JP2013159272A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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武 木村
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和男 内田
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Abstract

【課題】クラウン部の補強構造を改良することで、十分なプランジャー性能を確保しつつ、コストの低減を図った空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ビード部11およびサイドウォール部12と、両サイドウォール部間に連なるトレッド部13とを有し、一対のビード部間に跨ってトロイド状に延在するカーカス2と、そのクラウン部のタイヤ半径方向外側に順次配置された周方向ベルト層3a,3bおよび傾斜ベルト層4a,4bと、を備える空気入りタイヤである。カーカス2と周方向ベルト層3aとの間に、補強繊維をゴム層内にランダムに埋設してなるゴム−補強繊維複合体層5が配設され、かつ、ゴム−補強繊維複合体層をトレッド部の外表面側から見たとき、補強繊維同士が厚み方向に重なる箇所を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、トラック・バス等の重荷重用車両に用いられる重荷重用空気入りタイヤに関する。
一般に、空気入りタイヤにおいては、その骨格をなすカーカスの補強部材、特に、カーカスのクラウン部の補強部材として、タイヤ周方向に対し角度をもって配置された補強コードのゴム引き層からなる2層の交錯ベルト層が配置されている。
クラウン部の補強構造の改良に係る技術としては、例えば、特許文献1に、1プライ以上のカーカスと、その外周側でトレッド部を強化する少なくとも2層のゴム引きコード層からなるベルトとを備える空気入りタイヤにおいて、ベルトのコード層の最内層とカーカスプライの最外側との間に不織布とゴムとの一体複合部材を介在配置して成る空気入りタイヤが開示されている。また、特許文献2には、カーカスとトレッド部との間に、トレッド部幅の少なくとも一部にて、スチールフィラメントをゴム層内の少なくとも二方向に分散して埋設してなるゴム−スチールフィラメント複合体層の少なくとも1層が配設され、かつ、タイヤ周方向に対し実質的に角度をもって配列された補強コードのゴム引き層からなる傾斜ベルト層を有しない空気入りタイヤが開示されている。
特開平10−044710号公報(特許請求の範囲等) 特開2011−111049号公報(特許請求の範囲等)
空気入りタイヤの中でも、特に、トラック・バス等の重荷重用車両に用いられる重荷重用タイヤにおいては、クラウン部の補強構造として、交錯ベルト層の内側または外側に、さらに他の補強部材を配置することが一般的である。具体的には例えば、交錯ベルト層の内側に、コード方向が実質的にタイヤ周方向である周方向ベルトを配置したり、交錯ベルト層の外側に、コード方向がタイヤ周方向に対し角度をもつ傾斜ベルトからなるベルト保護層を配置することが行われている。このうち周方向ベルトは、カーカスと交錯ベルト層との間の層間せん断歪みの低減や、交錯ベルト層の劣化抑制、プランジャーエネルギーの確保等の観点から配置され、ベルト保護層は、交錯ベルト層に対する外部からの石等の異物の侵入や、これら異物によるカットの発生を防止するために設けられる。
しかしながら、特に、偏平率が70%以下であるような重荷重用タイヤにおいては、2層の交錯ベルト層の内側に2層の周方向ベルトを配置した場合であっても、十分なプランジャー性能が得られない場合があった。これに対し、周方向ベルトの内側に、さらに傾斜ベルトを追加配置してプランジャー性能を確保することも行われているが、コード補強層が増えることで、タイヤあたりの原材料コストが増大するという難点があった。よって、クラウン部の補強構造に関して、十分なプランジャー性能を確保しつつ、コストの低減を図ることのできる技術の確立が求められていた。
そこで、本発明の目的は、クラウン部の補強構造を改良することで、十分なプランジャー性能を確保しつつ、コストの低減を図った空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、クラウン部に配置する補強部材として、傾斜ベルト層および周方向ベルト層に加えて、所定の条件を満足する補強繊維を用いた特定構造の補強部材を配置することで、上記問題が解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の空気入りタイヤは、左右一対のビード部およびサイドウォール部と、両サイドウォール部間に連なるトレッド部とを有し、該一対のビード部間に跨ってトロイド状に延在する少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ半径方向外側に順次配置された少なくとも1枚の周方向ベルト層および少なくとも1枚の傾斜ベルト層と、を備える空気入りタイヤにおいて、
前記カーカスと前記周方向ベルト層との間に、補強繊維をゴム層内にランダムに埋設してなるゴム−補強繊維複合体層が配設され、かつ、該ゴム−補強繊維複合体層を前記トレッド部の外表面側から見たとき、該補強繊維同士が厚み方向に重なる箇所を有することを特徴とするものである。
本発明においては、前記ゴム−補強繊維複合体層の目付け密度が、300g/mより大きく2000g/m以下、特には、1000g/mより大きく2000g/m以下であることが好ましい。また、前記補強繊維の長さは、好適には10mm〜200mmの範囲内であり、前記補強繊維の径は、好適には0.07mm〜0.60mmの範囲内である。さらに、前記補強繊維としては、無機繊維を好適に用いることができる。
本発明によれば、上記構成としたことにより、クラウン部に関して、十分なプランジャー性能を確保しつつ、コストの低減を図った空気入りタイヤを実現することが可能となった。
本発明の空気入りタイヤの一例としての重荷重用空気入りタイヤを示す幅方向片側断面図である。 本発明に係るゴム−補強繊維複合体層の一例を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明の空気入りタイヤの一例としての重荷重用空気入りタイヤ10を示す幅方向断面図を示す。図示するように、本発明のタイヤは、左右一対のビード部11およびサイドウォール部12と、両サイドウォール部12間に連なるトレッド部13とを有している。また、本発明のタイヤは、一対のビード部11にそれぞれ埋設されたビードコア1間に跨ってトロイド状に延在する少なくとも1枚、図示する例では1枚のカーカスプライからなるカーカス2を骨格とする。さらに、本発明のタイヤにおいては、カーカス2のクラウン部のタイヤ半径方向外側に、少なくとも1枚、図示例では2枚の周方向ベルト層3a,3bと、少なくとも1枚、図示例では2枚の傾斜ベルト層4a,4bと、が次配置されている。
本発明のタイヤにおいては、上記周方向ベルト層3a,3bおよび傾斜ベルト層4a,4bに加えてさらに、カーカス2と、周方向ベルト層3a,3bとの間に、ゴム−補強繊維複合体層5が配設されている。図2に、本発明に係るゴム−補強繊維複合体層5の一例を示す模式図を示す。この図は、ゴム−補強繊維複合体層の面に対し垂直な方向から見た際の、補強繊維の分散状態を示している。
図示するように、本発明に係るゴム−補強繊維複合体層5は、補強繊維21を、ゴム層22内にランダムに埋設してなる。ここで、補強繊維21をランダムに埋設した状態とは、多数の補強繊維21の延在方向が、異なる2以上の方向となっていることを意味している。また、補強繊維21は、その少なくとも一端がゴム−補強繊維複合体層内で終端しており、すなわち、ゴム−補強繊維複合体層の幅方向端部間で連続して延在しない長さの短い繊維からなる。さらに、補強繊維21は、図示するように、補強繊維21をタイヤ半径方向に投影した投影部、すなわち、ゴム−補強繊維複合体層をトレッド部13の外表面側から見た場合の投影部において、2以上の補強繊維21同士が少なくとも一部で重なるように、ゴム層22内に埋設されている。これは、ゴム−補強繊維複合体層をトレッド部の外表面側から見たとき、補強繊維同士が厚み方向に重なる箇所を有することを意味する。なお、本発明に係る補強部材は、厚みを有する平面状をなしている。
このような構成としたことで、ゴム−補強繊維複合体層の補強繊維21として、従来は廃棄物となっていた端材を利用することが可能となり、廃材の有効利用を図ることができるので、原材料コストを実質ゼロとすることができ、クラウン部の補強構造全体としてのコストを低減することが可能となった。また、本発明に係るゴム−補強繊維複合体層は、ゴム−コード複合体におけるようなコード層間のゴムを必要としないので、コーティングゴムの量を低減できる点においても、コストの低減が可能である。さらに、本発明に係るゴム−補強繊維複合体層は、従来のコード補強層とは異なり、製造上、撚り線や引き揃え圧延などの工程を要しないので、製造が容易であって、この点でもコスト性に優れている。さらにまた、ゴム−補強繊維複合体層は、ゴム−コード複合体のような従来のクラウン部の補強構造と比較して、少ない金属量で、同等の機能を発揮することができるので、タイヤの軽量化にも寄与できる。さらにまた、本発明に係るゴム−補強繊維複合体層においては、その端部に補強繊維の断面が並ぶことがないので、補強部材端部を起点とするセパレーションの問題も有しない。
また、本発明のタイヤにおいては、ゴム−補強繊維複合体層5を、カーカス2と、周方向ベルト層3a,3bとの間に配置するものとしたので、強力の向上による補強効果と剛性の向上による補強効果とを合わせて、所望のプランジャー性能を確保することができるものとなった。さらに、本発明に係るゴム−補強繊維複合体層は、補強繊維21の線径や長さ、単位面積あたりの本数(密度)等を適宜調整することにより、曲げ剛性の制御が可能であるので、接地形状を制御しつつ、プランジャー性能を向上することができるとのメリットもある。例えば、目付け密度が一定であれば、補強繊維21の本数を少なく、長さを長くするほど、曲げ剛性は大きくなる。また、同じ長さの補強繊維21を用いた場合、本数が多くなるほど、曲げ剛性は大きくなる。
本発明においては、図示するように、カーカス2と、周方向ベルト層3aとの間に、ゴム−補強繊維複合体層5を配設するものであればよく、これにより、十分なプランジャー性能を確保しつつ、コストの低減を図った空気入りタイヤとすることができる。
本発明において、ゴム−補強繊維複合体層の目付け密度は、好適には、300g/mより大きく2000g/m以下であり、より好適には、1000g/mより大きく2000g/m以下とする。目付け密度が300g/m以下では、補強部材としての機能性が低下してしまい、プランジャーエネルギーが十分確保できない。一方、目付け密度が2000g/mを超えると、補強繊維のフレッティングによる破断や、短繊維がゴムから突き出た状態となる、いわゆるワイルドワイヤが発生するおそれがある。ここで、本発明において、補強部材の目付け密度とは、1層の補強部材内における単位面積あたりの補強繊維の総重量を意味する。すなわち、単位面積(1m)あたりに含まれる、補強部材の1層あたりの補強繊維21の総重量(g)が、本発明における目付け密度である。
また、補強繊維の径は、0.07mm〜0.60mm、特には0.15mm〜0.35mmの範囲内のものを用いることが好ましい。補強繊維の径が小さすぎると、細い線径とするための伸線工程におけるコストが嵩むことに加え、散布する補強繊維の本数が増加するので、コスト高となる。一方、補強繊維の径が大きすぎると、曲げ剛性が増大して縦バネが増加することに加え、センターの接地長が短くなって偏摩耗が生じ、低内圧走行時に補強繊維が折れてしまうなどの問題が生ずるおそれがある。
さらに、補強繊維の長さは、10mm〜200mmの範囲内であることが好ましく、特には25mm〜75mmのものを用いることが好ましい。補強繊維の長さが短すぎると、カット工数が増加してしまう。一方、補強繊維の長さが長すぎると、成型性が悪化し、加硫時の拡張が困難となるおそれがある。
なお、本発明においては、ゴム−補強繊維複合体層に用いる全ての補強繊維が単一長さおよび径である必要はなく、複数種の長さおよび径を有する補強繊維を混合して使用してもよいが、上記範囲内の長さおよび径のものを用いることが好適である。特に、補強繊維の長さが長すぎると、補強部材の均一性が損われるので、ユニフォミティを決定する成分である、タイヤ形状やタイヤ剛性の周方向均一性が低下するという点から好ましくない。また、補強繊維の断面形状は、基本的に円形であるが、楕円または三角形などの多角形状のものを用いてもよい。
本発明において、上記補強繊維としては、いかなる材質のものを用いてもよく、タイヤの補強部材に通常用いられる各種材料のうちから、適宜選択して用いることが可能である。具体的には例えば、無機繊維としては、スチールフィラメント等の金属繊維やガラス繊維など、有機繊維としては、芳香族ポリアミド繊維や脂肪酸ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリパラフェニレンベンゼンオキサゾール繊維、ポリビニルアルコール系合成繊維、炭素繊維などが挙げられる。本発明においては、補強繊維として、上記のうちでも、無機繊維、特にはスチールフィラメントを用いることが好ましい。
上記無機繊維ないし有機繊維からなる補強繊維は、タイヤ補強用のコード製造過程において、めっき後伸線工程や撚り線工程等で発生する端材(残糸からなる廃棄物)や、タイヤ製造工場のコード圧延工程で発生する端材などから製造することができる。本発明においては、このような従来は廃棄されていた端材を使用することができるため、従来に比して大幅なコストダウンを図ることができるとともに、廃棄物の削減にも寄与できるものである。
すなわち、スチールコード等の金属コードは、めっき処理されたフィラメントの単線が巻かれた複数のリールからフィラメントを巻き出して、張力を利用してフィラメント束を撚り合わせることにより製造される。また、有機繊維等からなる非金属コードは、撚ったフィラメント束に接着剤を塗布するディッピング処理を施すことにより、製造される。金属の撚りコードを製造する際には、各リールのいずれか一つが空となった時点で、他のリールにフィラメントが残っていたとしても、残ったフィラメントは廃棄される。また、調整などのために製造工程を停止した後、再開する際にも、コード端部の調整部分は廃棄される。さらに、金属コードおよび非金属コードのいずれも、張力を利用して補強部材を製造しているため、物理的に張力を確保できないコード端部についても廃棄される。本発明においては、このようなタイヤ製造における各プロセスで生ずるコードの端材を有効利用して、補強部材を形成することができるものである。
なお、短繊維として、長さ5.0mm以下程度、通常2mm〜3mmの極めてミクロな繊維を、トレッドゴム中に含有させることで氷上性能を向上させる技術は、従来よりよく知られている。しかし、上記のように廃材を有効利用することを考慮した場合、コードの端材をミクロな短繊維に切断して用いると、製造工数およびコストの増加となる。また、本発明においては、使用する補強繊維がある程度の長さおよび目付け密度を有しないと、補強繊維同士が厚み方向に重なる箇所を有しないものとなるか、または、重なる箇所を有していても、強度および剛性における補強効果が十分得られない。したがって、上記のような長さおよび目付け密度等を有する補強繊維を用いることが好適である。但し、長さの短い補強繊維のみ、または、長さの長い補強繊維のみを用いると、十分な補強効果が得られないか、または、耐久性に問題を生ずるおそれがある。
また、上記補強繊維は、ゴム中に埋設されて補強部材を形成するものであるため、ゴムとの接着性を確保するために、めっきまたは接着剤処理されていることが必要である。すなわち、本発明においては、補強繊維が金属繊維の場合はめっき処理されているもの、補強繊維が有機繊維の場合は接着剤処理されているものを用いる。スチールフィラメント等の金属繊維において、例えば、一般的なCu+Znめっきを施した場合には、めっき中のCuが、補強部材を形成する際にゴムと補強繊維とを接着する役割を担う。金属コード表面にめっき処理が施されていない場合、ゴムと補強繊維とが剥離しやすくなり、補強繊維に沿って剥離の進展が容易に発生してしまう懸念もある。したがって、本発明においては、補強繊維として金属繊維を用いる場合には、めっきされたものを用いることが必要であり、撚り線コードを原料とする場合も、単線がめっきされていることが必要である。なお、金属コードが銅線からなる場合は、銅線そのものが接着効果を持つため、めっき処理は要しない。また、有機繊維等からなる非金属コードの場合には、常法に従い接着剤のディッピング処理を施したものを用いることで、めっきされた金属コードと同様に、ゴムとの間の接着性を確保することが可能である。
ここで、補強繊維としての金属繊維表面に設けるめっきとしては、特に制限はなく、ブラスやブロンズ、Cu,Znめっきなどでもよい。特に、補強繊維として上記廃棄端材を用いる場合には、これらはすでにめっき処理されているため、さらにめっき処理を行うことなく、ゴムとの良好な接着性が得られるというメリットもある。
なお、上記補強部材に用いるゴムは、従来よりタイヤの補強部材用途等に使用されているゴム種のうちから適宜選択して用いることができ、特に制限されるものではない。また、ゴム−補強繊維複合体層5自体の厚みについては特に制限はなく、目的とする補強性能に応じて、適宜決定することができるが、例えば、3.0mm以下、好適には0.8〜1.5mmとすることができる。
本発明に用いる、補強繊維がランダムに分散されているゴム−補強繊維複合体層は、例えば、以下のようにして製造することができる。
すなわち、まず、所定厚みの未加硫ゴムのシートを作製し、所定の長さに切断した補強繊維の束を、単位時間に所定の量、所定の高さからこのゴムシート上に、全体が均一の密度になるよう落下させる。
この際には、ゴムシートの上方に、ゴムシートの長手方向に平行な一対の壁部を有し、この一対の壁部間の間隔がゴムシートの幅よりも幅狭に形成されているガイド体、または、ゴムシートの長手方向に加えて幅方向にも平行な一対の壁部を有し、上下方向にのみ開口して内部に断面矩形の通路を有するガイド体を設けて、このガイド体の中を通じて、ゴムシート上に補強繊維を落下させることができる。これにより、補強繊維は、ガイド体によりガイドされながらゴムシート上に供給されることになるので、補強繊維のゴムシートの幅方向外側、さらにはゴムシートの長手方向への飛散が効果的に防止され、好ましい。また、一部の補強繊維は、落下中にガイド体に衝突するが、この衝突により補強繊維は跳ね回ってランダムに姿勢が変化し、この結果、補強繊維がゴムシート上に、さらに均一に、かつ、ランダムな配向方向にて散布されることになる。さらに、ゴムシート上の補強繊維をさらに均一に、かつ、ランダムな配向方向とするために、例えば、ガイド体の内側面に、直線状または曲線状に延びる複数の邪魔ロッドや邪魔板等を取付けて、ゴムシート上に落下する途中の補強繊維を邪魔ロッド等に衝突させ、さらに多くの補強繊維を落下途中で跳ね回らせるようにしてもよい。
次に、落下させた補強繊維の上から未加硫ゴムシートを被せることにより、ゴム中に補強繊維が埋設されたゴム−補強繊維複合体層を製造することができる。この際、下方のゴムシートを一方向に所定の速度で移動させることで、上記補強繊維の落下量とこのゴムシートの移動速度との比によって、ゴム−補強繊維複合体層における補強繊維の密度を決定することができる。
ここで、上記所定量の補強繊維を落下させるための方法としては、あらかじめ切断した補強繊維の束をベルトコンベア等により搬送して、ゴムシート上の所定部位に落下させる方法の他、未切断の補強繊維を切断しながら落下させる方法を用いてもよい。後者の場合、補強繊維同士の絡み合いを解す作業や、補強繊維の束を一定時間に一定量にて供給する作業が不要となるので、より効率良く補強部材の製造を行うことが可能となる。
本発明に係るゴム−補強繊維複合体層は、上記のようにして一工程で容易に製造することができるため、製造に多大な工数を要する従来の補強部材と比較して製造が容易であり、消費エネルギーも少なく、製造コスト的にも安価であるというメリットがある。なお、タイヤを成型する際の拡張に対しては、圧延条件の調整により、上記目付け密度等を満足する範囲で作製されたゴム−補強繊維複合体層を用いれば、拡張に追従しうるものとすることができるので、本発明のタイヤは、製造上の問題も有しない。
本発明のタイヤにおいては、上記補強部材を、上記所定の位置に配置した点のみが重要であり、それ以外のタイヤ構造の詳細や各部材の材質などについては特に制限されず、従来公知のもののうちから適宜選択して構成することができる。
例えば、カーカス2は、スチールコードをゴム被覆してなり、少なくとも1枚にて配置することが必要であるが、2枚以上で配置してもよく、通常は図示するように、ビードコア1の周りにタイヤ内側から外側に折り返して係止される。また、傾斜ベルト層は、タイヤ周方向に対し、例えば、15〜55°の角度で傾斜して平行に配列された複数本のスチールコードをゴム被覆してなり、図示する例では2枚であるが、3枚以上としてもよく、2枚以上の場合には、少なくともそのうちの2枚が層間で互いに交錯するよう配置する。
さらに、周方向ベルト層は、タイヤ周方向に対し実質的に平行に延びる複数本のスチールコードをゴム被覆してなり、図示する例では2枚であるが、3枚以上としてもよい。ここで、タイヤ周方向に対し実質的に平行とは、コード角度がタイヤ周方向に対し±5°以内の範囲であることを意味する。周方向ベルト層は、通常、1本以上のコードをゴム被覆してなる狭幅のストリップをタイヤ周方向に螺旋巻回することにより形成することができる。周方向ベルト層を構成するスチールコードは、タイヤ周方向に沿って直線状に延びるものであってもよく、また、波状またはジグザグ状に型付けされているものであってもよい。
なお、本発明において、ゴム−補強繊維複合体層5、周方向ベルト層3a,3bおよび傾斜ベルト層4a,4bの各補強層の配設幅としては、(傾斜ベルト層の配設幅)>(ゴム−補強繊維複合体層の配設幅)≧(周方向ベルト層の配設幅)とすることが好ましい。特に、傾斜ベルト層のうち少なくとも1枚、図示する例ではタイヤ半径方向内側に配置する傾斜ベルト層4aについては、最も広幅にすることが好ましいが、他の傾斜ベルト層4bについては、周方向ベルト層3a,3bより狭幅であってもよい。各補強層をこのような配設幅で配置することで、タイヤ幅方向において周方向ベルト層の存在しない領域(ショルダー部)におけるプランジャー性能を確保することができる。
さらにまた、図示するタイヤにおいて、トレッド部13の表面には適宜トレッドパターンが形成されており、最内層にはインナーライナー(図示せず)が形成されている。また、タイヤ内に充填する気体としては、通常のまたは酸素分圧を変えた空気、もしくは窒素等の不活性ガスを用いることができる。本発明のタイヤは、特に、トラック、バス等の重荷重用車両に適用される重荷重用空気入りタイヤとして好適であり、特には、本発明は、偏平率が70%以下であるような、いわゆる超偏平タイヤに適用した際に有用である。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
タイヤサイズ445/50R22.5にて、カーカスと周方向ベルト層との間に、下記表中に示す条件に従いゴム−補強繊維複合体層が配設された、各実施例および比較例の重荷重用空気入りタイヤを作製した。このゴム−補強繊維複合体層は、常法に従いめっき処理を施したスチールフィラメントをゴム層内にランダムに埋設してなり、厚みは1mmであった。また、各実施例において、ゴム−補強繊維複合体層をトレッド部の外表面側から見たとき、補強繊維同士は厚み方向に重なる箇所を有していた。
カーカスプライ(コード材質:スチールコード)は1枚とした。また、周方向ベルト層(コード材質:波状型付けスチールコード)は2枚とした。さらに、傾斜ベルト層(コード材質:スチールコード)は2枚とし、タイヤ周方向に対し±51°にて交錯配置した。
また、従来例1として、ゴム−補強繊維複合体層を配置しない以外は実施例1と同様のタイヤを作製した。
得られた各供試タイヤにつき、下記に従い評価を行った。その結果を、下記の表中に併せて示す。
<プランジャーエネルギー>
各供試タイヤをリムに組み付け、正規内圧を充填して、JIS D4230に準拠してプランジャーエネルギー試験を行った。結果は、実施例1の供試タイヤのプランジャーエネルギーを100として指数表示した。数値が大なるほど、結果は良好である。
<コードのフレッティング破断性>
各供試タイヤにつき、ゴム−補強繊維複合体層におけるスチールフィラメントのフレッティング破断性を評価した。結果は、実施例1の供試タイヤを100として指数表示した。数値が大なるほど、結果は良好である。また、破断の有無についても確認した。
Figure 2013159272
Figure 2013159272
上記表中に示すように、各実施例の供試タイヤにおいては、廃材利用可能なゴム−補強繊維複合体層をクラウン部の補強に適用することで、プランジャー性能を確保しつつコストの低減を図れることが確かめられた。
1 ビードコア
2 カーカス
3a,3b 傾斜ベルト層
4a,4b 周方向ベルト層
5 ゴム−補強繊維複合体層
10 重荷重用空気入りタイヤ
11 ビード部
12 サイドウォール部
13 トレッド部
21 補強繊維
22 ゴム層

Claims (6)

  1. 左右一対のビード部およびサイドウォール部と、両サイドウォール部間に連なるトレッド部とを有し、該一対のビード部間に跨ってトロイド状に延在する少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ半径方向外側に順次配置された少なくとも1枚の周方向ベルト層および少なくとも1枚の傾斜ベルト層と、を備える空気入りタイヤにおいて、
    前記カーカスと前記周方向ベルト層との間に、補強繊維をゴム層内にランダムに埋設してなるゴム−補強繊維複合体層が配設され、かつ、該ゴム−補強繊維複合体層を前記トレッド部の外表面側から見たとき、該補強繊維同士が厚み方向に重なる箇所を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ゴム−補強繊維複合体層の目付け密度が、300g/mより大きく2000g/m以下である請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ゴム−補強繊維複合体層の目付け密度が、1000g/mより大きく2000g/m以下である請求項2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記補強繊維の長さが、10mm〜200mmの範囲内である請求項1〜3のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記補強繊維の径が、0.07mm〜0.60mmの範囲内である請求項1〜4のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記補強繊維が無機繊維である請求項1〜5のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
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