、TINUVIN 237(BASF社製、分子量338.4、融点139〜144℃、最大吸収波長359nm)(2,4−ジ−t−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル−)フェノール)、TINUVIN 328(BASF社製、分子量351.5、融点80〜88℃、最大吸収波長347nm)(2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール)およびTINUVIN 329/FL(BASF社製、分子量323、融点103〜105℃、最大吸収波長343nm)(2−(2−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール)が例示できる。
[液状紫外線吸収剤]
液状紫外線吸収剤として、TINUVIN 213(BASF社製、融点−40℃、最大吸収波長344nm)(5−(2−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルベンゼンプロパン酸メチル)、TINUVIN 571(BASF社製、分子量393.6、融点−56℃、最大吸収波長343nm)(2−(2−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−ドデシルフェノール)、[トリアジン系紫外線吸収剤]およびTINUVIN 1577FF(BASF社製、分子量425、融点148℃、最大吸収波長274nm)(2−[4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(ヘキシルオキシ)フェノール)が例示できる。
[ベンゾフェノン系紫外線吸収剤]
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤として、CHIMASSORB 81/FL(BASF社製、分子量326.4、融点48〜49℃)(2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)ベンゾフェノン)が例示できる。
[ベンゾエート系紫外線吸収剤]
ベンゾエート系紫外線吸収剤として、TINUVIN 120(BASF社製、分子量438.7、融点192〜197℃、最大吸収波長265nm)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート)が例示できる。
[ヒンダードアミン系安定剤]
ヒンダードアミン系安定剤として、CHIMASSORB 2020 FDL(BASF社製、分子量2600〜3400、融点130〜136℃)(ジブチルアミン1,3,5−トリアジン・N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物)、CHIMASSORB 944 FDL(BASF社製、分子量2000〜3100、融点100〜135℃)(ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}])、TINUVIN 622 LD(BASF社製、分子量3100〜4000、融点55〜70℃)(ブタン二酸1−[2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ)エチル])、TINUVIN 144(BASF社製、分子量685、融点146〜150℃)(2−ブチル−2−[3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジル]マロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、TINUVIN 292(BASF社製、分子量509)(セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル))、TINUVIN 770 DF(BASF社製、分子量481、融点81〜85℃)(セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)が例示できる。
本発明において、熱可塑性エラストマー組成物に酸化チタンを配合することにより、紫外線透過を抑制するため、紫外線照射による劣化を防ぐことができる。また酸化チタンを熱可塑性エラストマー中に配合する場合は、分散不良により耐久性が悪化する虞があるため、混合する際には均一な分散をさせることに注意する必要がある。
(酸化防止剤)
本発明において、エラストマー組成物は、好ましくは酸化防止剤を含む。酸化防止剤は、紫外線吸収剤はラジカル補足剤として機能し、主に炭素ラジカルを補足することで、高分子の分子鎖の劣化を防止できる。特に、紫外線吸収剤と酸化防止剤の併用が好ましい。本発明に用いられる酸化防止剤を以下に例示する。
[ヒンダードフェノール系酸化防止剤]
IRGANOX1010(BASF製)、アデカスタブAO−60((株)ADEKA製)、スミライザーBP−101(住友化学(株)製)(ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])、IRGANOX1035(BASF製)(2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])、IRGANOX1076(BASF製)(オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、IRGANOX1098(BASF製)(N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド))、IRGANOX1135(BASF製)(イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])、IRGANOX1330(BASF製)(1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン)、IRGANOX1726(BASF製)(4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−O−クレゾール)、IRGANOX1425(BASF製)(ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム(50%)、ポリエチレンワックス(50%))、IRGANOX1520(BASF製)(2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−O−クレゾール)、IRGANOX245(BASF製)(トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])、IRGANOX259(BASF製)(1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])、IRGANOX3114(BASF製)(トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト)、IRGANOX5057(BASF製)(オクチル化ジフェニルアミン)、IRGANOX565(BASF製)(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン)、サイアノックスCY1790(サンケミカル(株)製)(1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸)、アデカスタブAO−40((株)ADEKA製)、スミライサーBBM(住友化学(株)製)(4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール))、アデカスタブAO−50((株)ADEKA製)、スミライザーBP-76(住友化学(株)製)(ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、アデカスタブAO−80((株)ADEKA製)、スミライザーGA-80(住友化学(株)製)(3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフィエニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン)。
[リン系酸化防止剤]
リン系酸化防止剤は、過酸化物分解剤として使用され、熱加工成型時の酸化防止機能に優れており、例えば、以下のものがある。
IRGAFOS12(BASF製、分子量1462.9)(6,6’,6’’−[ニトリロトリス(エチレンオキシ)]トリス(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン))、IRGAFOS38(BASF製、分子量514)(亜リン酸エチルビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル))、IRGAFOS168(BASF製、分子量646)、アデカスタブ2112((株)ADEKA製)、スミライザーP−16(住友化学(株)製)(トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト)、アデカスタブPEP−8((株)ADEKA製)(ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト)、アデカスタブPEP−36((株)ADEKA製)(サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェイニル)フォスファイト)。
[ヒドロキシルアミン系]
IRGASTAB FS 042(BASF製)(N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン)、[ヒンダードフェノール/リン混合系酸化防止剤]、IRGANOX B 225(BASF製)(IRGAFOS168:IRGANOX1010=1:1)、IRGANOX215(BASF製)(IRGAFOS168:IRGANOX1010=2:1)、IRGANOX220(BASF製)(IRGAFOS168:IRGANOX1010=3:1)、IRGANOX921(BASF製)(IRGAFOS168:IRGANOX1076=2:1)。
[酸素吸収剤]
本発明において酸化防止剤は酸素吸収剤を包含する概念である。酸素吸収剤は空気中の酸素捕捉能がある一般的な酸素吸収剤を用いることができ、例えば、鉄粉の酸化反応を利用して空気中の酸素を吸収する鉄粉末酸素吸収剤をあげることができ、通常、表面積が0.5m2/g以上の鉄粉100重量部に対し、0.1〜50重量部のハロゲン化金属、例え
ば塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン化物を組合せて用いる。これは両者の混合物として、また鉄粉表面をハロゲン化金属で被覆したものでもよい。
なお、本発明に用いる酸素吸収剤にはさらにゼオライトなどの多孔性粒子に水分を含浸させたものをさらに組合せて前記酸素による鉄の酸化をさらに促進させることができる。特に、炭素ラジカルのラジカルトラップ剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
本発明において、上記紫外線吸収剤および酸化防止剤について、これらのうち少なくとも1種、もしくは2種以上を組合せて使用できる。特に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤を組合せて使うことが好ましい。
[紫外線吸収剤/酸化防止剤の配合量]
スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体を含むエラストマー組成物は、紫外線の波長290nm以上の波長領域で劣化を受けやすい。そこで紫外線吸収剤をエラストマー組成物に配合することで、最も劣化を受けやすい320nm〜350nm付近の光を吸収し、無害の振動エネルギーや熱エネルギーに変換することで、エラストマー組成物を紫外線から保護する。ここで紫外線吸収剤は光安定剤を包含する概念である。
一方、エラストマー組成物は、タイヤ走行時の屈曲疲労に余ってラジカルを発生し、ラジカルが主鎖を誘発し連鎖的に劣化が進行し、エラストマー組成物の亀裂発生・破壊を招来しやすい。そこで酸化防止剤を配合することで、屈曲疲労により発生したラジカルを補足し劣化を防ぐ機能を有する。
本発明において第1層のエラストマー組成物は、紫外線吸収剤および酸化防止剤の少なくともいずれかを含むが、これらの合計の配合量は、エラストマー成分の0.5〜40質量%の範囲である。0.5質量%未満では、紫外線による劣化防止、酸素による酸化劣化の防止の効果がない。一方、40質量%を超えるとエラストマー組成物の耐久性が低下することがある。紫外線吸収剤および酸化防止剤は、エラストマー成分の2.0〜20質量%の範囲が好ましい。
(第1層の厚さ)
積層体の第1層の厚さは、0.05〜0.6mmが好ましい。第1層の厚さが0.05mm未満であると、第1層と第2層よりなるポリマー積層体をインナーライナーに適用した生タイヤの加硫時に、第1層がプレス圧力で破れてしまい、得られたタイヤにおいてエアーリーク現象が生じる虞がある。一方、第1層の厚さが0.6mmを超えるとタイヤ重量が増加し、低燃費性能が低下する。第1層の厚さは0.05〜0.4mmであることが好ましい。第1層は、押出成形、カレンダー成形といった熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーをフィルム化する通常の方法が採用できる。
<第2層>
前記第2層は、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(以下、「SIS」ともいう。)およびスチレン−イソブチレンブロック共重合体(以下、「SIB」ともいう。)の少なくともいずれかを含むエラストマー組成物である。
スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)のイソプレンブロックはソフトセグメントであるため、SISからなるポリマーフィルムはゴム成分と加硫接着しやすい。したがって、SISからなるポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、該インナーライナーは、たとえばカーカスプライのゴム層との接着性に優れているため、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
前記SISの分子量は特に制限はないが、ゴム弾性および成形性の観点から、GPC測定による重量平均分子量が100,000〜290,000であることが好ましい。重量平均分子量が100,000未満であると引張強度が低下するおそれがあり、290,000を超えると押出加工性が悪くなるため好ましくない。SIS中のスチレン成分の含有量は、粘着性、接着性およびゴム弾性の観点から10〜30質量%が好ましい。
本発明において、SISにおける、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と取り扱いの観点からイソプレンでは500〜5,000程度、またスチレンでは50〜1,500程度であることが好ましい。
前記SISは、一般的なビニル系化合物の重合法により得ることができ、例えば、リビングカチオン重合法により得ることができる。SIS層は、SISを押出成形、カレンダー成形といった熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーをフィルム化する通常の方法によってフィルム化して得ることができる。
スチレン−イソブチレンブロック共重合体(SIB)のイソブチレンブロックはソフトセグメントであるため、SIBからなるポリマーフィルムはゴム成分と加硫接着しやすい。したがって、SIBからなるポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、該インナーライナーは、たとえばカーカスやインスレーションを形成する隣接ゴムとの接着性に優れているため、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
SIBとしては、直鎖状のものを用いることがゴム弾性および接着性の観点から好ましい。SIBの分子量は特に制限はないが、ゴム弾性および成形性の観点から、GPC測定による重量平均分子量が40,000〜120,000であることが好ましい。重量平均分子量が40,000未満であると引張強度が低下するおそれがあり、120,000を超えると押出加工性が悪くなるおそれがあるため好ましくない。SIB中のスチレン成分の含有量は、粘着性、接着性およびゴム弾性の観点から10〜35質量%であることが好ましい。本発明において、SIBにおける、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と取り扱いの観点からイソブチレンでは300〜3,000程度、またスチレンでは10〜1,50
0程度であることが好ましい。
前記SIBは、一般的なビニル系化合物のリビング重合法により得ることができ、例えば、攪拌機にメチルシクロヘキサン、n−ブチルクロライド、クミルクロライドを加え、−70℃に冷却した後、2時間反応させ、その後に大量のメタノールを添加して反応を停止させ、60℃で真空乾燥してSIBを得ることができる。
SIB層は、SIBを押出成形またはカレンダー成形などのスチレン系熱可塑性エラストマーをフィルム化する通常の方法によって成型できる。
(紫外線吸収剤、酸化防止剤)
第2層に用いられる紫外線吸収剤および酸化防止剤は、前述の第1層に用いられるものと同じ種類を用いてもよく、また異なった種類を用いてもよい。本発明において第2層のエラストマー組成物は、紫外線吸収剤および酸化防止剤の少なくともいずれかを含むが、これらの合計の配合量は、エラストマー成分の0.5〜40質量%の範囲である。0.5質量%未満では、紫外線による劣化防止、酸素による酸化劣化の防止の効果がない。一方、40質量%を超えるとエラストマー組成物の耐久性が低下することがある。紫外線吸収剤および酸化防止剤は、エラストマー成分の2.0〜20質量%の範囲が好ましい。
(第2層の厚さ)
第2層の厚さは、0.01mm〜0.3mmが好ましい。ここで第2層の厚さとは、例えば第2層がSIS層、SIBなどの1層のみからなる場合は、その厚さをいう。一方、第2層が例えば、SIS層およびSIB層などを含む複数層の場合は、これらの合計厚さを意味する。第2層の厚さが0.01mm未満であると、ポリマー積層体をインナーライナーに適用した生タイヤの加硫時に、第2層がプレス圧力で破れてしまい、加硫接着力が低下する虞がある。一方、第2層の厚さが0.3mmを超えるとタイヤ重量が増加し低燃費性能が低下する可能性がある。第2層の厚さは、さらに0.05〜0.2mmであることが好ましい。
<第1層、第2層のポリマー成分>
第1層また第2層はSIBS変性共重合体、スチレン系熱可塑性エラストマーまたはゴム成分を含むことができる。
(SIBS変性共重合体)
SIBS変性共重合体は、熱可塑性エラストマー成分全体の5〜80質量%の範囲で配合される。5質量%未満の場合は、第1層との加硫接着力が低下する可能性があり、80質量%を超えるとカーカスプライとの接着力が低下する可能性がある。
ここでSIBS変性共重合体は、SIBSのスチレンブロック部分が不飽和結合を有する酸塩化物もしくは酸無水物で変性されたものであり、分子鎖中に次の式(1)の化学構造を含んでいる。
Figure 2013166529
式中(1)において、nは整数、R1は官能基を有する一価の有機基である。
本発明で変性に用いられる不飽和結合を有する酸塩化物とは、メタクリル酸クロライド、メタクリル酸ブロマイド、メタクリル酸ヨウダイド、アクリル酸クロライド、アクリル酸ブロマイド、アクリル酸ヨウダイド、クロトニル酸クロライドおよびクロトニル酸ブロマイドが例示される。特に、メタクリル酸クロライド、アクリル酸クロライドが好適である。
また酸無水物とは、無水酢酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等が例示されるが、特に、無水酢酸が好適である。これの化合物は、二種類以上を併用することも可能である。係る変性により不飽和基がSIBSに導入されるため、架橋剤を用いた架橋を可能とすることができる。
前述の如く、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体を、不飽和結合を有する酸塩化物及び酸無水物にて変性したSIBS変性共重合体の配合量は、熱可塑性エラストマー成分の10〜100質量%、好ましくは30〜100質量%の範囲である。SIBS変性共重合体の配合量が、熱可塑性エラストマー成分の10質量%未満の場合は、第
2層およびカーカスプライゴムとの加硫接着が十分でないことがある。
SIBS変性共重合体における、不飽和結合を有する酸塩化物及び酸無水物の含量は、1%重量以上、好ましくは5重量%以上であり、30重量%以下である。
SIBS変性共重合体を架橋するには、従来の方法を用いることができ、例えば、加熱による熱架橋、架橋剤による架橋を行うことができる。ここで架橋剤としては、有機パーオキサイド、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ‐tert‐ブチルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ‐(tert‐ブチルパーオキシ)ヘキサンなどが使用できる。有機パーオキサイドの配合量は、熱可塑性エラストマー成分100質量部に対して0.1〜3.0質量部の範囲が好ましい。
SIBS変性共重合体は、イソブチレンブロック由来により、SIBS変性共重合体からなるフィルムは優れた耐空気透過性を有する。またSIBS変性共重合体は、不飽和基がISBSに導入されているため、熱架橋および架橋剤による架橋が可能となり、引張強度、破断時伸および永久歪などの基本特性とともに、屈曲亀裂特性および耐空気透過性が改善されインナーライナーとしての特性が改善される。
SIBS変性共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物からなるポリマーフィルムをインナーライナーに適用して空気入りタイヤを製造した場合には、耐空気透過性を確保できる。したがってハロゲン化ブチルゴム等の、従来耐空気透過性を付与するために使用されてきた高比重のハロゲン化ゴムを使用する必要がなく、使用する場合にも使用量の低減が可能である。これによってタイヤの軽量化が可能であり、燃費の向上効果が得られる。
SIBS変性共重合体の分子量は特に制限はないが、流動性、成形化工程、ゴム弾性などの観点から、GPC測定による重量平均分子量が50,000〜400,000であることが好ましい。重量平均分子量が50,000未満であると引張強度、引張伸びが低下するおそれがあり、400,000を超えると押出加工性が悪くなるおそれがあるため好ましくない。SIBS変性共重合体は耐空気透過性と耐久性をより良好にする観点から、SIBS中のスチレン成分の含有量は10〜30質量%、好ましくは14〜23質量%であることが好ましい。
なお、SIBS変性共重合体の製造方法は、例えば特許第4551005号に開示されている。
(スチレン系熱可塑性エラストマー)
スチレン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてスチレンブロックを含む共重合体をいう。SIBS、SISおよびSIB以外に、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(以下、「SBS」ともいう。)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレンブロック共重合体(以下、「SEBS」ともいう。)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(以下、「SEPS」ともいう。)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(以下、「SEEPS」ともいう。)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(以下、「SBBS」ともいう。)がある。
また、スチレン系熱可塑性エラストマーは、その分子構造において、エポキシ基を有してもよく、例えば、ダイセル化学工業(株)社製、エポフレンドA1020(重量平均分子量が10万、エポキシ当量が500)のエポキシ変性スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(エポキシ化SBS)が使用できる。
(ゴム成分)
第1層、第2層のエラストマー組成物には、ゴム成分を配合することができる。ゴム成分の配合によって、隣接するカーカスプライとの未加硫状態での粘着性を付与し、加硫によりカーカスプライやインスレーションとの加硫接着性を高めることができる。ゴム成分は天然ゴム、ポリイソブチレン、イソプレンゴム、クロロプレンゴムおよびブチルゴムよりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。ゴム成分の配合量は、エラストマー成分中、5〜75質量%の範囲が好ましい。
(粘着付与剤)
本発明において、前記第1層及び第2層の少なくともいずれかは、熱可塑性エラストマー成分100質量に対し、粘着付与剤が0.1〜100質量部は配合される。ここで粘着付与剤とは、熱可塑性エラストマー組成物の粘着性を増進するための配合剤をいい、例えば次の粘着付与剤が例示される。
典型的には、C9石油樹脂、C5石油樹脂がある。ここでC9石油樹脂は、ナフサを熱分解して、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどの有用な化合物を得ているが、それらを取り去った残りのC5〜C9留分(主としてC9留分)を混合状態のまま重合して得られた芳香族石油樹脂である。例えば、商品名として、アルコンP70、P90、P100、P125、P140、M90、M100、M115、M135(いずれも、荒川化学工業(株)社製、軟化点70〜145℃)、またアイマーブS100、S110、P100、P125、P140(いずれも出光石油化学(株)製、芳香族共重合系水添石油樹脂、軟化点100〜140℃、重量平均分子量700〜900、臭素価2.0〜6.0g/100g)、さらに、ペトコールXL(東ソー(株)製)がある。
またC5石油樹脂とは、ナフサを熱分解して、エチレン、プロピレンやブタジエンなどの有用な化合物を得ているが、それらを取り去った残りのC4〜C5留分(主としてC5留分)を混合状態のまま重合して、得られた脂肪族石油樹脂である。商品名として、ハイレッツG100(三井石油化学(株)製、軟化点が100℃)、またマルカレッツT100AS(丸善石油(株)製、軟化点100℃)、さらにエスコレッツ1102(トーネックス(株)製、軟化点が110℃)がある。
テルペン樹脂は、例えば、商品名として、YSレジンPX800N、PX1000、PX1150、PX1250、PXN1150N、クリアロンP85、P105、P115、P125、P135、P150、M105、M115、K100(いずれもヤスハラケミカル(株)製、軟化点は75〜160℃)がある。
芳香族変性テルペン樹脂は、例えば、商品名として、YSレジンTO85、TO105、TO115、TO125(いずれもヤスハラケミカル(株)製、軟化点75〜165℃)がある。
テルペンフェノール樹脂は、例えば商品名として、タマノル803L、901(荒川化学工業(株)製、軟化点120℃〜160℃)、またYSポリスターU115、U130、T80、T100、T115、T145、T160(いずれもヤスハラケミカル(株)製、軟化点75〜165℃)がある。クマロン樹脂は、例えば、軟化点90℃のクマロン樹脂(神戸油化学工業(株)製)がある。クマロンインデンオイルは、例えば商品名として、15E(神戸油化学工業(株)製、流動点15℃)がある。
ロジンエステルは、例えば商品名として、エステルガムAAL、A、AAV、105、AT、H、HP、HD(いずれも荒川化学工業(株)製、軟化点68℃〜110℃)、またハリエスターTF、S、C、DS70L、DS90、DS130(いずれもハリマ化成(株)製、軟化点68℃〜138℃)がある。
水添ロジンエステルは、例えば商品名として、スーパーエステルA75、A100、A115、A125(いずれも荒川化学工業(株)製、軟化点70℃〜130℃)がある。
アルキルフェノール樹脂は、例えば商品名として、タマノル510(荒川化学工業(株)製、軟化点75℃〜95℃)がある。DCPDは、商品名として、エスコレッツ5300(トーネックス(株)製、軟化点105℃)がある。
粘着付与剤は、C9石油樹脂の完全水添系石油樹脂がSIBと相溶性がよく、またガスバリア性も低下することなく、接着性を高めることができる。また粘度も下げる効果もあり、フィルム押出成形にも有利に使用できる。
前記粘着付与剤は、第1層にエラストマー成分100質量部に対して、0.1〜100質量部、好ましくは、1〜50質量部の範囲で配合されることが好ましい。粘着付与剤が0.1質量部未満の場合は、第2層との加硫接着力が十分でなく、一方、100質量部を超えると粘着性が高くなりすぎて、加工性、生産性を低下し、更にガスバリア性が低下することになる。
一方、第2層は、タイヤ内側の第1層とカーカスプライの間に配置され、これら両者との接着性が要求される。そこで前記粘着付与剤は、第2層のエラストマー成分100質量部に対して、0.1〜100質量部、好ましくは、1〜50質量部の範囲で配合される。粘着付与剤が0.1質量部未満の場合は、第1層との加硫接着力が十分でなく、一方、100質量部を超えると粘着性が高くなりすぎて、加工性、生産性を低下し、更にガスバリア性が低下することになる。
<ポリマー積層体>
本発明において、インナーライナーは前記第1層と第2層で構成されるポリマー積層体が使用される。ここで第1層、第2層は熱可塑性エラストマーの組成物であり、加硫温度、例えば150℃〜180℃において、金型中で軟化状態にある。軟化状態とは分子運動性が向上し固体と液体の中間状態を意味する。また、熱可塑性エラストマー組成物が軟化状態では、固体状態よりも反応性が向上するため、隣接する部材と粘着、接着する。そのため熱可塑性エラストマー組成物の形状変化や隣接部材との粘着、融着を防止するために、タイヤの製造の際には冷却工程を設けることが好ましい。冷却工程は、タイヤ加硫後に、10〜300秒間、50〜120℃に急冷しブラダー部内を冷却することができる。冷却媒体としては、空気、水蒸気、水およびオイルより選択される1種以上が使用される。かかる冷却工程を採用することで、インナーライナーを0.05〜0.6mmの範囲の薄いインナーライナーを形成することが容易となる。
つぎに、インナーライナーの加硫タイヤにおけるカーカスプライとの配置状態を図3において示す。図3において、ポリマー積層体PLは、第1層PL1および第2層PL2から構成される。該ポリマー積層体PLを空気入りタイヤのインナーライナーに適用する場合、第2層PL2がカーカスプライCに接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、第2層PL2とカーカスCとの接着強度を高めるとともに、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
<空気入りタイヤの製造方法>
本発明の空気入りタイヤは、一般的な製造方法を用いることができる。まず前記ポリマー積層体PLを用いてインナンーライナーを製造する。空気入りタイヤの生タイヤに前記インナーライナーを適用して他の部材とともに加硫成形することによって製造することができる。ポリマー積層体PLを生タイヤに配置する際は、ポリマー積層体PLの第2層PL2が、カーカスプライCに接するようにタイヤ半径方向外側に向けて配置する。このように配置すると、タイヤ加硫工程において、第1層とカーカスプライCとの接着強度を高めることができる。得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライCのゴム層とが良好に接着し優れた耐空気透過性および耐久性を有する。
<ポリマー積層体>
本発明の第1層および第2層よりなるポリマー積層体の製造に用いた熱可塑性エラストマー(SIB、SIBS、SIS及びSIBS変性共重合体)、紫外線吸収剤、酸化防止剤は以下のとおり調整した。
[SIB]
攪拌機付き2L反応容器に、メチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)589mL、n−ブチルクロライド(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)613ml、クミルクロライド0.550gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、α−ピコリン(2−メチルピリジン)0.35mL、イソブチレン179mLを添加した。さらに四塩化チタン9.4mLを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら2.0時間反応させた。次に反応容器にスチレン59mLを添加し、さらに60分間反応を続けた後、大量のメタノールを添加して反応を停止させた。反応溶液から溶剤などを除去した後に、重合体をトルエンに溶解して2回水洗した。このトルエン溶液をメタノール混合物に加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間乾燥することによりスチレン−イソブチレンジブロック共重合体を得た(スチレン成分含有量:15質量%、重量平均分子量:70,000)。
[SIBS]
カネカ(株)社製の「シブスターSIBSTAR 102T(ショアA硬度25、スチレン成分含有量25質量%、重量平均分子量:100,000)」を用いた。
[SIS]
クレイトンポリマー社製のD1161JP(スチレン成分含有量15質量%、重量平均分子量:150,000)を用いた。
[SIBS変性共重合体の製造]
2リットルのセパラブルフラスコにスチレン―イソブチレンブロック共重合体75g(スチレン含量30%、スチレンユニットのモル数0.216モル)を入れて、容器内を窒素で置換した。注射器を用いて、モレキュラーシーブスで乾燥したn−ヘキサン1200mL及びモレキュラーシーブスで乾燥したn−ブチルクロリド1800ミリリットルを加えた。
次に、シリンジを用いてメタクリル酸クロライド30g(0.291モル)を加えた。そして溶液を攪拌しながら三塩化アルミニウム39.4g(0.295モル)を加えて反
応を開始した。30分の反応の後、反応溶液に約1000ミリリットルの水を加えて激しく攪拌し反応を終了させた。反応溶液を多量の水で数回水洗を行い、さらに大量のメタノールとアセトン混合溶媒(1:1)に徐々に滴下して反応生成物を沈殿させ、その後反応生成物を60℃で24時間真空乾燥して、SIBS変性共重合体(重量平均分子量:150,000、スチレン含量:20重量%、酸塩化物:1.0重量%)を得た。
<第1層、第2層の配合>
表1に第1層の比較配合1〜6および実施配合1〜8を示す。表2に第2層の比較配合7〜13および実施配合9〜17を示す。第1層及び第2層にこれらの配合を用いて比較例1〜22、実施例1〜21のタイヤを製造した。
Figure 2013166529
Figure 2013166529
(注1)粘着付与剤:C9石油樹脂、アルコンP140(荒川化学工業(株)社製、軟化点140℃、重量平均分子量Mw:900)。
(注2)ポリイソブチレン:新日本石油(株)社製、「テトラックス3T」(粘度平均分子量30,000、重量平均分子量、49,000)。
(注3)紫外線吸収剤:(株)ADEKA社製のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として「アデカスタブLA−36」(2−(2’−ヒドロキシ−3’−ter−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)を用いた。この紫外線吸収剤は融点が138〜141℃、分子量315.8、最大吸収波長が353nmである。
(注4)酸化防止剤:BASF社製のヒンダードフェノール系酸化防止剤として「IRGANOX 1010」(ペンタエリスリチル・テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を用いた。この酸化防止剤の融点は110〜125℃であり、比重が1.15、分子量が117.7である。
<インナーライナーの製造>
表1、表2の実施配合、比較配合に基づき、SIBS変性共重合体、SIBS、SISおよびSIBなどの熱可塑性エラストマー組成物を、2軸押出機(スクリュ径:φ50mm、L/D:30、シリンダ温度:220℃)にてペレット化した。その後、Tダイ押出機(スクリュ径:φ80mm、L/D:50、ダイリップ幅:500mm、シリンダ温度:220℃、フィルムゲージ:第1層は0.25mm、第2層は0.05mm)にてインナーライナーを作製した。
<空気入りタイヤの製造>
空気入りタイヤは、図1に示す基本構造を有する195/65R15サイズのものを製造した。上記ポリマー積層体をインナーライナーに用いて生タイヤを製造し、170℃で20分間プレス加硫を行った。加硫タイヤを加硫金型から取り出すことなく、110℃で3分間冷却した後に加硫金型から取り出した。冷却媒体としては水を使用した。
<比較例1〜10>
表3において、比較例1〜6は、第1層に比較配合1〜6を、第2層に比較配合9(SIS)を用い、厚さ比(Ge/Gc)を200%としたインナーライナーの例である。低温耐久走行距離は比較例1が最も優れているが、いずれも十分ではない。
比較例7〜10は、第1層として比較配合3、第2層として比較配合10〜13を用い、厚さ比(Ge/Gc)を200%としたインナーライナーの例である。低温耐久走行距離はいずれも十分ではない。
Figure 2013166529
<比較例11〜22>
表4において、比較例11〜18は、第1層に実施配合1〜8を、第2層に実施配合13を用い、厚さ比(Ge/Gc)を100%としたインナーライナーの例である。低温耐久走行距離は比較例17が最も優れている。
比較例19〜22は、第1層に実施配合5を、第2層に実施配合14〜17を用い、厚さ比(Ge/Gc)を100%としたインナーライナーの例である。低温耐久走行距離は比較例21、22が最も優れている。
Figure 2013166529
<実施例1〜10>
表5において、実施例1〜7は、第1層に実施配合8を、第2層に実施配合13を用い、厚さ比(Ge/Gc)を200%とし、領域(wc/ws)の値を変更したインナーライナーの例である。いずれの実施例の低温耐久走行距離は、比較例1よりも大幅な改善が認められる。
実施例8〜10は、第1層に実施配合8を、第2層に実施配合13を用い、領域(wc/ws)を10/20とし、厚さ比(Ge/Gc)の値を変更したインナーライナーの例である。厚さ比の値が500%の実施例10の低温耐久走行距離がもっとも大幅な改善が認められる。
Figure 2013166529
<実施例11〜21>
表6において、実施例11〜17は、第1層に実施配合1〜7を、第2層に実施配合13を用い、厚さ比(Ge/Gc)を200%としたインナーライナーの例である。低温耐久走行距離は第1層に実施配合2(SIBSに紫外線吸収剤40質量部配合)を用いた実施例12が最も優れている。
実施例18〜21は、第1層として実施配合5を、第2層として実施配合14〜17の異なった配合を用い、厚さ比(Ge/Gc)を200%としたインナーライナーの例である。第2層に実施配合17(SIS/SIBS/SIBS変性に紫外線吸収剤と酸化防止剤をそれぞれ20質量部配合)を用いた実施例21の低温耐久走行距離がもっとも優れている。
Figure 2013166529
(注)表3〜6において、肉厚部の領域(wc/ws)(%)は、ショルダー位置Peを中心にクラウン中心位置Pc方向に延びる距離のWcに対する割合をwc(%)とし、ショルダー位置Peを中心に最大幅位置Ps方向に延びる距離のWsに対する割合をws(%)として示す。
<性能試験>
前述の如く製造された空気入りタイヤに関し、以下の性能評価をおこなった。
<低温耐久走行距離(指数)>
低温耐久走行試験は、屋内暴露後、酸素注入下、雰囲気温度−20℃のもとでタイヤが損傷するまでの走行距離を測定した。試作タイヤを十分日光に晒される屋外において1ヶ月放置した。その後、JIS規格リム15×6JJに組み付け、100%酸素注入し、内圧250kPaに設定しタイヤを準備する。
走行条件は、荷重は8.15kN、速度100km/hで走行開始し、ならし走行を10分行い、その後、−20℃まで冷却して、雰囲気温度が−20℃の下、再度100km/hで走行させ、タイヤが故障するまで走行距離を測定した。
各比較例、実施例の故障時の走行距離を求め、比較例1を基準として、その相対値を指数として求めた。指数の値が大きいほど耐久走行距離が長く、優れていることを示す。
耐久走行距離指数=(各実施例の故障時の走行距離)/(比較例1の故障時の走行距離)×100
<転がり抵抗(指数)>
(株)神戸製鋼所製の転がり抵抗試験機を用い、製造した195/65R15サイズの空気入りタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、荷重3.4kN、空気圧230kPa、速度80km/時間の条件下で、室温(38℃)にて走行させて、転がり抵抗を測定した。下記計算式により、比較例1を基準(100)として、相対値として比較例、実施例を指数として算出した。数値が小さいほど転がり抵抗が小さいことを示す。
転がり抵抗指数=各比較例、実施例の転がり抵抗/比較例1の転がり抵抗×100
<総合判定>
判定Aは、次の条件をすべて満たしたものをいう。
(a)低温耐久走行距離指数が140より大きい。
(b)転がり抵抗指数が105以下。
判定Bは、次の条件のいずれか1つを満たす場合をいう。
(a)低温耐久走行距離指数が140以下。
(b)転がり抵抗指数が105より大きい。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用空気入りタイヤのほか、トラック・バス用、重機用等の空気入りタイヤとして用いることができる。
1 空気入りタイヤ、2 トレッド部、3 サイドウォール部、4 ビード部、5 ビードコア、6 カーカスプライ、7 ベルト層、8 ビードエーペックス、9 インナーライナー、PL ポリマー積層体、PL1 第1層、PL2 第2層、Pe ショルダー位置、Pc クラウン中央位置、Ps タイヤ最大幅位置、Te トレッド端。
<第1層、第2層の配合>
表1に第1層の比較配合1〜6および実施配合5〜8、参考配合1〜4を示す。表2に第2層の比較配合7〜13および実施配合13〜17、参考配合9〜12を示す。第1層及び第2層にこれらの配合を用いて比較例1〜22、実施例1〜10、15〜21、参考例15〜17のタイヤを製造した。
Figure 2013166529
Figure 2013166529
<比較例11〜22>
表4において、比較例11〜18は、第1層に参考配合1〜4、実施配合〜8を、第2層に実施配合13を用い、厚さ比(Ge/Gc)を100%としたインナーライナーの例である。低温耐久走行距離は比較例17が最も優れている。
Figure 2013166529
<実施例11〜21>
表6において、参考例1〜4、実施例15〜17は、第1層に参考配合1〜4、実施配合〜7を、第2層に実施配合13を用い、厚さ比(Ge/Gc)を200%としたインナーライナーの例である。低温耐久走行距離は第1層に参考配合2(SIBSに紫外線吸収剤40質量部配合)を用いた参考例2が最も優れている。
Figure 2013166529
各比較例、実施例、参考例の故障時の走行距離を求め、比較例1を基準として、その相対値を指数として求めた。指数の値が大きいほど耐久走行距離が長く、優れていることを示す。
耐久走行距離指数=(各実施例、比較例、参考例の故障時の走行距離)/(比較例1の故障時の走行距離)×100
<転がり抵抗(指数)>
(株)神戸製鋼所製の転がり抵抗試験機を用い、製造した195/65R15サイズの空気入りタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、荷重3.4kN、空気圧230kPa、速度80km/時間の条件下で、室温(38℃)にて走行させて、転がり抵抗を測定した。下記計算式により、比較例1を基準(100)として、相対値として比較例、実施例を指数として算出した。数値が小さいほど転がり抵抗が小さいことを示す。
転がり抵抗指数=各比較例、実施例、参考例の転がり抵抗/比較例1の転がり抵抗×100
<総合判定>
判定Aは、次の条件をすべて満たしたものをいう。
(a)低温耐久走行距離指数が140より大きい。
(b)転がり抵抗指数が105以下。

Claims (8)

  1. 一対のビード部の間に装架されたカーカスプライのタイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、前記インナーライナーは、
    (A)スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体と、紫外線吸収剤と酸化防止剤の少なくともいずれかを含み、その合計の配合量が、エラストマー成分の0.5質量%〜40質量%の範囲であるエラストマー組成物よりなる第1層と、
    (B)スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体の少なくともいずれかと、紫外線吸収剤と酸化防止剤の少なくともいずれかを含み、その合計配合量がエラストマー成分の0.5質量%〜40質量%の範囲であるエラストマー組成物よりなる第2層よりなるポリマー積層体で構成され、
    前記第2層がカーカスプライのゴム層と接するように配置されており、かつ前記インナーライナーはクラウン中央位置Pcにおける厚さGcよりもショルダー位置Peの厚さGeが厚いことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記第1層および前記第2層のいずれかのエラストマー組成物は、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体またはSIBS変性共重合体のいずれか、若しくは両者が含まれている請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記第1層および第2層のいずれかのエラストマー組成物は、粘着付与剤またはポリイソブチレンが配合されている請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. タイヤ子午断面において、前記カーカスプライとインナーライナーの境界線に対してトレッド部の接地端Teからタイヤ内径方向に法線Lを引き前記境界線との交点をショルダー位置Peとし、前記カーカスプライとインナーライナーの境界線とタイヤ中心線CLとの交点をクラウン中心位置Pcとし、さらに前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pcまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をショルダー距離Wcとしたとき、
    前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、前記ショルダー距離Wcの少なくとも10%の幅を有する領域に形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、前記ショルダー幅Wcの50%以下の幅を有する領域に形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記インナーライナーの前記ショルダー位置Peからタイヤ最大幅位置Psまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をサイド距離Wsとしたとき、前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peから前記最大幅位置Ps側に、前記サイド距離Wsの少なくとも20%の幅を有する領域に形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peから前記最大幅位置Ps側に、前記最大幅距離Wsの100%以下の幅を有する領域に形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記インナーライナーは、クラウン中央位置Pcにおける厚さGcに対し、ショルダー位置Peの厚さGeは120%〜500%である請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
JP2012032588A 2012-02-17 2012-02-17 空気入りタイヤ Expired - Fee Related JP5342662B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012032588A JP5342662B2 (ja) 2012-02-17 2012-02-17 空気入りタイヤ
PCT/JP2012/073212 WO2013121613A1 (ja) 2012-02-17 2012-09-11 空気入りタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012032588A JP5342662B2 (ja) 2012-02-17 2012-02-17 空気入りタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013166529A true JP2013166529A (ja) 2013-08-29
JP5342662B2 JP5342662B2 (ja) 2013-11-13

Family

ID=48983758

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012032588A Expired - Fee Related JP5342662B2 (ja) 2012-02-17 2012-02-17 空気入りタイヤ

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5342662B2 (ja)
WO (1) WO2013121613A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6870224B2 (ja) * 2015-12-04 2021-05-12 東レ株式会社 熱可塑性エラストマー組成物および成形品

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005343379A (ja) * 2004-06-04 2005-12-15 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ
JP2009173051A (ja) * 2008-01-21 2009-08-06 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ及びその製造方法
JP2010195969A (ja) * 2009-02-26 2010-09-09 Kaneka Corp イソブチレン系ブロック共重合体
JP2011051320A (ja) * 2009-09-04 2011-03-17 Sumitomo Rubber Ind Ltd ポリマー積層体およびそれをインナーライナーに用いた空気入りタイヤ

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005343379A (ja) * 2004-06-04 2005-12-15 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ
JP2009173051A (ja) * 2008-01-21 2009-08-06 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ及びその製造方法
JP2010195969A (ja) * 2009-02-26 2010-09-09 Kaneka Corp イソブチレン系ブロック共重合体
JP2011051320A (ja) * 2009-09-04 2011-03-17 Sumitomo Rubber Ind Ltd ポリマー積層体およびそれをインナーライナーに用いた空気入りタイヤ

Also Published As

Publication number Publication date
WO2013121613A1 (ja) 2013-08-22
JP5342662B2 (ja) 2013-11-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5048881B1 (ja) 空気入りタイヤ
US10464300B2 (en) Method for manufacturing pneumatic tire
US20180134077A1 (en) Pneumatic tire
JP5138758B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP6367793B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2012102269A (ja) 空気入りタイヤ
JP5143958B1 (ja) 空気入りタイヤ
JP5342662B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP5373932B2 (ja) 空気入りタイヤの製造方法
JP5497829B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2014080039A (ja) 空気入りタイヤ
JP5809118B2 (ja) 空気入りタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130723

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130809

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5342662

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees