JP2013151587A - 成膜法及びその成膜法により得られる刃物材料 - Google Patents

成膜法及びその成膜法により得られる刃物材料 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な方法で、材料表面に優れた撥油性及び撥水性を付与できる膜を形成することができる成膜法及びその成膜法により得られる刃物材料を提供する。
【解決手段】手術用メス等の材料23表面にフッ素含有膜24を形成する場合には、大気圧プラズマジェット発生装置11を使用し、テトラフルオロメタン等のフッ素化合物を含む原料ガス17を用いて大気圧プラズマジェット21を発生させ、その大気圧プラズマジェット21を材料23に照射することにより、材料23表面にフッ素含有膜24が成膜される。前記原料ガス17にはアルゴン等の不活性ガスが含まれている。材料23表面にフッ素含有膜24を成膜する場合には、材料23表面の温度を100℃以下に保持することが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、大気圧プラズマジェットを用い、材料表面に撥油性、撥水性等の機能を発揮できる機能性薄膜を効率良く成膜できる成膜法及びその成膜法により得られる刃物材料に関する。特に、医療用刃物材料の表面に撥油性及び撥水性を有するフッ素含有膜を成膜することができる成膜法及びその成膜法により得られる刃物材料に関する。
一般にプラズマは、金属、ガラス等の材料の表面改質、表面洗浄、エッチング等の種々の目的に使用されている。そして、プラズマジェット発生装置により得られるプラズマジェットを用いることにより、材料表面に対して容易かつ迅速な処理を行うことができる。プラズマジェット発生装置において、大気圧に開放された状態で得られる大気圧プラズマジェットは、取扱いが容易であることから好適に使用される。
本発明者らは、この大気圧プラズマジェットを用いた窒化処理法について、既に特許出願を行った(特許文献1を参照)。すなわち、その窒化処理法は、窒素を含む原料ガスを用いて発生させた大気圧プラズマジェットを材料に照射することにより、その材料表面を窒化させるものである。材料として具体的には光触媒性能を有する酸化チタン(TiO)膜であり、その酸化チタン膜に大気圧プラズマジェットを照射することにより、酸化チタン膜が窒化されてTi−O−N膜が形成される。得られたTi−O−N膜は、可視光応答型の光触媒として使用することができる。
特開2009−202087号公報
ところで、手術用メス等の医療用刃物の切れ味を持続させるためには、単に医療用刃物の鋭利さを保つだけでは不十分である。手術時に血液、水分等の体液が医療用刃物に付着して使用時の抵抗を増加させるため、医療用刃物の切れ味が低下する。この問題を解決するためには、医療用刃物に体液が付着し難くする工夫が必要である。油分や水分が含まれている体液の付着を防ぐためには、医療用刃物の表面に撥油性及び撥水性の膜を形成することが考えられる。
しかしながら、前記特許文献1に記載された従来構成においては、酸化チタン膜の表面を改質することにより酸化チタンの窒化物が形成されるが、そのような酸化チタンの窒化物では撥油性及び撥水性を発現することはできない。また、大気圧プラズマジェットを材料表面に照射するにあたり、材料自体を改質する条件では、材料表面に所望とする撥油性及び撥水性の膜を積層形成することは困難である。
本発明はそのような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであって、その目的とするところは、簡易な方法で、材料表面に優れた撥油性及び撥水性を付与できる膜を形成することができる成膜法及びその成膜法により得られる刃物材料を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明の成膜法は、少なくともフッ素化合物を含む原料ガスを用いて発生させた大気圧プラズマジェットを材料に照射することにより、前記材料の表面にフッ素含有膜を成膜することを特徴とする。
請求項2に記載の発明の成膜法は、請求項1に係る発明において、前記フッ素化合物はフルオロカーボンであることを特徴とする。
請求項3に記載の発明の成膜法は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記原料ガスには不活性ガスが含まれていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明の成膜法は、請求項1から請求項3のいずれか一項に係る発明において、前記材料は医療用刃物材料であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明の成膜法は、請求項4に係る発明において、前記医療用刃物材料は、ステンレス鋼、カーボン鋼、チタン合金又はアルミニウム合金であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明の成膜法は、請求項1から請求項5のいずれか一項に係る発明において、前記材料の表面にフッ素含有膜を成膜するときには、材料表面の温度を100℃以下に保持することを特徴とする。
請求項7に記載の発明の刃物材料は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の成膜法により、刃物材料の表面にフッ素含有膜を成膜したことを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明の成膜法においては、少なくともフッ素化合物を含む原料ガスを用いて発生させた大気圧プラズマジェットを材料に照射することにより、前記材料表面にフッ素含有膜を成膜するものである。このため、フッ素化合物を含む原料ガスにより形成される大気圧プラズマジェットを材料表面に照射するという簡単な操作を施すことにより、材料表面にフッ素含有膜が成膜される。このフッ素含有膜は、フッ素の性質に基づいて撥油性、撥水性等の特性を発現する。
よって、本発明の成膜法によれば、簡易な方法で、材料表面に優れた撥油性及び撥水性を付与できる膜を形成することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態におけるフッ素含有膜の成膜装置を模式的に示す概略断面図。 材料−ノズル間距離と接触角との関係を示すグラフ。 赤外線吸収スペクトルを表し、波数と透過率との関係を示すグラフ。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、大気圧プラズマジェット発生装置11を構成する外部電極12はほぼ円筒状に形成され、その内側上部位置には電気絶縁性の支持体13が外部電極12の段部12aに支持されている。該支持体13の下面中心部には逆円錐状をなす内部電極14が固定されている。これらの外部電極12及び内部電極14には、電源15から高周波電力(パルス電圧)が供給されるようになっており、外部電極12と内部電極14との間の放電領域16で放電が繰り返され、大気圧プラズマが発生されるようになっている。なお、外部電極12はアースに接続され、電圧が0Vに維持されている。前記高周波電力は、周波数13〜19kHz、電圧180〜270V、電流3.0〜7.0A及び電力0.1〜1kWであることが望ましい。
前記支持体13には、外部電極12の軸線Xに対して斜め方向に延びる原料ガス(動作ガス)17の導入孔18が貫通形成され、この導入孔18から導入される原料ガス17が内部電極14の周りを旋回しながら螺旋状に下方へ向かって流れるように構成されている。原料ガス17は、少なくともフッ素化合物を含むガスである。フッ素化合物としては、例えばテトラフルオロメタン(CF)等のフルオロカーボンが用いられる。ここで、フルオロカーボンは炭化水素中の水素の一部又は全部をフッ素原子で置換した化合物である。フルオロカーボンとしては、テトラフルオロエチレン(C)、ヘキサフルオロエタン(C)等が挙げられる。このフッ素化合物は、1種又は2種以上の混合物が目的に応じて用いられる。
原料ガス17の流量は、10〜60L/分であることが好ましい。この原料ガス17にはアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)等の不活性ガスが含まれていることが好ましい。この不活性ガスを用いることにより、前記フルオロカーボンを希釈してフルオロカーボンを適切な濃度にして成膜を行うことができるとともに、大気圧プラズマジェットの照射時に材料表面を清浄化する機能(クリーニング機能)を発現することができる。不活性ガスを用いる場合、不活性ガスに対するフルオロカーボンの濃度は、容量比として0.2〜0.4であることが好ましい。フルオロカーボンの濃度が容量比で0.2未満の場合には、フルオロカーボンの濃度が低く、フッ素含有膜の成膜効率が悪くなって好ましくない。その一方、フルオロカーボンの濃度が容量比で0.4を超える場合には、フルオロカーボンの濃度が高くなり過ぎ、フッ素含有膜にむらが生じたりして、安定した成膜を行うことが難しくなる傾向を示す。
前記外部電極12の下部は縮径され、その下端部にはノズル部材19が配置され、該ノズル部材19内の中心部にはほぼ逆円錐状に形成された大気圧プラズマの噴射通路を介してその下端部に大気圧プラズマジェット21を下方へ噴射するプラズマジェットノズル20が形成されている。該プラズマジェットノズル20の孔径は3〜5mm程度である。このプラズマジェットノズル20の下方位置には支持台22が配置され、その支持台22上には材料23が支持されている。そして、プラズマジェットノズル20から噴射される大気圧プラズマジェット21が材料23に向けて照射され、材料23表面にフッ素含有膜24(フッ素原子含有膜)が形成されるようになっている。
このフッ素含有膜24は、フッ素原子が含まれている被膜であればよく、樹脂化されていても、樹脂化されていなくてもよい。フッ素含有膜24にフッ素原子が含まれていることにより、フッ素含有膜24表面にフッ素原子に基づく撥油性、撥水性等の特性が発現される。なお、プラズマジェットノズル20から噴出される大気圧プラズマジェット21は、放電領域16で生成した大気圧プラズマが再結合しつつあるプラズマ(アフターグロープラズマ)である。
前記材料23としては刃物材料が好適であり、手術用メス、切開用ナイフ等の医療用刃物材料が特に好適であり、具体的にはステンレス鋼、アルミニウム合金、チタン合金、カーボン鋼(ハイカーボンスチール)等の金属が挙げられる。ステンレス鋼としては、SUS420(刃物用特殊鋼SUS420J2)等のマルテンサイト系ステンレス鋼、SUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼などが用いられる。大気圧プラズマジェット21が材料23表面に照射されたときには材料23表面の温度が急上昇して100℃を超えることから、材料23表面に所望とするフッ素含有膜24が形成され難くなる。従って、材料23表面の温度を100℃以下に保持することが望ましい。
このため、プラズマジェットノズル20と材料23との距離Lは、3〜5mmであることが好ましい。この距離Lが3mmより短い場合、大気圧プラズマジェット21により材料23表面の温度が短時間で100℃を超えることとなって好ましくない。一方、距離Lが5mmより長い場合、大気圧プラズマジェット21によって材料23表面にフッ素含有膜24を安定した状態で形成することが難くなって好ましくない。
また、前記材料23表面に対する大気圧プラズマジェット21の照射時間は、材料23の厚み等によるが、1〜10秒であることが好ましく、3〜6秒であることがさらに好ましい。大気圧プラズマジェット21の照射時間が3秒を下回る場合には、材料23表面に優れた撥油性及び撥水性を発現するフッ素含有膜24を得ることが難しくなる。その一方、大気圧プラズマジェット21の照射時間が6秒を上回る場合には、材料23表面の温度上昇が大きくなるとともに、大気圧プラズマジェット21によるフッ素含有膜24の形成がほぼ飽和状態に達し、それ以上の大気圧プラズマジェット21の照射はエネルギーの無駄になる。
フッ素含有膜24の成膜装置10は、上記大気圧プラズマジェット発生装置11、材料23を支持する支持台22等により構成されている。
次に、前記成膜装置10を用いたフッ素含有膜24の成膜法を作用とともに説明する。
さて、図1に示すように、支持台22上にプラズマジェットノズル20に対向するようにステンレス鋼等の材料23を載置する。一方、大気圧プラズマジェット発生装置11の外部電極12と内部電極14との間には、例えば電力が0.3kWとなるようにパルス電圧を印加する。その状態で、原料ガス17の導入孔18からテトラフルオロカーボン等の原料ガス17を外部電極12の内部空間に導入する。このとき、導入孔18は外部電極12の軸線Xに対して傾斜状に形成されていることから、導入孔18から流入された原料ガス17は螺旋状に旋回しながら下降して放電領域16に到り、放電が繰り返されて大気圧プラズマが安定に生成される。
生成された大気圧プラズマはノズル部材19のプラズマジェットノズル20から大気圧プラズマジェット21となって材料23表面に向かって噴射される。このとき、プラズマジェットノズル20と材料23との距離Lが例えば3〜5mmという適切な値に設定されていることにより、材料23表面が100℃以下に維持される。その結果、材料23表面に均一なフッ素含有膜24が良好な密着性をもって形成される。このため、材料23表面に形成されたフッ素含有膜24は、そのフッ素原子の性質により、撥油性や撥水性を発現することができ、例えば医療用刃物の刃部に血液、水分等の体液が付着し難くすることができ、刃部の切れ味を持続させることができる。
以上詳述した実施形態により発揮される効果を以下にまとめて説明する。
(1)本実施形態の成膜法においては、フッ素化合物を含む原料ガス17を用いて発生させた大気圧プラズマジェット21を材料23に照射することにより、材料23表面にフッ素含有膜24を成膜するものである。このため、フッ素化合物を含む原料ガス17に基づく大気圧プラズマジェット21を材料23表面に照射するという簡単な操作を施すことにより、材料23表面にフッ素含有膜24が成膜される。このフッ素含有膜24は、フッ素の性質に基づいて撥油性、撥水性等の特性を発現する。
よって、本実施形態の成膜法によれば、簡易な方法で、材料23表面に優れた撥油性及び撥水性を付与できるフッ素含有膜24を形成することができるという効果を奏する。
(2)前記原料ガス17としてのフッ素化合物はテトラフルオロメタン等のフルオロカーボンである。このため、フルオロカーボンに基づくフッ素含有膜24を容易に形成することができ、フッ素による特性を発現することができる。
(3)前記原料ガス17には不活性ガスとしてのアルゴンが含まれている。従って、原料ガス17を不活性ガスで適切な濃度に希釈することができるとともに、材料23表面に対する清浄化作用(クリーニング作用)を発現することができ、材料23に対するフッ素含有膜24の密着性を向上させることができる。
(4)前記材料23は手術用メス、切開用ナイフ等の医療用刃物材料である。そのため、医療用刃物材料の刃部表面にフッ素含有膜24を成膜することにより、刃部に血液、水分等の体液が付着することを抑制することができ、刃部の切れ味を持続させることができる。
(5)前記医療用刃物材料は、ステンレス鋼、カーボン鋼、チタン合金又はアルミニウム合金である。このため、ステンレス鋼、カーボン鋼、チタン合金又はアルミニウム合金の表面にフルオロカーボンに基づくフッ素含有膜24を容易に形成することができる。
(6)前記材料23表面にフッ素含有膜24を成膜するときには、材料23表面の温度が100℃以下に保持される。従って、材料23表面の温度上昇を防止して、材料23表面にフッ素含有膜24を迅速かつ効果的に形成することができる。
(7)また、刃物材料は、前述した成膜法により、その表面にフッ素含有膜が成膜されたものである。このため、刃物材料は、その表面に形成されたフッ素含有膜24によって優れた撥油性及び撥水性を発揮することができ、刃部の切れ味の持続性を向上させることができる。
以下に、実施例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
前記図1に示した大気圧プラズマジェット発生装置11を使用し、材料23としてアルミニウム合金の表面にフッ素含有膜24を形成した。アルミニウム合金の厚さは10mmのものを使用した。原料ガス17としては、フルオロカーボンとしてテトラフルオロメタン(CF)ガスとアルゴンガスとの混合ガスを用いた。具体的には、テトラフルオロカーボンガスの流量を5L/分、アルゴンガスの流量を16L/分に設定した。すなわち、アルゴンガスに対するテトラフルオロカーボンの濃度は、容量比として0.31であった。また、電源15からの入力電力を0.3kWとした。
そして、プラズマジェットノズル20とアルミニウム合金との距離Lを3mm〜11mmに変更し、プラズマジェットノズル20からアルミニウム合金の表面に大気圧プラズマジェット21を照射して、アルミニウム合金表面にフッ素含有膜24の成膜を行った。得られたフッ素含有膜24について、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)にて分析を行った。その結果を図3に示した。図3に示すように、1200cm−1前後に強い吸収が見られた。これらの吸収は、C−F結合の存在を示しており、材料23表面にフッ素含有膜24が形成されていることが確認された。
このように、材料23表面にフッ素含有膜24が安定して形成されたのは、材料23表面の温度が100℃以下に抑えられるとともに、原料ガス17中にはアルゴンガスが十分に含まれ、材料23表面が清浄化され、フッ素含有膜24の密着性が高められたためと推測される。
また、フッ素含有膜24について、水に対するフッ素含有膜24の接触角を常法に従って測定した。なお、アルミニウム合金表面に大気圧プラズマジェット21を照射しない未処理の場合についても、水に対するアルミニウム合金表面の接触角を測定した。それらの結果を図2に示した。
図2に示すように、プラズマジェットノズル20とアルミニウム合金との距離Lが3〜5mmまでは水に対するフッ素含有膜24の接触角は増大し、前記距離Lが5mmのとき接触角は140°を超えた。一方、アルミニウム合金表面に大気圧プラズマジェット21を照射しなかった未処理の場合には、水に対するアルミニウム合金表面の接触角は70°であった。従って、プラズマジェットノズル20とアルミニウム合金との距離Lが3〜5mmの場合には、アルミニウム合金表面に撥油性及び撥水性の極めて高いフッ素含有膜24を得ることができた。
しかしながら、プラズマジェットノズル20とアルミニウム合金との距離Lが5mmを超えると次第に接触角は低下し、前記距離Lが8mm以上になると未処理の場合の接触角よりも小さくなり、アルミニウム合金表面が親水性を示す結果となった。これは、原料ガス17中のアルゴンガスによりアルミニウム合金表面が清浄化され、水の親和性が高くなったためと推測される。
(実施例2)
この実施例2では、材料23として厚さ1mmのステンレス鋼を使用し、プラズマジェットノズル20とステンレス鋼との距離Lを5mmに設定し、実施例1と同様にして大気圧プラズマジェット21を10秒間ステンレス鋼表面に照射した。その結果、水に対するステンレス鋼表面のフッ素含有膜24の接触角は20°以下に低下した。その原因は、ステンレス鋼の厚さが薄いことから、熱容量が小さく、かつ熱伝達率が小さく、ステンレス鋼の表面温度が100℃以上に急上昇したことによるものと考えられる。
そこで、1回の大気圧プラズマジェット21の照射時間を2秒とし、大気圧プラズマジェット21を照射しないステンレス鋼の冷却時間を30秒挟んでステンレス鋼の表面温度を100℃以下にし、大気圧プラズマジェット21を合計3回照射した。その結果、水に対するステンレス鋼表面のフッ素含有膜24の接触角は140°であった。
このように、材料23表面の温度が100℃を超えるような条件では、大気圧プラズマジェット21の照射時間を短時間にし、冷却期間をおいて大気圧プラズマジェット21の照射を繰り返す等の手段により、材料23表面の温度を100℃以下に維持することが重要であるとの知見が得られた。
なお、前記実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
・ 前記原料ガス17には、フッ素化合物としてフルオロカーボン以外の例えばトリクロロフルオロカーボン(CClF)等の化合物を用いることができる。
・ 前記原料ガス17には、シリコン又はシリコン化合物等のフッ素化合物以外の化合物が含まれていてもよい。この場合には、フッ素含有膜24中に含まれるシリコン等に基づいて撥油性、撥水性等の特性を発揮することができる。
・ 前記材料23として、医療用刃物材料以外の例えば理美容刃物等の刃物材料を用いることも可能である。
・ 前記支持台22に温度調節装置を設け、支持台22上に支持される材料23の温度を補助的に変更できるように構成してもよい。
17…原料ガス、21…大気圧プラズマジェット、23…材料、24…フッ素含有膜。

Claims (7)

  1. 少なくともフッ素化合物を含む原料ガスを用いて発生させた大気圧プラズマジェットを材料に照射することにより、前記材料の表面にフッ素含有膜を成膜することを特徴とする成膜法。
  2. 前記フッ素化合物はフルオロカーボンであることを特徴とする請求項1に記載の成膜法。
  3. 前記原料ガスには不活性ガスが含まれていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の成膜法。
  4. 前記材料は医療用刃物材料であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の成膜法。
  5. 前記医療用刃物材料は、ステンレス鋼、カーボン鋼、チタン合金又はアルミニウム合金であることを特徴とする請求項4に記載の成膜法。
  6. 前記材料の表面にフッ素含有膜を成膜するときには、材料表面の温度を100℃以下に保持することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の成膜法。
  7. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の成膜法により、刃物材料の表面にフッ素含有膜を成膜したことを特徴とする刃物材料。
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