本発明による打込機の実施の形態について図1乃至図8を参照しながら説明する。以下の説明では、便宜上図1、図2の上下をそれぞれ打込機1の上下とする。また、図1の紙面の裏側から表側へと向かう方向(図2の右側から左側へと向かう方向に相当)を前方とし、その反対の方向を後方とする。また、図1の右側から左側へと向かう方向を右方向とし、その反対の方向を左方向とする。
図1、図2に示すように、打込機1は圧縮空気により駆動する打込機であり、フレーム10とフレーム10の一方に位置するハンドル10Aとが一体で設けられている。フレーム10とハンドル10Aとはハウジングに相当する。
ハンドル10Aには図示せぬエアホースが接続され、図示せぬエアホースを通して圧縮空気をハンドル10A内及びフレーム10内に形成された蓄圧室10aに供給可能である。また、ハンドル10A内には、分岐流路10Aaが形成されている。分岐流路10Aaは一端が蓄圧室10aに開口し、他端は、後述のメインバルブ制御通路に開口しており、その途中には後述のサブピストン下室連通路10Abの一端が開口している。分岐流路10Aaの一部であって後述のサブピストン下室連通路10Abの一端が開口している部分には、サブピストン駆動バルブ10AAが設けられている。
サブピストン駆動バルブ10AAは、下部をなす大径部と中部をなす中径部と上部をなす小径部とを有しており、大径部、中径部、及び中径部と小径部との接続部分には、それぞれOリングからなる下シール部材10AD、中シール部材10AC、上シール部材10ABが設けられている。サブピストン駆動バルブ10AAは、圧縮空気の圧力により上下に移動可能である。
また、分岐流路10Aaの一部であってサブピストン駆動バルブ10AAが設けられている部分には、図2、図3(a)〜図3(c)に示すように、ハンドル10Aの内に形成された蓄圧室10aと後述のサブピストン下室71aとを連通するサブピストン下室連通路10Abが形成されている。サブピストン下室連通路10Abの一端は、分岐流路10Aaの一部であってサブピストン駆動バルブ10AAが設けられている部分に開口し、ハンドル10A内及びフレーム10内において当該開口からサブピストン下室71aに至るまで延びて、サブピストン下室71aに開口している。また、分岐流路10Aaの一部であってサブピストン駆動バルブ10AAが設けられている部分であって、サブピストン下室連通路10Abの一端開口の下方には、大気と連通する大気連通排気路10Acの一端開口が形成されている。なお、説明の便宜上、図3(c)ではサブピストン駆動バルブ10AAの図示を省略している。
また、分岐流路10Aaは上端が細く窄まっており、サブピストン駆動バルブ10AAの上シール部材10ABによって、蓄圧室10aから分岐流路10Aa内に圧縮空気が連通しないようにシール可能である。分岐流路10Aaの一部であって上端よりもすぐ下の部分は、上端の部分よりも拡径しており、サブピストン駆動バルブ10AAの中シール部材10ACによって、当該中シール部材10ACの上下に圧縮空気が連通しないようにシール可能である。分岐流路10Aaの一部であって更に下の部分は更に拡径しており、サブピストン駆動バルブ10AAの下シール部材10ADによって、当該下シール部材10ADの上下に圧縮空気が連通しないようにシール可能である。
図3(a)に示すように、大気連通排気路10Acの一端開口は、サブピストン駆動バルブ10AAが最も上に位置したときに、その大部分が中シール部材10ACと上シール部材10ABとの間に位置するが、それ以外の部分は中シール部材10ACよりも下に位置している。このため、サブピストン駆動バルブ10AAが最も上に位置したときには、大気連通排気路10Acはサブピストン下室連通路10Abに連通し大気に連通する。また、蓄圧室10aと分岐流路10Aaとの連通が遮断される。図3(b)に示すように、サブピストン駆動バルブ10AAが最も下に位置したときには、大気連通排気路10Acとサブピストン下室連通路10Abとは遮断され、サブピストン下室連通路10Abの一端開口が開かれ、分岐流路10Aa、蓄圧室10a内の気圧とサブピストン下室71a(図7等)内の気圧とが同一となる。
また、分岐流路10Aaには、半月状シャフト76が設けられている。半月状シャフト76は、図4、図5に示すように、その側面が分岐流路10Aaを画成するような位置関係で、回転軸心が左右方向に指向しハンドル10Aに対して回転可能に支承されている。半月状シャフト76は、円柱を、その軸心を通る断面で切ったような形状をなしており、軸心に直交する面で切った断面が半月状をなしている。半月状シャフト76の軸方向の一端には、ノブ77が半月状シャフト76の当該断面の幅方向における中央線を中心として、半月状シャフト76と一体回転可能に設けられている。
ノブ77が回転させられて図4に示す状態となったときには、サブピストン駆動バルブ10AAの下端に半月状シャフト76が当接し、サブピストン駆動バルブ10AAは上下に移動不能な固定された状態をなす。ノブ77が回転させられて図5に示す状態となったときには、サブピストン駆動バルブ10AAは上下に移動可能な状態をなす。
サブピストン下室連通路10Abには、サブピストン下室71aとピストン上室12bとの連通/遮断を切換える切換えスイッチたる半月状シャフト76とノブ77とサブピストン駆動バルブ10AAとが設けられているため、必要に応じて反力を相殺せずに利用することができる。例えば、釘を連続して打つ場合に、釘を打ってから次の釘へ打込む際に、反力を利用することで打込機が持ち上がり、その瞬間に打込む場所を変えて、打込機1を自重ないしは軽荷重で振り下ろすことにより、作業者があまり力を使わずに次の釘を打込むことができ、このようにして連続して釘を打込むことができる。
フレーム10内には円筒状のシリンダ11が設けられており、シリンダ11内には上下に往復摺動可能にピストン12Aが設けられている。ピストン12Aにはドライバブレード12Bが一体に形成され、ドライバブレード12Bの先端部12Cによって図示せぬ留め具たる釘を打込み可能である。また、シリンダ11の軸方向における略中央部には逆止弁12Dが備えられており、シリンダ11下部の外部には、ドライバブレード12Bを上死点に復帰させるために圧縮空気を貯める戻り空気室10bが、フレーム10の一部及びシリンダ11の一部により画成されている。圧縮空気は、逆止弁12Dによってシリンダ11内から戻り空気室10bへの一方向にのみ流れることができるように構成されている。
またシリンダ11下部には、シリンダ11内と戻り空気室10b内とを常時連通する空気通路11aが形成されている。またシリンダ11下端には、図示せぬ留め具打ち込み後のドライバブレード12Bの余剰エネルギーを吸収するためのピストンバンパ11Aが設けられている。
ハンドル10Aの基部には操作部20が設けられている。操作部20は、作業者の指によって操作されるトリガ21と、トリガ21に回動可能に装着されたアームプレート22と、フレーム10の下端から突き出しアームプレート22近傍まで延びフレーム10の下端に沿って移動可能なプッシュレバー23とを有している。またハンドル10Aの基部でトリガ21に対向する箇所には後述のトリガバルブ部30が設けられている。
作業者の指によるトリガ21の引き操作とプッシュレバー23の被打込材への押し当て操作との両方が同時に行われた時に、アームプレート22とトリガ21とにより構成されるリンク機構によって、後述のトリガバルブ部30のプランジャ32が押し上げられるように構成されている。
フレーム10の下端には、図示せぬ留め具を射出するための射出部13が設けられている。射出部13には、図示せぬ留め具たる釘を充填するマガジン41と、マガジン41に装填された図示せぬ留め具を順次射出口13aに給送する給送機構42とが接続されている。
トリガバルブ部30は、図2に示すように、外方バルブブッシュ30A及び内方バルブブッシュ30Bと、バルブピストン31と、プランジャ32とを有している。外方バルブブッシュ30A及び内方バルブブッシュ30Bは、トリガバルブの外郭をなすトリガバルブ外枠部としてフレーム10に固定されている。
バルブピストン31は、外方バルブブッシュ30A内及び内方バルブブッシュ30B内に位置するように設けられており、外方バルブブッシュ30A及び内方バルブブッシュ30Bに対して往復摺動可能である。バルブピストン31は、図面には現れていないが、その摺動方向の上端部が蓄圧室10aに面している。また、バルブピストン31の下方には、バルブピストン31の下端部と外方バルブブッシュ30Aとによってトリガバルブ室30aが画成されている。
プランジャ32は、バルブピストン31の軸心位置に形成された貫通孔内に配置されており、貫通孔を画成するバルブピストン31に対して往復摺動可能である。プランジャ32の下端部は、トリガバルブ室30a内を貫通しており、バルブブッシュ30Aに形成された貫通孔を貫通しアームプレート22に当接可能である。
バルブピストン31とプランジャ32との間にはスプリングが設けられており、バルブピストン31を上方に付勢すると共にプランジャ32を下方に付勢している。
プランジャ32と外方バルブブッシュ30Aとの間には蓄圧室10aからトリガバルブ室30aに連通する空気通路30Aaが形成されている。おり、また、プランジャ32とバルブピストン31との間にはトリガバルブ室30aから大気に連通するトリガバルブ制御通路が形成されている。空気通路30Aa、トリガバルブ制御通路は、プランジャ32が摺動することにより択一的に連通/遮断される。
またトリガバルブ部30は、後述のメインバルブ室10eより延びる図示せぬメインバルブ制御通路に接続されている。具体的には、バルブピストン31と内方バルブブッシュ30Bとの間であってメインバルブ制御通路の開口部の下方には、メインバルブ制御通路から蓄圧室10aに連通するメインバルブ入気通路が形成されている。また、バルブピストン31と内方バルブブッシュ30Bとの間であってメインバルブ制御通路の開口部の上方には、メインバルブ制御通路から大気に連通する第2空気通路が形成されている。そして、メインバルブ制御通路は、バルブピストン31と内方バルブブッシュ30Bとの間の空間をなすこれらメインバルブ入気通路、第2空気通路に連通可能である。メインバルブ入気通路、第2空気通路は、バルブピストン31が上下摺動することにより択一的に連通/遮断されるように構成されている。
バルブピストン31が上死点側に位置している時には、メインバルブ入気通路が開通して蓄圧室10aとメインバルブ制御通路と分岐流路10Aaの一部であってサブピストン駆動バルブ10AAよりも他端側の部分(以下「分岐流路他端側部分10aa」とする)とが連通すると共に、第2空気通路が閉鎖して、分岐流路他端側部分10aa及びメインバルブ制御通路と大気とが遮断される。またバルブピストン31が下死点側に位置している時には、メインバルブ入気通路が閉鎖して、分岐流路他端側部分10aa及びメインバルブ制御通路と蓄圧室10aとが遮断されると共に、第2空気通路が開通して、分岐流路他端側部分10aa及びメインバルブ制御通路と大気とが連通する。
プランジャ32が下死点側に位置している時には、トリガバルブ制御通路が閉鎖してトリガバルブ室30aと大気とが遮断されると共に、空気通路が開通して蓄圧室10aとトリガバルブ室30aとが連通する。また、プランジャ32が上死点側に位置している時には、トリガバルブ制御通路が開通してトリガバルブ室30aと大気とが連通すると共に、空気通路が閉鎖して蓄圧室10aとトリガバルブ室30aとが遮断される。
図6等に示すように、シリンダ11の上端上方にはメインバルブ部50が設けられている。メインバルブ部50は、メインバルブ51と、シリンダ11の上方に固着されたメインバルブラバー52Aと、メインバルブ51を下死点側に付勢するメインバルブスプリング53と、シリンダ11の上方に設置され、ピストン12Aのピストン上室11bの圧縮空気を排気するための空気通路10cをメインバルブ51との当接によって遮断するエキゾーストラバー52Bとを有している。また空気通路10cはフレーム10上部に設けた図示せぬ排気穴を経て大気と連通している。
メインバルブ51はフレーム10の一部より形成されるメインバルブ室画成部10D内に収容可能に設けられている。メインバルブ51を収容可能なメインバルブ室画成部10Dの部分はメインバルブ室10eをなし、メインバルブ制御通路に連通する。メインバルブ51の上部には、メインバルブ室10eと空気通路10cとの連通を常時遮断するOリング51Aが設けられている。また、メインバルブ51には、メインバルブ室10eと蓄圧室10aとの連通を常時遮断するOリング51Bが設けられている。Oリング51A、51Bによりメインバルブ室10eは気密性が保たれている。
図7、図8に示すように、メインバルブ51が上死点側に位置しているときには、メインバルブ51がエキゾーストラバー52Bと接触して空気通路10cを閉鎖しピストン12Aのピストン上室11bと大気とが遮断されると共にピストン上室11bと蓄圧室10a(図2等)とが連通する。また、図6に示すように、メインバルブ51が下死点側に位置しているときには、メインバルブ51がメインバルブラバー52Aと接触してピストン12Aのピストン上室11bと蓄圧室10aとが遮断されると共に、メインバルブ51はエキゾーストラバー52Bから離間して空気通路10cを開通させ、ピストン上室11bと大気とを連通させる。
図1に示すように、フレーム10の左側の側面には、円筒形状をしたサブシリンダ71が設けられている。サブシリンダ71はその軸方向がシリンダ11の軸方向と平行をなしており、従ってサブシリンダ71は、シリンダ11の軸方向に直交する方向においてシリンダ11に対向する位置関係をなしている。サブシリンダ71内の空間をサブシリンダ71の軸方向に直交する面で切った断面積は、シリンダ11内の空間をシリンダ11の軸方向に直交する面で切った断面積よりもはるかに小さい。このため、サブシリンダ71の容積を小さく設計することができる。従って、後述のサブピストン72を駆動させる空気量を少なくすることができ、ピストン12Aの打込み力低下を最小限とすることができる。
サブシリンダ71の内部には、略円柱形状をしたサブピストン72がサブシリンダ71の内面に対して摺動可能に設けられている。また、サブピストン72にはスプリング73の下端が当接し、スプリング73の上端は、サブシリンダ71の上端部に当接している。スプリング73の付勢力は、サブシリンダ71内におけるサブピストン72の移動を妨げない程度に弱く、打込機1が動作していないときであって外部から力が作用していないときに、サブピストン72を下端に配置させる程度である。サブピストン72はカウンターウェイトに相当する。サブピストン72は、サブシリンダ71内の空間をサブシリンダ71の上端寄りに位置するサブピストン上室71bとサブシリンダ71の下端寄りに位置するサブピストン下室71aとに区画する。
サブピストン72の重量はピストン12Aの重量とほぼ同一であり、80g程度である。サブピストン72はピストン12Aよりも密度が高い材質を用いることが望ましい。それにより、サブピストン72を小型化することができる。例えば、サブピストン72として真鍮を用い、ピストン12Aとしてアルミニウムを用いることができる。また、サブシリンダ71の下端は、シリンダ11の下端に一致した位置関係をなしており、サブシリンダ71内におけるサブピストン72のストローク、即ち、サブシリンダ71内面に対するサブピストン72の移動可能な範囲は、シリンダ11内におけるピストン12Aのストローク、即ち、シリンダ11内面に対するピストン12Aの移動可能な範囲とほぼ同一であり、10cm程度である。サブピストン72の移動可能な距離は、少なくともピストン12Aが打込み工程中に移動する距離の半分以上であることが望ましい。このように構成することで、サブピストン72の移動可能な距離が長いため、ピストン12Aの移動と同期してサブピストン72を移動させることで、打込み工程中全体に渡って反動を低減することができる。
次に、打込機1による打ち込み動作について説明する。先ず、打込機1に図示せぬエアホースをつなぎ、圧縮空気を蓄圧室10aに蓄積する。スプリングの付勢力によってプランジャ32は下死点に位置している。プランジャ32が下死点に位置することにより空気通路が開通しており、蓄圧室10aとトリガバルブ室30aとが連通している。同時にトリガバルブ制御通路が閉鎖されているため、トリガバルブ室30aと大気との連通は遮断されており、蓄圧室10a内の圧縮空気の一部は空気通路を介してトリガバルブ室30a内に流入し蓄圧室10aと同圧の空気が蓄積されている。
このときバルブピストン31は上死点に位置している。バルブピストン31が上死点に位置していることによりメインバルブ入気通路が開通して、蓄圧室10aと、メインバルブ制御通路と、分岐流路他端側部分10aaと、が連通している。同時に第2空気通路が閉鎖されているため、メインバルブ制御通路と大気との連通は遮断されており、蓄圧室10a内の圧縮空気の一部はメインバルブ制御通路と、分岐流路他端側部分10aaと、に流入し、メインバルブ室10eに蓄圧室10aと同圧の空気が蓄積される。蓄圧室10a内の圧縮空気の一部がメインバルブ室10e内に流入しているため、圧縮空気及びメインバルブスプリング53の付勢力によって、メインバルブ51は下死点に位置している。また、蓄圧室10a内の圧縮空気の一部が、分岐流路他端側部分10aaに流入しているため、サブピストン駆動バルブ10AAが最も上側に押し上げられ、分岐流路10Aaの一端開口を塞いでいる。
メインバルブ51が下死点に位置することにより、メインバルブ51がメインバルブラバー52Aと接触し、エキゾーストラバー52Bと僅かに離間して空気通路10cが開通する。よってシリンダ11内のピストン12Aのピストン上室11bと大気とが連通されてピストン上室11bが大気圧となっている。また、ピストン上室11bと蓄圧室10aとの連通は遮断されているため、ピストン上室11bに蓄圧室10aよりの空気が流入することはない。よってピストン12Aは上死点側で停止した状態にある。
次に、トリガ21の引き操作およびプッシュレバー23の被打込材への押し当て操作の両方を行い、プランジャ32を上死点に押し上げる。プランジャ32が上死点側に位置することにより、トリガバルブ制御通路が開通する。このことによりトリガバルブ室30aと大気とが連通し、トリガバルブ室30a内は大気圧となる。また空気通路が閉鎖して蓄圧室10aとトリガバルブ室30aとの連通を遮断し、蓄圧室10aからトリガバルブ室30a内への空気の流入が停止する。
この結果、トリガバルブ室30a内が大気圧となるため、バルブピストン31の蓄圧室10a側が受ける圧力とトリガバルブ室30a側が受ける圧力に差が生じ、バルブピストン31は下死点へと移動する。
バルブピストン31が下死点に位置することにより、メインバルブ入気通路が閉鎖して分岐流路他端側部分10aa及びメインバルブ制御通路と蓄圧室10aとの連通が遮断され、蓄圧室10aから分岐流路他端側部分10aa及びメインバルブ制御通路への空気の流入が停止する。また、第2空気通路が開通して分岐流路他端側部分10aa及びメインバルブ制御通路と大気とが連通される。これにより分岐流路他端側部分10aa及びメインバルブ制御通路内が大気圧となり、メインバルブ制御通路に連なるメインバルブ室10e内も大気圧になる。
メインバルブ室10e内が略大気圧になると、メインバルブ51が上死点側に移動する。これと同時に図5に示すようにサブピストン駆動バルブ10AAが圧縮空気によって押し下げられてサブピストン下室連通路10Abの一端開口が開き、サブピストン下室連通路10Abを通してサブピストン下室71a内に圧縮空気が流入する。
メインバルブ51が上死点側に移動し始めると、蓄圧室10aとピストン12Aのピストン上室11bが連通するため、メインバルブ51は急激に上死点側に移動し、エキゾーストラバー52Bに当接し、蓄圧室10a及びピストン12Aのピストン上室11bと大気との連通とが遮断される。
メインバルブ51が下死点から上死点へと移動することにより蓄圧室10aからのピストン12Aのピストン上室11bに圧縮空気が流入し、ピストン12Aは急激に下死点側に移動し、先端部12Cにより図示せぬ留め具を打ち込む。この際、図示せぬ留め具からドライバブレード12Bが反力を受け、ピストンピストン上室11b内の圧縮空気を介してフレーム10等を上方へ押し上げる。
しかしこれと同時に、サブピストン下室71a内に流入した圧縮空気によって、スプリング73の付勢力に抗して、サブピストン72が上方へピストン12Aの摺動量と同じ量で摺動する。このことにより、ピストン12Aの移動及び図示せぬ留め具の打込みに伴い発生する反力と、サブピストン72の移動に伴い発生する反力とが相殺し合う。
シリンダ11内のピストン12A下側の空気は、空気通路11aを介して戻り空気室10bに流入する。ピストン12Aが逆止弁12Dを通過すると、ピストン12Aのピストン上室11bの圧縮空気は逆止弁12D及び空気通路11aを通して圧縮空気がピストン上室11bから戻り空気室10b内へと流入する。
メインバルブ51が下死点に移動してメインバルブラバー52Aに接触することにより蓄圧室10aとピストン12Aのピストン上室11bとの連通が遮断され、エキゾーストラバー52Bと離間することによりピストン上室11bと大気とが連通する。戻り空気室10bに蓄積された圧縮空気によってピストン12A下側が押圧され、ピストン12Aは急激に上死点側に移動する。ピストン上室11bの空気は、空気通路10cを介して排気穴から大気に放出される。
その後、ピストン12Aはピストン下室11c内の圧縮空気で押し上げられ上死点まで復帰する。ピストン12Aの復帰に従い、ピストン下室11cの圧縮空気は膨張し圧力は低くなり、更にピストン12Aのドライバブレード12Bと射出口13aとの隙間から排気されるため低くなる。
次に、トリガ21を戻すかプッシュレバー23の被打込材への押し当て操作をやめると、プランジャ32は上端部に作用する蓄圧室10aの圧力とスプリングの押圧力によって下死点側に移動する。プランジャ32が下死点に移動することにより、トリガバルブ制御通路が遮断され、空気通路を介して蓄圧室10aの圧縮空気がトリガバルブ室30aに流入する。
トリガバルブ室30aに圧縮空気が流入すると、バルブピストン31の上部端面の面積および下方端面の面積の差により発生する押圧力と、スプリングの付勢力とによって、バルブピストン31は上死点側に移動する。
また、サブピストン駆動バルブ10AAが圧縮空気によって押し上げられて、蓄圧室10aと分岐流路10Aaとが遮断される。また、サブピストン下室連通路10Abと大気連通排気路10Acとが連通し、サブピストン下室71a内の圧縮空気が大気連通排気路10Acを通して大気へと排出される。
フレーム10の側面には、シリンダ11の軸方向においてピストン12Aの移動方向とは反対の方向へ移動可能なカウンターウェイトたるサブピストン72が設けられているため、ピストン12Aがシリンダ11の一端側から他端側へと下降する反力がフレーム10やシリンダ11等に作用してフレーム10やシリンダ11等が上方へ押されるが、その一方でカウンターウェイトはピストン12Aとは逆の方向に移動させられ、その反力をフレーム10やシリンダ11等に作用させてフレーム10やシリンダ11等を下方へ押すことができる。このため、フレーム10やシリンダ11等に作用する反力を相殺することができ、反動を低減することができる。
また、カウンターウェイトは、シリンダ11の軸方向に直交する方向において対向する位置関係で配置されているため、シリンダ11の軸方向における打込機の寸法が大きくなることを防止することができる。また、この位置はデッドスペースになるため、デッドスペースを有効活用することができる。
また、カウンターウェイトは、サブシリンダ71に対して往復摺動可能にサブシリンダ71内に設けられサブシリンダ71内の空間をサブシリンダ71の一端寄りに位置するサブピストン上室71bとサブシリンダ71の他端寄りに位置するサブピストン下室71aとに区画するサブピストン72からなるため、簡単な構成により、シリンダ11の軸方向においてピストン12Aの移動方向とは反対の方向へ移動可能なカウンターウェイトを構成することができる。
また、サブピストン下室71aとピストン11b上室とを連通するサブピストン下室連通路10Abが形成されているため、圧縮空気がピストン12A上室に流入すると同時にサブピストン下室71aに流入し、圧縮空気を利用して、シリンダ11の軸方向においてピストン12Aの移動方向とは反対の方向へ移動するカウンターウェイトを構成することができる。
また、サブシリンダ71に対するサブピストン72の摺動量と、シリンダ11に対するピストン12Aの摺動量とは同一であるため、容易にシリンダ11の軸方向においてピストン12Aの移動方向とは反対の方向へサブピストン72を移動可能とすることができる。
また、カウンターウェイトの重量とピストン12Aの重量とは同一であるため、容易にシリンダ11の軸方向においてピストン12Aの移動方向とは反対の方向へサブピストン72を移動可能とすることができる。
本発明による打込機は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、サブシリンダ71は、フレーム10の左側の側面に設けられていたが、この部分に設けられることに限定されない。例えば、図9に示すように、打込機101において、フレーム10の一部であってハンドル10Aが接続されている部分の近傍に設けられていてもよいし、図10に示すように、打込機201において、フレーム10の前方に設けられていてもよい。また、サブシリンダ71の個数は1つに限定されない。例えば、図11に示すように、打込機301において、2つ設けられていてもよい。
また、カウンターウェイトはサブピストン72により構成されることに限定されない。また、サブシリンダ71やサブピストン72の形状や寸法等は本実施の形態のものに限定されない。例えば、サブピストン下室71aを画成するサブピストン72の下面の面積は、ピストン上室12bを画成するピストン12Aの上面の面積と同一であってもよい。このように構成することにより、圧縮空気をうける受圧面積を同一とすることができ、容易にシリンダ11の軸方向においてピストン12Aの移動方向とは反対の方向へサブピストン72を移動可能とすることができる。
また、本実施の形態では、図示せぬ留め具の打込み時に、ピストン12Aが移動し始めるのと同時にサブピストン72が移動し始めたが、同時に限定されず、タイミングをずらして移動し始めるようにしてもよい。
また、サブピストン72は略円柱形状をなしていたが、この形状に限定されない。
また、本実施の形態では半月状シャフト76が設けられており、サブピストン駆動バルブ10AAは固定可能に構成されていたが、この構成を有していなくてもよい。