JP2013151708A - 硬度バラつきの小さいホットスタンプ成形体の製造方法およびその成形体 - Google Patents

硬度バラつきの小さいホットスタンプ成形体の製造方法およびその成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】非加熱部が存在する方法でホットスタンプを行った場合にも、非加熱部の硬度バラつきの小さい成形体とその製造を提供する。
【解決手段】鋼板の母材成分が、質量%で、Cを0.18%〜0.35%、Mnを1.0%以上〜3.0%、Siを1.0%以下、Pを0.02%以下、Sを0.01%以下、Nを0.01%以下、Alを1.0%以下、Tiを0.005〜0.2%、Bを0.0002%以上含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、該鋼板から、熱延工程と冷延工程と連続焼鈍工程を経てホットプレス用鋼板を製造する方法であって、該連続焼鈍工程で、該鋼板を(Ac3−10℃)〜(Ac3−60℃)まで加熱し、その後、10℃/s以下の冷却速度で冷却し、550〜660℃で1〜10分保持した後に調質圧延を行い、ホットスタンプ工程においては、非加熱部が存在する状態で加熱を行い、この時の焼き入れ部の最高加熱温度がAc3以上でホットスタンプを施す。
【選択図】なし

Description

本発明は、非加熱部を含む高強度焼き入れ成形部品の製造技術に関するものであり、特に、硬度バラつきの小さいホットスタンプ成形体の製造方法およびその成形体に関するものである。
近年、自動車部品等に使用される1180MPa級以上の高強度部品を寸法精度良く得ることを目的に、鋼板をオーステナイト域まで加熱し、軟質かつ高延性にした状態でプレス成形を行い、その後、プレス金型内で急速冷却(焼入れ)して、マルテンサイト変態により成形品の高硬度化を図る技術(以下、ホットスタンプという)が開発されている。
一般に、ホットスタンプに用いられる鋼板は、ホットスタンプ後の部品強度を確保するためにC成分を多く含有し、かつ金型冷却時の焼入れ性を確保するためにMnおよびB等のオーステナイト安定化元素を含有する特徴がある。この焼き入れ後の硬度と焼入れ性は、ホットスタンプ用鋼板に必要とされる特性であり、その素材となる鋼板を製造するにあたっては、これらの特性は不利益を生ずる事が多い。代表的な不利益として、このような焼き入れ性の高い素材では、熱延工程後の熱延板において、熱延コイルの場所によりミクロ組織が不均一となり材質がバラつく傾向がある。このため熱延工程中に生じたミクロ組織の不均一性を解消する手段として、熱延工程や冷延工程後にバッチ焼鈍工程による焼き戻しを設けることが考えられるが、バッチ焼鈍には通常3〜4日を要し生産性の観点から好ましくない。特殊用途に用いられる焼き入れ用素材等を除く普通鋼においては、近年、生産性の観点からバッチ焼鈍工程では無く、連続焼鈍工程による熱処理を行う事が通常である。
しかし連続焼鈍工程の場合、焼鈍時間が短いため、バッチ処理の様な長時間熱処理による炭化物の球状化を用いた鋼板の軟質化と均一化を行うのは困難である。この炭化物の球状化は、数十時間程度Ac1変態点付近で保持することにより、鋼板の軟質化と均一化を行う処理である。一方、連続焼鈍工程の様な短時間熱処理の場合、球状化に必要となる焼鈍時間を確保できない。すなわち連続焼鈍設備においては、設備長の制約から上記Ac1付近の温度に保持できる時間は、せいぜい10分程度が上限となる。このような短い時間では、炭化物が球状化する前に冷却されてしまうため、鋼板は硬質ままでかつ不均一なミクロ組織となってしまう。このような部分的なミクロ組織のバラつきは、ホットスタンプ素材の硬度バラつきの原因となる。
現在、広く利用されているホットスタンプ工程は、素材である鋼板を炉加熱により昇温後、プレス加工と同時に焼入れを行うのが一般的であり、加熱炉内でオーステナイト単相まで均一に加熱される事により、前記の素材硬度のバラつきを解消することができる。しかし、炉加熱によるホットスタンプ素材の加熱方法は、加熱時間が長くなるため生産性が悪い。このため、ホットスタンプ素材を通電加熱方式による短時間加熱方法によって、生産性を改善する技術が開示されている。通電加熱方式を用いる事により、同一の板材に流す電流の密度に変化をつけ、通電状態における板材の温度分布を制御することも可能となる(例えば、特許文献1)。
このような通電加熱方式の他にも、加熱を行いたくない箇所に断熱材を配置し局部的に加熱しない方法や、赤外線などにより部分的に加熱する方法など、非加熱部を鋼板の中で局部的に作る方法が考えられる。ここで非加熱部とは、全く加熱されない室温ままの部分からAc1以下の温度まで加熱される部分を意味する。これら部分的に加熱する方法によって、ホットスタンプに用いる板材に温度分布をつける場合、非加熱部では鋼板のミクロ組織は素材ままの状態と大きく変わらない。従って、加熱前の素材硬度が、そのまま部品の硬度となる。しかし前記の様に、熱延後に冷延を行い、連続焼鈍工程を経た素材強度には図1の様なバラつきがあり、ホットスタンプ後の非加熱部の硬度バラつきが大きいため、成形された部品の衝突性能にバラつきが生じ、品質の管理が困難であるという問題があった。
また、これらバラつきを解消する目的で、焼鈍工程においてオーステナイト単相(Ac3以上)に加熱した場合、前記MnやBの効果による高い焼入れ性のため、焼鈍工程終了段階でマルテンサイトやベイナイトといった硬質相が生じてしまい、素材強度が著しく上昇する。これは、ホットスタンプ素材としては、スタンプ前のブランクの際に金型磨耗の原因となるだけでなく、非加熱部の成形性や形状凍結性を著しく低下させるものである。したがって、ホットスタンプ焼入れ後に所望の硬度となるだけでなく、非加熱部の成形性や形状凍結性を得ることを鑑みると、ホットスタンプ前の素材として好ましいのは、軟質かつバラつきの小さい素材であり、なおかつホットスタンプ焼入れ後に所望の硬度が得られるC量と焼入れ性を有している事である。しかし、製造コストを優先し、連続焼鈍設備での鋼板の製造を前提とすると、従来の焼鈍技術では当該制御は困難である。このため、上記素材を使用してホットスタンプにより製造された成形体には、切り出されたホットスタンプ素材のブランク位置に応じ、部品毎に非加熱部の硬度バラつきが生じるという問題があった。
特開2009-274122号公報
本発明の目的は前記問題を解決し、非加熱部が存在する方法でホットスタンプを行った場合にも、非加熱部の硬度バラつきの小さい成形体とその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するためになされた本発明のホットスタンプ成形体の製造方法は、鋼板の母材成分が、質量%で、Cを0.18%〜0.35%、Mnを1.0%以上〜3.0%、Siを1.0%以下、Pを0.02%以下、Sを0.01%以下、Nを0.01%以下、Alを1.0%以下、Tiを0.005〜0.2%、Bを0.0002%以上含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、熱延工程と冷延工程と連続焼鈍工程を経てホットスタンプにより成形体を製造する方法であって、該連続焼鈍工程で、該鋼板を(Ac3−10℃)〜(Ac3−60℃)まで加熱し、その後、10℃/s以下の冷却速度で冷却し、550〜660℃で1〜10分保持した後に室温まで冷却後調質圧延を行い、ホットスタンプ工程においては、非加熱部が存在する状態で加熱を行い、この際の焼き入れ部の最高加熱温度がAc3以上でホットスタンプを施すことを特徴とするものである。尚、本発明においてAc3の正確な値が重要となるため、計算式から算出するのではなく、実験的に測定する方が望ましい。また、Ac1も同一の試験から測定する事が可能である。測定方法の例として、参考文献1,2にあるように、加熱および冷却時の鋼材の長さ変化から、求める方法が一般的である。加熱時にオーステナイトが出始める温度がAc1、オーステナイト単相となる温度がAc3であり、それぞれ膨張の変化から読み取る事ができる。実験的に測定する場合は、冷間圧延後の鋼板を、実際に連続焼鈍工程で昇温する際の加熱速度で昇温し、膨張曲線からAc3を測定する方法が一般的である。ここでの加熱速度とは、Ac1以下の温度である500〜650℃間の平均加熱速度であり、この加熱速度を用いて一定速度で加熱する。また連続焼鈍工程後に、溶融亜鉛めっきまたは溶融アルミめっき等の表面めっきを施しても良く、これらは合金化を行っても良い。これらの点については、次の参考文献に記載されている。
[参考文献1]丸善株式会社 社団法人日本金属学会 鉄鋼材料p-21
[参考文献2]Steel Standardization Group, “A Review of the Steel Standardization Group’s Method for the Determination of Critical Points of Steel,” Metal Progress, Vol. 49, 1946, p.1169
請求項2記載の発明は、請求項1記載のホットスタンプ成形体の製造方法において、鋼板母材の成分は、更に、質量%で、Cr、Mo、Nb、V、Ni、Cu、Snの1種または2種以上を合計で0.002〜2.0%含有することを特徴とするものである。
請求項3記載の発明は、請求項1および2記載のホットスタンプ成形体の製造方法において、鋼板の母材の成分は、更に、質量%で、Ca,Mg,REMの1種または2種以上を合計で0.0005〜0.0050%含有することを特徴とするものである。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3記載のホットスタンプ成形体の製造方法において、ホットスタンプ用鋼板の焼入れ指数(DI)が4以上であることを特徴とするものである。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載のホットスタンプ成形体の製造方法において、熱延工程におけるコイル巻取り温度が25〜550℃または700〜900℃であることを特徴とするものである。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れかに記載のホットスタンプ成形体の製造方法において、連続焼鈍後に溶融亜鉛めっき、または合金化溶融亜鉛めっき、または溶融アルミめっき、または合金化溶融アルミめっき、または電気めっきを行う事を特徴とするものである。
請求項7記載の発明は、請求1〜6の何れかに記載のホットスタンプ成形体の製造方法を用いて製造された成形体で、非加熱部のビッカース硬度のバラつきΔHvが0.18〜0.25%Cでは25以下で、0.25〜0.3%では32以下で、0.3〜0.35%では38以下であることを特徴とする硬度バラつきの小さいホットスタンプ成形体である。
非加熱部を有するホットスタンプ成形体の硬度バラつきを低減するため、本発明では、熱延工程および冷延工程の後段に続く連続焼鈍工程で、鋼板を(Ac3−10℃)〜(Ac3−60℃)まで加熱し、その後、10℃/s以下の冷却速度で550〜660℃まで冷却し、同温度域で1〜10分保持した後に調質圧延を施し、ホットスタンプ工程においては、非加熱部が存在する状態で加熱を行い、この際の焼き入れ部の最高加熱温度がAc3以上でホットスタンプをする構成とした。
図2には、連続焼鈍工程における温度履歴を模式的に示す。図2において、Ac1は、昇温時にオーステナイトへの逆変態が生じ始める温度を意味し、Ac3とは、昇温時に鋼板の金属組成が完全にオーステナイトとなる温度を意味している。冷延工程を経た鋼板は、熱延板のミクロ組織が冷間圧延により潰された状態にあり、この状態では非常に転位密度の高い硬質な状態となる。一般に焼入れ素材の熱延鋼板のミクロ組織は、フェライトとパーライトの混合組織となる。ただし、熱延板の巻取り温度により、ミクロ組織はベイナイト主体や、マルテンサイト主体の組織へ制御することは可能である。本発明では、鋼板をオーステナイト/フェライトの2相域であっても、(Ac3−10℃)〜(Ac3−60℃)と、僅かに未再結晶フェライトが残存する温度域まで加熱することにより、硬質である未再結晶αをほぼ無害化した状態としている。このAc3直下まで加熱した際に残存している未再結晶αは、焼鈍中の転位の回復により軟質化している事は言うまでも無い。当該加熱工程では、僅かな未再結晶αを残存させておき、続く10℃/s以下の冷却と550〜660℃で1〜10分保持する工程において、この未再結晶αを核とした変態フェライトの成長により、軟質化を行うだけで無く、変態フェライトによる未変態オーステナイト中へのCの濃化により、セメンタイトの析出を促進させる。従って、本発明の焼鈍工程後の主たるミクロ組織の構成は、フェライトおよびセメンタイトおよびパーライトからなり、一部、残留オーステナイトおよびマルテンサイトおよびベイナイトを含む組織を呈する。
更に、ホットスタンプ工程において、非加熱部が存在する状態で加熱を行い、この際の焼き入れ部の最高加熱温度がAc3以上でホットスタンプを施す構成とした。上記構成により、ホットスタンプ成形体の硬度バラつきを低減することが可能となる。
請求項4記載の発明によれば、熱延工程を経た熱延コイルは700〜900℃のフェライトあるいはパーライト領域で巻取ることにより、または、25〜550℃の低温変態温度域で巻取ることにより、巻取り後の熱延コイルのミクロ組織の不均一化を抑制することができる。これは、一般に普通鋼が巻取られる600℃付近では、フェライト変態とパーライト変態が起こる温度域であるが、当該焼入れ性の高い鋼種を同温度域で巻き取った場合、熱間圧延工程の仕上げ圧延から巻取られるまでのRun-Out-Table(以下ROT)と呼ばれる水冷装置区間で変態がほとんど起こらないため、巻取り後にオーステナイトからの相変態が起こる事となる。そのため、コイルの幅方向で考えたとき、外気に晒されるエッジ部分と、外気から遮断されたセンターの部分では冷却速度が異なる。更に、コイルの長手方向で考えた場合も同様に、外気と接触しやすいコイルの最先端や最後端と、外気から遮断された中間部分でも冷却履歴が異なる。
このため、焼入れ性の高い成分においては、普通鋼と同じような温度域で巻き取ると、上記冷却履歴の差により熱延板のミクロ組織や硬度が一つのコイルの中で大きくバラつく。この熱延板を使用して冷間圧延後に連続焼鈍設備により焼鈍を行うと、熱延板のバラつきは少なからずホットスタンプ成形体の非加熱部の硬度に影響を及ぼす。これに対し、熱延板のミクロ組織均一化を目的に、上述の温度域で巻取りを行うことが有効となる。すなわち、700〜900℃で巻取りを行うことにより、コイル巻取り後に十分高温の状態から冷却されるため、コイル全体をフェライト/パーライト組織に作りこむことができる。一方、25〜550℃の温度域で巻取ることにより、コイル全体を硬質であるベイナイトやマルテンサイトに作りこむことができる。
また請求項6記載の発明によれば、連続焼鈍後に溶融亜鉛めっき、または合金化溶融亜鉛めっき、または溶融アルミめっき、または合金化溶融アルミめっき、または電気めっきを行うことにより、表面のスケール発生が防止できたり、ホットスタンプ昇温時にスケール発生回避のための無酸化雰囲気昇温が不要となったり、ホットスタンプ後の脱スケール処理が不要となるなどのメリットがある上に、ホットスタンプ成形品が防錆性を発揮する。
また請求項7の発明によれば、上記請求項1〜6の製法を用いることにより、非加熱部のビッカース硬度バラつきおよび平均硬度を鋼板のC量に応じ、0.18〜0.25%CではΔHv25以下かつHv_Ave.200以下で、0.25〜0.3%CではΔHv32以下かつHv_Ave.220以下で、0.3〜0.35%CではΔHv38以下かつHv_Ave.240以下である硬度バラつきの小さいホットスタンプ成形体となる。
従来の連続焼鈍後のホットスタンプ用鋼板の硬度バラつきを示す図である。 本発明の連続焼鈍工程における温度履歴を模式的に示す図である。 熱延コイルの巻取り温度対策も合わせて本発明の連続焼鈍後のホットスタンプ用鋼板の硬度バラつきを示す図である。 本発明の実施例におけるホットスタンプ形状を示す図である。 本発明の実施例におけるホットスタンプ手順を示す図である。
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
本発明は、熱延工程と冷延工程と連続焼鈍工程と、非加熱部を有する加熱方式でのホットスタンプ工程により製造されるホットスタンプ成形体とその製造方法に関するものである。
(ホットスタンプ用鋼板の鋼板成分)
ホットスタンプ素材は焼入れ後に高強度を得る事を目的としていため、一般に高炭素成分かつ焼入れ性の高い成分設計となっている。本発明において、「焼入れ性の高い」とは、焼入れ指数(DI)が4以上であることをいう。このDIは、ASTM A255-67を基に計算しており、具体的な計算方法は参考文献3に示されている。DIの計算方法はいくつか提案されているが、この中でも相加法を用いて計算しており、Bの効果を計算するfBの式に関しては、同参考文献の中から引用しており、fB=1+2.7(0.85−wt%C)を用いた。また、C添加量に応じオーステナイトの粒度No.を指定する必要があるが、実際には熱延条件などによりオーステナイト粒度No.は変化することから、本発明にはNo.6の粒度にて統一して計算した。
DIは、焼入れ性を示す指標であり、必ずしも鋼板の硬度とは直結しない。すなわち、マルテンサイトの強度は、Cを含み、固溶している元素で決まる。したがって、C添加量が多い鋼材全てにおいて、本件での課題が存在するのではない。これは、C添加量が多い場合でも、DIが低い値であれば、鋼板の相変態は比較的速く進むため、ROT冷却中の巻き取り前までに相変態がほとんど完了する。さらに、焼鈍工程においても、最高加熱温度からの冷却中に、フェライト変態が進行しやすいため、軟質なホットスタンプ素材を製造しやすい。一方、DIが高いかつC添加量の多い鋼材においては、本件の課題が鮮明となる。したがって、本発明の範囲である0.18〜0.35%のCを含む鋼材で、DIが4以上の場合に、本発明の効果が大きい。一方、DIが極端に高い場合には、本発明の範囲外の成分となり、連続焼鈍中にフェライト変態が進行せず、本発明の適用は不可能となる。このため、DIの上限としては、10程度が好ましい。
[参考文献3]「焼入れ性-求め方と活用-」 大和田 久重雄著 日刊工業新聞社
鋼板成分は、具体的には、質量%で
C :0.18%以上、0.35%以下、
Mn:1.0%以上、3.0%以下、
Si:1.0%以下、
P:0.02%以下、
S:0.01%以下、
N:0.01%以下、
Al:1.0%以下、
Ti:0.005%以上、0.2%以下、
B :0.0002以上、
を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる。更に、質量%でCr、Mo、Nb、V、Ni、Cu、Snの1種または2種以上を、合計で0.002以上、2.0%含有してもよい。更に、介在物制御を目的に、Ca、Mg、REMの1種または2種以上を、合計で0.005%以上、0.005%以下含有してもよい。
C含有量を0.18%以上としたのは、0.18%未満ではホットスタンプ後の焼き入れ強度が低くなり、部品内での硬度差が小さくなるためであり、一方、C含有量を0.35%以下としたのは、0.35%を超える炭素濃度では、Ac1点以下の非加熱部の成形性が著しく低下するためこれを上限とした。
Mn含有量を1.0%以上としたのは、ホットスタンプ時の焼入れ性を確保するためであり、一方、Mn含有量が3.0%を超えると、Mn偏析が生じ易くなり熱間圧延時に割れ易くなるためこれを上限とする。
Siは、焼入れ性を若干改善する効果があるものの、その効果は小さい。他の元素に比べ固溶強化量の大きいSiを含有することで、焼入れ後に所望の硬度を得る際のC添加量を減らすことができる。これにより、高C鋼において不利となる溶接性の改善に寄与することができる。このため、添加量が多いほど効果が大きいが、1.0%を超えると鋼板表面における酸化物の生成により、耐食性を付与するための化成処理性を著しく劣化させたり、亜鉛めっきの濡れ性を阻害したりするためこれを上限とする。また、下限は特に設けないが、通常脱酸レベルで使用するSi量である0.01%程度が実質的な下限となる。
Pは、固溶強化能の高い元素ではあるものの、Siと同様に化成処理性を劣化させるため、0.02%を上限とした。また、下限は特に設けないが、0.003%以下とするのはコストが大幅に上昇するため、実質的には困難である。
Sは、靭性や加工性を劣化させるMnS等の介在物を生成するため、添加量が少ないことが望ましい。そのため、0.01%以下とすることが好ましい。また、下限は特に設けないが、0.001%以下とするのはコストが大幅に上昇するため、実質的には困難である。
Nは、B添加を行う際に焼入れ性改善効果を劣化させるため、極力添加量を少なくするほうが好ましい。この観点から、上限を0.01%とする。また、下限は特に設けないが、0.001%以下とするのはコストが大幅に上昇するため、実質的には困難である。
Alは、Siと同様に固溶強化能があるため、C添加量を減らす目的で添加しても構わない。Siと同様に化成処理性や亜鉛めっきの濡れ性を劣化させるため、その上限は1.0%とし、下限は特に設けないが脱酸レベルで混入するAl量である0.01%が実質的な下限である。
Tiは、B添加効果を劣化させるNを無害化するために有効である。すなわち、N含有量が多いとBがNと結びつきBNを形成する。Bの焼入れ性改善効果は、Bが固溶の状態の時に発揮されるため、高Nの状態でBを添加しても、その焼入れ性改善効果が得られなくなる。そこで、Tiを添加する事で、NをTiNとして固定し、Bを固溶状態で残存させることができる。一般に、この効果を得るために必要となるTi量は、原子量比からNの4倍程度以上の添加を行えばよい。従って、不可避的に混入するN含有量を考慮すると、下限としている0.005%以上は必要となる。また、TiはCと結びつき、TiCを形成する。これは、ホットスタンプ後の遅れ破壊特性を改善させる効果が見込まれるため、積極的に遅れ破壊特性を改善する場合には、Tiを0.05%以上添加する事が好ましい。ただし、0.2%以上添加すると、オーステナイト粒界等に粗大なTiCを形成し、熱間圧延中にわれが発生するためこれを上限とする。
Bは、安価に焼入れ性を改善させる元素として、最も有効な元素の一つである。前記の様に、Bを添加する際には、固溶状態であることが必須であるため、必要に応じてTiの添加を行う必要がある。また、0.0002%以下ではその効果が得られないためこれを下限とし、一方、0.005%以上ではその効果が飽和するためこれを上限とすることが好ましい。
Cr、Mo、Nb、Vは、焼入れ性を向上させる元素であるだけでなく、合金炭化物を形成することで遅れ破壊特性の改善が見込まれることや、オーステナイト粒径を細粒化する効果があるため、靭性が改善する。また、Ni,Cu,Snは、添加することで靭性が改善する。このため、必要に応じこれらの1種または2種以上を合計で0.002以上、2.0%以下含有しても良い。2.0%以上では、この効果が飽和するためこれを上限とした。
Ca,Mg,REMは、介在物の微細化や、その抑制に効果があるため、必要に応じ添加しても良い。これらの1種または2種以上を合計で0.0005%以上、0.005%以下含有しても良い。0.005%を上限としたのは、これ以上の添加を行ってもその効果が飽和するため、これを上限とした。
次に、本発明のホットスタンプ用鋼板を製造する工程について説明する。
上記成分組成を有する鋼片を用い、その鋼片を1100℃以上の温度に再加熱する。鋼片は、連続鋳造設備で製造した直後のスラブであってもよいし、電気炉で製造したものでもよい。1100℃以上と規定している理由は、炭化物形成元素と炭素を、鋼材中に、十分に分解溶解させるためである。スラブ中の析出炭窒化物を十分に溶解させるためには、1200℃以上とする事が好ましい。ただし、加熱温度1280℃超とする事は、生産コスト上好ましくないため、これを上限とする。
(熱延工程)
熱間圧延における仕上げ温度は、800℃未満では、鋼板表層が圧延ロールとの接触により圧延中にフェライト変態が起こってしまう可能性があるだけでなく、圧延の変形抵抗が著しく高くなるためこれを下限とする。仕上げ温度の上限は特に設けないが、実質的な製造ラインの温度工程能力を考慮すると1050℃程度が上限となる。
熱間圧延における巻取り温度は、700〜900℃のフェライト変態およびパーライト変態領域、または、25〜500℃のマルテンサイトまたはベイナイト変態領域で行う。通常、巻取り後のコイルはエッジ部分および外周部分から冷却されていくため、冷却履歴が不均一となり、その結果ミクロ組織の不均一化が生じやすくなるが、本発明では前記温度領域で熱延コイルの巻取りを行うことにより、熱延工程中に生じるミクロ組織の不均一化を抑制することができる。
(連続焼鈍工程)
上記工程で製造された熱延鋼板を酸洗し、更に冷間圧延後に連続焼鈍を行う。連続焼鈍ラインでは、溶融亜鉛めっき、または合金化溶融亜鉛めっき、または溶融アルミめっき、または合金化溶融アルミめっき、または電気めっきを施すこともできる。本発明に効果は、焼鈍工程後にめっき処理を施しても、なんら影響は無い。
本発明では、冷延工程の後段に続く連続焼鈍工程で、該鋼板を(Ac3−10℃)〜(Ac3−60℃)まで加熱し、その後10℃/s以下の冷却速度で冷却し、550〜660℃で1〜10分保持する構成とする。
冷延工程を経た鋼板のミクロ組織は、図2の模式図に示すように、未再結晶フェライトの状態にある。本発明では、連続焼鈍工程で、Ac1点より高温領域の(Ac3−10℃)〜(Ac3−60℃)℃まで加熱することにより、未再結晶フェライトが僅かに残留するオーステナイト相との2相共存状態まで加熱を行う。この後、10℃/s以下の冷却速度での冷却工程では、最高加熱温度にて残存した僅かな未再結晶フェライトを核とした変態フェライトの成長が生じている。次に、鋼板を550〜660℃で1〜10分保持する工程では、フェライト変態と同時に未変態オーステナイト中へのCの濃化が起こり、同温度域での保持によりセメンタイトの析出あるいはパーライト変態が促進させられる。
ホットスタンプに用いる鋼板は、ホットスタンプ後の焼入れ硬度を確保するためにC成分を多く含有し、かつMnおよびBを含有するという特徴があるが、Bはオーステナイト単相からの冷却時にフェライト核の生成を抑制する効果があり、通常Ac3以上のオーステナイト単相領域まで加熱後に冷却を行った場合、フェライト変態は起こりにくくなる。しかし、本発明によれば、連続焼鈍工程での加熱温度を、Ac3直下の(Ac3−10℃)〜(Ac3−60℃)℃にとどめることによって、硬質である未再結晶フェライトのほとんどをオーステナイトに逆変態させた上で僅かにフェライトを残留させ、その後の10℃/s以下の冷却過程と550〜660℃で1〜10分保持する工程で、残留したフェライトを核としてフェライトを成長させる事により軟質化が図れる。なお、連続焼鈍工程での加熱温度を(Ac3−10℃)より高くするとほぼオーステナイト単相となるため、その後の冷却中のフェライト変態が不十分となり硬質化するためこれを上限とし、(Ac3−60℃)未満だと未再結晶フェライトの体積分率が高くなり硬質化するため、これを下限とする。
更に、550〜660℃で1〜10分保持する工程では、フェライト変態の後にCが濃化した未変態オーステナイト中で、セメンタイトの析出あるいはパーライト変態を促すことができる。このようにして、本発明によれば、焼き入れ性が高い素材を連続焼鈍によりAc3点直下まで加熱する場合であっても、鋼板のミクロ組織大部分をフェライトおよびセメンタイトとする事ができる。変態の進行具合により、冷却後にベイナイト、マルテンサイト、残留オーステナイトが僅かに残存する場合もある。
なお保持工程での温度が660℃を超えるとフェライト変態の進行が遅延され焼鈍が長時間となるためこれを上限とし、550℃未満だと変態により生成するフェライト自体が硬質となることや、セメンタイト析出やパーライト変態が進みにくくなる事、また場合によっては低温変態生成物であるベイナイトやマルテンサイトが生じてしまうためこれを下限とする。また保持時間が10分を超えると実質的に連続焼鈍設備が長くなり高コストとなるためこれを上限とし、1分未満だとフェライト変態およびセメンタイト析出またはパーライト変態が不十分となり、冷却後のミクロ組織の大部分が硬質相であるベイナイトやマルテンサイト主体の組織となり、鋼板が硬質化するためこれを下限とする。
更に、上記焼鈍対策に加えて、前述の熱延コイルの巻取り温度対策を行う事により、図3に示すようにホットスタンプ用鋼板の硬度バラつきが低減され、ホットスタンプ成形体の非加熱部のバラつきを低減する事が可能になる。
次に、本発明のホットスタンプ工程について説明する。
上記のように製造された鋼板を用い、非加熱部を有する方法にて加熱した鋼板を用いるホットスタンプ工程において、焼き入れ部分ではAc3以上に昇温しホットスタンプする事により、非加熱部が存在する状態となる。この際、昇温速度や冷却速度等は一般的な範囲で構わない。また、最高加熱温度における温度保持は行わなくても構わない。好ましい範囲としては、3℃/s以上の昇温速度でAc3以上1000℃以下に加熱し、3℃/s以上の冷却速度とする。これは、3℃/s未満の加熱速度では、実質上生産効率が非常に低い事、最高加熱温度での保持に関しては、オーステナイト単相まで逆変態しているのであれば、特段保持時間を設ける必要が無い事、また、3℃/s未満の冷却速度では、加熱部が十分に焼入れできない可能性があることや、熱伝達により非加熱部にまで熱が及ぶのを避けるためである。
次に本発明の実施例を示す。
表1に示す鋼材成分の鋼を溶製し、1200℃に加熱後、圧延を行い、表2、表3に示す巻取り温度にて巻き取り、板厚3.2mmの鋼帯を製造した。この鋼板を50%の冷間圧延率で圧延し1.6mmとした鋼板を用い、実験的にAc3を測定した。Ac3の測定には、フォーマスターによる膨張・収縮曲線から測定を行い、昇温速度を5℃/sで測定した値を表1に記載した。この鋼帯を、表2、表3に示す条件および昇温速度5℃/sにて連続焼鈍を行い、その後、通電加熱にて非加熱部が存在する状態でホットスタンプを実施した。ホットスタンプの条件は、30℃/sにて昇温し、Ac3+50℃まで加熱後保持を行わず、20℃/s以上の冷却速度にて金型冷却を実施した。非加熱部の硬度として、図5の非焼き入れ部硬度測定位置にて、表面から0.4mm位置の断面硬度を、ビッカース硬度計にて5kgfの荷重で5点の平均値を求めた。各熱延コイルに対し、30体の部品を無作為に選定した時の最大硬度と最小硬度の差をΔHvとし、その平均値をHv_Ave.とした。なお、ΔHvの閾値は、特に鋼材のC量の影響が大きいため、本発明では、以下の基準を閾値とした。
C:0.18%以上〜0.25%未満の場合、ΔHv≦25、Hv_Ave.≦200。
C:0.25%以上〜0.3%未満の場合、ΔHv≦32、Hv_Ave.≦220。
C:0.3%以上〜0.35%以下の場合、ΔHv≦38、Hv_Ave.≦240。
焼き入れ性に関しては、本発明の範囲外の成分であると、焼入れ性が低いため、冒頭で述べた鋼板製造中における硬度のバラツキや強度の上昇が起こらないため、部品の非加熱部の硬度をホットスタンプ工程後に測定した場合、本発明を用いずとも安定した低強度と低バラつきとなるため、本発明外とした。基準としては、本発明の製造条件外で製造しても、上記ΔHvの閾値を満足する場合に相当する。
製造した鋼板を、図4に示す形状となる様、切断した鋼板と金型を用い、図5に模式的に示す様な電極を用いて通電にて加熱後、ホットスタンプを行った。この際、中央部の昇温速度が50℃/sとし最高加熱温度870℃まで加熱を行った。鋼板の端部は、電極が室温程度のため、非加熱部となっている。最高加熱温度に対し、鋼板の場所によって容易に温度差が起こるように、図4のように冷却媒体の通った通電加熱電極部を備えた通電加熱にて加熱を行ったものをプレスに用いた。プレスに用いた金型は、ハット型の金型であり、パンチ及びダイスの型Rは5Rとした。また、ハットの縦壁部の高さは50mmであり、しわ押さえ力を10tonとした。
また、本発明は、ホットスタンプに用いる素材を前提としている事から、ホットスタンプを行った際の焼入れ部の最高硬度がHv:400未満となる場合は、本発明の対象外とした。尚、焼入れ部の最高硬度の測定方法は、Ac3以上に加熱されており、金型との密着度の高い図5の焼き入れ部測定位置において測定を行った。測定は、上記の非焼き入れ部の硬度測定と同様に、30体の平均値とした。
化成処理性については、通常使われているディップ式のボンデ液を用い、リン酸塩結晶状態を走査型電子顕微鏡にて10000倍で5視野観察し、結晶状態にスケが無ければ合格とした(合格:○、不合格×)。
鋼種No.A-1, A-2, A-3, B-1, B-2, C-1, C-2, D-2, D-3, D-8, D-10, E-1, E-2, E-3, F-1, F-2, F-3, F-4, G-1, G-2, G-3, G-4, Q-1,R-1は、要件の範囲内であるため良好であった。
鋼種No.A-4, C-4, D-1, D-9, F-5, G-5は、連続焼鈍での最高加熱温度が本発明の範囲より低いため、未再結晶フェライトが残存し、ΔHvが範囲外のため、本発明の範囲外とした。
鋼種No.A-5, B-3, E-4は、連続焼鈍での最高加熱温度が本発明の範囲よりも高いため、最高加熱温度にてオーステナイト単相組織となっており、その後の冷却および保持中でのフェライト変態とセメンタイト析出が進まず焼鈍後の硬質相分率が高くなりHv_Aveが高くなったため、本発明の範囲外とした。
鋼種No.A-6, E-5は、連続焼鈍での最高加熱温度からの冷却速度が、本発明の範囲よりも速いため、フェライト変態が十分に起こらず、Hv_Aveが高くなったため、本発明の範囲外とした。
鋼種No.A-7, D-4, D-5, D-6, E-6は、連続焼鈍での保持温度が本発明の範囲よりも低いため、フェライト変態およびセメンタイト析出が不十分となり、Hv_Aveが高くなったため、本発明の範囲外とした。
鋼種No.D-7は、連続焼鈍での保持温度が本発明の範囲よりも高いため、フェライト変態が十分に進まず、Hv_Aveが高くなったため、本発明の範囲外とした。
鋼種No.A-8, E-7は、連続焼鈍での保持時間が本発明の範囲よりも短かったため、フェライト変態およびセメンタイト析出が不十分となり、Hv_Aveが高くなったため、本発明の範囲外とした。
鋼種No.B-1, B-4, C-2, C-3, D-2, D-6は、鋼材のC濃度が概ね同じで、DI値がそれぞれ3.5, 4.2, 5.2と異なる鋼種の中で、製造条件の似た本発明であるB-1, C-2, D-2と、比較例であるB-4, C-3, D-6とを比較すると、DI値が大きい場合ほどΔHvおよびHv_Aveの改善代が大きいことがわかる。
鋼種No.Hは、C量が0.18%と少ないため、ホットスタンプ後の焼き入れ高度が低く、ホットスタンプ部品として適さないので本発明の範囲外とした。
鋼種No.Iは、C量が0.40%と多いため、ホットスタンプ時の非加熱部の成形性が不十分となるので、本発明の範囲外とした。
鋼種No.Jは、Mn量が0.82%と少なく焼き入れ性が低いことから、従来法でのホットスタンプ部品の製造結果と、本発明の製造結果との間に差が見られないため、本発明の範囲外とした。
鋼種No.KおよびNは、それぞれMn量が3.82%およびTi量0.31%と多いため、ホットスタンプ部品製造工程の一部である熱延が困難であり本発明の範囲外とした。
鋼種No.LおよびMは、それぞれSi量が1.32%およびAl量が1.30%と高いため、ホットスタンプ部品の化成処理性が悪く、これを範囲外とした。
鋼種No.Oでは、B添加量が少なく、また鋼種Pでは、Ti添加によるNの無害化が不十分のため焼き入れ性が低くなり、従来法でのホットスタンプ部品の製造結果と、本発明の製造結果との間に差が見られないため、本発明の範囲外とした。
実施例A-1, A-2, A-3, B-1, C-1, C-2, D-3, E-2, E-3, F-3, F-4, Q-1, F-1, B-2, G-2, G-4からわかる様に、本発明の重要となる組織制御は、連続焼鈍中に550〜660℃で1〜10分保持を行うところまでで完了しているため、その後にめっき等による表面処理を行ったとしてもなんら問題はない。

Claims (7)

  1. 鋼板の母材成分が、質量%で、Cを0.18%〜0.35%、Mnを1.0%以上〜3.0%、Siを1.0%以下、Pを0.02%以下、Sを0.01%以下、Nを0.01%以下、Alを1.0%以下、Tiを0.005〜0.2%、Bを0.0002%以上含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、該鋼板から、熱延工程と冷延工程と連続焼鈍工程を経てホットプレス用鋼板を製造する方法であって、該連続焼鈍工程で、該鋼板を(Ac3−10℃)〜(Ac3−60℃)まで加熱し、その後、10℃/s以下の冷却速度で冷却し、550〜660℃で1〜10分保持した後に調質圧延を行い、ホットスタンプ工程においては、非加熱部が存在する状態で加熱を行い、この時の焼き入れ部の最高加熱温度がAc3以上でホットスタンプを施すことを特徴とする硬度バラつきの小さいホットスタンプ成形体の製造方法。
  2. 鋼板母材の成分は、更に、質量%で、Cr、Mo、Nb、V、Ni、Cu、Snの1種または2種以上を合計で0.002〜2.0%含有することを特徴とする請求項1に記載の硬度バラつきの小さいホットスタンプ成形体の製造方法。
  3. 鋼板母材の成分は、更に、質量%で、Ca,Mg,REMの1種または2種以上を合計で0.0005〜0.0050%含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の硬度バラつきの小さいホットスタンプ成形体の製造方法。
  4. ホットスタンプ用鋼板の焼入れ指数(DI)が4以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の硬度バラつきの小さいホットスタンプ成形体の製造方法。
  5. 熱延工程におけるコイル巻取り温度が25〜550℃または700〜900℃とすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の硬度バラつきの小さいホットスタンプ成形体の製造方法。
  6. 連続焼鈍後に溶融亜鉛めっき、または合金化溶融亜鉛めっき、または溶融アルミめっき、または合金化溶融アルミめっき、または電気めっきを行うことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の硬度バラつきの小さいホットスタンプ成形体の製造方法。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の製造方法を用いて成形され、非加熱部のビッカース硬度のバラつきΔHvが0.18〜0.25%CではΔHv≦25以下かつHv_Ave.≦200で、0.25〜0.3%CではΔHv≦32以下かつHv_Ave.≦220で、0.3〜0.35%CではΔHv≦38以下かつHv_Ave.≦240であることを特徴とする硬度バラつきの小さいホットスタンプ成形体。
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