JP2013165193A - 太陽電池モジュールの製造方法、タブ線の接続方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】接着剤付きタブ線の接着剤層の除去を容易に行う。
【解決手段】太陽電池セルの表面電極に、タブ線20の一面に接着剤層21が積層された接着剤付きタブ線11,15の接着剤層21を配置し、接着剤付きタブ線11,15の一端に、接着剤層21を転着させる接着剤回収部材30を貼付し、接着剤付きタブ線11,15と、表面電極及び接着剤回収部材30とを接続させ、接着剤付きタブ線11,15の一端より、接着剤回収部材30を剥離してタブ線20の表面を露出させ、接着剤付きタブ線11,15の一端を端子部材に接続する。
【選択図】図8
【解決手段】太陽電池セルの表面電極に、タブ線20の一面に接着剤層21が積層された接着剤付きタブ線11,15の接着剤層21を配置し、接着剤付きタブ線11,15の一端に、接着剤層21を転着させる接着剤回収部材30を貼付し、接着剤付きタブ線11,15と、表面電極及び接着剤回収部材30とを接続させ、接着剤付きタブ線11,15の一端より、接着剤回収部材30を剥離してタブ線20の表面を露出させ、接着剤付きタブ線11,15の一端を端子部材に接続する。
【選択図】図8
Description
本発明は、一方の面に正極及び負極電極を有し、正極及び負極電極と端子ボックスとを接続するタブ線が備えられている太陽電池モジュールに関し、特にタブ線と端子ボックスとを効率的に接続できる太陽電池モジュールの製造方法、及びタブ線の接続方法に関する。
近年、環境負荷の低減が地球的な課題となる中、クリーンでかつ再生可能なエネルギーとして、太陽光発電に大きな期待が寄せられている。太陽電池の主流は、現在までのところ、単結晶シリコンや多結晶シリコンの結晶を製造し、これをスライス加工して板状の半導体として使用するバルクシリコン太陽電池である。しかし、バルクシリコン太陽電池は、シリコン結晶の成長に多くのエネルギーと時間を要し、また製造工程においても複雑な工程が必要となる。
一方で、ガラスやステンレススチールなどの基板上に、光電変換層である半導体層を形成したいわゆる薄膜太陽電池は、薄型で軽量、製造コストの安さ、大面積化が容易であることなどから、今後の太陽電池の主流になると考えられている。薄膜太陽電池としては、アモルファスシリコンや微結晶シリコン膜、あるいはこれらのタンデム型等の薄膜シリコン太陽電池、Cu(銅)、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Se(セレン)に代表される元素を混ぜ合わせた化合物半導体を用いたCIGS系太陽電池等がある。
これらの薄膜太陽電池は、大面積の安価な基板上に、プラズマCVD装置又はスパッタ装置のような形成装置を用いて半導体層又は金属電極膜を積層させ、その後、同一基板上に作製した光電変換層をレーザパターニング等により分離接続させることにより、太陽電池ストリングを形成する。
図10に、従来の太陽電池ストリングを構成する薄膜太陽電池の一構成例を示す。この薄膜太陽電池100は、透光性絶縁基板101上に図示しない透明導電膜からなる透明電極膜、光電変換層、裏面電極膜が積層されてなる複数の太陽電池セル102からなる。各太陽電池セル102は、細長い短冊状で、透光性絶縁基板101のほぼ全幅にわたる長さを有している。また、薄膜太陽電池100は、隣接する太陽電池セル102,102同士において一方の透明電極膜と他方の裏面電極膜とが互いに接続されることで複数の太陽電池セル102が直列に接続されて構成されている。
この薄膜太陽電池100における一端部の太陽電池セル102の透明電極膜の端部上に、太陽電池セル102とほぼ同一長さの線状のP型電極端子部103が形成され、他端部の太陽電池セル102の裏面電極膜の端部上に、太陽電池セル102とほぼ同一長さの線状のN型電極端子部104が形成されている。これらP型電極端子部103及びN型電極端子部104が電極取り出し部になる。
P型電極端子部103には、銅箔からなるバスバーと呼ばれる正極集電用タブ線105が、P型電極端子部103の全面に対して電気的かつ機械的に接合されている。同様に、N型電極端子部104には、銅箔からなる負極集電用タブ線106が、N型電極端子部104の全面に対して電気的かつ機械的に接合されている。これらの接合手段としては、ハンダ付けまたは導電性ペーストなどを用いることができる。
また、図11(A)に示すように、薄膜太陽電池100の裏面には、P型電極端子部103及びN型電極端子部104と接続され外部に電気を出力する端子ボックス110と、この端子ボックス110とP型電極端子部103及びN型電極端子部104とを接続する端子ボックス用タブ線111とが接続されている。
端子ボックス110は、例えば絶縁性接着剤を介して薄膜太陽電池100の裏面中央に固定されている。端子ボックス用タブ線111は、上記正極集電用タブ線105や負極集電用タブ線106と同様に長尺状の銅箔やAl箔からなり、薄膜太陽電池100の裏面と絶縁テープ112を介して配設されている。
この端子ボックス用タブ線111は、一端が端子ボックス110とハンダ接続され、他端が絶縁テープ112を介してP型電極端子部103又はN型電極端子部104上に配設される。
端子ボックス用タブ線111と正極集電用タブ線105との接続部は、図11(B)に示すように、絶縁テープ112及び端子ボックス用タブ線111を挟んだ両側に接続された第1、第2の正極集電用タブ線105a、105b間に亘って第3の正極集電用タブ線105cが、絶縁テープ112及び端子ボックス用タブ線111を跨いで接続されている。また、第3の正極集電用タブ線105cは端子ボックス用タブ線111と接続されている。これら、第1、第2の正極集電用タブ線105a、105bと第3の正極集電用タブ線105cとの接続(2箇所)、及び第3の正極集電用タブ線105cと端子ボックス用タブ線111との接続(1箇所)は、超音波ハンダ接合によって行われている。負極集電用タブ線106と端子ボックス用タブ線111との接続も同様である。
ところで、従来、タブ線の一面に予めフィルム状の導電性接着剤層が積層された接着剤付きタブ線が提案されている。この接着剤付きタブ線120は、図12に示すように、予め銅箔等の金属箔からなるタブ線121の一面に、導電性接着剤層122が設けられたものである。導電性接着剤層122は、例えば熱硬化型のエポキシ系硬化型樹脂組成物やアクリル系硬化型樹脂組成物からなるバインダー樹脂に導電性粒子が含有され、タブ線120の一面に形成されている。
このような接着剤付きタブ線を用いることにより、導電性接着剤層を電極端子部に配置し、タブ線の上から熱加圧することにより、タブ線と電極端子部とを導通接続させることが可能となり、タブ線と電極端子部との接続を簡易に行うことができる。
しかし、このような接着剤付きタブ線120の一端を端子ボックスに接続する場合、端子ボックスとの接続端となる一端側に設けられた導電性接着剤層122を除去する必要がある。導電性接着剤層122の除去は、例えばホットストリッパを用いて導電性接着剤層122を熱分解した後、掻き取ることにより行われる。このため、導電性接着剤層122の除去工程が煩雑となり、またタブ線121に相当のダメージを与えることとなる。
そこで、本発明は、接着剤付きタブ線の接着剤層の除去を容易に行うことができる太陽電池モジュールの製造方法、及びタブ線の接続方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、太陽電池セルの表面電極に、タブ線の一面に接着剤層が積層された接着剤付きタブ線の上記接着剤層を配置し、上記接着剤付きタブ線の一端に、上記接着剤層を転着させる接着剤回収部材を貼付し、上記接着剤付きタブ線と、上記表面電極及び上記接着剤回収部材とを接続させ、上記接着剤付きタブ線の一端より、上記接着剤回収部材を剥離して上記タブ線の表面を露出させ、上記接着剤付きタブ線の一端を端子部材に接続するものである。
また、本発明に係るタブ線の接続方法は、太陽電池セルの表面電極に、一面に接着剤層が積層された接着剤付きタブ線の上記接着剤層を配置し、上記接着剤付きタブ線の一端に、上記接着剤層を転着させる接着剤回収部材を貼付し、上記接着剤付きタブ線と、上記表面電極及び上記接着剤回収部材とを接続させ、上記接着剤付きタブ線の一端より、上記接着剤回収部材を剥離して上記タブ線の表面を露出させるものである。
本発明によれば、タブ線の一面に積層された接着剤層の剥離処理を、従来ホットストリッパを用いて硬化された接着剤層を熱分解した後、掻き取ることにより行われていたところ、接着剤回収部材を剥離するだけで行うことができ、工程の簡素化を図ることができる。また、本発明によれば、従来に比してタブ線に対するダメージも低減でき、端子部材との接続信頼性を向上させることができる。
以下、本発明が適用された太陽電池モジュールの製造方法、及びタブ線の接続方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
[太陽電池モジュール]
本発明が適用された薄膜太陽電池1は、図1(A)(B)に示すように、複数の太陽電池セル2がコンタクトラインによって接続された太陽電池ストリングを構成する。図2に示すように、このストリング構造を有する薄膜太陽電池1は、単体で、又は複数枚連結されたマトリクスを構成して、受光面と反対側の裏面に封止接着剤のシート3が重畳され、さらに裏面側に設けられたバックシート4とともに一括してラミネートされることにより太陽電池モジュール6が形成される。なお、太陽電池モジュール6は、適宜、周囲にアルミニウムなどの金属フレーム7が取り付けられる。
本発明が適用された薄膜太陽電池1は、図1(A)(B)に示すように、複数の太陽電池セル2がコンタクトラインによって接続された太陽電池ストリングを構成する。図2に示すように、このストリング構造を有する薄膜太陽電池1は、単体で、又は複数枚連結されたマトリクスを構成して、受光面と反対側の裏面に封止接着剤のシート3が重畳され、さらに裏面側に設けられたバックシート4とともに一括してラミネートされることにより太陽電池モジュール6が形成される。なお、太陽電池モジュール6は、適宜、周囲にアルミニウムなどの金属フレーム7が取り付けられる。
封止接着剤としては、例えばエチレンビニルアセテート樹脂(EVA)等の透光性封止材が用いられる。また、バックシート4としては、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性等の諸特性に優れるプラスチックのフィルムあるいはシートが用いられ、例えばフッ素系樹脂の高耐性という特徴を生かした、ポリフッ化ビニル(PVF)/ポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリフッ化ビニル(PVF)の構成の積層シートを用いることができる。
本発明が適用された薄膜太陽電池1は、透光性絶縁基板8上に、図示は省略しているが、透明導電膜からなる透明電極膜、光電変換層、裏面電極膜がこの順に積層されて形成され、透光性絶縁基板8側から光を入射させるスーパーストレート型の太陽電池である。なお、薄膜太陽電池には、基材、裏面電極、光電変換層、透明電極の順で形成されたサブストレート型太陽電池もある。以下では、スーパーストレート型の薄膜太陽電池1を例に説明するが、本技術は、サブストレート型の薄膜太陽電池に用いることもできる。
また、本発明が適用される太陽電池セルは、薄膜系太陽電池全般、例えばアモルファスシリコン、微結晶タンデム、CdTe、CIS、フレキシブル等の各種薄膜系太陽電池、あるいは、いわゆるバックコンタクトタイプの結晶系太陽電池を用いることができる。
透光性絶縁基板8としては、ガラスやポリイミドなどの耐熱性樹脂を用いることができる。
透明電極膜としては、例えばSnO2、ZnO、ITOなどを用いることができる。光電変換層としては、アモルファスシリコン、微結晶シリコンあるいは多結晶シリコンなどのシリコン系光電変換膜や、CdTe,CuInSe2、Cu(In,Ga)Se2などの化合物系光電変換膜を用いることができる。
裏面電極膜としては、例えば透明導電膜と金属膜の積層構造を有する。透明電極膜は、SnO2、ZnO、ITOなどを用いることができる。金属膜は、銀、アルミニウム等を用いることができる。
このように構成された薄膜太陽電池1は、図1(A)に示すように、透光性絶縁基板8のほぼ全幅にわたる長さを有する矩形状の太陽電池セル2が複数形成されている。各太陽電池セル2は、電極分割ラインによって分離されるとともに、コンタクトラインによって隣接する太陽電池セル2,2同士において一方の透明電極膜と他方の裏面電極膜とが互いに接続されることで、複数の太陽電池セル2が直列に接続された太陽電池ストリングが構成されている。
そして、薄膜太陽電池1は、太陽電池ストリングにおける一端部の太陽電池セル2の透明電極膜の端部上に、太陽電池セル2とほぼ同一長さの線状のP型電極端子部9が形成され、他端部の太陽電池セル2の裏面電極膜の端部上に、太陽電池セル2とほぼ同一長さの線状のN型電極端子部10が形成されている。薄膜太陽電池1は、これらP型電極端子部9及びN型電極端子部10が電極取り出し部となり、正極用タブ線11及び負極用タブ線15を介して端子ボックス19へ電気を供給する。
[接着剤付きタブ線]
図3に示すように、正極用タブ線11及び負極用タブ線15は、いずれもタブ線20の一面に接着剤層21が積層一体化され、タブ線20の他面に絶縁性の支持体22が設けられることにより構成されている。
図3に示すように、正極用タブ線11及び負極用タブ線15は、いずれもタブ線20の一面に接着剤層21が積層一体化され、タブ線20の他面に絶縁性の支持体22が設けられることにより構成されている。
図4に示すように、正極用タブ線11は、接着剤層21を介して薄膜太陽電池1のP型電極端子部9上に接続される正極集電タブ部12と、封止接着材のシート3及びバックシート4を挿通し、バックシート4上に設けられる端子ボックス19と接続される端子ボックス用正極タブ部13とを有し、正極集電タブ部12と端子ボックス用正極タブ部13とは、折り返し部14を介して連続している。なお、図4では、便宜上、封止接着材のシート3及びバックシート4を省略して図示している。
負極用タブ線15は、接着剤層21を介して薄膜太陽電池1のN型電極端子部10上に接続される負極集電タブ部16と、封止接着材のシート3及びバックシート4を挿通し、バックシート4上に設けられる端子ボックス19と接続される端子ボックス用負極タブ部17とを有し、負極集電タブ部16と端子ボックス用負極タブ部17とは、折り返し部18を介して連続している。
以下では、正極用タブ線11について詳細に説明するが、負極用タブ線15も正極用タブ線11と同様の構成を有するものである。
タブ線20は、例えば厚さ10〜300μmに圧延、あるいは電解法にて成形された銅箔やアルミ箔をスリットし、あるいは銅やアルミなどの細い金属ワイヤーを平板状に圧延することにより形成される、P型電極端子部9とほぼ同じ幅の1〜3mm幅の平角線である。
正極集電タブ部12は、タブ線20の一方の面に積層された接着剤層21を介してP型電極端子部9の全面に対して電気的かつ機械的に接合されている。また、端子ボックス用正極タブ部13は、正極用タブ線11の一部が折り返し部14で折り返された先の部分であり、タブ線20の他方の面に設けられた絶縁性の支持体22を介してバックシート4上に配設されている。端子ボックス用正極タブ部13は、支持体22によって導電性のバックシート4と接した場合にもショートが防止されている。また、端子ボックス用正極タブ部13は、先端が端子ボックス19の端子台に接続されている。
折り返し部14は、正極用タブ線11の一部、例えば正極集電タブ部12の端部に設けられる。正極用タブ線11は、折り返し部14より先が端子ボックス用正極タブ部13となる。したがって、正極用タブ線11は、正極集電タブ部12と端子ボックス用正極タブ部13とが折り返し部14を介して連続され、接合部分を有しないため、接合箇所に電荷が集中することによる抵抗値の増大や、接合部分の接続信頼性の低下、接合部分に熱や応力が集中することによる透光性絶縁基板8の損傷等を防止することができる。
[接着剤層]
図3に示すように、正極用タブ線11及び負極用タブ線15は、タブ線20の一面20aにP型電極端子部9又はN型電極端子部10に接続させる接着剤層21が設けられている。接着剤層21は、タブ線20の一面20aの全面に設けられ、例えばコーティングハンダや導電性接着フィルム23によって構成される。
図3に示すように、正極用タブ線11及び負極用タブ線15は、タブ線20の一面20aにP型電極端子部9又はN型電極端子部10に接続させる接着剤層21が設けられている。接着剤層21は、タブ線20の一面20aの全面に設けられ、例えばコーティングハンダや導電性接着フィルム23によって構成される。
導電性接着フィルム23は、図5に示すように、熱硬化性のバインダー樹脂層24に導電性粒子25が高密度に含有されてなる。また、導電性接着フィルム23は、押し込み性の観点から、バインダー樹脂の最低溶融粘度が、100〜100000Pa・sであることが好ましい。導電性接着フィルム23は、最低溶融粘度が低すぎると低圧着から本硬化の過程で樹脂が流動してしまい接続不良やセル表面へのはみ出しが生じやすくなる。また、最低溶融粘度が高すぎてもフィルム貼着時に不良を発生しやすく、接続信頼性に悪影響が出る場合もある。なお、最低溶融粘度については、サンプルを所定量回転式粘度計に装填し、所定の昇温速度で上昇させながら測定することができる。
導電性接着フィルム23に用いられる導電性粒子25としては、特に制限されず、例えば、ニッケル、金、銀、銅などの金属粒子、樹脂粒子に金めっきなどを施したもの、樹脂粒子に金めっきを施した粒子の最外層に絶縁被覆を施したものなどを挙げることができる。
導電性粒子は、1個、1個が個別に存在する粉体であってもよいが、一次粒子が連なった鎖状のものであることが好ましい。前者の例としてはスパイク状の突起をもつ球状のニッケルパウダがあり、好ましく用いられる後者の例としては、フィラメント状ニッケルパウダがある。後者を用いることにより導電性粒子25が弾性を備え、互いに物性の異なる正極用タブ線11とP型電極端子部9との接続信頼性、及び負極用タブ線15とN型電極端子部10との接続信頼性を、それぞれ向上させることができる。
なお、導電性接着フィルム23は、常温付近での粘度が10〜10000kPa・sであることが好ましく、さらに好ましくは、10〜5000kPa・sである。導電性接着フィルム23の粘度が10〜10000kPa・sの範囲であることにより、導電性接着フィルム23をタブ線20の一面20aに設け、リール26に巻装した場合において、いわゆるはみ出しによるブロッキングを防止することができ、また、所定のタック力を維持することができる。
導電性接着フィルム23のバインダー樹脂層24の組成は、上述のような特徴を害さない限り、特に制限されないが、より好ましくは、膜形成樹脂と、液状エポキシ樹脂と、潜在性硬化剤と、シランカップリング剤とを含有する。
膜形成樹脂は、平均分子量が10000以上の高分子量樹脂に相当し、フィルム形成性の観点から、10000〜80000程度の平均分子量であることが好ましい。膜形成樹脂としては、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂等の種々の樹脂を使用することができ、その中でも膜形成状態、接続信頼性等の観点からフェノキシ樹脂が好適に用いられる。
液状エポキシ樹脂としては、常温で流動性を有していれば、特に制限はなく、市販のエポキシ樹脂が全て使用可能である。このようなエポキシ樹脂としては、具体的には、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂などを用いることができる。これらは単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、アクリル樹脂など他の有機樹脂と適宜組み合わせて使用してもよい。
潜在性硬化剤としては、加熱硬化型、UV硬化型などの各種硬化剤が使用できる。潜在性硬化剤は、通常では反応せず、何かしらのトリガーにより活性化し、反応を開始する。トリガーには、熱、光、加圧などがあり、用途により選択して用いることができる。なかでも、本実施の形態では、加熱硬化型の潜在性硬化剤が好適に用いられ、P型電極端子部、N型電極端子部10や後述する接着剤回収部材30に加熱押圧されることにより本硬化される。液状エポキシ樹脂を使用する場合は、イミダゾール類、アミン類、スルホニウム塩、オニウム塩などからなる潜在性硬化剤を使用することができる。
シランカップリング剤としては、エポキシ系、アミノ系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系などを用いることができる。これらの中でも、本実施の形態では、エポキシ系シランカップリング剤が好ましく用いられる。これにより、有機材料と無機材料の界面における接着性を向上させることができる。
また、その他の添加組成物として、無機フィラーを含有することが好ましい。無機フィラーを含有することにより、圧着時における樹脂層の流動性を調整し、粒子捕捉率を向上させることができる。無機フィラーとしては、シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等を用いることができ、無機フィラーの種類は特に限定されるものではない。
図6は、導電性接着フィルム23の製品形態の一例を模式的に示す図である。この導電性接着フィルム23は、剥離基材27上にバインダー樹脂層24が積層され、テープ状に成型されている。このテープ状の導電性接着フィルム23は、リール26に剥離基材27が外周側となるように巻回積層される。剥離基材27としては、特に制限はなく、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(Poly-4-methlpentene−1)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)などを用いることができる。
導電性接着フィルム23は、バインダー樹脂層24上に、上述したタブ線20が、カバーフィルムとして貼付される。すなわち、導電性接着フィルム23は、バインダー樹脂層24が正極用タブ線11や負極用タブ線15のタブ線20の一面20aに積層される。このように、予めタブ線20と導電性接着フィルム23とを積層一体化させておくことにより、実使用時においては、剥離基材27を剥離し、導電性接着フィルム23のバインダー樹脂層24をP型電極端子部9やN型電極端子部10上に貼着することにより正極用タブ線11や負極用タブ線15と各電極端子部11,12との仮貼りが図られる。
上述した導電性接着フィルム23は、導電性粒子25と、膜形成樹脂と、液状エポキシ樹脂と、潜在性硬化剤と、シランカップリング剤とを溶剤に溶解させる。溶剤としては、トルエン、酢酸エチルなど、又はこれらの混合溶剤を用いることができる。溶解させて得られた樹脂生成用溶液を剥離基材27上に塗布し、溶剤を揮発させることにより、導電性接着フィルム23を得る。その後、導電性接着フィルム23は、タブ線20の一面20aに貼付される。これにより導電性接着フィルム23は、タブ線20の一面20aの全面に亘って形成される。
このような導電性接着フィルム23は、正極用タブ線11や負極用タブ線15がP型電極端子部9上やN電極端子部12上に仮貼りされると、加熱押圧ヘッドや真空ラミネーターによって所定の温度、圧力で熱加圧される。これにより、導電性接着フィルム23は、バインダー樹脂がP型電極端子部9と正極集電タブ部12との間、及びN型電極端子部10と負極集電タブ部16との間より流出されるとともに導電性粒子25が各集電タブ部12,16と各電極端子部9,10との間で挟持され、この状態でバインダー樹脂が硬化する。これにより、導電性接着フィルム23は、各集電タブ部12,16を各電極端子部9,10上に接着させると共に、各集電タブ部12,16と各電極端子部9,10とを導通接続させることができる。
なお、正極タブ線11及び負極タブ線15は、P型電極端子部9と正極用タブ線11との接続、及びN型電極端子部10と負極用タブ線15との接続を図る接着剤層21として、上述した導電性接着フィルム23の他に、絶縁性接着フィルムを用いることができる。絶縁性接着フィルムは、バインダー樹脂層に導電性粒子が含まれていない他は、導電性接着フィルムと同様の構成を有する。
[支持体]
図3に示すように、正極用タブ線11及び負極用タブ線15は、タブ線20の他面20bに薄膜太陽電池1の裏面電極膜やバックシート4との絶縁を図る絶縁性の支持体22が設けられている。支持体22は、タブ線20の他面20bの少なくとも端子ボックス用正極タブ部13及び端子ボックス用負極タブ部17上、好ましくはタブ線20の他面20bの全面に設けられる。支持体22は、例えば絶縁フィルムからなり、接着剤によってタブ線20の他面20bに接着される。
図3に示すように、正極用タブ線11及び負極用タブ線15は、タブ線20の他面20bに薄膜太陽電池1の裏面電極膜やバックシート4との絶縁を図る絶縁性の支持体22が設けられている。支持体22は、タブ線20の他面20bの少なくとも端子ボックス用正極タブ部13及び端子ボックス用負極タブ部17上、好ましくはタブ線20の他面20bの全面に設けられる。支持体22は、例えば絶縁フィルムからなり、接着剤によってタブ線20の他面20bに接着される。
支持体22は、絶縁フィルムとしてPETやPI等が用いられ、この絶縁フィルムの一面に接着剤層が設けられる。接着剤層には、上述した絶縁性接着フィルムのようなエポキシ系の接着剤等を用いることができる。
支持体22は、少なくとも端子ボックス用正極タブ部13及び端子ボックス用負極タブ部17上に設けられることにより、正極用タブ線11や負極用タブ線15が折り返されると薄膜太陽電池1の裏面と対峙される。したがって、支持体22は、端子ボックス用正極タブ部13及び端子ボックス用負極タブ部17が薄膜太陽電池1の裏面電極膜やバックシート4とショートすることを防止することができる。
すなわち、薄膜太陽電池1は、タブ線20と裏面電極膜やバックシート4との間に支持体22を介在させることにより、従来用いていた端子ボックス用タブ線と薄膜太陽電池の裏面電極膜上を絶縁する絶縁フィルムが不要となった。また、予め支持体22が端子ボックス用正極タブ部13や端子ボックス用負極タブ部17に設けられていることから、必要最小限の面積で構成することができ、従来のように大面積の絶縁フィルムを用意する必要もない。
また、支持体22は、好ましくは、接着剤層を介してタブ線20の他面20bに積層されることにより、該他面20bの全面に亘って形成される。これにより、支持体22は、正極集電タブ部12上や負極集電タブ部16上では薄膜太陽電池1の裏面より外方に現れる。これにより、薄膜太陽電池1は、エチレンビニルアセテート樹脂(EVA)等の透光性封止樹脂によって封止されたときにも、正極用タブ線11や負極用タブ線15が絶縁性の支持体22によって覆われることで透光性封止樹脂と反応し腐食することを防止することができる。
さらに、支持体22は、着色された絶縁フィルムを用いることで、意匠性を高めることができる。
なお、支持体22として、接着剤層が設けられた絶縁フィルムの他に、耐熱性塗料を用いてもよい。この耐熱性塗料としては、例えばシリコン樹脂系の耐熱塗料があり、市販品として関西ペイント株式会社製の耐酸テルモを例示することができる。耐熱性塗料を用いて支持体22を構成することにより、正極用タブ線11及び負極用タブ線15は、接着剤層が設けられた絶縁フィルムを用いた場合に比して薄型化を図ることができる。
[端子ボックス用正極タブ部]
このような正極用タブ線11は、図4に示すように、正極集電タブ部12がP型電極端子部9と略同じ長さを有し、折り返し部14より先のP型電極端子部9上よりはみ出した余剰部が端子ボックス用正極タブ部13とされている。そして、正極用タブ線11は、端子ボックス用正極タブ部13が薄膜太陽電池1の封止接着材のシート3及びバックシート4を挿通するとともにバックシート4上に折り返され、その先端が端子ボックス19と接続される。負極用タブ線15も同様である。
このような正極用タブ線11は、図4に示すように、正極集電タブ部12がP型電極端子部9と略同じ長さを有し、折り返し部14より先のP型電極端子部9上よりはみ出した余剰部が端子ボックス用正極タブ部13とされている。そして、正極用タブ線11は、端子ボックス用正極タブ部13が薄膜太陽電池1の封止接着材のシート3及びバックシート4を挿通するとともにバックシート4上に折り返され、その先端が端子ボックス19と接続される。負極用タブ線15も同様である。
正極用タブ線11は、P型電極端子部9の長さの略2倍程度の長さを有し、全長の略50%の位置で折り返されることが好ましい。これにより、正極用タブ線11は、薄膜太陽電池1のバックシート4上における端子ボックス19の位置にかかわらず、確実に端子ボックス用正極タブ部13を端子ボックス19に接続させることができる。負極用タブ線15も同様である。
[接着剤回収部材]
正極用タブ線11は、端子ボックス用正極タブ部13にも接着剤層21が設けられている。そして、正極用タブ線11は、端子ボックス19に接続される端子ボックス用正極タブ部13の先端部に設けられている接着剤層21が、接着剤回収部材30によって除去される。
正極用タブ線11は、端子ボックス用正極タブ部13にも接着剤層21が設けられている。そして、正極用タブ線11は、端子ボックス19に接続される端子ボックス用正極タブ部13の先端部に設けられている接着剤層21が、接着剤回収部材30によって除去される。
接着剤回収部材30は、端子ボックス用正極タブ部13の先端に設けられた接着剤層21に貼付され、接着剤層21が硬化されることにより、当該接着剤層21を転着させ、タブ線20の一面20aから剥離させるものである。この接着剤回収部材30は、例えばサンドペーパーのように、表面が粗面化され、接着剤層21を担持可能な支持体が用いられる。
そして、接着剤回収部材30は、正極用タブ線11をP型電極端子部9に接続する際に、同時に端子ボックス用正極タブ部13の先端部の接着剤層21に貼付される。接着剤層21の硬化後、接着剤回収部材30は、端子ボックス用正極タブ部13から剥離される。このとき、接着剤回収部材30は、タブ線20の一面20aより硬化された接着剤層21を剥離し、タブ線20の一面を露出させる。これにより、正極用タブ線11は、外部に露出された端子ボックス用正極タブ部13のタブ線20を、端子ボックス19に導通接続させることができる。
[粗度(比)、表面積(比)、接着剤層21の厚さとの比]
接着剤回収部材30は、表面積(mm2)が、タブ線20の接着剤層21が積層される一面20aの表面積(mm2)との比において、[接着剤回収部材の表面積(mm2)]/[タブ線の一端の表面積(mm2)]=1.3〜20.0の範囲で使用可能であり、7.5〜15.0の範囲であることが好ましい。
接着剤回収部材30は、表面積(mm2)が、タブ線20の接着剤層21が積層される一面20aの表面積(mm2)との比において、[接着剤回収部材の表面積(mm2)]/[タブ線の一端の表面積(mm2)]=1.3〜20.0の範囲で使用可能であり、7.5〜15.0の範囲であることが好ましい。
また、接着剤回収部材30は、表面粗度(Rz)が、タブ線20の接着剤層21が積層される一面20aの表面粗度(Rz)との比において、[接着剤回収部材の表面粗さ(RZ)]/[タブ線の一端の表面粗さ(RZ)]=1〜50で使用可能であり、2〜30の範囲であることが好ましい。
さらに、接着剤回収部材30は、表面粗度(Rz)が、接着剤層21の厚み(μm)との比において、[接着剤回収部材の表面粗さ(Rz)]/[接着剤層の厚み(μm)]=0.1〜2.5(Rz/μm)で使用可能であり、0.1〜1.0の範囲であることが好ましい。
[端子ボックス]
また、薄膜太陽電池1の裏面電極膜上には、封止材のシート3及びバックシート4を介して、正極用タブ線11及び負極用タブ線15の端子ボックス用正極タブ部13及び端子ボックス用負極タブ部17と電気的に接続する端子ボックス19が設けられている。端子ボックス19は、外部出力線が電気的に接続され、正極用タブ線11及び負極用タブ線15が集電した電力を外部に供給する。
また、薄膜太陽電池1の裏面電極膜上には、封止材のシート3及びバックシート4を介して、正極用タブ線11及び負極用タブ線15の端子ボックス用正極タブ部13及び端子ボックス用負極タブ部17と電気的に接続する端子ボックス19が設けられている。端子ボックス19は、外部出力線が電気的に接続され、正極用タブ線11及び負極用タブ線15が集電した電力を外部に供給する。
この端子ボックス19は、絶縁性接着フィルム等の接着剤によって薄膜太陽電池1のバックシート4上に固定されている。絶縁性接着フィルムは、導電性粒子を含有しない点を除き、上述した導電性接着フィルム23とほぼ同一の成分を有し、バインダー樹脂層が熱硬化することにより端子ボックス19を薄膜太陽電池1のバックシート4上に固定する。なお、絶縁性接着フィルムは、化学的に安定なフッ素系の樹脂を混合することにより、薄膜太陽電池1のバックシート4上に仮貼りされたときにも、バックシート4と反応することなく腐食を防止することができる。
なお、端子ボックス19は、薄膜太陽電池1のバックシート4上において、正極用タブ線11や負極用タブ線15の長手方向と直交する幅方向の略中間に沿った位置に設けられることにより、同一サイズの接着剤付きタブ線を正極用タブ線11及び負極用タブ線15として用いることができる。
[製造方法]
次いで、太陽電池モジュール1の製造工程について説明する。先ず、接着剤付きタブ線である正極用タブ線11及び負極用タブ線15を形成する。各タブ線11,15は、リボン状の銅箔等からなるタブ線20の一面20aに、接着剤層21となる導電性接着フィルム23が積層され、他面にPET等の絶縁性の支持体22が貼付されている。このタブ線11,15の正極集電タブ部12及び負極集電タブ部16を、導電性接着フィルム23を介して薄膜太陽電池1のP型電極端子部9上及びN型電極端子部10上に配置する。
次いで、太陽電池モジュール1の製造工程について説明する。先ず、接着剤付きタブ線である正極用タブ線11及び負極用タブ線15を形成する。各タブ線11,15は、リボン状の銅箔等からなるタブ線20の一面20aに、接着剤層21となる導電性接着フィルム23が積層され、他面にPET等の絶縁性の支持体22が貼付されている。このタブ線11,15の正極集電タブ部12及び負極集電タブ部16を、導電性接着フィルム23を介して薄膜太陽電池1のP型電極端子部9上及びN型電極端子部10上に配置する。
正極用タブ線11及び負極用タブ線15は、導電性接着フィルム23が常温でタック性を有するため、P型電極端子部9上及びN型電極端子部10上に配置することで、仮貼りが可能となる。
次いで、太陽電池セル2の裏面に、EVA等の封止接着材のシート3を積層し、裏面側にバックシート4を積層した積層体40を形成する。このとき、図7に示すように、正極用タブ線11及び負極用タブ線15は、折り返し部14,18より先の端子ボックス用正極タブ部13及び端子ボックス用負極タブ部17が、封止接着材のシート3及びバックシート4に開口された挿通孔3a,4aを挿通して外方に導出される。
次いで、図8(a)に示すように、積層体40外部に導出された端子ボックス用正極タブ部13及び端子ボックス用負極タブ部17の先端部に、サンドペーパー等の接着剤回収部材30を貼付する。接着剤回収部材30は、正極用タブ線11及び負極用タブ線15と略同じ幅を有し、端子ボックス19への接続に充分な長さ分の長さを備え、タック性を有する導電性接着フィルムに貼付される。
次いで、この積層体40を真空ラミネータによってラミネート圧着する。これにより、正極用タブ線11及び負極用タブ線15は、所定の温度、圧力で所定時間、熱加圧される。
このとき、正極用タブ線11及び負極用タブ線15は、正極集電タブ部12及び負極集電タブ部16に積層された導電性接着フィルム23のバインダー樹脂層24が、P型電極端子部9と正極集電タブ部12との間、及びN型電極端子部10と負極集電タブ部16との間より流出されるとともに、導電性粒子25が各集電タブ部12,16と各電極端子部9,10との間で挟持され、この状態でバインダー樹脂が硬化する。これにより、接着剤層21は、各集電タブ部12,16を各電極端子部9,10上に接着させると共に、各集電タブ部12,16と各電極端子部9,10とを導通接続させることができる。
また、図8(b)に示すように、正極用タブ線11及び負極用タブ線15は、端子ボックス用正極タブ部13及び端子ボックス用負極タブ部17の各先端に積層された導電性接着フィルム23により、接着剤回収部材30が貼着される。これにより、正極用タブ線11及び負極用タブ線15は、端子ボックス用正極タブ部13及び端子ボックス用負極タブ部17の各先端に積層された導電性接着フィルム23が接着剤回収部材30に転着する。
次いで、図8(c)に示すように、接着剤回収部材30を正極用タブ線11及び負極用タブ線15のタブ線20より剥離する。これにより、端子ボックス用正極タブ部13及び端子ボックス用負極タブ部17の各先端では、タブ線20の一面20aより硬化された導電性接着フィルム23が剥離され、タブ線20の一面20aが露出される。したがって、正極用タブ線11及び負極用タブ線15は、端子ボックス用正極タブ部13及び端子ボックス用負極タブ部17のタブ線20が露出され、端子ボックス19に導通接続させることができる。
次いで、バックシート4上の所定位置に端子ボックス19を設置し、タブ線20が露出された端子ボックス用正極タブ部13及び端子ボックス用負極タブ部17の各先端を端子ボックス19の端子台に接続し、太陽電池モジュール1が完成する。
このような接続工程を経ることにより、端子ボックス用正極タブ部13及び端子ボックス用負極タブ部17の各先端における接着剤層21の剥離処理を、従来ホットストリッパを用いて導電性接着剤層122を熱分解した後、掻き取ることにより行われていたところ、接着剤回収部材30を剥離するだけで行うことができ、工程の簡素化を図ることができる。また、この接続工程によれば、従来に比してタブ線20に対するダメージも低減でき、端子ボックス19との接続信頼性を向上させることができる。
なお、正極用タブ線11及び負極用タブ線15は、真空ラミネータによって熱加圧する他に、加熱押圧ヘッドによって圧着するようにしてもよい。この場合、正極用タブ線11及び負極用タブ線15は、加熱押圧ヘッドによって、正極集電タブ部12及び負極集電タブ部16が、P型電極端子部9又はN型電極端子部10に熱加圧されるとともに、端子ボックス用正極タブ部13及び端子ボックス用負極タブ部17の各先端が接着剤回収部材30に熱加圧される。その後、太陽電池セル2は、封止接着材のシート3及びバックシート4が積層され、ラミネート封止される。このとき、接着剤回収部材30と接続された端子ボックス用正極タブ部13及び端子ボックス用負極タブ部17は、封止接着材のシート3及びバックシート4に開口された挿通孔3a,4aを挿通して外方に導出されている。
また、上記では、正極用タブ線及び負極用タブ線を封止接着材のシート3及びバックシート4を挿通させて、バックシート4上に設けられた端子ボックス19に接続させたが、図9に示すように、太陽電池セル2に挿通孔2aを設け、正極用タブ線及び負極用タブ線を該挿通孔に挿通させることにより、太陽電池セル2の表面側に導出させてもよい。この場合、正極用タブ線11及び負極用タブ線15は、太陽電池セル2の表面側に設けられた端子ボックス19に接続される。
また、上記では、正極用タブ線及び負極用タブ線の端子ボックス用正極タブ部13及び端子ボックス用負極タブ部17の各先端に積層された導電性接着フィルムを除去したが、導電性接着フィルムの剥離箇所は、端子ボックス19との接続箇所に応じて決められ、必ずしも正極用タブ線及び負極用タブ線の先端である必要はない。
次いで、本発明の実施例について説明する。本実施例では、薄膜系太陽電池セルのP型電極端子部及びN型電極端子部に、一面に接着剤層として導電性接着フィルム(DT101B4:ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製)が積層され、表面積(mm2)及び表面粗さ(Rz)の異なるタブ線を用いた正極用タブ線及び負極用タブ線を接続するとともに、端子ボックス用正極タブ部及び端子ボックス用負極タブ部の先端1cmに、接着剤回収部材として表面積(mm2)及び表面粗さ(Rz)の異なるサンドペーパーを接続した。
サンドペーパーの表面積(mm2)及び表面粗さ(Rz)は、共焦点レーザースキャン顕微鏡(LSM5 PASCAL:Carl Zeiss社製)を用いて測定した。
本実施例では、正極用タブ線及び負極用タブ線を熱加圧することにより接着剤層を硬化させた後、サンドペーパーを剥離して、接着剤層の排除性、作業安全性、処理速度、処理温度、及びタブ線と端子ボックスの接続端子との接続抵抗を検証した。
実施例1では、正極用タブ線及び負極用タブ線として、銅箔のS面(シャイニー面)に、厚さ10μm、最低溶融粘度が3000Pa−sの導電性接着フィルムを積層したタブ線を用いた。タブ線の表面積は4mm2、表面粗さは0.5Rzである。また、サンドペーパーは、表面積が5mm2、表面粗さが1Rzである。実施例1では、サンドペーパー(接着剤回収部材)と、サンドペーパーが接続されるタブ線の一端の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、1.3である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、2である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は0.1(Rz/μm)である。
ここで、サンドペーパーの表面積及び表面粗さと、タブ線の一端側の表面積及び表面粗さとを対比するのは、熱硬化した導電性接着フィルムをサンドペーパー側に転着、担持させるためには、サンドペーパー表面が相対的に粗く、表面積を多くすることが望ましいことによる。
また、サンドペーパーの表面粗さと導電性接着フィルムの厚みとを対比するのは、仮に導電性接着フィルムの厚さが相対的に厚いと、サンドペーパーの表面が粗面化されていてもフィルムの厚さ方向の全体に亘って転着させることができず、フィルムの表面のみが担持され、剥離しきれないおそれがあるためである。また、同様にサンドペーパーの表面粗さが相対的に過大となると、導電性接着フィルムにサンドペーパーの粗面に転着されない領域が生じ、剥離しきれないおそれがあるためである。
実施例2では、接着剤回収部材として、表面積10mm2、表面粗さ1Rzのサンドペーパーを用いた以外は、実施例1と同様の条件である。実施例2では、サンドペーパーとタブ線の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、2.5である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、実施例1と同じく2である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、実施例1と同じく0.1(Rz/μm)である。
実施例3では、接着剤回収部材として、表面積30mm2、表面粗さ1Rzのサンドペーパーを用いた以外は、実施例1と同様の条件である。実施例3では、サンドペーパーとタブ線の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、7.5である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、実施例1と同じく2である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、実施例1と同じく0.1(Rz/μm)である。
実施例4では、接着剤回収部材として、表面積60mm2、表面粗さ1Rzのサンドペーパーを用いた以外は、実施例1と同様の条件である。実施例4では、サンドペーパーとタブ線の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、15.0である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、実施例1と同じく2である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、実施例1と同じく0.1(Rz/μm)である。
実施例5では、接着剤回収部材として、表面積80mm2、表面粗さ1Rzのサンドペーパーを用いた以外は、実施例1と同様の条件である。実施例5では、サンドペーパーとタブ線の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、20.0である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、実施例1と同じく2である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、実施例1と同じく0.1(Rz/μm)である。
実施例6では、タブ線として、表面積5.35mm2、表面粗さ0.5Rzの銅箔を用いた以外は、実施例5と同様の条件である。実施例6では、サンドペーパーとタブ線の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、15.0である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、実施例1と同じく2である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、実施例1と同じく0.1(Rz/μm)である。
実施例7では、接着剤回収部材として、表面積30mm2、表面粗さ5Rzのサンドペーパーを用いた以外は、実施例1と同様の条件である。実施例7では、サンドペーパーとタブ線の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、7.5である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、10である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、0.5(Rz/μm)である。
実施例8では、接着剤回収部材として、表面積30mm2、表面粗さ10Rzのサンドペーパーを用いた以外は、実施例1と同様の条件である。実施例8では、サンドペーパーとタブ線の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、7.5である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、20である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、1(Rz/μm)である。
実施例9では、接着剤回収部材として、表面積32.35mm2、表面粗さ14.6Rzのサンドペーパーを用いた。また、接着剤層の厚みは14μmとした。その他は、実施例1と同様の条件である。実施例9では、サンドペーパーとタブ線の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、8.1である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、29.234である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、1.0(Rz/μm)である。
実施例10では、接着剤回収部材として、表面積30mm2、表面粗さ20Rzのサンドペーパーを用いた以外は、実施例1と同様の条件である。実施例9では、サンドペーパーとタブ線の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、7.5である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、40である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、2(Rz/μm)である。
実施例11では、接着剤回収部材として、表面積20mm2、表面粗さ7.5Rzのサンドペーパーを用いた以外は、実施例1と同様の条件である。実施例10では、サンドペーパーとタブ線の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、5.0である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、15である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、0.75(Rz/μm)である。
実施例12では、接着剤回収部材として、表面積20mm2、表面粗さ0.5Rzのサンドペーパーを用いた以外は、実施例1と同様の条件である。実施例11では、サンドペーパーとタブ線の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、5.0である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、1である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、0.05(Rz/μm)である。
実施例13では、接着剤回収部材として、表面積80mm2、表面粗さ25Rzのサンドペーパーを用いた以外は、実施例1と同様の条件である。実施例12では、サンドペーパーとタブ線の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、20.0である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、50である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、2.5(Rz/μm)である。
実施例14では、接着剤層として、最低溶融粘度が2000Pa−sの導電性接着フィルムを用いた以外は、実施例2と同様の条件である。実施例13では、サンドペーパーとタブ線の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、2.5である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、2である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、0.1(Rz/μm)である。
実施例15では、接着剤層として、最低溶融粘度が9000Pa−sの導電性接着フィルムを用いた以外は、実施例13と同様の条件である。実施例14では、サンドペーパーとタブ線の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、2.5である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、2である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、0.1(Rz/μm)である。
実施例16では、接着剤層として、厚みが40μmの導電性接着フィルムを用いた以外は、実施例2と同様の条件である。実施例15では、サンドペーパーとタブ線の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、2.5である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、2である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、0.03(Rz/μm)である。
実施例17では、接着剤層として、厚みが3μmの導電性接着フィルムを用いた以外は、実施例2と同様の条件である。実施例16では、サンドペーパーとタブ線の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、2.5である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、2である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、0.33(Rz/μm)である。
実施例18では、正極用タブ線及び負極用タブ線として、粗さの出る銅箔M面(マット面)に、導電性接着フィルムを積層したタブ線を用いた。タブ線の表面積は4mm2、表面粗さは1Rzである。その他の条件は実施例2と同様の条件である。実施例17では、サンドペーパーとタブ線の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、2.5である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、1である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、0.1(Rz/μm)である。
実施例19では、正極用タブ線及び負極用タブ線として、銅箔M面(マット面)に、導電性接着フィルムを積層したタブ線を用いた。タブ線の表面積は4mm2、表面粗さは2Rzである。その他の条件は実施例2と同様の条件である。実施例18では、サンドペーパーとタブ線の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、2.5である。また、各表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、0.5である。また、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)と導電性接着フィルム(接着剤層)の厚み(μm)の比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、0.1(Rz/μm)である。
比較例1は、正極用タブ線及び負極用タブ線の端子ボックス用正極タブ部及び端子ボックス用負極タブ部の先端に積層されている接着剤層を、従来のホットストリッパを用いて熱分解し、掻き取る方法で除去した。
比較例2は、正極用タブ線及び負極用タブ線の端子ボックス用正極タブ部及び端子ボックス用負極タブ部の先端に積層されている接着剤層を、メチルエチルケトン(MEK:methyl ethyl ketone)を用いて溶かし、除去した。
以上の実施例1〜19、比較例1、2について、正極用タブ線及び負極用タブ線を熱加圧することにより接着剤層を硬化させた後、端子ボックス用正極タブ部及び端子ボックス用負極タブ部の先端の接着剤層を剥離して、接着剤層の排除性、作業安全性、処理速度、処理温度、及びタブ線と端子ボックスの接続端子との接続抵抗を検証した。
接着剤層の排除性は、目視観察により、単位面積当たりどの程度タブ線表面が露出しているかにより評価し、80%以上除去されている場合を◎、50%以上80%未満除去されている場合を○、10%以上50%未満除去されている場合を△、10%未満しか除去されていない場合を×とした。
作業安全性は、作業者の人体や環境に危険な薬品や装置を必要とするか否かといった観点から評価し、危険物を使用しない場合を◎、溶剤を使用する場合を△、高熱高圧装置を使用する場合を×とした。
処理温度は、接着剤層の除去処理に当たって、正極用タブ線及び負極用タブ線に対して掛ける温度に応じて評価し、常温で処理可能な場合を◎、高温(60℃以上200℃未満)で熱処理する場合を△、超高温(200℃以上)で熱処理する場合を×とした。
処理速度は、接着剤層の除去処理に要する時間に応じて評価し、3秒未満の場合を◎、3秒以上の場合を×とした。
初期接続抵抗は、端子ボックス用正極タブ部及び端子ボックス用負極タブ部の先端の接着剤層を剥離した後、端子ボックスの接続端子に接続した際の初期接続抵抗を測定し、超音波ハンダ接続と同等以上(4mΩ未満)の場合を◎、超音波ハンダ接続の1.5倍未満(4mΩ以上6mΩ未満)の場合を△、初期接続抵抗が6mΩ以上の場合は接続信頼性がないものとして×とした。実施例1〜19の測定結果を表1に、比較例1〜2の測定結果を表2に示す。
表1に示すように、実施例1〜19によれば、導電性接着フィルムを少なくとも単位面積当たり10%〜40%除去でき、また、端子ボックスとの接続抵抗も最大4〜6mΩと、実用上問題なかった。また、実施例1〜19によれば、サンドペーパーをタブ線から剥離するのみで導電性接着フィルムを除去することが可能であり、作業の安全性、処理温度、処理速度のいずれも、比較例1,2に比して有利となる。
一方、比較例1では、導電性接着フィルムを80%以上除去できるものの、ホットストリッパによってタブ線に高温高圧を掛ける必要があり、作業の安全性に劣り、また処理温度も200℃以上と熱による負荷も大きい。また、比較例2では、MEKによって導電性接着フィルムを除去することから、処理速度が遅く、また作業が煩雑となる。
実施例1と実施例2〜実施例5を対比すると、実施例1では、サンドペーパー(接着剤回収部材)と、サンドペーパーが接続されるタブ線の一端の各表面積の比:[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、1.3と実施例2〜5に比して小さいため、接着剤層の除去及び初期接続抵抗において、やや導電性接着フィルムが除去しきれていない。一方、実施例3、4より、[接着剤回収部材の表面積]/[タブ線の一端の表面積]は、7.5〜15.0の範囲が好ましいことが分かる。
実施例7〜10は、実施例3に対して、サンドペーパー(接着剤回収部材)の表面粗さ(Rz)を5〜20の範囲で変化させたものである。これによると、サンドペーパーの表面粗さ(Rz)は、表面積30mm2に対し1〜5の範囲が好ましいことが分かる。なお、実施例9より、接着剤層の厚みが増えた場合は(14μm)、サンドペーパーの表面粗さ(Rz)を粗くすることで(14.6μm)、接着剤層の排除性が向上することが分かる。また、実施例11に比して実施例12は、サンドペーパーの表面粗さが0.5Rzと小さいため、また実施例13は、サンドペーパーの表面粗さが25Rzと大きいため、いずれも接着剤層の排除性がやや落ちた。以上より、サンドペーパーの表面粗さ(Rz)は、0.5〜25μmの範囲で用いることができ、1〜5μmの範囲がさらに好ましいことが分かる。
実施例14及び15と他の実施例とから、導電性接着フィルムの最低溶融粘度は、2000〜9000Pa−sの範囲では実用上問題ないことが分かる。
実施例16及び17と他の実施例とから、導電性接着フィルムの厚みは、3〜40μmの範囲では実用上問題ないことが分かる。
実施例18及び19と他の実施例とから、タブ線の表面粗さは、0.5〜2Rzの範囲では実用上問題ないことが分かる。
また、各実施例より、表面粗さの比:[接着剤回収部材の表面粗さ]/[タブ線の一端の表面粗さ]は、1〜50の範囲では実用上問題なく、2〜30の範囲が好ましいことが分かる。
また、各実施例より、[接着剤回収部材の表面粗さ]/[接着剤層厚み]は、0.1〜2.5(Rz/μm)の範囲では実用上問題なく、0.1〜1(Rz/μm)の範囲が好ましいことが分かる。
1 薄膜太陽電池、2 太陽電池セル、3 シート、4 バックシート、5 表面カバー、6 太陽電池モジュール、7 金属フレーム、8 透光性絶縁基板、9 P型電極端子部、10 N型電極端子部、11 正極用タブ線、12 正極用集電タブ部、13 端子ボックス用正極タブ部、14 折り返し部、15 負極用タブ線、16 負極集電タブ部、17 端子ボックス用負極タブ部、18 折り返し部、19 端子ボックス、20 タブ線、21 接着剤層、22 支持体、23 導電性接着フィルム、24 バインダー樹脂層、25 導電性粒子、26 リール、27 剥離基材、30 接着剤回収部材
Claims (9)
- 太陽電池セルの表面電極に、タブ線の一面に接着剤層が積層された接着剤付きタブ線の上記接着剤層を配置し、
上記接着剤付きタブ線の一端に、上記接着剤層を転着させる接着剤回収部材を貼付し、
上記接着剤付きタブ線と、上記表面電極及び上記接着剤回収部材とを接続させ、
上記接着剤付きタブ線の一端より、上記接着剤回収部材を剥離して上記タブ線の表面を露出させ、
上記接着剤付きタブ線の一端を端子部材に接続する太陽電池モジュールの製造方法。 - 上記接着剤回収部材は、サンドペーパーである請求項1記載の太陽電池モジュールの製造方法。
- 上記サンドペーパーは、表面粗さ(RZ)が、0.5〜25である請求項2記載の太陽電池モジュールの製造方法。
- 上記接着剤付きタブ線は、上記接着剤層が積層された一面と反対側の他面に、絶縁性基材が設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
- 上記接着剤付きタブ線を上記表面電極に配置した後、上記太陽電池セルに封止材及び保護シートを積層した積層体を形成し、
上記接着剤付きタブ線の一端を、上記封止材及び上記保護シートに設けられた挿通孔より上記積層体表面に露出させて上記接着剤回収部材を貼付し、
上記太陽電池セル、上記封止材及び上記保護シートを一括してラミネート封止するとともに上記接着剤付きタブ線と、上記表面電極及び上記接着剤回収部材とを接続させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。 - [上記接着剤回収部材の表面積]/[上記接着剤付きタブ線の一端の表面積]が、1.3〜20.0である請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
- [上記接着剤回収部材の表面粗さ(RZ)]/[上記接着剤付きタブ線の一端の表面粗さ(RZ)]が、1〜50である請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
- [上記接着剤回収部材の表面粗さ(RZ)]/[上記接着剤層の厚み(μm)]が、0.1〜2.5(RZ/μm)である請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
- 太陽電池セルの表面電極に、一面に接着剤層が積層された接着剤付きタブ線の上記接着剤層を配置し、
上記接着剤付きタブ線の一端に、上記接着剤層を転着させる接着剤回収部材を貼付し、
上記接着剤付きタブ線と、上記表面電極及び上記接着剤回収部材とを接続させ、
上記接着剤付きタブ線の一端より、上記接着剤回収部材を剥離して上記タブ線の表面を露出させるタブ線の接続方法。
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EP3188254A4 (en) * | 2014-08-29 | 2017-08-23 | Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. | Manufacturing method for solar cell module and solar cell module manufactured by same |
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2012
- 2012-02-10 JP JP2012027772A patent/JP2013165193A/ja active Pending
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