JP2013147628A - 液晶ポリエステル樹脂組成物および成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶ポリエステルは溶融流動性に優れているため、微細な形状に溶融加工することが容易であるが製品の筐体のような外観部品や比較的大型の部品等、見た目が問題となりやすい成形体の形成材料としたとき、フローマークが生じやすく他の外観部品との色調の調整やデザインの点から、調色を要求され、フローマークが顕在化しにくい液晶ポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】液晶ポリエステル樹脂100質量部と、白色顔料1質量部以上30質量部以下と、カーボンブラック0.01質量部以上0.5質量部以下と、を含有する液晶ポリエステル樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶ポリエステル樹脂組成物および成形体に関するものである。
液晶ポリエステルは、溶融流動性に優れ、耐熱性や強度・剛性も高いことから、電気・電子部品をはじめ各種製品・部品の材料として検討されている。
これまで液晶ポリエステルは、微細な部品の形成材料として使用されることが多かったが、近年では、液晶ポリエステルを製品の筐体のような外観部品や比較的大型の部品等、見た目が問題となりやすい成形体の形成材料に使用する機会が増えている。これらの成形体では、他の外観部品との色調の調整やデザインの点から、調色を要求されることが多い。
これまで、液晶ポリエステルを含む樹脂組成物においては、白色顔料やカーボンブラックを含むものが知られており、カメラモジュールや、炊事用具等で使用されている(例えば、特許文献1から3参照)。
特開2009−242455号公報 特開2011−68831号公報 特表2004−538337号公報
液晶ポリエステルは、溶融流動性に優れているため、微細な形状に溶融加工することが容易である。しかし一方で、溶融加工時の溶融樹脂の挙動(流れ)が成型品上に残り顕在化する、いわゆる「フローマーク」が生じやすい。中でも、黒色や白色の成形体ではフローマークが目立たないのに対し、灰色の成形体ではフローマークが顕在化しやすく、成形体の外観不良を引き起こしていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、フローマークが顕在化しにくい液晶ポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、フローマークが顕在化しにくく、良好な外観を有する成形体を提供することをあわせて目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、液晶ポリエステル樹脂100質量部と、白色顔料1質量部以上30質量部以下と、カーボンブラック0.01質量部以上0.5質量部以下と、を含有する液晶ポリエステル樹脂組成物を提供する。
本発明の一態様においては、前記白色顔料を2質量部以上30質量部以下含有することが望ましい。
本発明の一態様においては、前記白色顔料が酸化チタンであることが望ましい。
また、本発明の一態様は、上述の液晶ポリエステル樹脂組成物を形成材料とし、前記液晶ポリエステル樹脂組成物を溶融し成形して得られる成形体を提供する。
本発明の一態様においては、前記液晶ポリエステル樹脂組成物を射出成形して得られることが望ましい。
本発明の一態様においては、L値が40以上75以下であることが望ましい。
本発明の一態様においては、外観部品であることが望ましい。
本発明の一態様においては、ランプ周辺部材であることが望ましい。
本発明の一態様においては、厚み1mm以上の部分を有していることが望ましい。
本発明によれば、フローマークが顕在化しにくい液晶ポリエステル樹脂組成物を提供することができる。また、フローマークが顕在化しにくく、良好な外観を有する成形体を提供することができる。
本実施形態の液晶ポリエステル樹脂組成物は、液晶ポリエステル樹脂100質量部と、白色顔料1質量部以上30質量部以下と、カーボンブラック0.01質量部以上0.5質量部以下と、を含有する。
また、本実施形態の成形体は、上述の液晶ポリエステル樹脂組成物を形成材料とし、前記液晶ポリエステル樹脂組成物を溶融し成形して得られる。
以下、順に説明する。
[液晶ポリエステル樹脂組成物]
(液晶ポリエステル)
本実施形態の液晶ポリエステル樹脂組成物に用いられる液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示す液晶ポリエステルであり、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。なお、液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミドであってもよいし、液晶ポリエステルエーテルであってもよいし、液晶ポリエステルカーボネートであってもよいし、液晶ポリエステルイミドであってもよい。液晶ポリエステルは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
液晶ポリエステルの典型的な例としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸と芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを重合(重縮合)させてなるもの、複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを重合させてなるもの、及びポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを重合させてなるものが挙げられる。ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンは、それぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重合可能な誘導体が用いられてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシル基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの(エステル)、カルボキシル基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、及びカルボキシル基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシル基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
液晶ポリエステルは、下記式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ということがある。)を有することが好ましく、繰返し単位(1)と、下記式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ということがある。)と、下記式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ということがある。)とを有することがより好ましい。
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−X−Ar−Y−
(Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基(−NH−)を表す。Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar−Z−Ar
(Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基及びn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、1〜10であることが好ましい。前記アリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、6〜20であることが好ましい。前記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar、Ar又はArで表される前記基毎に、それぞれ独立に、2個以下が好ましく、1個であることがより好ましい。
前記アルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、n−ブチリデン基及び2−エチルヘキシリデン基が挙げられ、その炭素数は1〜10であることが好ましい。
繰返し単位(1)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(1)としては、Arがp−フェニレン基であるもの(p−ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位)、及びArが2,6−ナフチレン基であるもの(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(2)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(2)としては、Arがp−フェニレン基であるもの(テレフタル酸に由来する繰返し単位)、Arがm−フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する繰返し単位)、Arが2,6−ナフチレン基であるもの(2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位)、及びArがジフェニルエ−テル−4,4’−ジイル基であるもの(ジフェニルエ−テル−4,4’−ジカルボン酸に由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(3)は、所定の芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位である。繰返し単位(3)としては、Arがp−フェニレン基であるもの(ヒドロキノン、p−アミノフェノール又はp−フェニレンジアミンに由来する繰返し単位)、及びArが4,4’−ビフェニリレン基であるもの(4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル又は4,4’−ジアミノビフェニルに由来する繰返し単位)が好ましく、芳香族ジオールに由来する繰り返し単位が特に好ましい。
繰返し単位(1)の含有量は、全繰返し単位の合計量(液晶ポリエステルを構成する各繰返し単位の質量をその各繰返し単位の式量で割ることにより、各繰返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは30モル%以上80モル%以下、さらに好ましくは40モル%以上70モル%以下、よりさらに好ましくは45モル%以上65モル%以下である。
繰返し単位(2)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%以上35モル%以下、さらに好ましくは15モル%以上30モル%以下、よりさらに好ましくは17.5モル%以上27.5モル%以下である。
繰返し単位(3)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%以上35モル%以下、さらに好ましくは15モル%以上30モル%以下、よりさらに好ましくは17.5モル%以上27.5モル%以下である。
繰返し単位(1)の含有量が多いほど、溶融流動性や耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、あまり多いと、溶融温度や溶融粘度が高くなり易く、成形に必要な温度が高くなり易い。
繰返し単位(2)の含有量と繰返し単位(3)の含有量との割合は、[繰返し単位(2)の含有量]/[繰返し単位(3)の含有量](モル/モル)で表して、好ましくは0.9/1〜1/0.9、より好ましくは0.95/1〜1/0.95、さらに好ましくは0.98/1〜1/0.98である。
なお、液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)を、それぞれ独立に、2種以上有してもよい。また、液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)以外の繰返し単位を有してもよいが、その含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。
液晶ポリエステルは、繰返し単位(3)として、X及びYがそれぞれ酸素原子であるものを有する、すなわち、所定の芳香族ジオールに由来する繰返し単位を有すると、溶融粘度が低くなり易いので好ましい。また、繰返し単位(3)として、X及びYがそれぞれ酸素原子であるもののみを有すると、より好ましい。
液晶ポリエステルは、それを構成する繰返し単位に対応する原料モノマーを溶融重合させ、得られた重合物(プレポリマー)を固相重合させることにより、製造することが好ましい。これにより、耐熱性や強度・剛性が高い高分子量の液晶ポリエステルを操作性良く製造することができる。溶融重合は、触媒の存在下に行ってもよく、この触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物や、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1−メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。
液晶ポリエステルは、その流動開始温度が、好ましくは270℃以上、より好ましくは270℃以上400℃以下、さらに好ましくは280℃以上380℃以下である。流動開始温度が高いほど、耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、あまり高いと、溶融温度や溶融粘度が高くなり易く、その成形に必要な温度が高くなり易い。
なお、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
(白色顔料)
上述したように,灰色に色調を調整した液晶ポリエステル樹脂組成物を用いた成形体は、フローマークが顕在化しやすいことが知られている。従来は、液晶ポリエステル樹脂組成物の灰色の色調への調整を、混合する黒色顔料の量を調整することにより行っていたが、このような従来の液晶ポリエステル樹脂組成物では、成形体のフローマークが顕在化しやすいという課題が生じていた。
対して、本実施形態の液晶ポリエステル樹脂組成物においては、灰色に色調を調整する際に、黒色顔料であるカーボンブラックのみならず白色顔料も併用することにより、成形体のフローマークが顕在化しにくい液晶ポリエステル樹脂組成物とすることができることを見出した。
本実施形態の液晶ポリエステル樹脂組成物には、白色顔料として、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、酸化チタン等の無機顔料が好ましく用いられる。また、それらの2種以上を用いてもよい。中でも酸化チタンは、液晶ポリエステルとの屈折率差が大きいことから、隠蔽性(下地の色を覆い隠す性質)が高く発色に優れるため好ましい。
白色顔料の粒径は、液晶ポリエステルに分散し易く、高い反射率を有し、隠蔽性が高いことから、体積平均粒径で表して、好ましくは0.05μm以上2μm以下、より好ましくは0.1μm以上1μm以下、さらに好ましくは0.15μm以上0.5μm以下、特に好ましくは0.2μm以上0.4μm以下である。
なお、ここでいう体積平均粒径は、白色顔料を走査形電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で撮影し、得られたSEM写真を画像解析装置(例えば(株)ニレコの「ルーゼックスIIIU」)で解析して、一次粒子の各粒径区間における粒子量(%)を求め、それらを体積基準で累積した分布曲線において、累積度が50%であるときの粒径である。
白色顔料は、含有量が多い場合は高温時に樹脂が分解して発生するガスが多くなる傾向があり、含有量が少ない場合はフローマークを消す効果が小さくなる。そのため白色顔料の含有量は液晶ポリエステル100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下、好ましくは2質量部以上30質量部以下、より好ましくは3質量部以上30質量部以下、さらに好ましくは5質量部以上30質量部以下である。
液晶ポリエステル樹脂組成物中の白色顔料の含有量が2質量部以上となると、得られた成形体の色調が光照射下においても低下し難く、耐光性の高い成形体を得ることができる。液晶ポリエステルを用いた成形体を、紫外線やキセノンランプ等に曝して長期間使用すると、光劣化により液晶ポリエステルの色調が低下し、成形体の外観不良を引き起こすおそれがあるが、本実施形態の液晶ポリエステル樹脂組成物においては、白色顔料の含有量を2質量部以上とすることで、得られる成形体の外観不良を抑制することができる。
白色顔料の好ましい例である酸化チタンは、その結晶形が、ルチル型であってもよいし、アナターゼ型であってもよく、両者が混在していてもよい。高い反射率を有し、耐光性にも優れることから、ルチル型の酸化チタンを含むものが好ましく、実質的にルチル型の酸化チタンのみからなるものがより好ましい。
酸化チタンには、表面処理が施されていてもよい。例えば、無機金属酸化物を用いて表面処理を施すことにより、分散性や耐光性を向上させることができる。無機金属酸化物としては、酸化アルミニウム(アルミナ)を用いることが好ましい。
アルミナを用いて酸化チタンを表面処理するには、(1)酸化チタンの製造時に乾式粉砕する際にアルミナを共存させることにより酸化チタンの表面にアルミナを付着させる、(2)粉砕した酸化チタンを溶媒に懸濁させたスラリー、または酸化チタンを湿式粉砕することで得られるスラリー中の酸化チタンに、公知の方法を用いてアルミナを付着させる、などの方法を採用することができる。
スラリー中の酸化チタンに対するアルミナを用いた表面処理の方法は、特に限定されない。例えば、酸化チタンのスラリーに水溶性アルミニウム化合物の水溶液を添加し、スラリー中の酸化チタンの表面にアルミナを生じさせ、沈殿物を濾過、水洗し乾燥させることにより行うことができる。
スラリー中の酸化チタンの表面にアルミナを生じさせる方法としては、(2−1)酸化チタンのスラリーに対し、水溶性アルミニウム化合物の水溶液を一定のpH(アルミナが生成するpH)を保ちながら徐々に添加する、(2−2)酸化チタンのスラリーに対し、水溶性アルミニウム化合物の水溶液を添加した後、アルミナが生成するpHに中和する、(2−3)酸化チタンのスラリーに酸を添加し酸性とした後に、水溶性アルミニウム化合物の水溶液を添加し、アルミナが生成するpHとする、といった方法のいずれを採用してもよい。
水溶性アルミニウム化合物は硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等が挙げられる。また、中和に用いられる酸としては硫酸、塩酸、硝酸等が挙げられ、アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等が挙げられる。
なお、耐熱性や強度の点からは、表面処理が施されていない酸化チタンを用いることが好ましい。
酸化チタンの製造方法は、塩素法でもよいし、硫酸法でもよいが、ルチル型の酸化チタンを製造する場合は、塩素法が好ましい。塩素法により酸化チタンを製造する場合、まず、チタン源である鉱石(ルチル鉱やイルメナイト鉱から得られる合成ルチル鉱)と塩素とを1000℃付近で反応させて粗四塩化チタンを得、この粗四塩化チタンを精留で精製した後、酸素で酸化することが好ましい。
塩素法で製造された酸化チタンとしては、石原産業(株)の「TIPAQUE CR−60」及び「TIPAQUE CR−58」が挙げられる。また、硫酸法で製造された酸化チタンとしては、テイカ(株)の「TITANIX JR−301」及び「WP0042」並びに堺化学(株)の「SR−1」、「SR−1R」及び「D−2378」が挙げられる。
(カーボンブラック)
本実施形態の液晶ポリエステル樹脂組成物に用いるカーボンブラックとしては、ファーネスブラック系、チャネルブラック系、ランプブラック系、アセチレンブラック系、ケッチェンブラック等のカーボンブラックが挙げられる。
本実施形態においては、カーボンブラックの含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、0.01質量部以上0.5質量部以下、好ましくは0.03質量部以上0.3質量部以下、より好ましくは0.05質量部以上0.25質量部以下である。
本実施形態の液晶ポリエステル樹脂組成物に用いることができるカーボンブラックとしては、三菱化学(株)の「MA100」、「#45」、「#960」及び「#1000」等が挙げられる。
(その他の成分)
液晶ポリエステル樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で白色顔料及びカーボンブラック以外の充填材、液晶ポリエステル以外の樹脂等、他の成分を1種以上含んでもよい。
充填材は、繊維状充填材であってもよいし、板状充填材であってもよいし、繊維状及び板状以外で、球状その他の粒状充填材であってもよい。また、充填材は、無機充填材であってもよいし、有機充填材であってもよい。
繊維状無機充填材の例としては、ガラス繊維;パン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維;シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維等のセラミック繊維;及びステンレス繊維等の金属繊維が挙げられる。また、チタン酸カリウムウイスカー、チタン酸バリウムウイスカー、ウォラストナイトウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、窒化ケイ素ウイスカー、炭化ケイ素ウイスカー等のウイスカーも挙げられる。
繊維状有機充填材の例としては、ポリエステル繊維及びアラミド繊維が挙げられる。
板状無機充填材の例としては、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、ガラスフレーク、硫酸バリウム及び炭酸カルシウムが挙げられる。マイカは、白雲母であってもよいし、金雲母であってもよいし、フッ素金雲母であってもよいし、四ケイ素雲母であってもよい。
粒状無機充填材の例としては、シリカ、アルミナ、ガラスビーズ、ガラスバルーン、窒化ホウ素、炭化ケイ素及び炭酸カルシウムが挙げられる。
液晶ポリエステル樹脂組成物における、白色顔料及びカーボンブラック以外の充填材の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、0質量部以上100質量部以下であることが好ましい。
液晶ポリエステル以外の樹脂の例としては、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリスチレン、液晶ポリエステル以外のポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド等の液晶ポリエステル以外の熱可塑性樹脂;及びフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。液晶ポリエステル樹脂組成物における、液晶ポリエステル以外の樹脂の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、0質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
本実施形態の液晶ポリエステル樹脂組成物は、液晶ポリエステル、白色顔料及びカーボンブラック、更に必要に応じて上述の充填材や液晶ポリエステル以外の樹脂を、押出機を用いて溶融混練し、ペレット状に押し出すことにより調製することが好ましい。押出機としては、シリンダーと、シリンダー内に配置された1本以上のスクリュウと、シリンダーに設けられた1箇所以上の供給口とを有するものが、好ましく用いられ、さらにシリンダーに設けられた1箇所以上のベント部を有するものが、より好ましく用いられる。
(成形方法および成形体)
こうして得られる本実施形態の液晶ポリエステル樹脂組成物を成形することにより、フローマークが改善された成形体を得ることができる。液晶ポリエステル樹脂組成物を用いた成形法としては、溶融成形法が好ましく、その例としては、射出成形法、Tダイ法やインフレーション法等の押出成形法、圧縮成形法、ブロー成形法、真空成形法及びプレス成形が挙げられる。中でも射出成形法により得られる成形体は、本実施形態の液晶ポリエステル樹脂組成物を用いることによるフローマーク低減の効果が高く、好ましい。
特に成形体の厚みが厚い部分でフローマークが出やすくなる傾向があるところ、射出成形法に本実施形態の液晶ポリエステル樹脂組成物を用いると、フローマークが顕在化しにくくなり、良好な外観の成形体を得ることができる。成形体の厚みとしては、1.0mm以上となるとフローマークが顕在化しやすいため、本実施形態の液晶ポリエステル樹脂組成物を用いるとフローマーク低減の効果が高い。さらに1.5mm以上の厚みの成形体においても、フローマークが低減され良好な外観を有するものとなる。
本実施形態に適する樹脂の色調においては色調が明るい(L値が高い)場合又は、色調が暗い(L値が低い)場合は液晶ポリエステルのフローマークが目視しにくいため、外観不良となりにくい。このため本実施形態においては、液晶ポリエステルを射出成形して得られた成形品の色調が、L値で40以上75以下であるとフローマーク低減の効果が高く、L値で45以上70以下であるとさらに効果が高い。
なお、本明細書において「L値」は、色差計(ミノルタ(株)の「CM−3600d」)を用いて、照明受光光学系D65、C光源、観察視野10゜、測定径25.4mmの条件で、紫外線カットを行わずに測定して得られる、L表色系による明度(L:SCE法)を採用した。
本実施形態の液晶ポリエステル樹脂組成物を用いて得られる成形体としては、例えば、コネクター、ソケット、リレー部品、コイルボビン、光ピックアップ、発振子、プリント配線板、コンピュータ関連部品、等の電気・電子部品;ICトレー、ウエハーキャリヤー、等の半導体製造プロセス関連部品;VTR、テレビ、アイロン、エアコン、ステレオ、掃除機、冷蔵庫、炊飯器、照明器具、等の家庭電気製品部品;ランプリフレクター、ランプホルダー、等の照明器具部品;コンパクトディスク、レーザーディスク(登録商標)、スピーカー、等の音響製品部品;光ケーブル用フェルール、電話機部品、ファクシミリ部品、モデム、等の通信機器部品;分離爪、ヒータホルダー、等の複写機関連部品;インペラー、ファン、歯車、ギヤ、軸受け、モーター部品及びケース、等の機械部品;自動車用機構部品、エンジン部品、エンジンルーム内部品、電装部品、内装部品、等の自動車部品;マイクロ波調理用鍋、耐熱食器、等の調理用器具;床材、壁材などの断熱、防音用材料、梁、柱などの支持材料、屋根材、等の建築資材または土木建築用材料;航空機部品、宇宙機部品、原子炉などの放射線施設部材、海洋施設部材、洗浄用治具、光学機器部品、バルブ類、パイプ類、ノズル類、フィルター類、膜、医療用機器部品及び医療用材料、センサー類部品、サニタリー備品、スポーツ用品、レジャー用品、が挙げられる。
本実施形態の成形体はフローマークが顕在化しにくいことから、これらの成形体のうち外観部品として用いられるものにおいては、良好な外観を有するものとなり好ましい。
また、本実施形態の液晶ポリエステル樹脂組成物は、酸化チタンとカーボンブラックとを併用し、良好に外光を遮光することから、耐光性に優れた成形品を与えることができる。そのため、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、重水素ランプ、タングステンランプ、発光ダイオード等を用いたランプ周辺部材、また自動車、オートバイ等のヘッドランプ等のランプ周辺部材、太陽光に暴露される周辺部材等、耐光性が要求される種々の部材の用途に好適に使用することができる。
特に光に暴露されるランプソケット、ランプホルダー、レンズホルダー、コネクター等に好適に使用することができる。
以上のような構成の液晶ポリエステル樹脂組成物によれば、フローマークが顕在化しにくい材料を提供することができる。
また、以上のような構成の成形体によれば、フローマークが顕在化しにくく、良好な外観を有する成形体を提供することができる。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[色調の測定]
色差計(ミノルタ(株)の「CM−3600d」)を用いて、照明受光光学系D65、C光源、観察視野10゜、測定径25.4mmの条件で、紫外線カットを行わずに、L表色系による明度(L:SCE法)、色度(a、b:SCE法)を測定した。また、耐光性試験前の試験片の色調と、耐光性試験後の試験片の色調とを測定し、色差(ΔE 94:SCE法)を求めた。
[フローマークの確認]
フローマークの多少について64mm×64mm×3mmの成形体表面を確認し、目視評価した。評価の結果、フローマークが発見できない、または、注意深く観察しないとフローマークが見つからないものを「○」、フローマークが多く、存在が一目瞭然であるものを「×」、「○」と「×」との間の評価のものであって、フローマークが少し発見できるものを「△」とした。
[液晶ポリエステルの流動開始温度の測定]
フローテスター((株)島津製作所の「CFT−500型」)を用いて、液晶ポリエステル約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度を測定した。
[酸化チタンの体積平均粒径の測定]
酸化チタンの体積平均粒径は、走査形電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で撮影し、得られたSEM写真を画像解析装置((株)ニレコの「ルーゼックスIIIU」)で解析して、一次粒子の各粒径区間における粒子量(%)を求め、それらを体積基準で累積した分布曲線において、累積度が50%であるときの粒径を採用した。
[耐光性試験]
キセノンウェザーメーター((株)東洋精機製作所の「アトラスCi4000」)を用いて、300〜400nm波長の光を、放射照度36.4W/m、ブラックパネル温度55℃、湿度55%RHの条件で、成形体に300時間照射して行った。
[液晶ポリエステル1の製造]
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、パラヒドロキシ安息香酸994.5g(7.2モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル446.9g(2.4モル)、テレフタル酸299.0g(1.8モル)、イソフタル酸99.7g(0.6モル)及び無水酢酸1347.6g(13.2モル)を仕込み、1−メチルイミダゾール0.2gを添加し、反応器内を十分に窒素ガスで置換した。その後、窒素ガス気流下で室温から150℃まで30分かけて昇温し、同温度を保持して1時間還流させた。
次いで、副生酢酸や未反応の無水酢酸を留去しながら150℃から320℃まで2時間50分かけて昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了としてプレポリマーを得た。
得られたプレポリマーは室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕した。得られたプレポリマーの粉末を、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から285℃まで5時間かけて昇温し、285℃で3時間保持することで固相重合を行い、液晶ポリエステル1を得た。得られた液晶ポリエステル1の流動開始温度は327℃であった。
[液晶ポリエステル2の製造]
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、パラヒドロキシ安息香酸994.5g(7.2モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル446.9g(2.4モル)、テレフタル酸239.2g(1.44モル)、イソフタル酸159.5g(0.96モル)及び無水酢酸1347.6g(13.2モル)を仕込み、1−メチルイミダゾール0.2gを添加し、反応器内を十分に窒素ガスで置換した。その後、窒素ガス気流下で室温から150℃まで30分かけて昇温し、同温度を保持して1時間還流させた。
次いで、1−メチルイミダゾール0.9gを加え、副生酢酸や未反応の無水酢酸を留去しながら150℃から320℃まで2時間50分かけて昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了としてプレポリマーを得た。
得られたプレポリマーは室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕した。得られたプレポリマーの粉末を、窒素雰囲気下、室温から220℃まで1時間かけて昇温し、220℃から240℃まで0.5時間かけて昇温し、240℃で10時間保持することで固相重合を行い、液晶ポリエステル2を得た。得られた液晶ポリエステル2の流動開始温度は291℃であった。
(実施例1〜7、参考例1〜3、比較例1)
上述の液晶ポリエステル1に対して、下記表1,2に示す配合比にてガラス繊維(EFH75−01、セントラルガラス(株)製)、酸化チタン(TIPAQUE CR−60、石原産業(株)製、体積平均粒径0.21μm)及びカーボンブラック(カーボンブラック #45B、三菱化学(株)製)を配合した後、2軸押出機(池貝鉄工(株)製 PCM−30)を用いて液晶ポリエステル樹脂組成物を得た。
得られた液晶ポリエステル樹脂組成物を、射出成形機(日精樹脂工業(株)製 PS40E5ASE型)を用いて340℃にて成形し、寸法64mm×64mm×3mmの試験片を得た。
実施例1〜7の各試験片について測定した明度、色度およびフローマークの結果を表1に示し、参考例1〜3及び比較例1の各試験片について測定した明度、色度およびフローマークの結果を表2に示す。
Figure 2013147628
Figure 2013147628
まず、参考例1〜3においては、フローマークの評価が「○」または「△」となった。これは、参考例1〜3の試験片がフローマークを観察するには明るすぎる(L値が大きい)、または暗すぎる(L値が小さい)ために、フローマークが顕在化しない、または顕在化しにくいものと考えられる。
また、酸化チタンとカーボンブラックとを併用する実施例1〜7の試験片は、カーボンブラックのみを用いて色調を調整する従来の組成のもの(比較例1)と比べ、L値が同等であるにも関わらず、フローマークが低減されていることが確認された。
(実施例8,9、参考例4、比較例2)
上述の液晶ポリエステル1、液晶ポリエステル2に対して、下記表3に示す配合比にてガラス繊維(PF70E−001、日東紡績(株)製)、酸化チタン(TIPAQUE CR−58、石原産業(株)製、体積平均粒径0.28μm)、タルク(X−50、日本タルク(株)製)及びカーボンブラック(カーボンブラック #960、三菱化学(株)製)を配合した後、2軸押出機(池貝鉄工(株)製 PCM−30)を用いて液晶ポリエステル樹脂組成物を得た。
得られた液晶ポリエステル樹脂組成物を、射出成形機(日精樹脂工業(株)製 PS40E5ASE型)を用い、実施例8は300℃、実施例9と参考例4は350℃、比較例2は340℃で各々成形して、寸法64mm×64mm×3mmの試験片を得た。
実施例8,9、参考例4及び比較例2の各試験片について明度、色度、フローマーク及び耐光性試験前後の色差を測定した結果を表3に示す。
Figure 2013147628
まず、参考例4においては、参考例1,3と同様に、試験片がフローマークを観察するには明るすぎる(L値が大きい)ため、フローマークの評価が「○」となった。このような試験片について、耐光性試験前後の色調変化を確認したところ、大きく色調が変化していることを確認した。
酸化チタンとカーボンブラックとを併用した実施例8と9の試験片は、フローマークが低減されており、さらに耐光性試験後の色調変化も低減されていることが確認された。酸化チタンの含有量が多い実施例8では、酸化チタンの含有量が2質量部未満の実施例9と比べて色調変化が一層抑えられており、良好な外観を維持していた。
対して、カーボンブラックのみを用いて色調を調整する従来の組成のものは、フローマークが目立っている上に、耐光性試験後の色調変化が実施例8,9よりも大きく、外観を維持しにくいことが分かった。
これらの結果から、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、フローマークが顕在化しにくい成形体を提供できること、および本発明の成形体はフローマークが顕在化しにくく良好な外観を有することが確かめられ、本発明の有用性が確かめられた。

Claims (9)

  1. 液晶ポリエステル樹脂100質量部と、白色顔料1質量部以上30質量部以下と、カーボンブラック0.01質量部以上0.5質量部以下と、を含有する液晶ポリエステル樹脂組成物。
  2. 前記白色顔料を2質量部以上30質量部以下含有する請求項1に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記白色顔料が酸化チタンである請求項1または2に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物を形成材料とし、前記液晶ポリエステル樹脂組成物を溶融し成形して得られる成形体。
  5. 前記液晶ポリエステル樹脂組成物を射出成形して得られる請求項4に記載の成形体。
  6. 値が40以上75以下である請求項4または5に記載の成形体。
  7. 外観部品である請求項4から6のいずれか1項に記載の成形体。
  8. ランプ周辺部材である請求項7記載の成形体。
  9. 厚み1mm以上の部分を有している請求項4から8のいずれか1項に記載の成形体。
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