JP2013146975A - インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、インクジェット記録装置の制御方法、記録物 - Google Patents

インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、インクジェット記録装置の制御方法、記録物 Download PDF

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Abstract

【課題】金属光沢性に優れた光輝性領域を形成できるインクジェット記録方法を提供することにある。
【解決手段】本発明に係るインクジェット記録方法は、ノズルを備えたインクジェット式記録ヘッドを用いたインクジェット記録方法であって、前記ノズルから光輝性顔料を含有する光輝性インクの液滴を吐出させて、該記録媒体上に光輝性領域を形成する工程を含み、前記光輝性領域に含まれる前記光輝性顔料の量が、0.1mg/inch以上0.5mg/inch以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、インクジェット記録装置の制御方法、記録物に関する。
従来、記録媒体上に金属光沢を有する塗膜を形成する手法として、真鍮、アルミニウム微粒子等から作製された金粉、銀粉を顔料に用いた印刷インキや金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写方式等が用いられてきた。
近年、印刷におけるインクジェット方式の記録方法への応用例が数多く見受けられ、その中の一つの応用例として、金属光沢性を有する画像を得るためのメタリック印刷が知られている。例えば、特許文献1には、光輝性顔料(例えば、真鍮、アルミニウム微粒子等から作製された金粉、銀粉)を含有する光輝性インクを用いて、金属光沢を有する画像を形成することが記載されている。
特開2008−174712号公報
しかしながら、上述の光輝性インクを用いても、記録方法によっては、十分な金属光沢性を備えた画像が得られない場合があった。
本発明に係る幾つかの態様は、前記課題の少なくとも一部を解決することで、金属光沢性に優れた光輝性領域を形成できるインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
ノズルを備えたインクジェット式記録ヘッドを用いたインクジェット記録方法であって、
前記ノズルから光輝性顔料を含有する光輝性インクの液滴を吐出させて、該記録媒体上に光輝性領域を形成する工程を含み、
前記光輝性領域に含まれる前記光輝性顔料の量が、0.1mg/inch以上0.5mg/inch以下である。
適用例1のインクジェット記録方法によれば、金属光沢性に優れた光輝性領域を形成することができる。
[適用例2]
適用例1において、
前記ノズルは、一滴あたりの量(pl)が互いに異なる第1の液滴および第2の液滴を吐出可能であり、
前記第1の液滴の飛翔時における一滴あたりの量(pl)が、3pl以下であり、
前記第2の液滴の飛翔時における一滴あたりの量(pl)が、7pl以上であり、
前記光輝性領域を形成する工程において、前記光輝性領域は、前記光輝性インクからなる前記第1の液滴、または前記光輝性インクからなる前記第2の液滴によって形成されることができる。
[適用例3]
適用例1において、
前記ノズルは、一滴あたりの量(pl)が互いに異なる第1の液滴、第2の液滴、第3の液滴を吐出可能であり、
前記第1の液滴の飛翔時における一滴あたりの量(pl)が、1pl以上3pl以下であり、
前記第2の液滴の飛翔時における一滴あたりの量(pl)が、3.1pl以上7pl以下であり、
前記第3の液滴の飛翔時における一滴あたりの量(pl)が、7pl以上25pl以下であり、
前記光輝性領域を形成する工程において、前記光輝性領域は、前記光輝性インクからなる前記第1の液滴、前記光輝性インクからなる前記第2の液滴、または前記光輝性インクからなる前記第3の液滴によって形成されることができる。
[適用例4]
適用例1において、
前記ノズルは、一滴あたりの量(pl)が互いに異なる第1の液滴、第2の液滴、第3の液滴を吐出可能であり、
前記第2の液滴の飛翔時における量が、前記第1の液滴の飛翔時における量の1.1倍以上2倍以下であり、
前記第3の液滴の飛翔時における量が、前記第1の液滴の飛翔時における量の2.1倍以上8倍以下であり、
前記光輝性領域を形成する工程において、前記光輝性領域は、前記光輝性インクからなる前記第1の液滴、前記光輝性インクからなる前記第2の液滴、または前記光輝性インクからなる前記第3の液滴によって形成されることができる。
[適用例5]
適用例1において、
前記ノズルは、飛翔時における水平方向の直径が互いに異なる第1の液滴、第2の液滴、第3の液滴を吐出可能であり、
前記第2の液滴の飛翔時における水平方向の直径が、前記第1の液滴の飛翔時における水平方向の直径の1.01倍以上1.25倍以下であり、
前記第3の液滴の飛翔時における水平方向の直径が、前記第1の液滴の飛翔時における水平方向の直径の1.25倍以上2倍以下であり、
前記光輝性領域を形成する工程において、前記光輝性領域は、前記光輝性インクからなる前記第1の液滴、前記光輝性インクからなる前記第2の液滴、または前記光輝性インクからなる前記第3の液滴によって形成されることができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、
さらに、前記ノズルから樹脂インクの液滴を吐出させて、前記光輝性領域上に付着させる工程を含むことができる。
[適用例7]
適用例2ないし適用例5のいずれか1例において、
さらに、前記ノズルから樹脂インクからなる前記第1の液滴を吐出させて、前記光輝性領域上に付着させる工程を含むことができる。
[適用例8]
適用例6または適用例7において、
前記光輝性領域上に付着させる前記樹脂インクの量が、0.08mg/inch以上0.2mg/inch以下であることができる。
[適用例9]
本発明に係る記録物の一態様は、
適用例1ないし適用例8のいずれか1例に記載のインクジェット記録方法により得られる。
[適用例10]
本発明に係るインクジェット記録装置の一態様は、
適用例1ないし適用例8のいずれか1例に記載のインクジェット記録方法を用いる。
[適用例11]
本発明に係る制御方法の一態様は、
インクジェット記録装置を制御する制御方法であって、
前記インクジェット記録装置は、ノズルを備えるインクジェット式記録ヘッドを有し、
前記ノズルから、光輝性顔料を含有する光輝性インクの液滴を一滴あたり3pl以下で吐出させて、前記光輝性顔料を0.1mg/inch以上0.5mg/inch以下含む光輝性領域を形成する第1モードと、
前記ノズルから、前記光輝性インクの液滴を一滴あたり7pl以上で吐出させて、前記光輝性顔料を0.1mg/inch以上0.5mg/inch以下含む光輝性領域を形成する第2モードと、
を切り替える制御する。
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.インクジェット記録方法
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録方法は、ノズルを備えたインクジェット式記録ヘッドを用いたインクジェット記録方法であって、前記ノズルから光輝性顔料を含有する光輝性インクの液滴を吐出させて、該記録媒体上に光輝性領域を形成する工程を含み、前記光輝性領域に含まれる前記光輝性顔料の量が、0.1mg/inch以上0.5mg/inch以下であることを特徴とする。
本実施形態に係るインクジェット記録方法に用いるインクジェット式記録ヘッドは、次のようなインクジェット記録方式により、インク等の液体を液滴として吐出するものである。このようなインクジェット記録方式としては、具体的には、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルから液滴状のインクを連続的に吐出させ、インクの液滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏光電極に与えて記録する方式またはインクの液滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して吐出させる方式(静電吸引方式)、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインクの液滴を吐出させる方式、インクに圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インクの液滴を吐出・記録させる方式(ピエゾ方式)、インクを印刷情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、インク滴を吐出・記録させる方式(サーマルジェット方式)等が挙げられる。
以下、本実施形態に係るインクジェット記録方法について、インクジェット記録装置(インクジェットプリンター)を用いた場合を例に挙げて説明する。なお、本発明は、以下の態様に限定されるものではない。
1.1.光輝性領域を形成する工程
まず、インクジェットプリンターのインクジェット式記録ヘッドのノズルから、光輝性顔料を含有する光輝性インク(後述)の液滴を吐出させて、記録媒体上に光輝性インクの液滴を付着させる。これにより、記録媒体上に光輝性領域(光輝性画像)が形成される。
上記の光輝性領域を形成する工程において、光輝性領域に含まれる光輝性顔料の量は、0.1mg/inch以上0.5mg/inch以下である。光輝性領域に含まれる光輝性顔料の量が上記範囲内、とりわけ下限を下回らずにあることで、光輝性領域の金属光沢性が優れたものとなる。また、光輝性領域に含まれる光輝性顔料の量が上限値を超えると、金属光沢性がほとんど向上せず平衡状態になるため、これ以上光輝性顔料が含まれていても、金属光沢性の向上をほとんど望めない。そのため、光輝性領域に含まれる光輝性顔料の量が0.5mg/inch以下であることで、光輝性インクの使用量を節減することができる。
光輝性領域に含まれる光輝性顔料の量(mg/inch)とは、光輝性領域の単位面積あたりに含まれる光輝性顔料の量のことをいい、例えば、光輝性領域を形成するために使用した光輝性インクの総吐出量に占める顔料の含有量(mg)を、光輝性領域の面積(inch)で除することで求められる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法では、一滴あたりの量が互いに異なる液滴を吐出可能なノズルを用いることが好ましい。例えば、ピエゾ方式のインクジェット式記録ヘッドでは、駆動波形を設定することで、複数のサイズの液滴を打ち分けることができる。こうすることで、一滴あたりの量が互いに異なる液滴をノズルから吐出させることができる。
発明者は、上述のような複数のサイズの液滴を打ち分けることができるインクジェット式記録ヘッドを用いて、光輝性インクの液滴を吐出させて場合において、大きいサイズの液滴を吐出させると、小さいサイズの液滴を吐出させた場合に比べて、光輝性領域の金属光沢性が一層向上することを見出した。この理由としては、次のように考えられる。
大きいサイズの液滴は、小さいサイズの液滴に比べて、記録媒体への染み込み時間が長くなる。このように、液滴の記録媒体への染み込み時間が長くなると、液滴に含まれる光輝性顔料が緻密に配列しやすくなるため、大きいサイズの液滴を用いた方が、小さいサイズの液滴を用いるよりも、光輝性領域の金属光沢性が向上すると考えられる。また、大きいサイズの液滴は、小さいサイズの液滴に比べて、記録媒体に付着した場合の液滴一滴あたりの面積が大きくなるので、光輝性領域における光の乱反射を低減できる。これにより、大きいサイズの液滴は、小さいサイズの液滴に比べて、光輝性領域の金属光沢性を向上させることができると考えられる。
したがって、上述の0.1mg/inch以上0.5mg/inch以下の光輝性顔料を含む光輝性領域を形成する工程において、大きいサイズの液滴を用いると、より一層金属光沢性に優れた光輝性領域が得られる。
一方、発明者は、小さいサイズの液滴を吐出させると、大きいサイズの液滴を吐出させた場合に比べて、無彩色に近い良好な光輝性領域が得られることを見出した。この理由としては、次のように考えられる。
小さいサイズの液滴を用いて光輝性領域を形成する場合、大きいサイズの液滴を用いて光輝性領域を形成する場合に比べて、多数の液滴が必要になる。そのため、小さいサイズの液滴を用いて形成された光輝性領域の表面は、大きいサイズの液滴を用いて形成された光輝性領域の表面よりも、平滑になりにくい場合がある。そのため、小さいサイズの液滴を用いて形成された光輝性領域の表面は、光が乱反射しやすくなるので、無彩色に近づくと考えられる。
したがって、上述の0.1mg/inch以上0.5mg/inch以下の光輝性顔料を含む光輝性領域を形成する工程において、小さいサイズの液滴を用いると、金属光沢性に優れつつ、無彩色に近い良好な光輝性領域が得られる。
本発明において無彩色とは、L表色系において、a値およびb値が共に、−20以上20以下、好ましくは−10以上10以下、より好ましくは−5以上5以下、特に好ましくは−3以上3以下であることをいう。本発明においてL表色系とは、CIE(Commission International de l’Eclairage:国際照明委員会)によって定められたCIE(1976)L表色系のことをいう。
液滴の飛翔時において、上述の大きいサイズの液滴は、一滴あたりの量が7pl以上であることが好ましく、7pl以上25pl以下であることがより好ましい。上記の光輝性領域を形成する工程において、光輝領域が、一滴あたり7pl以上(好ましくは7pl以上25pl以下)の光輝性インクの液滴によって形成されると、金属光沢性に一層優れる場合がある。
液滴の飛翔時において、上述の小さいサイズの液滴は、一滴あたりの量が3pl以下であることが好ましく、1pl以上3pl以下であることがより好ましい。上記の光輝性領域を形成する工程において、光輝領域が、一滴あたり3pl以下(好ましくは1pl以上3pl以下)の光輝性インクの液滴によって形成されると、光輝性領域が無彩色に一層近づきやすくなる。
本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドのノズルは、上述した大きいサイズの液滴(一滴あたり7pl以上の液滴)と、小さいサイズの液滴(一滴あたり3pl以下の液滴と、の中間のサイズにあたる中サイズの液滴を吐出してもよい。液滴の飛翔時において、中サイズの液滴は、一滴あたりの量が3.1pl以上7pl以下であることができる。一滴あたりの液滴の量が3.1pl以上7pl以下であると、小さいサイズの液滴ほどではないが、光輝性領域を無彩色に近づけることができ、大きいサイズの液滴ほどではないが、光輝性領域の金属光沢性を向上させることができる。つまり、中サイズの液滴を用いると、金属光沢性および無彩色性の両性質のバランスの良好な光輝性領域が得られる。
液滴の飛翔時において、大きいサイズの液滴一滴あたりの量(pl)は、小さいサイズの液滴一滴あたりの量に対して、2.1倍以上8倍以下であることが好ましく、3倍以上6倍以下であることがより好ましい。また、液滴の飛翔時において、中サイズの液滴一滴あたりの量(pl)は、小さいサイズの液滴一滴あたりの量に対して、1.1倍以上2倍以下であることが好ましく、1.5倍以上2倍以下であることがより好ましい。液滴のサイズを上記範囲内に設定することで、選択した液滴毎の特徴が顕著に表れた光輝性領域を形成できる。そのため、ユーザーの要求に応じた特徴を備えた光輝性領域が容易に得られる。
一滴あたりの液滴の量は、例えば、インクジェット液滴自動計測装置(商品名「JetMeasure」、株式会社マイクロジェット製)を用いて測定できる。本発明において液滴の飛翔時とは、ノズルから吐出させた液滴が記録媒体に付着(接触)するまでのことをいう。なお、ノズルから一滴ずつ吐出させたはずの液滴が、ノズルから離れるときや飛翔中に、複数に分かれる場合がある。このような場合には、複数に分かれた液滴のうち、最も量(pl)の多い液滴を基準とする。
液滴の飛翔時において、大きいサイズの液滴一滴あたりの水平方向における直径は、小さいサイズの液滴一滴あたりの水平方向における直径に対して、1.25倍以上2倍以下であることが好ましく、1.44倍以上1.82倍以下であることがより好ましい。また、液滴の飛翔時において、中サイズの液滴一滴あたりの水平方向における直径は、小さいサイズの液滴一滴あたりの水平方向における直径に対して、1.01倍以上1.25倍以下であることが好ましく、1.14倍以上1.25倍以下であることがより好ましい。液滴のサイズを上記範囲内に設定することで、選択した液滴毎の特徴が顕著に表れた光輝性領域を形成できる。そのため、ユーザーの要求に応じた特徴を備えた光輝性領域が容易に得られる。
具体的には、液滴の飛翔時において、小さいサイズの液滴一滴あたりの水平方向における直径は、5μm以上9.9μm以下であることが好ましい。中サイズの液滴一滴あたりの水平方向における直径は、10μm以上11μm以下であることが好ましい。また、大きいサイズの液滴一滴あたりの水平方向における直径は、12μm以上20μm以下であることが好ましい。
飛翔中の液滴の直径は、水平方向における最も長い箇所を、インクジェット液滴自動計測装置(商品名「JetMeasure」、株式会社マイクロジェット製)で測定することによって求められる。なお、ノズルから一滴ずつ吐出させたはずの液滴が複数に分かれた際には、分かれた液滴のうち、最も直径の大きい液滴を基準とする。
大きいサイズの液滴が記録媒体に付着した際の直径は、小さいサイズの液滴が記録媒体に付着した際の直径に比べて、2.1倍以上8倍以下であることが好ましく、3倍以上6倍以下であることがより好ましい。また、中サイズの液滴が記録媒体に付着した際の直径は、小さいサイズの液滴が記録媒体に付着した際の直径に比べて、1.1倍以上2倍以下であることが好ましく、1.5倍以上2倍以下であることがより好ましい。このように、液滴のサイズを上記範囲内に設定することで、選択した液滴毎の特徴が顕著に表れた光輝性領域を形成できる。そのため、ユーザーの要求に応じた特徴を備えた光輝性領域が容易に得られる。
具体的には、大きいサイズの液滴が記録媒体に付着した際の直径は、21μm以上40μm以下であることができる。中サイズの液滴が記録媒体に付着した際の直径は、11μm以上20μm以下であることができる。また、小さいサイズの液滴が記録媒体に付着した際の直径は、5μm以上10μm以下であることができる。
記録媒体に付着した際の液滴の直径は、液滴が記録媒体(商品名写真用紙<光沢>、セイコーエプソン株式会社製)に接触を開始して60秒経過した時に、マイクロスコープ((商品名「VHX−1000」、株式会社キーエンス製)を用いて測定できる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法では、サイズの異なる液滴同士が、上述した量の関係、飛翔中の直径の関係、および記録媒体に付着させた際の直径の関係、の2つ以上を同時に満たすものであってもよい。こうすることで、いずかれ一つの関係を満たす場合よりも、その効果が一層高まる場合がある。
本実施形態に係るインクジェット記録方法では、2種類のサイズの液滴(大きいサイズの液滴および小さいサイズの液滴)を打ち分けることができるインクジェット式記録ヘッド、あるいは、3種類のサイズの液滴(大きいサイズの液滴、中サイズの液滴、および小さいサイズの液滴)を打ち分けることができるインクジェット式記録ヘッドを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。本実施形態に係るインクジェット記録方法は、4種類以上のサイズの液滴を打ち分けることができるインクジェット式記録ヘッドを用いてもよい。
複数のサイズの液滴を打ち分けることができるインクジェット式記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置は、光輝性領域を形成するための複数のモードを実行できる。複数のモードは、モード毎にノズルから吐出される液滴のサイズが異なるように設定されている。各モードは、例えば、インクジェット記録装置に設けられた制御部の命令によって実行される。
具体的には、インクジェット記録装置は、ノズルから小さいサイズの液滴(一滴あたり3pl以下)を吐出させて、光輝性顔料を0.1mg/inch以上0.5mg/inch以下含む光輝性領域を形成する第1モードと、大きいサイズの液滴(一滴あたり7pl以上)を吐出させて、光輝性顔料を0.1mg/inch以上0.5mg/inch以下含む光輝性領域を形成する第2モードと、を備えることができる。このような場合、制御部は、例えばユーザーからの命令に基づいて、第1モードまたは第2モードのいずれかを選択して、選択したモードをインクジェット記録装置に実行させる。これにより、光輝性領域の形成された記録媒体(記録物)を得ることができる。
2種類のモードを切り替えて実行するインクジェット記録装置を示したが、これに限定されず、3種類以上のモードを切り替えて実行するインクジェット記録装置を用いてもよい。
本実施形態に係るインクジェット記録方法に用いられる記録媒体としては、所望に応じてどのようなものを用いてもよく、例えば、普通紙、インク受容層等を有する専用紙等の紙のほか、例えば、インクが付与される表面を含む領域が、各種プラスチック、セラミックス、ガラス、金属や、これらの複合材料で構成された基材等が挙げられる。
1.2.樹脂インクからなる膜を形成する工程
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、さらに、前記ノズルから樹脂インク(後述)の液滴を吐出させて、前記光輝性領域上に付着させる工程を含んでもよい。これにより、光輝性領域上には、樹脂インクからなる膜が形成される。
光輝性領域を形成するために用いる光輝性インクは、後述するように、金属光沢性を向上させる観点から、樹脂を含まないことが好ましい。このような観点から、記録される光輝性領域の金属光沢性を維持しつつ耐擦性を低下させないために、本工程を実施することが好ましい。本工程により、光輝性領域は、樹脂インクからなる膜で被覆されるので、耐擦性に優れたものとなる。
光輝性領域上に付着させる樹脂インクの量は、0.08mg/inch以上0.2mg/inch以下であることが好ましい。光輝性領域上に付着させる樹脂インクの量が上記範囲内にあると、金属光沢性を良好に維持しつつ、耐擦性に優れた光輝性領域が得られる。
光輝性領域上に付着させる樹脂インクの量(mg/inch)とは、光輝性領域の単位面積あたりに含まれる樹脂の固形分量のことをいい、例えば、光輝性領域上に付着させた樹脂インク中の樹脂固形分の総量(mg)を、光輝性領域の面積(inch)で除することで求められる。
光輝性領域上に形成された樹脂インクからなる膜の膜厚は、0.1μm以上0.2μm以下であることが好ましい。樹脂インクからなる膜の膜厚が上記範囲内にあると、光輝性領域の金属光沢性がより一層良好になる場合がある。
本工程では、光輝性領域を形成する工程と同様に、一滴あたりの量が互いに異なる液滴を吐出可能なノズル、すなわち、複数のサイズの液滴を打ち分けることができるインクジェット式記録ヘッドを用いることが好ましい。
発明者は、上述の複数のサイズの液滴を打ち分けることができるインクジェット式記録ヘッドを用いて、樹脂インクの液滴を光輝性領域上に吐出させる場合において、小さいサイズの液滴を吐出させると、大きいサイズの液滴を吐出させた場合に比べて、光輝性領域の金属光沢性が低下しにくいことを見出した。この理由としては、次のように考えられる。
光輝性領域に樹脂インクの液滴を着弾させた際に、着弾時の衝撃力によって光輝性領域(光輝性画像)の表面が荒れる場合がある。このような場合に、樹脂インクの液滴のサイズが小さいと、着弾時の衝撃力を小さくできるので、光輝性領域の表面の荒れを低減でき、光輝性領域の金属光沢性の低下を抑制できると考えられる。また、樹脂インクの液滴のサイズを小さくすると、樹脂インクによって形成される膜の厚みが薄くなるので、光輝性領域の金属光沢性の発現が樹脂インクからなる膜によって阻害されにくくなると考えられる。
樹脂インクの液滴は、一滴あたりの量が7pl以下であることが好ましく、3pl以下であることがより好ましく、1pl以上3pl以下であることがさらに好ましい。樹脂インクからなる膜を形成する工程において、この値を満たす樹脂インクの液滴によって樹脂インクからなる膜が形成されると、光輝性領域の金属光沢性が低下しにくくなる場合がある。樹脂インクの一滴あたりの量は、光輝性インクの液滴と同様の方法で測定することができる。
液滴の飛翔時において、樹脂インクの液滴一滴あたりの水平方向における直径は、5μm以上9.9μm以下であることが好ましい。この値を満たす樹脂インクの液滴によって樹脂インクからなる膜が形成されると、光輝性領域の金属光沢性が低下しにくくなる場合がある。飛翔時における樹脂インクの一滴あたりの直径は、光輝性インクの液滴と同様の方法で測定することができる。
樹脂インクの液滴が記録媒体に付着した際の一滴あたりの直径は、5μm以上10μm以下であることが好ましい。この値を満たす樹脂インクの液滴によって樹脂インクからなる膜が形成されると、光輝性領域の金属光沢性が低下しにくくなる場合がある。記録媒体に付着させた際の樹脂インクの一滴あたりの直径は、光輝性インクの液滴と同様の方法で測定することができる。
樹脂インクの液滴は、大きいサイズと小さいサイズの液滴が吐出可能な記録装置において、小さいサイズで吐出されたほうが良い。大きいサイズと小さいサイズとの関係は、大きいサイズの液滴一滴あたりの量(pl)は、小さいサイズの液滴一滴あたりの量に対して、2.1倍以上8倍以下であることが好ましく、3倍以上6倍以下であることがより好ましい。
その他、小さいサイズについては、上述の光輝性インクで述べた小さいサイズの規定と同様である。
本実施形態に係るインクジェット記録方法において、樹脂インクを用いる場合には、上述した液滴の量、飛翔中の液滴の直径、および記録媒体に付着させた際の液滴の直径うち、2つ以上を同時に満たしてもよい。こうすることで、いずかれ一つを満たす場合よりも、その効果が一層向上する場合がある。
2.光輝性インク
本実施形態に係るインクジェット記録方法に用いる光輝性インクに含まれる成分について説明する。
2.1.光輝性顔料
光輝性顔料としては、媒体に付着させたときに光輝性(金属光沢性)を呈しうるものであれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、および銅からなる群より選択される1種または2種以上の合金や、パール光沢を有するパール顔料を挙げることができる。パール顔料の代表例としては、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、酸塩化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有する顔料が挙げられる。また、光輝性顔料は、水との反応を抑制するための表面処理が施されていてもよい。これらの中でも、光輝性顔料としては、銀またはアルミニウムを用いることがより好ましい。これらは、各種金属の中でも白色度の高い金属であるため、他色のインクと重ね合わせることにより、金色、銅色等の様々な金属色を表現することができる。
本発明において、金属光沢性とは、金属特有のツヤ感や光沢感等のことをいい、例えば、光輝性の低いツヤ消しの金属光沢も含む。
光輝性顔料の含有量は、光輝性インクの全質量に対して、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上15質量%以下であることが好ましい。光輝性顔料の含有量が上記範囲内にあると、優れた金属光沢性を有する画像を形成できる。
2.2.その他の成分
本実施形態に係る光輝性インクは、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤、樹脂等を含有することができる。
(水)
水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
(水溶性有機溶剤)
水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、ピロリドン誘導体等が挙げられる。水溶性有機溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
多価アルコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。これらの多価アルコールは、ノズルの目詰まりを低減させる効果がある。
ピロリドン誘導体としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
(界面活性剤)
界面活性剤は、インクの表面張力および、インクと接触するノズル等のプリンター部材との界面張力を適正に保つことができる。したがって、これをインクジェット記録装置に用いた場合、吐出安定性を高めることができる。また、記録媒体上で均一に濡れ拡げる効果を有する。
このような効果を有する界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤であることが好ましい。ノニオン系界面活性剤の中でも、シリコーン系界面活性剤およびアセチレングリコール系界面活性剤の少なくとも一方を用いることがより好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく用いられ、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。より詳しくは、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤として、たとえばサーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
なお、上記以外の界面活性剤として、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤等をさらに添加してもよい。
(pH調整剤)
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
(防腐剤・防かび剤)
防腐剤・防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。市販品では、プロキセルXL2、プロキセルGXL(以上商品名、アビシア社製)や、デニサイドCSA、NS−500W(以上商品名、ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
(防錆剤)
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
(キレート化剤)
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)等が挙げられる。
(樹脂)
樹脂は、光輝性インクの定着性を向上させるために用いてもよいが、記録媒体上に付着した光輝性顔料の配列を乱して、光輝性画像の金属光沢性を低下させる場合がある。このような不具合を生じさせないために、光輝性インク中に樹脂を含有させる場合には、樹脂の含有量は、光輝性インクの全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5%以下であることが好ましい。
光輝性インクに添加可能な樹脂としては、後述するウレタン系樹脂、エステル系樹脂およびフルオレン系樹脂、ポリオレフィンワックスの他に、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、フルオレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル系樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。
(その他)
本実施形態に係るインクジェット記録方法に用いる光輝性インクは、主となる溶媒(光輝性インクの全質量に対して、例えば、50質量%以上含まれる溶媒)が、水であってもよいし、有機溶剤(例えば、アルコール類、ケトン類、カルボン酸エステル類、エーテル類等)であってもよい。
2.3.光輝性インクの物性
本実施形態に係るインクジェット記録方法に用いる光輝性インクは、記録品質とインクジェット用インクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/mであることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、本実施形態に係るインクジェット記録方法に用いる光輝性インクの20℃における粘度は、2mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上10mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
3.樹脂インク
本実施形態に係るインクジェット記録方法では、上述したように、光輝性領域を樹脂インクからなる膜で被覆してもよい。
本実施形態に係るインクジェット記録方法において使用可能な樹脂インクは、着色剤(例えば、顔料、染料等)を含有しない。そのため、樹脂インクに含まれる揮発成分が揮発すると、透明または半透明のクリア画像(樹脂インクからなる膜)を形成する。
なお、本実施形態に係るインクジェット記録方法に使用可能な樹脂インクは、光輝性画像上に付着させることに限らず、記録媒体上の着色インク(染料や顔料等を含有するインク)により形成された領域(画像)上に付着させてもよいし、記録媒体上のいずれのインクも付着していない箇所に付着させてもよい。
以下、本実施形態に係るインクジェット記録方法において使用可能な樹脂インクに含まれる成分について説明する。
3.1.樹脂
本実施形態に係る樹脂インクは、ウレタン系樹脂、エステル系樹脂およびフルオレン系樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂を含有することができる。これらの樹脂は、いずれも、光輝性画像の金属光沢性を保持しつつ、耐擦性を向上させる機能を備える。これらの樹脂を用いた場合に光輝性画像の金属光沢性を保持できる理由としては、詳細は明らかになっていないが、樹脂を皮膜化させた際の屈折率が低いため、散乱光を防止できることに起因すると考えられる。
上記樹脂の含有量は、樹脂インクの全質量に対して、固形分換算で、0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。樹脂の含有量が上記範囲内にあると、光輝性画像の耐擦性が一層良好となる。
3.1.1.ウレタン系樹脂
ウレタン系樹脂は、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて合成されるポリマーである。ウレタン系樹脂の合成は、公知の方法で実施できる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の鎖状の脂肪族イソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の環状構造を有する脂肪族イソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネートが挙げられる。ウレタン系樹脂を合成する際には、上記のポリイソシアネートは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールおよびポリカーボネートポリオール等を挙げることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、あるいは、ポリテトラメチレングリコール等のようなジオール類と、ホスゲン、ジメチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、あるいは、エチレンカーボネート等の環式カーボネートとの反応生成物等が挙げられる。
ウレタン系樹脂を合成する際には、上記のポリオールは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ウレタン系樹脂としては、ガラス転移温度(Tg)が、−70℃以上90℃以下であるポリマーを用いることが好ましい。ウレタン系樹脂のガラス転移温度が上記範囲内、とりわけ下限を下回らずにあることで、べた付きの少ないクリア画像を形成できる場合がある。また、ウレタン系樹脂のガラス転移温度が上記範囲内、とりわけ上限を超えずにあることで、クリア画像が皮膜化しやすくなるので、光輝性画像の金属光沢性が一層低下しにくくなる場合がある。
また、ウレタン系樹脂としては、市販品を使用することができ、例えば、SF210(商品名、第一工業株式会社製)、WBR−2018(商品名、大成ファインケミカル株式会社製)、W−615(商品名、三井化学株式会社製)等が挙げられる。
3.1.2.エステル系樹脂
エステル系樹脂は、ポリオールとポリカルボン酸とを重縮合させて得られるポリマーである。エステル系樹脂は、公知の方法で合成できる。
ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。エステル系樹脂を合成する際には、上記のポリオールは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリカルボン酸として具体的には、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸等が挙げられる。エステル系樹脂を合成する際には、上記のポリカルボン酸は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−70℃以上80℃以下であることが好ましく、−20℃以上80℃以下であることがより好ましく、0℃以上70℃以下であることが特に好ましい。エステル系樹脂のガラス転移温度が上記範囲内にあることが好ましい理由は、上述したウレタン系樹脂と同様であるので、説明を省略する。
エステル系樹脂は、自己乳化型のエマルションタイプのエステル樹脂を好ましく用いることができる。自己乳化型のエマルションタイプのエステル樹脂としては、市販品を用いることができ、例えばEastek 1100、1300(以上商品名、イーストマンケミカルジャパン社製)、エリーテル KZA−1449、KZA−3556(以上商品名、ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。
3.1.3.フルオレン系樹脂
フルオレン系樹脂は、フルオレン骨格を含有する第1のジオールと、親水性基を有する第2のジオールとを含むポリオール成分と、ポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート成分との反応により得ることができる。フルオレン系樹脂は、上述した光輝性画像の金属光沢性を保持しつつ、耐擦性を向上させる機能に加えて、画像の耐光性および耐ガス性を向上させる点で好ましく用いることができる。
フルオレン骨格を含有する第1のジオールとしては、より具体的には、例えば、9,9−ビス(4−(ヒドロキシメトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシトルイル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシアルキル)フルオレンなどが挙げられる。なお、前記第1のジオールとしては、市販品を用いてもよく、例えば、ビスフェノキシエタノールフルオレン、ビスフェノールフルオレン、ビスクレゾールフルオレン(以上、商品名;大阪ガス化学社製)等が挙げられる。
これらフルオレン骨格を含有する第1のジオールは、単独または2種以上を併用してもよく、好ましくは、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが挙げられる。
また、フルオレン骨格を含有する第1のジオールは、フルオレン系樹脂に対して、例えば、40〜60質量%の割合で配合することができる。フルオレン骨格を含有する第1のジオールの含有量が、上記の範囲であることで、定着性および透明性に優れる。
第2のジオールは、親水性基を有することができる。親水性基としては、例えば、ポリオキシエチレン基などのノニオン性基や、カルボキシル基、スルホニル基、リン酸基およびスルホベタイン基などのイオン性基などが挙げられる。
より具体的には、カルボキシル基を有する第2のジオールとして、例えば、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸などのジヒドロキシルカルボン酸、例えば、リジン、アルギニンなどのジアミノカルボン酸などが挙げられる。
また、スルホニル基を有する第2のジオールとして、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、2,4−ジアミノ−5−トルエンスルホン酸などが挙げられる。
また、リン酸基を有する第2のジオールとして、例えば、2,3−ジヒドロキシプロピルフェニルホスフェートなどが挙げられる。
また、ベタイン構造含有基を有する第2のジオールとして、例えば、N−メチルジエタノールアミンなどの3級アミンと1,3−プロパンスルトンとの反応によって得られるスルホベタイン基含有化合物などが挙げられる。
さらに、第2のジオールとして、第2のジオールに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドが付加されているアルキレンオキサイド変性体を挙げることもできる。
また、これら第2のジオールは、単独または2種以上を併用してもよく、好ましくは、カルボキシル基を有する第2のジオールが挙げられ、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸が挙げられる。
また、親水性基を有する第1のジオールは、フルオレン系樹脂に対して、例えば、5〜15質量%の割合で配合することができる。フルオレン骨格を含有する第1のジオールの含有量が、上記の範囲であることで、定着性および透明性に優れる。
また、第2のジオールは、フルオレン系樹脂の酸価が、10〜130KOHmg/g、好ましくは、20〜60KOHmg/gとなるように、配合することができる。
また、本発明のフルオレン系樹脂では、必要により、ポリオール化合物を含ませることもできる。ポリオール化合物は、2つ以上の水酸基を有する化合物であって、低分子量ポリオールおよび高分子量ポリオールが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物は、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物、好ましくは、2つのイソシアネート基を有する化合物であって、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート)、4,4′−、2,4′−または2,2′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートもしくはその混合物などが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物、1,3−または1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼンもしくはその混合物などが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、4,4′−、2,4′−または2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物、4,4′−トルイジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートなどが挙げられる。
また、ポリイソシアネート化合物としては、上記した各種ポリイソシアネート化合物の多量体(例えば、二量体、三量体など)や、例えば、上記した各種ポリイソシアネート化合物あるいはその多量体と、水との反応により生成するビウレット変性体、アルコールまたは上記した低分子量ポリオールとの反応により生成するアロファネート変性体、炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオン変性体、さらには、上記した低分子量ポリオールとの反応により生成するポリオール変性体などが挙げられる。
これらポリイソシアネート化合物は、単独または2種以上を併用してもよく、好ましくは、脂環族ポリイソシアネートが挙げられ、例えば、イソホロンジイソシアネートが挙げられる。
そして、ポリオール成分(すなわち、フルオレン骨格を含有する第1のジオールと、親水性基を有する第2のジオールと、必要によりポリオール化合物)と、ポリイソシアネート成分(すなわち、ポリイソシアネート化合物)とを反応させるには、公知の方法でよく、例えば、ポリオール成分のドロキシ基に対するポリイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比(NCO/ヒドロキシ基)が、例えば0.4〜1.0となる割合で配合することができ、好ましくは、0.8〜0.95となる割合である。したがって、フルオレン系樹脂に対して、例えば、30〜45質量%の割合で配合することができる。フルオレン骨格を含有する第1のジオールの含有量が、上記の範囲であることで、定着性および透明性に優れる。
フルオレン系樹脂としては、水不溶性樹脂(エマルジョン)、水溶性樹脂どちらの形態でも用いることができるが、水溶性樹脂の形態で用いることが好ましい。また、フルオレン系樹脂の重量平均分子量は3000〜20000の範囲であることが好ましく、より好ましくは5000〜15000であり、一層好ましくは6000〜12000である。さらに、フルオレン系樹脂のTg(ガラス転移温度)は、好ましくは0℃以上であり、より好ましくは0℃以上250℃以下、さらに好ましくは40℃以上250℃以下、より一層好ましくは80℃以上250℃以下、特に好ましくは120℃以上250℃以下である。
3.2.ポリオレフィンワックス
本実施形態に係る樹脂インクは、ポリオレフィンワックスを含有することができる。ポリオレフィンワックスの機能の一つとしては、クリア画像の滑り性を高めることが挙げられる。これにより、クリア画像の下に形成された光輝性画像の耐擦性を一層向上できる。
ポリオレフィンワックスとしては、特に限定されるものではなく、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンまたはその誘導体から製造されたワックスおよびそのコポリマー、具体的には、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、ポリブチレン系ワックス、パラフィン系ワックス等が挙げられる。これらのポリオレフィンワックスは、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリオレフィンワックスは、市販品を用いることもでき、例えば、三井化学株式会社製のケミパール W4005(ポリエチレン系)等のケミパールシリーズや、ビックケミー・ジャパン株式会社製のAQUACER 513、515、531、552、840(以上、すべてポリエチレン系)、498、537、539(以上、すべてパラフィン系)等のAQUACERシリーズや、ハイテックE−7025P、ハイテックE-2213、ハイテックE-9460、ハイテックE-9015、ハイテックE−4A、ハイテックE−5403P、ハイテックE−8237(以上、東邦化学株式会社製)等のハイテックシリーズ、ノプコートPEM−17(サンノプコ社製、ポリエチレンエマルション、粒径40nm)等が挙げられる。これらは、常法によりポリオレフィンワックスを水中に分散させた水系エマルションの形態で市販されている。本実施形態に係る樹脂インクにおいては、水系エマルションの形態のまま直接添加することができる。
ポリオレフィンワックスを含有する場合には、その含有量が、樹脂インクの全質量に対して、固形分換算で0.05質量%以上2質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上1質量%以下であることがより好ましい。ポリオレフィンワックスの含有量が上記範囲内にあると、光輝性画像の金属光沢性を保持しつつ、光輝性画像の耐擦性を一層向上できる場合がある。
3.3.その他の成分
本実施形態に係る樹脂インクは、シリカ粒子、イソプレン骨格を有する樹脂、紫外線吸収剤等を含有してもよい。
シリカ(SiO)粒子は、光輝性画像の耐光性および耐ガス性を向上できる機能を備える。シリカ粒子は、シリカ粒子を水や有機溶媒中に分散させたコロイド溶液としたもの(コロイダルシリカ)を添加することが好ましい。これにより、シリカ粒子を樹脂インク中で容易に分散できる。このようなコロイダルシリカとしては、市販品を用いることもでき、例えば、日産化学株式会社製のスノーテックス XS、OXS、NXS、CXS−9等のスノーテックスシリーズが挙げられる。
イソプレン骨格を有する樹脂は、記録媒体に含まれる硫黄化合物、具体的には記録媒体の白色度や光沢度を向上する、もしくは染料、顔料等の色材をもちいた印刷物の耐ガス性、耐光性を向上する目的で添加された、チオエーテル系化合物(例えば3−チア−1,5−ペンタンジオール、4−チア−1,7−ヘプタンジオール)に起因する金属光沢性の低下を抑制することができる。イソプレン骨格を有する樹脂は、市販品を用いることができ、例えばDK201、DK202A、DK106(以上商品名、JSR株式会社製)等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、光輝性画像の耐光性を向上させる機能を備える。紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤(例えば、トリアジン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等)、および無機系紫外線吸収剤(例えば、酸化セリウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化鉄粒子、酸化チタン粒子および酸化亜鉛粒子等)等が挙げられる。紫外線吸収剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る樹脂インクは、上記成分の他に、「2.2.その他の成分」で挙げた成分(水、水溶性有機溶剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等)を含有することができる。
3.4.樹脂インクの物性
本実施形態に係るインクジェット記録方法に樹脂インクを用いる場合、記録品質とインクジェット用インクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/mであることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、光輝性インクと同様の方法で行うことができる。
また、同様の観点から、本実施形態に係るインクジェット記録方法に樹脂インクを用いる場合、樹脂インクの20℃における粘度は、2mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上10mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、光輝性インクと同様の方法で行うことができる。
4.実施例
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
4.1.光輝性インクの調製
まず、ポリビニルピロリドン(PVP、重量平均分子量10000)を70℃の条件下で15時間加熱して、その後室温で冷却をした。そのPVP1000gを、エチレングリコール溶液500mlに添加してPVP溶液を調整した。別の容器にエチレングリコールを500ml入れ、硝酸銀128gを加えて電磁攪拌器で十分に攪拌をして硝酸銀溶液を調整した。PVP溶液を120℃の条件下でオーバーヘッドミキサーを用いて攪拌しつつ、硝酸銀溶液を添加して約80分間加熱して反応を進行させた。そして、その後室温で冷却をさせた。得られた溶液を遠心分離機で2200rpmの条件下で10分間遠心分離を行った。その後、分離が出来た銀コロイドを取り出して、余分なPVPを除去するためエタノール溶液500mlに添加した。そして、さらに遠心分離を行い、銀コロイドを取り出した。さらに、取り出した銀コロイドを真空乾燥機で35℃、1.3Paの条件下で乾燥させた。
このようにして製造された銀コロイド10質量%を用いて、表1に示す材料組成にて光輝性インクを調製した。
4.2.樹脂インクの調製
表1に記載の各成分(樹脂、その他の成分)を混合・攪拌して、樹脂インク1〜3を調製した。表1に記載の各成分は、次の通りである。なお、表1に記載の樹脂および補助剤の含有量は、固形分換算した値である。
(樹脂)
・ポリエステル樹脂(商品名「Eastek1100」、イーストマンケミカルジャパン社製、エステル系樹脂エマルション、Tg:55℃、平均粒子径:11nm)
・ウレタン樹脂(商品名「W−615」、三井化学株式会社製、ポリカーボネート系アニオン性ポリウレタン、Tg:85℃)
・スチレンアクリル樹脂(商品名「UC−3900」、東亜合成株式会社製、スチレンアクリル系樹脂、平均粒子径:40nm、)
(その他の成分)
・グリセリン
・トリメチロールプロパン
・1,2−ヘキサンジオール
・トリエタノールアミン
・BYK−348(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、シリコーン系界面活性剤
・パラフィンワックス(商品名「AQUACER 539」、ビックケミー・ジャパン株式会社製、パラフィン系ワックスエマルジョン、平均粒子径:54nm)
・イオン交換水
Figure 2013146975
4.3.評価試験
以下の評価試験は、表1に記載の光輝性インクおよび樹脂インクを充填したカートリッジを、インクジェットプリンターPX−G930(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載したものを用いて行った。
4.3.1.光輝性領域に含まれる光輝性顔料の含有量毎の光沢度の評価
Duty5%〜100%のDuty毎に、プリンターのノズルから光輝性インクの液滴を吐出させて、記録媒体(商品名「写真用紙 光沢」、セイコーエプソン株式会社製、A4サイズ)に10枚連続して、光輝性領域(光輝性画像)のベタパターン印刷を行った。なお、印刷解像度1440×1440dpiの条件で印刷を行った。
本明細書において、「Duty値」とは、下式で算出される値である。
Duty(%)=実吐出ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実吐出ドット数」は単位面積当たりの実吐出ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
得られた光輝性領域の60°鏡面光沢度を、光沢度計(日本電色工業株式会社製、商品名「GlossMeter型番VGP5000」)を用い、JIS Z8741:1997にしたがって測定した。得られた60°鏡面光沢度を基に、光輝性領域の金属光沢性の評価を行った。評価試験の結果を表2に示す。
なお、記録媒体上に付着した光輝性領域に含まれる光輝性顔料の含有量(mg/inch)は、光輝性インクを充填したカートリッジの印刷前後の重量変化から算出した。
Figure 2013146975
4.3.2.光輝性インクの液滴サイズ毎の光沢度等の評価
プリンターのノズルから光輝性インクの液滴を吐出させて、光輝性インクの液滴のサイズ毎に、記録媒体(商品名「写真用紙 光沢」、セイコーエプソン株式会社製、A4サイズ)対して光輝性領域(光輝性画像)のベタパターン印刷を行った。なお、印刷解像度1440×1440dpi、Duty100%の条件で印刷を行った。
光輝性インクの液滴のサイズは、次の通りである。
・Lサイズ(飛翔時の一滴あたりの量7pl、飛翔時の一滴あたりの直径12μm)
・Mサイズ(飛翔時の一滴あたりの量3.1pl、飛翔時の一滴あたりの直径10μm)
・Sサイズ(飛翔時の一滴あたりの量1.5pl、飛翔時の一滴あたりの直径7μm)
得られた記録物について、「4.3.1.」と同様の方法で光沢度を測定した。また、得られた記録物のL,a,b値を、測色機(商品名「i1Pro」、エックスライト社製)を用いて測定した。評価試験の結果を表3に示す。
Figure 2013146975
4.3.3.光輝性インクおよび樹脂インクの液滴サイズ毎の光沢度の評価
樹脂インクの液滴のサイズ毎に、プリンターのノズルから樹脂インクの液滴を吐出させて、樹脂インクからなる膜で上記の「4.3.2.」と同様にして得られた光輝性領域を被覆した。なお、印刷解像度1440×1440dpi、Duty40%の条件で印刷を行った。
樹脂インクの液滴のサイズは、次の通りである。
・Lサイズ(飛翔時の一滴あたりの量7pl、飛翔時の一滴あたりの直径12μm)
・Mサイズ(飛翔時の一滴あたりの量3.1pl、飛翔時の一滴あたりの直径10μm)
・Sサイズ(飛翔時の一滴あたりの量1.5pl、飛翔時の一滴あたりの直径7μm)
得られた記録物について、「4.3.1.」と同様の方法で光沢度を測定した。評価試験の結果を表4に示す。
Figure 2013146975
4.3.4.光輝性領域に付着させた樹脂インク量毎の諸物性の評価
プリンターのノズルから光輝性インクの液滴を吐出させて、記録媒体(商品名「写真用紙 光沢」、セイコーエプソン株式会社製、A4サイズ)に光輝性領域(光輝性画像)のベタパターン印刷を行った。なお、印刷解像度1440×1440dpi、Duty40%の条件で印刷を行った。
次に、Duty10%〜100%のDuty毎に、プリンターのノズルから樹脂インクの液滴を吐出させて、樹脂インクからなる膜で光輝性領域を被覆した。なお、印刷解像度1440×1440dpiの条件で印刷を行った。
なお、記録媒体上に付着した光輝性領域に含まれる光輝性顔料の含有量(mg/inch)、および光輝性領域に付着させた樹脂インクの量(mg/inch)は、各インクを充填したカートリッジの印刷前後の重量変化から算出した。
(1)光沢性
得られた記録物について、「4.3.1.」と同様の方法で光沢度を測定した。評価試験の結果を表5〜7に示す。
(2)耐擦性
学振型摩擦堅牢試験機AB−301(テスター産業株式会社製)を用いて、荷重なし,摩擦回数50回の条件で、摩擦用白綿布(カナキン3号)を取り付けた摩擦子と、光輝性領域とを擦り合わせ、光輝性領域の表面状態を目視にて観察した。なお、評価基準は以下の通りである。評価結果を表5〜表7に示す。
A:光輝性領域に傷が認められない
B:光輝性領域に僅かに傷が認められる
C:光輝性領域に明らかに傷が認められる
D:光輝性領域に明らかに傷が認められ、光輝性領域の一部に剥がれが認められる
Figure 2013146975
Figure 2013146975
Figure 2013146975
4.4.評価結果
表2に示すように、実施例1〜実施例6において、光輝性領域に含まれる光輝性顔料の量が0.1mg/inch以上であったため、金属光沢性に優れた光輝性領域が得られた。一方、比較例1では、光輝性領域に含まれる光輝性顔料の量が0.1mg/inch未満であったため、金属光沢性に優れない光輝性領域が得られた。
表3に示すように、光輝性インクの液滴のサイズが大きいと、金属光沢性に優れた光輝性領域が得られることが示された。一方、光輝性インクの液滴のサイズが小さいと、無彩色に近い光輝性領域が得られることが示された。
表4に示すように、光輝性領域上に付着させる樹脂インクの液滴のサイズが小さいと、光輝性領域の金属光沢性が損なわれにくいことが示された。
表5〜表7に示すように、光輝性領域上に付着させた樹脂インクの量が、0.08mg/inch以上0.2mg/inch以下の範囲内にあると、金属光沢性を良好なレベルで維持しつつ、耐擦性にも優れた光輝性領域が得られることが示された。
また、表5〜表7に示すように、樹脂インク1〜樹脂インク3の中でも、樹脂インク1は、光輝性領域の金属光沢性を阻害しにくいことが示された。この理由は定かではないが、樹脂インク1に含まれるポリエステル樹脂は、他の樹脂インクに含まれる樹脂よりも、皮膜化した際の屈折率が低いため、散乱光の発生を効果的に抑制できたためと考えられる。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (11)

  1. ノズルを備えたインクジェット式記録ヘッドを用いたインクジェット記録方法であって、
    前記ノズルから光輝性顔料を含有する光輝性インクの液滴を吐出させて、該記録媒体上に光輝性領域を形成する工程を含み、
    前記光輝性領域に含まれる前記光輝性顔料の量が、0.1mg/inch以上0.5mg/inch以下である、インクジェット記録方法。
  2. 請求項1において、
    前記ノズルは、一滴あたりの量(pl)が互いに異なる第1の液滴および第2の液滴を吐出可能であり、
    前記第1の液滴の飛翔時における一滴あたりの量(pl)が、3pl以下であり、
    前記第2の液滴の飛翔時における一滴あたりの量(pl)が、7pl以上であり、
    前記光輝性領域を形成する工程において、前記光輝性領域は、前記光輝性インクからなる前記第1の液滴、または前記光輝性インクからなる前記第2の液滴によって形成される、インクジェット記録方法。
  3. 請求項1において、
    前記ノズルは、一滴あたりの量(pl)が互いに異なる第1の液滴、第2の液滴、第3の液滴を吐出可能であり、
    前記第1の液滴の飛翔時における一滴あたりの量(pl)が、1pl以上3pl以下であり、
    前記第2の液滴の飛翔時における一滴あたりの量(pl)が、3.1pl以上7pl以下であり、
    前記第3の液滴の飛翔時における一滴あたりの量(pl)が、7pl以上25pl以下であり、
    前記光輝性領域を形成する工程において、前記光輝性領域は、前記光輝性インクからなる前記第1の液滴、前記光輝性インクからなる前記第2の液滴、または前記光輝性インクからなる前記第3の液滴によって形成される、インクジェット記録方法。
  4. 請求項1において、
    前記ノズルは、一滴あたりの量(pl)が互いに異なる第1の液滴、第2の液滴、第3の液滴を吐出可能であり、
    前記第2の液滴の飛翔時における量が、前記第1の液滴の飛翔時における量の1.1倍以上2倍以下であり、
    前記第3の液滴の飛翔時における量が、前記第1の液滴の飛翔時における量の2.1倍以上8倍以下であり、
    前記光輝性領域を形成する工程において、前記光輝性領域は、前記光輝性インクからなる前記第1の液滴、前記光輝性インクからなる前記第2の液滴、または前記光輝性インクからなる前記第3の液滴によって形成される、インクジェット記録方法。
  5. 請求項1において、
    前記ノズルは、飛翔時における水平方向の直径が互いに異なる第1の液滴、第2の液滴、第3の液滴を吐出可能であり、
    前記第2の液滴の飛翔時における水平方向の直径が、前記第1の液滴の飛翔時における水平方向の直径の1.01倍以上1.25倍以下であり、
    前記第3の液滴の飛翔時における水平方向の直径が、前記第1の液滴の飛翔時における水平方向の直径の1.25倍以上2倍以下であり、
    前記光輝性領域を形成する工程において、前記光輝性領域は、前記光輝性インクからなる前記第1の液滴、前記光輝性インクからなる前記第2の液滴、または前記光輝性インクからなる前記第3の液滴によって形成される、インクジェット記録方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
    さらに、前記ノズルから樹脂インクの液滴を吐出させて、前記光輝性領域上に付着させる工程を含む、インクジェット記録方法。
  7. 請求項2ないし請求項5のいずれか1項において、
    さらに、前記ノズルから樹脂インクからなる前記第1の液滴を吐出させて、前記光輝性領域上に付着させる工程を含む、インクジェット記録方法。
  8. 請求項6または7において、
    前記光輝性領域上に付着させる前記樹脂インクの量が、0.08mg/inch以上0.2mg/inch以下である、インクジェット記録方法。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法により得られる記録物。
  10. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法を用いる、インクジェット記録装置。
  11. インクジェット記録装置を制御する制御方法であって、
    前記インクジェット記録装置は、ノズルを備えるインクジェット式記録ヘッドを有し、
    前記ノズルから、光輝性顔料を含有する光輝性インクの液滴を一滴あたり3pl以下で吐出させて、前記光輝性顔料を0.1mg/inch以上0.5mg/inch以下含む光輝性領域を形成する第1モードと、
    前記ノズルから、前記光輝性インクの液滴を一滴あたり7pl以上で吐出させて、前記光輝性顔料を0.1mg/inch以上0.5mg/inch以下含む光輝性領域を形成する第2モードと、
    を切り替える制御する、制御方法。
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