JP2013163199A - 鋳造用塗型剤およびそれを用いた鋳造方法 - Google Patents

鋳造用塗型剤およびそれを用いた鋳造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013163199A
JP2013163199A JP2012027194A JP2012027194A JP2013163199A JP 2013163199 A JP2013163199 A JP 2013163199A JP 2012027194 A JP2012027194 A JP 2012027194A JP 2012027194 A JP2012027194 A JP 2012027194A JP 2013163199 A JP2013163199 A JP 2013163199A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fine powder
casting
alumina
purity
mold
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012027194A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazutaka Mori
一剛 森
Ikuo Okada
郁生 岡田
Sachio Shimohata
幸郎 下畠
Masaya Hatanaka
雅哉 畑中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP2012027194A priority Critical patent/JP2013163199A/ja
Publication of JP2013163199A publication Critical patent/JP2013163199A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】鋳造工程において鋳型表面に対する鋳造金属の焼き付きを、確実かつ安定して防止し、これにより鋳造作業のコスト低減、歩留まり向上を確実かつ充分に図り得る塗型剤、及びそれを使用した鋳造方法を提供する。
【解決手段】鋳造用塗型剤を、99.95%以上の純度(望ましくは99.99%以上)を有する高純度アルミナからなる平均粒径1.0μm以下の微粉末を分散媒に分散させたスラリーとした。またその高純度アルミナ微粉末は、アルミニウムアルコキシドの分解粉末であることが望ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、鋳鉄や鋳鋼などの金属の溶湯を砂型などの鋳型に鋳込んで鋳造製品を製造するにあたり、鋳物の焼き付き防止のために鋳型の表面に塗布しておく塗型剤、およびその塗型剤を用いて鋳造する方法に関するものである。
周知のように鋳鉄や鋳鋼などの金属を鋳造するに当たっては、砂型などの鋳型内に金属溶湯を流し込み、その金属溶湯を鋳型内で冷却、凝固させ、その後、鋳物を鋳型から外して鋳造製品を得る。このような鋳造においては、鋳型内に流し込んだ金属が高温で鋳型表面と反応して鋳型表面に凝着し、いわゆる焼き付きが発生することがある。また砂型鋳型の場合、金属溶湯が砂型表面の鋳物砂粒子間の空隙に差し込まれ、その物理的作用によって焼き付きが発生しまうこともある。このように焼き付きが発生すれば、鋳物を鋳型から簡単には外せなくなる。そしてこの場合、鋳型を割って鋳物を取り出しても、鋳物表面に鋳物砂などの鋳型材などが焼き付いた状態となっているため、表面肌の状況が悪く、手作業で表面肌を整える作業が必要になり、時間とコストを要するばかりでなく、極端な場合は形状不良として廃棄せざるを得なくなることもある。したがって、鋳造時における焼き付きの発生を防止することは、コスト低減および歩留まり向上などの点から極めて重要である。
鋳造時の焼き付きを防止するための方法として、鋳型に金属溶湯を注湯する以前に、予め鋳型の表面に焼き付き防止用の塗型剤を塗布しておくことが、従来から広く行なわれている。この場合の塗型剤としては、鋳型内に流し込む高温の金属溶湯との反応性が低い高融点酸化物や、その他各種のセラミックなどの耐火物材料を骨材として用いたものが、従来から使用されている。具体的な塗型剤の種類、材料構成は、適用される鋳造金属の種類によっても異なるが、鋳鉄や鋳鋼などの鉄系材料の場合、アルミナ(Al)やジルコン(ZrSiO)、ジルコニア(ZrO)などの粉末をアルコールなどの乾燥しやすい分散媒に分散させたもの(スラリー)が広く用いられている。例えばアルミナ粉末のスラリーからなる塗型剤、あるいはアルミナを主成分もしくは主骨材とした塗型剤については、従来から広く知られており、例えば特許文献1、特許文献2などにも記載されている。
なお従来のアルミナ粉末を用いた塗型剤(アルミナ系塗型剤)では、原料のアルミナとしてバイヤー法によって得られたものを用いるのが一般的であり、その場合、アルミナの純度は、高くても99.5〜99.8%程度である。またこのような従来のアルミナ系塗型剤におけるアルミナ粉末の粒径は、数μm以上であるのが一般的である。
上述のような塗型剤は、予め鋳型の表面にスプレーにより塗布したり、あるいは刷毛を用いてある程度の厚みで塗布しておくのが通常であり、分散媒が揮発することにより、鋳型表面がアルミナなどの粉末層によって被覆され、その結果、高温の金属溶湯と鋳型表面が直接接することが回避され、そのため金属溶湯が鋳型表面と反応したり、金属溶湯が砂型表面層に差し込まれることが回避されたりして、焼き付きを防止することが可能となる。
しかしながら従来のアルミナ系塗型剤では、焼き付き防止効果が充分ではなく、塗型剤を鋳型に塗布しても、ある程度は焼き付きが発生することは避けられなかったのが実情である。そこで、従来のアルミナ系塗型剤よりも焼き付き防止効果が高く、焼き付きを確実に防止し得る塗型剤の開発が強く求められている。
特開2006−198677号公報 特開2001−47185号公報
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、アルミナ系塗型剤として、鋳造金属の焼き付きを確実かつ安定して防止し、これにより鋳造作業のコスト低減、歩留まり向上を確実かつ充分に図り得る塗型剤を提供することを課題としている。
前述の課題を解決するべく、本発明者等が鋭意実験・検討を重ねた結果、塗型剤を構成する耐火性金属酸化物粉末としてアルミナ粉末を選択した場合において、そのアルミナ純度が従来のアルミナ系塗型剤よりも格段に高い高純度アルミナ粉末を用い、しかもその高純度アルミナ粉末として、従来のアルミナ系塗型剤よりも格段に微細なものを使用することによって、従来のアルミナ系塗型剤を用いた場合よりも確実に焼き付きを防止できることを見い出した。
すなわち、本発明者等が、アルミナ粉末のスラリー、もしくはそれを主体とする従来のアルミナ系塗型剤が、焼き付き防止効果の点で必ずしも確実かつ充分ではなかった原因について調査したところ、アルミナに含まれる不純物成分、特にNa(ナトリウム)が、焼き付き防止効果に悪影響を与えていることを新規に知見した。
ここで、従来のアルミナ系塗型剤に用いるアルミナの製法としては、前述のように一般にはバイヤー法が適用されている。バイヤー法は、ボーキサイトを苛性ソーダ(NaOH)溶液で加熱・溶解させて、アルミン酸ナトリウムとし、ろ過後、放置して得られる水酸化アルミニウムの沈殿物を、水洗し、さらに1200℃以上で焼成してアルミナとする方法である。このようなバイヤー法によるアルミナは、その製造プロセス中で使用したNa成分が不可避的に多量に混入(Naとして0.05〜0.4%程度、Naとして0.01〜0.1%程度)しており、またNa以外の不純物成分もかなりの量で含まれており、その純度は、高くてもせいぜい99.5〜99.8%程度となっている。
一方、純粋なアルミナの融点は約2020℃であるが、不純物成分、特にNaが含まれれば、その融点は下がってしまう。そのため前述のような99.8%程度以下の純度で、Na成分をかなりの量で含むアルミナを用いた塗型剤では、鉄系材料やNi基合金などの高融点材料を鋳込む際に、塗型剤を構成しているアルミナ粉末粒子の一部が溶融を開始してしまうことがある。そしてその場合には、鋳物の焼き付きを防止できなくなるばかりでなく、むしろ焼き付きを助長してしまうことが判明した。
また、従来のアルミナ系塗型剤に使用されるアルミナ粉末は、前述のようにその平均粒径が数μm以上であり、このような数μm以上のアルミナ粉末の分散液(スラリー)を鋳型表面に塗布して乾燥させた場合に鋳型表面に形成されるアルミナ粉末層は、その粉末粒子間の空隙が大きく、そのため薄くアルミナ粉末層を形成した場合、鋳造時に金属溶湯が鋳型表面に達してしまって、金属溶湯が鋳型表面と反応したり、金属溶湯が砂型の表面層まで差し込まれたりして、焼き付きが発生しやすくなることが判明した。
そしてこれらの知見に基づき、従来のアルミナ系塗型剤のアルミナ粉末よりも純度が格段に高くかつ従来のアルミナ系塗型剤よりも微細な高純度アルミナ微粉末を塗型剤に使用すれば、上述のような問題が生じることなく、確実かつ安定して焼き付きを防止し得ることを見出し、本発明をなすに至ったのである。
具体的には、本発明の基本的な態様(第1の態様)の鋳造用塗型剤は、99.95%以上の純度の高純度アルミナからなる平均粒径1.0μm以下の微粉末を分散媒に分散させたスラリーからなることを特徴とするものである。
なお本明細書においてアルミナの純度とは、重量で測定したAlの割合を意味するものとする。
このような鋳造用塗型剤を用いて鋳物製品を鋳造するに当たっては、その鋳造用塗型剤(高純度アルミナ微粉末スラリー)を鋳型、例えば砂型の表面に塗布して乾燥させる。ここで、上記の塗型剤を乾燥(分散媒を揮発もしくは蒸発)させれば、鋳型表面には高純度アルミナ微粉末層が形成される。すなわち、高純度アルミナ微粉末粒子が鋳型表面に所定の厚みで堆積した状態となる。その状態で鋳造対象金属の溶湯を鋳型内に流し込めば、高純度アルミナ微粉末粒子が、鋳込まれた金属溶湯と鋳型表面との間に介在することによって、金属溶湯が鋳型表面(鋳物砂)と反応することが防止され、焼き付きの発生が防止される。
ここで、鋳込まれた金属溶湯と鋳型表面との間に介在するアルミナは99.95%以上の高純度であって、Naなどの不純物成分が極めて少ないため、不純物成分の多量の含有、特にNaの多量の含有によってアルミナ微粉末粒子の融点が大幅に低下することが回避され、したがって鉄系材料やNi基合金などの高融点金属の溶湯を高温で鋳込んでも、その溶湯の熱によってアルミナ微粉末粒子が溶融することが確実に防止され、その結果、アルミナ微粉末粒子による焼き付き防止効果が確実に発揮される。
また同時に、塗型剤を構成しているアルミナ微粉末粒子は、その平均粒径が1.0μm以下と極めて微細であって、鋳型表面を覆うアルミナ微粉末粒子層内における粒子間の空隙も小さいため、溶湯がアルミナ微粉末粒子間に差し込まれて鋳型表面に達してしまうことを防止できる。その結果、焼き付き防止効果を確実に発揮させることができる。
また本発明の第2の態様の鋳造用塗型剤は、前記第1の態様の鋳造用塗型剤において、前記高純度アルミナとして、99.99%以上の純度のものが用いられていることを特徴とするものである。
この第2の態様の鋳造用塗型剤では、より高純度の99.99%以上のアルミナが使用されているため、不純物成分によるアルミナの融点の低下を、より確実に回避して、溶湯鋳込み時にアルミナ微粉末粒子が溶融することを一層確実に防止することができ、そのため、焼き付き防止効果を、より確実に発揮させることができる。
さらに本発明の第3の態様の鋳造用塗型剤は、前記第2の態様の鋳造用塗型剤において、前記高純度アルミナの微粉末が、アルミニウムアルコキシドの分解微粉末であることを特徴とするものである。
このような第3の態様の鋳造用塗型剤において、アルミニウムアルコキシドの分解によるアルミナは、一般に99.99%以上の超高純度であって、不純物として実質的にNa成分やその他S成分などを含まず、しかも平均粒径1.0μm以下の微細な粉末を容易に得ることができる。したがってその微粉末を使用した塗型剤では、優れた焼き付き防止機能を確実に発揮することができる。
さらに本発明の第4の態様の鋳造用塗型剤は、前記第3の態様の鋳造用塗型剤において、前記アルミニウムアルコキシドの分解微粉末が、アルミニウムイソプロポキシドの分解微粉末であることを特徴とするものである。
このように、アルミニウムアルコキシドとしては、アルミニウムイソプロポキシドを使用することが好適である。
そしてまた本発明の第5の態様の鋳造用塗型剤は、前記第1〜第4のいずれかの態様の鋳造用塗型剤において、前記高純度アルミナ微粉末と分散媒との割合が、高純度アルミナ微粉末100重量部に対し、分散媒が50〜300重量部であることを特徴とするものである。
このように高純度アルミナ微粉末と分散媒との割合を調整した塗型剤は、充分な流動性を有しているため。鋳型表面に容易かつ均一に塗布することができ、しかも乾燥後の状態で、焼き付きを確実に防止し得る程度の適度な厚みの高純度アルミナ粉末層を鋳型表面に形成することができる。なお場合によっては、界面活性剤などの分散剤を、高純度アルミナ微粉末100重量部に対し0.1〜1重量部の割合で添加して、高純度アルミナ微粉末の分散性を向上させてもよい。
そしてまた本発明の第6の態様の鋳造用塗型剤は、前記第1〜第5のいずれかの態様の鋳造用塗型剤において、前記分散媒が、水、酢酸エチル、エタノール、アセトン、ヘキサン、キシレン、トルエン、メタノールのうちから選ばれた1種または2種以上であることを特徴とするものである。
また、本発明の第7の態様は、前記第1〜第6のいずれかの態様の鋳造用塗型剤を用いた鋳造方法についてのものであり、前記鋳造用塗型剤を、鋳型における鋳造すべき金属の溶湯に接する面に塗布した後、その塗布層を乾燥させて、高純度アルミナ微粉末層を乾燥後の平均厚みで20〜200μmとなるように形成し、その後に、鋳造すべき金属の溶湯を鋳型内に注湯することを特徴とするものである。
このように前記鋳造用塗型剤(高純度アルミナ微粉末スラリー)を鋳型に塗布して乾燥させれば、高純度アルミナ微粉末粒子が鋳型表面に所定の厚みで堆積して、その高純度アルミナ微粉末層が鋳型表面に形成された状態となる。そして鋳造対象金属の溶湯を鋳型内に注湯すれば、この高純度アルミナ微粉末層が、既に述べたような焼き付き防止機能を示すことになる。ここで、高純度アルミナ微粉末層金属アルコキシド粉末層を乾燥後の平均厚みで20〜200μmとなるように形成することによって、高純度アルミナの過剰な使用による材料コストの無駄な上昇を招くことなく、確実かつ充分な焼き付き防止効果を得ることができる。
また、本発明の第8の態様は、前記第7の態様の鋳造法において、鋳型として砂型鋳型を用いるものである。このように砂型鋳型を用いた鋳造では、前記鋳造用塗型剤を用いた場合の焼き付き防止機能が最も効果的に発揮される。
本発明の鋳造用塗型剤によれば、鋳造作業時において鋳造金属の溶湯が鋳型表面に接する部位に焼き付きが発生することを確実かつ充分に防止することができ、そのため鋳造後の鋳物の取り出しが困難となることがないばかりでなく、表面肌が良好でかつ形状性も良好な鋳物製品を確実に得ることが可能となって、歩留まりを向上させることができ、さらには鋳造後に鋳物表面の焼き付き部位を手直しする作業も不要となって、その手間および時間を削減し、コスト低減を図ることができるなど、顕著な効果を得ることができる。
以下に、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
本発明の鋳造用塗型剤は、基本的には、99.95%以上の高純度、望ましくは99.99%以上の高純度のアルミナ(Al)の微粉末を、アルミナに対し難溶性もしくは不溶性を示す分散媒に分散させたスラリーからなるものである。
ここで、アルミナ微粉末の純度が99.95%未満では、不純物成分を0.05%以上含むことになり、その場合は不純物成分によってアルミナ微粉末粒子の融点が下がり、高融点材料の鋳造に使用した場合に部分的に溶融が開始されてしまって、焼き付き防止効果が損なわれてしまうおそれがある。特にバイヤー法由来のアルミナを用いた純度99.95%未満のアルミナ微粉末粒子では、NaをNaOとして0.05〜0.4%程度(Naとして0.01〜0.1%程度)含有しており、このようなアルミナを用いた場合には、融点の低下が顕著となって、高融点材料の鋳造において焼き付きが発生しやすくなってしまう。そこで本発明では、99.95%以上の高純度のアルミナを用いることとした。なおアルミナの純度は、特に99.99%以上が望ましく、99.99%以上の高純度のアルミナでは、Naなどの不純物成分が実質的に含まれないため、焼き付き防止効果をより一層確実に発揮することが可能となる。
また本発明の塗型剤に用いる高純度アルミナ微粉末の粒径は、平均で1.0μm以下とする。平均粒径が1.0μmを越えれば、塗型剤を鋳型表面に塗布して乾燥させた場合に鋳型表面に形成されるアルミナ粉末層の粉末粒子間の空隙が大きくなり、そのため薄くアルミナ粉末層を形成した場合には、鋳造時に金属溶湯が鋳型表面に達してしまって、金属溶湯が鋳型表面と反応したり、金属溶湯が砂型の表面層まで差し込まれたりして、焼き付きが発生しやすくなってしまう。
なお上述のような高純度のアルミナからなる平均粒径1.0μm以下の微粉末は、後述するようにアルミニウムイソプロポキシドなどのアルミニウムアルコキシドの分解などの方法によって得ることが可能である
高純度アルミナ微粉末と分散媒との配合比は、重量比で高純度アルミナ微粉末100重量部に対し、分散媒が50〜300重量部の範囲内となるように定めることが望ましい。分散媒が50重量部未満では、高純度アルミナ微粉末を分散媒に分散させたスラリー(塗型剤)の粘度が高すぎて流動性が悪くなり、鋳型表面に均一に塗布することが困難となるおそれがある。一方分散媒が300重量部を越えれば、鋳型に対する塗布自体は容易となるが、固形分濃度が低くなりすぎるため、1回の塗布作業で塗布可能な厚みが薄くなり、鋳型表面に充分な厚みの高純度アルミナ微粉末層を確保することが困難となる。また複数回の塗布―乾燥を繰り返せば、厚く形成することも可能であるが、その場合は作業に長時間を要して、コストアップを招くおそれがある。
分散媒としては、アルミナが溶解しないか又は溶解してもわずかしか溶解しない液体、すなわちアルミナが難溶性もしくは不溶性である液体、例えば水、酢酸エチル、エタノール、アセトン、ヘキサン、キシレン、トルエン、メタノールなどを用いることができる。ここで、分散媒としては、鋳型に塗布した時に、特に加熱しなくても常温で速やかに揮発もしくは蒸発するような乾燥性が良好なもの(速乾性、揮発性のもの)を選択することが望ましく、その観点からは、酢酸エチル、アセトン、ヘキサン、キシレン、トルエン、メタノール、エタノールなどのうちから選ばれた1種または2種以上を用いることが好ましい。
なお塗型剤(スラリー)としては、高純度アルミナ微粉末を分散媒中で均一に分散させるため、分散剤(界面活性剤)を添加することが好ましい。具体的な分散剤の種類としては、分散媒の種類に応じて適切なものを選択すればよく、例えば分散媒が水の場合、分散剤としてはポリカルボン酸などを用いることが望ましい。また分散媒が酢酸エチルの場合、分散剤としてはポリアミンなどを用いることが望ましい。さらに、分散媒がエタノールの場合、分散剤としてポリエチレンイミン系分散剤などを用いることが望ましい。
分散剤を添加する場合の添加量は、分散剤と分散媒の種類および高純度アルミナ微粉末の濃度に応じて適切に定めればよいが、通常は、高純度アルミナ微粉末100重量部に対し、分散剤が0.1〜1重量部程度の範囲内となるように定めることが望ましい。
前述のような99.95%以上(望ましくは99.99%以上)の高純度アルミナの微粉末(平均粒径1.0μm以下)を製造する方法は特に限定されるものではないが、本発明の塗型剤に使用される高純度アルミナ微粉末の製造方法としては、アルコキシド分解法を適用することが好ましい。
高純度アルミナ微粉末をアルコキシド分解法によって生成するための具体的方法は、従来知られているアルコキシド分解法と同様であればよく、特に限定されるものではないが、通常は、アルミニウムアルコキシドのゾルに水を加えて加水分解すれば良い。
ここでアルミニウムアルコキシドは、アルキル基をRとし、一般式 Al(OR)で表される。アルキル基Rは特に限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ブチル基、イソブチル基、t―ブチル基、s−ブチル基などがあり、これらのうちでも特にアルキル基としてイソプロピル基を用いて、アルミニウムイソプロポキシドとしたものを使用することが好ましい。
このようなアルミニウムアルコキシド、特にアルミニウムイソプロポキシドの加水分解によれば、99.99%以上の超高純度のアルミナを、平均粒径1.0μm以下の微細粉末として容易に得ることができる。そしてこのようなアルミニウムアルコキシドの分解によるアルミナ微粉末は、バイヤー法由来のアルミナ粉末とは異なり、アルミナの融点低下に大きな影響を与えるNa成分を実質的に含有していないため、本発明の塗型剤に最適である。
なお高純度アルミナの製造方法としては、明礬法(アンモニウム明礬熱分解法)も知られており、本発明の塗型剤に用いる高純度アルミナ微粉末の原料製造方法として明礬法を適用することも可能である。但し、明礬法で得られるアルミナの純度は、アルコキシド分解法によるアルミナよりも低く、通常は99.99%止まりである。また明礬法による場合、原材料となるアンモニウム明礬が硫黄(S)成分を含むため、高純度化してもアルミナにS成分がかなりの量で残っていることがあり、このようにS成分を含むアルミナ微粉末からなる塗型剤を使用した場合、塗型剤に由来するS成分が鋳物製品に混入してしまうおそれがあるから、鋳物材料の種類やその用途によっては、鋳物製品に悪影響を与えるおそれもある。したがってこれらの観点から、高純度アルミナ微粉末としてはアルミニウムアルコキシドの分解微粉末を使用することが望ましい
以上のような塗型剤(高純度アルミナ微粉末スラリー)を実際に鋳造工程に適用するに当たっては、鋳型に鋳造対象金属を鋳込む以前の段階で、鋳型表面(少なくとも鋳造金属溶湯に接する部分の表面)に、塗型剤を塗布する。
ここで、鋳造対象金属は、鋳鉄、鋳鋼などの鉄系材料、その他、Ni基合金、Co基合金などの超合金、さらには銅や銅合金などの非鉄金属材料であっても良く、特に限定されるものではない。
また鋳型の材質も特に限定しないが、本発明の鋳造用塗型剤は、ダイキャスト用金型鋳型やセラミックモールドなどと比較して焼き付きが発生しやすい砂型に適用した場合に、最も効果的である。
本発明の鋳造用塗型剤を鋳型表面に塗布するための手段は特に限定されず、従来一般の塗型剤と同様に、スプレーによって噴射塗布しても、あるいは刷毛や筆を用いて塗布しても良い。また鋳型表面への塗布厚みは特に限定されないが、通常は、乾燥後の平均厚みで20μm〜200μmの範囲内とすることが望ましい。乾燥後の高純度アルミナ微粉末層の平均厚みが20μm未満では、十分な焼き付き防止効果を得ることが困難となるおそれがあり、一方200μmを越えて厚く高純度アルミナ微粉末層を形成することは、経済的に無駄となるだけである。
上述のようにして鋳型表面に塗布した後には、塗布層を乾燥させてから、鋳型内に鋳造対象金属の溶湯を注湯する。ここで、分散媒として、前述のように乾燥性の良好な溶剤類を用いた場合には、常温でも短時間で乾燥させることができ、そのため鋳造作業の生産性を損なうことがない。なお、場合によっては温風乾燥や加熱乾燥を適用してもよい。
このようにして本発明の塗型剤(高純度アルミナ微粉末スラリー)を鋳型表面に塗布して乾燥させれば、スラリー中の高純度アルミナ微粉末粒子が鋳型表面に所定の厚みで堆積した状態となる。すなわち高純度アルミナ微粉末層が鋳型表面に形成された状態となる。そして鋳造対象金属、例えば鋳鉄の溶湯を鋳型内に注湯すれば、溶湯と鋳型表面との間に、高純度アルミナ微粉末層が介在することにより、鋳造金属溶湯が鋳型表面(例えば砂型表面の鋳物砂)と反応することが防止される。
そして本発明の塗型剤の場合、スラリーを構成するアルミナ微粉末として高純度のアルミナが用いられているため、既に述べたような不純物成分、特にNaに起因するアルミナの融点の大幅な低下が抑制され、そのため高融点金属を鋳込む場合でも、確実かつ安定して焼き付きの発生を防止することができ、それに加えて、アルミナ微粉末が著しく微細であることによって、塗型剤の塗布、乾燥後のアルミナ微粉末層の粒子間に溶湯が差し込まれて、溶湯が鋳型表面に達してしまうことも有効に防止されて、焼き付き防止効果を確実に発揮することができる。
以下に本発明の実施例を、比較例とともに記す。
〔実施例1〕
アルミニウムイソプロポキシドを加水分解して得られた99.99%以上の超高純度のアルミナの微粉末塊(比表面積10m/g)を、ポリカルボン酸を分散剤として分散処理して、純度が99.99%以上で平均粒径が0.3μmの高純度アルミナ微粉末を得た。その高純度アルミナ微粉末100重量部に対し、分散剤としてのポリカルボン酸を1重量部、分散媒としての水を100重量部の割合で混合し、ジルコニアボールを粉砕媒体として、ボールミルに入れ、24時間分散処理を行って、高純度アルミナ微粉末が分散した分散液(スラリー)を得た。
このような分散液(スラリー)を塗型剤として、砂型鋳型を用いての自動車用鋳鉄部品の製造に適用した。すなわち、砂型表面に前記分散液をスプレー塗布して、厚み50〜100μmで塗布層を形成し、乾燥後、注湯温度1550℃で鋳鉄溶湯を鋳込んだ。なお乾燥後の鋳型表面の高純度アルミナ微粉末層の厚みは、平均50μmであった。
このような鋳込み試験を50個のサンプルについて実施した結果、50サンプル中、焼き付きが発生したものはゼロであった。すなわち焼き付き不良発生率は0%であった。
〔実施例2〕
この実施例2は、塗型剤の塗布手段を変更した本発明例である。
すなわち、実施例1と同様にして得た分散液(スラリー)を塗型剤とし、刷毛を用いて、鋳型表面に、50〜150μm厚で塗布し、乾燥後、実施例1と同様に50個のサンプルについて鋳込み試験を行なった。なお乾燥後の鋳型表面の高純度アルミナ微粉末層の厚みは、平均100μmであった。
鋳込み試験の結果、50個のサンプル中、焼き付き不良の発生はゼロであった。
〔実施例3〕
この実施例3は、高純度アルミナ微粉末に対する分散媒および分散剤を、実施例1とは異ならしめた本発明例である。
すなわち、実施例1と同様にして得られた99.99%以上の純度の平均粒径0.3μmの高純度アルミナ微粉末100重量部に対し、分散剤としてのジアミンを1重量部、分散媒としての酢酸エチルを100重量部の割合で混合し、ジルコニアボールを粉砕媒体として、ボールミルを用いて24時間混練して、超高純度アルミナが分散した分散液(スラリー)を形成した。
このような分散液を塗型剤として、実施例1と同様に、砂型鋳型を用いての自動車用鋳鉄部品の製造に適用した。すなわち、砂型表面に前記分散液をスプレー塗布して、厚み50〜100μmで塗布層を形成し、乾燥後、注湯温度1550℃で鋳鉄溶湯を鋳込んだ。なお乾燥後の鋳型表面の高純度アルミナ微粉末層の厚みは、平均50μmであった。
このような鋳込み試験を50個のサンプルについて実施した結果、50サンプル中、焼き付きが発生したものはゼロであった。すなわち焼き付き不良発生率は0%であった。
〔実施例4〕
この実施例4は、高純度アルミナ微粉末に対する分散媒および分散剤を実施例1、実施例3とは異ならしめた本発明例である。
すなわち、実施例1と同様にして得られた99.99%以上の純度の平均粒径0.3μmの高純度アルミナ微粉末100重量部に対し、ポリエチレンイミン系分散剤を1重量部、分散媒としてのエタノールを100重量部の割合で混合し、ジルコニアボールを粉砕媒体として、ボールミルを用いて24時間分散処理して、超高純度アルミナが分散した分散液(スラリー)を形成した。
このような分散液を塗型剤として、実施例1と同様に、砂型鋳型を用いての自動車用鋳鉄部品の製造に適用した。すなわち、砂型表面に前記分散液をスプレー塗布して、厚み50〜100μmで塗布層を形成し、乾燥後、注湯温度1550℃で鋳鉄溶湯を鋳込んだ。なお乾燥後の鋳型表面の高純度アルミナ微粉末層の厚みは、平均75μmであった。
このような鋳込み試験を50個のサンプルについて実施した結果、50サンプル中、焼き付きが発生したものはゼロであった。すなわち焼き付き不良発生率は0%であった。
〔実施例5〕
この実施例5は、高純度アルミナ微粉末に対する分散媒(エタノール)の割合を実施例5の場合の2倍とした本発明例である。
すなわち、実施例1と同様にして得られた99.99%以上の純度の平均粒径0.3μmの高純度アルミナ微粉末に対し、ポリエチレンイミン系分散剤を1重量部、分散媒としてのエタノールを200重量部の割合で混合し、ジルコニアボールを粉砕媒体として、ボールミルを用いて24時間分散処理して、超高純度アルミナが分散した分散液(スラリー)を形成した。
このような分散液を塗型剤として、実施例4と同様に、砂型鋳型を用いての自動車用鋳鉄部品の製造に適用した。すなわち、砂型表面に前記分散液をスプレー塗布して、厚み50〜150μmで塗布層を形成し、乾燥後、注湯温度1550℃で鋳鉄溶湯を鋳込んだ。なお乾燥後の鋳型表面の高純度アルミナ微粉末層の厚みは、平均100μmであった。
このような鋳込み試験を50個のサンプルについて実施した結果、50サンプル中、焼き付きが発生したものはゼロであった。すなわち焼き付き不良発生率は0%であり、この結果から、分散液(スラリー)としてアルミナ微粉末の割合がかなりの程度まで少ないもの(薄いもの)を用いても、焼き付き防止効果が発揮されることが確認された。
〔実施例6〕
この実施例6は、高純度アルミナ微粉末として、実施例1で用いたアルミニウムイソプロポキシド分解粉末よりも純度が低いが、本発明で規定する99.95%以上の純度を有する明礬法由来のアルミナ微粉末を用いた本発明例である。このアルミナ微粉末は、純度がほぼ99.99%であり、Na分を約0.0008重量%含有している。またその粒径は、平均で0.8μmである。
このようなアルミナ微粉末を用いて、実施例1と同様に、アルミナ微粉末100重量部に対し、分散剤としてのポリカルボン酸を1重量部、分散媒としての水を100重量部の割合で混合し、ジルコニアボールを粉砕媒体として、ボールミルに入れ、24時間分散処理を行って、高純度アルミナ微粉末が分散した分散液(スラリー)を得た。
このような分散液を塗型剤として、実施例1と同様に、砂型鋳型を用いての自動車用鋳鉄部品の製造に適用した。すなわち、砂型表面に前記分散液をスプレー塗布して、厚み50〜100μmで塗布層を形成し、乾燥後、注湯温度1550℃で鋳鉄溶湯を鋳込んだ。なお乾燥後の鋳型表面の高純度アルミナ微粉末層の厚みは、平均100μmであった。
このような鋳込み試験を50個のサンプルについて実施した結果、50サンプル中、焼き付きが発生したものは2個であった。すなわち焼き付き不良発生率は4%であった。このような結果から、明礬法由来の99.99%程度の純度のアルミナ微粉末を用いた場合でも、かなりの焼き付き防止効果が得られるものの、実施例1に示したような、アルミニウムイソプロポキシドの分解による99.99%以上の超稿純度アルミナ微粉末を使用した場合と比較すれば、焼き付き防止効果が劣ることが確認された。
〔比較例1〕
この比較例1は、塗型剤を用いずに鋳込み試験をおこなった比較例である。
すなわち実施例1で用いたものと同種、同形状の砂型鋳型を用い、砂型表面に特に塗型剤を塗布せずに、実施例1と同様に50個のサンプルについて鋳込み試験を実施した。その結果、50サンプル中、焼き付きが発生したものは10個であった。すなわち焼き付き不良発生率は20%であった。
〔比較例2〕
この比較例2は、塗型剤として従来から使用されているアルミナ分散液、すなわちバイヤー法によって得られた純度が99.8%程度の平均粒径5μmのアルミナ粉末のスラリーを用いて鋳込み試験を行なった従来例である。なおこのアルミナ粉末は、Na分を、約0.1%含有している。
上記のアルミナ粉末を、分散媒としてのエタノールに分散させて塗型剤とした。なおアルミナとエタノールとの配合比は、重量比でアルミナ100重量部に対しエタノール500重量部とした。
そのアルミナ粉末塗型剤を、砂型鋳型を用いての自動車用鋳鉄部品の製造に適用した。すなわち、砂型表面に前記アルミナ粉末塗型剤をスプレー塗布して、厚み50〜100μmで塗布層を形成し、乾燥後、注湯温度1550℃で鋳鉄溶湯を鋳込んだ。なお乾燥後の鋳型表面のアルミナ粉末層の厚みは、平均100μmであった。
このような鋳込み試験を50個のサンプルについて実施した結果、50サンプル中、焼き付きが発生したものは5個であった。すなわち焼き付き不良発生率は10%であった。
〔比較例3〕
この比較例3は、低純度ではあるが微細なアルミナ粉末を使用した比較例である。
すなわち、比較例2で使用したアルミナ粉末と同様な明礬法由来のアルミナ粉末(純度99.98%、平均粒径5μm)を、さらにビーズミルによって粉砕し、平均粒径0.5μmのアルミナ微粉末とした。
そして実施例1と同様に、アルミナ微粉末100重量部に対し、分散剤としてのポリカルボン酸を1重量部、分散媒としての水を100重量部の割合で混合し、ジルコニアボールを粉砕媒体として、ボールミルに入れ、24時間分散処理を行って、低純度アルミナ微粉末が分散した分散液(スラリー)を得た。
このような分散液(スラリー)を塗型剤として、砂型鋳型を用いての自動車用鋳鉄部品の製造に適用した。すなわち、砂型表面に前記分散液をスプレー塗布して、厚み50〜100μmで塗布層を形成し、乾燥後、注湯温度1550℃で鋳鉄溶湯を鋳込んだ。なお乾燥後の鋳型表面の低純度アルミナ微粉末層の厚みは、平均100μmであった。
このような鋳込み試験を50個のサンプルについて実施した結果、50サンプル中、焼き付きが発生したものは5個であった。すなわち焼き付き不良発生率は10%であった。この結果から、単にアルミナを平均粒径1.0μm以下に微粉末化しただけでは、充分な焼き付き防止効果が得られないことが確認された。
〔比較例4〕
この比較例4は、高純度ではあるが粗大なアルミナ粉末を使用した比較例である。
すなわち、アルミニウムイソプロポキシドを加水分解して得られた99.99%以上の超高純度のアルミナの粉末塊(比表面積10m/g)を、ポリカルボン酸を分散剤として分散処理して、純度が99.99%以上で平均粒径が2.0μm(???)の高純度アルミナ粉末を得た。その高純度アルミナ粉末100重量部に対し、分散剤としてのポリカルボン酸を1重量部、分散媒としての水を100重量部の割合で混合し、ジルコニアボールを粉砕媒体として、ボールミルに入れ、24時間分散処理を行って、高純度アルミナ粉末が分散した分散液(スラリー)を得た。
このような分散液(スラリー)を塗型剤として、砂型鋳型を用いての自動車用鋳鉄部品の製造に適用した。すなわち、砂型表面に前記分散液をスプレー塗布して、厚み50〜100μmで塗布層を形成し、乾燥後、注湯温度1550℃で鋳鉄溶湯を鋳込んだ。なお乾燥後の鋳型表面の高純度アルミナ粉末層の厚みは、平均100μmであった。
このような鋳込み試験を50個のサンプルについて実施した結果、50サンプル中、焼き付きが発生したものは5個であった。すなわち焼き付き不良発生率は10%であった。この結果から、高純度のアルミナを用いても、粗大なアルミナ粉末では、充分な焼き付き防止効果が得られないことが確認された。
以上の各実施例および比較例から、99.95%以上、特に99.99%以上の超高純度のアルミナからなり、しかも平均粒径が1.0μm以下と極めて微細な高純度アルミナ微粉末を用いた塗型剤(実施例1〜実施例6)によれば、従来のアルミナ系塗型剤(比較例2)や、微細ではあるが低純度のアルミナ微粉末を用いた塗型剤(比較例3)、あるいは高純度ではあるが粗大なアルミナ微粉末を用いた塗型剤(比較例4)と比較して、確実に焼き付きを防止できることが確認された。
さらに本発明の実施例1〜6のうちでも、アルミナ微粉末としてアルミニウムイソプロポキシドの分解による超高純度微粉末を用いた実施例1〜5では、明礬法によって得られた若干純度が低いアルミナ微粉末を用いた場合(実施例6)よりも、確実に焼き付きを防止できることが確認された。
以上、本発明の好ましい実施形態、実施例について説明したが、これらの実施形態、実施例は、あくまで本発明の要旨の範囲内の一つの例に過ぎず、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。すなわち本発明は、前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲内で適宜変更可能であることはもちろんである。

Claims (8)

  1. 99.95%以上の純度の高純度アルミナからなる平均粒径1.0μm以下の微粉末を分散媒に分散させたスラリーからなることを特徴とする鋳造用塗型剤。
  2. 前記高純度アルミナとして、99.99%以上の純度のものが用いられていることを特徴とする請求項1に記載の鋳造用塗型剤。
  3. 前記高純度アルミナの微粉末が、アルミニウムアルコキシドの分解微粉末であることを特徴とする請求項1、請求項2のいずれかの請求項に記載の鋳造用塗型剤。
  4. 前記アルミニウムアルコキシドの分解微粉末が、アルミニウムイソプロポキシドの分解微粉末であることを特徴とする請求項3に記載の鋳造用塗型剤。
  5. 前記高純度アルミナ微粉末と分散媒との割合が、高純度アルミナ微粉末100重量部に対し、分散媒が50〜300重量部であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかの請求項に記載の鋳造用塗型剤。
  6. 前記分散媒が、水、酢酸エチル、エタノール、アセトン、ヘキサン、キシレン、トルエン、メタノールのうちから選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかの請求項に記載の鋳造用塗型剤。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかの請求項に記載の鋳造用塗型剤を、鋳型における鋳造すべき金属の溶湯に接する面に塗布した後、その塗布層を乾燥させて、高純度アルミナ微粉末層を乾燥後の平均厚みで20〜200μmとなるように形成し、その後に鋳造すべき金属の溶湯を鋳型内に注湯することを特徴とする鋳造方法。
  8. 前記鋳型が、砂型鋳型であることを特徴とする請求項7に記載の鋳造方法。
JP2012027194A 2012-02-10 2012-02-10 鋳造用塗型剤およびそれを用いた鋳造方法 Pending JP2013163199A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012027194A JP2013163199A (ja) 2012-02-10 2012-02-10 鋳造用塗型剤およびそれを用いた鋳造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012027194A JP2013163199A (ja) 2012-02-10 2012-02-10 鋳造用塗型剤およびそれを用いた鋳造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013163199A true JP2013163199A (ja) 2013-08-22

Family

ID=49174919

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012027194A Pending JP2013163199A (ja) 2012-02-10 2012-02-10 鋳造用塗型剤およびそれを用いた鋳造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013163199A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108699705A (zh) * 2015-12-29 2018-10-23 莫门蒂夫性能材料股份有限公司 用于金属加工的氮化硼涂层及其使用方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001150095A (ja) * 1999-11-25 2001-06-05 Kobe Steel Ltd 厚肉大型鋳鋼品及びその鋳型

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001150095A (ja) * 1999-11-25 2001-06-05 Kobe Steel Ltd 厚肉大型鋳鋼品及びその鋳型

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108699705A (zh) * 2015-12-29 2018-10-23 莫门蒂夫性能材料股份有限公司 用于金属加工的氮化硼涂层及其使用方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
DE10326769B3 (de) Dauerhafte BN-Formtrennschichten für das Druckgießen von Nichteisenmetallen
US8980778B2 (en) Mold system for casting of reactive alloys
CN101268027B (zh) 层或涂层以及用于制备它们的组合物
DE60013408T2 (de) Verfahren zur Herstellung von einem Sinterkörper aus Aluminiumtitanat
JP2010525930A (ja) セラミック系における化学物質の制御された分布
DE102006040385A1 (de) Dauerhafte temperaturstabile BN-Formtrennschichten auf Basis von keramischen und glasartigen Bindern
BRPI1014351B1 (pt) Semi-liquid paste, production process, casting mold and process for production
CN109848364B (zh) 一种压力铸造用氮化硼涂料及其制备方法
EA020231B1 (ru) Порошок бария-стронция-алюмосиликата
CN110560629A (zh) 一种高纯铝熔炼铸造用涂料及其制备方法和用途
EP1486473B1 (de) Dauerhafte Bornitrid-Formtrennschichten für das Druckgiessen von Nichteisenmetallen
JP5738176B2 (ja) 鋳造用塗型剤およびそれを用いた鋳造方法
JP2013163199A (ja) 鋳造用塗型剤およびそれを用いた鋳造方法
RU2297300C1 (ru) Защитно-разделительное покрытие и способ его нанесения
DE102009009559B4 (de) Verfahren zum Verlängern der Standzeit von technischen Oberflächen
KR20180076355A (ko) 티타늄 합금 주조용 주형 제조방법 및 이에 의해 제조된 티타늄 합금 주조용 주형
CN104528817B (zh) 钛酸铝粉体及其制备方法
JP2016501131A (ja) 鋳型および他の製品を製造するためのセラミック層の組成物
CN110961570B (zh) 一种金属型铸造用氧化锆复合喷涂料的制备方法
JP4350212B2 (ja) マグネシウム合金の高耐食性鋳造品の製造法及び高耐食性鋳造品
CN104874723A (zh) 耐高温铸造涂料的制备方法
JP2013180909A (ja) アルミナ質焼結体及びその製造方法
US20220048097A1 (en) Casting slurry for the production of shell molds
CN101423390B (zh) 一种钛酸铝-氧化锆-钛酸锆复合材料及其制备方法
CN109536787A (zh) Al-Er-Zr中间合金细化剂

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20141028

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150105

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20150106

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20150401