JP2013156611A - 退避光学要素を備えたレンズ鏡筒の退避装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】直進部材に、撮影位置と退避位置との間を回動移動する退避要素を支持し、直進部材が撮影位置から収納位置に移動するとき、撮影位置で退避要素の後方に位置する光軸上要素の側部に退避要素を退避させるレンズ鏡筒において、退避要素を確実に退避安定位置に移動させる。
【解決手段】退避光学要素の支持枠は、直進部材上のストッパに当接して光軸上の撮影位置を規定する径方向に突出するストッパ腕を備え、退避要素の支持枠は干渉防止面を有し、光軸上要素の支持枠は、退避要素が退避位置に回動移動する間、この干渉防止面に当接する干渉防止突起を有し、干渉防止突起には、退避要素が撮影位置から退避位置に回動して干渉防止面との係合が外れた後直進部材が後退するとき、退避要素のストッパ腕に係合して退避要素を光軸から離れた位置に徐々に移動させて退避安定位置に保持する傾斜案内面が備えられている。
【選択図】図12

Description

本発明は、光軸外へ退避する退避光学要素を有するレンズ鏡筒に関し、特にその退避装置に関する。
本出願人は、ズームレンズ系の一部の光学要素を収納時に他の光学要素の共通光軸から退避させ、かつ撮影状態より後方に移動させることで、収納長を短縮したズームレンズ鏡筒を開発した(特許文献1)。
具体的には、このズームレンズ鏡筒では、光軸方向に直進案内された直進進退部材に、光軸と平行な枢軸を中心に光軸上の撮影位置と光軸から退避した退避位置との間を回動移動可能にして退避光学要素(例えばレンズ群)を支持し、この直進進退部材を光軸方向の収納位置とズーム撮影位置との間で直進移動させる一方、この直進進退部材が収納位置とズーム撮影位置の間で移動するとき、上記退避レンズ群を退避位置と撮影位置との間で移動させている。
特開2010-262107号公報
この退避装置では、直進進退部材の進退動作中にその進退動作力で、退避光学要素の退避動作を行わせており、退避光学要素と他の光学要素(例えばレンズ群)との干渉を防止する何らかの干渉防止構造が用いられている。
本発明は、直進進退部材の進退動作中にその進退動作力で、退避光学要素の退避動作を行わせるレンズ鏡筒の退避装置において、退避光学要素と他の光軸上光学要素との干渉をより確実に、しかも簡易な省スペースな構造で防止するとともに、退避光学要素を確実に退避位置に退避させることができる退避光学要素の退避装置を得ることを目的とする。
本発明は、光軸方向の撮影位置と収納位置との間を進退する直進進退部材と、上記直進進退部材に、光軸外の軸を中心に光軸上の撮影位置と光軸外の退避位置との間を回動移動可能に支持された退避光学要素と、常時光軸上に位置し前方に移動付勢された光軸上光学要素と、上記直進進退部材が上記撮影位置にあるときには上記光軸上光学要素の前方に上記退避光学要素を位置させ、上記直進進退部材が上記撮影位置から収納位置に移動するときに、該直進進退部材の移動力で上記退避光学要素を上記退避位置に回動させる退避機構と、上記退避光学要素が撮影位置から退避位置に移動するときに互いに接触して上記退避光学要素と光軸上光学要素との干渉を防ぐ、上記光軸上光学要素の支持枠と退避光学要素の支持枠の間に設けた干渉防止手段と、を有する退避光学要素を備えたレンズ鏡筒において、退避光学要素の支持枠に、上記直進進退部材上のストッパに当接して光軸上の撮影位置を規定する径方向に突出するストッパ腕を設け、干渉防止手段は、上記退避光学要素の支持枠に設けた干渉防止面と、上記退避光学要素が撮影位置から退避位置に回動移動する間、この干渉防止面に当接する、上記光軸上光学要素の支持枠に設けられた干渉防止突起とにより構成し、この干渉防止突起に、退避光学要素が撮影位置から退避位置に回動して該干渉防止突起と干渉防止面との係合が外れた後、さらに上記直進進退部材の収納位置方向への移動によって上記退避光学要素が光軸上光学要素に対して接近移動するとき、上記ストッパ腕に係合して上記退避光学要素を光軸から離れた位置に徐々に移動させて退避安定位置に保持する傾斜案内面を備えたことを特徴としている。
上記退避機構は、具体的な一態様では、上記直進進退部材に、上記退避光学要素の軸とは別の軸を中心に回動可能に支持され、その回動によって上記退避光学要素を上記撮影位置から退避位置に移動させる駆動レバーを含んでいる。この態様では、上記駆動レバーと光軸上光学要素の支持枠の間に、上記直進進退部材が撮影位置から収納位置へ移動するときに互いに接触して上記退避光学要素と光軸上光学要素との干渉を防ぐ別の干渉防止手段を設けることができる。
本発明の一態様では、直進進退部材には、光軸直交面内で駆動される防振ベースが備えられ、この防振ベースに上記退避光学要素の光軸外の軸が設けられている。
本発明は、直進進退部材に、撮影位置と光軸外の退避位置との間を回動移動する退避光学要素を支持し、直進進退部材が光軸上の撮影位置から収納位置に移動するとき、撮影位置で退避光学要素の後方に位置する光軸上光学要素の側部に退避光学要素を退避させるレンズ鏡筒において、退避光学要素の支持枠に、直進部材上のストッパに当接して光軸上の撮影位置を規定する径方向に突出するストッパ腕を設け、退避光学要素の支持枠には干渉防止面を設け、光軸上光学要素の支持枠には、退避要素が退避位置に回動移動する間、この干渉防止面に当接する干渉防止突起を設けた上で、干渉防止突起には、退避光学要素が撮影位置から退避位置に回動して干渉防止面との係合が外れた後直進進退部材が後退するとき、退避光学要素のストッパ腕に係合して退避光学要素を光軸から離れた位置に徐々に移動させて退避安定位置に保持する傾斜案内面を設けたので、退避光学要素のストッパ腕と干渉防止突起を利用した簡易な構造で、確実に退避光学要素を光軸上光学要素の側部の退避安定位置に移動させることができる。
本発明を適用したズームレンズ鏡筒の収納(沈胴)状態の縦断面図である。 同ズームレンズ鏡筒のワイド端撮影状態の上半縦断面図である。 同ズームレンズ鏡筒のテレ端撮影状態の上半縦断面図である。 同ズームレンズ鏡筒の分解斜視図である。 (A)と(B)は、3群支持環(直進進退部材)に支持されている3群枠(退避レンズ群支持枠、退避レンズ群)の退避状態を示す背面図と斜視図である。 (A)と(B)は、同じく直進進退部材に支持されている3群枠(退避レンズ群支持枠、退避レンズ群)の収納状態と撮影状態を示す背面斜視図である。 (A)と(B)は、直進進退部材を構成する3群支持環と防振ベースを分解状態で示す、3群支持環側(固定側)と防振ベース側(可動側)の斜視図である。 (A)と(B)は、収納時と撮影時の防振ベースと、該防振ベース上の退避レンズ群の退避位置と撮影位置を示す防振ベースの背面図である。 (A)と(B)は、退避レンズ群、4群枠(第4レンズ)及び駆動レバーを分解状態で示す、像面側から見た斜視図と被写体側から見た斜視図である。 (A)と(B)は、直進進退部材を構成する3群支持環と防振ベースとの間に構成された防振機構部の異なる断面位置での断面図である。 フォーカスレンズ群の駆動機構を示す断面図である。 本発明による退避光学要素の退避装置の異なる動作フェーズを示す正面図である。 本発明による退避光学要素の退避装置の異なる動作フェーズを示す、図12の一部の部品の正面図である。 本発明による退避光学要素の退避装置の異なる動作フェーズを示す、図12の一部の部品の正面図である。 本発明による退避光学要素の退避装置の異なる動作フェーズを示す、図12の一部の部品の正面図である。 駆動レバーによる退避レンズ群支持枠の退避動作の誤差を示す拡大正面図である。 4群枠(光軸上光学要素支持枠)単体の側面図である。
最初に主に図1ないし図4により、本発明を適用したズームレンズ鏡筒10の主たる構成要素を説明する。図1は収納状態の縦断面図、図2はワイド端における上半縦断面図、図3はテレ端における上半縦断面図、図4は分解斜視図である。図2、図3に示すように、撮影時におけるズームレンズ鏡筒10の撮影光学系は、物体側から順に第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、シャッタ34(絞)、第3レンズ群(退避光学要素)L3、第4レンズ群L4、赤外線カットフィルタ11及びCMOSセンサ(固体撮像素子)12からなっている。この撮影光学系の光軸をZ1で示す。ズーミングは、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3を撮影光軸Z1方向に所定の軌跡で進退させることによって行い、フォーカシングは同方向への第4レンズ群L4の移動で行う。なお、以下の説明中で「光軸方向」は、撮影光軸Z1と平行な方向を含み、「直進案内」は光軸方向の直進案内を意味する。また「前」、「後」は、被写体側、撮像面側をそれぞれ意味し、上下左右はズームレンズ鏡筒10がカメラ本体に装着された状態でのそれらを意味する。
ズームレンズ鏡筒10は図示しないカメラボディ内に搭載されており、該カメラボディに対して固定される固定環13と、この固定環13の後部に固定される撮像素子ホルダ14を備えている。撮像素子ホルダ14の中央部にはCMOSセンサ12が固定され、CMOSセンサ12の前部に赤外線カットフィルタ11が保持されている。
固定環13内には、第4レンズ群L4を保持する4群枠(AFレンズ枠、光軸上光学要素支持枠)17が光軸方向に直進移動可能に支持されている。4群枠17は、固定環13と撮像素子ホルダ14の間に撮影光軸Z1と平行に固定した一対のAFガイド軸18にガイドされており、このAFガイド軸18に対してそれぞれ、4群枠17に形成したガイド孔(ガイド溝)が摺動可能に嵌まっている。
4群枠17は、AFモータ19の駆動力によって光軸方向へ進退される。AFモータ19のドライブシャフトに形成した送りねじ19aに対し、AFナット20が螺合している。4群枠17は、AFナット20に対して光軸方向へ摺動可能に係合し、かつAF枠付勢ばね21によって前方へ付勢されており、この付勢力でAFナット20に当て付くことによって4群枠17の前方移動端が決定される。そして、AFナット20が光軸方向後方へ移動したときに、4群枠17はAFナット20に押圧されて後方へ移動される(図11参照)。以上の構造により、AFモータ19のドライブシャフト(送りねじ19a)を正逆に回転させると、4群枠17が光軸方向に進退される。また、4群枠17に光軸方向後方への力が加わったときには、送りねじ19aとは無関係に該4群枠17は後退できる。
固定環13には、撮影光軸Z1と軸線を平行にしたズームギヤ(長尺ピニオン)22が回転可能に支持されている。ズームギヤ22は、固定環13の内周面側に露出するように位置されており、ズームモータ23及びギヤ列24によって正逆に回転される。
固定環13の内周面には、雌ヘリコイド13aと、光軸と平行な直進案内溝13bが形成されている。この固定環13の雌ヘリコイド13aにはヘリコイド環(第1進退筒)25の雄ヘリコイド25aが螺合されており、直進案内溝13bには、ヘリコイド環25の内周に位置する直進案内環26の径方向突起26aが係合している。このヘリコイド環25と直進案内環26は、相対回転は自在に光軸方向には一緒に移動するように結合されている。すなわち、直進案内環26の外周面に形成した案内突起26bは、ヘリコイド環25の内周面に形成した周方向案内溝25b(図4)に係合している。
ヘリコイド環25の外周一部には、上述のズームギヤ22と噛み合うギヤが形成されていて、このヘリコイド環25の内周面には、光軸と平行な回転伝達溝25c(図4)が形成されている。直進案内環26の内周に嵌めたカム環27には径方向に突出するフォロア27aが設けられており、このフォロア27aは、直進案内環26のカム溝26cを貫通した後、ヘリコイド環25の回転伝達溝25cに嵌まっている。つまり、ズームギヤ22を介してヘリコイド環25が回転すると、フォロア27aを介してカム環27に回転が伝達される。カム環27の光軸方向の位置は、直進案内環26の光軸方向の位置及びカム溝26cの形状によって定まる。
カム環27にはその外周面に、第1レンズ群L1を支持した1群枠28とバリア29を支持したバリア支持筒(第3進退筒)30の移動軌跡を定める外面カム溝27b1と27b2が形成され、内周面に、第2レンズ群L2を支持した2群枠31の移動軌跡を定める内面カム溝27cが形成されている。
他方、カム環27の外周には、直進案内環26によって直進案内された第2進退筒32が位置している。この第2進退筒32とカム環27は、相対回転は自在で光軸方向には一緒に移動するように結合されている。また、1群枠28、バリア支持筒30及び2群枠31は、直接または間接に第2進退筒32に直進案内されており、カム環27の回転によって、1群枠28、バリア支持筒30及び2群枠31が光軸方向に進退する。
また、カム環27の内周には、第3レンズ群L3を支持した3群支持環33が位置している。この3群支持環33は、カム環27に相対回転は自在に光軸方向には一緒に移動するように結合され、かつ、2群枠31に直進案内されている直進進退部材である。
3群支持環33の前方には、シャッタ34とばね受け環状板35が固定されており、ばね受け環状板35の前方には、一対の群間ばね(圧縮コイルばね)36と37に挟まれた軸方向移動絞りリング38が位置している。軸方向移動絞りリング38は、3群支持環33に直進案内されており、前方の群間ばね36の前端部は2群枠31に支持(当接)している。
3群支持環33には、その前方に前述のシャッタ34が固定されており、後方(後面)には、カメラに加わる手ブレを相殺する方向に光軸直交面内で駆動される防振ベース40が支持されている。第3レンズ群L3を支持した3群枠42は、この防振ベース40上の光軸と平行な軸41を中心に揺動可能に支持されている。3群支持環33の後面には、該3群支持環33との間に防振ベース40を支持する防振カバー43が支持されており、この防振カバー43に軸45で3群枠42を駆動する駆動レバー44が枢着されている。3群支持環33がカム環27の回転によって光軸方向の収納位置に移動すると、撮像素子ホルダ14から前方に突出形成したカムバー14a(図4、カム機構)がこの駆動レバー44を押して図4において反時計方向(被写体側から見て反時計方向)に回動し、光軸上の撮影位置に突出するように付勢されている3群枠42を、撮影位置から光軸外の退避位置に軸41を中心に回転移動させる。すなわち、3群枠42は、図2、図3の撮影状態ではその第3レンズ群L3を光軸上に保持し、図1の収納状態では光軸から脱した収納位置に移動される。
以上の3群支持環33(直進進退部材)上の防振ベース40、3群枠(退避レンズ群支持枠)42、防振カバー(直進進退部材)43及び駆動レバー44回りの詳細な構成を図5ないし図11について説明する。上述のように、防振ベース40は、直進移動する3群支持環33上において、光軸直交面内で可動である。この防振ベース40の3群支持環33に対する可動性は、図10(B)及び図7に示すように、3群支持環33の光軸直交支持面33aに形成した3個のボール支持凹部33bと防振ベース40の光軸直交対向面40aとの間に、ボール46を挿入し、かつ引張ばね47により、光軸直交支持面33aと光軸直交対向面40aが互いに接近する方向に3群支持環33と防振ベース40を付勢して確保されている。
また、3群支持環33と防振ベース40との間には、図10(A)及び図7に示すように、防振ベース40を光軸直交面内で防振駆動するための電磁駆動アクチュエータ50が設けられている。この電磁駆動アクチュエータ50は、3群支持環33上に固定された一対のコイル51と、このコイル51に対向させて防振ベース40上に固定した一対の永久磁石52とからなるもので、カメラに加わる手ブレの大きさに応じて一対のコイル51に対する通電方向と電流を変化させることにより、防振ベース40(第3レンズ群L3)を光軸直交面内で移動させ、像ブレを低減させることができる。また、防振ベース40(第3レンズ群L3)の光軸直交面内の位置は、防振ベース40上の永久磁石52と、この永久磁石52に対向させて防振カバー43上に固定した位置センサ53(図10(A)及び図8参照)とによって検出される。このような原理の防振機構は公知であり、実機に搭載されている。
3群支持環33と防振ベース40の間には、防振動作時の3群支持環33に対する防振ベース40の移動範囲を制限し、かつ3群支持環33を光軸方向の収納位置に移動させるとき、防振ベース40を3群支持環33に対する特定の移動端(この実施形態では、防振ベース40の3群支持環33に対する下降端)に位置させる移動範囲制限構造が設けられている。この移動範囲制限構造は、図7及び図8に示すように、3群支持環33上に、光軸と平行な方向に突出する左右一対の移動範囲制限ピン55を設ける一方、防振ベース40には、この移動範囲制限ピン55を受け入れる一対の移動範囲制限枠56を形成して構成されている。移動範囲制限枠56は、上下左右方向に対してそれぞれ45゜をなす4辺を有する正方形状をなしており、3群支持環33の収納位置では、移動範囲制限ピン55が移動範囲制限枠56の上端に位置して防振ベース40の下降端を規制する(図8(A))。
上述のように、3群支持環33が光軸方向の収納位置に移動すると、撮像素子ホルダ14から前方に突出形成したカムバー14a(図4)が、防振カバー43(光軸方向進退部材)上に軸45で枢着されている駆動レバー44を押して、図4において反時計方向(被写体側から見て反時計方向)に回動させる。防振カバー43は3群支持環33上に固定されている部材(光軸方向進退部材)である。この駆動レバー44の回動運動は、防振ベース40上の軸41に枢着され、光軸上の撮影位置に突出するように付勢されている3群枠42に伝達され、3群枠42が撮影位置から光軸外の退避位置に回転移動する。すなわち、カムバー14a及び駆動レバー44は、3群支持環33の光軸方向後方への移動力で3群枠42を光軸上の撮影位置から光軸外の退避位置に移動させる退避機構を構成する。この駆動レバー44と3群枠42の詳細を図16、図9及び図5によって説明する。
駆動レバー44には、撮像素子ホルダ14のカムバー14aと係合する被押圧爪44a(図8、図9、図16)が形成されており、3群支持環33が収納位置に移動して、この被押圧爪44aの被押圧面44bがカムバー14a先端部のカム面14b(図5)によって押されると、駆動レバー44が退避方向に回動する。この退避回動方向は、図4、図16では反時計方向(被写体側から見て反時計方向)である。駆動レバー44(被押圧爪44a、被押圧面44b)、カムバー14a、カム面14bは、カム機構を構成する。駆動レバー44には、3群枠42に回動運動を伝達する回動伝達傘44cが形成されており、3群枠42には、この回動伝達傘44cによって押圧される被動ピン42aが突出形成されている。3群枠42の回動伝達傘44cと被動ピン42aは、駆動レバー44の退避方向への回動を3群枠42に伝達するが、その逆の回動は伝達しない。駆動レバー44が退避方向に回動すると、回動伝達傘44cが被動ピン42aを押して3群枠42を軸41を中心に退避方向(下方)に回動させる。3群枠42は防振ベース40上に軸41で支持されているため、3群枠42が退避位置に移動するときには、防振ベース40にも下降力が加わり、防振ベース40はその移動範囲制限枠56の上端に3群支持環33上の移動範囲制限ピン55が当接する下降端に達して固定状態となる。図6と図8の(A)は、この3群枠42(防振ベース40)の退避位置を示し、同(B)は撮影位置を示している。一方、3群支持環33が光軸方向の撮影位置に移動すると、駆動レバー44の被押圧面44bと撮像素子ホルダ14のカムバー14a(カム面14b)との係合が解かれ、3群枠42(第3レンズ群L3)は、軸41回りに設けたトーションばね41a(図4、図7、図8)(付勢手段)によって軸41を中心に光軸上の撮影位置に回動し、光軸Z1上に移動する。
3群枠42は、先端部が回動軸41に支持されるアーム42cとは別に、同アーム42cとは略反対方向に向けて突出するストッパ腕42bが形成されており、このストッパ腕42bは、防振ベース40上のストッパピン40c(図8)に当接して該3群枠42の撮影位置への回動端を規定する。
以上のズームレンズ鏡筒では、3群枠42(第3レンズ群L3、退避光学要素)は、駆動レバー44の退避方向への回動を受けて退避位置に回動するため、3群枠42の退避移動量にばらつきが生じやすい。図16は、その事情を説明するもので、撮像素子ホルダ14のカムバー14a(カム面14b)によって軸45を中心に回動運動する駆動レバー44の被押圧爪44aの周方向移動量をcとすると、この被押圧爪44aより軸45からの距離が遠い回動伝達傘44cの周方向移動量dは、cより大きく(d>c)、この回動伝達傘44cの運動を被動ピン42aを介して受ける3群枠42のストッパ腕42bの軸41を中心とする周方向移動量eは、dより大きい(e>d)。このため、各部品(撮像素子ホルダ14、駆動レバー44、3群枠42)の累積誤差により、3群枠42の退避移動量にばらつきが生じやすい。加えて、この実施形態では、3群枠42は撮影位置と収納位置で(上下に)移動する防振ベース40に支持されているため、3群枠42の退避制御の困難性が増す。
本実施形態の退避光学要素の退避装置は、以上のズームレンズ鏡筒において、3群支持環33が光軸上の撮影位置(図2、図3)から収納位置(図1)に移動する際に、光軸上の撮影位置と光軸外の退避位置との間を移動する第3レンズ群L3(退避光学要素)と、常時光軸上に位置する第4レンズ群L4(光軸上光学要素)との干渉を防止するものであり、同4群枠17と第3レンズ群(退避レンズ群、退避光学要素)L3を有する3群枠(退避光学要素支持枠)42との間に設けられている。
駆動レバー44の軸45は3群支持環33上にあり、3群枠42の軸41は、3群支持環33に対して光軸直交平面内で可動な防振ベース40上にある。そして、駆動レバー44は、3群枠42の後方に位置している。
図9に示すように、駆動レバー44には4群枠17側に向かって突出する干渉防止ピン(突起、間隔保持突起)44Xが形成されており、4群枠17には、第4レンズ群L4の周囲に位置させて該レンズL4より光軸方向に突出する環状端面17Xが形成されている。干渉防止ピン44Xは、3群枠42が退避動作を開始する前に、4群枠17のこの環状端面17Xの一部に一段高くして形成した干渉防止面17Yと係合して、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の干渉を防ぐ。つまり、干渉防止ピン44Xと干渉防止面17Yの高さは、合計して第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の干渉を防ぐように定められている。
また、図9及び図5に示すように、4群枠17上には、3群枠42側に向かって突出する干渉防止台(突起、間隔保持突起)17Zが形成されており、3群枠42には、4群枠17と対向する側に、第3レンズ群L3の周囲に該レンズL3より光軸方向に突出させた干渉防止環状面(干渉防止面、環状端面)42Xが形成されている。この干渉防止台17Zは光軸直交面であり、3群枠42が退避動作を開始した後に、3群枠42のこの干渉防止環状面42Xと係合して、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の干渉を防ぐ。干渉防止台17Zは、軸41を中心として3群枠42が運動するとき、干渉防止環状面42Xとの係合関係を長く維持するため、上下方向の縦長に形成されている。また、その上下端部には面取り17Zfが施されている。
この干渉防止台17Zの下面には、3群枠42が退避位置に回動した後3群支持環33がさらに光軸方向後方の収納位置に向かって移動するとき、該3群枠42のストッパ腕42bと係合して3群枠42を第4レンズ群L4側部の退避安定位置(3群枠42と4群枠17の機械的係合で第4レンズ群L4を退避位置に保持する位置)に移動させる傾斜案内面17Zt(図5、図9(B)及び図17)が形成されている。図17は、この干渉防止台17Zを側面から見た形状を示しており、傾斜案内面17Ztは、前方から後方に向けて光軸Z1からの距離を増加させる斜面からなっている。
図12ないし図15は、駆動レバー44の撮影位置から退避位置への回動動作に伴う3群枠42及び4群枠17の退避動作、及びこの退避動作中の干渉防止ピン44X、干渉防止面17Y、干渉防止台17Z及び干渉防止環状面42Xによる第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の干渉防止作用を示したものである。具体的には、図12は駆動レバー44、3群枠42(第3レンズ群L3)及び4群枠17(第4レンズ群L4)の全要素を描き、図13は駆動レバー44と3群枠42を描き、図14は駆動レバー44と4群枠17を描き、図15は3群枠42と4群枠17を描いたものであるが、これらの図中の動作フェーズ(1)から(6)は、図12ないし図15で共通である。
動作フェーズ(1)では、3群支持環33が光軸方向の撮影位置から収納位置へ移動するのに伴って、駆動レバー44の干渉防止ピン44Xが4群枠17の干渉防止面17Yとの当接を開始する(特に図14参照)。この干渉防止ピン44Xと干渉防止面17Yとの当接によって、3群支持環33が後退しても3群枠42(第3レンズ群L3)と4群枠17(第4レンズ群L4)の距離が保たれ、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の干渉が防がれる。4群枠17は、図11に示すように、後方に押されたとき、AF枠付勢ばね21を撓ませて後退が可能である。
動作フェーズ(2)では、3群支持環33の収納位置への移動に伴って、駆動レバー44がカムバー14aにより押される結果、軸45を中心に退避方向への回動(図12ないし図15の反時計方向回動)を開始する。すると、駆動レバー44の回動伝達傘44cと3群枠42の被動ピン42aが当接して、3群枠42に退避方向への力が加わる。すると、3群枠42が回動運動する前に、まず3群枠42の軸41を有する防振ベース40が下降する。この防振ベース40の下降端は、防振ベース40の移動範囲制限枠56が3群支持環33の移動範囲制限ピン55に当接して規制される(図8(A)参照)。
動作フェーズ(3)では、駆動レバー44の回動が3群枠42に伝達され、3群枠42が退避回動動作を開始する(図13)。以上の動作フェーズ(1)から(3)の間、駆動レバー44上の干渉防止ピン44Xは4群枠17の干渉防止面17Yとの当接を維持し、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の干渉を防止する(図14)。
動作フェーズ(4)では、駆動レバー44の干渉防止ピン44Xと4群枠17の干渉防止面17Yとの係合が外れる(図14)。一方、この動作フェーズ(4)に至る迄には、4群枠17の干渉防止台17Zと3群枠42の干渉防止環状面42Xとが当接を開始し(図15)、干渉防止ピン44Xと干渉防止面17Yとの係合に代わり、干渉防止環状面42Xと干渉防止台17Zとの係合によって、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の干渉が防止される。干渉防止台17Zと3群枠42の干渉防止環状面42Xとが係合を開始するとき、干渉防止台17Zの上側の面取り17Zfが両者を円滑に係合させる。
動作フェーズ(5)では、駆動レバー44による3群枠42の退避位置への回動動作が継続し、3群支持環33が後方収納位置への移動を続ける結果、3群枠42(第3レンズ群L3)が4群枠17(第4レンズ群L4)の下方にもぐり込む。このときには、干渉防止台17Zの下側の面取り17Zfが3群枠42のストッパ腕42bを円滑に4群枠17の下方に案内する。そして、3群枠42が退避位置に回動した後3群支持環33がさらに光軸方向後方の収納位置に向かって移動すると、干渉防止台17Zの下面の傾斜案内面17Ztは、該3群枠42のストッパ腕42bと係合して3群枠42(第3レンズ群L3)を徐々に光軸Z1から離間させる方向に移動させる。すなわち、干渉防止台17Zは、その光軸直交面により、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の干渉を防ぐだけでなく、その下面の傾斜案内面17Ztにより、第3レンズ群L3を第4レンズ群L3の側部の退避安定位置に移動させる役目を持っている。
動作フェーズ(6)は、3群支持環33の光軸方向後方の収納位置への移動が終了し、3群枠42(第3レンズ群L3)の退避動作が完了した状態を描いている。この状態では、第4レンズ群L4の下方に完全に第3レンズ群L3が入り込んで退避安定位置に位置している(図1、図12)。
以上のように、本実施形態では、動作フェーズ(1)から(3)では、直進運動する3群支持環33上で回動運動しない(あるいは回動運動初期の)駆動レバー44と4群枠17によって第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の干渉が防がれ、動作フェーズ(4)から(6)では、駆動レバー44の回動運動を受けて回動運動する3群枠42と4群枠17とによって第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の干渉が防がれる。そして、3群枠42が退避位置に回動した後、3群支持環33がさらに後退すると、干渉防止台17Zの下面の傾斜案内面17Ztと3群枠42のストッパ腕42bとにより、3群枠42(第3レンズ群L3)が徐々に光軸Z1から離間する方向に移動し、第4レンズ群L4側部の退避安定位置に移動する。このため、駆動レバー44、3群枠42あるいは防振ベース40の寸法誤差、組立誤差があっても、確実に第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の干渉(衝突)を防いでその損傷を防止しながら、第3レンズ群L3を確実に第4レンズ群L4の側部の退避安定位置に移動させ保持することができる。
以上は、3群支持環33が光軸上の撮影位置から収納位置に移動するときの動作であるが、3群支持環33が以上とは逆に収納位置から撮影位置に移動するときには、以上と逆の動作が生じる。
以上の実施形態では、駆動レバー44に干渉防止ピン(突起、間隔保持突起)44Xを設け、4群枠17に干渉防止面17Yを設けたが、この関係を逆にし、4群枠17に干渉防止ピン(突起、間隔保持突起)を設け、駆動レバー44に干渉防止面を設けてもよい。
以上の実施形態は、3群枠42(第3レンズ群L3)が防振ベース40上に支持されている実施形態に本発明を適用したものであるが、防振機構を備えないレンズ鏡筒、つまり、3群枠42の軸41を3群支持環33上に設ける態様にも本発明は適用可能である。
Z1 撮影光軸
L3 第3レンズ群(退避光学要素)
L4 第4レンズ群(光軸上光学要素)
10 ズームレンズ鏡筒
14 撮像素子ホルダ(固定部材)
14a カムバー(カム機構)
14b カム面(カム機構)
17 4群枠(光軸上光学要素支持枠)
17X 環状端面
17Y 干渉防止面
17Z 干渉防止台(突起、間隔保持突起)
17Zf 面取り
17Zt 傾斜案内面
33 3群支持環(直進進退部材)
40 防振ベース
41 3群枠の軸
42 3群枠(退避レンズ群支持枠、退避光学要素支持枠)
42a 被動ピン
42b ストッパ腕
42X 干渉防止環状面(干渉防止面、環状端面)
43 防振カバー(直進進退部材)
44 駆動レバー
44a 被押圧爪(カム機構)
44b 被押圧面(カム機構)
44c 回動伝達傘
44X 干渉防止ピン(突起、間隔保持突起)
45 駆動レバーの軸
50 電磁駆動アクチュエータ

Claims (3)

  1. 光軸方向の撮影位置と収納位置との間を進退する直進進退部材と、
    上記直進進退部材に、光軸外の軸を中心に光軸上の撮影位置と光軸外の退避位置との間を回動移動可能に支持された退避光学要素と、
    常時光軸上に位置し前方に移動付勢された光軸上光学要素と、
    上記直進進退部材が上記撮影位置にあるときには上記光軸上光学要素の前方に上記退避光学要素を位置させ、上記直進進退部材が上記撮影位置から収納位置に移動するときに、該直進進退部材の移動力で上記退避光学要素を上記退避位置に回動させる退避機構と、
    上記退避光学要素が撮影位置から退避位置に移動するときに互いに接触して上記退避光学要素と光軸上光学要素との干渉を防ぐ、上記光軸上光学要素の支持枠と退避光学要素の支持枠の間に設けた干渉防止手段と、
    を有する退避光学要素を備えたレンズ鏡筒において、
    上記退避光学要素の支持枠は、上記直進進退部材上のストッパに当接して光軸上の撮影位置を規定する径方向に突出するストッパ腕を備えていること、
    上記干渉防止手段は、上記退避光学要素の支持枠に設けた干渉防止面と、上記退避光学要素が撮影位置から退避位置に回動移動する間、この干渉防止面に当接する、上記光軸上光学要素の支持枠に設けられた干渉防止突起を有すること、及び
    この干渉防止突起には、上記退避光学要素が撮影位置から退避位置に回動して該干渉防止突起と干渉防止面との係合が外れた後、さらに上記直進進退部材の収納位置方向への移動によって上記退避光学要素が光軸上光学要素に対して接近移動するとき、上記ストッパ腕に係合して上記退避光学要素を光軸から離れた位置に徐々に移動させて退避安定位置に保持する傾斜案内面が備えられていること、
    を特徴とする退避光学要素を備えたレンズ鏡筒の退避装置。
  2. 請求項1記載の退避光学要素を備えたレンズ鏡筒の退避装置において、上記退避機構は、
    上記直進進退部材に、上記退避光学要素の軸とは別の軸を中心に回動可能に支持され、その回動によって上記退避光学要素を上記撮影位置から退避位置に移動させる駆動レバーを含み、
    上記駆動レバーと光軸上光学要素の支持枠の間に、上記直進進退部材が撮影位置から収納位置へ移動するときに互いに接触して上記退避光学要素と光軸上光学要素との干渉を防ぐ別の干渉防止手段が設けられている退避光学要素を備えたレンズ鏡筒の退避装置。
  3. 請求項1または2記載の退避光学要素を備えたレンズ鏡筒の退避装置において、直進進退部材には、光軸直交面内で駆動される防振ベースが備えられ、この防振ベースに上記退避光学要素の光軸外の軸が設けられている退避光学要素を備えたレンズ鏡筒の退避装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101843240B1 (ko) * 2016-01-04 2018-03-28 삼성전기주식회사 외장형 렌즈 모듈

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