JP2013155662A - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents

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大吾 安藤
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Abstract

【課題】点火時期の無駄な遅角を減らす。
【解決手段】エンジンの負荷が安定している定常状態において、点火時期は、エンジンの運転状態に応じて設定される基本点火時期を基準に、ノックが発生したか否かに応じて制御される。点火時期は学習値として記憶される。負荷の変化量が所定の判定値以上であると、学習値から、さらに点火時期が遅角される。判定値は、点火時期の学習値に応じて定められる。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関の点火時期制御装置に関し、特に、点火時期を遅角する技術に関する。
ノック(ノッキング)が発生すると点火時期を遅角するノックコントロールシステムが公知である。ノックの発生し易さは、たとえば燃料性状に応じて変化し得る。
特開2008−95593号公報(特許文献1)は、燃料性状が変更されても早期にノックを回避可能な点火時期を学習すべく、ノックが検出された際に、空燃比に応じて変化するノック発生限界点火時期を学習値に基づいて遅角側に更新し、更新されたノック発生限界点火時期に基づいて点火プラグにより点火時期を制御する技術を開示する。
特開2008−95593号公報
燃料性状以外にも、内燃機関の運転状態(たとえば負荷)がノックの発生に影響を及ぼすことが知られている。たとえば、内燃機関の負荷が増大しているとき、すなわち過渡時においては、負荷が安定しているときに比べてノックが発生し易い。このような特性に対応して過渡時におけるノックを抑制する目的で、内燃機関の運転状態が過渡時にある場合には、一時的に点火時期を遅角することも考えられる。
しかしながら、過渡時におけるノックの発生し易さも燃料性状に応じて異なり得る。たとえば、プレミアム(ハイオク)ガソリンを使用した場合、レギュラーガソリンを使用した場合に比べて、過渡時におけるノックが発生し難い。したがって、レギュラーガソリンを使用したときに備えて過渡時に点火時期を一意的に遅角すると、プレミアムガソリンを使用した場合には無駄に点火時期時期を遅角し得る。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、点火時期の無駄な遅角を減らすことである。
ある実施例において、内燃機関の点火時期制御装置は、ノックが発生したか否かに応じて内燃機関の点火時期を制御するための制御手段と、制御手段により制御された点火時期に応じて定められる条件が満たされた場合に、制御手段により制御された点火時期からさらに点火時期を遅角するための遅角手段とを備える。
この構成によると、点火時期をさらに遅角するか否かを、ノックが発生したか否かに応じて制御された現時点での点火時期に応じて判断することができる。よって、現時点での点火時期から判断してノックが発生し易い状況にあると考えられる場合などに限定して点火時期をさらに遅角できる。その結果、点火時期の無駄な遅角を減らすことができる。
別の実施例において、点火時期制御装置は、制御手段により制御された点火時期に応じて判定値を設定するための設定手段をさらに備える。遅角手段は、内燃機関の負荷の変化量が判定値以上であると、点火時期を遅角する。
この構成によると、内燃機関の負荷の変化量が大きいために、ノックの発生量が増大する可能性がある場合において、点火時期を遅角し、ノックを抑制できる。
さらに別の実施例において、設定手段は、制御手段により制御された点火時期が遅いほど小さい判定値を設定する。
この構成によると、現在の点火時期の遅角量が大きいために、ノックが発生し易い状況であると考えられる場合には、さらなる遅角をし易くできる。一方、現在の点火時期の遅角量が小さいために、ノックが発生し難い状況であると考えられる場合には、さらなる遅角をし難くできる。よって、無駄な遅角を減らすことができる。
さらに別の実施例において、遅角手段は、制御手段による点火時期が遅いほど大きい遅角量で、点火時期を遅角する。
この構成によると、現在の点火時期の遅角量が大きいために、ノックが発生し易い状況であると考えられる場合には、付加される遅角量が大きくされる。よって、ノックを抑制できる。一方、現在の点火時期の遅角量が小さいために、ノックが発生し難い状況であると考えられる場合には、付加される遅角量が小さくされる。よって、無駄な遅角を減らすことができる。
さらに別の実施例において、制御手段は、ノックが発生すると内燃機関の点火時期を遅角する。ノックが発生しないと内燃機関の点火時期を進角する。
この構成によると、ノックが発生した場合には点火時期を遅角してノックを発生し難くし、ノックが発生していない場合には点火時期を進角して出力を高くできる。
エンジンを示す概略構成図である。 過渡時における点火時期の遅角量を示すタイミングチャートである。 点火時期の学習値と過渡状態の判定値との関係を示す図である。 点火時期の学習値と過渡時における点火時期の遅角量の初期値との関係を示す図である。 ECUが実行する処理を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1を参照して、車両のエンジン100について説明する。このエンジン100には複数の気筒が設けられる。本実施の形態に係る制御装置は、たとえばエンジンECU(Electronic Control Unit)200が実行するプログラムにより実現される。
エンジン100は、エアクリーナ102から吸入された空気とインジェクタ104から噴射される燃料との混合気を、燃焼室内で点火プラグ106により点火して燃焼させる内燃機関である。
混合気が燃焼すると、燃焼圧によりピストン108が押し下げられ、クランクシャフト110が回転する。燃焼後の混合気(排気ガス)は、三元触媒112により浄化された後、車外に排出される。エンジン100に吸入される空気の量は、スロットルバルブ114により調整される。吸気バルブ116が開いた際に燃焼室に混合気が導入される。排気バルブ118が開いた際に燃焼室から排気ガスが排出される。
エンジン100の負荷が安定している定常状態において、点火時期は、エンジン100の運転状態に応じて設定される基本点火時期を基準に、ノックが発生したか否かに応じて制御される。ノックが発生した場合、点火時期は基本点火時期から遅角される。一方、ノックが発生していないと、基本点火時期を最進角限度として、点火時期は進角される。このようにして、ノックが発生したか否かに応じて、点火時期が制御される。点火時期は学習値として記憶される。なお、ノックが発生したか否かに基づく点火時期の学習方法は、周知の一般的な技術を利用すればよいため、ここではさらなる詳細な説明は繰り返さない。また、本実施の形態において、「定常状態」とは、エンジン100の負荷の変化量(変化率)が後述する判定値よりも小さい運転状態を意味する。
エンジン100は、エンジンECU200により制御され、ノックが発生したか否かは、ノックセンサ300を用いて検出された振動の強度に基づき、エンジンECU200によって判断される。
ノックセンサ300は、エンジン100のシリンダブロックに設けられる。ノックセンサ300は、圧電素子により構成されている。ノックセンサ300は、エンジン100の振動により電圧を発生する。電圧の大きさは、振動の大きさと対応した大きさとなる。ノックセンサ300は、電圧を表わす信号をエンジンECU200に送信する。この信号に基づき、エンジンECU200はノックが発生したか否かを判定する。一例として、振動の強度(大きさ)が所定の判定値よりも大きいと、ノックが発生したと判断される。なお、ノックが発生したか否かを判断する方法はこれに限定されない。ノックが発生したか否かは公知の方法を利用して判定すればよいため、ここではさらなる詳細な説明は繰り返さない。
エンジンECU200には、ノックセンサ300のほか、水温センサ302と、タイミングロータ304に対向して設けられたクランクポジションセンサ306と、スロットル開度センサ308と、車速センサ310と、エアフローメータ312とから信号が入力される。
水温センサ302は、エンジン100のウォータージャケット内の冷却水の温度を検出し、検出結果を表わす信号を、エンジンECU200に送信する。タイミングロータ304は、クランクシャフト110に設けられており、クランクシャフト110と共に回転する。タイミングロータ304の外周には、予め定められた間隔で複数の突起が設けられている。クランクポジションセンサ306は、タイミングロータ304の突起に対向して設けられている。タイミングロータ304が回転すると、タイミングロータ304の突起と、クランクポジションセンサ306とのエアギャップが変化するため、クランクポジションセンサ306のコイル部を通過する磁束が増減し、コイル部に起電力が発生する。クランクポジションセンサ306は、起電力を表わす信号を、エンジンECU200に送信する。エンジンECU200は、クランクポジションセンサ306から送信された信号に基づいて、クランク角およびクランクシャフト110の回転数を検出する。
スロットル開度センサ308は、スロットル開度を検出し、検出結果を表わす信号をエンジンECU200に送信する。車速センサ310は、車輪(図示せず)の回転数を検出し、検出結果を表わす信号をエンジンECU200に送信する。エンジンECU200は、車輪の回転数から、車速を算出する。エアフローメータ312は、エンジン100に吸入される空気量を検出し、検出結果を表わす信号をエンジンECU200に送信する。
エンジンECU200は、各センサから送信された信号、ROM(Read Only Memory)に記憶されたマップおよびプログラムに基づいて演算処理を行ない、エンジン100が所望の運転状態となるように、機器類を制御する。
本実施の形態において、エンジンECU200は、エンジン100の負荷の変化量(変化率)を算出し、図2に示すように、負荷の変化量が所定の判定値以上であるとエンジン100が過渡状態であると判定して、ノックの発生を抑制すべく点火時期を遅角する。エンジン100が過渡状態であると判定された場合には、定常状態においてノックが発生したか否かに応じて制御された点火時期、すなわち学習値から、さらに点火時期が遅角される。点火時期は、所定の初期値に相当する遅角量だけ遅角された後、所定時間経過後に所定の低下率で減衰される。なお、負荷を算出する方法には、周知の一般的な技術を利用すればよいため、ここではその詳細な説明は繰り返さない。
判定値は、点火時期の学習値に応じて定められる。一例として、図3に示すように、学習値の遅角量が大きいほど、すなわち学習値が示す点火時期が遅いほど、判定値が小さくなるように定められる。したがって、たとえばレギュラーガソリンを使用しているためにノックが発生し易い状況にあり、その結果、点火時期が大きく遅角された場合には、過渡状態の判定をし易くし、点火時期をさらに遅角し易くできる。なお、別の実施例として、学習値が示す点火時期が遅いほど、判定値が大きくなるように定めてもよい。
また、点火時期の遅角量の初期値は、一例として図4に示すように、学習値が示す点火時期が遅いほど大きくなるように定められる。したがって、たとえばレギュラーガソリンを使用しているためにノックが発生し易い状況にあり、その結果、点火時期が大きく遅角された場合には、点火時期をさらに大きく遅角できる。なお、別の実施例として、学習値が示す点火時期が遅いほど遅角量の初期値が小さくなるように定めてもよい。
なお、点火時期を遅角する運転状態は過渡状態に限定されず、たとえばエンジン100の負荷(負荷率)が所定の判定値以上であると、学習値に応じて定められた遅角量だけ点火時期をさらに遅角するようにしてもよい。この場合、負荷と比較される判定値を学習値に応じて設定するようにしてもよい。
図5を参照して、過渡時に点火時期を遅角するためにエンジンECU200が実行する処理について説明する。以下に説明する処理は、ソフトウェアにより実現してもよく、ハードウェアにより実現してもよく、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現してもよい。
ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、定常時において、ノックが発生したか否かに応じて点火時期が遅角あるいは進角するように制御され、点火時期の学習値が取得される。
その後、S102にて、点火時期の学習値に応じて、過渡状態の判定値が設定される。エンジン100の負荷の変化量が判定値以上となり、エンジン100が過渡状態であると判定されると(S104にてYES)、S106にて、点火時期の学習値に応じた遅角量が設定される。その後、S108にて、定められた遅角量だけ点火時期が遅角される。
以上のように、本実施の形態においては、ノックが発生したか否かに応じて制御された点火時期を反映させて点火時期がさらに遅角される運転領域が、ノックが発生したか否かに応じて制御された点火時期に応じて定められる。したがって、点火時期をさらに遅角するか否かを、ノックの発生状況に応じて判断することができる。よって、たとえばレギュラーガソリンを使用しているためにノックが発生し易い場合などに限定して点火時期をさらに遅角できる。その結果、たとえばプレミアムガソリンを使用しているためにノックが発生し難い場合などにおける点火時期の無駄な遅角を減らすことができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 エンジン、102 エアクリーナ、104 インジェクタ、106 点火プラグ、108 ピストン、110 クランクシャフト、112 三元触媒、114 スロットルバルブ、116 吸気バルブ、118 排気バルブ、200 エンジンECU、300 ノックセンサ、302 水温センサ、304 タイミングロータ、306 クランクポジションセンサ、308 スロットル開度センサ、310 車速センサ、312 エアフローメータ。

Claims (5)

  1. 内燃機関の点火時期制御装置であって、
    ノックが発生したか否かに応じて前記内燃機関の点火時期を制御するための制御手段と、
    前記制御手段により制御された点火時期に応じて定められる条件が満たされた場合に、
    前記制御手段により制御された点火時期からさらに点火時期を遅角するための遅角手段とを備える、内燃機関の点火時期制御装置。
  2. 前記制御手段により制御された点火時期に応じて判定値を設定するための設定手段をさらに備え、
    前記遅角手段は、前記内燃機関の負荷の変化量が前記判定値以上であると、点火時期を遅角する、請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置。
  3. 前記設定手段は、前記制御手段により制御された点火時期が遅いほど小さい判定値を設定する、請求項2に記載の内燃機関の点火時期制御装置。
  4. 前記遅角手段は、前記制御手段による前記点火時期が遅いほど大きい遅角量で、点火時期を遅角する、請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の点火時期制御装置。
  5. 前記制御手段は、
    ノックが発生すると前記内燃機関の点火時期を遅角し、
    ノックが発生しないと前記内燃機関の点火時期を進角する、請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の点火時期制御装置。
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