JP2013155105A - 宇宙推進のためのn2oを主体とした新規なイオン単元推進薬 - Google Patents

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Abstract

【課題】不安定性を有さない、亜酸化窒素を主体とした単元推進薬を提供する。
【解決手段】少なくとも一部が液体の形態である、酸化剤としての亜酸化窒素(N2O)、および液体N2O相中の塩の形態の燃料を含む混合物を含む単元推進薬。その液体相が、(i)室温で単離され、少なくとも一部が液体形態で存在しているN2Oに可溶化したときに固体塩の形態にある燃料、または(ii)少なくとも一部が液体形態で存在しているN2Oとの二元混合物における燃料の溶融塩、または(iii)少なくとも液体形態で存在しているN2Oとの二元混合物における、有機もしくはイオン性エネルギー溶媒中に溶解した燃料のイオン性溶液から構成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、NOを主体とした新規な単元推進薬、それらの調製方法、および宇宙推進のためのそれらの使用に関する。
人工衛星の化学的推進は一般に、推進薬を分解または燃焼させ、それにより、非常に高い温度および非常に高い圧力のガスを生成することによって確保される。この推進薬は、単元推進薬型または二元推進薬型のものあってよい。
二元推進薬による推進は確実に、特に人工衛星のために今日最も用いられている2つの技術のうちの一方である。二元推進薬が大量に使用されていることは特に、利用する推力がより高い範囲(10Nから400N)のものである高質量の通信衛星(主要市場)に採用されていることによって説明される。それらの高い性能(330の実績膨張εでは比推力(ISP)=320s)も、静止軌道上への移送用の長期間操縦のために機内に装填される推進薬の量を減らすために選択されるパラメータである。他方、二元推進薬は、別個のタンク内に2種の化合物(酸化剤および燃料)を貯蔵することを必要とし、したがって、複雑な構造が暗示される。過酸化窒素(NTO)/モノメチルヒドラジン(MMH)二元推進薬は、現状で選択される酸化剤/還元剤の組合せである。
単元推進薬による推進は、人工衛星に最も用いられている2つ目の技術である。その最も一般的な形態は、触媒床の通過時に発熱方式で分解され得る準安定推進薬を使用することから成り、これは、推進薬を、高温で低いモル質量のガス生成物に変換する効果を有する。単元推進薬による推進は一般に、小推力(1Nから10N)を目的とし、まさに中等度の性能を示す。ヒドラジン(N)は最新の単元推進薬であり、ε=80(実績)で210s程度のISPを示す。その主要な利点は、単一推進薬が存在するために、かなり単純な構造に基づくことである。
それにも関わらず、ヒドラジンおよびそのメチル化誘導体(MMHまたはUDMH)の使用は、不純物およびそれには及ばないが温度に対する感度、ならびにそれらの非常に強い毒性のため、製造、取り扱いおよび操作において顕著なリスクを有する。これらの制約は、つたない操作手順および高い利用コストを生じさせる。さらに、ヒドラジンは、その危険な性質(発癌性、変異原性または毒性、持続性、生体蓄積性または有毒性の物質)のため、現在では、REACh(European Chemical規制)により化合物のリストに載せられている。実際、ヒドラジンおよび次いでその誘導体に対して漸進的な禁止の可能性が予見されており、近い将来にその代用品が必要とされる可能性がある。
現在、ヒドラジンに比較して毒性が低下しているために「グリーン」代替品と表現される代替品を同定するために数多くの研究が実施されている。REACh規制を遵守する希求の「グリーン」推進薬はまた、高性能(ISP、比重)を有すると共に、特に長期間貯蔵、熱的および機械的安定性(衝撃、爆発、断熱圧縮等に関する)、推進システム(タンク、配管、バルブ等)との幅広い適合性、宇宙での制約(融点/沸点、蒸気圧等)との適合性、システムインパクト(かさ高性/質量、組立て、統合および試験)の点で宇宙領域に特有の要件をも満たさねばならない。
研究された代替品の中でも、単元推進薬は、AND(アンモニウムジニトロアミド)、HAN(硝酸ヒドロキシルアンモニウム)またはさらにHNF(ヒドラジニウムニトロホルマート)に基づいて熟慮されてきた。それらの適用は、ヒドラジンと同一であるが、ヒドラジンとは異なり、これらのイオン単元推進薬は、酸化/還元に有利な酸化種および還元種が存在するため、それらの接触分解後に燃焼を開始するという特殊性を有する。これは、温度の影響下で、ヒドラジンよりわずかに大きいISP(実績ε=50でISP=230s)を達成する可能性をもたらしている。特許文献WO0050363では、エネルギーカチオン(優先的にはアンモニウム(NH )、ヒドラジニウム(N )またはヒドロキシルアンモニウム(OHNH )であり、アンモニウムが好ましい)が結合したジニトロアミドアニオン(N(NO )を主体とする配合物が記載されており、形成された塩は、水性または非水性のいずれかの還元性溶液中に溶解する。液体還元剤は、したがって、溶媒として用いてもよく、または、液体イオンエネルギー溶液を形成するように、わずかな水と平衡になっていてもよい。還元剤は特に、アルコール、アミン、アルデヒドまたはケトンから選択してもよく、大きな極性が、エネルギー塩の溶解度を有利にするために希求される。還元剤の極性の増大によって、含水量を低下させ、それにより、該混合物のISPを増大できるようになる。理論的ISPは、245sから280sの間に含まれる(20barのチャンバー圧力かつε=50)。配合物、理論的Ispが252sであるLMP−103S(60〜65%ADN、15〜20%メタノール、3〜6%アンモニアおよび残余の水)は、貯蔵時におけるその熱的安定性により、特に注目されていた。しかしながら、このような単元推進薬は、ヒドラジンを上回る理論的性能にも関わらず、推進機内への施用に関した主要な欠点を有している。すなわち、これらの推進薬は、実際には触媒作用によって分解され、それらの分解生成物は次いで、酸化剤と還元剤の併存および自己点火閾値を超える分解温度のため、燃焼を開始する。その結果、達成される火炎温度は、ヒドラジン単元推進薬(900℃)の場合よりも高く(1,800℃)、触媒床に強烈な熱応力を発生させる。この熱応力に関連する課題の中でも、酸化による触媒の失活、活性相の腐食またはさらに担持粒子の焼結を挙げることができる。この活性の損失は、該性能の緩やかな低下および推進機の寿命の制限によって表され、ISPは、「寿命早期」にはヒドラジンより高いレベルであるにも関わらず、ミッション中に大きく低下し、最終的には著しく低下したグローバル性能をもたし得る。次いで、歴史的に単元推進薬による推進に用いられてきた触媒デバイスに頼ることは、高いエネルギー密度を有した化合物に流行が向かっているならば、不十分のようであると思われる。活性化エネルギーが非接触法によって達成される推進薬の分解/反応の代替的施用は、ヒドラジンよりもさらにはADNよりもはるかに高エネルギーの化合物を実現するであろう。
その他の手段は、代替の「グリーン」単元推進薬とそれらの反応の利用の両方に関して追求されてきた。特許文献WO01/51433およびWO2009/062183は、液体単元推進薬として、酸化剤としての亜酸化窒素(NO)と燃料としての炭化水素、例えばプロパン(C)またはエタン(C)、エチレン(C)、アセチレン(C)との混合物を教示している。一例として、NOFB34は、比率O/F=4の、NOとアセチレンとの混合物である。酸化剤としての亜酸化窒素の選択は、その非常に良好な酸化力およびタンクの自己加圧の可能性をもたらすその揮発性によって動機付けされている。他方、非常に揮発性の高い炭化水素を使用すると、用いた温度間隔により、亜酸化窒素と炭化水素の両方を含む気体相を生じさせる。この気体混合物は不安定であり、熱的または機械的な刺激に応答する高い爆発リスクを有する。このように、M. Kaneshigeの、NO/炭化水素混合物の爆発に対する抵抗性の研究(Hydrocarbon−Air−Nitrous Oxide Detonations, Western States Section/The Combustion Institute, Spring Meeting, Sandia National Laboratories, Livermore, CA, 1997年4月14日および15日)に関する研究を挙げることができる。さらに、形成された二元混合物NO/炭化水素は、高い飽和蒸気圧(単元推進薬NOFB34では10℃で38bar)を有し、温度に非常に鋭敏(同じ単元推進薬では20℃で48bar)であり、これは、一方では、現状で受けるものより大きな使用圧力のための認証設備を必要とし、他方では、その継続的な熱制御をデリケートにする。さらに、これらの混合物のエネルギー密度は、時には700kg.m−3より低いそれらの比重のため、依然として特に改善せねばならない。
国際公開第00/50363号 国際公開第01/51433号 国際公開第2009/062183号 米国特許第8,034,202号明細書
M. kaneshige, Hydrocarbon−Air−Nitrous Oxide Detonations, Western States Section/The Combustion Institute, Spring Meeting, Sandia National Laboratories, Livermore, CA, 1997年4月14日および15日 Keskin, J. of Supercritical Fluids43(2007) 150−180 Asikkala, (Application of ionic liquids and microwave activation in selected organic reaction, Acta Univ. Oul. A502, 2008 Singh, Structure bond 2007, 125:35−83 Schneider, Inorganic Chemistry 2008,47(9), 3617−3624 Emel’yanenko, JACS 2007, 129, 3930/3937
したがって、本発明の目的は、前述の欠点、特に不安定性を有さない、亜酸化窒素を主体とした単元推進薬である。第一に、混合物の安定性に関した課題は、その単離された形態の燃料がエネルギー塩である単元推進薬を生成することによって解決された。それを亜酸化窒素中で溶解させることにより、イオン性液体相が生成する。その低下した飽和蒸気圧のため、該燃料は、液体相中に拘束され、その結果、該液体と共存している気相のみが亜酸化窒素を含む。第二に、それによって形成された単元推進薬の比重は、塩を提供し、それにより高いエネルギー密度を確実することによって高くなっている。使用した塩は、亜酸化窒素との関連により候補に応じて300sから350sの間に含まれる理論的ISPが提供されるような、形成エンタルピーおよび構造を有する。
したがって、第1の目的によれば、本発明は、
・少なくとも一部が液体の形態である、酸化剤としての亜酸化窒素(NO)、および
・液体NO相中の塩の形態の燃料
を含む混合物によって形成された単元推進薬に関する。
モル質量44,013kg.mol−1の亜酸化窒素NOは、笑気ガス、一酸化二窒素、酸化窒素、酸化二窒素とも呼ばれている。その臨界点は、P=72.51barおよびT=36.42℃に位置している。その飽和蒸気圧(気体相がその液体相と平衡になる時点での圧力)は、[0+20]℃の間隔で31.3barから50.6barの間で変動する。この同じ間隔では、その液体相の比重は、907.4kg.m−3から786.6kg.m−3まで移るが、その気体相の比重は、84.9kg.m−3から158.1kg.m−3まで増大する。したがって、亜酸化窒素は強度に揮発性の化合物である。温度および圧力の条件に依存して、NOは、その臨界点を超えて二相形態(液体/気体の熱力学的平衡)または単相形態で存在し得る。正常な温度および圧力の条件下では、亜酸化窒素は液体/気体平衡になっている。
本発明によれば、亜酸化窒素は液体形態である。亜酸化窒素は部分的に気体の形態になっていてもよい。
液体形態のNOの存在は、それにより燃料の可溶化が可能となり、したがって、溶媒として働くという点で特に有利である。次いで、亜酸化窒素は液体燃料相に溶け込む。
次いで、液体NO相は燃料との混合物になる。
実際、酸化種および可燃性種は、同じ相にある。
単元推進薬中の平衡にあるNOから成る気体相の存在は、気体状NOが加圧気体として働くという点でも興味深い。
「加圧気体」とは、単元推進薬を加圧して、推進機に向かう流体管路中へのそれらの排出を可能とするためにタンク内に用いられる中性気体(すなわち、化学反応への参加を意図していない)を意味する。次いで、この操作モードに関連したシステムは「肯定的排除(positive expulsion)を備える」と言う。ヘリウム(He)および二窒素(N)は、最も一般的な加圧気体である。追加のガスに頼ると、タンク内の有効容積の損失および吸収による単元推進薬中における微量の気体の存在等、ある種の欠点を引き起こす。
本発明によれば、燃料は、単元推進薬の液体相中に導入されたイオン性化合物である。
液体相は、
1)室温で単離され、少なくとも一部が液体形態で存在しているNO中に可溶化したときに固体塩の形態にある燃料、または
2)少なくとも一部が液体形態で存在しているNOとの二元混合物における燃料の溶融塩、または
3)少なくとも液体形態で存在しているNOとの二元混合物における、有機もしくは無機のエネルギー溶媒中に溶解した燃料のイオン性溶液(イオン性溶媒を用いた場合、これは溶融塩である)
から構成されていてもよい。
溶媒の中でもイオンを含有する液体は、イオン性溶液と呼ばれる。
実施形態1)によれば、該塩は、一般に極性であり、標準的な温度条件下で固体であり、NO中に可溶である。
一例示として、1,5−ジアミノ−4−メチル−テトラゾリウムアジドを挙げることができる。
実施形態2)によれば、該塩は、一般に室温において純粋な液体の形態で存在(RTIL:室温イオン性液体)し、−20℃未満の溶融温度を有し、NOと二元混合物を形成する。
一例示として、3−アジド−1,2,4−トリアゾリウム5−ニトロ−テトラゾレートを挙げることができる。
実施形態3)によれば、該塩は、標準的な条件下で固体であり、液体形態で存在しているNOとの混合物においてそれ自体がイオン性溶液を形成するために、溶媒中に溶解する。溶媒は有利には、例えばメタノール等、エネルギー溶媒である。
一例示として、メタノール中の混合物中の1,5−ジアミノ−4−メチル−テトラゾリウムジニトロアミドを挙げることができる。
Oが少なくとも一部が液体形態で存在している場合、該液体相は、溶液中にこの割合のNOを含有する。
液体形態の燃料は、特に明示的原因(衝撃、断熱圧縮等)の熱機械的刺激および静電気的刺激に対する、単元推進薬の高度な安定性を保証する可能性を与える。
該燃料は、それがNOと相溶性でありかつそのイオン性質のために揮発性が低下したものである。特に、単元推進薬の貯蔵条件下では、燃料は、非揮発性とみなすことができる。
「相溶性の」という用語はここで、燃料が、標準的な条件下のその相に応じて、
・可溶性または混和性であり、それぞれ液体NOとの固体−液体二元混合物または液体−液体二元混合物を形成でき、
・標準的な条件下で液体NOとの熱力学的に安定な混合物を生じさせる
ことを意味する。
燃料は、NOを低減するが任意選択により特定の酸化性基を含み得る種にすべきである。
宇宙推進に必要となるエネルギー密度要件を満たすために、燃料は、エネルギー化合物の塩から選択される。
エネルギー化合物とは、高いエネルギー密度および物質密度を有する分子または分子の組合せを意味する。これは、数千kJ.kg−1(典型的には2,000〜3,000kJ.kg−1)に達し得る高い正の標準的形成エンタルピーと、一般に1,000kg.m−3を超える大きな比重とによって表される。これは次いで、HEDM(高エネルギー密度物質)と呼称される。特定のHEDMは、非凡な性能を実証するが、それらの不安定性(エネルギーの非制御下放出)のために使用の限界を有し、爆発性物質のカテゴリーに分類されている。これは特に、ペンタゾールの誘導体の場合である。さらに、宇宙推進に特有の追加用特徴は、これらのエネルギー化合物の燃焼による生成物のモル質量に関する。後者の質量は、高い火炎温度/モル質量比(Tad/M)を保証するために可能な限り低くして(一般には30g.mol−1未満)高い比推力を保証しなければならない。
本発明によれば、燃料(「還元剤」とも呼ばれる)は、上に提示した基準を満たす、直鎖または複素環カチオンおよび直鎖または複素環アニオンの任意の組合せである。アニオンおよび/またはカチオンは一般に、アミノ基、アジド基、シアノ基、プロパルギル基、トリプロパルギル基およびグアニジル基等、1個または幾つかの窒素含有および/または不飽和エネルギー基を含む。
燃料は一般に、塩の形態の窒素含有誘導体である。したがって、前記塩のアニオンおよび/またはカチオンは、1個または幾つかの窒素原子を含んでいてもよい。
前記カチオンは、脂肪族、環状または芳香族の第四級アミン等、窒素含有誘導体から選択してもよい。
前記カチオンは特に、
・アンモニウムイオン、ヒドロキシルアンモニウムイオン、ヒドラジニウムイオンおよびそれらの誘導体等の直鎖アニオン、
・ピペリジニウム、ピペラジニウム、およびそれらの誘導体等の飽和複素環カチオン、ならびに
・アジニウム、アゾリウム、ジアゾリウム、トリアゾリウムおよびテトラゾリウム、特にピリジニウム、ピロリウム、イソオキサゾリウム、ピラゾリウム、オキサゾリウム、ピラゾリウム、イミダゾリウム、オキサジアゾリウム、トリアゾリウム、オキサトリアゾリウム、テトラゾリウム、ピロリジウム、トリアジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、ピペリジニウム、1,2,3−または1,2,4−トリアゾリウム、1,4,5−または2,4,5−テトラゾリウム、ならびに、それらの−イニウム類縁体および−イジニウム類縁体、およびそれらの誘導体等、芳香族またはそれ以外のいずれかの複素環カチオンから選択してもよい。
より詳細には、前記カチオンは、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、トリアゾリウムイオン、テトラゾリウムイオンおよびそれらの誘導体から選択してもよい。
「イオン誘導体」という表現は、前記イオンの形態の窒素原子を有する化合物を指す。
上記不飽和複素環状化合物の−イニウム類縁体および−イジニウム類縁体は、例えば部分的不飽和類縁体としてのピロリウムおよびピロリウムの飽和類縁体としてのピロリジニウム等、それぞれ完全および部分的な水素化から生じる、対応する部分的飽和(−イニウム)類縁体および飽和(−イジニウム)類縁体を指す。
アンモニウム誘導体として、エチレンジアンモニウム、エタノールアンモニウム、プロピルアンモニウム、モノプロパルギルアンモニウム、トリプロパルギルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、N−トリブチル−N−メチルアンモニウム、N−トリメチル−N−ブチルアンモニウム、N−トリメチル−N−ヘキシルアンモニウム、N−トリメチル−N−プロピルアンモニウム等の飽和アンモニウムを特に挙げることができる。
ピロリウム誘導体として、特にアルキル基で置換されたピロリウム、例えばN−メチルピロリウムを例えば挙げることができる。
イミダゾリウム誘導体として、特に1個または幾つかのアルキル基および/またはヒドロキシアルキル基で置換されたイミダゾリウム、例えば1−ブチル−2,3−ジメチルアミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エタノール−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、メチルイミダゾリウム、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、1−プロピル−2,3−ジメチル−イミダゾリウムを挙げることができる。
ピロリジニウム誘導体として、特に1個または複数のアルキル基で置換されたピロリジニウム、例えば1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、1−エチル−1−メチルピロリジニウム、N−プロピル−N−メチルピロリジニウムを挙げることができる。
ピペリジニウム誘導体として、1個または複数のアルキル基で置換されたピペリジニウム、例えば1−メチル−1−プロピルピペリジニウムを挙げることができる。
トリアゾリウム誘導体として、1−メチル−1,2,4−トリアゾリウム、3−アジド−1,2,4−トリアゾリウム、1−メチル−3−アジド−1,2,4−トリアゾリウム、4−アミノ−1,2,4−トリアゾリウムを挙げることができる。
テトラゾリウム誘導体として、1−アミノ−4,5−ジメチルテトラゾリウム、2−アミノ−4,5−ジメチルテトラゾリウム、1,5−ジアミノ−4−メチルテトラゾリウムを挙げることができる。
一例示として、下記系統群のカチオンを挙げることができる。
Figure 2013155105
式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6のそれぞれは独立に、同一または異なり、水素原子、またはアルキル基、CN、CNで置換されたアルキル、NRR’、アジド−(−N)、ニトロ、プロパルギル、トリプロパルギルおよびグアニジルを表し、ここで、RR’は、水素原子またはアルキル基を独立に表す。
燃料の対イオン(アニオン)は、窒素またはそれ以外のいずれかを含み負電荷を有する任意のアニオンであってもよい。それは特に、
・アジドイオン、硝酸イオン、ニトロアミドイオン、ニトロホルマートイオン、ジニトロアミドイオン、亜硝酸イオン、アセテートイオン、シアナミドイオン、ジシアナミドイオン、ホスフェートイオン、メチルホスホネートイオン、エチルホスホネートイオン等の直鎖アニオン、および
・アゾレート(ピロレート等)、ジアゾレート(ピラゾレート、イミダゾレート等)、トリアゾレート(1,2,3−および1,2,4−トリアゾレート)およびテトラゾレート(ニトロテトラゾレート等)、ならびに、4,5−ジニトロイミダゾレート、5−ニトロテトラゾレート等のそれらの誘導体等の不飽和複素環アニオン
から選択してもよい。
一例示として、下記系統群のアニオンを挙げることができる。
Figure 2013155105
式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6のそれぞれは独立に、同一または異なり、水素原子、またはアルキル基、CN、CNで置換されたアルキル、NRR’、アジド−(−N)、ニトロ、プロパルギル、トリプロパルギルおよびグアニジルを表し、ここで、RR’は、水素原子またはアルキル基を独立に表す。
アルキル基とは、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜5個の炭素原子を含み直鎖または分岐鎖を有した飽和炭化水素基を意味する。直鎖である場合、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、およびオクタデシル基を特に挙げることができる。分岐しているまたは1個もしくは複数のアルキル基で置換されている場合、イソプロピル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルブチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基および3−メチルヘプチル基を特に挙げることができる。
対イオン(アニオン)は特に、アジドイオン、硝酸イオン、ジニトロアミドイオン、ジシアナミドイオン、イミダゾレートイオンおよびテトラゾレートイオンならびにそれらの誘導体から選択される。
より詳細には、燃料として下記化合物
・アンモニウムアジド(AA)、
・テトラブチルアンモニウムアジド、
・トリアゾリウムニトロテトラゾレート、
・アジドトリアゾリウムニトロテトラゾレート、
・アンモニウムジニトロアミド(ADN)、
・ヒドロキシルアンモニウムアジド(HAA)、
・ヒドラジニウムアジド(HA)、
・硝酸ヒドロキシルアンモニウム(HAN)、
・アンモニウムジニトロアミド(ADN)、
・ヒドラジニウムニトロホルマート(HNF)、
・硝酸アンモニウム(AN)、
・硝酸ヒドラジン(HN)、
・硝酸トリエタノールアンモニウム(TEAN)、
・ヒドロキシルアンモニウムジニトロアミド(HADN)、
・アンモニウム、エチレンジアンモニウム、エタノールアンモニウム、プロピルアンモニウム、モノプロパルギルアンモニウム、トリプロパルギルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、N−トリブチル−N−メチルアンモニウム、N−トリメチル−N−ブチルアンモニウム、N−トリメチル−N−ヘキシルアンモニウム、N−トリメチル−N−プロピルアンモニウム、ピロリニウム、N−メチルピロリニウム、イミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルアミダゾリウム、1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エタノール−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、メチルイミダゾリウム、1−オクチル−3−メチル−イミダゾリウム、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(2−ブチニル)−3−メチル−イミダゾリウム、ピロリジニウム、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、1−エチル−1−メチルピロリジニウム、N−プロピル−N−メチル−ピロリジニウム、ピペリジニウムおよび1−メチル−1−プロピルピペリジニウム、1,2,4−トリアゾリウム、1−メチル−1,2,4−トリアゾリウム、3−アジド−1,2,4−トリアゾリウム、1−メチル−3−アジド−1,2,4−トリアゾリウム、4−アミノ−1,2,4−トリアゾリウム、1−アミノ−4,5−ジメチル−テトラゾリウム、2−アミノ−4,5−ジメチル−テトラゾリウム、1,5−ジアミノ−4−メチル−テトラゾリウムのアジド塩、酢酸塩、硝酸塩、ジニトロアミド塩、ジシアナミド塩、メチルホスホン酸塩、4,5−ジニトロイミダゾレート塩、5−ニトロ−テトラゾレート塩およびエチルホスホン酸塩
を特に挙げることができる。
したがって、一例示として、
・アンモニウムアジド(AA)、
・テトラブチルアンモニウムアジド、
・トリアゾリウムニトロテトラゾレート、
・アジドトリアゾリウムニトロテトラゾレート、
・アンモニウムジニトロアミド(ADN)、
・ヒドロキシルアンモニウムアジド(HAA)、
・ヒドラジニウムアジド(HA)、
・1−(2−ブチニル)−3−メチル−イミダゾリウムアジド、
・硝酸ヒドロキシルアンモニウム(HAN)、
・アンモニウムジニトロアミド(ADN)、
・ヒドラジニウムニトロホルマート(HNF)、
・硝酸アンモニウム(AN)、
・硝酸ヒドラジン(HN)、
・硝酸トリエタノールアンモニウム(TEAN)、
・ヒドロキシルアンモニウムジニトロアミド(HADN)、
・アンモニウムジシアナミド、
・イミダゾリウムジシアナミド、
・1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、
・酢酸1−ブチル−2,3−ジメチルアミダゾリウム、
・酢酸1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、ジシアナミド、
・メチルホスホン酸1,3−ジメチルイミダゾリウム、
・1−エタノール−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、
・エチルホスホン酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、メチルホスホネート、
・N−トリブチル−N−メチルアンモニウムジシアナミド、
・アンモニウムジシアナミド、
・アンモニウムアジド、
・1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムジシアナミド、
・1,2,4−トリアゾリウム4,5−ジニトロ−イミダゾレート、
・1−メチル−1,2,4−トリアゾリウム4,5−ジニトロ−イミダゾレート、
・3−アジド−1,2,4−トリアゾリウム4,5−ジニトロ−イミダゾレート、
・1−メチル−3−アジド−1,2,4−トリアゾリウム4,5−ジニトロ−イミダゾレート、
・4−アミノ−1,2,4−トリアゾリウム4,5−ジニトロ−イミダゾレート、
・1,2,4−トリアゾリウム5−ニトロ−テトラゾレート、
・1−メチル−1,2,4−トリアゾリウム5−ニトロ−テトラゾレート、
・3−アジド−1,2,4−トリアゾリウム5−ニトロ−テトラゾレート、
・1−メチル−3−アジド−1,2,4−トリアゾリウム5−ニトロ−テトラゾレート、
・4−アミノ−1,2,4−トリアゾリウム5−ニトロ−テトラゾレート、
・硝酸1−アミノ−4,5−ジメチルテトラゾリウム、
・硝酸2−アミノ−4,5−ジメチルテトラゾリウム、
・硝酸1,5−ジアミノ−4−メチルテトラゾリウム、
・1,5−ジアミノ−4−メチルテトラゾリウムジニトロアミド、
・1,5−ジアミノ−4−メチルテトラゾリウムアジド、
・1,5−ジアミノ−4−メチル−テトラゾリウムジニトロアミド
を挙げることができる。
これらの塩は一般に市販されている。したがって、AA、HAA、HA、トリアゾリウムニトロテトラゾレート、アジドトリアゾリウムニトロテトラゾレートおよびアンモニウムジニトロアミド(ADN)は特に、EURENCO Bofors(スウェーデン)によって販売されている。
上記で列挙した他の塩は、例えば、Solvionicによって販売されている。
本発明による塩は、それらが市販されていない場合、特にKeskinがJ. of Supercritical Fluids43(2007) 150−180に記載の方法に従って、特にメタセシスまたは酸−塩基反応によるその諸成分のカップリングにより、公知の方法を適用または応用することで得てもよい。したがって、希求される塩は特に、例えば所望のアニオンを含んだ酸の添加による造塩によって中性形態の化合物から、または、例えばカラム上でのイオン交換により、もしくは所望のアニオンを含んだ酸の存在下での相互間造塩(transsalification)により、もしくはさらにメタセシスによって別のイオン性化合物から調製してもよい。別法として、塩基性媒体中の遊離形態の燃料を再生し、造塩によって新たなイオンを生成することが可能である。例えば、プロトン化または置換(例えばアルキル化)により、対応する塩基から第四級イオンを生成することもまた可能である。硝酸塩、ジニトロアミド塩、アジド塩は、硝酸銀塩、ジニトロアミド塩、アジド塩の存在下で、対応するハロゲン化物からのメタセシスによって有利に調製できる。
したがって、US8,034,202、Asikkala,(Application of ionic liquids and microwave activation in selected organic reaction, Acta Univ. Oul. A502, 2008、Singh, Structure bond 2007, 125:35−83、Schneider, Inorganic Chemistry 2008,47(9), 3617−3624に記載された方法を挙げることができる。
その他の塩を使用してもよいと理解されている。したがって、市販のアニオンおよびカチオンならびに後者の最適化(所望によるエネルギー性能、および/またはNOとの相溶性、安定性、毒性等の特性に依存する)に応じて、それが、それらの構造を変化させるのに関係する可能性がある。相異なる対イオンは、所与のカチオンまたはアニオンによって得ることができる。
本発明の単元推進薬は、混合比の名称で知られO/FまたはOF(酸化剤/燃料の比のこと)としばしば表記されるNO/燃料の比(質量による)が一般に0.1から10の間、優先的には1から6の間に含まれるようなものである。
推進薬の性能を定量化する手段は、ISPとしばしば表記される比推力によって形成される。比推力は、エンジンが消費された推進薬の重量に等しい推力を提供する間の時間長を表す。したがって、これは、「薬剤による影響の受けにくさ(soberness)」の、したがって、推進薬のエネルギー性能の指標である。ISPは下記のように表される。
Figure 2013155105
式中、C、g、γ、PおよびPは、それぞれ、ノズルによって噴出されたガスの固有速度、基準高度における重力、噴出されたガスの平均等エントロピー係数、噴出圧力およびチャンバー内の圧力を表す。
噴出されたガスの固有速度は、以下による音の速さに関連する。
Figure 2013155105
式中、R、TadおよびMは、それぞれ、完全気体普遍定数、チャンバー内の断熱温度(燃焼の存在がある場合のいわゆる「火炎」温度)および噴出されたガスの平均モル質量である。
ISPの表現に含まれている噴出圧力とチャンバー圧力の比は、噴出されたガスの性質だけでなくノズルの幾何学的特徴にも依存する。
Figure 2013155105
式中、Mは、ノズルの噴出区画内の流れのマッハ数であり、ノズルの膨張比を含んだ下記の暗黙的関係によって得ることができる。
Figure 2013155105
ただし、εは、噴出区画(A)と音速ネック(sonic neck)(Acol)の区画との比に等しいノズル膨張比である。
本発明による単元推進薬は一般に、下記条件下で計算した場合、300sから350sの間に含まれる理論的ISPを有する:10barの燃焼チャンバー内の圧力、ε=100のノズル膨張比およびノズル内の平衡にある膨張。
別の目的によれば、本発明はまた、本発明による単元推進薬を調製するための方法にも関する。したがって、前記方法は、燃料とNOとを混合するステップを含む。この混合は、室温で実現できるが、固体塩が標準的な条件下で用いられる場合、最大溶解度は、飛行中の飽和および再結晶のあらゆるリスクを取り除くために、軌道上での単元推進薬の最低貯蔵温度にあるとみなさねばならない。したがって、単元推進薬の合成中には、この閾値が観察されるべきである。軌道での単元推進薬の使用の最低温度は通常、0℃である。
本発明による単元推進薬は、特定の飽和蒸気圧を超えないようにするために、最大許容貯蔵温度を超えないことを確実としながら貯蔵してもよく、MEOP(最大予想動作圧力、動作中に予想される最大圧力)は、10から50barの間、通常は20から40barの間に含まれる。最大貯蔵温度は一般に、0℃から50℃の間に含まれる。単元推進薬は、軌道上で数年の時間長(通常は5年だが、可能性としては最大で15年)の間貯蔵されるように、十分な安定性を有しているべきである。安定性は特に、相分離(脱混合、デカンテーション等)の不在によって表すべきである。
別の目的によれば、本発明はまた、本発明による単元推進薬を用いた宇宙推進方法にも関する。宇宙推進とは、発射装置や人工衛星等の宇宙船の推進を意味する。
有利なことに、本発明による単元推進薬は、燃焼による動作に適している。燃焼ならば、触媒床なしで、したがって、複雑な推進機構造なしで行うことが可能である。さらに、推進機の寿命は、現用の触媒が腐食、酸化、焼結等による触媒の失活等の現象のために制限要素になっている限りは延長され得る。
したがって、本発明による方法は、本発明による単元推進薬の燃焼を含む。
燃焼は一般に、制御された点火によって実現される。これは、通例の技術に従って、特に高エネルギースパークプラグを用いて実行してもよい。該スパークプラグは一般に、燃焼室内への単元推進薬の到着時に、注入ヘッド内に位置決めされ、それにより、既燃ガスが燃焼室の反対側端部に配置されたノズルを介して排出される。
本発明による方法はまた、タンク内の単元推進薬を加圧するための手段を含んでいてもよい。一般に、ヒドラジンを含み「触媒式単元推進薬」と呼ばれる現用の推進薬システムは、寿命早期(初期圧力)中に20barかつ寿命終了時に5barのオーダーのタンク内の圧力によって動作する。この圧力は、推進薬によって解放されたスペース内での加圧気体の膨張による単元推進薬の空洞化の際に減少する。ある種のシステムは、人工衛星の特務飛行の特定部分にわたってタンク圧力を一定に保つために、タンク圧力の調整を提供する(性能の最適化)。こうしたことは、通信プラットフォームの場合であるが、これは、複雑でコスト高の設備を導入する。
本発明の場合、より高いタンク圧力での動作が、NOを主体とした混合物の飽和蒸気圧を考慮に入れるために予期され得る(通常、寿命早期において、25から40barの間に含まれる)。加圧は、NOそれ自体の溶液により、その揮発性のため有利に実現でき、その結果、追加用不活性ガスに頼ることはもはや必要とならない。これにより、タンクの充填レベルならびに液体−ガス対の見かけ比重の増大が起きる。
液体相と気相が共存(これらの相の間の平衡)する限り、圧力は、該液体の気化のために(課された一定温度において)一定に留まり、その効果は、タンクの空洞化を補うガス容積を発生させることである。この場合、加圧手段は、タンク内への推進薬の充填のみによって確保してもよい。実際に、液体NO画分の気化による液体相と気相の間の平衡の再確立には、温度のわずかな低下(吸熱現象)が伴い、その結果、圧力のわずかな減少が観察される。この現象は、熱制御(サーミスタ)によるタンクの昇温を用いることによって釣り合わせることもできる。この「自己加圧」現象は、二液式エンジン上の圧力調整器と同様に、それにより、それらの最適の性能に近い推進機の動作が可能になるので、主要な利点を表す。
液体相が枯渇すれば直ちに、相平衡はもはや実現できなくなる。タンクは次いで、不活性ガスによる加圧に類似した「ブローダウン」モードにおいて、従来法により動作する。
本発明による方法はまた、宇宙船のタンク内に単元推進薬を装填する早期ステップを含んでいてもよい。
実施例1、2および3それぞれの各単元推進薬に関した2種の膨張比(ε=80およびε=330)について、比推力(ISP)対混合比を表す図である。 実施例1、2および3それぞれの各単元推進薬に関した2種の膨張比(ε=80およびε=330)について、比推力(ISP)対混合比を表す図である。 実施例1、2および3それぞれの各単元推進薬に関した2種の膨張比(ε=80およびε=330)について、比推力(ISP)対混合比を表す図である。 標準的な条件(実施例1または3)下の固体塩を含んだ単元推進薬の場合における、最適性能に関した溶解度の制約を示す図である。
下記実施例は、本発明の限定ではなく例示として示している。
(実施例)
1.エネルギー塩の選択
以下の表は、アンモニウムカチオン、ジアゾニウムカチオン、トリアゾリウムカチオンおよびテトラゾリウムカチオンの中から、エネルギー塩の幾つかの例を示しており、幾つかは、アルキル、アジドまたはアミノ型の置換基を備えている。関連するアニオンは、ニトロ基を含み置換されているまたはされていないジシアナミド、アジド、イミダゾレート、テトラゾレート、硝酸またはさらにジニトロアミドの中から採用する。原子組成およびそれらの特性のうち幾つかは、その中で明示されている(融点、熱分解閾値、標準的な条件下における塩の比重、標準的な形成エンタルピー)。
Figure 2013155105
Figure 2013155105
(1)Emel’yanenkoのJACS 2007, 129, 3930/3937に典拠。
1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムジシアナミドは、Asikkala(Application of ionic liquids and microwave activation in selected organic reaction, Acta Univ Oul. A502、2008年、134ページ)が記載した方法を適用して、ナトリウムジシアナミドの存在下での塩化1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムからの相互間造塩によって調製してもよく、該塩化物は、1−クロロブタンと1−メチルイミダゾールの間の反応によって調製される。
別法として、1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムジシアナミドは、銀ジシアナミドの存在下で臭化1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムから、特にUS8,034,202に記載されたメタセシスによって調製してもよい。
Figure 2013155105
Figure 2013155105
上記の塩は、SinghのStructure bond 2007,125:35−83に従って調製してもよい。
2.理論的性能
Oを含んだ混合物中の特定のカチオン/アニオン対の理論的性能は、ここで、該文献に見出される形成エンタルピーに基づいて与えられている。以下の表および図面は、単元推進薬対混合比(O/F)の真空下での比推力(ISP)の時間依存変化を明示している。計算は、10barの燃焼室内の圧力、ε=100のノズル膨張比、およびノズル内の平衡にある膨張について実施している。表および曲線は、ほぼ最大のISPの値と対応する最適混合比について与えられている。以下で示されている実施例は、先に説明した3つの方法のそれぞれ、すなわち、
・実施例1:液体NO中に溶解した「結晶」塩によって形成された単元推進薬、
・実施例2:液体NOとの二元混合物中の液体塩、
・実施例3:それ自体液体NOとの二元平衡にある、有機もしくはイオンエネルギー溶媒中に溶解した「結晶」塩によって形成された溶液、
に従って溶液中に投入されるエネルギー塩を含む。
(実施例1)
第1の事例は、[ByMIM][N ]と表記される1−(2−ブチニル)−3−メチル−イミダゾリウムアジドの使用によって例示してもよい。この化合物は、SchneiderのInorganic Chemistry 2008,47(9), 3617−3624に従って、アジド交換樹脂上の臭化1−(2−ブチニル)−3−メチル−イミダゾリウムから調製してもよい。それは、NO中への直接溶解によって溶液中に投入してもよい。下記図面は、[ByMIM][N ]の構造を示している。
Figure 2013155105
以下の表および図1は、10barのチャンバー圧力ならびに2つの膨張比:ε=80およびε=330に対するISP理論値を提示している。約311sおよび329sの最大ISPは、それぞれ最適混合比O/F=5において見出される。これは、溶液中にNO1kg当たり200gの[ByMIM][N ]を投入することに対応する。
Figure 2013155105
(実施例2)
第2の事例は、[BMIM][N(CN) ](Solvionicによって販売)と表記される1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムジシアナミドと、NOとの間の液体−液体二元混合物によって表すことができる。下記図面は、[BMIM][N(CN) ]の構造を示している。
Figure 2013155105
混合比に伴うISPの変動は、実施例1で明示したものと同じ条件下で、以下の表および図2に記載されている。ISP最大値は、O/F=6の最適混合比において得られ、ε=80およびε=330のそれぞれに対して、304.6sおよび322.3sの値をそれぞれ有する。
Figure 2013155105
(実施例3)
第3の事例は、SinghのStructure bond 2007, 125:35−83に従って合成された[DAMT][N(NO]と表記する1,5−ジアミノ−4−メチル−テトラゾリウムジニトロアミドと、ピロリジンと、NOとの間の三元平衡によって例示してもよい。[DAMT][N(NO]の構造は下記のとおりである。
Figure 2013155105
これは三元混合物であるので、混合比O/Fの観念は、ここではもう用いない。代わりに、ISP三元図が研究されており、3種の化合物の質量分率が掃引される。以下の表および図3は、エネルギー溶媒中での相異なる塩の質量分率に対する最大ISP値および対応する最適混合比を提示している。計算は、実施例1および2のものと同じ条件下で実施している。
Figure 2013155105
3.塩の調製
本発明による塩は特に、
・−SinghのStructure bond 2007, 125:35−83、US8,034,202、Asikkalaの(Application of ionic liquids and microwave activation in selected organic reaction, Acta Univ. Oul. A502, 2008)に従ったアルキル化による第四級化により、
・SinghのStructure bond 2007, 125:35−83; US 8,034,202に従った、対応するハロゲン化物の硝酸銀塩、ジニトロアミド塩、アジド塩の存在下におけるメタセシスにより、
・Asikkala(Application of ionic liquids and microwave activation in selected organic reaction, Acta Univ Oul. A502, 2008; on a column: SchneiderのInorganic Chemistry 2008,47(9), 3617−3624に従ったイオン交換によって別のイオン性化合物から
調製できる。
4.塩の最適化
単元推進薬の燃焼によって発生する比推力は、NOと燃料(溶解した「結晶質」塩または液体塩)の間の混合比O/Fに密接に依存する。次いで、曲線を、一定に維持されたその他の任意のパラメータO/F(チャンバー圧力、初期温度、膨張比ε)に対比したISPの展開をプロットすることによって作成することができる。次いで、SP最大値を、対応する最適値O/Fと同様に特定することができる。理想的には、単元推進薬は、最良の推進薬性能を提供するためには、この混合比を遵守することによって合成しなければならない。
しかしながら、結晶質塩(すなわち、標準的な条件下での固体)の場合、NO中のまたはNOと合わせた溶液中の塩の溶解度は、到達可能なO/F間隔を制限する。実際に、混合比は、使用の最低温度(通常、Tmin=0℃)における塩の溶解度によって規定される閾値より大きくなければならない。所与の単元推進薬では、ISP最大値を達成可能にするために実現され得る溶解度領域中に最適混合比が見出されることが好ましいのは、明らかなことと思われる。
Figure 2013155105
これは図4で図示されている。
したがって、当該の結晶質塩は、指定した最低温度
Figure 2013155105
において大きな溶解度を有さねばならないか、または、高い混合比(通常、4≦O/F≦10)に伴ったISP最適値を示さねばならないかのいずれかである。
上記で示した実施例3は、実際にこの課題を例示しており、溶媒に頼らなくとも、
ISP最大値が(O/F)opt=0.5において見出され、これは塩の
Figure 2013155105
の溶解に対応する。この値は、0℃での[DAMT][N(NO]の最大溶解度をかなり超えている。エネルギー溶媒に頼ることによって、最適混合比を向上して塩の必要量を減少させ、それにより、溶解度上限を遵守することが可能である。したがって、ピロリジン溶液中で40%の塩の質量分率では、3.4の最適混合比が見出され、これにより、必要な塩の質量を
Figure 2013155105
に低下させることが可能となる。しかしながら、この手法は最大ISPを変更させ(ここでは約−6s)、これは、用いた溶媒のエネルギー密度の重要性のすべてを示している。
最低混合比(O/F)minに関する条件の遵守は、タンクの空洞化の進行に関わらず妥当であるべきである。ここで、混合物の飽和曲線に従うことによる、空洞化中のNOの相変化は、液体相の塩含量の増大を起こす。混合比は、液体相の抜き出し中に徐々に低下する。塩濃度の増大が、後者の再結晶のリスクを伴う溶解度の超過につながらないことを確実にするのが賢明である。単元推進薬の初期混合比の選択には次いで、空洞化の終了時におけるその条件を考慮に入れるべきである。これが、特定の場合、特に(O/F)optが(O/F)minに非常に近い場合に、最適値を超えた初期混合比で作業することが必要な理由である。好ましくない事例では、最大ISPは、飽和を超えた領域内にある。到達可能なISPは最大値より低く、溶解度最大値までの範囲にわたる領域内で選択される。
5.単元推進薬の調製
亜酸化窒素の揮発性には、単元推進薬の調製であって、その間、塩および/または溶媒とNO混合物との混合が屋外では実施できないが、反対に、密閉筐体中ではできる調製のための特定の方法が関与する。例示的な手順は下記であり、清潔で除染された筐体で始めて、
1)上に提示した最適化基準を遵守する質量の結晶質または液体形態の塩を、筐体中に導入し、
2)必要ならば、必要な割合のエネルギー溶媒を注入し、
3)筐体に真空を適用(通常は10Paの残圧)し、
4)吸入筐体を継続的に秤量するまたはNOの初期容器を継続的に秤量することにより、導入される質量を制御しながら、亜酸化窒素を筐体中に注入し、
5)混合物を撹拌し、
6)指定した温度間隔を遵守するために、該筐体(すなわち「貯蔵シリンダー」)の圧力−温度条件を制御しながら貯蔵する。
6.人工衛星に対する充填
人工衛星上のタンクの充填は次いで、貯蔵シリンダーと推進モジュールのタンクとを連通させて液体相を抜き出すことによって実施できる。シリンダーからタンクまでの単元推進薬の移送を可能とする駆動力は、単元推進薬の自己加圧によって直接確保される。追加用中性気体の使用は、貯蔵シリンダーから単元推進薬を排出するために予期され得る。
7.動作条件および燃焼条件
加圧タンク内に貯蔵された単元推進薬{NO+イオン燃料}は、特に流量調節バルブ、いわゆる「エンジンバルブ」を備える通例の流体管路を通って、推進機内に注入される。単元推進薬は、その液体相を含んだタンクにおいて、この相のみが酸化剤と燃料の両方を含む限りは抜き出される。本技術革新によく適合した抜き出し技法は、当業者に周知の毛細管ネットワークシステム(表面張力タンクという用語でも知られている)である。流体管路を通して単元推進薬を排除して推進機に供給することは、液体溶液と平衡しているNOガスによって発生する圧力によって確保される。液体相のみが次いで排出される。
推進機内に注入される単元推進薬の質量流量の値は、タンクからエンジンまでの流体管路中の合計圧力降下、特に注入器の特異的な圧力降下(その設計によって規定される)によって規定される。単元推進薬が注入ヘッドを通過していない限り、それは、それがこの状態でタンク内に存在している限りは液体相内に留まる。
単元推進薬がエンジン(いわゆる「前方底部」)のヘッドに位置した注入器の中を通り過ぎた際、後者が膨張を被る。それは次いで、燃焼室の上流部分に入り込み、相変化を被ることになる。相変化の原因は、燃焼室の条件、より具体的にはその圧力および温度のレベルに応じて異なる。これが点火であるならば、単元推進薬は、該チャンバーがノズルを介して宇宙真空と連通している限りは、「新鮮な」真空媒体またはほぼ真空媒体(これは、希薄化媒体と呼ばれる)に入り込むと仮定できる。単元推進薬は、その飽和蒸気圧が燃焼室内部の残圧より明らかに大きくなるので、急速に揮発する。この現象は、単元推進薬または推進機の壁がより高い温度にある場合は激化する。
点火フェーズは、「穏やかな」点火(システムを損傷させてしまう恐れのある瞬間的で激烈な圧力ピークを伴う「ハードスタート」の反対)を発生させるために、スパークプラグの誘因と、単元推進薬の流れの到着とを同調させることから成る。上質の点火を保証することはまた、比較的一様の周波数(数十ミリ秒から数百ミリ秒のオーダーの期間)において、スパークプラグの一連の誘因(アーク放電)を生成することによって達成することもできる。一連のアークはまた、局部予熱として働くために、注入時のわずかなフェーズ前進によって誘発されることもあり得る。点火の最適化は、したがって、最適化された幾何学的設計と一連の誘因との協同に基づいている。
単元推進薬が「ホット」チャンバーに入り込み、これが例えば、比較的近い不活性相によって中断される数回の連続的点火(ショートサイクル)に対応する場合、点火は、単元推進薬がスパークプラグの刺激前に追加用エネルギーの供給を受け取るので、容易になる。これらの課題は、特に、高高度でのタービンエンジンまたは極低温技術式二液式推進機(cryotechnical biliquid thruster)の点火に関して、当業者に周知である。
有利なことに、燃焼は、単元推進薬の流れが維持されている限り、点火後に維持され(開放型エンジンバルブ)、したがって、追加のスパークプラグ誘因を全く必要としない。単元推進薬の燃焼によって放出されたエネルギーは、注入された新鮮な化学種の反応を持続させるためには十分である。燃焼は、主要酸化剤、すなわちNOと、酸化性基(例えばニトロアミド)をおそらくは含むイオン燃料との反応にある。該反応は、高圧力の高温ガスを生じさせる。燃焼室は、熱力学的平衡が、最大効率を達成するように既燃ガスを噴出する前に到達されるような寸法になっている。ガスは、最適な推力を発生させるために流れを始動および加速させるように、変換部と、音速ネックおよび分流部とを備えたノズルを介して噴出される。

Claims (14)

  1. 少なくとも一部が液体の形態である、酸化剤としての亜酸化窒素(NO)、および
    液体NO相中の塩の形態の燃料
    を含む混合物を含む単元推進薬。
  2. 前記亜酸化窒素が部分的に気体の形態である、請求項1に記載の単元推進薬。
  3. その液体相が、
    (i)室温で単離され、少なくとも一部が液体形態で存在しているNOに可溶化したときに固体塩の形態にある燃料、または
    (ii)少なくとも一部が液体形態で存在しているNOとの二元混合物における燃料の溶融塩、または
    (iii)少なくとも液体形態で存在しているNOとの二元混合物における、有機もしくはイオン性エネルギー溶媒中に溶解した燃料のイオン性溶液
    から構成される、請求項1または2に記載の単元推進薬。
  4. 前記燃料がエネルギー有機化合物の塩である、請求項1から3のいずれか一項に記載の単元推進薬。
  5. 前記燃料が窒素含有誘導体の塩である、請求項1から4のいずれか一項に記載の単元推進薬。
  6. 前記塩のカチオンが、
    アンモニウムイオン、ヒドロキシルアンモニウムイオン、ヒドラジニウムイオンおよびそれらの誘導体等の直鎖カチオンと、
    ピペリジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオンおよびそれらの誘導体等の飽和複素環カチオンと、
    アジニウム、アゾリウム、ジアゾリウム、トリアゾリウムおよびテトラゾリウム、特にピリジニウム、ピロリウム、イソオキサゾリウム、ピラゾリウム、オキサゾリウム、ピラゾリウム、イミダゾリウム、オキサジアゾリウム、トリアゾリウム、オキサトリアゾリウム、テトラゾリウム、ピロリジウム、トリアジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、ピペリジニウム、1,2,3−または1,2,4−トリアゾリウム、1,4,5−または2,4,5−テトラゾリウム、ならびに、それらの−イニウム類縁体および−イジニウム類縁体、およびそれらの誘導体等の、芳香族またはそれ以外のいずれかの複素環カチオンと、
    から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の単元推進薬。
  7. 前記カチオンがアンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、トリアゾリウムイオン、テトラゾリウムイオンおよびそれらの誘導体から選択される、請求項6に記載の単元推進薬。
  8. 前記塩のアニオンが、
    アジドイオン、硝酸イオン、ニトロアミドイオン、ジニトロアミドイオン、ニトロホルマートイオン、亜硝酸イオン、酢酸イオン、シアナミドイオン、ジシアナミドイオン等の直鎖アニオンと、
    アゾレート(ピロレート等)、ジアゾレート(ピラゾレート、イミダゾレート等)、トリアゾレート(1,2,3−および1,2,4−トリアゾレート)、およびテトラゾレート(ニトロテトラゾレート等)、ならびにそれらの誘導体等の不飽和複素環アニオンと、
    から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の単元推進薬。
  9. 対イオン(アニオン)が、アジドイオン、硝酸イオン、ジニトロアミドイオン、ジシアナミドイオン、イミダゾレートイオンおよびテトラゾレートイオンならびにそれらの誘導体から選択される、請求項8に記載の単元推進薬。
  10. 前記燃料が、
    アンモニウムアジド(AA)、
    テトラブチルアンモニウムアジド、
    トリアゾリウムニトロテトラゾレート、
    アジドトリアゾリウムニトロテトラゾレート、
    アンモニウムジニトロアミド(ADN)、
    ヒドロキシルアンモニウムアジド(HAA)、
    ヒドラジニウムアジド(HA)、
    1−(2−ブチニル)−3−メチル−イミダゾリウムアジド、
    硝酸ヒドロキシルアンモニウム(HAN)、
    ヒドラジニウムニトロホルマート(HNF)、
    硝酸アンモニウム(AN)、
    硝酸ヒドラジニウム(HN)、
    硝酸トリエタノールアンモニウム(TEAN)、
    ヒドロキシルアンモニウムジニトロアミド(HADN)、
    アンモニウムジシアナミド、
    イミダゾリウムジシアナミド、
    1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、
    酢酸1−ブチル−2,3−ジメチルアミダゾリウム、
    酢酸1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、ジシアナミド、
    1−エタノール−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、
    N−トリブチル−N−メチルアンモニウムジシアナミド、
    1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムジシアナミド、
    1,2,4−トリアゾリウム4,5−ジニトロ−イミダゾレート
    1−メチル−1,2,4−トリアゾリウム4,5−ジニトロ−イミダゾレート、
    3−アジド−1,2,4−トリアゾリウム4,5−ジニトロ−イミダゾレート、
    1−メチル−3−アジド−1,2,4−トリアゾリウム4,5−ジニトロ−イミダゾレート、
    4−アミノ−1,2,4−トリアゾリウム4,5−ジニトロ−イミダゾレート、
    1,2,4−トリアゾリウム5−ニトロ−テトラゾレート、
    1−メチル−1,2,4−トリアゾリウム5−ニトロ−テトラゾレート、
    3−アジド−1,2,4−トリアゾリウム5−ニトロ−テトラゾレート、
    1−メチル−3−アジド−1,2,4−トリアゾリウム5−ニトロ−テトラゾレート、
    4−アミノ−1,2,4−トリアゾリウム5−ニトロ−テトラゾレート、
    硝酸1−アミノ−4,5−ジメチルテトラゾリウム、
    硝酸2−アミノ−4,5−ジメチルテトラゾリウム、
    硝酸1,5−ジアミノ−4−メチルテトラゾリウム、
    1,5−ジアミノ−4−メチルテトラゾリウムジニトロアミド、
    1,5−ジアミノ−4−メチルテトラゾリウムアジド、
    1,5−ジアミノ−4−メチル−テトラゾリウムジニトロアミド
    から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の単元推進薬。
  11. 密閉筐体中で燃料とNOとを混合するステップを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の単元推進薬を調製する方法。
  12. 請求項1から10のいずれか一項に記載の単元推進薬を用いた宇宙推進方法。
  13. 制御された点火による単元推進薬の燃焼を含む、請求項12に記載の推進方法。
  14. タンク内の単元推進薬を加圧するための手段を含む、請求項12または13に記載の方法。
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